(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏光制御要素は、1または2の無色四分の一波長と色波プレートとのセットを備える光学要素であり、前記光学要素が、前記2つの円錐結晶間または2つの一軸性結晶間で、180度に近く、この値から30度を超えて変化しないように励起ビームと抑制ビームとの間の偏光回転差を生成するように設計される、請求項3に記載の工程。
前記偏光制御要素は、材料が光学活性特性を有する光学要素であり、前記材料の光学活性の自然分散が、前記2つの円錐結晶間または2つの一軸性結晶間で、180度に近く、この値から30度を超えて変化しないように、励起ビームと抑制ビームとの間の偏光回転差を生成するように前記光学要素の厚さが選択される、請求項3に記載の工程。
偏光制御要素が使用されず、前記2つの円錐結晶が異なる材料からなり、これらの2つの材料の自然分散が抑制波長ではなく励起波長近傍で円錐回折を補償する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の工程。
1シーケンスの画像の場合、不明点または走査むらの影響を補償して大幅に低減するため、前記サンプルに投射される異なる分布の異なる周波数特徴により、周波数情報の冗長性が使用される、請求項13または14に記載のサンプル上の再放出源の空間分布または位置を判定する光学測定工程。
前記MAPアルゴリズムが、画像または異なるデジタルマスクにかかる重みを算出し、類似性の非局在ツリーを標準化として解に適用することによって、解の非局在冗長性制限を課すように適合される、請求項13に記載のサンプル上の再放出源の空間分布または位置を判定する光学測定工程。
可変サイズのマスクが検出器の面に使用されて、全体または局地的に、異なる軸方向特徴、または異なるもしくは最適化された寄生光の排除機能を有する画像を取得する、請求項10〜14のいずれか1項に記載のサンプル上の再放出源の空間分布または位置を判定する光学測定工程。
【発明を実施するための形態】
【0084】
すべての図面において、類似の参照符号は類似の部品を指す。
【0085】
定義および技術的補遺
生物学的という用語を使用して、血統、人間、動物、または植物にかかわらず生命科学における生物学的エンティティと、その観察、研究、診断、または治療の目的を説明する。この用語は、使用する手法の医学的用法を含む。顕微鏡は、生物学の分野において、生物学的エンティティ(対象)およびその行動を観察、研究、測定するために使用される。
【0086】
さらには、人工的観察という用語を使用して、人間または機械によって生成、構築、作製された対象または要素のすべての測定用途、度量衡、または観察を説明する、たとえば半導体を観察、研究、測定する、あるいは材料を特徴付ける。
【0087】
位相と偏光、偏光測定、ベクトルおよびジョーンズ行列、ストークスパラメータ、測定手法ストークスおよびジョーンズパラメータの説明に関して、一般的定義を使用する。
光学回折限界、レイリー基準、エアリーディスクとその半径および直径に関して一般的定義が使用される。本発明の状況では、超解像、超解像処理、超解像撮像、超解像顕微鏡法という用語を使用して、光学回折限界よりも高い解像での光学データ取得、光学撮像、顕微鏡法、人工的観察を説明する。蛍光および蛍光物質に関して一般的定義が使用される。
【0088】
長手方向および軸方向という用語を使用して、軸zまたは長軸と称される伝播軸に沿った光の依存を説明する。水平方向という用語を使用して、軸xおよびyと称されるシステムの光軸に直交する軸における光の伝播を説明する。
【0089】
ファイバのモードTEM
00と、具体的なファイバに関する英語の用語「フォトニック結晶ファイバ」PCF、「数モードファイバ」FMF、渦ファイバ、「デュアルコアフォトニック結晶ファイバ」に関して一般的定義が使用される。
【0090】
レーザバンクという用語を用いて、1以上の光ファイバにおいて異なる波長または同一の波長を有するいくつかのレーザを同一の偏光または異なる偏光で結合する装置に言及する。
【0091】
超振動は、Yakir AaronovとSir Michael Berryによって定義されている。超振動は、帯域幅が制限される信号が、最速フーリエ成分よりも高速に振動する局所セグメントを含むことができる現象である[26]。
【0092】
光分布の中心またはセントロイドは重力強度の中心である。光分布の径は、特異波の中心ゼロを考慮に入れず、規則波と特異波の両方にとって第1のゼロ強度の径である。
光分布の大きさに対して低い空間値によって、中心が一致する、あるいは分離する場合に2つの光分布が並置される。
【0093】
本特許出願では、基本メートル法として放出波長を使用する。
本特許出願では、以下の光学部品:光を送信、屈折、または反射させるすべての光学手段を含むように解像度が拡大されたレンズ、付属光学素子−2つの他の光学サブモジュールまたはモジュール間の位相および/または偏光の幾何的パラメータまたはパラメータのインタフェースをとり調節する光学サブモジュール、偏光子、解析器、波長板、ビームスプリッタ、偏光および非偏光、ビーム結合器、偏光および非偏光に関して一般的定義が使用される。
【0094】
本特許出願では、方位角および放射偏光子に対して一般的定義が使用される。つまり、方位角および放射偏光子、空間内で可変のすべての偏光要素に関する開発については明示的または暗黙的に後述する。
【0095】
本特許出願では、一般的定義[3]および[38]は様々な超解像手法に対して使用される。これらの手法は群に組み合わせることができる。
・以下の手法を組み合わせる可逆的飽和性光学蛍光遷移(RESOLFT)誘導放出抑制顕微鏡(STED)、基底状態抑制(GSD)、飽和構造化照射顕微鏡(SSIM)およびSPEM(飽和パターン励起顕微鏡)、局在顕微鏡、光活性化局在顕微鏡(PALM)、FPALM(光活性化局在顕微鏡における3D局在化)、確率光学再構築顕微鏡(STROM)、dSTROM(直接STROM)、SPDM(スペクトル精密距離顕微鏡)、「確率ブリンキング」、基底状態抑制(GSD)、および類似の手法(使用される頭字語に関係しない)の手法の組み合わせ
・構造化画像顕微鏡(SIM)
・FRAP(光退色後蛍光回復)
・TIRF(全反射蛍光顕微鏡)
【0096】
本特許出願では、一般的定義は、標準的な解像または超解像、蛍光または非蛍光の様々な顕微鏡手法、たとえば「算出顕微鏡」、「相関顕微鏡」、「異なるプラットフォーム顕微鏡」、FCS「蛍光相関分光」、FCCS「蛍光相互相関分光」、またはPCH「光子係数ヒストグラム」、RICS「ラスタ撮像相関分光」、またはFRAP「光退色解析後蛍光回復」に対して使用される。
【0097】
本特許出願では、ホーフ変換、MAPアルゴリズム「最大事後推定」、LSE「最小自乗推定」、ICE「反復条件付期待値」の一般的定義が使用される。新たなアルゴリズムとしてE−LSEアルゴリズム「エミッタ−最小自乗誤差」も本特許出願で説明する。
【0098】
部分偏光子とは、2つの線状偏光(線状二色性)または2つの円形偏光(円形二色性)に関して吸収が異なるコンポーネントまたはモジュールを指す。
動的偏光要素または位相要素とは、偏光または位相が時間の経過と共に、離散的または連続的に制御下で変動する光学手段を指す。
【0099】
これらの動的偏光要素または位相要素は、軸を中心に回転する波長板、液晶技術に基づく光バルブ、ポッケルスセルとしても知られる電気光学装置、たとえばPLZT材料の構成要素を用いるカーセル、電子光学共鳴装置、ファラデーセルとしても知られる磁気光学装置、音響光学または弾性光学装置、あるいはこれらの手段の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0100】
偏光状態が波長に依存する要素を説明するために分散性偏光または位相要素について言及する。最も単純な分散性偏光サブモジュールは多モードまたは厚波長板である。
「セントロイドアルゴリズム」に言及して、光分布のセントロイドおよびおそらくは幅(FWHM−全幅半値)を測定する標準的な手順を説明する。
【0101】
本文献では、一般的定義は、以下の光電部品:光電検出器、CCD、EMCCD、CMOS、SPAD−単光子アバランシェダイオード、SPADマトリックスに対して使用される。
【0102】
以下の用語を使用する。
・光強度の空間分布に関する光学像
・検出面における所与の瞬間の光学像によって生成される、CCDの電荷、CMOSの電流、SPADの事象の空間分布を表す電子画像
・デジタル画像は、電子画像の変換によって生成される数字の行列を表す。
【0103】
本文を解釈および理解しやすくするため、PMTまたはSPADなどの単独の画素検出器の出力に対して画像という用語を使用し、それを単独の画素から成る画像と考える。
曖昧さが存在しない場合、あるいは、3種類の画像間の区別が不要である場合、最も単純化された一般的な画像という用語を使用する。
【0104】
画像が、CCD、EMCCD、CMOSなどのマトリックス検出器に関して専門用語として使用される場合。SPADおよびSPADアレイに関して、測定結果は、光子毎の衝突時間と衝突位置を詳述する光子衝突の時間の順序付けられたリストである。本文献の説明を簡易化するため、このケースを画像の定義に含む。
【0105】
本文書で説明する画像は、多くの場合、マイクロ画像、つまり、エアリーディスク径のごく一部、通常は5未満の径、および/または小数の画素、通常は4*4〜32*32とほぼ等しいサイズの画像と特徴付けることができる。
【0106】
デジタル画像Ajでは、指数mとnは画素の指数を表し、画素の原点は、後の段落で定義する解析体積の中心の投射として選択する。
【0107】
ストークスベクトル偏光測定
偏光測定は、入射光の偏光状態の測定を指す。入射光の偏光状態は、1852年にGeorge Gariel Stokesが紹介し、光学分野で使用される1セットの値であるストークスパラメータによって説明することができる。
【0108】
2つの光学ビームの共伝播
多くのシステムおよび光学装置は、異なる特性の2以上のビームを使用する。ビームは相互作用してもしなくてもよく、あるいは順次または同時に投射することができる。これらのシステムおよび装置の大半で、2つの光路は物理的に相互に分離される。この物理的分離は、システム構築のレベルで、解決可能であるが、システムの複雑さとコストを大幅に増大させる1セットの制約が生じる。共通路のシステムとして、2つの分化ビームがわずかな変動で同一の物理路に沿って拡散する1セットの装置に言及する。
【0109】
本発明では、さらには、略共通路のシステムとして、2つの分化ビームが同一の物理路に沿って拡散するが、光学モジュールで分離および再結合し、光学要素内の光路が総光路に対して無視できるほど小さい1セットの装置に言及する。この定義は、2つの偏光を組み合わせる要素、または類似の要素によって短距離で監視される偏光分離器を含む光学モジュールのケースを導入する。上記モジュールを導入しても、共通路システムの機能と利点は大きく変更しない。本発明全体を通じて、理解し易くするため、共通路システムが言及されるときは、略共通路システムのケースを含む。
【0110】
極座標での電界および角モード
【数1】
光学において、電界成分、すなわち、デカルトまたは極の直交モードにおける振幅、位相、偏光を分解することは通例である。
ガウス、エルミート・ガウス、HGG、「エレガント」、ラゲール・ガウスモードなどの直交極モードでの多数の分解が当業者にとって既知である。
本文書では、電界の振幅の分解を主に使用する。
【0111】
特異波
1974年にJ.F.NyeとM.Berryによる独創的な論文[4]が教示するこの光学分野の研究テーマは、現在、「特異光学特性」として知られる。規則波と特異波の例を以下に示す。
ビーム成形という用語は、所与の形状およびトポロジの波の別の形状またはトポロジへの波の変換、特に、規則波の特異波へ、またはその逆の変換を示すために使用される。
【0112】
トポロジおよびコンパクトな光分布
二者択一的な非限定的条件として後述するコンパクトさの条件の一方を満たす場合、点源光分布はコンパクトであるとみなされる。
・エネルギーの75%超が、エアリーの半径の1.75倍未満の半径の円に含まれる、あるいは、
・ゼロ強度の線によって定義され、エネルギーの65%超を含む光ドメインが、エアリーの半径の2倍未満の半径の円に含まれる。
異なるトポロジの異なる点光分布群を区別する。
光学分野での通常定義における正規分布
特異分布または特異波。トポロジチャージ(方位角次数)lの光学渦としても知られる。ただし、位相は伝播方向に0〜2πl変動し、lは整数である。
方位角変動次数lを有する振幅分布。ラゲール・ガウス分布とも称される。
方位角変動次数lを有する偏向分布および任意で位相分布。放射偏向ラゲール・ガウスモードと称される。
【0113】
2つのコンパクトな光分布は、以下の条件の少なくとも1つを満たす場合に異なるトポロジ群であるとみなされる。
一方が正規であり、他方が特異である。
一方が点源であり、他方がリング源である。
2つの異なる光分布の振幅の方位角次数lは異なる。
2つの異なる光分布の偏光または位相の方位角次数lは異なる。
もしくは、所与の体積に投射される2つの光分布が異なるトポロジを有すると考えられ、面の大部分が一緒に照射される場合、勾配は逆方向である。
【0114】
光ナノエミッタ
光ナノエミッタは対象に装着される小型の二次エミッタであり、波長のごく一部よりもずっと小さく、通常は波長の5分の1のサイズであるが、それに限定されない。光ナノエミッタは入射エネルギーを吸収し、入射光と同一の波長または異なる波長の光を再放出する。ナノエミッタによって放出される光は吸収光と干渉性であっても、部分的に非干渉性であっても、非干渉性であってもよい。ナノエミッタの主な例は蛍光物質とナノ粒子であるが、他の多くの要素も含むことができる。
【0115】
本発明のコンテキストにおけるナノエミッタ光の定義は以下の2つの条件によって決定される。
二次点源光エミッタを生成すること
および
人工的、生物学的、または有機的エンティティに対してエミッタを所定位置に配置すること。
【0116】
ナノエミッタを形成することができる物理的機構は多数あり、たとえば、RESOLFT、光活性化現象、光抑制手法、2以上の光子の蛍光、または非弾性分光、ラマン分光、あるいは当業者にとって既知である任意の他の物理的機構を使用する吸収、分光または反射、蛍光、放出抑制[5]を含むが、それらに限定されない。光放出という用語を使用して、光ナノエミッタによる電磁波の放出を表し、光は干渉性、非干渉性、または部分的に干渉性である。
【0117】
生物学的または有機的エンティティに付着される吸収性または反射性の散乱粒子を含むようにナノエミッタの定義を拡大する。実際に、電磁場上の散乱、拡散、反射、または吸収粒子の動作は、吸収粒子に関して、バビネの原理に応じて、入射電磁場に重畳される、粒子からの補足二次野出現の逆位相で説明することができる。
【0118】
本特許出願では、単独のナノエミッタのディスクリプタは、所与の瞬間の光点源としてナノエミッタを表す情報のセットを指す。ナノエミッタは光点源として考えられるため、それを表すすべての情報は、限られた数のパラメータ、すなわち、入射光の関数として蛍光物質によって発せられる光の空間内の位置、強度、強度のスペクトル特徴、コヒーレンス、位相、偏光を含む。
【0119】
本特許出願では、構造化対象のディスクリプタに言及する。たとえば、均一線の場合、それを表すすべての情報は、限られた数のパラメータ、入射光の関数として対象によって発せられる光の空間内の配向、強度、スペクトル特徴、強度、コヒーレンス、位相、偏光のどれかを含む。
【0120】
連続分布の場合、対象は、画像処理で通常行われるように、強度の行列として表される。
ただし、ほとんどの場合、本発明の明細書では、ディスクリプタの名称の下で、たとえば放出スペクトルによって区別されるいくつかの光ナノエミッタ群が同一のサンプルに存在するか否かにかかわらず、蛍光物質の幾何的位置、強度、種類を含む単独の幾何的対象のサブセットのディスクリプタまたはナノエミッタを指す。この説明に使用される簡易化は、光ナノエミッタの全ディスクリプタを範囲に含める本発明の範囲を変更するものではない。
【0121】
本発明のコンテキストを理解し易くするため、以下の説明は、ナノエミッタが蛍光物質であり、物理的相互作用が1光子蛍光である最も単純なケースのみを指す。ただし、この説明は、基本にある物理的現象にかかわらず。上述した、あるいは当業者にとって既知であるすべての光ナノエミッタに適用可能である方法および概念の簡略的概説と理解すべきである。
【0122】
特徴的なことに、ナノエミッタは、入射強度の空間分布全体に影響を及ぼさずに、三次元位置での入射光強度を正確にサンプリングする。本特許出願では、光ナノエミッタのサンプリング機能として、この顕著な特性に言及する。
ただし、上述した本発明の実施形態は、光ナノエミッタのサンプリング能力を備えていない構造化対象および連続分布も測定する。
【0123】
一方に所与の生物学的対象15および16、他方に17および18を配置した1セットのナノエミッタまたは構造化対象を示す
図1を再度参照する。もしくは、放出された光は、
図1に示していない連続分布、あるいはナノエミッタ、構造化対象、または連続分布の組み合わせから成ることができる。ナノエミッタ、構造化対象、または連続分布のセットは、「明るい生物学的対象」のセットとして、一般意味論でAlfred Korzybskiが定義する意味において生物学的対象マップを表す。ただし、説明を簡易化するため、曖昧さが発生し得ない場合は、光生物学的対象自体を対象として言及することが通例である。光生物学的対象は、生物学的対象に関連する情報、主に、時間に対する対象の位置と配向である時空情報と、細胞の2分割などの場合の形態学情報を含む。
【0124】
少なくとも本発明の一実施形態に係る測定システムは、測定されたマップを算出し、ナノエミッタ、構造化対象の任意の組み合わせのディスクリプタの推定、あるいは連続分布の空間分布の推定を実行する。この測定マップは、ノイズ、測定条件、システム限界、または測定の不確定性により、元のマップと異なる。この測定マップの情報は、以下の異なる抽象レベルに展開させることができる。この第1の抽象レベルは直接測定結果を表し、事前の生物学的情報を含まず、ナノエミッタ、構造化対象、または標示されたエンティティも表すことができる連続分布によって表される物理的測定結果である。
【0125】
第2のレベルである幾何的抽象レベルは、幾何的対象の形状で構造化対象または連続分布のナノエミッタを構成する。この抽象レベルは、発光対象、および位置や配向などの動的特徴、または形態に関する説明を含む。このレベルで、情報はまだ、1セットの対象を記載する物理的かつ幾何的情報である。幾何的情報は、測定カード、おそらくはシステムの外部の補足情報、光点と対象間の関係を使用する。
【0126】
生物学的抽象レベルにより、測定対象と対応する生物学的エンティティとの間の本質的関係を通じて、生物学的リアリティを理解することができる。このレベルは、生物学的対象に関する1セットの情報、主に位置、動力学、形状と形態を含む。生物学的情報は、測定カード、おそらくはシステムの外部の幾何的情報および補足情報、光点と生物学的エンティティを有する対象間の関係を使用する。サンプルの生物学的機能に関する多数の結論は、このレベルで取得することができる。
【0127】
機能的抽象レベルにより生物学的リアリティを認識することができる。このレベルは、幾何的情報から相関を失われた、「細胞を透過したウィルスを有する」などの生物学的専門用語での質問に応答する機能情報から成る。
【0128】
制御および計測工程を含む追加の情報レベルを定義することができる。実際、データ取得工程の自動化を介して、より進んだ制御および計測工程を定義して、より構造化された生物学的情報を取得することができる。上記工程の1例は、「ロボット顕微鏡システム」の名称でSteven Finkbeinerによって説明されている。
【0129】
本願で定義するこの抽象レベルの説明は、生物学の場合、簡易化のために作成されている。この説明は、必要な変更を加えて、生物学的、医学的、人工的、産業的全分野に対して適用可能である。
【0130】
円錐回折
円錐回折または屈折は、1832年にHamilton[6]によって予測され、その2ヶ月後にLlyod[7]によって実験的に確認された光学現象である。円錐回折は、二軸性結晶の光軸方向での光ビームの伝播を説明している。
【0131】
事実、二軸性結晶では、光軸は結晶軸xおよびzによって生成される面に配置される。z軸に対する角度は、以下の式のように3つの屈折率に応じてθ
0である。
【数2】
【0132】
Hamiltonは、中空円錐状の光線の形状で出現すると予測した。円錐屈折は科学の歴史において重要な曲面であり、電磁波路の理論の実証に1つの役割を果たしてきた。
20世紀の最後の数年、円錐回折に対する関心が再度高まった結果、Berry et al.の理論が完成されて[2]、2009年に実験で立証された[8]。本明細書では、円錐回折に関するより厳密な用語を使用する物理的効果の名称変更を含め、Berryの理論、用語、定義に従う。
【0133】
ただし、「円錐回折」という用語は、本明細書に記載する手法に関連しない他の2つの手法に対しても使用されることに注意すべきである。
・斜め入射回折は円錐回折とも称される。
・「円錐回折実装」は、ネットワークが曲面に実装される回折ネットワークの実装を指す。
円錐回折の理論と実験は随分進んだが、「実際的適用はまだ発見されていないようである」[9]。
【0134】
歴史的に、円錐回折は二軸性結晶で観察されてきた。円錐回折の現象を発揮する無機または有機二軸性結晶を説明するために円錐結晶に言及する。二軸性結晶の非限定的な例は、アラゴナイト、KTP、KTA、KBiW、LBO、KNbO3、MDT、YCOB、BIBO、DAST、POM、NPP、LAP、LiInS2、LiInSe2である。
【0135】
円錐回折効果を弱める、あるいは、より短い光路に沿ってより少ない円錐回折を生成するという他の効果も存在する。ただし、これらの効果は、記載される装置の範囲内で利用することができる。これらの効果は、ポリマー、液晶、外部誘導複屈折効果を含む。ポリマーは延伸ポリマーシートや縦続ポリマー化を含むが、それらに限定されない[10]。液晶は、サーモトロピック二軸性ネマチック相を含むがそれらに限定されない[11]。外部効果誘導複屈折は、非中心対称立方結晶への電界生成光電効果の適用や、光弾性変調器を含むがそれらに限定されない。
【0136】
円錐回折によって生成される渦の位相は幾何的位相であるため、本質的に無色である。
追加の色効果は光軸の分散であり、異なるパラメータへの依存性が、波長の関数として円錐回折の式中に存在する。
【0137】
光軸の色分散により、システムの光軸に対する波長に応じて、結晶の光軸の角度が形成される。これは、大半の場合、屈折率の分散による。
屈折率は、セルマイヤーの式により波長に依存する。したがって、光軸の角度は波長の関数として変動し、結晶軸xおよびyによって形成される面において光軸の色勾配角度を形成する。
【0138】
屈折率は、結晶の種類にも大きく依存する。可視スペクトル内で最も小さな分光結晶であるMDT結晶では、光軸の方向は540nm〜700nmの範囲で0.1度未満変動する。通信IR内の最無色結晶であるKTP結晶では、角度は1.350nm〜2.100nmの範囲で0.05度、通信ウィンドウ1450nm〜1650nmの範囲で0.02度未満変動する。一方、角度θ
0は、いくつかのDASTなどの有機結晶では波長の関数として大きく変動する可能性がある。
【0139】
光軸の色分散は幾何的光学素子を用いて補正することができる。光軸方向の色分散は、ガラスまたはその他の光学材料の自然分散、あるいはネットワークまたはプリズムを用いることによって補正することができる。この場合、無色手順は、幾何的光学素子の色収差の補正の標準的な手順と異ならない。この手順は、適切な目標機能を定義する際に利用可能な市販の光学ソフトウェアパッケージのうちの1つを用いて設計および最適化することができる。
【0140】
他の無色概念は、高および低色分散で逆円錐回折を有する2つの異なる材料を使用することに基づく。
波長の関数として円錐回折の式に存在する様々なパラメータに依存することで、円錐回折効果の有効性のパラメータが変更される。
【0141】
後述する円錐線状結晶の場合、基本伝達関数は単位と同一であり、波長にあまり依存しない。対照的に、渦伝達関数は波長に依存し、t(λ)と等しい色因数によって示すことができる。
【0142】
後述する正弦波円錐結晶の場合、挙動は円錐線状結晶の挙動と異なる。基本波は波長に依存し、波渦は波長にほぼ依存しない。実際、シミュレーションが実証するとおり、波渦は0.5〜0.75のパラメータθ
0のごくわずかな変動によって変形する。対照的に、基本波の形状は波長に依存し、この効果は2つの波である基本波と渦波を用いるシステムの設計において考慮に入れなければならない。
【0143】
次に、本発明の一実施形態に係る円錐回折モジュール300の構造を概略的に示す
図3を参照する。
入射光30は平行化されると仮定されるが、その他の条件は単純な光学手段を用いて適合させることができる。
【0144】
構成自体は第1のレンズ31、円錐結晶32、任意でレンズ33を備える。第1の2つのレンズ31および33は好ましくはケプラー望遠鏡1:1の形状で構成される。以下U
0と称する画像空間内の第1のレンズ31の開口数は、以下定義する円錐半径を通じた円錐[回折]効果のパラメータを決定する。撮像面円錐35は、第1のレンズ31の焦点面に配置され、上述の偏光子または部分偏光子部29も追加することができる。ただし、入射光が既に偏向されている光学システムの場合、この要素は不要である。集束レンズ36は最終光点のサイズを決定する。このレンズは外部の顕微鏡対物レンズとすることができる、あるいは本発明の別の実施形態で実行されているように第2のレンズ33と結合することができる。サンプルに投射される光の分布は、最初の概算ではベクトル効果を無視し、画像面において光分布の縮小画像である。ベクトル効果の影響は後述する。縮尺比または倍率は顕微鏡対物レンズによって決定される。
【0145】
円筒座標R、θ
RおよびU、θ
Uによって表される、空間変数R、円錐撮像面、波ベクトルU、光の波長λを前提とする。
円錐結晶32から出現する電界の挙動は、半径円錐R
0という単独のパラメータによって完全に特徴付けられる。円錐半径は結晶の材料と厚さに依存する。
【0146】
回折のスカラー理論の限界において、円錐撮像面と顕微鏡対物レンズの焦点の両方で有効である光分布に関する以下の説明のために、標準化パラメータを導入する。標準化パラメータの導入例は参考文献[2]に記載されている。
【0147】
円筒座標ρ、θ
RおよびU、θ
Uによって表される、正規化放射方向位置ρ、正規化波ベクトルu、正規化半径円錐ρ
0は、以下の式によって表される。
【数3】
U
0はシステムの開口数である。
【0148】
様々なレジメが、最小相互作用のすべての体積光学回折効果に関して存在する。最小相互作用の体積回折効果は以下の特性を有する。
・入射光の変更は、マックスウェル方程式の摂動によって生じる。
・相互作用の規模は、波長、通常は10μmよりもずっと大きい。
【0149】
これらの様々なレジメが全く異なる光学効果を生むという事実は、主に音響光学相互作用の観点から研究されてきたが、円錐回折を含むあらゆる光学作用において存在する。音響光学に関するラマンの著書を元にした専門用語を使用し、以下のケースを区別する。
【0150】
ρ
0≦1、[37]で言及される線状ラマン・ナスレジメ。効果の単純な面推定を使用することができる「線状薄円錐結晶」
ρ
0≦1および>0.5、[37]で言及される正弦波ラマン・ナスレジメ。効果の面推定を使用することができる「正弦波薄円錐結晶」
【0151】
ρ
0<3および>1、[37]で言及される中間レジメ。ラマン・ナスレジメ効果と後述するハミルトン・ロイド・レジメとを結合する複雑な効果「平均円錐結晶」
ρ
0≧3、[37]で言及されるハミルトン・ロイド・レジメと称されるレジメ。音響光学のブラッグレジメと同様、ハミルトンとロイドによって説明された効果が存在する「厚結晶」。ハミルトン・ロイド・レジメの結晶または厚円錐結晶、ρ
0≧3のみがハミルトン理論によって説明することができ、ある著者たちによって使用される用語、「不明瞭な円錐」または「円錐」の形状で結晶内でビームを拡散させ、円錐形状で回析するという特別な特徴を有する。
【0152】
1832年以来、ハミルトン[6]は、「十分な二軸性エネルギー」の必要性を立証することによって、円錐屈折の説明の有効性にとって必要な二軸性結晶の振幅効果に関する条件を既に指摘している。
【0153】
「29、フレネルの原理の新たな帰結。したがって、フレネルの原理に基づくと、十分な二軸性エネルギーの結晶は、外側と内側に2種類の円錐屈折を発揮するはずであり、尖った光線は外側の円錐状光線を形成し、円形接点の法線が内側円錐に接続される」。
【0154】
円形に偏光された波に関して正規化座標で表される結晶薄円錐Eを発生する波(ρ、θ
R)は2つの波の重畳によって構成され、本明細書では基本波E
F(ρ)、規則波、渦波E
V(ρ、θ
R)、特異波と称する。これらの2つの波は相互に干渉し、並べられ、逆キラリティ方向で円形偏光される。
【数4】
【0155】
この式では、E
F(ρ)はスカラー基本振幅であり、F
V(ρ)は渦の低減スカラー量であり、以下の式によって表される。
【数5】
【0156】
薄線状円錐結晶の場合、基本波はエアリーディスクによって概算することができ、渦波は以下の式で表される線状渦に近接させることができる。
【数6】
【0157】
部分偏光子29の動作がパラメータαによる渦波のスケーリングであると仮定すると、ストークスパラメータは上記の式から導くことができ、βは線状偏光の角度である。
【数7】
【0158】
上述したように、円形偏光波のために円錐結晶から出現する波は、2つの波、基本波、規則波、渦波、特異波の重畳から成る。均質偏光のすべての入射ビームは、円形右偏光および円形左偏光から成る直交ベース上で分解することができる。したがって、入射ビームは2つのビームのコヒーレントな重畳であり、第1のビームは円形右偏光に偏光され、第2のビームは円形左偏光に偏光される。出現ビームは4つのビームのコヒーレントな重畳であり、2つの基本波の第1の基本波は円形右偏光に偏光されるビームによって形成され、第2の基本波は円形左偏光に偏光されるビームによって形成され、2つの渦波は円形右または左偏光に偏光されるビームによって形成される。ただし、2つの基本波が同一の空間分布を有し、干渉しあうが各自のトポロジを保持する場合、2つの渦は逆のキラリティを有し、複雑な分布を形成する。これらの波の異なる組み合わせは、入力および出力で偏光を選択し、異なる形状のPSFを生成することによって実行することができる。
【0159】
疎対象
「疎対象」という用語は、1セットの疎性エミッタ、少ない特定の光エミッタ、または1セットの疎対象を指し、疎性は参考文献[41〜43]で定義され、たとえばフィラメントなどの特定の対象に限定されない。疎性エミッタの場合、選択される限界は12未満の数であり、各次元のサイズがエミッタの送信波長または反射波長で3未満の波長である体積に配置される。疎対象を含む3未満の波長のサイズの体積は、縮小サイズの解析体積と称される。
【0160】
連続対象という用語は、疎対象の定義において上述した状態を満たさない1セットの光点または連続エミッタを指す。これらの2つのレジメ間の遷移は直線的ではなく、多くの実験ケースはこれらの2種類の対象間の中間的なケースとなる。
【0161】
次に、共焦点顕微鏡における体積抑制の概念を示す概略図である
図4a〜4cを参照する。
体積抑制の機能は、すべての3空間次元において、サンプル体積の観察領域である可能な限り小さな解析体積に限定される。体積抑制の機能は、以下の2つの効果:小面積、理想的にはエアリースポット50のサイズへの投射光の制限と、
図2の共焦点ホール28による光の焦点外れの排除との組み合わせによって解析体積を制限する。これらの2つの効果の重畳により、小さな体積である解析体積60が形成される。この体積は、システムによって検出される基本領域のサイズを決定する。
【0162】
複数のナノエミッタ53〜59から成る疎性または連続対象51を検討する。ナノエミッタ53〜55はテスト体積60に位置し、それらのナノエミッタのみが光源によって励起され、該ナノエミッタによって放出される光子が検出器モジュールに到達する。照明56および57の円錐に配置されないナノエミッタは入射光によって照射されない。
図2の共焦点ホール28の共役面に配置されるナノエミッタ58および59から放出される光は、
図2の共焦点ホール28によってほぼすべて遮断される。
【0163】
2つの異なるデカルト座標がシステムで定義される、
図4c:
基準「i」:「i」と称される軸は、解析体積61のデカルト基準系の中心を表す。
基準「a」:「a」と称される軸は、離散点62とみなされるナノエミッタ上の各光ナノエミッタのデカルト基準系の中心を表す。
【0164】
後述する本発明の別の実施形態を使用する際、渦が解析されるサンプルに投射される場合、渦中心が通常、解析体積の中心と定義される。
少なくとも本発明の一実施形態は円錐回折を利用して、手法の基本的な光学モジュールを実現する。ただし、円錐回折に基づくモジュールを他の光学概念に基づくモジュールで置き代える別の実施例も、同一の機能を提供することができる。それらの実施例も本発明の範囲の一部である。別の光学概念は、一軸性結晶、サブ波長格子、構造化レーザモード、ホログラム素子、その他の当業者によって既知なその他の手法を含むが、それらに限定されない。
【0165】
概念、手法、光学装置および光電装置は、たとえばD.Goldstein著「Polarized Light」[12]、「Handbook of Confocal Microcopy」[13]、「Handbook of Optics」[14]に記載される。
【0166】
光学セマフォ
本発明の本実施形態では、光学セマフォという用語を使用して、光の特性の関数として異なるチャネルまたは検出器に入射光を送ることのできる光学受動または能動要素を指す。最も単純なケースは、波長の関数として光を2つのチャネルに分割するダイクロイックブレードである。
【0167】
本発明の本実施形態では、「位置依存光学セマフォ」PDOSまたは位置に依存する光学セマフォという用語を使用して、光をエミッタ点の位置として送る光学セマフォを表す。PDOSは、チャネルまたは検出器i毎に、基準体積内のエミッタ(x、y、z)の位置に依存する一連の伝達関数T
i(x、y、z)によって判定される。PDOSの次数はチャネルまたは検出器の数となる。PDOSは、伝達関数T
i(x、y、z)の合計が解析体積の単位に等しい場合、解析体積内で「無損失」となる。
【0168】
Minsky[15]によって説明される共焦点ホールは、本発明の本実施形態では、次数1の縮退PDOSとみなすことができる。
ほとんどの場合、PDOSの依存は、水平方向および長手方向位置の複素環数である。ただし、本発明の実施形態では、「長手方向位置依存光学セマフォ」−LPDOS−または長手方向位置に依存する光学セマフォという用語を使用して、エミッタ点の長手方向位置の関数として光を送る光学セマフォを表す。LPDOSは、チャネルまたは検出器i毎に、基準体積内のエミッタ(z)の長手方向位置に依存する一連の伝達関数Ti(z)によって判定される。PDOSの次数はチャネルまたは検出器の数となる。LPDOSは止めに連結されて、システムの水平方向範囲を限定する。
【0169】
光ファイバによる送信
光ファイバの主用途は、TEM
00モードの独占的送信である。ただし、FMFまたは渦ファイバなどの光ファイバのいくつかの構造は、限定的ではないが主に「フォトニック結晶ファイバ」PCFと称されるファイバおよび渦ファイバと称されるファイバに基づき、2以下または同一の渦度を有する渦モードを含むより複雑なモードの同時または非同時送信を可能にする。したがって、光ファイバを用いて円錐回折によって形成される光分布を導き、光学システムを大幅に簡易化することができる。
【0170】
光ファイバを用いて円錐回折によって形成される光分布を導くことができるため、本発明の実施形態を、胃または胃腸病学的な観察や、腸と尿路の観察を含むが、それらに限定されない多くの追加用途に適用することができる。
【0171】
また、一部のファイバ「dual−core photonic crystal fibers」[16]では、2つのモードの相互作用が可能になり、一方のモードは渦であり、追加の物理的機構を提供して様々な伝達関数を生成することができる。
【0172】
数個の波長の測定
本発明の実施形態では、対象は単色光によって、たとえば、伝統的なレーザまたは単色ランプを用いて照らすことができる。また、構造によっては、「白色レーザ」と称される広域スペクトルレーザを使用することができる。システムの主パラメータのうちの1つが固定され、明瞭に決定されているため、この構造は単純である。ただし、本発明の一実施形態では、たとえば複数のレーザを個別に使用する、あるいは広いスペクトルを有するランプやレーザを連続的に使用することによって、数個の波長で対象を照射することができる。
【0173】
多くの既存の超解像システムは、いくつかの波長を同時にまたは漸次測定する。実際に、異なるスペクトル反応を有する蛍光物質で類似したまたは異なる成分をマークして、それらの成分を認識および分離することができる。以下の2つの異なるケースを提示することが重要である。
・2つの異なる波長で放射し、同一の波長によって励起される蛍光マーカの使用
・2つの異なる波長で放射し、2つの異なる波長によって励起される蛍光マーカの使用
【0174】
なお、2つの異なる波長で放射し、同一の波長によって励起される蛍光マーカを使用する場合、超解像位置情報は光の投射から誘導され、異なる波長でも完全に同一であるため、第1の波長と第2の波長の測定値を再較正するという課題は本質的に存在しない。
【0175】
これにより、実験的較正システムによってのみ限定される精度で、2つの異なる波長で蛍光物質の位置を相対的に較正することで、異なる波長の2つの画像間の再較正という大きな問題を排除することができる。
【0176】
円錐回折に基づく光学システムを無色化できることは、多くの用途、特に、本発明の実施形態において、共通路を有する光学システムの実装の選択ツールである。
さらに、無色化は、一軸性結晶に基づく光学システム、および、本発明のほぼすべての他の実施例でも、それぞれ複雑度を増減させて実行可能である。
【0177】
他の既存の蛍光システムは、より広いスペクトルコンテンツを有する光を使用して、アーチファクト、主にスペックルの作用を低下させる。
同様に、蛍光タンパク質のスペクトル特性は、フェルスターエネルギー伝達手法−フェルスター(蛍光)共鳴エネルギー伝達(FRET)を利用することによって、細胞間の分子相互作用のポテンシャルを測定する。
【0178】
PSITシステムの実施例によっては、1または複数の入射レーザビームの光が光分離器によって2つのビームに分離され、主ビームがPSITシステムの機能を実行し、追加の低強度ビームがカメラまたは位置検出器によってレーザビームの位置を測定するために使用される。この装置は、動揺エラーまたはその他の機械的エラーにかかわらず、レーザの位置をリアルタイムで高精度に測定する。
【0179】
事前情報および補完情報
記載する本発明の実施形態は、上述のプラットフォームの光学的または概念的な追加情報を統合および併合して、以下の抽象レベル:マップ、幾何的抽象レベル、生物学的抽象レベル、機能的抽象レベルのうちの1つに関してサンプルから抽出される情報の精度を向上させることができる。
【0180】
より具体的には、スペクトル多様性、いくつかの波長で得られる情報、偏光多様性、異なる状態の偏光を投射することで得られる情報が、利用可能な情報の範囲を拡げる。
たとえば渦がゼロの場合など、エネルギーがゼロであることが追加情報であると、いくつかの光子の「コスト」なしで情報を取得する可能性が開ける。この状況は、自己蛍光などの低蛍光現象を検出するために特に重要である。
【0181】
本発明のいくつかの実施形態で説明した形式の1つは、広く知られるダークトラッキングと称される。
光学的測定、対象上の電磁波、または所与の視点からの観察によって取得することのできる光学必須情報の概念を導入する。この情報は、位置、含有材料、温度、または配向に関連する対象の多くのパラメータを含む。
逆に、光学必須情報は、観測器、たとえば、不透明ボックスに配置される素子への光路が存在しない対象領域に関する情報、あるいは光学転写のない物理的情報を含まない。
【0182】
超解像測定および回折限界
光学素子は本来、回折限界を介して、任意の光学システムの解像度に限定されると長年考えられてきた。超解像手法の出現で−異なる分野および異なる名称で−、様々な手段によってこの回折限界を超過できることが立証された。
【0183】
本発明に記載の実施形態は、たとえば、基本波によって形成される光分布の重心で渦を投射することによって同一の強度の2点を検出するなど、事前解像に限定されず、特定のケースで後述するように、理想的には、無限数の光子で任意の解像を達成することができる。
【0184】
超解像およびRESOLFTおよびSTED手法における非線状相互作用の使用
2つの光ビーム間での材料媒体の非線状相互作用の使用は、超解像システムの基本として、1994年にHellによって提案されている[5]および[17]。Hellの著作から多数の異なる手法が生まれて、RESOLFTや「局在顕微鏡」などのいくつかの手法群がもたらされた。これらの手法に関するいくつかの見解が既に公開されている([1]または[38])。
【0185】
これらの非線状相互作用は、RESOLFT技術群および「局在顕微鏡」技術の元になる、2つの光子を有する相互作用現象、放出抑制、ブリンキング、光活性化効果を含むが、それらに限定されない。
【0186】
RESOLFT技術群は周知であり、いくつかの参考文献、たとえば、Hellの論文[5]とその最初の特許[17]、Schermelleh et al.[1]による論文、あるいは近年のVicidomini et al.[18]またはWillig et al.[19]の公開物に記載されている。
【0187】
Hellによる最初の論文[5]に記載されるSTED手法では、大半の場合、エアリー関数によって記載される光分布によってモデル化される標準的な励起ビームと、ドーナツまたは渦状の抑制ビームとの2つのビームが、対象に順次投射される。抑制効果は、抑制光分布外で、光分布の中心に配置される蛍光物質の放出を変更せずに、抑制光の分布面で発見される蛍光物質の蛍光を防止することである。これにより、最初の励起光の分布よりも小さな同等放出光の分布が形成される。この手法は、ごく小さなサイズの放出光の均等分布を生成するが、大きな光抑制エネルギーを必要とする。
【0188】
STEDのいくつかの変形が開発されている。「CW STED」[20]、「ゲートSTED」[21]、「変形STED」[22]。CW STEDでは、第1のバージョンのSTEDで使用されるパルスレーザが、より簡易な連続レーザによって置き換えられる。「ゲートSTED」では、放出される光子が、抑制ビームを十分な時間受け取らず、放出光子を蛍光物質から遊離させる放出時間の関数として区別される。「変形STED」は、変調周波数に依存する同期検出と組み合わせて、強度を変調した励起ビームを使用する。これにより、抑制ビームによって生じる残余蛍光の励起ビームによって生成される信号蛍光が区別される。
【0189】
Gould et al.の提案する他の変形[45]は、水平方向および/または軸方向抑制分布を別々に、または共に形成するためにSLMを使用する。
第1のバージョンのSTEDでは、ドーナツまたは渦は、空間的に変動する位相板によって形成される。これを実行するには、励起ビームおよび抑制ビームの2つのビーム用に2つの別個の光路を必要とする。この光学アセンブリは複雑であり、機械的誘導体に大きく依存し、複雑な光学配向を要する。更新システムは技術的強度を必要とし、システムコストが高い。また、ある波長に適合された位相板は他の波長に適合されないため、この実装はクロマチックである。光学システムがアクロマチックでないため、2つの抑制波長を有するSTEDを使用するには、より複雑な光学システムが必要である。
【0190】
STEDの実行を簡易化するため、何人かの著者が、2つのビームの励起ビームと抑制ビームが同一の光路に沿って拡散するSTEDを生成するという解決策を提案している。
−Wildnger et al.は、異なる光学材料の分散特性に基づき、機械的誘導体に反応しない共通光路付きのSTED顕微鏡を提案している[23]。この技術は、Abberior社によってEasyDONUTの名称で市販されている[28]。
【0191】
−Bokhor et al.[24]は、予め配向されたビームの色環状分離を提案している。しかしながら、この解決策は抑制光の一部を遮断する。
−Hoeffman[25]は、予め配向された光学要素を含むモジュールを使用して、抑制レーザの光路に渦を生成し、配向を簡易化することを提案している。
【0192】
−Menon et al.[26]は、位相特異点のない振幅ゼロを生成する回折レンズを提案している。
−Reuss et al.[27]は、対物レンズに直接対向して配置されるビーム形成装置を紹介している。この装置は、4つのセグメントから成る分割波長板の形状で搭載される複屈折結晶の使用に基づく。ブレードの厚さパラメータの選択を介して、抑制用の位相ブレードと励起用の中立ブレードから成る要素を作製することができる。
【0193】
−Gould et al.[45]は、抑制の水平方向および/または軸方向分布を別々に形成するSLMを使用する。この解決策は、異なる波長に適合させるために動的にパラメータを変動させる。他の著作では、単独のSLM上の水平方向分布と軸方向分布を統合している。
【0194】
ただし、上記の提案される解決策は、高度にクロマチックであり、単独の励起抑制波長用に設計されている。ただし、多くの場合、生物学的用途は、2以上の励起波長を有するシステムを必要とする。実際に、励起または放出波長によって区別される蛍光マーカで様々な生物学的対象をマークするのが現行の通例である。最も進んだ蛍光システムは4〜6の分化マーカを利用することができる。単独の超解像路が存在すると、システムの利用がほぼ限定される。2つの波長を有するSTEDシステムも市販されている。
【0195】
明らかなことに、複数の波長を備えた無色STED顕微鏡または3D STED顕微鏡では、2つの異なる波長を有する2つの抑制ビームに同一の光路を使用することで、様々な蛍光体上の超解像が簡易化される。
【0196】
STEDについて提案されるすべての解決策に関する従来技術では、最初のレーザビームは正規分布、大半の場合、ガウス分布の形状である。これらの最初のレーザビームは後で、様々な発明者が説明するように、適切な光学システムによって励起ビーム、規則波、抑制ビーム、特異波に変換される。まだガウス分布の形状であるときは、これらのビームを上流に配置するのが比較的簡単である。正規波と特異波に変換されているときは、これらのビームを下流に配置するのがかなり複雑である。これらのビームの上流配置は、光ファイバに基づく手法を用いるレーザバンクシステムによって商業的に実行することができる。したがって、すべての共焦点顕微鏡と同様、同一の光ファイバの異なる波長で1セットのレーザ出力を生成し、高精度に配置することが比較的容易である。
【0197】
本発明の実施形態で提案する解決策は、この上流配置に基づき、システムを大幅に簡易化し、複数の波長でSTEDを実行する。このため、共通光路、収色性、「ビーム成形」の特性を組み合わせた光学システムを使用することが好ましい。また、異なるビームでは異なるビーム成形、あるいは可視スペクトルまたは赤外線スペクトル内の任意の波長で、励起ビームでは規則波、抑制ビームでは特異波を生成することが好ましい。無色ビーム成形を実行し、可視光または赤外光の全領域にわたって偏光毎に異なり、ある偏光では規則波、別の偏光では特異波を生成する機能は新規である。PSITモジュールは、共通の光路、収色性、「ビーム成形」の特性を組み合わせた光学システムを形成する。知られる限り、どの文献でも、共通路を有し、無色であり、異なるビームで異なるビーム成形が可能であるシステムは紹介されていない。このようなシステムは、STEDの設計と使用の簡易化を明らかに向上させる。
【0198】
3D STED
多くのシステムは、第三次元におけるSTEDの概念を拡張するように提案されてきた。STED−3Dのセットに使用される解決策は、Stefan Hellチームによる参考文献36で提案される「抑制リング」である。「抑制リング」は、強度が焦点野の中心でゼロであり、焦点外れと共に比較的急速に上昇する「黒球」分布を形成する。光球体によって三次元で包囲される黒点を形成する「黒球」の実装は、Zhang[29]と本特許の著者のうちの1人の参考文献37に記載されている。
【0199】
頭字語
本特許出願では、本発明の実行に適したプラットフォーム、モジュール、システムを名付けるため、「円錐回折を用いる超解像」の頭字語SRCDを使用する。
【0200】
本特許出願では、「各種トポロジの強度の投射シーケンス」法の頭字語PSITを使用する。また、PSIT法使用して、2以上の波長で、順次または同時に異なるトポロジの光強度のシーケンスを投射することもできる。
【0201】
本特許出願では、頭字語のPDOS「位置依存光学セマフォ」を使用する。
SRCDPプラットフォーム「超解像プラットフォームを使用する円錐回折」は、円錐回折に基づき光学モジュールを使用する顕微鏡用プラットフォームである。
【0202】
本特許出願では、本発明を実行するのにPSIT法を実行する光学モジュールを呼ぶため、頭字語LatSRCSを使用する。
本特許出願では、PDOS法を実行する光学モジュールを呼ぶため頭字語LongSRCSを使用する。
【0203】
以下詳述するSRCDPプラットフォームは主に、2つのハードウェアモジュール、顕微鏡に搭載される2つの新たな補完的光学モジュールであるLatSRCSおよびLongSRCS光学モジュール、アルゴリズムモジュールSRCDA「円錐回析アルゴリズムを使用する超解像」を備え、超解像サンプルの情報を再構築する。また、SRCDPプラットフォームは、高度な検出モジュール、システムの制御モジュール、ソフトウェアサポートを含む。
【0204】
また、本発明の特定の実施形態は、PSITおよびPDOS法、プラットフォームSRCD、LatSRCSおよびLongSRCS光学モジュール、SRCDAアルゴリズムの実行の多数の変形に関する。
【0205】
発明の詳細な説明
光分布
円錐回折によって生じる光分布
図7aは、0.388の正規化円錐パラメータρ
0を有する円錐結晶を通じて形成され、異なる入力および出力偏光状態の場合のスカラー概算によって算出され、入力または出力に円状または線状偏光子あるいは放射または方位角偏光子を含む光分布を示す。これらの光分布は、対物レンズの焦点ではなく撮像中間面で算出され、ベクトル効果から円錐屈折を分離する。偏光の入力および出力状態は、線状偏光の角度と円状偏光のキラリティによって特徴付けられる。
【0206】
図7bは、0.818の正規化円錐パラメータρ
0を有する円錐結晶を通じて形成され、異なる入力および出力偏光状態の場合のスカラー概算によって算出され、入力または出力に円状または線状偏光子あるいは放射または方位角偏光子を含む光分布を示す。これらの光分布は、対物レンズの焦点ではなく撮像中間面で算出され、ベクトル効果から円錐屈折を分離する。偏光の入力および出力状態は、線状偏光の角度と円状偏光のキラリティによって特徴付けられる。
【0207】
これらの図面は、入力または出力に円形、線形、方位角、または放射偏光子を含む多数の様々な伝達関数を提示する。この説明は、図示する円形、線形、方位角、または放射偏光子、楕円形のダイクロイックまたは部分ダイクロイック偏光子、空間的に変動する偏光子を含めることによって完了させなければならない。また、
図7aおよび7bに示すように、これらの伝達関数は、標準化円錐パラメータρ
0の関数として大きく変動する。また、2つの円錐結晶、または1つの円錐結晶と1つの一軸性または二軸性結晶(光が円錐回折と異なる伝播方向に伝播する)を縦続に導入することによって、
図7cの2つの円錐結晶のようにずっと大きな伝達関数が可能になる。
【0208】
要約すると、本特許出願において、円錐回折伝達関数と称するとき、セットの伝達関数は、縦続の小数(<6)の結晶と、静的または動的、均一または空間的に変動する偏光要素とによって取得することができる。
【0209】
主に以下の光分布について述べる。
・基本の
図7a
00および
図7a
11は平行円形偏光子間で得られ、その分布はエアリー分布に近似する。
・渦
図7a
01および7a
10は交差円形偏光子間で取得される。
・「三日月」分布またはストークスと称される分布。サブ図面7a
0、2−5、7a
1、2−5、7a
2−5、0、7a
2−5、1、
図7cは「三日月」またはストークスによる分布の軸方向変動を示す。これらの分布は、円形偏光子と可変角度を有する線状偏光子との間で取得される。この分布は非対称であり、軸は線状偏光子軸に従って回転する。
・「半月」分布と称される分布。サブ図面7a
42、7a
35、7a
24、7a
53は、2つの交差偏光子間で取得される。この分布は対称である。
・「オフセット半月」分布で称される分布。異なる軸位置で「オフセット半月」分布を示す
図7dは、いくつかの楕円率値に対して2つの楕円偏光子間で取得される。
・
図7eを参照すると、本発明は、円錐回折の2つの均等な結晶間に半波長板を配置することによって生成される「ダークヘリックス」と称される新規な分布を示している。この分布の具体的な特徴は、円形入力偏光ありと解析器なし、あるいは入力偏光子なしと円形解析器ありのいずれかで実現できることである。この特性は、光学システムを簡易化し、偏光に基づく多くのシステムに固有の光子損失を低減させる。
・より複雑な光分布。
図7bは、0.5よりも大きい正規化円錐パラメータρ
0を有する結晶を示す。
・追加の光分布の形成。結晶間に静的または動的偏光要素を伴う、または伴わない2つ以上の結晶が縦続する円錐結晶(図示せず)を使用する。
【0210】
様々な光分布が、入力または出力偏光の変更によって実行される。様々な光分布が同一の光路をたどり、これらの分布を形成する光学システムは、上述したような共通路を有する光学システムである。多数の偏光要素が、異なる波長で異なる偏光を有する。これらの要素のうちの1つを使用することで、コンパクトな2つの波が形成され、ある波長で規則波、別の波長で特異波が形成される。このような装置では、場合によっては光学システムの誤差または変動によって限定される放出抑制の概念が単純化される。
【0211】
上記の説明は、どの光ビームに対しても有効ではなく、励起ビームまたは抑制ビームを形成する後述の光学LatSRCSモジュールに主に関する。
しかし、円錐回折は、たとえば後述するLongSRCSモジュールのように、放出ビームを形成するために使用することができる。このモジュールの新規な変形は、水平方向、主に軸方向の変動を提供するようにPSFを形成することから成る。この放出ビームのPSFの変形は「PSF」と称され、異なる原理で多くの用途を有する。たとえば、PSFを変更して軸方向依存を生成する円錐回折に基づくモジュールでは、後述するように、1以上のナノエミッタの長手方向位置と水平方向位置を測定することができる。
【0212】
冗長性およびランダム位相変動
図7に示す基本的な光分布は、いくつかの方法で取得することができる。また、それらのうちのいくつかは、他の基本的光分布の線状組み合わせとして取得することができ、たとえば、渦は2つの直交「半月」光分布の合計によって取得することができる。
【0213】
この冗長性により、生物学的対象の多くの測定工程に不可避で存在するランダム位相誤差を平均化することができる。
また、新たな光分布は、基本的光分布の数学的組み合わせとして取得することもできる。4つの分布「三日月」の数学的組み合わせから算出される「疑似渦」光分布は、原点で急激な曲線を有する特徴を有する。
【0214】
ベクトル効果および蛍光ダイポールの方向
これまで開発されてきた理論は、顕微鏡35の撮像面の光分布について説明する。サンプルに投射される光の分布は、幾何的撮像の理論に応じて、画像面の光分布の縮小画像である。
【0215】
ただし、本文書で広範に説明したように、高開口数の対物レンズの場合、幾何的撮像理論は精密ではなく、ベクトル効果を考慮に入れなければならない。これらの効果は主に、長手方向に偏光される成分の存在による。
【0216】
再度
図6aを参照すると、ベクトル効果を低減するため、最後の解析器を固定させ、出力偏光を制御する出力偏光適合サブモジュール74を固定または可変に追加することが有効であろう。我々が発見したように、円形対称性を有する出力偏光は、ベクトル効果を大幅に低減し、蛍光ダイポールの方向に適合させることができる。このような偏光は円形、放射、または方位角とすることができる、あるいは位置に依存する。円形偏光の場合、出力偏光適合サブモジュール74は単に四分の一波長差板である。この場合、長手方向偏光の要素は渦状対称性を有し、高開口数の顕微鏡対物レンズでも、ストークスパラメータの形状をごくわずかに変化させるだけでシステムに好適に組み込まれる。
【0217】
もしくは、出力偏光適合サブモジュール74は、可変および/または制御可能とし、コンパクトな光分布毎のトポロジと対称性に適合される。
【0218】
*変形ウラストンプリズム
なお、ウラストンプリズムは、入射ビームを、ある角度によって分離される2つの出現ビームに分割するために使用することができる。縦続の複数のプリズムを使用することによって、入射ビームを多数の出現ビームに分離することができる。同じ効果は、ウラストンプリズムを変形させ、複屈折の指数と配向が適切に選択される一軸性結晶片を追加することによって複合ウラストンプリズムを作成し、達成することができる。このように、一軸性結晶の単独のブロックのプリズムは、入射ビームを、1面に含まれ均等な角度で分離される2
nの出現ビーム(たとえば、8または16)に分割することができる。いったんサンプルに焦点が合えば、その結果、2
nの点が並べられて、均等に分離される。入射ビームがLatSRCモジュールを通過していれば、これらの2
nの点は2
nのエアリーパッチではなく、モジュールによって作成される分布はすべて同一である。このビームスプリッタを使用する利点は、単独の光点ではなく2
nの光点が存在するために、より高速でサンプルを走査することである。
【0219】
変形ウラストンプリズムは、本発明に記載の方法と組み合わせて、両者間の関係を変更せずにすべての光分布を複製することができる。
変形ウラストンプリズムは本発明に記載のSTED法またはその他の標準的なSTED法と組み合わせて、両者間の関係を変更せずにすべての光分布を複製することができる。
【0220】
測定パラダイム
共焦点顕微鏡の機能は、3空間次元で、サンプル体積の観察領域をできる限り小さな解析体積に限定している。
【0221】
当然の帰結として、共焦点蛍光顕微鏡では、取得される情報は、単独のエンティティとみなされる全体解析体積に関する単独値である。より明瞭には、解析体積内のナノエミッタの位置に関する詳細情報は、共焦点顕微鏡では事前に入手できない。照射体積内でさらなる区別を可能にする追加光学情報を生成できないことは、一般的に認められている。
【0222】
次に、少なくとも本発明の一実施形態に係る測定のパラダイムの簡略概念図である
図4dを参照する。そのパラダイムは、
図4aに概略的に示す蛍光共焦点顕微鏡のパラダイムよりもずっと意欲的である。
図4dでは、テスト体積60は顕微鏡対物レンズ22の焦点面に形成される。テスト体積は、数個のナノエミッタ53〜59から成る疎対象51を含む。システムの結果は、再構築疎対象63、ナノエミッタリスト、特性リスト64である。
【0223】
次に、少なくとも本発明の一実施形態に係るSTEDの概念に基づく、別の測定パラダイムの簡略概念図である
図4eを参照する。二次元空間(STED2D)または三次元空間(STED3D)では、この測定パラダイムは、最も小さなサイズの体積である解析体積でサンプルの観察領域を制限する。
図4eでは、解析体積60は顕微鏡のレンズの焦点面に形成され、数個のナノエミッタ53〜59を備える疎対象51を含む。抑制効果を介して、1以上の抑制波2000は、解析体積を2001で表される小さな体積まで低減する。本パラダイムでは、共焦点の場合のように、すべての効果が重ね合わされて、より小さな解析体積60を生成する。この体積は、システムによって検出される基本領域のサイズを決定する。
【0224】
次に、2つの上述のパラダイムを組み合わせた、本発明の少なくとも一実施形態により使用される第3の測定パラダイムの概略概念図である
図4fを参照する。
図4fでは、解析体積60は、顕微鏡のレンズの焦点面に形成され、数個のナノエミッタ53〜59を備える疎対象51を含む。抑制効果を介して、1以上の抑制波2000は、解析体積を2001で表される小さな体積まで低減する。
図4dにおいて、この体積は、数個のナノエミッタ53〜59を備える疎対象51を含む。しかしながら、
図4dと異なり、
図4eと同様に、基本体積が1以上の抑制波によって縮小される。システムの結果は、再構築疎対象63、ナノエミッタリスト、特性リスト64である。
図4d〜4fの疎対象の使用は例示であり、これらの図は必要な変更を加えて、連続対象を完全に表すことができる。
【0225】
測定方法
PSIT測定
本発明の一実施形態に係るPSIT測定方法では、解析体積に、トポロジの異なる1シーケンスの光分布を投射する。
【0226】
PSIT測定方法は以下の機能を実行する。
・サンプルに、異なるトポロジ群のコンパクトな光分布の放出シーケンスを投射する。
・コンパクトな光分布毎に
・サンプルに、ナノエミッタにより光を放出する。
・顕微鏡光学素子により光学像を形成する。
・光検出器上の光学像を取得し、デジタル画像を作成する。
【0227】
より詳細には、以下が着目される。
送信シーケンスは、異なるトポロジ群の少なくとも2点状の光分布を備える。
送信シーケンスは、ナノエミッタでラベリングされた生物学的サンプルに投射される。各ナノエミッタから出現する放射光は、非干渉の場合は各ナノエミッタの光強度、干渉の場合は電磁界に依存し、光ナノエミッタの三次元空間位置に入射し、ナノエミッタの上記光サンプリング特性は上述したとおりである。
【0228】
サンプルに投射される送信シーケンスの各光分布パターンに対して、光学像が形成される。送信シーケンスのすべての光分布に対応するセットの画像は、1シーケンスの画像と称される。
【0229】
本実施形態に係るPSIT法は、各ナノエミッタの主に水平方向情報、すなわち、水平方向位置を取得することができる。
一実施形態では、PSIT法は、円錐回折によって生成され、入力および出力の偏光状態の変動によって変更される、異なるトポロジの光分布の投射によって実行される。
一実施形態では、PSIT法を使用して、2以上の波長で、順次または同時に異なるトポロジの光強度のシーケンスを投射することもできる。
【0230】
PSIT法および軸方向超解像
PSIT法は当初、水平方向の超解像を可能にするように設計されたが、PSIT法はナノエミッタの長手方向位置を取得するように使用することができる。実際、ナノエミッタの長手方向位置の変動に対して妥当な限度内で比較的無感応である基本的光分布もあれば、比較的高感度である基本的光分布もある。コンパクトな光分布のシーケンスは、長手方向位置に無関係なものもあり、長手方向位置に依存するものもあり、ナノエミッタの長手方向位置を明らかにする。
【0231】
また、ナノエミッタの長手方向位置に大きく依存する光分布の場合、一連の基本的光分布は一方が他方に対して長手方向にわずかにずれており、サンプルに投射して、長手方向情報を含む1セットの画像を得ることができる。
【0232】
原型PDOS法
本発明の一実施形態に係るPDOS法は、少なくとも2つの検出器の間でナノエミッタによって再放出される光の「光学セマフォ」の分布を含む。これは発明者らの1人によって記載されている[37]。
【0233】
理想的には、光学セマフォの機能は、異なる検出器のテスト体積を異なる領域に分割することである。実質上、光学セマフォは検出器毎に、光ナノエミッタの空間内の位置に応じて、光ナノエミッタから放射される光の伝達関数を生成し、伝達関数は検出器が異なれば異なる。
【0234】
一実施形態では、PDOS法は、様々な検出器で、対物レンズの焦点面に配置されるナノエミッタから出現する平行光と、焦点面内または焦点面を超えて配置されるナノエミッタから出現する非平行光とを分割するように実行される。
【0235】
PDOS法によって、略長手方向情報、すなわち、各ナノエミッタの長手方向位置を取得することができる。数学的には、本発明のいくつかの実施形態に係る方法は、空間内のナノエミッタの空間分布を、1セットの画像から成る未処理情報に変換する伝達関数を提供する。アルゴリズムは逆算を実行する。該アルゴリズムは、未加工情報内の画像セットから、空間内のナノエミッタの空間分布を再構築する。
【0236】
変形PDOS法
ナノエミッタの軸方向および/または水平方向位置に関して放出ビームを形成する光学方法である変形PDOS法も提示する。この方法は、単独のチャネルで、生成される分布を表すパラメータのうちの1つの変化を利用して軸方向または水平方向パラメータを測定するPDOS法を実行する。使用されるパラメータは、軸方向の螺旋状変動を有する分布の角度パラメータ、または分布のローブ間の比−分布は軸方向変動を有する2つのローブ(またはそれ以上)を備える−のいずれかとすることができる。この方法は、[37]で発明者らのうちの1人が説明する原型PDOS法とある程度類似するが、原型バージョンのPDOS法で説明されるように、2つの検出器間の強度比ではなく、軸方向または水平方向パラメータの測定に使用される分布のトポロジの変動によって異なる。この方法は、原型方法に関しては、PSIT法の補完的方法としての用途を有するだけでなく、PALM、STROM、またはGSDIM形式などの位置形式ではナノエミッタの軸方向位置の用途も有する。
【0237】
PDOS法および水平方向測定
PDOS法は当初、長手方向超解像用に設計されたが、PDOS法はナノエミッタの水平方向位置の測定にも利用することができる。事実、基本的光分布は、ナノエミッタの水平方向位置の変動に反応する。面状サンプルの場合、光投射が不可能なとき、PDOS法は超解像測定を実行するPSIT法と置き換えることができる。
【0238】
これらのすべての変形は本発明の一部とみなされる。しかし、本発明者は、1実施例では、2つの別々だが補完的な光学モジュールにおいて、水平方向測定値と長手方向測定値とを分離して、各補完的モジュールの複雑度を低減することを選択している。
【0239】
発明の特定の実施形態の情報
本発明の特定の実施形態では、中間結果である未加工情報が検出ステップの最後に取得される。未加工情報は、光分布oの場合の、検出チャネルρからの画像を表す1セットの画像Aop(m、n)を備える。
【0240】
共焦点顕微鏡などでは、測定工程は、より大きな対象の小さな体積を解析する。したがって、共焦点顕微鏡と同様、走査工程、ソフトウェアモジュール統合、表面および/または三次元対象のデータ点の解析および視覚化などの追加モジュールを必要とする。
【0241】
数学的には、アルゴリズムは逆問題またはパラメータ推定を解決する。モデル式は既知であり、モデルはパラメトリックまたは非パラメトリック的に、ナノエミッタの構造に基づき事前に使用される。最も自然なモデルは小数のナノエミッタの推定からなるが(疎な対象)、連続モデルも使用して、一次元構造(線、曲線)または特定パターンの存在を推定することができる。よって、逆問題とパラメータ推定を解決するために、当業者にとって既知なすべての数学的手順を使用することができる。以下、本発明の一実施形態による測定に特に適合されるアルゴリズムの1例について述べる。
【0242】
また、シンボル値に関して、相互にわずかに距離をおいて配置された2点を識別するという問題に対する新たな解決策を提示する。Rayleigh卿によって研究されたこの問題は、多くの光学分野において解像基準の基礎となる。
【0243】
詳細な説明の理解を深め、現状技術に対する本発明の貢献をより深く認識するため、本発明の実施形態の特徴を大まかに説明した。本発明の多くの追加の特徴を以下説明する。
【0244】
システム
ハードウェアとアルゴリズムプラットフォーム
本発明の一実施形態に係る方法は、
図5に示すハードウェアとSRCDPプラットフォーム500と称されるアルゴリズムプラットフォームである。
【0245】
SRCDPプラットフォーム500は、上述する2つのPSIT法とPDOS法を原型または変形で組み合わせる、STED手法を使用する、あるいは、STED手法とPSITまたはPDOS法とを原型または変形で組み合わせることによって本発明の一実施形態に係る方法を実行する。
【0246】
上記実施形態のうちの1つで、SRCDPプラットフォームは、
図5で、複数のナノエミッタを含む生物学的サンプル11を観察する。SRCDPプラットフォームによる生物学的サンプルを観察する結果、観察されたサンプルを表す超解像情報が取得される。
【0247】
SRCDPプラットフォーム500は
図5では以下を含む。
ハードウェア部では、
・上述の共焦点顕微鏡と類似し、上述するようなすべての適切な構成要素を含むように適合または最適化される共焦点顕微鏡200。
・標準的な顕微鏡に搭載される2つの新たな補完的光学モジュール。2つの新たな光学モジュールはLatSRCS、700とLongSRCS、800であり、
図6および8を参照してそれぞれ以下詳述する。LatSRCS光学モジュール700は、本発明の一実施形態に係るPSIT法を実行するのに必要な照射ステップを実行する。もしくは、光学LatSRCSモジュール700は、本発明の別の実施形態に係るSTEDまたはRELSOFT手法の実行に必要な照射ステップを実行する。原型または変形光学LongSRCSモジュール800は、本発明の一実施形態により、PDOS法の複数の出現画像における光強度分布のステップを実行する、あるいは、水平方向または軸方向パラメータの関数として出現PSFの変動を実行する。
・SRCDAアルゴリズムモジュール600は、SRCDPプラットフォームによって生成される画像から生物学的サンプルの超解像情報を再構築することができる。
・コンピュータ66およびソフトウェア67などの他の補足要素が、プラットフォームの実現に必要な場合がある。
【0248】
検出モジュール
共焦点顕微鏡を走査する際、検出器は、PMTまたはSPADである単独の要素から成る検出器である。検出器の取得時間は走査機構によって決定される。
【0249】
改良検出モジュール65は、小数の画素を有する小型検出器を用いて実装することができる。このようなモジュールは適切な技術の欠如のため、10〜20年前には可能ではなかっただろう。今日、小数画素、高速、低ノイズという特徴を有する小型検出器が、いくつかの技術に基づき利用可能となっている。近年、32*32の小数画素のSPADアレイは、最大1MHzの取得速度であることが証明されている。また、改良検出器モジュール65は、CCD、EMCCD、またはCMOSセンサを用いて実現することもできる。小数画素のCCDセンサ、CMOS、EMCCDが存在し、具体的に設計することができる。また、CCDセンサ、CMOS、EMCCDは、いくつかの検出器で利用可能である該当領域、サブウィンドウまたは「ビニング」、「クロップ」、あるいは「高速運動」モードなどの特徴を利用して使用することができる。
【0250】
本明細書で言及する時空情報は、各蛍光光子の衝突の位置と時間である。実際のシステムでは、時空情報が検出器のノイズによって損なわれて不正確な光子を生成するだけでなく、非効率な検出によって検出されていない光子が作成され、性能が低下する。SPADアレイでは、光子毎に、検出した画素と衝突時間が受信される、すなわち、時空情報全体が入手可能である。CCDセンサ、CMOS、またはEMCCDの場合、時空情報を概算するのに複数フレームの取得が必要である。
【0251】
いくつかの実施例では、個別の検出器に言及する。多くの場合、センサは物理的分割することができる、あるいは、単独の検出器上の異なる領域から成ることができる、あるいはこの2つの組み合わせも可能である。
【0252】
制御モジュール
図11および
図5を参照して、本発明の好適な一実施形態により、SRCDPプラットフォーム500に組み込まれる各種制御要素を説明する。
【0253】
システム制御装置1101の手順を利用して、制御モジュール1100は、SRCDPプラットフォーム500の光学パラメータ、改良検出モジュール65の電子パラメータ、アルゴリズム手順SRCDA900の数学的パラメータを監視および変更して、システムまたはユーザが定義する基準に応じて出現情報を最適化する。制御はプラットフォーム600、800、900の各種要素の制御システム1102、1103、1104を変化させることによって実行される。制御システム1100は、利用可能であれば、コンピュータサポートによって中継される外部情報1105も使用する。注:1105は
図11には存在しない。
【0254】
本発明の適用は、本明細書に記載する、あるいは図面に示す細部に限定されないと理解される。本発明は、様々な形で実施および実行される他の実施形態が可能である。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱せずに、様々な変形および変更を上述するような本発明の実施形態に適合させることができると容易に理解するであろう。
【0255】
SRCDAアルゴリズム
上述の再構築アルゴリズムは、PSITおよびPDOS法の手段によって解析される所与の場だけでなく、PSITおよびPDOS法によって取得される測定値が他の顕微鏡形式を利用する追加の測定値によって補強される場合にも適用される。たとえば、シーンのモデルの特定のパラメータを設定するために、同一の水平方向または軸方向位置、または異なる位置で、共焦点顕微鏡または広視野顕微鏡の測定を行うことができる。共焦点顕微鏡の場合、直接モデルは、異なる位置で投射される信号間の有効範囲は、所与の点で、より多くの測定値を考慮に入れるという事実によって補強される。しかし、オフセット投射される信号は投射信号のリストを追加するだけなので、これらのオフセット信号を検討することは複雑度を追加しない。
【0256】
次に、本発明の一実施形態に係る蛍光物質データの超解像用のアルゴリズム方法900の概略図である
図9を参照する。
図9に示すアルゴリズム手順は、蛍光物質の数を定量化し、各蛍光物質の特性を取得し、各出力パラメータの精度を定量化する。
【0257】
前処理手順111は、超解像画像セット112で時空情報110を再編成する。この作業は、フィルタバンク手順を用いて実行することができる。データの中間セットは、短い一連の小さい画像、通常は16×16の画素である。前処理手順は約数千の小数の時空要素に適用され、既存のコンピュータ装置を用いてリアルタイムで実行することができる。
【0258】
主算出ステップであるディスクリプタ手順113は、各画像から1セットのディスクリプタ114とその統計的妥当性を生成する。ディスクリプタは、各画像の強度、画像上の光分布の存在、正規分布または渦の特徴付け、重心、1次以上のモーメントを含むが、それらに限定されない。
【0259】
第3のステップは、統計的に妥当なディスクリプタのみが保持されるフィルタリング作業115である。
分類作業116はアルゴリズムの最終ステップである。セットのディスクリプタ114と知識ベース117に基づき、アルゴリズムは、異なる測定ケースを単独の蛍光物質、長手方向または水平方向に分割される2つの蛍光物質、あるいは3以上の蛍光物質と認識することができる。
【0260】
SRCDAアルゴリズムは逆問題の伝統的な手法を利用することができる。しかし、3つの新規な光学的アプローチである変形MAPアルゴリズム、E−LSEアルゴリズム、ICEアルゴリズムが本特許出願に記載されており、本発明の一部を成す。
【0261】
光学モジュール
PSIT法を実行するLatSRCS光学モジュール
図6aを参照して、本発明の一実施形態に係る光学モジュール、LatSRCS光学モジュール、700、顕微鏡法における具体的機能を説明する。
【0262】
本実施形態に係るLatSRCS光学モジュール700は、サンプル内の複数のナノエミッタに、異なるトポロジのコンパクトな光分布のシーケンスを投射する光学モジュールである。各ナノエミッタは、ナノエミッタへの入射強度に応じた蛍光強度のシーケンスで蛍光発光し、ナノエミッタの水平方向位置を特徴付ける。大半の実施形態では、トポロジの異なるコンパクトな光分布は、規則波と特異波間の可変振幅および位相との干渉によって生成される。好適な実施形態では、規則波と特異波は薄円錐結晶によって形成される。
【0263】
LatSRCS光学モジュール700は、共焦点顕微鏡200の照射路に配置され、共焦点顕微鏡対物レンズ200を用いて、トポロジの異なるコンパクトな光分布のシーケンスをサンプル11に投射する。円錐回折を用いる実施形態では、サンプル11の特定位置での入射強度は、光分布パターン毎に、ストークスパラメータの特定の組み合わせに比例する。
【0264】
LatSRCS光学モジュール700は、正確な位置に入射する光の強度をサンプリングし(ナノエミッタ)、入射光に応じて蛍光を再放出するというナノエミッタに固有の上述の特徴を利用する。注目すべきことに、測定された情報は、コンパクトな光分布内のナノエミッタの位置に直接関係する。この情報は光を吸収し再放出する蛍光物質の機能によってフリーズして、光学チェーンを断つ。この情報は、検出器アセンブリ65によって回収可能な出現光分布として蛍光によって運ばれる。
【0265】
入射光が異なるトポロジのコンパクトな光分布のシーケンスに応じて一時的に変動する場合、再放出された蛍光の強度は同一の割合で変動する。再放出された蛍光のシーケンスは、トポロジの異なるコンパクトな光分布のシーケンスに比例する。この情報から、後述するようにナノエミッタの位置を取得することができる。
【0266】
本発明の実施形態に係るPSIT法は、顕微鏡における異なるトポロジのコンパクトな光分布のシーケンスの投射、疎対象と連続対象の相互作用、顕微鏡22の対物レンズによる反射光の回収、改良検出器アセンブリ65による蛍光の検出または未検出、適切なアルゴリズムによる情報の解析を指す。いくつかの実施形態では、改良検出アセンブリ65は、単独の検出器を備え、時間関数として全体強度を回収し、他の実施形態では、改良検出アセンブリは画素の小面積を含み、蛍光の空間分布も回収する。すべての取得情報は、水平方向超解像画像と称される複数の画像から成る。
【0267】
実施形態のうちの1つでは、特定の水平方向超解像画像に位置する照射体積内のナノエミッタの分担は、ナノエミッタ位置での入射光のストークスパラメータの特定の組み合わせに比例する。
【0268】
この新たな情報は、ナノエミッタの位置または連続対象の空間分布をさらに改善し、照射体積内に存在するナノエミッタの数を定量化し、同一の体積内に存在する複数のナノエミッタを区別するのに役立つ。
【0269】
次に、本発明の一実施形態に係るLatSRCS光学モジュール700の概略図である
図6aを参照する。
図6aは、LatSRCS光学モジュール700を示す。該モジュールは、
図3の円錐回折のモジュールの構成要素をすべて含み、円錐回折のモジュール300と同様に実装される。走査共焦点顕微鏡の光源の光学素子は、無色かつ無限の複合体であると仮定されるが、他の条件は付属光学素子を用いて適合させることができる。光源から入る入射光は平行光30である。光学モジュール700は、第1のレンズ31、アクロマチックレンズ32または上述する円錐結晶の機能を無色で実行するサブセット、第2のレンズ33を備える。上述の部分偏光子29も追加することができる。第1の2つのレンズ31および33は好ましくは、1:1の比のケプラー望遠鏡の形状で構成される。円錐撮像面35は、対物レンズ31および33の共通の焦点面に配置される。第1のレンズ31の開口数が、後述の円錐正規化半径を通じて円錐回折効果のパラメータを決定する。第2の対物レンズ33は、光の平行度を回復させ、顕微鏡でその光を投射する。該モジュールは、たとえば、回転四分の一波長板を含む偏光制御装置71、一対の液晶光バルブまたはポッケルスセル72、解析器73などのサブモジュールをさらに備える。ストークスパラメータの情報は、空間的に区別され、上述するような一連の情報を担持する光分布のシーケンスを通じて、シーケンス情報に変換することができる。
【0270】
放出ビームを形成する変形LongSRCS光学モジュール
ナノエミッタの軸方向および/または水平方向位置に関して放出ビームを形成する光学モジュールである変形LongSRCSモジュールも提示する。本モジュールは、単独のチャネルでPDOS法を実行し、生成される分布を表すパラメータの1つの変動が、軸方向または水平方向パラメータを測定するために使用される。使用されるパラメータは、螺旋状軸方向変動の分布に関しては角度のパラメータ、あるいは、軸方向変動の2つ(またはそれ以上)のローブの分布に関しては分布のローブ間の比とすることができる。本モジュールは、発明者らのうちの1人が[37]で説明する原型LongSRCSモジュールとある程度類似するが、LongSRCSモジュールの原型バージョンに記載されるように[37]、生成される分布のトポロジの変動が、2つの検出器間の強度比ではなく、軸方向または水平方向パラメータを測定するために使用されるという点で異なる。このモジュールは、原型モジュールに関しては、LatSRCSモジュールの補完的モジュールとしてだけでなく、ナノエミッタの軸方向位置、たとえば位置形式の場合は、PALM、STROMまたはGSDIM形式などの用途を有する。
【0271】
入力偏光と出力偏光が楕円であり、楕円の主軸の配向が相互に90度に直交するケースを詳細に説明する。これらの条件下で生成される分布のうち、いくつかの分布は大きな軸方向変動を示し、これらの変動を利用して、高い軸方向精度でエミッタの位置を測定することができる。
【0272】
これらの分布は、単独のローブを有する分布と、2つのローブを有する分布の2つの群に分割される。単独のローブでの分布は、Z軸を中心とした回転効果を有する。このように、線状偏光(楕円率=0度)と円形偏光(楕円率=45度)から生成されるストークス分布は、下記の表に表す変動を発揮する。適切なアルゴリズムを使用することによって、分布の配向を検出し、エミッタの位置を高い軸方向精度で類推することができる(
図7c)。
【0273】
また、いくつかのより複雑な基本的光分布は、長手方向の依存度が高い、より複雑に重複する波から成る。たとえばZhangが[29]で説明する「三次元暗点」は、発光球体によって三次元で囲まれる黒点を生成する。これらの「三次元の不明瞭な点」は、ラゲール・ガウス関数の重ね合わせから成り、レーザ空隙内で、Zhangが示唆するようにホログラムまたは位相板を用いて、あるいは本発明者が[37]で示唆するように一軸性または円錐結晶を用いて達成することができる。
【0274】
3D局在化
2以上のローブを有する特定の分布は、Z軸に沿った両ローブのオフセット効果を発揮する。よって、オフセット半月と称される分布は、90度に配向されるが同一の楕円率を有する2つの楕円偏光から形成され、変形を有する。適切なアルゴリズムを用いて、ローブ間の強度比を測定することによって、軸方向に高精度にエミッタの位置を推定することができ、この変形を
図7dに示す。この3D位置は、投射の際、すなわち、オフセット半月の1以上の分布を対象に投射し、本発明に記載のアルゴリズムなどの適合アルゴリズムを用いる際、あるいは、放出の際、放出された光を光学モジュールに通過させて、分布を生成し戻りPSFを解析する際に使用することができる。
【0275】
「ダークヘリックス」分布は、Z軸に沿って2つのゼロを接続する軸の回転効果を提示する。適切なアルゴリズムを用いて、2つのゼロを接続する軸を測定することによって、主軸方向に高精度でエミッタの位置を推定することができる。この3D位置は、投射の際、すなわち、オフセット半月の1以上の分布を対象に投射し、本発明に記載のアルゴリズムなどの適合アルゴリズムを用いる際、あるいは、放出の際、放出された光を光学モジュールに通過させて、分布を生成し戻りPSFを解析する際に使用することができる。
【0276】
球面収差
光学蛍光顕微鏡、またはサンプルの照射がサンプルの撮像から切り離される任意の光学システムでは、サンプルの各面または撮像対象の各場所で局所的に球面収差を推定する発明が提案される。
【0277】
照射ビームは、円錐回折とその位相および偏光効果を利用することによって照射ビームを形成できることが知られている。サンプルは不均一な光分布で照射され、この光分布は、3D分布が焦点面の上下に同一の強度の2つのローブを提示するように、黒球(トップハット)であってもよい。システムに球面収差が存在する場合、これらの2つのローブは同一の強度ではない。この効果は、焦点面の上下で照射する(照射と撮像を切り離す)ことによって画像、特に共焦点画像を撮影することができる。次に、2つの画像の強度比を解析することによって、システムの球面収差の質が得られる。
【0278】
球面収差を測定する別のアプローチは、円錐回折に基づくシステムの別の変形を使用する。
【0279】
事前判定と球面収差の測定
縦続の結晶を介して円錐回折によって光ビームを形成することで、球面収差に直接関係する強度分布が得られる。
【0280】
この分布は、交差線状偏光子と光軸の並んだ2つの二軸性結晶との間で得られる。半波長板が2つの結晶間に挿入される。特徴的な形状により、本分布を「四つ葉のクローバ」と称する。球面収差が存在しない場合、この分布は同一の焦点で4つの完全に均等なローブを備える。
【0281】
球面収差が存在する場合に「四つ葉のクローバ」分布において生成される対称性の破棄を示す
図12を参照する。
図12は、異なる値の焦点外れと球面収差に関してMatlabの下でシミュレートされた分布を示す。異なる値の球面収差の「四つ葉のクローバ」分布を示す図から明らかなように、光学システムによって生じた球面収差は、4つのローブの焦点と強度分布とにおいて同時に分布の対称性を破棄する。単純な質的観察によって、球面収差のバイナリ有無検査が可能である。球面収差の値は、ローブの焦点オフセット推定と異なる焦点面での強度比によって精密に測定することができる。
【0282】
近赤外領域でレーザダイオードによって生成される点監視によるビーム走査システムのリアルタイム較正
本発明に記載の光学システムは、ビーム走査システム(ガルバノミラー、双方向圧電ミラー、またはその他の任意のシステム)によって走査される点をカメラ上でリアルタイムで追跡するモジュールを組み込むことができる。近赤外領域の波長を使用することで、光学素子の色効果が不要になり、システムが共焦点顕微鏡に投射される複数の波長を較正するために利用できる。また、近赤外領域のレーザダイオードを使用することで、顕微鏡の較正レーザの短い通過で高い限界効果だけが確実に達成され、波長が蛍光の通常励起波長よりもずっと高い。
【0283】
これらのすべての変形は本発明の一部と考えられる。しかし、発明者は、特定の実施例では、2つの光学モジュールにおいて、個々に、しかし補完的に水平方向測定値と長手方向測定値を分離して、各補完的モジュールの複雑度を低減することを選択している。
【0284】
SRCDAアルゴリズム
E−LSE再構築アルゴリズムを含む多画像システム
上記の多画像システムは、対象の同一の二次元または三次元の空間領域から生じる1セットの様々な区別できる画像が、放出空間領域の空間および/またはスペクトル分布を解析する適切なアルゴリズムを介して登録および解析されるすべての光および光電子システムを指す。この区別は、上述したような空間的に異なる照明の投射によって行うことができる。また、照射のスペクトル成分の変動で区別することもできる。さらに、自然な運動または対象の外部から強制される運動で区別することもできる。最後に、PALMおよびSTROM工程と、それぞれが異なる頭字語を有する多数の変形とを含む確率検出に基づく超解像で使用されるシステムなど、自然または強制確率的効果を介して、二次元または三次元の対象の空間領域における確率変動で区別することができる。
【0285】
同一の放出空間領域内の画像を区別するその他の手段は当業者にとって既知であり、本発明の必須部分とみなされる。
E−LSE再構築アルゴリズムを含む多画像システムは、後述のE−LSEアルゴリズムを使用する多画像システムを指す。
【0286】
変形再構築アルゴリズムMAP
このアルゴリズムは、新規であり、従来のMAPアプローチと異なる以下の数学的特徴の組み合わせを提示するという点で、当業者にとって既知な文献内の既存のアルゴリズムと異なる。
・ベイズ式
・(概して、全変動型の再構築に事前に規則性を組み込む従来のMAPアプローチとは対照的に)陽性とは別に事前再構築を含まない。
・ポアソンノイズのモデリングは結果的に、Csiszarダイバージェンスの形式で書かれたデータ(周知の結果)に対する添付物となる。
・経験的な法則はMAPによって活用される、すなわち、目的は確率の再構築である(したがって、エネルギーの最大最小化問題はデジタル的に解決しなければならず、漸次減少型の反復的アプローチを介して実行しなければならない)。
・解像ゲイン係数(取得画像の解像に対する再構築のオーバーサンプリング係数)のモデルに導入する。
・再構築の「良好サンプリング」制約を課す(再構築スペクトルの最高周波数が0で強制される)
・「ピンホール」係数(デジタル共焦点)の導入
【0287】
E−LSE再構築アルゴリズム
提案されるアルゴリズムは、選択されたすべての照射によるサンプルの励起後、カメラ(または複数のカメラ)に記録された画像からサンプルの高解像画像を二次元または三次元で再構築する。このアルゴリズムは、複数の原理の組み合わせに基づく。
・再構築を逆ベイズ問題として公式化する結果、事後分布が定義される。この経験的な法則は、ベイズ法により、ノイズモデルの確率公式(他のノイズ源、特にカメラの読取ノイズが任意で重畳される光子の放出の同次多項性に固有であるポアソンノイズ)と、サンプル内の光分布の事前確率(陽性、正規性など)とを組み合わせる。
・E−LSEアルゴリズムは上述の変形MAPアルゴリズムと同じベイズ式を使用するが、異なって(より完全に)経験的な法則を利用する。実際、法則の平均が事後に算出され、最大値(大次元の問題により適することが分かっている)の点ではない。1984年にBesagによって企図されたアプローチ[30]は近年、全変動型の事前確率でノイズを除去する画像の場合にデジタル的に利用されている[31、32]。
・疎解に適する特定のまたは単純な幾何形状のエミッタ群を使用する(限られた数のエミッタ、あるいはエミッタが三次元のケースで曲線または面などの小さな範囲の構造に集中するサンプル。したがって、実際には、法則の平均は事後と事前の疎解で算出される)。
・経験的な法則の平均(最大値の点ではなく)を使用するため、使用するエミッタの数への依存が低くなる。したがって、使用するエミッタの数を、サンプルで有効に活性化される蛍光物質の数に対応させる必要がない。
・上述の参考文献[31、32]にあるように、マルコフ連鎖モンテカルロ法型(MCMC)のアルゴリズムにより事後平均を推定する[33、34]。
【0288】
アルゴリズムの一実施形態によると、限定数のエミッタを用いる事前疎性が使用されず、事後分布の平均が[31、32]の場合のように全画像に関して算出される。
【0289】
ポアソンノイズ
ポアソンノイズのみがモデル化される標準的な実施形態では、事後確率の密度法則が以下の式で書かれる。
【数8】
ただし、Zは標準化定数であり、光の伝播軸ではなく、これはアルゴリズムで発生しない。
【数9】
【0290】
ここで、エミッタ群はベクトルx=(x
1、x
2、...x
n)(nは再構築される高解像画像の場内の個別位置である)と、点x
1、x
2、...xnに配置されるエミッタの強度をコード化したベクトルλ=(λ
1、λ
2、...λ
n)とによって表される。タイプu
i(x、y)の各量が較正ステップ中に判定される。これは、インデックス照射i(したがって、ここでiは照射信号の位置と形状の両方をコード化する)に応答して、高解像の画像の画素xに位置するエミッタによってカメラの画素yに送られる強度を表す。実数の正の数Bは、概してサンプル(たとえば、拡散蛍光)とセンサに同時に生じる連続背景の強度に対応する。最後に、量m
i(y)は単に測定値に対応する(カメラによって記録される画像)。mi(y)は、インデックス画像i、すなわち、インデックス照射i後に記録される画像の画素yで測定される強度である。
【0291】
提案されるアルゴリズムは、密度p(x、λ)を与えられた法則に応じて発生するベクトルxおよびλによって表されるエミッタを有することから成る。アルゴリズムは反復的である。反復毎に、エミッタのうちの1つが(位置または強度で)乱され、この乱れはメトロポリス・ヘイスティングスアルゴリズムの原理[3]に応じて許容される、あるいはされない。再構築画像は反復毎に均等な荷重で平均化されることによって取得され、エミッタは構築されている。アルゴリズムの反復毎に、x
jとλ
jがそれぞれエミッタの位置と強度に対応する場合、N回の反復後の再構築画像Iは以下の式によって表される。
【数10】
【0292】
このアルゴリズムは以下のいくつかの改良を施すことができる。バーンインステップの導入(最初の反復は再構築で使用されない)、エミッタ初期化の最適化、反復毎の乱れの最適化(命題の法則)、後フィルタリングステップ(たとえば、光のガウスぶれ)の使用など。
【0293】
アルゴリズムの結果は、画像の形状あるいはデジタルまたはグラフィックデータの形状でユーザに送信することができる。
事前に既知である、あるいは事後に判定される対象の空間領域のグローバルパラメータを表す1セットの追加パラメータを含む第2のバージョンでも、同じ再構築アルゴリズムを使用することができる。
【0294】
このアルゴリズムは2つのバージョンで、対象の二次元または三次元の同じ空間領域から発生する1セットの異なる区別可能な画像が記録および解析されるすべての多画像システムにおいて使用することができる。
【0295】
動的E−LSEアルゴリズム
また、本アルゴリズムの変形である動的E−LSEアルゴリズムでは、エミッタの速度を検討することができる。
【0296】
動的サンプルの観察中、各エミッタを個々に、あるいは様々な速度を有するエミッタ群を定義することによって、観察対象の速度をE−LSEアルゴリズムに単純に組み込むことができる。「低速度撮影」(すなわち、同一のサンプルの時間をかけた連続的観察)として知られる撮像の場合、これは、最初の位置および速度によってパラメータ化されたモバイルエミッタから連続画像の同時再構築を行うことによって自然に実行することができる。単独の画像を取得する場合、戻りPSF(運動ブレ)への影響を介してシーンの動的特徴を検討し、同一のエミッタの複数回観察で変形を相互に対応付けすることもできる。走査中に取得される様々なマイクロ画像の「重複」適用範囲のため、(走査の時間成分により異なる瞬間で)複数マイクロ画像の取得中に要求されるように確保される。
【0297】
ICEアルゴリズム
近年、ICEアルゴリズムが、全変動による正則化の場合に画像からノイズを除去するために導入されている[39]。また、ICEアルゴリズムは、より複雑な逆問題(ブレ除去、補間)を解決するためにも使用することができる。この固定点型のアルゴリズムは非常に迅速に収束し、結果として生じる解は、この問題に関してLSEアルゴリズムと関連付けられる解と極めて近い。ICEアルゴリズムの原理は、条件付で、画素の事後法の平均の明示的算出の反復を介して、LSEによって実行される事後法の期待値の算出と置き換えることである。ただし、画像または多画像システムに関する逆問題へのICEアルゴリズムの適用が示されなければならない。
【0298】
較正
多くの場合、SRCDAアルゴリズムは、サンプルで抽出される入力測定値だけでなく、較正として知られるステップ後に取得される理論値に基づくシステムに固有のデータも使用する。本ステップでは、基準サンプル上で測定が行われて、光学システムの照射関数ともどり伝達関数(PSF)を正確に測定する。
【0299】
様々なSRCDAアルゴリズムの特異性と利点
上述する様々なSRCDAアルゴリズムは、従来技術に対する以下の差異と利点を提示する。
【0300】
変形MAP:
・解像ゲインの導入と、最高周波数の0でのフォーシング(「ナイトスカイ」型のアーチファクトを制限する)とにより自然に良好にサンプリングされる画像の生成
・制御された光学的複雑度(許容可能な算出時間を維持する)と、高品質の再構築(非線状最適化による逆問題の解、「再配置」型の線状方法、たとえば[40]を使用するよりも興味深い)との間の良好な折衷
【0301】
E−LSE:
・柔軟な形状での疎性仮説の導入(エミッタの数にあまり影響されない)
・特に、疎サンプルの場合に超高品質の再構築
・局地情報の量に適合させる方法の機能と、再構築の不安定性の良好な管理(複数の解釈が起こりうる場合の平均化現象)
・観察されるサンプルに応じて事前に異なる疎性をモデル化できる(限定または組み合わせによる点、セグメント、曲線、面、タイプなどのエミッタの使用)
【0302】
複合光学工程のアルゴリズム
少なくとも本発明の一実施形態に係る複合光学工程はSRCDAアルゴリズムの論理的補完である。実際に、SRCDAアルゴリズムによって取得される再構築の結果、追加画像が測定性能を向上させることができる。SRCDP顕微鏡法プラットフォームにより、PSITまたはPDOS法の1セットの光分布から1つ以上の追加画像を取得することができる。
【0303】
解像、疎性、照射のトポロジ、陽性
PSIT法によって生成される照射の特定のトポロジに基づきPSIT法を用いることでナノエミッタの解像限界を超過できることは、参考文献[37]で発明者らのうちの1人によって既に説明されており、次の段落にも再度記載する。
【0304】
より具体的には、非線状効果を利用しない顕微鏡法システムは、光学回折によって課せられる限界に対して、概して2の超解像係数に限定される[38]および[41]。しかし、疎シーンの場合(撮像ゾーンのサイズよりも相当少ないサンプルの実際のサポート。たとえば、フィラメントおよび/または特定のソースから成るシーンの場合)、および過剰に大きな連続背景が存在しない場合(再構築または有効画像の陽性限界など)、この2の限界はもはや有効ではなく、超過することができると認識され始めている[42〜44]。明白な例は、単独の画像を用いて単独の特定源を観察する場合である。この場合、再構築画像で達成可能な解像度(すなわち、ソースの位置を特定できる精度)は、光学回折ではなく、光子の量(より正確には、測定値の信号対ノイズ比)によって限定される。
【0305】
PSIT法では、本方法で使用されるトポロジの異なる複数の画像の取得に基づき、発明者らのうちの1人[37]が実証するように、固有の解像限界の不在を拡張して、2つの近接点(レイリー基準)の検出とそれらの位置の測定に際して、信号対ノイズ比に関連付けられる解像限界に置き換えることができる。この実証は、直線状に配置されない3点の場合の単純な変更によって拡張することができる。この実証は次の段落でも繰り返される。この実証は、次の段落に記載され、従来のシステムで使用されるセントロイド法と異なり、セントロイド法を補完する位置測定のための新たな機構に基づく。
【0306】
複数の特定のソースの場合、均一な照射であれば、信号対ノイズ比の他に、最大超解像係数は、シーンの特性:ソースの数(測定値の数に対する)、2つのソース間の最小距離など[43〜44]に依存する。PSIT法では、最大超解像係数は、上述の係数以外に、選択された照射に依存する。
【0307】
光の焦点ずれの検出および検討
多画像システム用の再構築アルゴリズムの使用に対する先行または同時解析ステップについて以下説明する。
【0308】
この原理は上述のアルゴリズムのうちの1つを、単独に限らず利用することに基づき、当該信号は、主に励起光が投射されている場所に位置決めされる。
画像毎、すなわち、レーザ位置、光分布、光分布の配向毎に、当該領域(ピンホール)に属する信号の割合を測定することができる。
【0309】
ピンホール比と称されるこの測定は、対象の空間領域において、検討される全画像で対象によって再送信される光子の総数に対して、各画像の対象領域で再送信および撮像される光子の割合を比較する方法から成る。
【0310】
この比が、ピンホール比に換算して所定モデル(たとえば、面状対象)を実証する、あるいは本モデルから大きく逸脱する場合、この比は撮像対象の性質に関する局地情報を提供する。
【0311】
ここで定義される基準は、0〜1の値と、対象がモデルを実証する場合に名目値PR_refとを仮定することができる。PR_refより低い値は、理論的または実験的規則の関数としてモデルを完全にまたは全く実証しない対象と関連付けられる。
【0312】
ピンホール比が上記の値から偏位する場合、異なるパラメータが、対応する再構築アルゴリズムに適用される。
また、たとえば、異なるパラメータまたは光分布で最初に対象を再測定する必要がある追加測定を行うことによって、別のモデル、したがって、最初のアルゴリズム以外のアルゴリズムを使用することができる。
【0313】
また、アルゴリズムを変更して、再構築アルゴリズムで発見されることの多い規則性(標準H^1、疎性1^1、1^0、全変動、高次の基準)を事前に再構築される対象に追加し、測定野に存在するモデル外の対象の影響を低減することができる。
【0314】
測定ノイズに対する再構築の変動性
システム用の再構築アルゴリズムの前または同時に実行されるステップを説明し、測定値がポアソンノイズ型のノイズ統計でノイズ化される。
【0315】
ポアソンノイズの特性は、パラメータIのポアソンVARのリアライゼーションから(平均)、事後処理を介してパラメータI/2のポアソンVARの2つの個別のリアライゼーションを生成できることである。
【0316】
乱数または似乱数の生成工程のため、パラメータ(n、p)の二項法則X1がシミュレートされる。ただし、nは最初のポアソン変数の測定値に等しく、この場合、光子の分離パラメータpは0.5に等しい。
【数11】
【0317】
数学的には、この特性は、総確率と一連の指数Rの分解の結果である。
光学レベルでは、この特性は、分離ミラー50/50が蛍光を撮像するカメラの前に配置され、第2の蛍光ビームを撮像する第2のカメラが同一の撮像条件下で配置される場合、2つのカメラは最初の信号の半分に等しい平均信号を取得し、常にポアソン法則に従うという既知の事実を示す。
【0318】
このように生成される両測定値の解析または再構築は分割光子法と称され、2つの個別の結果を確率として提供する。これらの2つの結果の差が示すように、各測定値の信号対ノイズ比が、係数平方根(2)の最初の測定で生成されるよりも低い場合でも、再構築アルゴリズムが測定ノイズに依存する。
【0319】
これらの2つの再構築の局所比較基準、ここでは、局所相似基準または局所構造相似インデックス方法(LSSIM)が使用されるが、他の画像の局所または全体比較基準を使用することもできる。
【0320】
この基準が当該基準の観点で不十分であるとき、すなわち、2つの再構築画像または信号間に有意差が存在するときは常に、最初の測定値に適用される再構築アルゴリズムと異なるパラメータが適用される。
【0321】
全体または局所規則性限界を有するMAPアルゴリズムなどの別のアルゴリズムを採用して、類似性マップまたは任意のその他の比較基準を使用して1つまたは複数の標準化パラメータを最適化することができる。
【0322】
また、分割光子法においてグラフィカルまたはデジタル的に使用される類似性マップまたは基準を考慮に入れて、再構築の測定ノイズへの局所または全体依存を示すことができる。
【0323】
さらに、二項法則ではなく、光子分離確率p1、p2...pkが異なるパラメータの多項法則(n、p1、p2...pk)を使用することによって、一対の測定値ではなくn組の測定値を生成することもできる。
【0324】
最後に、測定値の事後処理によって、しかしながら、疑似乱数生成器の粒度を変更することによって数対またはn組の測定値を生成することで分割光子法を反復することができる。乱数生成器の場合、数対またはn組の個々のポアソン変数が生成されるが、その対またはn組は独立していない。このため、一対/n組または数対/n組で取得される可変ゾーンまたは類似ゾーンの誤検出を低減することができる。
【0325】
PSIT法による位置測定点
PSIT法は、異なる測定機構を用いて高精度にナノエミッタの位置を測定する手法であって、セントロイド方法を補足する手法として使用することができる。
【0326】
ナノエミッタがデカルト座標で位置x、y、および極座標でp、θに配置されると考える。基本波と、直交軸に沿って並んだいくつかのいわゆる「半月」分布とから成る照射シーケンスがナノエミッタに投射される。
【0327】
前処理手順は2つの画像を生成した。
シーケンスの3つの画像の合計から成る「トップハット」画像と、2つの半月画像の合計から成る渦画像である。
第1のディスクリプタはデカルト位置であり、画像「トップハット」のセントロイドのアルゴリズムを用いて算出される。
【0328】
図10を参照すると、因数πによって正規化されるアークタンジェントに等しい、渦波I
Vによって照射されるナノエミッタが放出する正規化強度と、基本波I
Fによって照射されるナノエミッタが放出する正規化強度との強度比のパラメータp
aを測定することによって、放射方向位置pを明瞭に測定することができる。実際に、
・基本波によって照射されるナノエミッタの放出する正規化強度は、基本波の中心で1からエアリーの半径で0まで変動する。
・渦波によって照射されるナノエミッタの放出する正規化強度は、渦中心で0から最大渦で1まで変動し、0からエアリーの半径よりもわずかに高い値に達する。このアークタンジェントは単調関数である。
【0329】
azimuth位置は、第1の半月分布I
Hによって照射されるナノエミッタによって放射される総強度と、第2の半月分布I
VEによって照射されるナノエミッタによって放射される総強度との強度比を測定することによって測定することができる。これらの2つの強度間の比は、幾何的接線二乗検波である。
【数12】
【0330】
両方の測定値は冗長である。この冗長性は、単独点として観察される対象を性格付け、サンプルに存在する可能性のある他の対称から分離するための手段である。
ナノエミッタの位置を高精度で測定するための本発明の一実施形態に係るPSIT法を直接適用するには、この測定手法を、局所確率光学再構築用の新規な手法に統合する。確率的手法の適用可能性の制約の1つが測定工程であり、多数の画像を必要とするため、長い測定時間と強い光毒性を要する。エアリーディスクを超える解像度でマイクロ秒またはナノ秒の速度で光エミッタの位置を測定する本発明の少なくとも一実施形態に係るPSIT手法を使用することで、確率手法を多くの新規な用途にまで拡大することができる。
【0331】
PSIT法の使用から生じる画像は、画像内の構造化対象、線、円などを認識する一般的なハフ法を用いて処理することもできる。
【0332】
2点の認識および測定:新たな解像基準
次に、極座標の位置ρ、θおよびρ、−θを中心に対称的に配置される同一強度の2つのナノエミッタを検討する。前の段落に記載するシステムを使用する。3つのディスクリプタは以下の結果をもたらす。
・セントロイドは、原点である光分布のセントロイドを測定する。
・識別子ρは、2つのナノエミッタの共通の放射値を測定する。
・θディスクリプタは、半月の場合、θと−θ間の縮退を含み、値θを測定する。
【0333】
上述したように、ディスクリプタρの値がゼロでない場合、ケーススタディは1点ではなく2以上であることが既知である。また、ディスクリプタρおよびθにより、レイリー基準によって定義される解像度よりもずっと高い解像度で2点の特徴を測定することができる。さらに、複合工程を用いて、このケースと、3以上の点の大半のケースとを分離することができる。半月が角度θで傾斜した追加の光分布をサンプルに投射することができる。この画像の結果に基づき、2点の存在の仮定が確認または否定される。実際に、2点、線、または角度θの方向に並んだ一連の点の場合、測定されるエネルギーはゼロとなる。
測定は事前に限定されない。当然ながら、最初は、信号の質、変動、様々な欠陥に関連する実際的解像限界が存在する。実際的限界が無視される場合、解像限界は検出された光子の数に関連付けられる。
【0334】
したがって、実質上、PSITおよび/またはPDOS手法を用いるシステムの解像度は、観察されるサンプルに依存する。疎にマークされるサンプルの場合(すなわち、蛍光マーカが非密構造の壁、膜、フィラメント、特定ソース型に配置される)、得られる解像度は(局所的にまたは全体に)係数2を超過することができる。
【0335】
ダークトラッキング
円錐回折は、あらゆる超解像または超配置手法を、単独の分子の位置に適用することができる。次に、「ダークトラッキング」として知られる原型手法を概略的に示す
図8を参照する。
【0336】
図8を参照すると、80は、初期位相、すなわち、共焦点スキャナまたはその他の既知の光学方法を用いたエミッタの検出を表す。81は、エミッタ上のビーム渦の配置位相を表す。82は、エミッタが渦中心に対して移動し、検出可能な蛍光を生成するビームの一部によって励起されるケースを表す。83は、蛍光が生成および検出されないように(記録位置Xi、Yi)、ビーム渦の中心にエミッタが再配置された状態を表す。84は、別個の位置システムが補正位置に応じて要素を再配置する反応ループに対応する。
【0337】
本方法によって使用される光分布は、円錐回折によって生成される渦である。ただし、この手法は、円錐回折によって生成される他の渦または他の分布を利用することができる。当該分子がλで励起することができる1以上の蛍光物質によってマークされていると仮定する。まず、分子の位置が、λで典型的な共焦点画像によって検出される。次に、スキャナの位置が、渦中心が正確にエミッタの位置と合致するようにサンプルを刺激すべく調節される。蛍光信号が高感度カメラ(たとえば、EMCCDまたはsCMOS)またはPMTによって検出されて、大きな同次多項式効果により低振幅のエミッタの信号を検出できる。位置工程は、エミッタがまさに渦中心にあるとき、蛍光信号が存在しないことに基づく。強度勾配が渦中心に近いとみなされる事実により、エミッタの正確な位置が取得できる。エミッタがわずかに移動すれば、エミッタが吸収する強度はもはやゼロではなく、位置と強度が画像から類推される蛍光信号を放射する。反応ループはエミッタ上の渦の中心を転換し、エミッタの位置を保存する。反応ループは、カメラ(最大1kHz)または検出器(数MHz)の実行速度で実行し、リアルタイムで継続的に分子を追跡することができる。エミッタを励起する信号を最小化することによって蛍光で発せられる信号を常に最小化することが目的であるため、位置を長時間にわたって追跡することができ、このような小量の光では脱色が発生する可能性が低い。位置の精度は画像の信号対ノイズ比に大きく依存するため、背景ノイズ(カメラと自己蛍光信号のノイズ)を考慮しなければならない。サンプルは、2つの異なる波長、λ
1およびλ
2によって励起することができる2つの異なる蛍光物質によってマークされると仮定する。波長に依存する異なるトポロジを有する2つのビームは共に伝播する。最初の波長(λ
1)は代表的なガウス形式を有し、サンプルの全体共焦点画像を生成する。第2の波長(λ
2)はダークトラッキングのために使用される渦ビームである。サンプルを走査するガルバノミラーを制御することによって、ダークトラッキングは、秒当たりの画像数よりもずっと高い頻度でエミッタの位置を追うように画像カメラのラインが走査される毎に実行することができる。本手法の主要な利点は、単独の分子を追跡する別の手法と比較して、単独の走査システムが使用され、追跡される分子に送られる出力が極めて低い。実質上、コンピュータによって生成されるホログラム、空間変調器、螺旋状波長板などの従来のビーム成形手法が使用される場合、主に固有の色度により、これらの2つのビームの使用、配向、成形は単純なタスクではない。アセンブリを簡易化するために円錐回折を使用することができる。適合された光学素子を使用することによって、結晶を適合させて、1つの波長を有する渦と、同一の光路をたどる別の波長のガウスビームとを生成することができる。これは、ファイバから開始される単純な光路を使用し、多数の実際上の問題を解決する。ダークトラッキング技術を容易に使用して、従来の粒子位置トラッキング手法が粒子の退色によってペナルティを受ける多くの生物学的問題を研究することができる。
【0338】
渦を使用する場合のダークトラッキングについて上述した。ただし、1以上の分布を用いる多くの変形は、例えば、分布は、半月またはストークスベクトル、あるいはゼロ強度と−可能であれば最大限の強さで−空間次元のうちの1つの関数として勾配とを有する任意の分布を含むがそれらに限定されないが、ダークトラッキングを実行することができ、本発明の一部とみなされる。多数の異なる光分布を形成する円錐回折の性能のため、これはダークトラッキングを実行する選り抜きの手段となる。
【0339】
次に、本発明の一実施形態に係る無色またはそれ以外の変形LatSRCS光学モジュール700の概略図である
図6bを参照する。本モジュールは、モジュール前に以下のいくつかの要素を追加することによって、上述した
図6aのLatSRCS光学モジュール700と異なる。
−任意で異なる波長のレーザ79a、79b、79c
−レーザ79a、79b、79cから現れる光ファイバ78a、78b、78c
−任意で、レーザ79a、79b、79cの偏光を静的または動的に変更する偏光制御サブモジュール77a、77b、77c。偏光制御サブモジュールは、ファイバの前または後に配置することができる。しかしながら、たとえば「偏光維持」PMファイバを用いる実施例では、偏光制御サブモジュール77a、77b、77cは不要であり、ファイバから発せられる偏光はレーザとファイバの相対位置によって決定される。
−2以上のソースレーザを任意で光ファイバ78a、78b、78cを介して共通の出力ファイバ76bに結合するレーザ結合器76a
−上述したように、ファイバからの光を、LatSRCSモジュール700の残りが使用できる平行光に変換する光学要素75
【0340】
当業者にとって既知な該装置の多くの変形をこのスキームに追加することができ、本発明で請求されている。たとえば、2つの光学要素31と75は単独の要素に統合することができる、あるいは、共通ファイバの出力パラメータが十分であれば取り外すことができる。同様に、共通のファイバ76bは実施例によっては不要な場合がある。
【0341】
また、共通の光ファイバを介して、あるいは、異なる偏光を有する2以上の波長の空間内に拡散する光によって直接導入することで、あらゆる様々な様相でRESOLFTまたはSTED手法を実行することができる方法および/または装置が実現される。本方法および/または装置では、励起波と抑制波が共通路に沿って拡散し、LatSRCSモジュール700は完全に無色でもよく、上述したような簡易バージョンでは無色ではない。
【0342】
本方法の最も簡易な変形では、励起波と抑制波が2つの線状直交偏光に沿って拡散し、四分の一波長板−任意で無色で−システムの入口に配置されて、これらの偏光を円形直交偏光に変換し、一方は基本波、他方は渦を取得する。
【0343】
詳細に後述する特異な偏光を有する統合的方法の新規な変形では、ファイバは複屈折ファイバであり、抑制レーザのコヒーレンス長よりも大きな路差を生成することで、2つの直交偏光を非干渉に重畳する。もう1つの解決策は、たとえば、強い複屈折の厚一軸性結晶を備える偏光サブモジュール(図示せず)を使用することである。また、この同一偏光の統合的方法では、強度比を制御する偏光サブモジュール、(図示せず)を使用することができる。この強度比を制御する偏光サブモジュールは先の偏光サブモジュールと異なるが、おそらく一体化させることができる。また、この偏光サブモジュールは、レーザと光ファイバの間に配置されるレーザ結合器76aに組み込むことができる。この強度比制御用の偏光サブモジュールを使用して、2つの偏光間の強度比と、後述するように、2D抑制ビーム(渦)と3D抑制ビーム(黒球)間の強度比を制御することができる。
【0344】
次に、再度
図6bを参照する。偏光制御サブモジュール77a、77b、77cは、励起路と抑制路に関して同一または異なる光分布のシーケンスを生成するように始動することができる。また、レーザの強度を調整して、各レーザの強度、励起光分布のシーケンス、光抑制分布のシーケンスの複合クロノグラムを作成することができる。
【0345】
好適な実施例では、共焦点顕微鏡および原型または変形LatSRCSモジュールを用いて、無色またはそれ以外で、以下が順次投射される。
まず、エアリー分布または励起基本分布と抑制渦が同時に投射される。結果として生じる放出画像は陽画像と称する。
【0346】
第2のステップでは、励起渦と抑制渦が同時に投射される。その結果生じる放出画像は陰画像と称する。
第1のステップの変形では、単独のエアリー分布と1つの励起基本分布が投射される。
【0347】
これらの2つの画像の荷重差分から成る画像差。ただし、この画像差は単純な演算差よりも進化したデジタル処理とすることができ、2つの画像の周波数成分の関数を含むがそれに限定されない、当業者にとって既知な画像最適化のための1セットの数学的処理を組み込むことができる。良好なパラメータが選択される場合、この画像差はPSF用語では、代表的なSTEDよりも精細なサイズを有し、弱い抑制強度しか必要としない。実際、渦を抑制する目的は、典型的なSTEDまたはRESOLFTの場合のように相当のエネルギーを要するエアリーパッチのサイズを低減することではなく、エアリー分布または基本分布よりも励起渦で余剰エネルギーを低減することである。また、エアリーまたは基本分布の抑制は、2つの照射の数学的差分と等しい、励起渦によって生成される陰画像の差分と関連付けられる。結果としてPSFのサイズが低減されることが、これらの2つの効果の組み合わせとなる。
【0348】
また、場合によっては、本実施形態は、「ゲートSTED」で必要とされるような励起をトリガする必要性を省くことができる。実際に、抑制の完全な適用前に到達する光子は、複雑な制限システムを追加する必要なく、適切にパラメータを選択することを検討することができる。最後に、抑制渦によって放出される放出光子は励起渦によって放出される光子とほとんど異ならず、相殺することができるため、変形STED「ModSted」の必要も回避することができる。
【0349】
第2の実施形態では、共焦点顕微鏡および原型または変形LatSRCSモジュールを用いて、励起ビームのシーケンスと抑制ビームのシーケンスが同時に投射され、2つのビームシーケンスが偏光によって区別することができ、異なるトポロジの光分布を形成する。この装置は、抑制ビームなしで取得されるはずの光分布のシーケンスよりも小さなシーケンスを生成する。SRCDAアルゴリズムがこの実施例で使用されて、特定のエミッタの空間分布または位置を判定する。抑制と光学素子を組み合わせるこの実施形態では、投射された抑制ビームの強度と解像の粒度の両方を十分に満足させることができる。
【0350】
別の実施形態では、共焦点顕微鏡と原型または変形LatSRCSモジュールを用いて、エアリー状の励起ビームと渦状の抑制ビームが同時に投射され、この2つのビームは偏光によって異なる。動的要素がない場合、この装置は完全無色STED装置を形成する。
【0351】
3D STEDの螺旋状対称分布の使用
STEDまたはSTED−3Dシステムで実行される解決策は、中心点でゼロ強度であり、特定距離にわたって軸に沿ってゼロのままである光分布を使用する。STED−3Dの使用のために、ゼロ強度の位置を有する分布が提案されており、このゼロ硬度の位置は、軸方向パラメータの関数である螺旋状空間を有する。この分布の好適な実施例は、ストークス分布の名称で呼ばれる光分布を用いることによる円錐回折の使用である。これらの分布は、たとえば、限定的ではないが、SLM(空間光変調器)や、瞳孔内に位相および/または振幅の分布を生成する分割ミラーなどの上述の装置に基づく手法を用いることによって実行することができる。螺旋状トポロジの分布を使用して、螺旋状運動を有するゼロ強度を含む分布を形成することは、本発明の一部を成すと言える。具体的には、円錐回折により分布を実現することは本発明の好適な実施例の1つであるが、SLMまたは分割ミラーを用いて、瞳孔内の位相または振幅の分布を生成することも本発明に記載する実施例の1つとみなされる。
【0352】
2つの偏光の統合方法である本方法の新規な変形では、結晶のパラメータは、基本波が黒球を生成し、波渦が渦を生成するように選択される。これらの条件下で、直交して偏光する2つの分布は単独の入力ビームと干渉せず、両ビームの非干渉性重畳の結果、STED3Dに必要な2つのビームである渦と黒球が生成される。単独の抑制入力ビームによって2つのビームを生成できることで、光学システムが大幅に簡易化される。また、このシステムは共通路を有するため、簡易に実行することができる。光学ファイバと結晶との間に静的または動的に配置される偏光サブモジュール(図示せず)を使用して、2つの偏光間の強度比、ひいては2D抑制ビーム(渦)と3D抑制ビーム(黒球)間の強度比を制御することができる。
【0353】
後述するような単独の偏光の統合的方法の新規な変形では、複屈折ファイバまたは偏光サブモジュールは、CWレーザの場合は抑制レーザのコヒーレンス長よりも大きな路長差、および/または引出しレーザまたはゲートSTEDの場合は引出し時間を生成して、両直交偏光の非干渉性重畳を生成する。これらの条件下で、2つの分布は相互に干渉しない。2つの分布が同一の偏光上で直交偏光を生成する際、一方は結晶および光学システムのパラメータの選択によって黒球であり、他方は渦である。2つのインコヒーレントな分布から生じるこれらの2つのビームは上述したように干渉しない。本装置はファイバの前で単独の入力ビームを用いて、STED 3Dに必要な2つのビームである渦と黒球を個別に生成する。単独の抑制入力ビームにより2つのビームを生成できることで、光学システムが大幅に簡易化される。また、本システムは共通路を有するため、簡易に実行することができる。これらの2つの変形は2つの分布の出力偏光で区別され、黒球と渦は2つの偏光を有する統合的方法では直交し、単独の偏光を有する統合的方法では同一である。2つの変形はそれぞれ特定の構造にとっての利点を備える。
【0354】
本方法の新規な変形では、上述のすべての装置と両立でき、おそらくは2つの偏光と単独の偏光を有する2つの統合的方法を補完する円錐回折を用いて、円錐回折の要素は、円錐回折のパラメータ値がほぼ等しい円錐回折の2つの結晶から成り、偏光サブモジュールによって分離されるサブモジュールと置き換えられる。偏光サブモジュールは、抑制波長では、偏光サブモジュールが効果を発揮せず、結晶の作用が追加されて渦および/または黒球を生成するように選択される。励起波長では、偏光サブモジュールは、90度または180度で偏光を回転させ、2つの結晶の効果が減算され、送出ビームは入射ビームと同一である。この装置により、励起ビーム上に「風変わり」過ぎる分布の生成が防止される。装置によっては、結晶は円錐回折のパラメータの異なる値を有し、励起ビーム上にも効果を発揮することができるが、円錐回折のパラメータ値は抑制ビームのパラメータ値と異なる。この変形は、当業者にとって周知の偏光モジュールのリソースを用いることによって、いくつかの抑制波長と励起波長で達成することができる。
【0355】
本方法の新規な変形では、上述のすべての装置と両立し、2つの偏光と単独の偏光を有する2つの統合方法を補完でき、妥当な変形を加えて先行の実施例とも両立可能である円錐回析を用いて、円錐回折の要素は、複数の抑制波長を有する黒球を実現するように、LBOとKTP(KTA)などの異なるスペクトル特性を有する縦続の結晶に置き換えられる。実質上、円錐回折ρ
0の効果を特徴付けるパラメータの分散は、いくつかの波長を有する分布、特に、形状がこのパラメータに大きく依存する黒球を達成できない。したがって、円錐回折ρ
0の効果を特徴付けるパラメータの分散を補整することで、2以上の波長を有する共通の光路の3D STEDを実現することができる。さらに、円錐回折ρ
0の効果を特徴付けるパラメータの分散の補整は、広範囲の波長にわたって、上述したように結晶を組み合わせる、あるいは、光学システムを二次にスペクトル的に補整する、すなわち、波長に応じてデジタル開口を生成して、円錐回折ρ
0の効果を特徴付けるパラメータの分散を補整する、または、上述の結晶の組み合わせによって生成される円錐回折ρ
0の効果を特徴付けるパラメータの分散を補正することによって達成することができる。
【0356】
別の実施形態では、共焦点顕微鏡、原型または変形LatSRCSモジュールおよびLongSRCSモジュールを用いて、励起ビームのシーケンスと抑制ビームのシーケンスが同時に投射され、2つのビームのシーケンスは偏光によって異ならせて、異なるトポロジの光分布を生成することができる。LatSRCSモジュールは、抑制ビームなしで取得されるよりも小さなサイズの光分布のシーケンスを生成する。LongSRCSモジュールは、対物レンズの焦点面に配置されるナノエミッタから出射される異なる検出器上の平行光と、焦点面の近傍または向こうに配置されるナノエミッタから出射される非平行光とを分離するようにPDOS法を実行する。本実施例のPDOS法は、原型または変形LatSRCSモジュールによって取得される水平方向情報を補完する、各ナノエミッタの略長手方向情報、すなわち、長手方向位置を取得する。
【0357】
SRCDAアルゴリズムは、本実施例では、特定のエミッタの空間分布また配置を判定するために使用される。
上述の実施例のうちの1つと二軸性結晶とを使用してビーム成形を生成する別の実施形態では、動的偏光要素が二軸性結晶の前または後に使用されて、場合によっては共焦点顕微鏡の光学走査中に現れる可能性のある瞳孔の運動を補正する。瞳孔のこの運動効果は、STED技術のいくつかの実施例では、追加走査システムを必要とせずに、性能限界の1つである[35]。
【0358】
共焦点顕微鏡を使用する別の実施形態では、異なる波長の2以上の光分布が、原型または変形LatSRCSモジュールによって投射される。第1の光分布はシーンを疎にする、すなわち、物理的作用によりエミッタを分離して、疎性仮定が有効である、すなわち、分離されたエミッタまたは小数のエミッタが存在する領域を形成するように蛍光を放出することのできるエミッタの密度を低くする。この疎性を招く物理的作用は、単独エミッタの顕微鏡手法で位置の疎性を生成するために利用される作用と同じである。これらの手法は、たとえばPALM STROM、DSTROM、FPALM手法などを含む。別の波長での第2の光分布は、強度が時間の経過と共に変動する蛍光を生成する。この第2の光分布は、PSIT手法のうちの1つを使用し、離散分布のシーケンスまたは連続分布のシーケンスのいずれかである。離散分布の場合、光は行列検出器または単独の検出器によって検出される。連続分布の場合、行列検出器を使用することもできるが、最も考えられる実施例は単独の検出器の使用である。この場合、位置xyに関する水平方向情報とおそらくは長手方向分布情報zは、強度比によって取得することができる。最も興味深いケースの1つは、時間の経過と共に光電セルが正弦波電圧によって始動される高調波分布のケースである。この場合、位置xyは、検出器によって測定される信号の一時的高調波を測定することによって再発見できる。この検出器は、水平方向位置の情報を間接的に含む単独の検出器とすることができる。
【0359】
縦続で搭載される2つの結晶(相互に続く)は、参考文献46に記載されるような結晶の加算効果(同一方向に配向される場合)、または減算効果(180度で配向される場合)をもたらす。2つの結晶間に回転子を追加して、180度偏光面を回転させると、効果が逆転し、加算効果の代わりに減算効果が生じる。2つの同一の結晶を用いるシステムの場合、結晶の加算効果が使用されると、2つの結晶の効果が加算される。様々な角度、理想的には180度の倍数の角度で、異なる波長で回転する色回転子を使用する際、2つの結晶の効果が、一方の波長では相殺され、他方の波長では加算されるモジュールを有することができる。当該回転子は単結晶(たとえば、石英)とすることができ、その厚さが、2つの最適化波長で結晶の回転力の関数として最適化されて、2つのビーム間に180度の回転差を達成する。2つの円錐結晶を有するシステムの場合、材料の異なる2つの二軸性結晶を使用することができる。結晶の減算効果が利用され、これらの効果が2つの結晶に対して異なって波長に依存する場合、モジュールは、効果が一方の波長では相殺され、他方の波長ではキャンセルされない2つの結晶を有するように最適化することができる。効果を補整または追加できるN個の結晶を有するシステムの工程を生成して、N個の波長用にパラメータρ
0を最適化することができる。
【0360】
円錐結晶によって作製される3D STEDのエネルギー比は固定され、渦のエネルギーは(円形)偏光によって担持され、黒球のエネルギーは他の偏光によって担持される。第1のダイクロイック方法のダイクロイック要素または偏光を選択的に吸収する要素を使用することで、この比は変更される。この要素は、円形ダイクロイック要素または線状ダイクロイック要素とすることができ、ダイクロイックの前と任意で後ろに偏光要素を追加する必要がある。代表的だが非限定的なダイクロイック要素は、ブルースター板、または細長金属ナノ粒子がガラスの外表面に均等に配向され包囲されたダイクロイックガラスである。
【0361】
この一般的な方法のその他の多くの実施例が、以下のように当業者にとって明確になるであろう。
−LatSRCSモジュール700によって生成される分布のいくつかは超振動である。
図7bでは、
図7b
00および7b
11のケースは超振動である。超振動は広く高輝度なリングに囲まれた天然の小さなスポットから成る。抑制リングをこの超振動に投射するため、低エネルギーコストで、リングに含まれる蛍光物質の放出を防止することができ、スポットのサイズが超振動の中心点のサイズとなる。
−2以上の抑制光分布を順次または同時に形成すると、有益なことに、すべてのRELSOFTまたはSTED形式で抑制渦を置き換えることができる。起こりうる効果の1つは、ベクトル効果により抑制光分布の形状が向上することである。また、「半月」と称される分布を3つ以上生成して、偏光の様々な状態を調査することができる。
【0362】
別の実施例
上述の本発明の実施形態は、蛍光共焦点顕微鏡に組み込むことができる。本発明の実施形態に係る超解像システムは、顕微鏡の既存の方法に加えて、あるいはそれに代わる新たな測定方法である。ただし、本発明の実施形態に係る超解像システムは、他の顕微鏡プラットフォームにも同等に組み込むことができる。これらの顕微鏡プラットフォームは、例として上述したように、広視野顕微鏡、暗視野顕微鏡、偏光顕微鏡、位相差顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、ステレオ顕微鏡、ラマン顕微鏡、ライブ細胞撮像、細胞分類、細胞運動性などの特定タスク専用の顕微鏡、またはその他の任意の機器光学顕微鏡を含むが、それらに限定されない。
【0363】
別の実施形態では、上述の顕微鏡プラットフォームは、電子顕微鏡法システム(CLEM−相関光電子顕微鏡法)、あるいは、TEM(透過型電子顕微鏡法)、またはEBM(電子ビーム顕微鏡法)、またはSEM(走査型電子顕微鏡法)などの他の類似のシステムに接続される。
【0364】
本発明の別の実施形態では、顕微鏡プラットフォームは完全SRCDPプラットフォームであり、LongSRCSモジュールを備え、PDOS法を実行して、SRCDAアルゴリズムを使用する。
【0365】
本発明の別の実施形態では、顕微鏡プラットフォームは部分SRCDPプラットフォームであり、SRCDAアルゴリズムを使用する。
本発明の別の実施形態では、顕微鏡プラットフォームは部分SRCDPプラットフォームであり、制御モジュールを使用する。
【0366】
本発明の別の実施形態では、顕微鏡プラットフォームはLongSRCSモジュールも備え、PDOS法を実行する。
本発明の使用法と動作に関する追加説明に関しては、上記説明から自明になるはずである。したがって、使用法および動作に関する説明は記載しない。
【0367】
これに関連し、少なくとも本発明の一実施形態を詳細に説明する前に、本発明の適用は、以下の説明に記載する、あるいは図面に示す構成要素の構造および構成の細部に限定されないと理解すべきである。本発明は他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施および実行することができる。また、本明細書で採用する語法および用語は説明のためであり、限定することを目的とすべきではないと理解される。
【0368】
本明細書で引用する参考文献は、本発明に適用可能な多くの原理を教示している。したがって、これらの公開物のコンテンツ全文は参考として、追加または代替の細部、特徴、および/または技術情報の教示に適宜組み込むことができる。
【0369】
光ファイバの有効な使用は、基本送信モードのTEM
00モードである。ただし、限定ではないが「フォトニック結晶ファイバ」と称されるファイバに基づく光ファイバの構造により、渦モードを含む複雑なモードでの同時または非同時送信が可能になる。したがって、光ファイバを用いて円錐屈折によって生成される光分布を送り、光学システムを大幅に簡易化することができる。
【0370】
また、いくつかのファイバ「デュアルコアフォトニック結晶ファイバ」[16]は、一方が渦である2つのモード間の相互作用を可能にし、追加の物理的機構を提供して、様々な伝達関数を生成する。
【0371】
多くの超解像手法は、波長の一部よりも小さなサイズの点光源の測定に基づく。上述の実施形態による超解像手法によると、点光源だけでなく、構造化対象、たとえば主に線分、円、または連続対象すら測定することができる。生物学では、この拡張は、フィラメント、ニューロン、微小管などの主要な生物学的エンティティの測定も可能にする。
【0372】
本発明を理解しやすくするため実施形態の説明は、顕微鏡法、より具体的には生物学、さらにより具体的には蛍光生物学における用途を提示しているが、用途は顕微鏡法の一般的な用途や、人工的ビジョンを含むビジョンの全分野に拡張することができる。
【0373】
本発明の実施形態は、異なる光学システムを選択することによって、眼科的観察を含むがそれに限定されない多数の医学的用途に適用することができる。この適用範囲は、生物学的または医学的対象の1〜10μmのミクロン単位の解像に相当する。
【0374】
また、本発明の実施形態は、後述するように光ファイバを介して適用することができる。これにより、胃および胃腸の観察や結腸と尿路の観察などを含むが、それらに限定されない多くの追加用途が可能になる。
【0375】
本発明の適用は、本明細書に記載する、あるいは図面に示す細部に限定されないと理解される。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施および実行することができる。当業者であれば、添付の請求項に定義される適用範囲から逸脱せずに、上述したような本発明の実施形態に様々な変形と変更を加えることができることを容易に認識するであろう。
【0376】
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