(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ファイバが、20mm直径マンドレルに巻き付けられたときに、波長1550nmにおいて0.75dB/ターン未満の曲げ損失を示すことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される光導波路ファイバは、外半径r
1及び屈折率Δ
1を有する二酸化ゲルマニウムドープ中心コア領域と、外半径r
2>8μm及び屈折率Δ
2を有する第1の内層クラッド領域及び屈折率Δ
3を有する第2の外層クラッド領域を含むクラッド層領域を有し、Δ
1>Δ
3>Δ
2>であって、Δ
3とΔ
2の間の差は0.01より大きく、本光ファイバは1260nm以下の22mカットオフを示し、r
1/r
2は0.25以上であり、さらに好ましくは0.3より大きい。
【0005】
外半径r
1及び屈折率Δ
1を有する中心コア領域及びフッ素ドープシリカを含むクラッド層領域を有し、クラッド層領域が外半径r
2及び屈折率Δ
2を有する第1の内層クラッド領域及び屈折率Δ
3を有する第2の外層クラッド領域を含み、r
1/r
2が0.25以上である、単一モード光ファイバも本明細書に開示される。本明細書に開示されるファイバはITU G.657A及びG.657Bのいずれにもしたがう。
【0006】
1550nmにおける20mm直径曲げ損失は0.75dB/ターンをこえないことが好ましい。1550nmにおける30mm直径曲げ損失は0.025dB/ターンをこえないことが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、1550nmにおける20mm直径曲げ損失は0.3dB/ターンをこえない。別の好ましい実施形態において、1550nmにおける20mm直径曲げ損失は0.1dB/ターンをこえない。いくつかの好ましい実施形態において、1550nmにおける30mm直径曲げ損失は0.003dB/ターンをこえない。
【0007】
いくつかの実施形態において、1550nmにおける15mm直径曲げ損失は1dB/ターンをこえない。いくつかの好ましい実施形態において、1550nmにおける15mm直径曲げ損失は0.5dB/ターンをこえない。
【0008】
いくつかの実施形態において、屈折率プロファイルはさらに、1325nmより短いゼロ分散波長を与える。好ましい実施形態において、屈折率プロファイルはさらに、1300nmと1325nmの間のゼロ分散波長を与える。
【0009】
屈折率プロファイルはさらに、1260nm以下のケーブルカットオフ波長を与えることが好ましい。
【0010】
いくつかの好ましい実施形態において、屈折率プロファイルはさらに、1310nmにおいて8.2μmと9.5μmの間のモードフィールド径を与える。別の好ましい実施形態において、屈折率プロファイルはさらに、1310nmにおいて8.2μmと9.0μmの間のモードフィールド径を与える。
【0011】
本明細書に用いられるように、MAC数は、[1310nmにおけるモードフィールド径(μm)]/[22mケーブルカットオフ波長(μm)]を意味する。いくつかの好ましい実施形態において、屈折率プロファイルはさらに6.6と7.5の間のMAC数を与える。別の好ましい実施形態において、屈折率プロファイルはさらに7.3をこえないMAC数を与える。
【0012】
光ファイバは、分圧が0.01気圧(1.013×10
3Pa)の水素に少なくとも144時間さらされた後に、1383nmにおいて0.03dB/km未満の最大水素誘起減衰変化を有することが好ましい。光ファイバは、1310nmにおける光減衰よりは大きい場合でも、0.10dB/kmをこえない1383nmにおける光減衰を有することが好ましく、1383nmにおける光減衰は1310nmにおける光減衰より小さいことがさらに一層好ましい。
【0013】
次に、それらの例が添付図面に示される、現在好ましい実施形態を詳細に参照する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、当業者には、その説明から明らかであろうし、特許請求の範囲及び添付図面と合わせて以下の説明に述べられるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0016】
「屈折率プロファイル」は屈折率または相対屈折率と導波路ファイバ半径の間の関係である。
【0017】
「相対屈折率%」はΔ%=100×(n
i2−n
C2)/2n
i2と定義され、本明細書に用いられるように、n
Cはアンドープシリカの平均屈折率である。本明細書で用いられるように、別途に指定されない限り、相対屈折率はΔで表され、その値は「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率がアンドープシリカの平均屈折率より小さい場合、その領域の相対屈折率%は負であり、凹領域または凹屈折率を有すると称される。ある領域の屈折率がクラッド領域の平均屈折率より大きい場合、その領域の相対屈折率%は正である。本明細書において、「上げドーパント」は純アンドープSiO
2に対して屈折率を高める性質を有するドーパントと見なされる。本明細書において、「下げドーパント」は純アンドープSiO
2に対して屈折率を低める性質を有するドーパントと見なされる。上げドーパントの例にはGeO
2,Al
2O
3,P
2O
5,TiO
2,Cl及びBrがある。下げドーパントの例にはフッ素及びホウ素がある。
【0018】
導波路ファイバの、本明細書において「分散」と称される、「色分散」は、別途に注記されない限り、材料分散、波長分散及び内部モード分散の総和である。単一モード導波路ファイバの場合、内部モード分散はゼロである。ゼロ分散波長は分散がゼロ値を有する波長である。分散勾配は波長に対する分散の変化率である。
【0021】
と定義される。ここで、積分範囲は0から∞であり、fは導波路内を伝搬している光に付随する電場の横成分である。本明細書に用いられるように、「有効面積」または「A
有効」は、別途に注記されない限り、1550nmの波長における光学的有効面積である。
【0022】
語句「αプロファイル」は、「%」を単位とし、rが半径であって、式:
【0024】
にしたがうΔ(r)を用いて表される、相対屈折率プロファイルを指す。ここで、r
0はΔ(r)が最大となる点であり、r
1はΔ(r)%がゼロとなる点であり、rはr
i≦r≦r
fの範囲にあり、Δが上で定義されている場合、r
iはαプロファイルの始点であり、r
fはαプロファイルの終点であって、αは実数の指数である。
【0025】
モードフィールド径(MFD)はピーターマン(Peterman)II法を用いて測定される、ここで2w=MFDであって、
【0028】
曲げ抵抗は規定された試験条件の下で、例えば規定された直径をもつマンドレルの周りにファイバを付置するか巻き付けることで、誘起される減衰により測ることができ、例えば、直径が、6mm、10mmまたは20mmあるいは同様の、マンドレルの周りに1ターンずつ巻き付けて1ターン毎の減衰の増加を測定することで測ることができる(例えば、「1×10mm直径マクロベンド損失」または「1×20mm直径マクロベンド損失」)。
【0029】
与えられたモードに対する、理論ファイバカットオフ波長または「理論ファイバカットオフ」または「理論カットオフ」は、それより短い波長では導波光がそのモードにおいて伝搬することができない波長である。数学的定義は、ユノーム(Jeunhomme)著,「単一モード光ファイバ(Single Mode Fiber Optics)」,(米国ニューヨーク),マーセル・デッカー(Marcel Dekker),1990年,p.39-44,に見ることができ、理論ファイバカットオフはモード伝搬定数が外層クラッド内の平面波伝搬定数に等しくなる波長として説明されている。この理論波長は、直径変動がない、無限長の完全に真直なファイバに対して妥当である。
【0030】
ファイバカットオフは、「2mファイバカットオフ」または「測定カットオフ」としても知られる、「ファイバカットオフ波長」を得るための、標準2mファイバカットオフ試験,FOTP-80(FIA-TIA 455-80)によって測定される。FOTP-80標準試験は、制御された大きさの曲げを用いて高次モードを取り去るため、またはファイバのスペクトル応答を多モードファイバのスペクトル応答に規格化するために実施される。
【0031】
ケーブルカットオフ波長または、本明細書に用いられるように、「ケーブルカットオフ」は、EIA-TIA光ファイバ標準、すなわち米国電子工業会-米国電子通信工業会光ファイバ標準の一部である、EIA-455光ファイバ試験手順に説明される22mケーブルカットオフ試験を意味する。
【0032】
本明細書で別途に注記されない限り、(分散、分散勾配等)のような光学特性はLP01モードについて報告される。
【0033】
本明細書に開示される光ファイバは、約55μm
2より大きく、好ましくは55μm
2と90μm
2の間であり、さらに一層好ましくは65μm
2と80μm
2の間の、1550nmにおける有効面積を示すことができる。いくつかの好ましい実施形態において、1550nmにおける光学モード有効面積は約65μm
2と75μm
2の間である。
【0034】
一例のファイバ10が
図1に示され、ファイバ10は最大屈折率Δ%,Δ
1を有する中心ガラスコア領域1を有する。第1の凹内層クラッド領域2が中心コア領域を囲み、第1の内層クラッド領域2は屈折率Δ%,Δ
2を有する。外層クラッド領域3が第1の内層クラッド領域を囲み、Δ
3を有する。好ましい実施兄弟において、Δ
1>Δ
3>Δ
2である。
図1に示される実施形態において、領域1,2,3は相互に直接に接している。しかし、これは必須ではなく、別途に追加のコア領域またはクラッド領域を用いることができる。例えば、環状領域3を囲み、環状領域3より小さい屈折率Δ%,Δ4を有する、外層クラッド領域(図示せず)を用いることができる。
【0035】
中心コア領域1は、中心コア領域1の屈折率の最大傾斜に沿って引かれた接線がゼロΔ線と交わる半径として定義される、外半径r
1を有する。コア領域1は、約0.3と0.5の間であることが好ましく、約0.32と0.48の間であることがさらに好ましい、屈折率Δ%,Δ
1を有する。いくつかの実施形態において、Δ
1は0.36と0.46の間であることが好ましい。コア半径r
1は、3μmと6μmの間であることが好ましく、約3.5μmと5.0μmの間であることがさらに好ましい。中心コア領域1は単一セグメントのステップ型屈折率プロファイルを有することができる。中心コア領域1は約10〜100の間のαを有することができ、いくつかの実施形態において、αは15と40の間とすることができる。
【0036】
図1に示される実施形態において、内層クラッド領域2は中心コア領域1を囲み、内半径r
1及び外半径r
2を有し、r
1は上で定義されており、r
2は屈折率プロファイル曲線がゼロΔ線と交わる半径として定義される。いくつかの実施形態において、領域2における屈折率は基本的に平坦である。別の場合には、分布屈折率プロファイルになり得る。また別の場合には、狭プロファイル構造またはプロセス変動の結果として、変動があり得る。いくつかの実施形態において、内層クラッド領域2は、フッ素または二酸化ゲルマニウムが実質的にドープされていない、シリカを含む。すなわち、内層クラッド領域2は基本的にフッ素及び二酸化ゲルマニウムを含有していない。内層クラッド領域2は、
【0038】
を用いて計算される、屈折率Δ%,Δ
2を有する。
【0039】
内層クラッド領域2は、好ましくは約3μmから13μm、さらに好ましくは約4μmから12μm、さらに一層好ましくは約7μmから9μmの、幅を示す。内層クラッド領域2の半径r
2に対するコア半径r
1の比は、0.25より大きいことが好ましく、約0.3から0.55の間であることがさらに好ましい。
【0040】
外層クラッド3は凹環状領域2を囲み、内層クラッド領域2の屈折率Δ%,Δ
2より大きく、よって、例えば外層クラッド領域の屈折率を高めるに十分な量の(二酸化ゲルマニウムまたは塩素のような)ドーパントを添加することにより、内層クラッド領域2に対して「上げドープ」された外層クラッド領域3である領域を形成する、屈折率Δ%,Δ
3を有する。しかし、屈折率上げドーパントが外層クラッド領域3に含まれていなければならないという意味において領域3が上げドープされることは肝要ではないことに注意されたい。実際、外層クラッド領域3における同じタイプの屈折率下げ効果は外層クラッド領域3に対して内層クラッド領域2を下げドープすることによって達成することができる。外層クラッド領域3は内層クラッド領域2より高い屈折率を有し、0.01%Δより大きく、0.02%Δまたは0.03%Δより大きくすることができる、屈折率Δ%,Δ
3を有することが好ましい。外層クラッド領域3の(内層クラッド領域2に比して)屈折率が高い部分は、光ファイバを通して伝送されるであろう光パワーが伝送される光パワーの90%以上になる点まで少なくとも拡がることが好ましく、光ファイバを通して伝送されるであろう光パワーが伝送される光パワーの95%以上になる点まで少なくとも拡がることがさらに好ましく、光ファイバを通して伝送されるであろう光パワーが伝送される光パワーの98%以上になる点まで少なくとも拡がることが最も好ましい。多くの実施形態において、これは、少なくとも径方向約30μmの点まで拡がる「上げドープ」された環状領域を有することで達成される。したがって、第3の環状領域3の体積V
3は、本明細書において、半径r
2とr30(30μmの半径)の間のΔ
(3-2)dr/rdrを用いて計算されると定義され、したがって、
【0043】
内層クラッド領域2の体積と比較した外層クラッド領域の(内側30μmの)体積V
3は、5%Δμm
2より大きいことが好ましく、7%Δμm
2より大きいことがさらに好ましく、10%Δμm
2より大きくすることができる。いくつかの実施形態において、この外層クラッド領域の(内側30μmの)体積V
3は80%Δμm
2より小さい。
【0044】
いくつかの実施形態において、外層クラッド領域3の相対屈折率Δ
3は、内層クラッド領域2の屈折率Δ
2と比較すると、0.01%より大きく、さらに好ましくは0.02%より大きい。いくつかの実施形態において、第3の環状領域は、重量で、1000ppmより多く、さらに好ましくは1500ppmより多く、最も好ましくは2000ppm(0.2%)より多くの量の塩素(Cl)を含む。
【0045】
コア領域1は全体にわたって正の相対屈折率を有することが好ましい。コア1はr=0とr=3μmの間にある最大相対屈折率Δ
最大を有する。Δ
最大は0.32〜0.48%より大きいことが好ましい。
【0046】
内層クラッド領域2は、実質的に一定である、すなわち、中間領域内のいかなる2つの半径における屈折率の間の差も0.02%より小さく、いくつかの好ましい実施形態においては0.01%より小さい、相対屈折率プロファイルを有することが好ましい。すなわち、内層クラッド領域20の相対屈折率プロファイルは実質的に平坦な形状を有することが好ましい。
【0047】
コア領域1は、ステップインデックスコアとすることができ、またα乗分布形状を有することができる。好ましい実施形態において、r
1は8.0μmより小さく、好ましくは6.0μmより小さい。r
1は3.50μmと5.6μmの間であることが好ましい。ファイバは、MAC数が6.6と7.5の間のファイバについて、20mm半径マンドレル上に巻き付けたときに0.15dB/ターンより小さい曲げ損失を示すことができる。本明細書に開示される光ファイバは7.3をこえないMAC数及び1450nmより短いゼロ分散波長を有する。
【0048】
以下の例によって、様々な実施形態例がさらに明解になるであろう。当業者には、特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく様々な改変及び変形がなされ得ることが明らかであろう。
【0049】
下の表1に、
図1に示されるような屈折率を有する、説明のためのシミュレーション例1〜9の特性を挙げてある。詳しくは、それぞれの例について、中心コア領域1の屈折率Δ,Δ
1、α
0及び外半径R
1、内層クラッド領域2の屈折率Δ,Δ
2及び外半径R
2、外層クラッド領域3の屈折率Δ,Δ
3及び、外層クラッド領域3の内半径R
2と径距離30μmの間(及び屈折率Δ
3と屈折率Δ
2の間)で計算された、体積V
3が下表に示される。nm単位の理論カットオフ波長、1310nmにおけるモードフィールド径、1310nmにおける有効面積、1310nmにおける色分散、1310nmにおける分散勾配、1310nmにおける減衰、1550nmにおけるモードフィールド径、1550nmにおける有効面積、1550nmにおける色分散、1550nmにおける分散勾配、1550nmにおける減衰、及び1550nmにおけるdB/ターン単位の1×10mm直径誘起曲げ損失も示される。表1において、これらの特性はシミュレーション計算による。
【0051】
下の表2には、
図1に示されるような屈折率を有する、実際に作成した説明のための例10〜15の特性を挙げてある。詳しくはそれぞれの例について、中心コア領域1の屈折率Δ,Δ
1及び外半径R
1、内層クラッド領域2の屈折率Δ,Δ
2及び外半径R
2、外層クラッド領域3の屈折率Δ,Δ
3及び、外層クラッド領域3の内半径R
2と径距離30μmの間(及び屈折率Δ
3と屈折率Δ
2の間)で計算された、体積V
3が下表に示される。nm単位の理論カットオフ波長、1310nmにおけるモードフィールド径、1310nmにおける有効面積、1310nmにおける色分散、1310nmにおける分散勾配、1310nmにおける減衰、1550nmにおけるモードフィールド径、1550nmにおける有効面積、1550nmにおける色分散、1550nmにおける分散勾配、1550nmにおける減衰、及び1550nmにおけるdB/ターン単位の1×10mm直径誘起曲げ損失も示される。表2において、これらの特性は実光ファイバで測定された。
【0053】
上の表1及び2のいずれにも見ることができるように、ここでの例は、屈折率Δ
1を有する中心ガラスコア領域、屈折率Δ
2を有する第1の内層クラッド領域及び屈折率Δ
3を有する外層クラッド領域を用い、Δ
1>Δ
3>Δ
2>であり、Δ
3とΔ
2の間の差が0.01以上であり、プロファイル体積の絶対値,|V
3|が少なくとも5%μm
2である、ファイバ例を示している。これらのファイバは1260nm以下のケーブルカットオフ及び、20mm直径マンドレルに巻き付けられたときに、0.75dB/ターン未満の曲げ損失を示す。これらのファイバは、1310nmにおいて約8.2μmと9.5μmの間のモードフィールド径、1300nmと1324ナノの間のゼロ分散波長、0.09ps/nm
2/kmより小さい1310nmにおける分散勾配も示す。これらのファイバの多くは、15mm直径マンドレル上に巻き付けられたときに、1550nmにおいて1dB/ターン未満の曲げ損失も示し、いくつかの場合には0.5dB/ターン未満の曲げ損失を示す。これらのファイバは、20mm直径マンドレルに巻き付けられたときに、1550nmにおいて0.75dB/ターン未満、さらに好ましくは0.3dB/ターン未満の曲げ損失も示し、いくつかのファイバは、最も好ましくは、0.1dB/ターン未満の曲げ損失を示す。これらのファイバは、30mm直径マンドレルに巻き付けられたときに、1550nmにおいて0.025dB/ターン未満の曲げ損失も示し、いくつかのファイバは、さらに好ましくは、0.003dB/ターン未満の曲げ損失を示す。これらの例の内のいくつかは外層クラッドに、重量で、2000ppmより多く、いくつかの場合では3000ppmより多く、さらには4000ppmより多くの量の塩素を用いている。
【0054】
1550nmにおける(スペクトル)減衰は、好ましくは0.21dB/km未満であり、さらに好ましくは0.20dB/km未満であって、さらに一層好ましくは0.197dB/km未満である。
【0055】
すなわち、本明細書に説明される光ファイバは顕著な耐曲げ性能を提供し、さらに、約1260nmより長波長における単一モード動作に適するカットオフ波長を与える。
【0056】
いくつかの実施形態において、コアは、1つないしさらに多くの光ファイバ製作手法の結果として生じ得る、いわゆる中心線ディップを有する相対屈折率プロファイルを有し得る。しかし、本明細書に開示される相対屈折率プロファイルのいずれにおいても、中心線ディップはあってもなくても差し支えない。
【0057】
本明細書に開示される光ファイバはコア及び、コアを囲んでコアに直接に接しているクラッド層(あるいはクラッドまたは最外層環状クラッド領域)を有する。コアはゲルマニウムがドープされたシリカ、すなわち二酸化ゲルマニウムドープシリカからなることが好ましい。所望の屈折率及び密度を得るため、本明細書に開示される光ファイバのコア内に、特に中心線またはその近傍に、ゲルマニウム以外のドーパントを、単独でまたは組み合わせて、用いることができる。好ましい実施形態において、本明細書に開示される光ファイバのコアは非負の屈折率プロファイル、さらに好ましくは正の屈折率プロファイルを有し、コアはクラッド層に囲まれ、クラッド層に直接に接している。
【0058】
本明細書に開示される光ファイバはシリカベースのコア及びクラッド層を有することが好ましい。好ましい実施形態において、クラッド層は約125μmの外径,2・R
最大を有する。
【0059】
本明細書に開示される光ファイバは、保護被覆、例えば外層クラッド領域3に接して外層クラッド領域3を囲む一次被覆Pによって囲包することができ、一次被覆Pは、1.0MPa未満、好ましくは0.9MPa未満の、好ましい実施形態においては0.8MPaをこえない、ヤング率を有し、光ファイバはさらに、一次被覆Pに接して一次被覆Pを囲む二次被覆Sを有し、二次被覆Sは、1200MPaより大きく、好ましい実施形態においては1400MPaより大きい、ヤング率を有する。
【0060】
本明細書に用いられるように、一次被覆の硬化ポリマー材料のヤング率、破断点伸び及び引張強さは、厚さが約0.003インチ(75μm)から0.004インチ(102μm)で幅が約1.3cmのフィルムの形につくられた材料の試料について、引張試験装置(例えば、シンテックMTS引張試験機(Sintech MTS Tensile Tester)またはインストロン万能材料試験システム(INSTRON Universal Material Test System))を用い、5.1cmのゲージ長及び2.5cm/分の試験速度により、測定される。
【0061】
適する一次被覆及び二次被覆のさらなる説明は、その全体が本明細書に参照として含まれる、国際公開第2005/010589号パンフレットに見ることができる。
【0062】
本明細書に開示される光ファイバは、OH含有量が少ないことが好ましく、特定の波長領域、特にEバンド(1360nm〜1460nm)において、水ピークが比較的低いかまたは無い、減衰曲線を有することが好ましい。低水ピーク光ファイバの作成方法は、それぞれの内容が本明細書に参照として含まれる、国際公開第00/64825号パンフレット、国際公開第01/47822号パンフレット及び国際公開第02/051761号パンフレットに見ることができる。本明細書に開示される光ファイバの1380nmにおける(スペクトル)光減衰は、1310nmにおける光減衰より大きい場合で0.10dB/kmをこえないことが好ましく、1310nmにおける光減衰をこえないことがさらに好ましい。本明細書に開示される光ファイバは、水素雰囲気に、例えば分圧が0.01気圧(1.013×10
3Pa)の水素に少なくとも144時間、さらされた後に、1383nmにおいて0.03dB/km未満の最大水素誘起減衰変化を有することが好ましい。
【0063】
低水ピークにより、一般に、特に約1340nmと約1470nmの間の伝送信号に対して、低減衰損失が得られる。さらに、低水ピークにより、1つないしさらに多くのポンピング波長で動作することができるラマンポンプまたはラマン増幅器のような、光ファイバに光結合されたポンプ光発光デバイスのポンピング効率を向上させることもできる。ラマン増幅器は、所望のいずれかの動作波長または動作波長領域より100nm短い、1つないしさらに多くの波長においてポンピングすることが好ましい。例えば、1550nm近傍の波長で動作信号を搬送している光ファイバはラマン増幅器により1450nm近傍のポンピング波長でポンピン議することができる。すなわち、約1400nmから約1500nmの波長領域におけるファイバ減衰を低めることにより、特に1400nm近傍のポンピング波長に対して、ポンピング光減衰が低められてポンピング効率、例えばポンピングパワー1mW当たり利得を得られるようになるであろう。
【0064】
本明細書に開示されるファイバは、特にOVDプロセスによって作成された場合に、低PMD(偏波モード分散)値を示す。本明細書に開示される光ファイバに対し、光ファイバを捩ることでもPMD値を低めることができる。
【0065】
上述の説明が例示に過ぎず、特許請求の範囲によって定められる光ファイバの本質及び特質の理解のための概要の提供が目的とされていることは当然である。添付図面は好ましい実施形態のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は様々な特徴及び、それぞれの記述とともに原理及び動作の説明に役立つ、実施形態を示す。添付される特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、本明細書に説明されるような好ましい実施形態に様々な改変がなされ得ることが、当業者には明らかになるであろう。