(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671346
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】組み立てられた媒体管路
(51)【国際特許分類】
F16L 9/133 20060101AFI20200316BHJP
F16L 53/30 20180101ALI20200316BHJP
F16L 47/02 20060101ALI20200316BHJP
F16L 11/08 20060101ALI20200316BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20200316BHJP
B32B 3/04 20060101ALI20200316BHJP
B32B 5/10 20060101ALI20200316BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
F16L9/133
F16L53/30
F16L47/02
F16L11/08 B
B32B1/08 Z
B32B3/04
B32B5/10
B32B27/34
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-510610(P2017-510610)
(86)(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公表番号】特表2017-532506(P2017-532506A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2015001722
(87)【国際公開番号】WO2016026581
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】102014012272.7
(32)【優先日】2014年8月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513119118
【氏名又は名称】フォス オートモーティブ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOSS Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル デ べーア
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ シュペルトハン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ツィーリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング カイル
(72)【発明者】
【氏名】アーメド エル カミス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シェーネベルク
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ラッシュ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル アツォリン
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート プリーチュ
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−503766(JP,A)
【文献】
特開2012−196778(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0226623(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/115224(WO,A1)
【文献】
特開2009−018576(JP,A)
【文献】
特開昭62−244623(JP,A)
【文献】
特開昭60−129489(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/015362(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102012112563(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 9/133
F16L 11/04
F16L 11/08
F16L 47/00
F16L 47/02
F16L 53/00
F16L 53/30−53/38
B32B 1/08
B32B 3/04
B32B 5/10
B32B 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路壁(25,35)と、媒体、特に凍結するおそれがある媒体を通流させる内側の管路空間(26,36)とを備えた少なくとも1つの媒体管路(2,3)、特に加熱可能な媒体管路と、該媒体管路(2,3)の端部側に配置された少なくとも1つの接続部材(20,21,30,31)とを有しており、前記少なくとも1つの媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)が、少なくとも2つの材料層(23,24,33,34)から成っている、組み立てられた媒体管路(1)であって、
前記少なくとも1つの媒体管路(2,3)の前記材料層(23,24,33,34)は、接着促進層として形成された中間層を介在することなしに結合されており、
前記接続部材(20,21,30,31)のうちの少なくとも1つが、前記管路壁(25,35)の前記材料層(23,24,33,34)のうちの少なくとも1つに素材結合式に結合されており、前記接続部材(20,21,30,31)の材料が、前記管路壁(25,35)のこの材料層(23,24,33,34)の材料に適合されており、前記接続部材(20,21,30,31)の前記材料は、前記管路壁(25,35)の、前記接続部材(20,21,30,31)の前記材料に接続されるまたは接続された少なくとも1つの前記材料層(23,33)の前記材料と、同じ材料クラスまたは類似の材料クラスに属しており、この場合、前記管路壁(25,35)の少なくとも1つの前記材料層(23,33)と前記接続部材(20,21,30,31)のための材料クラスの材料として、前記管路壁(25,35)の前記少なくとも1つの材料層(23,33)と前記接続部材(20,21,30,31)のために、耐高温性のポリアミド(PA HT)または通常温度ポリアミド(PA「標準」)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)またはポリフタルアミド(PPA)が使用され、若しくは、前記接続部材(20,21,30,31)のためにポリアミド(PA)と前記管路壁(25,35)の材料層(23,33)のためにポリアミド(PA)またはポリフタルアミド(PPA)が使用されており、前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も内側の材料層(24,34)の材料は、前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も外側の材料層(23,33)の材料よりも高い延性を有していることを特徴とする、組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項2】
素材結合式の結合を達成するために、前記接続部材(20,21,30,31)の材料は、少なくとも、前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の、機械的な安定性のために役立つ前記最も外側の材料層(23,33)の材料に適合されている、請求項1記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項3】
前記管路壁(25,35)に少なくとも3つの材料層が設けられている場合に、前記接続部材(20,21,30,31)の材料は、最も内側の材料層および/または前記最も外側の材料層の材料に相当している、請求項2記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項4】
前記管路壁(25,35)の前記少なくとも1つの材料層(23,33)および前記接続部材(20,21,30,31)のための1つの材料クラスの材料として、前記管路壁のためのポリフタルアミド(PPA)および前記接続部材のための改質された、特にガラス繊維強化されたポリフタルアミド(PPA-GF)または前記管路壁のためのポリアミド-12(PA12)および前記接続部材のための改質された、特にガラス繊維強化されたポリアミド-12(PA12-GF)が用いられている、請求項1記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項5】
前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記材料層(23,33)のうちの1つに前記接続部材(20,21,30,31)を結合する前記素材結合式の結合は、溶接結合、特にレーザ溶接または摩擦溶接による結合である、請求項1から4までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項6】
前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も内側の材料層(24,34)の材料は、前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も外側の材料層(23,33)の材料よりも高い引張り延性を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項7】
前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も内側の材料層(24,34)の材料は、前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も外側の材料層(23,33)の材料よりも、10〜30%高い延性、特に高い引張り延性、特に20%高い延性を有している、請求項1記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項8】
前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も外側の材料層(23,33)は、前記媒体管路(2,3)に機械的な強度を与える少なくとも1つの材料から成っていて、0.5〜4%、特に1.3%の引張り延性を有している、請求項6または7記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項9】
前記媒体管路(2,3)の前記管路壁(25,35)の前記最も外側の材料層(23,33)は、少なくとも、前記最も内側の材料層(24,34)と同じ厚さ(S1)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの媒体管路(2,3)の前記材料層(23,24,33,34)は、同時押出し成形されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項11】
当該組み立てられた媒体管路(1)は、少なくとも2つの部分媒体管路(2,3)であって、該部分媒体管路(2,3)の間における少なくとも1つの分離箇所または接続箇所(21,30)と、該部分媒体管路(2,3)におけるそれぞれ2つの端部側の接続部材(20,21,30,31)とを備えた、少なくとも2つの部分媒体管路(2,3)、または、端部側の接続部材を備えた少なくとも2つの媒体管路部分とを有しており、少なくとも1つの前記部分媒体管路(2)または少なくとも1つの前記媒体管路部分の少なくとも1つの材料層(23,24)は、高温領域(8)に配置するために、耐高温性材料から成っており、特に、少なくとも3つの材料層では中間の層が、または2つの材料層では少なくとも前記外側の材料層(23)が、耐高温性材料から成っている、請求項1から10までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項12】
接続部材が差込みコネクタである、請求項1から11までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【請求項13】
前記外側の材料層(23,33)および前記内側の材料層(24,34)は、多層に形成されており、多層の前記外側の材料層(23,33)のそれぞれ少なくとも1つの層が、前記媒体管路(2,3)の機械的な安定性および熱に対する安定性のために役立ち、多層の前記内側の材料層(24,34)の少なくとも1つの層が、前記多層の外側の材料層(23,33)の前記少なくとも1つの外側の材料層または他の材料層のうちの1つよりも高い引張り延性または弾性的な伸び率を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の組み立てられた媒体管路(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路壁と、媒体、特に凍結するおそれがある媒体を通流させる内側の管路空間とを備えた少なくとも1つの媒体管路、特に加熱可能な媒体管路と、該媒体管路の端部側に配置された少なくとも1つの接続部材とを有しており、少なくとも1つの媒体管路の管路壁が、少なくとも2つの材料層から成っている、組み立てられた媒体管路に関する。
【0002】
このような組み立てられた媒体管路は、従来技術に基づいて公知である。媒体管路の組み立てられたという概念は、取付けの終わった媒体管路の製造の最終段階を意味しており、その後で媒体管路は、連結部分および/または管路コネクタのような少なくとも1つの接続部材を備えており、例えば自動車に取り付けられることができる。接続部材は、一方では複数の媒体管路を接続するため、もしくは結合されて媒体管路全体を形成する複数の部分媒体管路を接続するために、または1つの媒体管路をアセンブリにもしくはアセンブリの接続装置に接続するために用いることができる。従って接続部材は、種々様々な形態で、例えばコネクタ部分を収容する連結部分として、接着結合または溶接結合によって少なくとも1つの媒体管路に結合可能な、もしくは結合される接続部分として、特にホース管路が差し嵌められる先端部分等々として、形成されることができる。
【0003】
特に車両においては、組み立てられた加熱可能な媒体管路は、凍結するおそれのある液状媒体を導くために使用される。媒体はこのとき、各媒体管路の内側の管路空間を貫流する。低温時には、組み立てられた媒体管路を通って流れる媒体が凍結するおそれがある。従って、媒体管路を加熱することおよび、場合によっては媒体管路に結合された接続部材を加熱することが公知である。凍結するおそれがある媒体というのは、比較的高い凍結点に基づいて、なおまだ高い周囲温度時において既に凍結する傾向があり、これによって例えば車両の機能が損なわれるまたはそれどころか故障を引き起こし得るような媒体を意味している。このことは、特に、水を通す媒体管路や、例えば、いわゆるSCR触媒(SCR=selectiv catalytic reduction 選択(的)触媒還元)によるディーゼル機関用のNO
X-反応添加剤として使用されるAdBlue
(R)のような尿素水溶液を媒体として貫流させる媒体管路において明らかである。従って通常、媒体管路もしくは媒体管路の少なくとも一部のために、かつしばしば接続部材のためにも、組み立てられた媒体管路の内部における媒体の凍結を回避するためもしくは既に凍結した媒体の融解を可能にするために、加熱可能な処置が設けられている。
【0004】
組み立てられた媒体管路が車両内に配置されている場合には、媒体管路は例えば一端において、例えば車両エンジンの領域における調量ユニットのようなアセンブリもしくはコンポーネントに接続され、かつ/または第2の組み立てられた媒体管路に接続され、他方では、例えば自動車タンクのポンプのようなコンポーネントもしくは別のアセンブリに接続されてよい。組み立てられた媒体管路の端部側に設けられた接続部材は、このとき結合箇所のそれぞれの所与性に合わせられることができ、つまり例えば調量ユニットの所与性およびポンプの所与性に合わせられることができる。組み立てられた媒体管路の一端が車両エンジンの調量ユニットの領域に配置され、かつ他方の側において車両タンクのポンプの領域に配置されている場合には、組み立てられた媒体管路には、部分的に、著しく異なった周囲温度が加えられ、車両エンジンまたは排気マニホルドの領域においては、極めて高い温度が加えられ、ゆえにこの領域は高温領域と呼ばれ、かつ例えば車両タンクの領域においては、場合によっては極めて低いまたは通常の温度が加えられ、ゆえにこの領域は標準領域または「低温領域」と呼ばれる。それぞれそこに配置された部分媒体管路もしくは、まとめられて組み立てられた媒体管路を形成する個々の媒体管路のために使用される材料は、従って、多くの場合極めて種々様々な材料であり、一方では耐高温性材料であり、かつ他方では標準材料である。種々様々な材料、特にプラスチック材料から成る個々の媒体管路は、プラスチック製および/または金属製の差込みコネクタのような接続部材によって、互いに結合されて、組み立てられた媒体管路を形成し、この媒体管路は、後で車両の高温領域および低温領域において延在する。そのための一例が、独国特許出願公開第102010053737号明細書(DE 10 2010 053 737 A1)に開示されている。従来技術のこの刊行物によれば、少なくとも1つの管路と、管路長さの少なくとも1つの部分領域にわたって延びる少なくとも1つの導電体とを備えた、加熱可能な流体管路が開示され、このとき管路は少なくとも2つの長さ部分を有していて、これらの長さ部分は、その材料特性および/またはその構造上のデザインに関連して異なった構成を有している。このとき第1の長さ部分は、第1のポリマを含む第1の材料から成っており、第2の長さ部分は、第2のポリマを含む第2の材料から成っており、第2の長さ部分の材料は、第1の長さ部分の材料に比べてフレキシブルであり、かつ/またはより高い負荷耐性を有している。管路の管壁自体は、2層に形成されていて、PA12のようなエンジニアリングプラスチックから成る外壁と、PTFEのようなフッ素ポリマから成る内壁とを有しており、このとき内壁は、外壁の表面被覆層の形式で、かつ従って比較的薄く、例えば300μmの最大壁厚をもって形成することができる。これに対して肉厚の外壁は、必要な機械的な安定性を保証する。さらに、他の長さ部分において管路が3層に形成されていることが開示されており、このとき外壁は、充填されたPPAのような高性能プラスチックから形成され、内壁は、PTFEのようなフッ素ポリマから形成され、かつ外壁と内壁との間に配置された強化体は、アラミド製の織布層として形成されている。
【0005】
多層の媒体管路は、例えば欧州特許第2462371号明細書(EP 2 462 371 B1)からも公知である。流体を導く内側のホース部分の壁が、電気式の加熱導体によって加熱可能である、当該明細書に開示された加熱可能なホースシステムでは、内側のホース部分は、ポリアミド製の内側層とポリアミド製の外側層と、両方の層の間に配置された強化織布とから成る二重壁構造を有することができる。
【0006】
多層の管路を備えた組み立てられた媒体管路のための一例が、独国特許出願公開第102012112563号明細書(DE 10 2012 112 563 A1)に基づいて公知である。従来技術のこの刊行物によれば、特に、個々の層の間に接着促進剤層を設け、これによって3層の管路壁構造が得られることが開示されている。
【0007】
従来技術の組み立てられた媒体管路を、例えば、排ガス後処理システムにおいてAdBlue
(R)のような凍結のおそれのある媒体を搬送する車両において使用する場合、特に凍結のおそれのある媒体の凍結時に、大きな力が媒体管路自体だけに作用するのではなく、端部側において媒体管路に配置された接続部材にも作用する。このような作用が加えられると、一方では、場合によっては媒体管路と接続部材とが切り離されることがあり、かつ他方では媒体管路の管路壁が大きく伸ばされ、場合によっては亀裂を形成することがあり、これによってシール性が不足し、従って漏れが発生し、もしくは亀裂形成時に場合によっては完全な故障を引き起こすことがある。しかしながらこのようなことは、絶対に阻止されねばならない。
【0008】
ゆえに本発明の課題は、請求項1の前段部に記載した組み立てられた媒体管路を改良して、媒体管路に強い負荷が加えられた場合における障害もしくは故障を、可能な限り良好に、接続部材から媒体管路への移行部の領域においても媒体管路自体の領域においても、回避することができる、組み立てられた媒体管路を提供することである。
【0009】
この課題は、請求項1の前段部に記載した組み立てられた媒体管路において、接続部材のうちの少なくとも1つが、管路壁の材料層のうちの少なくとも1つに素材結合式に結合されており、接続部材の材料が、管路壁のこの材料層の材料に合わせられていることによって解決される。前記課題はさらに、管路壁の最も内側の材料層の材料が、管路壁の最も外側の材料層の材料よりも高い延性(伸び率)を有していることによって解決される。本発明のその他の実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
これによって、管路壁と媒体を通流させる内側の管路空間とを備えた少なくとも1つの媒体管路と、該媒体管路の端部側に配置された少なくとも1つの接続部材とを有しており、少なくとも1つの媒体管路の管路壁が、少なくとも2つの材料層から成っている、組み立てられた媒体管路が得られ、この組み立てられた媒体管路において、媒体管路の内部における凍結した媒体による伸長または強い圧力作用に基づいて、媒体管路の接続部材が不所望に切り離されることは、少なくとも1つの接続部材が、媒体管路の多層の管路壁の材料層のうちの少なくとも1つの材料層と素材結合式に結合されていることによって回避される。ここにおいて特に良好な素材結合式の結合を得るために、接続部材の材料は、接続部材が素材結合式に結合されている、管路壁のこの材料層の材料に合わせられている。このような適合は、接続部材の材料が、接続部材が素材結合式に結合されるべきもしくは結合されている、媒体管路の管路壁の少なくとも1つの層の材料に相当していることを意味し、つまり管路壁のこの少なくとも1つの材料層のためおよび接続部材のために、同じまたは類似の材料が、または類似のまたは同じ材料クラスの材料が使用されることを意味する。
【0011】
このとき、接続部材のためにより大きな安定性を得るために、特に接続部材の材料が改質されていてもよい。このような改質は、例えばガラス繊維強化材を設けることであってよい。好ましくは、接続部材の材料は、接続部材の材料に結合されるまたは結合された、管路壁の材料層の材料と同じ材料クラスに属している。改質はまた、これによってより高い耐熱性が得られ、その結果組み立てられた媒体管路の1つの媒体管路もしくは部分媒体管路が高温領域における配置のために適した構成を有するようになることに関してもよい。
【0012】
高温領域における配置のために適した、高温に耐える耐高温性材料は、持続的に140℃を上回る温度、特に160℃を上回る温度に耐え、短時間(最長10分を意味する)なら180℃を上回る温度に耐えるような材料であり、これは媒体管路の耐用寿命にわたって繰り返されてもよい。このような材料改質は、高温領域における配置のために、接続部材のためにだけ行われるのではなく、組み立てられた媒体管路の、そこに配置された媒体管路のためもしくはそこに配置された媒体管路部分のためにも行うことができる。
【0013】
例えば、管路壁の少なくとも1つの材料層および接続部材のための1つの材料クラスの材料としては、管路壁のためにポリフタルアミド(PPA)および接続部材のためにガラス繊維強化されたポリフタルアミド(PPA-GF)を使用することができる。さらに例えば、管路壁の少なくとも1つの材料層のためにポリアミド-12(PA12)を使用し、接続部材のためにガラス繊維強化されたポリアミド-12(PA12-GF)を使用することが可能である。
【0014】
従来技術の組み立てられた媒体管路の媒体管路および接続部材の材料は、互いに合わせられていない。本発明に係る組み立てられた媒体管路では、接続部材の材料は、好ましくは特に、媒体管路の外側の材料層の材料に合わせられている。これによって特に良好な素材結合式の結合が得られる。外側の材料層に隣接したまたは別の1つもしくは複数の材料層は、好ましくは、接着のために、外側の材料層もしくはそれぞれ隣接した材料層に合わせられて形成されている。まさに、接続部材の材料と、接続部材が結合されるべきもしくは結合されている、媒体管路の管路壁の少なくとも1つの材料層の材料とを適合させることによって、特に良好でかつ密な、しかも負荷耐性のある素材結合式の結合を達成することができる。このような素材結合式の確実な結合部を得るために、接続部材の材料は、少なくとも、媒体管路の管路壁の最も外側の材料層の材料に合わせられていてよい。管路壁に少なくとも3つの材料層が設けられている場合には、接続部材の材料は、好ましくは同様に、媒体管路の管路壁の最も外側の材料層の材料に合わせられている、もしくはここで互いに対応する材料が選択される。最後の変化形態では、1つまたは複数の中間層が、最も外側の材料層と最も内側の材料層との間に設けられてよく、このときこれらの中間層は、内側の材料層と外側の材料層との間における結合もしくは接着または接着促進のために働き、従って隣接した材料層とは別の材料から成っている。例えば内側の材料層が接着促進特性を有している場合、例えば接着促進特性を有する熱可塑性エラストマから成っている場合には、接着促進層として形成された中間層を設けることは不要である。さらに内側の材料層は、媒体管路もしくは管路壁の十分な安定性を得るために、例えば衝撃強さを有するように改質されてもよい。
【0015】
例えば車両の高温領域において相応に使用可能な、組み立てられた媒体管路の媒体管路もしくは部分媒体管路のために適している、耐高温性プラスチックは、例えば、耐高温性のポリアミド(PA HT)、フッ素ポリマもしくはフッ素樹脂、熱可塑性エラストマ(TPE)および耐高温性のエラストマ(エラストマ HT)の材料グループに属している。このとき例えば、組み立てられた媒体管路の媒体管路のうちの少なくとも1つの媒体管路の2層の管路壁構造では、外側層のためにPA HTが、かつ内側層のためにフッ素樹脂が適していて、もしくは外側層のためにPA HTが、かつ内側層のためにTPEが適していて、もしくは外側層のためにポリフェニレンサルファイド(PPS)が、かつ内側層のためにフッ素樹脂またはTPEが適している。外側層のために耐高温性のポリアミド(PA HT)を使用する場合には、さらに内側層のために、耐高温性のエラストマ(エラストマ HT)が使用されてもよい。耐高温性を得ることに関して、熱可塑性の標準エラストマの代わりに、改質されたTPE、例えばTPE-PEBAを、つまりベースとしてポリアミドを有するTPEを使用することも可能である。単に標準温度、つまり特に高くない温度にしかさらされない、組み立てられた媒体管路の1部分は、通常温度のための標準材料である材料から成っていてよい。媒体管路もしくは部分媒体管路の外側層が、通常温度ポリアミド(PA「NT」もしくはPA標準)から成っている場合、内側層は、熱可塑性エラストマ(TPE)、1つまたは複数のフッ素樹脂または通常温度エラストマ(エラストマ「NT」)から成っていてよい。従って組み立てられた媒体管路では、2つの部分媒体管路もしくは2つの媒体管路であって、互いに結合されていて、それぞれ同様に配置されかつ固定されたその接続部材と一緒に、組み立てられた媒体管路を形成する、2つの部分媒体管路もしくは2つの媒体管路が設けられている場合に、例えば車両のエンジンルームの高温領域における配置のために、第1の媒体管路もしくは部分媒体管路は、PPAから成っていて、低温領域に配置された第2の媒体管路もしくは部分媒体管路は、PA12から成っていてよく、このとき両方の媒体管路もしくは部分媒体管路は、それぞれ2層に形成されていてよく、PPA製の外側層と、衝撃強さを高めるように改質されたPPA製の内側層とを、もしくはPA12製の外側層と衝撃強さを高めるように改質されたPA12製の内側層とを備えていてよい。
【0016】
接続部材と、媒体管路の管路壁の少なくとも1つの材料層とを結合する素材結合式の結合としては、特に溶接結合が、例えばレーザ溶接または摩擦溶接が適している。摩擦溶接のために、管路壁は例えば、接続部材のポケット状の凹部内に収容され、その材料が接続部材の材料に合わせられている、両方の材料層のうちの少なくとも1つの材料層が、摩擦溶接によって接続部材に素材結合式に結合されることができる。摩擦溶接工程のためには、従って接続部材を媒体管路に対して回転させるか、もしくは逆に、媒体管路を接続部材に対して回転させることができる。
【0017】
媒体管路の管路壁の最も内側の材料層の材料が、管路壁の最も外側の材料層の材料よりも高い延性(伸び率)、特に高い引張り延性(伸び率)を有していると、これによって媒体管路の特に良好な延性(伸び率)を得ることができ、媒体管路の内部において媒体が凍結した場合でも、不所望の損傷を極めて良好に回避することができる。それというのは、内側の材料層の伸長によって、この際に生じる力が外側の材料層へと導かれるが、媒体管路の管路壁の層が裂開することはないからである。伸長可能な内側の材料層のために使用することができる材料の例としては、例えばETFEまたはTPEまたはPPAがあり、このような材料は、比較的高い温度において劣化しないので、高温領域においても使用することができ、好適である。これによって亀裂形成を回避するために、内側の材料層は伸長することができ、これに対して外側の材料層は、媒体管路の機械的な安定性のために働く。
【0018】
媒体管路の管路壁の最も外側の材料層は、好ましくは、媒体管路に機械的な強度を与える少なくとも1つの材料から成っていて、0.5〜4%、特に1.3%の引張り延性(伸び率)もしくは弾性的な伸び率を有している。媒体管路の管路壁の最も内側の材料層の材料は、媒体管路の管路壁の最も外側の材料層の材料よりも、10〜30%高い延性(伸び率)を有している。特に、管路壁の最も内側の材料層の材料は、管路壁の最も外側の材料層よりも、20%高い延性(伸び率)を有しており、その伸び率は、3〜11%の範囲、特に5%である。中間の材料層は、例えば2〜5%、特に2.5%の引張り延性(伸び率)もしくは弾性的な伸び率を有することができる。例えば3層の管路壁構造では、最も内側の材料層の最大延性(伸び率)が約10%であり、中間の材料層の最大延性(伸び率)が5%までであり、かつ最も外側の材料層の最大延性(伸び率)が約3%であることが示されている。
【0019】
さらに好適であることが判明している実施形態では、媒体管路の管路壁の最も外側の材料層が、媒体管路の管路壁の最も内側の材料層と少なくとも等しい厚さを有しており、このとき最も外側の材料層は、最も内側の材料層よりも厚くまたは大幅に厚く寸法設定されていてもよく、これにより極めて大きな層厚を有することができる。このとき寸法設定は、媒体管路の実際の直径および管路壁の全壁厚に関連して行うことができ、媒体管路は例えば、4×1mm、5×1mm、6×1mmまたは8×1mm、特に3.6×0.8mmの直径および壁厚の寸法を有することができる。媒体管路の最も内側の材料層と最も外側の材料層とにおける延性を異ならせることによって、さもなくば、従来技術において発生していた、特に、媒体管路の内部もしくは管路空間における媒体の凍結時における体積増大、ひいては軸方向および/または半径方向における裂開圧に基づく、媒体管路の管路壁における亀裂を、好適に回避することができる。凍結する媒体によって管路壁に対して作用する圧力は、従って媒体管路壁の最も内側の材料層の高い延性によって吸収することができる。
【0020】
少なくとも1つの媒体管路の材料層は、互いに結合されていてよい。しかしながら特に好適であることが判明している実施形態では、媒体管路の管路壁の材料層のうちの1つにおいて場合によっては発生する亀裂形成時に、亀裂が拡がることを回避するために、材料層は少なくとも実質的に互いに結合されていないように、特に互いに上下に位置するように押出し成形されて、形成されている。管路壁の個々の層が互いに結合されていないことによって、個々の層が互いに対して遮断されていることに基づいて、1つの層における亀裂形成が他の層における亀裂形成を引き起こさなくなる。このことは、既に述べたように、媒体管路の管路壁の個々の材料層が互いに上下に位置するように押し出され、これにより互いに(密に)結合されていないことによって生じる。例えばこの場合、PA12製の第1の層、その上にTPE製の層、さらにその上にPA12製の層を押出し成形することができる。これらの層は、接着促進剤なしに、1つの作業ステップにおいて一緒にもしくは同時に互いに上下に同時押出しすることができる。内側のPA12-層は、どのような媒体が媒体管路を通って流れるかに応じて、いわゆる犠牲層であり、場合によっては媒体によって攻撃され、かつ破壊されるもしくは溶解されることがある。比較的高い温度のために適した媒体管路では、PPA製の第1の層、その上にTPE製の層、さらにその上にPPA製の別の層を押出し成形することができる。しかしながらまた単に2つの層を、つまりTPE製の第1の内側の材料層とその上にPA12製の層を、またはTPE製の第1の内側の材料層とPPA製の第2の外側の材料層だけを、押出し成形することも可能である。
【0021】
組み立てられた媒体管路は、少なくとも2つの部分媒体管路であって、該部分媒体管路の間における少なくとも1つの分離箇所または接続箇所と、該部分媒体管路におけるそれぞれ2つの端部側の接続部材とを備えた、少なくとも2つの部分媒体管路、または端部側の接続部材を備えた少なくとも2つの媒体管路部分を有していてよく、このとき少なくとも1つの部分媒体管路または少なくとも1つの媒体管路部分の少なくとも1つの層は、高温領域に配置するために、耐高温性材料から成っており、特に、少なくとも3つの材料層では中間の層が、または2つの材料層では少なくとも外側の材料層が、耐高温性材料から成っている。接続部材は、例えば1つのコネクタ部分と連結部分とを備えた差込みコネクタであってよい。他の形式の接続部材を、特に素材結合式に、媒体管路壁の材料層のうちの少なくとも1つに結合することも可能である。
【0022】
さらに、外側の材料層および内側の材料層を、多層に形成することが可能であり、このとき多層の外側の材料層のそれぞれ少なくとも1つの層は、好ましくは、機械的な安定性および熱に対する安定性のために役立ち、多層の内側の材料層の少なくとも1つの層は、外側の材料層または他の材料層のうちの1つよりも伸長可能であり、つまり高い引張り延性(伸び率)または弾性的な伸び率を有している。2層の外側の材料層のための一例は、最も外側もしくは第1の外側の材料層がPPA製であり、管路壁において第1の外側の材料層の下に配置された第2の外側の材料層が、改質されたPPA製である。中間の材料層は、例えばTPE-接着促進剤フォームから成っていてよく、中間の材料層に隣接した第1の内側の材料層は、PA612製であり、最も内側の材料層、つまり管路空間に隣接配置されていて該管路空間を画定している最も内側の材料層に隣接した、第2の内側の材料層は、ETFE製である。多層の内側および外側の材料層を備えたこのような媒体管路の他の変化形態は、例えば3層の外側の材料層を有していてよく、この3層の外側の材料層は、PPA製の最も外側のもしくは第1の外側の材料層と、第1の外側の材料層に隣接した、改質されたPPA製の第2の外側の材料層と、この第2の外側の材料層に隣接していて例えばPA612から成っている第3の外側の材料層とを備えている。第3の外側の材料層に隣接した中間の材料層は、例えばTPE-接着促進剤フォームから成っていてよい。この中間の材料層に隣接して、例えばETFEから成っている単層の内側の材料層が設けられていてよい。
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一方では車両エンジンの領域における調量箇所に結合されかつ他方では車両タンクのポンプに結合されている、本発明に係る組み立てられた媒体管路を示す原理図である。
【
図2】単に一部だけが示された、接続部材と本発明に係る媒体管路との本発明に係る素材結合式の結合部を半割して示す縦断面図である。
【
図3】単に一部だけが示された、接続部材と本発明に係る媒体管路との本発明に係る素材結合式の結合部の別の実施形態を半割して示す縦断面図である。
【
図4】内側の材料層および外側の材料層を備えた本発明に係る媒体管路を、図示された応力推移もしくは伸長推移と共に示す横断面図である。
【0025】
図1には、第1の部分媒体管路2と第2の部分媒体管路3とを有する、組み立てられた媒体管路1の原理図が示されている。両方の部分媒体管路2,3はそのそれぞれの端部に、差込みコネクタとして形成されていてよい接続部材20,21;30,31を有している。第1の部分媒体管路2の接続部材21は、第2の部分媒体管路3の接続部材30に結合されている。特に、両方の接続部材のうちの一方は、コネクタ部分として形成され、かつ他方の接続部材は連結部分として形成されており、両方の部分は互いに差し合わされている。
【0026】
組み立てられた媒体管路1は、接続部材20を介して、
図1において単に略示されている車両エンジン5の調量箇所4に結合され、かつ接続部材31を介して車両タンク7のポンプ6に結合されている。
【0027】
両方の部分媒体管路2,3はそれぞれ少なくとも1つの加熱エレメント22,32を、部分媒体管路2,3もしくは部分媒体管路2,3の少なくとも1つの部分を加熱するために有している。このことは、同様に
図1に略示されている。
【0028】
両方の部分媒体管路2,3はそれぞれ2層に構成されていて、少なくとも2つの材料層23,24;33,34を有している。これらの個々の層の材料は、異なっていてもまたは類似であってもよく、いずれにせよ、各部分媒体管路2;3の、該部分媒体管路2,3が配置されている箇所における温度範囲に合わせて選択されている。第1の部分媒体管路2は、いわゆる高温領域8に配置されており、この高温領域8において、組み立てられた媒体管路1の周囲温度は、組み立てられた媒体管路1が組み込まれている自動車の車両エンジン5に近いことに基づいて比較的高い。これに対していわゆる低温領域9には、第2の部分媒体管路3およびポンプ6ならびに車両タンク7が配置されており、この低温領域9において周囲温度はむしろ低いので、外気温が低い場合には、まさにこの領域において、組み立てられた媒体管路1を通って流入する媒体が凍結するおそれがある。
【0029】
両方の部分媒体管路2,3はそれぞれ、外側および内側の材料層23,24;33,34を有しており、これらの材料層23,24;33,34は一緒に各管路壁25;35を形成している。各管路壁によって内側の管路空間26;36が取り囲まれ、この管路空間を通して、AdBlue
(R)とも呼ばれる尿素水溶液のような、特に凍結のおそれのある媒体が流れる。接続部材20,21;30,31は、それぞれ材料層23,24;33,34に素材結合式(stoffschluessig)に結合されている。そのために接続部材20,21,30,31のための材料選択は、特に、両方の第1および第2の部分媒体管路2,3の管路壁25;35のそれぞれ外側の材料層23;33の材料に相応に合わせて行われる。適合材料としては、高温領域8に配置されている第1の部分媒体管路2では例えばPPAと同じ材料クラスに属する材料、または、第2の部分媒体管路3もしくはこの第2の部分媒体管路3に結合された接続部材30,31のためには、これらが低温領域9に配置されていることに基づいて、PA12と同じ材料クラスに属する材料が選択される。各接続部材20,21;30,31のためには、例えば同じ材料クラスのガラス繊維強化材料を使用することができ、つまり接続部材20,21のためにはPPA-GF、つまりガラス繊維強化されたPPAを、もしくは接続部材30,31のためにはPA12-GF、つまりガラス繊維強化されたPA12を使用することができる。
【0030】
図2および
図3には、接続部材20,21;30,31を、両方の部分媒体管路2,3の両方の管路壁25;35のそれぞれの特に外側の材料層23;33と結合する、2つの異なった可能性が示されている。
図2にはレーザ溶接箇所10の領域におけるレーザ溶接の変化形態が示されており、このレーザ溶接箇所10は、ここでは接続部材20の突出する縁部領域27を、第1の部分媒体管路2の管路壁25の外側の材料層23に素材結合式(stoffschluessig)に結合している。管路壁25は、
図2に示した変化形態では、接続部材20の、ここでは段付けされて形成された環状の壁の相応に設けられた段部領域28において、接続部材20の突出する縁部領域27によって外側を覆われて位置している。それに応じて、少なくとも突出する縁部領域27は、レーザ透過性であり、これによって接続部材20のこの突出する縁部領域27と第1の部分媒体管路2の管路壁25の外側の材料層23との間における所望のレーザ溶接を、行うことが可能である。従ってそのために、材料選択は、レーザ溶接のために相応に適合させて行われる。
【0031】
図3に示した変化形態では、接続部材20と管路壁25との間における素材結合式の結合は、摩擦溶接によって行われる。このとき接続部材20の端部側には、環状の溝もしくはポケット29が設けられていて、この溝もしくはポケット29内に、第1の部分媒体管路2もしくはその管路壁25の端部が挿入されている。特に管路壁25もしくは部分媒体管路2に対する接続部材20の回転によって、接続部材20と媒体管路2の管路壁25の少なくとも外側の材料層23、または管路壁25の少なくとも内側の材料層24との間において、摩擦溶接部を生ぜしめることができる。
図2に示されているようなレーザ溶接時および
図3に示されているような摩擦溶接時に、それに応じて、等しい材料クラスに属するそれぞれの材料が互いに素材結合式に結合されることができ、多くの場合、それぞれ外側の材料層23;33が各接続部材20,21;30,31の材料に素材結合式に結合されることができる。
【0032】
部分媒体管路2,3のうちの1つが、3層の管路壁25;35を有している場合には、特に摩擦溶接時に、最も内側および最も外側の材料層の材料を、接続部材20,21;30,31に相応に合わせることができ、これによって最も内側の材料層と接続部材との間もしくは最も外側の材料層と接続部材との間における素材結合式の結合を行うことができる。
【0033】
それぞれ最も内側の材料層、
図1に示した実施形態では、つまり両方の媒体管路2,3の材料層24;34を、この両方の媒体管路2,3のそれぞれ外側の材料層23;33よりも高い延性をもって伸長可能に形成すると、さらに好適であることが判明している。それぞれ外側の材料層は、それぞれの管路壁25,35もしくは媒体管路2,3にそれぞれ機械的な安定性を与えるのに対して、伸長可能な内側の材料層24;34を設けることによって、外側の材料層23;33への力伝達だけが行われ、そこにおいて亀裂形成が生じなくなる。それというのは、それぞれ内側の材料層24;34への圧力作用時に該内側の材料層24;34だけが伸長させられるからである。このような追加的な、もしくは場合によっては一時的に発生してそれぞれの管路壁25;35に対して作用する圧力は、両方の管路空間26;36における凍結する媒体によって、もしくは軸方向および/または半径方向における氷圧によって管路壁25;35において発生することがある。
図4には、媒体管路2の横断面が示されており、この横断面には、媒体管路2の管路壁25にわたる応力分布もしくは伸長の推移δが示されている。
図4から、応力最大値もしくは伸長最大値が伸長可能な内側の材料層24において生じることが分かる。
【0034】
それぞれ外側の材料層23;33は、例えば0.5〜4%、特に1.3%の引張り延性(伸び率)もしくは弾性的な伸び率を有することができるのに対して、内側の材料層24;34の延性(伸び率)は、これに対して例えば10〜30%、特に20%大きく、3〜11%、特に5%であってよい。従ってそれぞれ外側の材料層23;33が、媒体管路2;3に対して機械的な強度を与えるのに対して、伸長可能なそれぞれ内側の材料層24;34は、それぞれの管路壁25;35に作用する押圧力を吸収して、管路壁における亀裂の形成を阻止する。両方の部分媒体管路2,3のうちの少なくとも1つにおいて3層の管路壁構造が存在する場合には、少なくとも1つの内側の材料層が、それぞれ外側の材料層に比べて著しくより伸長可能な材料から成っている、もしくはそのような材料を有していることができる。内側の材料層は、例えば2〜5%、特に2.5%の引張り延性(伸び率)を有することができる。
【0035】
外側および内側の材料層23,24;33,34は、互いに結合されていてもよいし、または、媒体管路2;3のそれぞれの管路壁25;35の層のうちの1つにおける亀裂形成時に、亀裂がさらに拡がることを特に良好に阻止するために、互いに結合されていなくてもよい。これは例えば、それぞれの管路壁25;35のそれぞれ内側の材料層の上に、それぞれ外側の材料層を被せるように押出し成形することによって行うことができる。
【0036】
両方の部分媒体管路2,3のそれぞれ外側の材料層23,33もしくはそれぞれ内側の材料層24,34のための選択可能な材料のための例は、以下に記載の表1〜3において示されている。表1は、耐高温性の材料を含み、これらの材料は、高温領域8に配置される第1の部分媒体管路2の内側および外側の材料層23,24のために適しており、これに対して表2には、通常温度もしくは基準温度のために適している標準材料がリストアップされており、これらの標準材料は、低温領域9に配置される第2の部分媒体管路3のそれぞれ内側および外側の材料層33,34のために適している。表1および表2は、それぞれの材料クラスを含んでいる。表3には、これらの材料クラスに対して個々の材料グループ構成物質が示されており、これらの材料グループ構成物質は、両方の部分媒体管路2,3の管路壁25;35のそれぞれの材料層を構成するために任意に組み合わせることができる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
高温領域8に配置されていて、相応に耐高温性の材料から成っている第1の部分媒体管路2に関しては、従って外側の材料層23は、耐高温性のポリアミド(PA HT)から成っており、これに対して内側の材料層24は、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマ(TPE)または耐高温性のエラストマ(エラストマ HT)のような、外側の材料層23とは異なり伸長可能な材料から成っていてよい。これに対して外側の材料層23のためにポリフェニレンサルファイド(PPS)が使用される場合には、内側の材料層24のためには、フッ素樹脂または熱可塑性のエラストマを使用することができる。
【0041】
表2から分かるように、部分媒体管路3の外側の材料層33のために、例えば通常温度ポリアミド(PA「標準」)を使用することができ、この通常温度ポリアミドは、熱可塑性エラストマ(TPE)製、フッ素樹脂製または通常温度エラストマ(エラストマNT)製の内側の材料層34と組み合わせることができる。
【0042】
材料TPEに関してさらに述べておくと、この材料TPEは、比較的高い温度における使用のために適しているようにするために、改質することが可能であり、従って例えば、内側の材料層24のために、TPE-PEBAを、つまりポリアミドをベースとして有する熱可塑性エラストマを使用することもできる。
【0043】
さらに表3から分かるように、耐高温性のポリアミドとして、例えばポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド-66(PA66)、ポリアミド-12(PA12)、ポリアミド-612(PA612)、ポリアミド-610(PA610)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)も使用することができる。フッ素樹脂の材料グループは、表3に相応して、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、テトラフルオロエチレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ-ポリマ(PFA)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでいる。熱可塑性エラストマの材料グループは、表3にリストアップされているように、ポリウレタン-エラストマ(TPU)、スチロール-ブロックコポリマ(TPE-S)、オレフィンベースの架橋された熱可塑性エラストマ(TPE-V)、熱可塑性のコポリアミド(TPE-A)、熱可塑性のコポリエステル(TPE-E)またはフッ素ポリマベースの熱可塑性の加硫ゴム(F-TPV)をも含む。耐高温性のエラストマのグループは、内側の材料層24として使用するために、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、エチレン-アクリレートゴム(AEM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、シリコーン(SI)およびフルオロシリコーン(FVMQ)、つまりポリマ鎖にメチル基、ビニル基およびフルオロ基を有するシリコーンゴムを含む。
【0044】
部分媒体管路3の外側の材料層33のために、通常温度-ポリアミドとして、例えばPA12、PA11、PA1212、PA1012またはPA6も使用することができる。このような外側の材料層33に、内側の材料層34のための通常温度-エラストマの代表物質を組み合わせたい場合には、このような代表物質としては、例えば、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロブタジエンゴム(CR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、ポリマ鎖にメチル基、ビニル基およびフルオロ基を有するシリコーンゴム(FVMQ)、つまりフルオロシリコーン、シリコーン(SI)、エチレン-プロピレン-ターポリマをベースにしたTPE(TPE-OもしくはTPO)、酸コポリマ、アイオノマ、エチレン-ビニル-アセテート(EVA)、エチレン-n-ブチル-アセテート(EnBA)またはメチルアクリレート(EMA)がある。従って、特に、両方の媒体管路2,3のそれぞれ内側の材料層24もしくは内側の材料層34のための伸長可能な材料に関して、幅広い選択可能性が存在する。外側の材料層23;33のために使用可能な各材料PA HTもしくはPA NTもしくはPPSは、接続部材20,21;30,31のためにも好適に使用され、これによって、ここにおいて最適な素材結合式(stoffschluessig)の結合を得るための適合を行うことができる。既に述べたように、接続部材20,21;30,31のための相応の材料はそれぞれさらに追加的に改質されてよく、特にガラス繊維強化されていてよく、これによって、特に差込み結合部、つまりコネクタ部分および連結部分であってよい接続部材の領域におけるさらに大きな機械的な安定性および剛性を得ることができる。
【0045】
図3に示した配置形態では、接続部材20は例えばポリアミド(PA)から成っていて、内側の材料層24はETFEから成っている。このとき外側の材料層23は、PAまたはPPAから成っていてよい。
【0046】
特に
図1〜
図3から分かるように、各外側の材料層23;33は、内側の材料層24;34よりも大きくまたはそれと同じに形成されていてよく、場合によってはそれどころか、各内側の材料層24;34よりも大幅に大きな層厚を有していてよく、従って各外側の材料層の厚さS
1は、内側の材料層の厚さS
2よりも大きいかまたはそれと同じである。既に述べたように、内側の材料層24;34の各材料は、損傷を確実に阻止するために衝撃強さにおいても改質されていてよい。従って例えば外側の材料層23のためにPPAが、かつ内側の材料層24のためにPPAが、衝撃強さに関して改質されて使用されてよく、もしくは外側の材料層33のためにPA12が、かつ内側の材料層34のためにPA12が、衝撃強さに関して改質されていてよい。
【0047】
媒体管路2,3の各管路壁25;35の個々の層の必要な延性は、内側から外側に向かって減少するので、使用例に応じて、各内側の材料層24;34のための適宜な伸長可能な材料と、外側の材料層23;33のための相応に機械的により安定した材料とを、特に表3から選択することができる。
【0048】
上において記載しかつ実施形態において述べた、組み立てられた媒体管路もしくは該媒体管路の部分媒体管路の態様の他に、さらに数多くの別の態様を形成することが可能であり、上に述べた実施形態の任意の組合せ形態も可能であり、これらの組合せ形態では、管路壁と凍結のおそれがある媒体のような媒体を通流させる内側の管路空間とを備えた、それぞれ少なくとも1つの媒体管路、特に加熱可能な媒体管路と、この媒体管路の端部にそれぞれ配置された、例えばコネクタ部分および連結部分として形成された接続部材とを有しており、このとき管路壁は、少なくとも2つの材料層から成っていて、接続部材のうちの少なくとも1つが、管路壁の材料層のうちの少なくとも1つに素材結合式に結合されており、かつこのとき接続部材の材料は、管路壁のこの少なくとも1つの材料層の材料に適合されていて、この材料層と共に素材結合式の結合が行われるもしくは行われるようになっており、これによって最適なシール性および耐久性を有する結合部を得ることができる。さらに、組み立てられた媒体管路のさらに別の実施形態を形成することが可能であり、これらの実施形態では、管路壁の最も内側の材料層の材料が、管路壁の最も外側の材料層の材料よりも高い延性を有しており、これによって、管路壁に圧力が作用した場合における管路壁の損傷を回避することができ、このときこの圧力は例えば、媒体の凍結時における媒体管路の内部の体積増大によってならびに軸方向および半径方向の氷圧によって生じる可能性がある。
【符号の説明】
【0049】
1 組み立てられた媒体管路
2 第1の部分媒体管路
3 第2の部分媒体管路
4 調量箇所
5 車両エンジン
6 ポンプ
7 車両タンク
8 高温領域
9 低温領域
10 レーザ溶接箇所
20 接続部材
21 接続部材
22 加熱エレメント
23 外側の材料層
24 内側の材料層
25 管路壁
26 管路空間(Leitungslumen)
27 突出する縁部領域
28 段部領域
29 環状の溝/ポケット
30 接続部材
31 接続部材
32 加熱エレメント
33 外側の材料層
34 内側の材料層
35 管路壁
36 管路空間
S
1 23,33の層厚
S
2 24,34の層厚
P1 矢印(摩擦溶接のための回転)