(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671353
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】機械スピンドル
(51)【国際特許分類】
B23B 31/00 20060101AFI20200316BHJP
B23F 23/06 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
B23B31/00 A
B23F23/06
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-512957(P2017-512957)
(86)(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公表番号】特表2017-526546(P2017-526546A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】US2015048637
(87)【国際公開番号】WO2016037104
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年7月4日
(31)【優先権主張番号】62/046,693
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500094370
【氏名又は名称】ザ グリーソン ワークス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エー.カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス イー.グラソー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー.レグナ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ アール.ロナルド
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03420537(US,A)
【文献】
特開昭56−163811(JP,A)
【文献】
特開2009−172725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00 − 33/00
B23F 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸周りで回転可能な機械スピンドルであって、加工品保持装置を挿入して取り付ける開口部と前記開口部を囲む端面とを有する外側端部を有するスピンドル本体を備え、前記スピンドルが、
前記外側端部における前記端面に位置する複数のロッド形状の排出要素であって、そのそれぞれが前記端面から延長可能でありかつ前記端面の中に後退可能である、複数のロッド形状の排出要素をさらに備え、
前記加工品保持装置を前記開口部から取り外す際に、前記ロッド形状の排出要素は、前記端面から延びて、前記スピンドル本体内の取付け位置に位置する前記加工品保持装置の表面と接触するように動作可能であり、前記接触は、前記加工品保持装置を前記取付け位置から動かすのに十分な力のものであることを特徴とする機械スピンドル。
【請求項2】
前記ロッド形状の排出要素は、ピストンを含むことを特徴とする請求項1に記載の機械スピンドル。
【請求項3】
前記ピストンは、ピストン保持器内に位置することを特徴とする請求項2に記載の機械スピンドル。
【請求項4】
前記ロッド形状の排出要素は、流体圧により延長可能であることを特徴とする請求項1に記載の機械スピンドル。
【請求項5】
前記ロッド形状の排出要素が、ばねによって延長可能であることをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の機械スピンドル。
【請求項6】
前記ロッド形状の排出要素が、ばねにより後退可能であることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の機械スピンドル。
【請求項7】
前記複数のロッド形状の排出要素は、前記端面周りで等距離に離間されていることを特徴とする請求項1に記載の機械スピンドル。
【請求項8】
前記複数のロッド形状の排出要素は、前記回転軸から半径方向等距離に離間されていることを特徴とする請求項1に記載の機械スピンドル。
【請求項9】
機械スピンドルと、前記スピンドル内に取り付けられた加工品保持装置との間の取付け接触を解除する方法であって、
回転軸周りで回転可能な機械スピンドルを提供するステップであって、前記スピンドルは、加工品保持装置を挿入して取り付ける開口部と前記開口部を囲む端面とを有する外側端部を有するスピンドル本体を備え、前記スピンドルが、前記外側端部における前記端面に位置する複数のロッド形状の排出要素であり、そのそれぞれが前記端面から延長可能でありかつ前記端面の中に後退可能である、排出要素をさらに備える、ステップと、
前記端面から前記ロッド形状の排出要素を延長するステップと、
前記加工品保持装置を前記開口部から取り外す際に、前記ロッド形状の排出要素を、前記取り付けられた加工品保持装置の表面に接触させるステップであって、前記接触は、前記加工品保持装置を前記取り付けられた接触から動かすのに十分な力のものである、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ロッド形状の排出要素は、ピストンを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ロッド形状の排出要素を延長する前記ステップは、流体圧により行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ロッド形状の排出要素を後退させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
後退させる前記ステップは、ばねにより行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出手段を備える機械スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2014年9月5日に出願された米国特許仮出願第62/046,693号明細書の利益を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、加工品保持具を対象とする。詳細には、本発明は、加工品(ワーク)を工作機械に固定するための加工品保持装置を開示するものであり、加工品保持装置は、工作機械のスピンドルに速やかに固定され、かつ解放される。
【0004】
加工品が機械加工される金属加工作業においては、機械加工工程が成功裡に実行され得るように、加工品を工作機械の定位置に保持するための何らかのタイプの器具が必要である。このタイプの器具は、「加工品保持」具として知られている。歯車など、歯付きの製品を生産する場合、加工品保持具は、概して、チャックおよびアーバー(Arbors)の2つのタイプに分類することができる。
【0005】
チャックは、加工品またはその構成要素の周囲で「コレット」と呼ばれる構成要素を収縮させることにより加工品を保持する。例えば、一体のシャフトを備えたかさ形またはハイポイドピニオンがチャックに配置されたとき、直径を低減させた(すなわち、収縮させた)コレットにより把持されるのは通常シャフトであり、シャフトを把持して、機械加工のためにピニオンを定位置に保持する。ピニオンシャンクを把持するためのチャックの例は、Starkに付与された特許文献1、およびTaschlに付与された特許文献2で見出すことができる。
【0006】
アーバーは、コレットを拡大して加工品の表面と接触させることにより加工品を把持する。例として、かさ形輪歯車がアーバー上に配置され、機械加工中に輪歯車を定位置に保持するのに十分な力の接触が輪歯車の穴の表面に対して確立されるまで、コレットは拡大される。輪歯車に対するアーバーの例は、Jaehnに付与された特許文献3で見出すことができる。拡大してピニオンの穴と接触させるアーバーは、Jaehnに付与された特許文献4で見出すことができる。
【0007】
チャックまたアーバーにおいて、コレット機構を収縮する、または拡大するために必要な力は、工作機械における引張り棒(引張りロッド、ドローバー)により提供される。引張り棒は、通常、油圧で動作するピストンにより、前進および/または後退する。チャックまたはアーバーの軸方向への引張り棒の移動は、通常、加工品保持具内の構成要素の対向する傾斜面を互いに対して摺動させて、加工品またはその構成要素部分を把持するように、コレットの内方向(収縮)、または外方向(拡大)の動きを生ずる。概して、一方の傾斜面はコレット上に存在し、また他方の傾斜面は、引張り棒に取り付けられた作動器上に、または引張り棒それ自体に存在する。
【0008】
チャックおよびアーバーは、工作機械のスピンドルの穴の中で回転するように取り付けられる。スピンドルの穴には通常テーパが付けられ、また同様のテーパが、通常、チャックまたはアーバーの外側面上に見られる。スピンドルの穴の中に配置された後、複数のボルトが、スピンドルの周りに位置する取付けフランジの穴を通って延び、機械スピンドルの面の対応するねじが切られた穴と係合する。
【0009】
工作機械のスピンドルにチャックまたはアーバーを固定すること、またはそれを工作機械のスピンドルから排出することは、多くのボルトを仕様に合わせて締め付ける必要があるので、非常に時間のかかる手動で実施される作業である。チャックまたはアーバーを取り外すとき、ボルトのすべてを緩めて取り外すために必要な時間は別にして、チャック/アーバーの外側のテーパの付いた表面と、スピンドル穴のテーパの付いた内側面との間の接触を「解除する」(すなわち、外す)ために、通常、突出しねじを利用する必要がある。
【0010】
Curtisに付与された特許文献5は、引張り棒の動作が加工品の把持および解放を行うが、さらに機械スピンドルに位置決めされるチャックまたはアーバーの取付けを行うだけではなく、機械スピンドル中のその取付け位置からのチャックまたはアーバーの取外しも行う加工品保持装置を教示している。装置は、離間されたラグのセットを含んでおり、装置をスピンドル内に挿入するとき、引張り棒およびスリーブ上の同様に離間されたラグを通過する必要がある。挿入された後、装置を回転させてラグを位置合せし、それにより、装置と引張り棒の間の接触が確立される。加工品をチャックから外すとき、引張り棒の意図しない前方移動を阻止するために、停止機構がまた引張り棒上に含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,083,976号明細書
【特許文献2】米国特許第3,244,427号明細書
【特許文献3】米国特許第3,735,994号明細書
【特許文献4】米国特許第3,517,939号明細書
【特許文献5】米国特許第6,260,855号明細書
【特許文献6】米国特許第6,712,566号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、チャックまたはアーバーのいくつかの構成要素を除去し、それにより、時間を節約し、かつ材料および組立コストを低減しながら、機械スピンドル中へのチャックまたはアーバーの取付け、およびスピンドルからのその取外しを簡単化するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、引張り棒が加工品のチャックへの取付け、およびチャックからの取外しを行い、また加工品保持装置の取外しは、機械スピンドルに位置するピストン状の機構により行われる加工品保持装置を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】機械スピンドルおよびチャック機構の軸方向横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される「発明」、「その発明」、および「本発明」という用語は、本明細書、および添付のいずれかの特許請求の範囲の主題のすべてを広範囲に指すことが意図されている。これらの用語を含む記述は、本明細書で述べられる主題を限定する、または添付のいずれかの特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものと理解すべきではない。さらに本明細書は、本出願のいずれかの特定の部分、段落、記述、または図面においても、任意の特許請求の範囲に含まれる主題を記述する、または限定することを求めるものではない。本主題は、本明細書全体、すべての図面、および添付のいずれかの特許請求の範囲を参照することにより理解されるべきである。本発明は、他の構成も可能であり、また様々な方法で実施する、または実行することができる。さらに本明細書で使用される表現法および専門用語は説明用のものであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。
【0016】
例示的のために過ぎない本発明を示す添付図面を参照して、本発明の詳細を次に論ずるものとする。
図面では、同様の機構または構成要素は、同様の参照番号により参照される。
図面を説明する際に、上側、下側、上方、下方、後方、底部、上部、正面、背部などの方向に対する参照を以下で行われることがあるが、それらの参照は、便宜上、図面に対して(普通に見て)参照が行われる。
【0017】
これらの方向は、文字どおりに受け取られること、またはどんな形においても本発明を限定するようには意図されていない。
【0018】
本明細書における「含む」、「有する」、および「備える」、ならびにそれらの変形形態の使用は、その後に列挙された項目、およびそれらの等価な形態、ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
【0019】
図1は、例えば、Stadtfeld他に付与された特許文献6で開示されたものなど、かさ歯車を研磨または切削するための機械などの工作機械(図示せず)に対するスピンドル2を示している。スピンドル2は、軸Aの周りで回転可能であり、かつ内側端部(図示せず)および外側開口部9を画定する外側端部と、テーパの付いた内側取付け面5と、フランジ部分6と、スピンドル2の外側端部で軸Aの周りに位置する外側開口部9を囲む外側端面8(すなわち、スピンドル面として知られる前面8)とを有するスピンドル本体4を含む。
【0020】
チャック10はスピンドル2に取り付けられる。チャック10は、スピンドル2のテーパの付いた内側取付け面5と相補的なテーパの付いた外側面を有するチャック本体12を含む。チャック10は、フランジ部分14と、収縮器16と、コレット18と、引張り棒コネクタ20とをさらに含む。端面17を有するスピンドルノーズ13が、ねじ(図示せず)などによりチャック本体12に取り付けられる。
図1は、機械引張り棒22と、支持部材24と、引張り棒コレット26とをさらに示している。
【0021】
チャック10を、スピンドル2内のその取り付けられた位置から排出するために、複数の排出機構28(好ましくは3つの)がそれぞれ、スピンドルの外側端部に配置され、スピンドル面8の周りで、好ましくは等距離に離間される。各排出機構28は、同じ距離だけ、軸Aから半径方向に離間されることもまた好ましい。
図2を参照のこと。各排出機構28は、ピストン30などの延長可能/後退可能なロッド形状の排出要素を備え、例えば、各ピストン30は、ピストン保持器32内に位置することが好ましい。各ピストン30の前方排出(延長)運動(
図1の左方向)は、それにより、各ピストン30がスピンドル面8から軸方向外側に延びるが、スピンドル本体4を通って各ピストン30へと延びる流体ポート34を介して供給される流体圧により行われることが好ましい。特定の流体は、油圧用油であることが好ましいが、空気などの他の流体もまた企図される。供給される流体に加えてさらに排出力が望ましい場合、各ピストンの力をばねで補うことができる。
【0022】
各ピストンの戻り(すなわち、後退)運動(
図1の右方向)は、それにより、各ピストン30はスピンドル面8の中へと軸方向に後退するが、流体ポート34を介して加えられた圧力が低減される、または取り除かれた後、波形ばね33など、1または複数のばねにより行われることが好ましい。あるいは、各ピストンの戻り運動は、流体圧力により達成することもできる。
【0023】
動作において、チャック10は、スピンドル2の外側端部の外側開口部を介してスピンドル2の中に挿入される。加工品Wをチャック10に取り付けた状態で、引張り棒22は、高圧(例えば、12000重量ポンド(53379ニュートン))で活動化されて(
図1の右に移動する)、引張り棒コレット26とチャックコレット18を共に係合させ、チャック10および加工品Wをそれぞれ取り付ける。チャック10と加工品Wは共に、現在は軸A周りで回転するようにスピンドル2に固定されている。チャックフランジ部分14の裏面15は、スピンドル面8に対して配置される。次に、加工品を加工する(例えば、研磨する)ことができる。
【0024】
加工品Wをチャック10から取り外すために、引張り棒22が、低圧(例えば、6000重量ポンド(26689ニュートン))で、反対方向に活動化される(
図1の左へと移動される)。引張り棒22により加えられる力は、チャックコレット18の係合を解除して、それにより加工品Wを解放するのに十分であるが、スピンドル2におけるチャック10の取付けに影響を与えないように十分に低い。加工品Wを次に取り外すことができる。別の加工品が、チャック10へと取り付けられ、かつ低い力で反対方向に(
図1の右に)引張り棒22を活動化することによりクランプされる。チャック10を取り外す必要が生ずる時間までなど、各連続する加工品に対してその工程が繰り返される。
【0025】
スピンドル面8内に埋め込まれている3つのピストン30を作動させて、各ピストン30を、スピンドル面8から軸方向外側に突き出すことにより、チャック10は、スピンドル2内のその取り付けられた位置から解放される。ピストン30は、合計の力(例えば、9000重力ポンド(40034ニュートン))を、チャックフランジ14上に、好ましくは軸方向(A)に加える。したがって、その例に基づいて、3つのピストンを用いる場合、各ピストンは、3000重力ポンド(13345ニュートン)を加える。合計の力は、チャック10の外側のテーパの付いた面と、スピンドル2の内側のテーパの付いた面5との間のテーパの付いた面係合を外すのに十分なものでなくてはならない。取付け接触が「解除される」と、チャック10は、機械スピンドル2から容易に取り外すことができる。
【0026】
本発明は、チャックを参照して述べられてきたが、本発明は、アーバーにも同様に適用可能である。かさ形ピニオンが示されてきたが、輪歯車も同様に企図される。ピストンは、加工品保持機構をスピンドルにおける取付け位置から排出するための好ましい機構であるが、スピンドル中に配置することができ、かつ有効な排出力を加えるように活動化され得る任意の他の制御可能な機構も本発明によって企図される。望ましい場合、排出機構28は、スピンドル面8内ではなくて、加工品保持フランジ部分14の裏面15に位置することができる。
【0027】
本発明は、好ましい実施形態を参照して述べられてきたが、本発明は、その細部に限定されないことを理解されたい。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することのない、本主題が関係する当業者には明らかなはずの変更を含むように意図されている。