特許第6671340号(P6671340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイラップス ビーブイの特許一覧

特許6671340トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール
<>
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000002
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000003
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000004
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000005
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000006
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000007
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000008
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000009
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000010
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000011
  • 特許6671340-トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671340
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】トランスポンダー・モジュール及びトランスポンダー・モジュールをCANバスを通じて活動状態にし、かつ、構成するためのアクセス・モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/40 20060101AFI20200316BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   H04L12/40 Z
   H04L12/28 200Z
【請求項の数】18
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-504154(P2017-504154)
(86)(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公表番号】特表2017-522825(P2017-522825A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015067107
(87)【国際公開番号】WO2016016163
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】14178693.9
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516107848
【氏名又は名称】マイラップス ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】スィックス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】オーベル,ヘンク ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,マルセル
【審査官】 大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−527892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/40
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス・モジュールとトランスポンダー・モジュールとの間にデータリンクを確立するための方法であって、
前記アクセス・モジュールをCANバスに接続するステップであって、前記CANバスは、一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールに接続されており、トランスポンダー・モジュールは、トランスポンダーIDと関連しているステップと、
一つ又はそれ以上のアナウンスCANメッセージを前記CANバスを通じて送信するステップであって、アナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANアドレスを含むステップと、
一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージを前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、リクエストCANメッセージは、前記アンサーCANアドレス及び前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つのトランスポンダーIDを含むステップと、
を含み、
前記アクセス・モジュールは、前記一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージに基づいて、トランスポンダー・モジュールを選択して、前記データリンクを確立することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記CANバスを通じて肯定応答CANメッセージをブロードキャストすることによって、前記選択されたトランスポンダー・モジュールとのデータリンクを確立するステップであって、前記肯定応答CANメッセージは、前記選択されたトランスポンダーのトランスポンダーIDを含むステップ、をさらに含むこととする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アナウンスCANメッセージのCAN IDフィールドが前記アクセス・モジュールのCANIDを含んでいること、及び、リクエストCANメッセージのCAN IDフィールドがアンサーCAN IDを含んでいることの少なくとも一方であることとする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクセス・モジュールは、一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージを、前記CANバスを通じて、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、リクエストCANメッセージのCANIDフィールドは、アンサーCAN IDを含むステップ、
をさらに含むこととする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記一つ又はそれ以上のブロードキャストされたアナウンスCANメッセージの受信に応答して、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールは、リクエストCANメッセージを異なるタイム・インスタンスでアクセス・モジュールにブロードキャストするステップをさらに含むこととする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
トランスポンダー・モジュールが、アナウンスCANメッセージの受信に応答して、そのトランスポンダーIDに基づき、前記リクエストCANメッセージを前記アクセス・モジュールにブロードキャストするタイム・インスタンスを決定するステップを含むこととする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
選択されたトランスポンダー・モジュールは、前記アクセス・モジュールが、最初に受信するリクエストCANメッセージにおいて識別されていることとする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記アクセス・モジュールと前記選択されたトランスポンダー・モジュールとの間にデータリンクを確立して、ユーザーがトランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかを判定し、トランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能に関連するライセンス情報の送信、及び、トランスポンダーへの一つ又はそれ以上のアップデートの送信の少なくとも一方を行うステップを含むこととする請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
ユーザーがトランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかを判定するステップは、
前記選択されたトランスポンダー・モジュールに時刻情報を送信して、前記トランスポンダー・モジュールが、トランスポンダー・モジュールのユーザーが一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかをチェックすることを可能にするステップ、
を含むこととする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記時刻情報は、前記アクセス・モジュール内のリアルタイム・クロックと関連する暗号化された時刻情報であることとする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アクセス・モジュールをCANバスに接続するステップは、
前記アクセス・モジュールを備えるハードウェア・カードを、前記ハードウェア・カードを受け入れるよう構成されているソケット内に着脱可能に位置決めして、ハードウェア・カードが前記ソケット内に位置決めされたとき、前記ハードウェア・カードの電気接点が前記CANバスと電気的な接続状態となるようにするステップ、
を含むこととする請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記トランスポンダー・モジュールは、スポーツ計時システム内で使用されるよう構成されているスポーツ計時トランスポンダー・モジュールであることとする請求項1乃至請求項11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
スポーツ計時システムで使用されるトランスポンダー・モジュールであって、前記トランスポンダー・モジュールは、アクセス・モジュールとのデータリンクを確立して、ユーザーが、一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部の活動状態化、及び、それへのアクセスの少なくとも一方を可能にするよう構成されたトランスポンダー・モジュールにおいて、
前記トランスポンダー・モジュールは、
前記トランスポンダー・モジュールをCANバスに電気的に接続するCANインタフェースと、
コンピュータで読取可能な記憶媒体であって、それに収録されたコンピュータで読取可能なプログラムコードを有するコンピュータで読取可能な記憶媒体と、
コンピュータで読取可能な記憶媒体に結合されていて、コンピュータで読取可能なプログラムコードの実行に応答するマイクロプロセッサとを備え、
前記マイクロプロセッサは、
前記アクセス・モジュールからアナウンスCANメッセージを受信するステップであって、前記アナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANアドレスを含むステップと、
リクエストCANメッセージを前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールからブロードキャストするステップであって、各リクエストCANメッセージは、前記アンサーCANアドレス及び前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つのトランスポンダーIDを含むステップと、
を含む実行可能な動作を行うよう構成されている、
ことを特徴とするトランスポンダー・モジュール。
【請求項14】
前記マイクロプロセッサは、アナウンスCANメッセージの受信に応答して、前記CANバスを通じて前記リクエストCANメッセージをブロードキャストするタイム・インスタンスを決定するステップであって、前記タイム・インスタンスは、前記トランスポンダーIDに基づいて決定されるステップを含む実行可能な動作を行うようさらに構成されていることとする請求項13に記載のトランスポンダー・モジュール。
【請求項15】
トランスポンダー・モジュールとのデータリンクを確立するよう構成されているアクセス・モジュールであって、前記アクセス・モジュールは、前記トランスポンダー・モジュール内の一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部の活動状態化、及び、それへのアクセスの少なくとも一方を行うよう構成されているアクセス・モジュールにおいて、
前記アクセス・モジュールは、
前記トランスポンダー・モジュールをCANバスに電気的に接続するためのCANインタフェースであって、CANバスは、一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールにさらに接続されているCANインタフェースと、
コンピュータで読取可能な記憶媒体であって、それによって収録されたコンピュータで読取可能なプログラムコードを有するコンピュータで読取可能な記憶媒体と、
コンピュータで読取可能な記憶媒体に結合されていて、コンピュータで読取可能なプログラムコードの実行に応答するマイクロプロセッサとを備え、
前記マイクロプロセッサは、
一つ又はそれ以上のアナウンスCANメッセージを前記CANバスを通じてブロードキャストするステップであって、アナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANアドレスを含むステップと、
一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージを前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、リクエストCANメッセージは、前記アンサーCANアドレス及び前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つのトランスポンダーIDを含むステップと、
前記一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージに基づき、トランスポンダー・モジュールを選択して、前記データリンクを確立するステップと、
を含む実行可能な動作を行うよう構成されている、
ことを特徴とするアクセス・モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のアクセス・モジュールを受け入れるよう構成されているソケットであって、前記ソケットは、一つ又はそれ以上のトランスポンダーに接続されているCANバスと電気的な接続状態にあり、前記ソケットは、アクセス・モジュールを着脱可能に位置決めするよう構成されており、アクセス・モジュールが、前記ソケット内に位置決めされたとき、アクセス・モジュールは、CANバスと電気的な接続状態になることを特徴とするソケット。
【請求項17】
車両内で使用するためのトランスポンダー・システムであって、
トランスポンダーと、
データバスを介して前記トランスポンダーに通信可能に接続されるアクセスキーと、
前記アクセスキーを受け入れ、かつ、アクセスキーを着脱可能に位置決めするよう構成されているソケットであって、アクセスキーが、前記ソケット内に位置決めされたとき、前記データバスを介してアクセスキーが前記トランスポンダーに電気的に接続されるソケットと、
を備え、
前記アクセスキーは、前記トランスポンダーの活動状態化、及び、ライセンス情報及びファームウェアの更新の少なくと一方に基づいたトランスポンダーの形成の少なくとも一方を行うよう構成されている、
ことを特徴とするトランスポンダー・システム。
【請求項18】
前記データバスはCANバスであることとする請求項17に記載のトランスポンダー・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスポンダー・モジュール及び該トランスポンダー・モジュールを、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)バスを通じて活動状態にし、かつ(あるいは)、それを構成するためのアクセス・モジュールに関し、具体的には、しかし、排他的ではなく、トランスポンダー・モジュールとアクセス・モジュールとの間にCANベースのデータリンクを確立するための方法、アクセス・モジュールを伴ってCANベースのデータリンクを確立するよう構成されているトランスポンダー、及び該トランスポンダー内のトランスポンダー機能の活動状態化及び(又は)構成を可能にするよう構成されているアクセス・モジュール、及び該方法を用いるためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
サーキット又はオフロード・モータースポーツイベントやサイクリングイベント等の車両スポーツイベント用の計時システムは、例えばラップタイム、合計時間、平均ラップタイム、ランキング等の計時情報を決定するための車両内又は車両上に取り付けられる無線トランスポンダーを用いる。トランスポンダーは、レーストラック又はコース内に、その上に、かつ(あるいは)、それに沿って配置されているアンテナによってピックアップされる一意の識別子を含むトランスポンダー信号を送信するよう構成されている。アンテナは、該アンテナを横切る車両のトランスポンダー信号をトランスポンダーデータに変換するデコーダに接続されている。これらのデータは、次いで、レースイベントに参加している車両の計時情報を決定するために、データ処理システムに送られる。
【0003】
従来の計時システムは、一般に、計時操作員によってセットアップされ、かつ、管理され、操作員は、イベントへの参加者用のトランスポンダーを構成し、かつ、トランスポンダーを計時システムに登録する。しかしながら現今、参加者は、彼ら自身のパーソナル・トランスポンダーを購入して、それを車両内に、又は、車両上に(半)永久的に設置できるようになっている。トランスポンダーは、イベントの前又はイベント中に、計時システムに登録させることができる。
【0004】
特許文献1には、既知のスポーツ計時システムの一例が説明されている。トランスポンダーの機能性は、限定されており、また、ユーザーのニーズ及び(又は)レーシング・イベントの要求に従って、トランスポンダーの機能を(再)構成し、かつ(あるいは)、拡張できる可能性が全くないか、あるいは少なくともほとんどない。さらに、トランスポンダーは、過酷な条件に耐えるよう構成されていることが多く、車両内の、アクセスがあまりよくできない場所に設置される。そしてひとたび設置されると、トランスポンダーへの物理的なアクセスが難しくなり、したがって、トランスポンダーの迅速な再構成及び(又は)トランスポンダーのファームウェアの更新は、トランスポンダーを物理的に外さない限りできなくなる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1447681号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記のことから、従来技術においては、トランスポンダー内の異なる機能性の容易な構成及び(又は)更新、及び(又は)トランスポンダーと関連するサービスを許容する、改良されたトランスポンダーが必要性である、ということになる。具体的には、従来技術においては、イベントのタイプ、車両のタイプ、イベントの地理的な場所、ユーザーの好み等のパラメータに基づいて、トランスポンダーを、車両から取り外さずに、簡単、確実かつ安全なやり方で構成することを可能にする方法及びシステムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、当業者なら理解されるところであるが、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として実施することができる。よって、本発明の態様は、ハードウェアの形態、ソフトウェアの形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又は、ここで全て一般的に「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼べる、ソフトウェアとハードウェア態様とを組み合わせた形態の形を採ることができる。この開示で説明する機能は、コンピュータのマイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムとして実現することができる。さらに、本発明の態様は、一つ又はそれ以上のコンピュータで読取可能な媒体(複数も可)内に収録されたコンピュータプログラム製品であって、それに収録された、例えば、格納された、コンピュータで読取可能なプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品の形を採ることができる。
【0008】
また、一つ又はそれ以上のコンピュータで読取可能な媒体(複数も可)のいかなる組合せも利用することができる。コンピュータで読取可能な媒体は、コンピュータで読取可能な信号媒体又はコンピュータで読取可能な記憶媒体とすることができる。コンピュータで読取可能な記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置、又はデバイス、又は、これらの任意の適当な組合せとすることができるが、それらに限定されない。コンピュータで読取可能な記憶媒体のより具体的な例(包括的ではないリスト)には、下記のものが含まれるであろう。すなわち、一つ又はそれ以上の線(ワイヤ)を有する電気的な接続体、ポータブルコンピュータのディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去できるプログラマブル・リードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、オプチカルファイバー、ポータブルなコンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD−ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又はこれらの任意の適当な組合せが含まれるであろう。この明細書の文脈では、コンピュータで読取可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用される、あるいは、それと接続されるプログラムを含む、又は格納する任意の有形の媒体とすることができる。
【0009】
コンピュータで読取可能な信号媒体は、伝播データ信号であって、その中に、例えば、ベースバンド内に又は搬送波の一部として収録された、コンピュータで読取可能なプログラムコードを有する伝播データ信号を含むことができる。このような伝播信号は、電磁、光学、 又は それらの任意の適当な組合せを含む、しかしそれらに限定されない様々な形態のうちの任意の形態を採ることができる。コンピュータで読取可能な信号媒体は、コンピュータで読取可能な記憶媒体ではなくて、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用される、あるいは、それと接続されるプログラムを通信し、伝播し、あるいは、移送することができる任意のコンピュータで読取可能な媒体とすることができる。
【0010】
コンピュータで読取可能な媒体に収録されたプログラムコードは、無線、ワイヤーライン、オプチカルファイバー、ケーブル、RF、等、又は、これらの任意の適当な組合せを含むがしかしそれらに限定されない任意の適当な媒体を用いて、送信することができる。本発明の態様のための、動作を実行するコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、スモールトーク、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型のプログラミング言語を含む一つ又はそれ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラムコードは、専らユーザーのコンピュータ上で、スタンドアロン・ソフトウェアパッケージとして部分的にユーザーコンピュータ上で、部分的にユーザーのコンピュータ上及び部分的に遠隔コンピュータ上で、又は、専ら遠隔コンピュータ又はサーバー上で、実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して、ユーザーのコンピュータに接続することができ、あるいは、この接続は、外部コンピュータに(例えば、インターネット・サービスプロバイダを用いるインターネットを介して)行うことができる。
【0011】
以下、本発明の態様を、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び(又は)ブロック図を参照して説明する。フローチャート図及び(又は)ブロック図の各ブロック、及び、フローチャート図及び(又は)ブロック図におけるブロック(複数)の組合せは、コンピュータプログラム命令によって実現可能であることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサの、具体的には、マイクロプロセッサ又は中央処理装置(CPU)に与えて、マシンを構築し、コンピュータのプロセッサ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置を介して実行される命令により、フローチャート及び(又は)ブロック図のブロック又はブロック(複数)内で指定された機能/動作を実現するための手段が生成されるようにすることができる。
【0012】
これらのコンピュータプログラム命令も、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は特定のやり方で機能する他の装置に指示することができる、コンピュータで読取可能な媒体内に格納して、コンピュータで読取可能な媒体に格納されている命令により、フローチャート及び(又は)ブロック図のブロック又はブロック(複数)内で指定された機能/動作を実現する命令を含む製品が作り出されるようにすることができる。
【0013】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置にロードして、コンピュータ、他のプログラマブル装置又は他の装置上で一連の動作ステップを行わせ、コンピュータで実行される処理を作り出して、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令により、フローチャート及び(又は)ブロック図のブロック又はブロック(複数)内で指定される機能/動作を実行する処理が行われるようにすることができる。
【0014】
図のフローチャート及びブロック図は、本発明の各種の実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装におけるアーキテクチャ、機能性、及び動作を説明するものである。この点で、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、特定の論理機能(複数も可)を実行するための一つ又はそれ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は、コードの一部分を代表することができる。なお、別の実装では、ブロック(複数)内に示された機能は、図に示された順序を越えて行われる場合があることにも注目すべきである。例えば、連続して示された2つのブロック(複数)は、事実、実質的に同時に実行することができ、あるいは、含まれている機能性により、ブロック(複数)を逆の順序で実行することができる場合もある。ブロック図及び(又は)フローチャート図の各ブロック、及び、ブロック図及び(又は)フローチャート図内のブロック(複数)の組合せは、特定の機能又は動作を行う専用のハードウェアベースのシステム、又は、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実現できることにも注目されよう。
【0015】
本発明の目的は、従来技術における既知の欠点の少なくとも一つを軽減もしくは排除することである。一態様では、本発明は、アクセス・モジュールと一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールとの間にデータリンクを確立する方法に関わることができる。
【0016】
一形態では、トランスポンダー・モジュールは、スポーツ計時システムで使用されるものとすることができる。
【0017】
一実施形態では、この方法は、前記アクセス・モジュールをCANバスを介して一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールに接続するステップであって、トランスポンダー・モジュールは、トランスポンダーのIDと関連しており、アクセス・モジュールが、一つ又はそれ以上の第1の(アナウンス)CANメッセージを、前記CANバスを介して、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールに送信し、好ましくは、ブロードキャストし、第1のアナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANIDを含むステップと、一つ又はそれ以上の第2の(リクエスト)CANメッセージを、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、第2のCANメッセージのペイロードは、前記第2のCANメッセージをブロードキャストするトランスポンダー・モジュールのトランスポンダーIDを含むステップと、前記アンサーCANID及び前記トランスポンダー・モジュールのトランスポンダーIDに基づいて、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つと前記アクセス・モジュールとの間にデータリンクを確立するステップと、を含むことができる。
【0018】
この方法は、アクセス・モジュール(「アクセスキー」)が、CANバスを介してトランスポンダーにアクセスすることを可能にするものである。該CANバスは、標準化された有線シリアル通信バス(ISO−11898:2003に記載のもの)であり、これは、RF干渉に対して非常に強く、自動車業界で使用されているものである。したがって、スポーツ計時トランスポンダーを設置する際、該CANバスは、車両の(標準)CANバスに接続することができる。次いで、アクセスキーを用いて、トランスポンダーを活動状態にし、かつ(あるいは)、(再)構成してからそれをレーシング・イベントで使用することができる。
【0019】
アクセスキーは、CANバスに接続して、いわゆるアナウンスCANメッセージをブロードキャストし、CANID(アンサーCAN ID)をダイナミックにトランスポンダーに割り当てることができる。CANID(ISO−11898:2003に規定された標準CAN11ビット識別子)をCANメッセージのペイロード(CAN規格ではデータフレームと呼ばれている)に格納して、アクセスキーとトランスポンダーとの間にデータリンク(特に、ポイント・ツー・ポイント・データリンク)を確立するのに用いることができる。
【0020】
すなわち、トランスポンダーを、CAN IDを用いて、予め(手動で)構成する必要はない。代わりに、それどころか、アクセスキーがCAN IDを決定し、そのCAN ID(又は他のCANネットワーク・パラメータ)をトランスポンダーにダイナミックに配布することができる。このCANIDをトランスポンダーに割り当てるやり方は、多くの異なる第三者CAN装置(CAN規格では「ノード」と呼ばれている)が、CANバス(例えば、車両のCANバス)に接続されていて、各CAN装置が、それ自体の一定のCANIDを有している場合に、特に有利である。アクセスキーは、CAN IDの選択の完全な実行権を有している。アクセスキーは、CAN IDに関連する優先順位を決定することができる。さらに、アクセスキーは、CANバスに接続されている他のCAN装置が使用していないCANIDを選択することができる。
【0021】
一形態では、この方法は、前記CANバスを通じて肯定応答CANメッセージをブロードキャストすることによって、前記選択されたトランスポンダー・モジュールとのデータリンクを確立するステップであって、前記肯定応答CANメッセージは、前記選択されたトランスポンダーのトランスポンダーIDを含むステップを含むことができる。
【0022】
一形態では、アナウンスCANメッセージのCAN IDフィールドは、前記アクセス・モジュールのCAN IDを含むことができる。別の実施形態では、リクエストCANメッセージのCANIDフィールドは、アンサーCAN IDを含むことができる。CANメッセージは、アクセス・モジュールが、特定のトランスポンダーにCANIDをダイナミックに割り当て、かつ、アクセス・モジュールとCANネットワーク内のトランスポンダーとの間に、一時的なポイント・ツー・ポイント接続を確立することができるような情報を含むことができる。
【0023】
一形態では、この方法は、前記アクセス・モジュールが、一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージを、前記CANバスを通じて、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、リクエストCANメッセージのCANIDフィールドは、アンサーCAN IDを含むステップを含むことができる。
【0024】
一形態では、この方法は、前記一つ又はそれ以上のブロードキャストされたアナウンスCANメッセージの受信に応答して、前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールは、リクエストCANメッセージを異なるタイム・インスタンスでアクセス・モジュールにブロードキャストするステップを含むことができる。一形態では、この方法は、トランスポンダー・モジュールが、アナウンスCANメッセージの受信に応答して、そのトランスポンダーIDに基づき、前記リクエストCANメッセージを前記アクセス・モジュールに放送するタイム・インスタンスを決定するステップを含むことができる。異なるトランスポンダーが、同じアンサーCANIDを有するリクエストCANメッセージを同時にアクセス・モジュールに送信する可能性を無くすため、各トランスポンダーは、そのトランスポンダーIDに基づいて、待ち時間tを生成することができる。ここで、トランスポンダーは、トランスポンダーID(の一部)を用いて、ブロードキャストのための異なるタイム・インスタンスを決定することができる。
【0025】
一形態では、選択されたトランスポンダー・モジュールは、前記アクセス・モジュールが、最初に受信するリクエストCANメッセージにおいて識別される。
【0026】
一形態では、この方法は、前記アクセス・モジュールと前記選択されたトランスポンダー・モジュールとの間にデータリンクを確立して、ユーザーがトランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかを判定し、トランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能に関連するライセンス情報を送信し、かつ(あるいは)、一つ又はそれ以上のソフトウェアアップデートをトランスポンダーに送信するステップを含むことができる。
【0027】
一形態では、ユーザーがトランスポンダー内の一つ又はそれ以上の機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかを判定するステップは、時刻情報、好ましくは、前記アクセス・モジュール内のリアルタイム・クロックと関連する暗号化された時刻情報を、前記選択されたトランスポンダー・モジュールに送信して、前記トランスポンダー・モジュールが、トランスポンダー・モジュールのユーザーが一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部を使用する権利を有しているかどうかをチェックすることを可能にするステップ、を含むことができる。
【0028】
一形態では、前記アクセス・モジュールをCANバスに接続するステップは、前記アクセス・モジュールを備えるハードウェア・カードを、前記ハードウェア・カードを受け入れるよう構成されているソケット内に着脱可能に位置決めして、ハードウェア・カードがソケット内に位置決めされたとき、前記ハードウェア・カードの電気接点が前記CANバスと電気的な接続状態となるようにするステップを含むことができる。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、アクセス・モジュールを伴ってデータリンクを確立して、一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部を活動状態にし、かつ(あるいは)、それにアクセスできるようにするよう構成されたトランスポンダー・モジュールにおいて、前記トランスポンダー・モジュールは、前記トランスポンダー・モジュールを前記CANバスに電気的に接続するCANインタフェースと、コンピュータで読取可能な記憶媒体であって、それに収録されたコンピュータで読取可能なプログラムコードを有するコンピュータで読取可能な記憶媒体と、コンピュータで読取可能な記憶媒体に結合されていて、コンピュータで読取可能なプログラムコードの実行に応答するマイクロプロセッサとを備え、前記マイクロプロセッサは、前記アクセス・モジュールからアナウンスCANメッセージを受信するステップであって、前記アナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANアドレスを含むステップと、リクエストCANメッセージを前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールからブロードキャストするステップであって、各リクエストCANメッセージは、前記アンサーCANアドレス及び前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つのトランスポンダーIDを含むステップと、を含む実行可能な動作を行うよう構成されているトランスポンダー・モジュールに関わることができる。
【0030】
一形態では、前記マイクロプロセッサは、アナウンスCANメッセージの受信に応答して、前記CANバスを通じて前記リクエストCANメッセージをブロードキャストするタイム・インスタンスを決定するステップであって、前記タイム・インスタンスは、前記トランスポンダーIDに基づいて決定されるステップを含む実行可能な動作を行うようさらに構成することができる。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、トランスポンダー・モジュールとのデータリンクを確立するよう構成されているアクセス・モジュールであって、前記アクセス・モジュールは、前記トランスポンダー・モジュール内の一つ又はそれ以上のトランスポンダー機能の少なくとも一部を活動状態にし、かつ(あるいは)、それにアクセスするよう構成されているアクセス・モジュールにおいて、前記アクセス・モジュールは、前記トランスポンダー・モジュールをCANバスに電気的に接続するためのCANインタフェースであって、CANバスは、一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールにさらに接続されているCANインタフェースと、コンピュータで読取可能な記憶媒体であって、それによって収録されたコンピュータで読取可能なプログラムコードを有するコンピュータで読取可能な記憶媒体と、コンピュータで読取可能な記憶媒体に結合されていて、コンピュータで読取可能なプログラムコードの実行に応答するマイクロプロセッサとを備え、前記マイクロプロセッサは、一つ又はそれ以上のアナウンスCANメッセージを前記CANバスを通じてブロードキャストするステップであって、アナウンスCANメッセージのペイロードは、アンサーCANアドレスを含むステップと、一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージを前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールから受信するステップであって、リクエストCANメッセージは、前記アンサーCANアドレス及び前記一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールの一つのトランスポンダーIDを含むステップと、前記一つ又はそれ以上のリクエストCANメッセージに基づき、トランスポンダー・モジュールを選択して、前記データリンクを確立するステップと、を含む実行可能な動作を行うよう構成されているアクセス・モジュールに関わることができる。
【0032】
さらなる別の態様では、本発明は、上記のアクセス・モジュールを受け入れるよう構成されているソケットであって、前記ソケットは、一つ又はそれ以上のトランスポンダーに接続されているCANバスと電気的な接続状態にあり、かつ、前記ソケットは、アクセス・モジュールを前記ソケット内に着脱可能に位置決めするよう構成することができ、アクセス・モジュールが、前記ソケット内に位置決めされたとき、アクセス・モジュールは、CANバスと電気的な接続状態になるソケットに関わることができる。
【0033】
一形態では、CANバスは、差動データバスとして構成されている。差動データバスは、高雑音で過酷な環境に対して非常に頑丈であり、したがって、スポーツイベント中、トランスポンダーとアクセス・モジュールとの間で、高いデータ速度での連続的なデータリンクを可能にするものである。
【0034】
一形態では、アクセス・モジュール及び一つ又はそれ以上のトランスポンダー・モジュールは、前記CANバスを通じて、CANメッセージを送信し、かつ、受信するよう構成されているCANコントローラを備えている。
【0035】
一形態では、CANバスは、トランスポンダーが取り付けられている車両のCANバスである。
【0036】
一形態では、少なくとも1個のトランスポンダーが、車両のホイールウェル及び(又は)ベースプレートに取り付けられ、アクセスキー用のソケットが、車両のダッシュボード上に取り付けられ、前記CANバスを介して、前記トランスポンダーに接続されている。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、車両内で使用するためのトランスポンダー・システムであって、トランスポンダーと、データバス、好ましくは、CANバスを介して、前記トランスポンダーに通信可能に接続されるアクセスキーと、前記アクセスキーを受け入れ、かつ、アクセスキーを着脱可能に位置決めするよう構成されているソケットであって、アクセスキーが、前記ソケット内に位置決めされたとき、前記データバスを介してアクセスキーが前記トランスポンダーに電気的に接続されるソケットと、を備え、前記アクセスキーは、前記トランスポンダーを活動状態にし、かつ(あるいは)、トランスポンダーを、ライセンス情報及び(又は)ファームウェアの更新に基づいて、構成するよう構成されているトランスポンダー・システムに関わることができる。
【0038】
以下、本発明は、添付の図面を参照して、さらに説明し、それにより、本発明に係る実施形態を概略的に示すことになろう。本発明は、これらの特定の実施形態には、いかなる点からも制限されないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係るスポーツ計時システムを概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態に係るトランスポンダー・モジュール及びアクセス・モジュールを概略的に示す。
図3】本発明の別の実施形態に係るトランスポンダー・モジュール及びアクセス・モジュールを示す。
図4】本発明の一実施形態に係るアクセス・モジュール及びアクセス・モジュールをCANバスに着脱可能に接続するためのソケットを示す。
図5】本発明の一実施形態に係るアクセス・モジュールとトランスポンダー・モジュールとの間に、CANベースのデータリンクを確立するための処理の、第1の部分のフロー図を示す。
図6】本発明の一実施形態に係るアクセス・モジュールとトランスポンダー・モジュールとの間に、CANベースのデータリンクを確立するための処理の、第2の部分のフロー図を示す。
図7】本発明の一実施形態に係るCANメッセージのデータフォーマットの概略を示す。
図8】本発明の一実施形態に係るトランスポンダーのトランスポンダー機能にアクセスを行うための処理のフロー図を示す。
図9】本発明の一実施形態に係るユーザー・アカウントにアクセス・モジュールを接続するシステムを示す。
図10】本発明の一実施形態に係るトランスポンダー・モジュールのライセンス情報のデータモデルを示す。
図11】本発明におけるシステム及び方法に用いることができる例示的なデータ処理システムを示すブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係るスポーツ計時システムを概略的に示す。具体的には、図1は、スポーツイベントへの参加者によって使用されるスポーツ計時トランスポンダー102を備えるスポーツ計時システムであって、少なくとも一つのトランスポンダーが、車両(図示せず)内又はその上に取り付けられ、かつ、一つ又はそれ以上の基地局110がレーストラックに沿って設置されるスポーツ計時システムを示す。トランスポンダーは、とりわけトランスポンダー識別子を含むトランスポンダー信号108,107を基地局110に送信するための無線インタフェース106を備えることができ、基地局は、トランスポンダー信号を受信するための受信器又はトランシーバ113を備えることができる。
【0041】
一実施形態では、基地局は、レーストラック内に埋設された、又は、その上に配置された誘導性アンテナ112、例えば、誘導性ループに接続することができる。ループは、データ通信に対して、約数メートル幅のエリアを規定することができる。特に、車両が、高速でループを横切る場合は、これは、データの送信のための非常に短い時間窓(約20〜40ms)となる。トランスポンダーと基地局との間でデータ通信を成し遂げるためには、既知の変調構成(周波数、位相シフトキーイング及び(又は)振幅変調)を用いることができる。
【0042】
基地局は、ある大きさの搬送周波数信号を送信することができる。トランスポンダーがアンテナの近傍にある場合には、トランスポンダーは、基地局信号を受信することになり、それへの応答として、搬送波信号を変調することにより、情報、例えば、時刻印を押されたトランスポンダーIDを、基地局に送信開始することができる。変調周波数の周波数は、0.4と6GHzの間の範囲から選択され、好ましくは、0.4と1.0GHzの間の範囲で、例えば433.868乃至915MHzの範囲で選択することができる。
【0043】
トランスポンダーは、搬送周波数信号を受信することなしにメッセージを送信するように構成することもできる。その場合には、トランスポンダーは、3と7MHzの間でメッセージを送信することができる。
【0044】
別法として、及び(又は)、付加的に、一実施形態では、基地局は、レーストラックに沿って、及び(又は)、その上に位置付けされている一つ又はそれ以上のRFアンテナ109に接続することができる。一つ又はそれ以上のRFアンテナは、基地局(100〜200メートル幅)とトランスポンダーとの間でWLANタイプのデータ通信を行うための比較的大きな面積のRFエリアを生ずるよう構成することができる。大きなRFエリアは、基地局とトランスポンダーとの間のデータ通信のための比較的大きな時間窓とすることができる。したがって、トランスポンダーは、誘導性アンテナ及びRFアンテナの両方を介して、基地局と通信するよう構成することができる。
【0045】
トランスポンダーを備える車両が基地局に近づくと、アンテナ(誘導性ループ及び(又は)RFアンテナ)は、トランスポンダー信号を受信することができ、かつ、受信器が、それを検出できる。受信器内のデコーダは、トランスポンダー信号を復号化し、かつ、それにタイムスタンプを押し、その後、トランスポンダー信号は、一つ又はそれ以上のネットワーク114を介して、データ処理システム116に送信され、イベントに参加している車両と関連する計時情報が決定される。すなわち、データ処理システムは、レーストラックに沿ってアンテナを通過する全ての車両からトランスポンダーデータを受信することができ、その結果、全車両の正確な計時情報を得ることができ、かつ、当該時刻情報をユーザーに提供することができる。
【0046】
図1に示すように、トランスポンダーは、さらに、マイクロプロセッサ118、データを格納するためのメモリ120、電源121(例えば、再充電可能なバッテリー及び(又は)外部電源接続用の電源インタフェース)及び一つ又はそれ以上の機能性トランスポンダー・モジュール122〜126を備えることができる。例えば、一実施形態では、トランスポンダーは、外部RFノードを有する、無線接続を確立するための無線周波数(RF)モジュール122(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi又はWLAN接続体)を備えることができる。
【0047】
一実施形態では、トランスポンダーは、バス・インタフェース・モジュール124を備えることができる。バス・インタフェースは、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)バス等の過酷な電磁環境に耐えられるバス・インタフェースとすることができる。このCANインタフェースを用いて、車両のモーター管理システム(図示せず)と有線通信リンクを確立することができる。すなわち、トランスポンダーは、車両情報を受信して、これを、トランスポンダー内の、例えば、データ・ロギング・モジュール126に格納することができる。
【0048】
別の実施形態では、機能性モジュールは、ある時点における車両の場所を判定するためのGPSモジュールを含むことができ、かつ(あるいは)、双方向データリンク・モジュールは、基地局とトランスポンダーとの間の双方向データ通信を可能にすることができる。その場合には、トラックに沿った基地局の少なくとも一部は、アンテナに接続される受信器及び送信器の両方を備えることができる。
【0049】
以下でより詳しく説明するように、トランスポンダーは、データバス・インタフェース130を介してトランスポンダーに接続できる外部アクセス・モジュール104に基づいて、構成することができ、かつ(あるいは)、活動状態にすることができる。具体的には、トランスポンダーは、アクセス・モジュール内に格納されているライセンス情報をトランスポンダーに送信することによって、構成することができ、かつ(あるいは)、活動状態にすることができ、トランスポンダーは、次いで、ライセンス情報を用いることができ、かつ、トランスポンダー機能を適宜に構成することができる。
【0050】
アクセス・モジュールは、CANバス又はRS-422バス等の有線(差動)データバスを介してトランスポンダーと通信するよう構成することができる。差動データバスは、高雑音で過酷な環境に対して非常に頑丈であり、したがって、スポーツイベント中、トランスポンダーとアクセス・モジュールとの間で連続的なデータリンクを可能にするものである。例えば、トランスポンダーは、ホイールウェル内に取り付け、かつ、車両の便利でアクセス可能な一部、例えば、車両のダッシュボード上に設置することができる取付けアセンブリ(ソケット)に、CANバスを介して、接続することができる。アクセス・モジュールは、アクセス・モジュールのCANインタフェースが、CANバスと電気的な接触を為すよう、ソケット内に着脱可能に取り付けることができる。
【0051】
アクセス・モジュールは、一つ又はそれ以上の一意のトランスポンダー識別子132を含むことができ、トランスポンダー識別子は、アクセス・モジュールのハードウェアレジスタ内に安全に格納することができる。アクセス・モジュールは、さらに、マイクロコントローラ134、セキュア・モジュール136及びメモリ138を備えることができる。ここで、セキュア・モジュールは、タンパーフリー・ハードウェア及び(又は)ソフトウェアモジュールとして構成することができる。セキュア・モジュールは、トランスポンダーとの通信中に用いられる機密情報を格納するよう構成することができる。以下でより詳しく説明するように、ユーザーが、トランスポンダー内の或る機能性モジュールにアクセスする(それを用いる)及び(又は)それを構成する権利を有しているかどうかを判定する処理は、タンパーフリー・リアルタイム・クロック140の時刻情報及び(又は)ライセンス情報142のトランスポンダーへの送信を含むことができる。
【0052】
好ましくは、ライセンス情報142は、アクセス・モジュールのメモリ内に暗号化された形態で格納することができる。トランスポンダー内のセキュア・モジュール146は、暗号化されたライセンス情報を復号化し、かつ、ライセンス情報をクリアテキストでセキュアメモリ150に格納するよう構成することができる。ライセンス情報(これは権利情報とも呼ばれる)は、トランスポンダーのマイクロプロセッサが、これを用いて、ユーザーがどのトランスポンダー機能にアクセスすることができるかを判定することができるものである。具体的には、ライセンス情報は、アクセス条件を含むことができ、アクセス条件は、時刻、トランスポンダーの場所、及び(又は)、トランスポンダーの使用に依存することができる。ライセンス情報及びアクセス条件は、以下でより詳しく説明する。
【0053】
したがって、図1に示すようなトランスポンダー・システムは、ライセンス、すなわち、或るトランスポンダー機能に対して条件付きのアクセスができるユーザー権利に基づいた一つ又はそれ以上のトランスポンダーの簡単でフレクシブルな構成を可能にするものである。ライセンス情報は、アクセス・モジュールを用いて、トランスポンダーに付与することができ、アクセス・モジュールは、ライセンス情報及びソフトウェア更新のための安全なモバイルデータ搬送波としても、トランスポンダー機能へのアクセスのためのアクセス・モジュール(キー)としても役立ち得るものである。ライセンス・モジュールは、トランスポンダーと無線通信するか、あるいは、データバス、好ましくは、CANバス等の差動信号データバスを介してトランスポンダーと通信するよう構成することができる。すなわち、トランスポンダーは、アクセス・モジュールに着脱可能に接続して、トランスポンダーを車両から取り外すことなく、ユーザーのニーズに従って、これを構成することができる。アクセス・モジュールは、ユーザーがトランスポンダーを所有している間に、計時操作員が、異なるトランスポンダー機能を効率よく利用できるようになし得るものである。
【0054】
図2は、本発明の一実施形態に係るトランスポンダー・システムを概略的に示す。具体的には、図2は、トランスポンダー・システムのより詳細な例を示し、トランスポンダー202は、ライセンシング情報に基づいて構成することができる複数の機能性モジュール206、222、224、226、228、229を備えることができる。トランスポンダー202は、レーシングトラックに沿った基地局との通信のための(標準)無線インタフェースモジュール206に接続されるマイクロプロセッサ218、トランスポンダーとレーストラックに沿って(例えば、フィニッシュエリアに)配置されるWLANとの間に迅速な高速データリンクとなる無線周波数(RF)インタフェースモジュール222、トランスポンダーによって用いることができる場所情報を生成するためのGPSモジュール224、データ・ロギング・モジュール226、及びCANコントローラモジュール228を備えることができる。
【0055】
CANコントローラモジュールは、トランスポンダーを車両のCANバスに接続して、トランスポンダーが、車両のモーター管理システム及び(又は)CANバスに接続されている他のセンサーモジュールと通信できるようにすることを可能にするものである。トランスポンダーは、さらに電源モジュール229(例えば、再充電可能なバッテリー及び(又は)外部電源接続用の電源インタフェース)を備えて、トランスポンダー内の機能性モジュールへの電力供給を制御することができる。
【0056】
トランスポンダーの機能性モジュールのアクセス及び構成は、トランスポンダーのセキュア・モジュール246内に格納されているライセンス情報によって制御することができる。トランスポンダーのマイクロプロセッサは、セキュア・モジュール内のライセンス情報(権利情報とも呼ばれる)を用いて、ユーザーが、どの機能性モジュールに、どんな条件でアクセスできるかを決定することができる。これらの条件は、アクセス条件と呼ぶことができ、それらは、図10を参照してより詳細に説明する。
【0057】
アクセス・モジュール204は、適当なインタフェース、例えば、CANバスを用いて、トランスポンダーに着脱可能に接続することができる。接続を確立する場合には、認証手続を用いて、トランスポンダーに対しアクセス・モジュールを認証することができ、また、その逆を行うことができる。トランスポンダーをアクセス・モジュールに対して認定するための認証手続の際には、トランスポンダー識別子256、例えば、一意のトランスポンダー(シリアル)番号を用いることができる。トランスポンダーのタンパーフリー・レジスタ内に格納することができるトランスポンダー識別子は、アクセス・モジュール内に格納されている一つ又はそれ以上のトランスポンダー識別子232とマッチングさせることができる。
【0058】
トランスポンダーとアクセス・モジュールとの間の接続が、うまく確立された場合には、トランスポンダーのマイクロプロセッサは、アクセス・モジュールのセキュア・モジュール236内のリアルタイム・クロック240に由来する時刻情報に基づき、ユーザーがどの機能にアクセスできるのか、判定することができる。アクセス・モジュールのセキュア・モジュールは、トランスポンダー内のセキュア・モジュールに時刻情報を暗号化された形態で送信するための暗号モジュール238を備えて、トランスポンダー機能及び(又は)ライセンス・キーの不正使用が防止できるようにすることができる。そのため、第1の暗号システムを用いて、暗号化された時刻情報をトランスポンダーに送信することができる。第1の暗号システムは、トランスポンダーとアクセス・モジュールとの間で交換されるデータを暗号化及び復号化して、時刻情報をトランスポンダーに安全に送信するための暗号化及び復号化アルゴリズム及び少なくとも一つのキーを備えることができる。計時情報を暗号化された形態でトランスポンダーに送信するためには、(拡張及び(又は)補正された)小さな暗号化アルゴリズム(TEA)又はRC4又はそのバリアント等の既知の「光」暗号システムを用いることができる。
【0059】
アクセス・モジュールは、暗号化されたライセンス情報242及び(又は)暗号化されたソフトウェア・コード244(例えば、ファームウェア・アップデート及び(又は)パッチ)を含むメモリを備えることができ、ライセンス情報及び(又は)ソフトウェア・コードは、第2の暗号システムに基づいて暗号化される。
【0060】
以下でより詳しく説明するように、アクセス・モジュールは、ライセンス情報及び(又は)ソフトウェアを暗号化された形態で格納するための、また、トランスポンダー機能にアクセスを行うための安全なモバイルデータ搬送波として用いることができる。計時情報とは対照的に、アクセス・モジュールは、アクセス・モジュール内に格納されているライセンス情報及び(又は)ソフトウェアを復号化するのに用いることができる第2の暗号システムの構成部分、例えば、キー情報(復号化キー)、を含んでいない。したがって、第2の暗号システムは、AdvanceEncryption Standard(AES)又はその変形等のより拡張された暗号化構成に基づいて実現することができる。
【0061】
一実施形態では、第2の暗号システムは、非対称の暗号システム、例えば、プライベート・パブリック暗号システムとして実現することができ、ライセンス情報及び(又は)ソフトウェア・コードは、パブリック・キーを用いて暗号化することができ、また、アクセス・モジュールのセキュア・モジュール内に格納されている異なる(シークレット)プライベート・キーを用いて、復号化することができる。別法として、第2の暗号システムは、対称暗号システムとして実現することができ、暗号化キーは、復号化キーと同一である。
【0062】
一実施形態では、アクセス・モジュールは、ライセンス及びソフトウェア・コードのバージョン情報(これは、バージョン番号及び(又は)タイムスタンプを含むことができる)をトランスポンダーに送信して、トランスポンダーが、バージョン情報をトランスポンダーのセキュア・モジュール内に格納されているライセンス及び(又は)ソフトウェア・コード・バージョンと比較することができるようにすることができる。別法として、アクセス・モジュールは、トランスポンダーにインストールされているライセンス及びソフトウェア・コードのバージョン情報を受信して、アクセス・モジュールが比較を行えるようにすることができる。トランスポンダー又はアクセス・モジュールによって、新しいライセンス情報及び(又は)ソフトウェア・コードがトランスポンダーに利用できると判定された場合には、新しいバージョン(複数も可)は、復号化のため、トランスポンダーのセキュア・モジュール246に送信することができる。
【0063】
トランスポンダーのセキュア・モジュール内の暗号モジュール248は、第2の暗号システム(すなわち、暗号化及び復号化アルゴリズム及びキー情報)を用いて、ライセンス情報及び(又は)ソフトウェア・コードを復号化することができ、また、第1の暗号システムを用いて、データを復号化し、かつ、暗号化し、暗号化された時刻情報をトランスポンダーからライセンス・キーに送信することができる。
【0064】
例えば、暗号化されたライセンス情報及び(又は)ソフトウェア・コードが、アクセス・モジュールによって、トランスポンダーに送信される場合は、暗号モジュールは、第2の暗号システムの少なくとも一つの復号化キーを用いて、暗号化されたライセンス情報及びソフトウェア・コードを復号化することができる。復号化キー及び復号化された(クリアテキスト)ライセンス情報250及び(又は)ソフトウェア・コード252は、セキュア・モジュールのタンパーフリー・メモリ内に格納することができる。
【0065】
上述したように、トランスポンダーは、アクセス・モジュール内のリアルタイム・クロックに由来する時刻情報を用いて、或るトランスポンダー機能の使用についての一時的なアクセス条件が、満足されているかいないかをチェックすることができる。いくつかの実施形態では、ライセンス情報内のいわゆる満期情報(すなわち、どの時点までライセンスが有効であるかを決定する情報)は、トランスポンダーのセキュア・モジュール内のタイマー254の期間を決定するのに用いることができる。タイマーは、ライセンスが有効である期間をモニターするのに用いることができる。例えば、一実施形態では、タイマーは、カウンターとして実現することができ、タイマーが、予め決められた値(例えば、ゼロ)に達した時、ライセンス(の一部)を終了させることができる。マイクロプロセッサは、中央データ処理システムが処理できるトランスポンダー・メッセージ108にタイマー情報を挿入して、スポーツイベントへの参加者のライセンス(の一部)の有効性が適時にモニターできるようにすることができる。
【0066】
一実施形態では、タイマー情報は、トランスポンダー・メッセージに継続的に挿入される。別法として及び(又は)付加的に、一実施形態では、タイマー情報は、タイマーが、時間期間の終わりに達した時、トランスポンダー・メッセージに挿入することができる。その場合、ライセンス期間の終端は、トランスポンダー・メッセージ内のフラグ又はコードに基づいて、中央データ処理システムに知らせることができる。
【0067】
図3は、本発明のさらなる実施形態に係るCANベースのトランスポンダー・システムを示す。この特定の実施形態では、システムは、CANインタフェース306、308を介して、CANバス310に接続されるトランスポンダー302及びアクセス・モジュール304を備えることができる。一実施形態では、CANバスは、一つ又はそれ以上のトランスポンダーと少なくとも一つのアクセス・モジュールとの間にローカルネットワークを形成するよう配置することができる。CANバス信号は、差動とすることができ、したがって、高雑音で過酷な環境に対して強く、かつ、高い信号速度を可能にする。
【0068】
CANバスに接続される装置(「ノード」と呼ばれることもある)は、CANプロトコルに基づいて、互いに他と通信するよう構成することができる。CAN規格ISO-11898:2003は、バスに接続される全てのノードをリンクし、かつ、ノードが、CANメッセージに基づいて互いに他と対話することを可能にする通信ネットワークを規定する。中央コントロール・ノードは、有っても無くてもよく、また、ノードは、いつでも、たとえネットワークが動作中(「ホットプラッギング」と呼ばれる場合がある)であっても、追加することができる。CAN規格に準拠して構成されている装置は、CAN装置と呼ばれる場合がある。
【0069】
一実施形態では、図3のCANバスは、レーシング・イベントに参加する車両のCANネットワークの一部とすることができる。その場合には、トランスポンダー及び(又は)アクセス・モジュールは、CANプロトコルに基づいてCANバスに接続されている他の(第3者の)CAN装置512と通信するように構成することもできる。例えば、トランスポンダー及び(又は)アクセス・モジュールは、CANプロトコルに基づいて、車両モーター管理システム及び(又は)他の車両センサー装置と通信することができる。
【0070】
図3のトランスポンダー及びアクセス・モジュールの機能性の大部分は、図2を参照して説明したものと同様なものとすることができる。したがって、トランスポンダーは、基地局のための無線インタフェース314と、マイクロプロセッサ316と、トランスポンダー識別子320を含むメモリ318と、電源321(例えば、再充電可能なバッテリー及び(又は)外部電源接続用の電源インタフェース)と、そして、ライセンス情報324、ソフトウェア・コード326(例えばファームウェア)、キー情報328及びタイマー327を含むセキュア・モジュール322とを備えることができる。同様に、アクセス・モジュールは、マイクロプロセッサ330と、暗号化されたライセンス情報334及びソフトウェア・コード336(例えばファームウェア・アップデート)を含むメモリ332と、キー情報340及びリアルタイム・クロック342を含むセキュア・モジュール338とを備えることができる。アクセス・モジュールは、アクセス・モジュールに接続できるトランスポンダーを識別するための一つ又はそれ以上のトランスポンダーID344をさらに備えることができる。
【0071】
トランスポンダー及びアクセス・モジュールがCANバスを介して通信するため、トランスポンダー及びアクセス・モジュールは、CANメッセージを、CANバスを通じてバスに接続されている他のCAN装置にブロードキャストし、かつ、他のCAN装置からブロードキャストされたCANメッセージを受信するためのトランシーバ(図示せず)を制御するよう構成されているCANコントローラ346,348を備えることができる。CANコントローラは、CANバスを通じて、CANメッセージをブロードキャストすることができ、各CANメッセージは、CAN識別子(CANID)を含むソース識別子を有し、CANメッセージをブロードキャストしたCAN装置は、CANIDで識別される。CAN IDは、ISO-11898:2003に規定された標準CAN 11ビット 識別子として実現することができる。
【0072】
アクセス・モジュールは、CANバスに接続されているトランスポンダーにそのCANメッセージをブロードキャストするための一つ又はそれ以上のCANID352を含むCANテーブル350をそのメモリ内に備えるCAN装置として構成することができる。トランスポンダーのCANコントローラは、CANメッセージをアクセス・モジュールのCANIDでフィルター処理するためのフィルターを備えることができる。
【0073】
従来のCANネットワークでは、CAN装置は、一般に、スタティックな予め設定されているCANIDを含んでいる。しかしながら、この構成は、スポーツ計時トランスポンダーにはあまり適当ではない。なぜなら、スポーツ計時トランスポンダーは、第三者のCANバス(車両のCANバス)に接続されている場合があり、第三者のCANバスは、既にそれに接続されている多数のノードを有している場合があるからである。例えば、トランスポンダーのスタティックな(予め設定されている)CANIDが、別のCAN装置のCAN IDと一致する場合は、トランスポンダー、アクセス・モジュール及び他のCAN装置(車両管理システム等)間のデータ通信は、途絶えることになろう。したがって、ある実施形態では、アクセス・モジュールは、CANIDをトランスポンダーにダイナミックに割り当てるよう構成することができる。
【0074】
トランスポンダーへのCAN IDのダイナミックな割り当ては、アクセス・モジュールが、いわゆるアナウンスCANメッセージをトランスポンダーにブロードキャストすることで開始することができ、アナウンスCANメッセージのソースIDフィールドには、アクセス・モジュール304のCANID(lmCANid)が含まれている。アクセス・モジュールは、CANメッセージのペイロードの予め決められた一部に選択されたCAN IDを挿入することができる。このCAN IDは、アンサーCANID(aCANid)354と呼ばれる場合があり、これは、トランスポンダーが、ソースIDとして用いるべきものである。aCANidは、アクセス・モジュールが、CANテーブル内の利用可能なCAN IDのリストから選択することができるものである。一実施形態では、アクセス・モジュールは、CANバスに既に接続されているCAN装置の(スタティック)CANIDと一致しないCAN IDを選択することができる。アクセス・モジュールは、したがって、CANID(アンサーCAN ID<aCANid>をトランスポンダーにダイナミックに割り当てるためのアナウンスCANメッセージを用いることができ、トランスポンダーは、そのメモリ356内にアンサーCANIDを格納することができる。
【0075】
アンサーCANIDのトランスポンダへの割り当てを確認するため、トランスポンダーは、レスポンスCANメッセージをアクセス・モジュールにブロードキャストすることによって応答することができ、レスポンスCANメッセージのソースIDフィールドには、アンサーCANID(aCANid)が含まれている。さらに、トランスポンダーは、そのトランスポンダーID320(例えば、シリアル番号)をレスポンスCANメッセージのペイロードの予め決められた一部に挿入することができる。アクセス・モジュールが、ソースIDフィールド内にアンサーCANIDを有するレスポンスCANメッセージを受信すると、アクセス・モジュールは、このメッセージが、前に送信されたアナウンスCANメッセージに応答して、トランスポンダーによって送信されたものであり、ペイロードは、トランスポンダーのトランスポンダーIDを含んでいる、と判断することができる。
【0076】
アクセス・モジュールは、次いで、そのメモリ内に格納されているトランスポンダーID344で、レスポンスCANメッセージ内のトランスポンダーIDをチェックして、アクセス・モジュールをトランスポンダーと共に用いることができるかどうかを判定することができる。例えば、レスポンスCANメッセージ内のトランスポンダーIDが、アクセス・モジュール内のトランスポンダーIDに一致している場合は、アクセス・モジュールは、トランスポンダーとの通信リンクを確立して、例えば、暗号化されたライセンス情報、ソフトウェア・コード(例えばファームウェア)及び(又は)時刻のトランスポンダーへの送信を含むデータ交換ができる、と判定することができる。この処理のより詳細な説明は、図5及び図6を参照して行うことになる。
【0077】
図4は、アクセス・モジュールを、CANバスを介して、本発明の一実施形態に係るトランスポンダーに着脱可能に接続するためのシステムを示す。具体的には、図4は、(図1〜3を参照して説明した)アクセス・モジュールを備える(ハードウェア)メモリカード406、及び、ハードウェアカードを受け入れ、かつ、メモリカードをソケット内に着脱可能に位置決めするよう構成されているソケット404を示す。ハードウェアカードが、ソケット内に位置決めされると、ハードウェアカードの電気接点410が、CANバスワイヤ408を介して、トランスポンダー402に電気的に接続することができるソケットの接点411と電気的な接触を為す。トランスポンダー及びアクセスキーは、さらなるCANバスワイヤ409により、図4に示したシステムが取り付けられている車両のCANバスに接続することができる。図4の挿入図は、ディスプレイ412を備えて、ある情報をドライバーに表示することができるアクセス・モジュールの上面側を示す。
【0078】
図4のシステムの車両内における設置可能な箇所は、トランスポンダーが、アクセスするのが比較的難しい個所、例えば、車両のホイールウェル及び(又は)ベースプレートに取り付けでき、また、アクセスキー用のソケットが、ドライバーが容易にアクセス可能な個所(例えば、車両のダッシュボード)に取り付けできるようになっている。トランスポンダーは、トランスポンダーから基地局への良好な信号転送、及び、その逆の良好な信号転送を保証するため、このような個所に取り付ける必要がある。CANバスを介して、トランスポンダーとアクセスキーとの間にデータリンクを確立するためには、車両のCANバス(の一部)を用いることができる。CANバスは、過酷な環境(例えば、電磁ノイズ)に対して、非常に頑丈なので、異なる条件下で確実なデータ接続が確立できる。
【0079】
図4のシステムは、明らかに、CANバスを介して、アクセス・モジュールに接続される複数のトランスポンダー(例えば、メイントランスポンダー及び一つ又はそれ以上のバックアップトランスポンダー)にまで拡張できる。アクセス・モジュールは、トランスポンダーを活動状態にするキーとして用いることができ、かつ、ライセンス情報及び(又は)ファームウェア・アップデートに基づき、アクセス・モジュールとして用いて、トランスポンダーを構成することができる。
【0080】
図5は、本発明の一実施形態に係る一つ又はそれ以上のスポーツ計時トランスポンダーのトランスポンダー機能への、CANベースのアクセスを行うための処理の、第1のフェーズのフロー図を示す。具体的には、このフロー図は、例えば図3を参照して説明したアクセス・モジュールにCANバスを介して接続されているトランスポンダーのトランスポンダー機能にアクセスを行うための処理に関する。
【0081】
処理は、それぞれトランスポンダーIDで識別される一つ又はそれ以上のトランスポンダーが、CANバスから、或るCANID(lmCANid)で識別されるアクセス・モジュールに由来するアナウンスCANメッセージを聴取することで開始することができる(ステップ502)。次いで、アクセス・モジュールは、アナウンスCANメッセージを生成することができるが、アナウンスCANメッセージには、アンサーCANID(aCANid)が、そのペイロードの特定の一部に挿入されている(ステップ504)。生成されたアナウンスCANメッセージは、次いで、CANバスを通じて、CANバスに接続されている他のCAN装置、この例では、2つのトランスポンダーにブロードキャストすることができる(ステップ506)。その後、アクセス・モジュールは、CANメッセージのソースIDフィールドとしてのアンサーCANIDで、CANバスからCANメッセージの聴取を開始することができる(ステップ508)。
【0082】
一方、トランスポンダーは、アナウンスCANメッセージを受信し、かつ、CANメッセージのソースIDに基づき、メッセージがアクセス・モジュールに由来する、と判定することができる。さらに、トランスポンダーは、メッセージが、アナウンス・メッセージである、と判定し、かつ、ペイロードから、アンサーCANID(aCANid)を抽出することができる(ステップ510)。一つ又はそれ以上のトランスポンダーが、アクセス・モジュールから情報(例えば、ライセンス情報、時刻及び(又は)ソフトウェア・アップデート)を受信したい場合は、レスポンスCANメッセージを生成することができる。このメッセージは、以後、「リクエスト・インフォ」CANメッセージと呼ぶことができ(ステップ512、514)、リクエスト・インフォCANメッセージのソースIDは、aCANidを含むことができ、かつ、ペイロードの予め決められた一部は、トランスポンダーIDを含むことができる。
【0083】
異なるトランスポンダーが、同じaCANidを有するリクエスト・インフォCANメッセージを、同時にアクセス・モジュールに送信する可能性を無くすため、各トランスポンダーは、そのトランスポンダーIDに基づいて、待ち時間tを生成することができる(ステップ516,518)。例えば、一実施形態では、トランスポンダーIDの少なくとも一部を、トランスポンダー内のランダム・ジェネレータ用のシードとして用いて、各トランスポンダーが、異なる待ち時間(例えば、図5の例では、第1の待ち時間t1及び異なる第2の待ち時間t2)を生成するようにすることができる。
【0084】
第2の待ち時間がより短かったときは、第2のトランスポンダーは、メッセージのペイロード内にそのトランスポンダーID(この例では、トランスポンダー2のシリアル番号シリアル#2)を含むリクエスト・インフォCANメッセージをアクセス・モジュールに送信する最初のトランスポンダーとなることができる(ステップ520)。その後、第2のトランスポンダーは、期間について、アクセス・モジュールからレスポンス・インフォ・メッセージの聴取を開始することができる(ステップ522)。一実施形態では、トランスポンダーは、予め決められた時間(「タイムアウト」)後に、レスポンス・インフォ・メッセージの聴取を停止し、かつ、その以前の聴取状態(すなわち、図5のステップ502を参照して説明した状態)に戻り、アクセス・モジュールに由来するアナウンス・メッセージを聴取するよう構成することができる。
【0085】
図5の例では、第2のトランスポンダーは、アクセス・モジュールにリクエスト・インフォ・メッセージを送信する最初のトランスポンダーとなっている。応答の際には、アクセス・モジュールは、第2のトランスポンダーのトランスポンダーIDを含む肯定応答インフォCANメッセージをトランスポンダーに送信することによって、第2のトランスポンダーのインフォ・リクエストを承認することができる(ステップ524)。第2のトランスポンダーのリクエストに肯定応答した後では、アクセス・モジュールは、第2のトランスポンダーのインフォ・リクエスト(複数も可)を完了するまで、他のトランスポンダーのリクエスト・インフォCANメッセージを受け容れない(ステップ526)。待ち時間t1後に、第1のトランスポンダーによって、アクセス・モジュールに送信されるリクエスト・インフォ・メッセージ(ステップ528)は、したがって、アクセス・モジュールによって無視されることになる。したがって、第1のトランスポンダーは、そのリクエスト・インフォ・メッセージに対する肯定応答メッセージを受け取らない。予め決められた時間後には、タイムアウトが出現することができ、かつ、第1のトランスポンダーは、その以前の状態に戻って、アクセス・モジュールに由来するアナウンス・メッセージを聴取することができる(ステップ530)。
【0086】
図6は、本発明の一実施形態に係る一つ又はそれ以上のスポーツ計時トランスポンダーのトランスポンダー機能に、CANバスを介してアクセスを行うための処理の、第2のフェーズのフロー図を示す。図6の処理は、アクセス・モジュールが、第2のトランスポンダーのトランスポンダーIDを含む肯定応答インフォ・メッセージを第2のトランスポンダーへ送信することによって、第2のトランスポンダーのインフォ・リクエストCANメッセージを処理することを承認する図5の処理後に行うことができる(ステップ602)。
【0087】
第2のトランスポンダーが、第2のトランスポンダーのトランスポンダーIDを含む肯定応答インフォCANメッセージを受信すると、第2のトランスポンダーは、アクセス・モジュールが、そのインフォ・リクエストを受け容れた、と判定することができる。その後、トランスポンダーは、アクセス・モジュールに、新しいライセンス情報が利用できるかどうかを尋ねることができる(ステップ604)。そこで、アクセス・モジュールは、トランスポンダーIDを用いて、それが、第2のトランスポンダーに送信するための新しいライセンス情報を有しているかどうかを判定することができる(ステップ606)。可能な場合、新しい(暗号化された)ライセンス情報は、アクセス・モジュールは、それを、第2のトランスポンダーのセキュア・モジュールに送信することができる(ステップ608)。トランスポンダーのセキュア・モジュールは、暗号化されたライセンス情報を復号化し、新しいライセンスを格納し、かつ、ライセンス情報に基づいて、トランスポンダー内に、機能性モジュールを構成することができる(ステップ609)。
【0088】
別法として及び(又は)付加的に、トランスポンダーは、アクセス・モジュールに、時刻情報(例えば、現在の時刻)を要求することができる(ステップ610)。これに応答して、アクセス・モジュールは、トランスポンダーのセキュア・モジュールに、暗号化された時刻情報を送信することができる(ステップ612)。トランスポンダーのセキュア・モジュールは、時刻情報を復号化し、かつ、それを用いて、トランスポンダーライセンス又はその一部が有効であるかどうかをチェックすることができる(ステップ613)。一実施形態では、時刻情報の送信は、図8を参照してより詳細に説明する処理と同様の認証処理を含むことができる。その場合、ステップ610でアクセス・モジュールに送信されるCANメッセージは、暗号化された認証キーAUTHを含むことができ、暗号化された形態の時刻情報を含むアクセス・モジュールのレスポンス・メッセージを認証することができる。
【0089】
その後、アクセス・モジュールと第2のトランスポンダーとの間の通信セッションを終了することができる。一実施形態では、第2のトランスポンダーは、肯定応答ストップCANメッセージを、アクセス・モジュールに送信することができる(ステップ614)。別法として、トランスポンダーは、アクセス・モジュールにメッセージを送信することを停止し、予め決められた時間後に、タイムアウトが出現するようにすることができる。その場合、第2のトランスポンダーは、それ自体をアイドル状態に切り換え、予め決められた時間の間、アナウンス・メッセージに応答しないようにすることができる(ステップ616)。その後、アクセス・モジュールは、アナウンス・メッセージの生成を開始し(ステップ618)、これを、トランスポンダーに送信することができる(ステップ620)。その場合、第1のトランスポンダーは、アナウンス・メッセージに応答して、既述したのと同様のやり方で、第1のトランスポンダーとアクセス・モジュールとの間に、通信セッションを確立することができる。
【0090】
図7は、本発明の一実施形態に係るCANメッセージのデータフォーマットの概略を示す。CANメッセージは、11ビットCAN識別子を含む標準のCANメッセージフォーマット又は29ビットCAN識別子を含む拡張CANメッセージフォーマットに基づいて、フォーマット化し、CANメッセージのソースを識別することができる。CANメッセージは、0バイトのデータと8バイトのデータとの間にペイロードを含み、DLCデータフィールドは、メッセージのバイト数を示すことができる。
【0091】
図7に示すように、CANアナウンス・メッセージ702は、アクセス・モジュールのCANID(lmCANid)を含むソースIDフィールド704を含むことができる。ペイロード(又は予め決められたその一部)は、トランスポンダーが、CAN IDとして用いるべきアンサーCAN ID706(aCANid)を含むことができる。CANリクエスト・インフォCANメッセージ710は、アンサーCANID(aCANid)を含むソースIDフィールド712を含むことができ、かつ、ペイロード(又は予め決められたその一部)は、リクエスト・インフォCANメッセージを送信するトランスポンダーのトランスポンダーID714を含むことができる。CAN肯定応答インフォ・メッセージ720は、アクセス・モジュールのCANID(lmCANid)を含むソースIDフィールド722を含むことができ、かつ、ペイロード(又は予め決められたその一部)は、アクセス・モジュールが通信リンクを確立するため選択するトランスポンダーのトランスポンダーID724を含むことができる。
【0092】
トランスポンダー内のCANコントローラ及びアクセス・モジュールは、これらのCANメッセージを生成し、かつ、それらを、CANバスを通じて、他のCAN装置にブロードキャストするよう構成することができる。同様に、トランスポンダー内のCANコントローラ及びアクセス・モジュールは、これらのCANメッセージを受信し、かつ、ペイロード内の情報に基づいて、メッセージを処理するよう構成することができる。図7のメッセージは、アクセス・モジュールが、CANIDを特定のトランスポンダーにダイナミックに割り当て、かつ、アクセス・モジュールとCANネットワーク内のトランスポンダーとの間に、一時的なポイント・ツー・ポイント接続を確立することを可能にするものである。
【0093】
図8は、本発明の一実施形態に係るスポーツ計時トランスポンダーのトランスポンダー機能へのアクセスを行うための処理のフロー図を示す。先ず、アクセス・モジュールとトランスポンダーとの間に、接続を確立することができる。その後、アクセス・モジュールは、一つ又はそれ以上のアナウンス・メッセージをトランスポンダーに送信することができ(ステップ800)、アナウンス・メッセージは、トランスポンダーが、アクセス・モジュールとのデータ接続を要求できることを示している。
【0094】
トランスポンダーは、アナウンス・メッセージに応答して、アクセス・モジュールに時刻情報を要求し、ライセンスがまだ有効かどうかをチェックすることができる。アクセス・モジュールの誤用を回避するため、アクセス・モジュールとトランスポンダーとの間に安全な接続を確立することができ、データは、図2を参照して説明した第1の暗号システムを用いて、暗号化される。そのため、トランスポンダー内のセキュア・モジュールは、トランスポンダーの暗号モジュール内の擬似ランダム・ジェネレータによって生成できる認証キーAUTH、好ましくは、暗号ナンスを生成することができる。トランスポンダーは、認証キーを格納し、かつ、暗号化アルゴリズム及び少なくとも一つの暗号化キーk1を用いて、認証キーを暗号化することができ(ステップ802)、次いでそれは、アクセス・モジュールに、リクエスト・タイム・メッセージで、送信される(ステップ804)。リクエスト・タイム・メッセージは、さらにトランスポンダーIDを含むことができる。
【0095】
アクセス・モジュール内のセキュア・モジュールは、第1の暗号システムの復号化アルゴリズム及び復号化キーを用いて、認証キーを復号化することができる(ステップ806)。その後、アクセス・モジュールは、レスポンス・タイム・メッセージ内のトランスポンダーIDを、アクセス・モジュールのメモリに格納されているトランスポンダーIDでチェックすることができる。両方のトランスポンダーIDが一致する場合は、アクセス・モジュールは、トランスポンダーに対して使用可能である、と決定することができる。その場合、現在の時刻は、リアルタイム・クロックに基づいて決定し、かつ、認証キーと組合せることができる。時刻と認証キーは、トランスポンダーによって既知である予め決められた機能に基づいて組み合わせることができる。時刻と認証キーは、第1の暗号システムの暗号化アルゴリズム及び暗号化キーを用いて、暗号化することができる(ステップ808)。暗号化された情報は、トランスポンダーのセキュア・モジュールに、レスポンス・タイム・メッセージで送信することができ(ステップ810)、セキュア・モジュールは、時刻と認証キーを復号化し、かつ、セキュア・モジュールのメモリに格納されている認証キーを復号化された認証キーと比較することができる(ステップ812)。
【0096】
格納されている認証キーが、アクセス・モジュールから受信された認証キーに一致する場合は、トランスポンダーは、レスポンス・タイム・メッセージは正しいアクセス・モジュールに由来する、と判断することができる。その場合、トランスポンダーは、レスポンス・タイム・メッセージ内の現在の時刻を用いて、トランスポンダーのセキュア・モジュール内に格納されているライセンスを見直すことができる。具体的には、トランスポンダーは、現在の時刻を用いて、ライセンス情報内の一時的なアクセス条件が満たされているかどうかチェックすることができる(ステップ814)。一実施形態では、トランスポンダーが、アクセス・モジュールに肯定応答メッセージを送信して、アクセス・モジュールに、トランスポンダー内の現行のライセンスが、有効、部分的に有効又は無効であることを知らせることができる(ステップ816)。
【0097】
ライセンスの見直しの結果に応答して、トランスポンダー及び(又は)アクセス・モジュールは、或る対策を開始することができる。例えば、ライセンスが有効である場合は、トランスポンダー機能へのアクセスは、ライセンス情報で規定されたように行うことができる(ステップ818)。ライセンス又はその一部が有効でない場合は、トランスポンダー機能へのアクセスができないか、あるいは、限定されたアクセスしか行うことができない(ステップ820)。さらに、或る実施形態では、ライセンスが、有効でない場合でも、基本的なトランスポンダー機能へのアクセスは、行うことができ、基地局に送信されるトランスポンダー・メッセージは、中央データ処理サーバの基地局が検出できる満期通知を含むことができる。
【0098】
図9は、アクセス・モジュールを本発明の一実施形態に係るユーザー・アカウントに接続するシステムを示す。具体的には、図9におけるシステムは、アクセス・モジュール906に接続されているユーザー装置904(例えば、モバイルホン、電子テーブル、ラップトップ又はパーソナルコンピュータ)を備えている。アクセス・モジュールは、各種のやり方でユーザー装置に接続することができる。一実施形態では、アクセス・モジュールは、例えば、スマートカード又はセキュアディジタル(SD)カードのようなセキュアカードとして実現することができ、セキュアカードは、ユーザー装置のマイクロプロセッサ910に、インタフェース908を介して、電気的に接続することができる。別法として、別の実施形態では、アクセス・モジュールは、メモリーカードに格納されたセキュア・ソフトウェアモジュールとして構成することができ、ホワイトボックス暗号方式及び(又は)コード難読化技術などの既知の技術を用いて、キー情報及び暗号化及び復号化アルゴリズムを保護することができる。
【0099】
ユーザー装置には、トランスポンダー・クライアント・アプリケーション912を設置することができ、クライアント・アプリケーションは、(グラフィカル)ユーザーインタフェース914をレンダリングして、ユーザー装置922の無線インタフェース916を制御し、アクセス・モジュールとサーバー918上でホストされるトランスポンダー・サーバー・アプリケーションとの間の通信を管理することができる。トランスポンダー・サーバー・アプリケーションは、アクセス・モジュールのユーザーにユーザーアカウント920へのアクセスを与えることができる。
【0100】
アクセス・モジュールは、図1及び図2を参照して説明したのと同様なやり方で構成することができる。具体的には、アクセス・モジュールは、マイクロプロセッサ940と、キー情報944及びリアルタイム・クロック946を含むセキュア・モジュール942と、暗号化されたライセンス情報950及び(又は)ソフトウェア・コード952(例えばファームウェア)を含むメモリ948と、一つ又はそれ以上のトランスポンダー識別子954とを備えることができる。
【0101】
この特定の実施形態では、ユーザーは、トランスポンダー・クライアント・アプリケーションに命令して、サーバーアプリケーションに接続させ、ユーザーアカウント920にアクセスして、特定のトランスポンダー識別子960と関連する新しいライセンス情報956及び(又は)ソフトウェア・アップデート958が利用可能かどうかを尋ねさせる。この場合には、サーバーアプリケーションは、キー情報944を用いて、第2の暗号システムの暗号化アルゴリズムに基づき、ライセンス情報及び(又は)ソフトウェアの更新を暗号化し、次いで、それを、一つ又はそれ以上のネットワーク964及びユーザー装置を介して、セキュア・モジュール942に送信することができる。ここで、トランスポンダー・クライアント・アプリケーションとトランスポンダー・サーバー・アプリケーションとの間の通信は、セキュアリンク、例えば、HTTP/SSLリンクに基づいて、確立することができる。したがって、トランスポンダーに接続する前に、ユーザーは、ユーザーアカウントを介して、アクセス・モジュールを最新のライセンス情報又はソフトウェア・アップデートで更新することができる。別法として及び(又は)付加的に、ユーザーは、新しいライセンスを購入し、あるいは、そのユーザーアカウントを介して、ライセンスをアップグレードし、例えば図2及び図3を参照して詳細に説明した所望のトランスポンダー機能にアクセスすることができる。
【0102】
アクセス・モジュールにおけるライセンス情報及びソフトウェアの更新後は、アクセス・モジュールとトランスポンダーとの間のCANバス接続を確立することができ、また、スポーツ計時トランスポンダーのトランスポンダー機能へのアクセスは、ライセンス及び時刻情報に基づき、図5〜8の処理を参照して説明したのと同様なやり方で、管理することができる。
【0103】
図10は、本発明の各種の実施形態に係るトランスポンダー・システムによって使用されるライセンスのデータモデル1070の一例を示す。ライセンス情報は、一つ又はそれ以上のトランスポンダー識別子1072及びどのトランスポンダーにライセンスが適用されるのかを示す一つ又はそれ以上のトランスポンダー・タイプ1074を含むことができる。さらに、ライセンスは、トランスポンダーの時刻、場所又は使用に依存することができるアクセス条件1076,1084,1090の異なるセットを含むことができる。
【0104】
一実施形態では、ライセンスは、一時的なアクセス条件1076を含むことができる。これらの条件は、特定のトランスポンダー機能及び満期情報1077にリンクさせることができ、満期情報は、トランスポンダー機能へのユーザーによるアクセスが、許される限界の時点を決定する。満期情報は、特定のトランスポンダー機能へのアクセスが、終了するか、あるいは、ある基本的な機能性に制限されることになる日付を含むことができる。図10の例では、基本的なトランスポンダー機能1082は、2016年12月31日までライセンスが与えられており、また、RFリンク機能1078及びデータロギング機能1080は、2014年12月31日までライセンスが与えられている。
【0105】
別の実施形態では、ライセンスは、場所の(又は地理的な)アクセス条件1084を含むことができる。その場合、トランスポンダー機能のうちの或るものについてのライセンスは、地理的情報1083に規定されたエリアに限定される。例えば、図10では、RFリンク機能及びデータロギング機能は、それぞれ、オランダ及びフランス内の或るエリアに限定されている。ライセンスにおける地理的なエリアは、座標によって規定することができ、これは、トランスポンダー内のGPSモジュールによって生成される場所情報に対比することができる。トランスポンダー機能は、場所情報が、エリア内である場合に用いることができる。
【0106】
また別の実施形態では、ライセンスは、使用アクセス条件1090を含むことができる。これらの条件は、アクセスをトランスポンダーのある使用に規定することができる。ある実施形態では、(バイナリ)フラグ1091の予め決められた値を用いて、トランスポンダーのある使用が必要とされているかどうかを示すことができる。例えば、図10の例では、第1の使用アクセス条件1092のフラグ「キー接触が必要」は、「真」に設定されており、この設定では、トランスポンダー機能へのアクセスは、トランスポンダーが、アクセス・モジュールと接触している時のみ可能である。したがって、このモードでは、アクセス・モジュールは、トランスポンダー機能へのアクセスを「アンロック」するキーとして用いることができる。
【0107】
さらに、第2の使用アクセス条件1094のフラグ「外部電力源」は、「真」にセットされており、この設定では、トランスポンダー、具体的には、トランスポンダーの電源(バッテリー)を、外部ソースに接続する必要がある。第3の使用アクセス条件1096「ISM]は、或るISMバンドに設定することができ、トランスポンダーの無線(RF)リンクは、2.45GHzのISMバンドを用いることを示している。第4の使用アクセス条件1098のフラグ「CANコントローラアクセス」は、トランスポンダーが、CANバスを介して外部装置に接続できることを示すことができる。多くのトランスポンダー機能、サービス及び使用が、ライセンス情報に基づいて制御可能であること、また、図10は、限定されない例を示しているに過ぎないことに注目されたい。
【0108】
図1〜10の実施形態は、非限定的であることに注意されたい。さらに、一実施形態の要素は、本発明の範囲を逸脱すること無しに、別の実施形態の一つ又はそれ以上の要素と組み合せることができる。さらに、アクセス・モジュールは、二つ又はそれ以上のトランスポンダー識別子を含んで、アクセス・モジュールが、二つ又はそれ以上のトランスポンダーにアクセスを行えるようにすることもできる。一実施形態では、ライセンス情報は、第1のトランスポンダーと関連する第1のライセンス情報、及び、第2のトランスポンダーと関連する第2のライセンス情報を含むことができる。例えば、或る状況においては、車両は、一つ又はそれ以上のトランスポンダー、例えばトランスポンダーとバックアップトランスポンダーを備えることができる。別の実施形態では、ユーザーは、トランスポンダーを有する二つ又はそれ以上の車両を有することができる。その場合、アクセス条件は、アクセス・モジュールをトランスポンダーに接続して、トランスポンダー機能を活動状態に保ち、ただ一つのトランスポンダーしか、同時には、活動状態にすることができないようにすることを要求することができる。すなわち、アクセス・モジュールは、トランスポンダー機能を活動状態にするためのトランスポンダー・キーとして用いることができる。
【0109】
スポーツ計時トランスポンダーは、カー、カート又はモーターを用いるサーキット及びオフロード・レーシング、バイキング・イベント、無線コントロール(RC)レーシング等を含んでおり、しかし、これらに限定されない、いかなる種類の発動機付き又は非発動機付きのスポーツイベントにも用いることができる。
【0110】
図11は、図1〜10を参照して説明したシステム及び方法に用いることができる例示的なデータ処理システムを示すブロック図を示す。データ処理システム1100は、システムバス1106を介して、メモリ素子1104に結合されている少なくとも一つのプロセッサ1102を備えることができる。よって、データ処理システムは、メモリ素子1104内にプログラムコードを格納することができる。さらに、プロセッサ1102は、システムバス1106を介して、メモリ素子1104から取得されるプログラムコードを実行することができる。一態様では、データ処理システムは、プログラムコードを格納し、かつ(あるいは)、実行するのに適当なコンピュータとして実現することができる。しかしながら、データ処理システムは、この明細書で説明されている機能を実行することができるプロセッサ及びメモリを備える任意のシステムの形で実現できることを理解されたい。
【0111】
メモリ1104は、例えば、ローカルメモリ1108及び一つ又はそれ以上のバルク記憶装置1110等の一つ又はそれ以上の物理的なメモリ装置を備えることができる。ローカルメモリは、プログラムコードの実際の実行の際に一般的に用いられるランダムアクセスメモリや他の非持続性メモリ装置(複数も可)を指すことができる。バルク記憶装置は、ハードドライブ又は他の持続性データ記憶装置として実現することができる。処理システムは、少なくともいくつかのプログラムコードの一時的な格納を行って、実行中にバルク記憶装置1110からプログラムコードを検索しなければならない回数を減らす一つ又はそれ以上のキャッシュメモリ(図示せず)を備えることもできる。
【0112】
データ処理システムには、入力装置1112及び出力装置1114として示されている入/出力(I/O)装置をオプショナルに結合することができる。入力装置の例には、例えば、キーボード、マウス等の位置指示装置、等を含めることができるが、それらに限定されない。出力装置の例には、例えば、モニター又はディスプレイ、スピーカ等を含めることができるが、それらに限定されない。入力装置及び(又は)出力装置は、直接、あるいは、途中に介在するI/Oコントローラを通して、データ処理システムに結合することができる。また、データ処理システムには、ネットワーク・アダプター1116を結合して、データ処理システムを、途中に介在するプライベート又はパブリックネットワークを介して、他のシステム、コンピュータシステム、遠隔ネットワーク装置、及び(又は)遠隔記憶装置に結合することもできる。ネットワーク・アダプターは、前記システム、装置及び(又は)ネットワークによって、前記データ処理システムに送信されるデータを受信するためのデータ受信器、及び、前記システム、装置及び(又は)ネットワークにデータを送信するためのデータ送信器を備えることができる。モデム、ケーブルモデム、及びイーサネット(登録商標)カードは、データ処理システムに対して用いることができる異なるタイプのネットワーク・アダプターの例である。
【0113】
図11に示すように、メモリ素子1104は、アプリケーション1118を格納することができる。データ処理システム1100は、アプリケーションの実行を容易にするオペレーティングシステム(図示せず)をさらに実行することができることを理解されたい。アプリケーションは、実行可能なプログラムコードの形で実現される場合、データ処理システム1100によって、例えば、プロセッサ1102によって実行することができる。アプリケーションの実行に対して応答するデータ処理システムは、ここでさらに詳細に説明する一つ又はそれ以上の動作を行うよう構成することができる。
【0114】
一態様では、例えば、データ処理システム1100は、クライアントデータ処理システムを代表することができる。その場合、アプリケーション1118は、それが実行されると、ここで「クライアント」を参照して説明する各種の機能を行うデータ処理システム1100を構成するクライアントアプリケーションを代表することができる。クライアントの例には、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、モバイルホン等を含めることができるが、それらに限定されない。
【0115】
別の態様では、データ処理システム1100は、サーバーを代表することができる。例えば、データ処理システム1100は、HTTPサーバーを代表することができ、この場合、アプリケーション1118は、実行されると、HTTPサーバー動作を行うデータ処理システム1100を構成する。
【0116】
ここで用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するという目的のためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。ここで用いられる、単数形の「a」、 「an」、 及び「the」を冠した名詞又は名詞句は、文脈によって別様に指示される場合を除き、複数形の名詞又は名詞句も同様に含むことを意図したものである。用語「comprise」及び(又は)「comprising」は、本明細書で用いられる場合、記述された特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び(又は)構成要素の存在を明記するが、一つ又はそれ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び(又は)構成要素及び(又は)それらのグループの存在又は追加を排除しないことが、さらに理解されよう。
【0117】
以下の請求項における全ての手段又はステッププラスファンクション要素の対応する構成、材料、動作、および等価事項は、特に特許請求された他の特許請求された要素との組合せで機能を実行するいかなる構成、材料、又は動作をも含むことが意図されている。本発明の記述は、説明及び記述の目的で為されたものであり、言い尽くしたり、あるいは、開示された形態の本発明に限定したりする意図はない。当業者には、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく多くの修正形態及び変形形態が可能であることは明らかであろう。既述した実施形態は、本発明の原理及び実用例をできるだけ解りやすく説明し、他の当業者が、本発明を理解して、想到される特定の用途に適した各種の修正を有する各種の実施形態に至れるようにするために選び、かつ、記述したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11