特許第6671423号(P6671423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6671423電磁波遮蔽機能を有する回路基板とその製造方法、及び、平板ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671423
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】電磁波遮蔽機能を有する回路基板とその製造方法、及び、平板ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20200316BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20200316BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20200316BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20200316BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20200316BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20200316BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20200316BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   H05K1/02 P
   H05K9/00 R
   H05K3/40 K
   H01P3/08 200
   H01P11/00 102
   H01B7/08
   H01B7/00 306
   H01B7/18 D
【請求項の数】38
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-126554(P2018-126554)
(22)【出願日】2018年7月3日
(65)【公開番号】特開2019-16790(P2019-16790A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2018年7月3日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0084415
(32)【優先日】2017年7月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514227771
【氏名又は名称】インクテック カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INKTEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チュン, クヮン−チョン
(72)【発明者】
【氏名】ムン, ビョン ウン
【審査官】 鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−234500(JP,A)
【文献】 特許第6142933(JP,B2)
【文献】 特表平08−506696(JP,A)
【文献】 特開平04−313300(JP,A)
【文献】 特開2014−041969(JP,A)
【文献】 特開平09−289379(JP,A)
【文献】 特開2010−258080(JP,A)
【文献】 特表2010−530690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H01B 7/00
H01B 7/08
H01B 7/18
H01P 3/08
H01P 11/00
H05K 3/40
H05K 3/42
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に配置される複数の信号部と、
前記基材上の両側縁のみに前記信号部と並んで配置される接地部と、
前記基材の上部に配置されて前記信号部と前記接地部をカバーする絶縁層と、
前記絶縁層の上部と前記基材の下部にそれぞれ配置される電磁波遮蔽層と、
前記複数の信号部の前記信号部それぞれの両側で前記基材と前記絶縁層を貫通して、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と前記基材下部の電磁波遮蔽層を電気的に連結する遮蔽ブリッジと
を含む電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項2】
前記電磁波遮蔽層と前記接地部を電気的に連結する接地ブリッジをさらに含む請求項1に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項3】
前記接地ブリッジは、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つに形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項4】
前記接地ブリッジは、前記回路基板の両端部で前記信号部と前記接地部にそれぞれ連結されるコネクタに形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項5】
前記接地ブリッジは、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つを貫通して接地部を露出させるコンタクトホールに形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項6】
前記遮蔽ブリッジは複数設けられ、前記信号部の長さ方向に沿って離隔配置されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項7】
前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項8】
前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項9】
前記遮蔽ブリッジは、基材及び絶縁層を貫通するスルーホールに形成されることを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項10】
前記接地部は、前記基材の上面両側縁にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項11】
前記電磁波遮蔽層は、メッシュ状からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項12】
前記メッシュは、網目の対角線の長さが前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下に設定されることを特徴とする請求項11に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項13】
前記メッシュは、網目の対角線の長さが、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることを特徴とする請求項11に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板。
【請求項14】
基材、前記基材上に配置される複数の信号部、前記基材上の両側縁のみに前記信号部と並んで配置される接地部、前記基材の上部に配置されて前記信号部と前記接地部をカバーする絶縁層、前記絶縁層の上部と前記基材の下部にそれぞれ配置される電磁波遮蔽層、及び前記複数の信号部の前記信号部それぞれの両側で前記基材と前記絶縁層を貫通して前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と前記基材下部の電磁波遮蔽層を電気的に連結する遮蔽ブリッジを含む電磁波遮蔽機能を有する回路基板、
前記回路基板の両端部に設けられ、前記信号部と前記接地部にそれぞれ連結されるコネクタを含むことを特徴とする平板ケーブル。
【請求項15】
前記回路基板は、前記電磁波遮蔽層と前記接地部を電気的に連結する接地ブリッジをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の平板ケーブル。
【請求項16】
前記遮蔽ブリッジは、複数設けられ、前記信号部の長さ方向に沿って離隔配置されることを特徴とする請求項14に記載の平板ケーブル。
【請求項17】
前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることを特徴とする請求項16に記載の平板ケーブル。
【請求項18】
前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることを特徴とする請求項16に記載の平板ケーブル。
【請求項19】
基材の上面の両側縁のみに接地部を形成し、前記両側縁の前記接地部の間に複数の信号部を形成する工程と、
前記基材の上部に前記信号部と接地部を覆う絶縁層を形成する工程と、
前記信号部の両側で前記基材及び絶縁層を貫通するスルーホールを形成するホール加工工程と、
前記絶縁層の上部と基材の下部にそれぞれ電磁波遮蔽層を形成する工程を含み、
前記スルーホールを形成する前記ホール加工工程においては、前記複数の信号部の前記信号部それぞれの両側に前記スルーホールが形成され、
前記電磁波遮蔽層を形成する工程では、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記スルーホールに充填され、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と基材下部の電磁波遮蔽層を連結する遮蔽ブリッジを形成することを特徴とする電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項20】
前記ホール加工工程においては、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つを貫通して、接地部を露出させるコンタクトホールを形成し、
前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記コンタクトホールに充填され、前記電磁波遮蔽層と接地部を連結する接地ブリッジを形成することを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記ホール加工工程においては、前記スルーホールを信号部の長さ方向に沿って多数形成することを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項22】
前記スルーホールの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することを特徴とする請求項21に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項23】
前記スルーホールの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することを特徴とする請求項21に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項24】
前記信号部と接地部を形成する工程は、基材の上面に金属層を形成する工程と、前記金属層をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、無電解メッキ工程により、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と、前記基材下部の電磁波遮蔽層と、前記スルーホールに充填される遮蔽ブリッジ及び前記コンタクトホールに充填される接地ブリッジを形成することを特徴とする請求項20に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、導電性物質で構成された電磁波遮蔽フィルムを絶縁層の上部と基材の下部にそれぞれ配置し、ホットプレス工程により前記電磁波遮蔽フィルムに熱と圧力を提供し、前記電磁波遮蔽フィルムを構成する導電性物質が前記スルーホールとコンタクトホール内に充填されるようにすることを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項27】
前記信号部と接地部を形成する工程は、
前記基材の上面に金属シード層を形成する工程と、
前記金属シード層の上側に金属層をメッキする工程と、
前記金属シード層と金属層をパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項28】
前記信号部と接地部を形成する工程は、
基材の上面に信号部と接地部に対応する形態で金属シード層を形成する工程と、
前記金属シード層上に金属層をメッキする工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項29】
前記金属シード層を形成する工程においては、導電性ペーストをフレキシブル基板の上側に印刷して、金属シード層を形成することを特徴とする請求項28に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項30】
前記電磁波遮蔽層を形成する工程は、
前記絶縁層の上面に上部金属シード層を形成し、前記基材の下面に下部金属シード層を形成するシード層形成工程と、
スルーホールとコンタクトホールとの内壁に金属シード膜を塗布する工程と、
前記金属シード層及び金属シード膜の表面に導電性物質をメッキする工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項31】
前記電磁波遮蔽層を形成する工程は、
前記金属シード層の表面にメッキされた導電性物質をパターニングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項32】
前記シード層形成工程以後、上部金属シード層と下部金属シード層の表面に保護フィルムを形成する工程を行い、
コンタクトホールの内壁に金属シード膜を塗布した以後、前記保護フィルムを除去する工程を行うことを特徴とする請求項30に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項33】
前記信号部と接地部を形成する工程においては、
前記基材の上面のうちのスルーホールが形成される位置にポストを形成することを特徴とする請求項19に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項34】
前記ポストを形成する工程においては、ポストを柱状で形成し、多数のポストを信号部の長さ方向に沿って離隔配置することを特徴とする請求項33に記載の電磁波遮蔽機能を
有する回路基板の製造方法。
【請求項35】
前記ポストの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することを特徴とする請求項34に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項36】
前記ポストの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することを特徴とする請求項34に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項37】
前記ホール加工工程においては、
前記ポストに対応する位置で前記基材及び絶縁層を貫通するスルーホールを形成し、ポストの上面と下面をそれぞれ露出させることを特徴とする請求項33に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【請求項38】
前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記スルーホールに充填され、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と基材下部の電磁波遮蔽層を前記ポストと電気的に連結する遮蔽ブリッジを形成することを特徴とする請求項37に記載の電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法に関する。より詳細には、隣接する複数の信号部間の電磁波干渉を防止することができる電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フレキシブル回路基板(FPC、Flexible Printed Circuit)は、一種の印刷回路技法を用いて製作し、一般的に硬性回路基板(PCB、Printed Circuit Board)と硬性回路基板を電気的に連結する目的に使用されている。
このようなフレキシブル回路基板は、一般的に片面または両面の構造を有しており、従
来のフレキシブル回路基板は、回路と回路を連結する単純な目的に主に使用されてきた。
【0003】
このようなフレキシブル回路基板に電気信号が印加されると電磁波妨害(EMI、electromagnetic wave interference)が発生する。電磁波は、人体に有害なのはもちろんのこと、フレキシブル回路基板が適用される製品でノイズを発生させて、品質欠陥の主要な原因を提供するため、このような問題点を防止するために様々な方法が使用されている。そのうちの一つの方法が、フレキシブル回路基板に電磁波遮蔽フィルムを適用することである。
【0004】
図1は、従来の電磁波遮蔽フィルムが設けられたフレキシブル回路基板を説明するための図であって、図1の(a)は、フレキシブル回路基板の平面図を、図1の(b)は、図1(a)の切断線A−A’で切断した断面図を示したものである。
図1に示したように、従来のフレキシブル回路基板は、ベースフィルム12の上に形成された信号ライン14D及び接地ライン14Gが形成され、信号ライン14D及び接地ライン14Gの上側には、樹脂層16が設けられ、樹脂層16の上側には、電磁波遮蔽フィルム1が配置される。
【0005】
ここで、信号ライン14Dは、データ信号伝達のための導電性経路であり、接地ライン14Gは、接地のための導電性経路である。
電磁波遮蔽フィルム1は、ポリマー材質のカバーフィルム1aと、このようなカバーフィルム1aに薄い層で形成された金属膜である導電体層1bと、このような導電体層1bの一面に広く塗布されて接着性を有する樹脂で作られた導電性接着剤層1cを含む。導電性接着剤層1cは、一般的な樹脂に導電性を有する金属物が混合されたものを意味する。このような金属物は、銀、ニッケル、銅などが使用されることができる。
【0006】
前記電磁波遮蔽フィルム1が電磁波遮蔽の効果を発生させるためには、導電性接着剤層1cを用いて、導電体層1bを接地ライン14Gに電気的に連結しなければならない。しかし、このような導電性接着剤層1cは、熱と圧力を受けて硬質化するため、フレキシブル回路基板の屈曲性が低下する問題が発生する。
【0007】
また、ベースフィルム12上に設けられる複数の信号ライン14Dでそれぞれ発生する電磁波が隣接信号ライン14Dで発生する電磁波と干渉して、ノイズが発生する問題がある。特に、このようなノイズは、フレキシブル回路基板の長さが長いほど増加することになり、信号ライン14Dを通過する信号の周波数が高いほど増加するので、長さが長いフレキシブル回路基板を用いて、高解像度の映像イメージのような大容量のデータを高速に伝送することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第1219357号(2013.01.09.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、信号部で発生する電磁波及びノイズを電磁波遮蔽層及び接地部を介して放出させ、高速信号伝送が可能な電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法を提供することにある。
また、隣接する複数の信号部間の電磁波干渉を防止することができる電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、本発明により、基材と、前記基材上に配置される信号部と、前記信号部と並んで配置される接地部と、前記基材の上部に配置されて前記信号部と前記接地部をカバーする絶縁層と、前記絶縁層の上部と前記基材の下部にそれぞれ配置される電磁波遮蔽層及び前記信号部の両側で前記基材と前記絶縁層を貫通して、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と前記基材下部の電磁波遮蔽層を電気的に連結する遮蔽ブリッジを含む電磁波遮蔽機能を有する回路基板によって達成される。
【0011】
ここで、前記電磁波遮蔽層と前記接地部を電気的に連結する接地ブリッジをさらに含むことが好ましい。
また、前記接地ブリッジは、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つに形成されることが好ましい。
また、前記接地ブリッジは、前記回路基板の両端部で前記信号部と前記接地部にそれぞれ連結されるコネクタに形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記接地ブリッジは、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つを貫通して接地部を露出させるコンタクトホールに形成されることが好ましい。
また、前記遮蔽ブリッジは複数設けられ、前記信号部の長さ方向に沿って離隔配置されることが好ましい。
また、前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることが好ましい。
【0013】
また、前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることが好ましい。
また、前記遮蔽ブリッジは、基材及び絶縁層を貫通するスルーホールに形成されることが好ましい。
また、前記接地部は、前記基材の上面両側縁にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記電磁波遮蔽層は、メッシュ状からなることが好ましい。
また、前記メッシュは、網目の対角線の長さが前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下に設定されることが好ましい。
また、前記メッシュは、網目の対角線の長さが、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることが好ましい。
【0015】
また、本発明の目的は、基材、前記基材上に配置される信号部、前記信号部と並んで配置される接地部、前記基材の上部に配置されて前記信号部と前記接地部をカバーする絶縁層、前記絶縁層の上部と前記基材の下部にそれぞれ配置される電磁波遮蔽層、及び前記信号部の両側で前記基材と前記絶縁層を貫通して前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と前記基材下部の電磁波遮蔽層を電気的に連結する遮蔽ブリッジを含む電磁波遮蔽機能を有する回路基板、及び前記回路基板の両端部に設けられ、前記信号部と前記接地部にそれぞれ連結されるコネクタを含むことを特徴とする平板ケーブルによっても達成される。
【0016】
ここで、前記回路基板は、前記電磁波遮蔽層と前記接地部を電気的に連結する接地ブリッジをさらに含むことが好ましい。
また、前記遮蔽ブリッジは、複数設けられ、前記信号部の長さ方向に沿って離隔配置されることが好ましい。
【0017】
また、前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることが好ましい。
また、前記遮蔽ブリッジの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されることが好ましい。
【0018】
また、本発明の目的は、基材の上面に信号部と接地部を形成する工程と、前記基材の上部に前記信号部と接地部を覆う絶縁層を形成する工程と、前記信号部の両側で前記基材及び絶縁層を貫通するスルーホールを形成するホール加工工程と、前記絶縁層の上部と基材の下部にそれぞれ電磁波遮蔽層を形成する工程を含み、前記電磁波遮蔽層を形成する工程では、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記スルーホールに充填され、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と基材下部の電磁波遮蔽層を連結する遮蔽ブリッジを形成することを特徴とする電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法によっても達成される。
【0019】
ここで、前記ホール加工工程においては、前記絶縁層と基材のうちの少なくともいずれか一つを貫通して、接地部を露出させるコンタクトホールを形成し、前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記コンタクトホールに充填され、前記電磁波遮蔽層と接地部を連結する接地ブリッジを形成することが好ましい。
【0020】
また、前記ホール加工工程においては、前記スルーホールを信号部の長さ方向に沿って多数形成することが好ましい。
また、前記スルーホールの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することが好ましい。
また、前記スルーホールの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することが好ましい。
【0021】
また、前記信号部と接地部を形成する工程は、基材の上面に金属層を形成する工程と、前記金属層をパターニングする工程を含むことが好ましい。
また、前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、無電解メッキ工程により、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と、前記基材下部の電磁波遮蔽層と、前記スルーホールに充填される遮蔽ブリッジ及び前記コンタクトホールに充填される接地ブリッジを形成することが好ましい。
【0022】
また、前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、導電性物質で構成された電磁波遮蔽フィルムを絶縁層の上部と基材の下部にそれぞれ配置し、ホットプレス工程により前記電磁波遮蔽フィルムに熱と圧力を提供し、前記電磁波遮蔽フィルムを構成する導電性物質が前記スルーホールとコンタクトホール内に充填されるようにすることが好ましい。
また、前記信号部と接地部を形成する工程は、前記基材の上面に金属シード層を形成する工程と、前記金属シード層の上側に金属層をメッキする工程と、前記金属シード層と金属層をパターニングする工程を含むことが好ましい。
【0023】
また、前記信号部と接地部を形成する工程は、基材の上面に信号部と接地部に対応する形態で金属シード層を形成する工程と、前記金属シード層上に金属層をメッキする工程を含むことが好ましい。
また、前記金属シード層を形成する工程においては、導電性ペーストをフレキシブル基板の上側に印刷して、金属シード層を形成することが好ましい。
【0024】
また、前記電磁波遮蔽層を形成する工程は、前記絶縁層の上面に上部金属シード層を形成し、前記基材の下面に下部金属シード層を形成するシード層形成工程と、スルーホールとコンタクトホールとの内壁に金属シード膜を塗布する工程と、前記金属シード層及び金属シード膜の表面に導電性物質をメッキする工程を含むことが好ましい。
また、前記電磁波遮蔽層を形成する工程は、前記金属シード層の表面にメッキされた導電性物質をパターニングする工程をさらに含むことが好ましい。
【0025】
また、前記シード層形成工程以後、上部金属シード層と下部金属シード層の表面に保護フィルムを形成する工程を行い、コンタクトホールの内壁に金属シード膜を塗布した以後、前記保護フィルムを除去する工程を行うことが好ましい。
また、前記信号部と接地部を形成する工程においては、前記基材の上面のうちのスルーホールが形成される位置にポストを形成することが好ましい。
【0026】
また、前記ポストを形成する工程においては、ポストを柱状で形成し、多数のポストを信号部の長さ方向に沿って離隔配置することが好ましい。
また、前記ポストの離隔間隔は、前記信号部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することが好ましい。
また、前記ポストの離隔間隔は、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定することが好ましい。
【0027】
また、前記ホール加工工程においては、前記ポストに対応する位置で前記基材及び絶縁層を貫通するスルーホールを形成し、ポストの上面と下面をそれぞれ露出させることが好ましい。
また、前記電磁波遮蔽層を形成する工程においては、前記電磁波遮蔽層を構成する導電性物質が前記スルーホールに充填され、前記絶縁層上部の電磁波遮蔽層と基材下部の電磁波遮蔽層を前記ポストと電気的に連結する遮蔽ブリッジを形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、信号部で発生する電磁波及びノイズを電磁波遮蔽層及び接地部を介して放出させ、高速信号伝送が可能な電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法が提供される。また、隣接する複数の信号部間の電磁波干渉を防止することができる電磁波遮蔽機能を有する回路基板及びその製造方法が提供される。このように、内部信号部で発生する電磁波及びノイズに対する遮蔽はもちろんのこと、外部で発生する電磁波及びノイズに対する遮蔽も可能な回路基板及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、従来の電磁波遮蔽フィルムが設けられたフレキシブル回路基板の図である。
図2図2は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の断面図である。
図4図4は、図3のB−B’線断面図である。
図5図5は、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の分解斜視図である。
図6図6は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板を用いたフラットケーブルの概略図である。
図7図7は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図8図8は、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第1の工程別断面図である。
図9図9は、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第2の工程別断面図である。
図10図10は、本発明の第3実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第1の工程別断面図である。
図11図11は、本発明の第3実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第2の工程別断面図である。
図12図12は、本発明の第4実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第1の工程別断面図である。
図13図13は、本発明の第4実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の第2の工程別断面図である。
図14図14は、本発明の第5実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図15図15は、本発明の第6実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図16図16は、本発明の第7実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
説明に先立ち、様々な実施例において、同一の構成を有する構成要素については、同一の符号を使用して代表的に第1実施例で説明し、その他の実施例においては、第1実施例と異なる構成について説明することにする。
以下、添付した図面を参照して、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板について詳細に説明する。
【0031】
添付図面のうち、図2は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の分解斜視図であり、図3は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の断面図であり、図4は、図3のB−B’線断面図であり、図5は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の使用例を示した図である。
【0032】
前記図2図4に示したように、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板は、基材110、信号部121、接地部122、絶縁層130、スルーホール141、コンタクトホール142、電磁波遮蔽層150、遮蔽ブリッジ151及び接地ブリッジ152を含む。
【0033】
前記基材110は、フレキシブル回路基板の生地素材となるものであって、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができるフィルムからなり得る。
【0034】
前記信号部121は、銅(Cu)のような電気伝導性に優れた材質からなり、前記基材110の上面に複数設けられて、一列に並んで配置される。
【0035】
前記接地部122は、前記信号部121と同一の材質からなり、前記基材110の上面両側縁で前記信号部121と並んで配置される。
【0036】
前記絶縁層130は、前記基材110の上面に形成された信号部121と接地部122を保護するために基材110の上面に積層され、前記信号部121と接地部122を覆うものであって、絶縁層130の前記基材110と向き合う面には、接着剤131が塗布されることができ、ホットプレス工程により前記基材110の上面に接合されることができる。
【0037】
前記スルーホール141は、前記信号部121の両側で前記基材110と絶縁層130を貫通して形成されるものであって、前記信号部121の長さ方向に沿って一定の間隔で離隔配置される。特に、前記スルーホール141の離隔間隔(D)は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定されるか、外部で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。
【0038】
前記コンタクトホール142は、前記絶縁層130と基材110のうちの少なくともいずれか一つを貫通して形成されるものであって、本実施例では、接地部122の上面が露出するように絶縁層130を貫通するビアホールの形態で構成されるものとして例を挙げて説明する。また、前記コンタクトホール142は、複数設けられて接地部122に沿って離隔配置されることによって、コンタクトホール142に形成される接地ブリッジ152により、前記電磁波遮蔽層150が接地部122と複数の地点で電気的に連結されるようにすることができる。
【0039】
このようなコンタクトホール142の離隔間隔は、電磁波遮蔽層150の電気抵抗値により決定されることができ、電磁波遮蔽層150の電気抵抗値が大きい場合には、コンタクトホール142の離隔間隔を狭くし、電磁波遮蔽層150の電気抵抗値が小さい場合には、コンタクトホール142の離隔間隔を相対的に広くすることができる。
【0040】
一方、前記コンタクトホール142は、基材110を貫通するビアホールの形態で構成することができ、この他にも、絶縁層130と基材110で保護される接地部122を露出させるために絶縁層130と接地部122及び基材110を貫通するか、コンタクトホール142の内部に接地部122の側面が露出するように絶縁層130と基材110を貫通するスルーホールの形態で構成することも可能である。
【0041】
前記電磁波遮蔽層150は、前記絶縁層130の上部と前記基材110の下部にそれぞれ配置され、遮蔽ブリッジ151によって上部の電磁波遮蔽層150と下部の電磁波遮蔽層150が電気的に連結され、接地ブリッジ152によって電磁波遮蔽層150と接地部122が電気的に連結される。
【0042】
このような電磁波遮蔽層150は、熱可塑性の導電性物質で構成された電磁波遮蔽フィルムで構成されることができ、融点よりも少し低い温度に加熱して軟化させた状態で圧力を提供すると、電磁波遮蔽フィルムを構成する導電性物質が、前記スルーホール141とコンタクトホール142の内部に挿入され、前記絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150と基材110下部の電磁波遮蔽層150を電気的に連結する遮蔽ブリッジ151と、前記絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150と接地部122を電気的に連結する接地ブリッジ152を形成する。
【0043】
一方、前記電磁波遮蔽フィルムを加熱し、圧力を提供するために、熱エネルギーと圧力を同時に提供するホットプレス工程が用いられることができる。
【0044】
具体的に、前記のようにスルーホール141に充填された遮蔽ブリッジ151は、前記信号部121の両側にそれぞれ配置され、信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔で離隔されて、信号部121で発生する電磁波が遮蔽ブリッジ151の間の空間を通過できないようになるため、「ファラデーケージ(Faraday cage)効果」を提供することができる。
【0045】
すなわち、信号部121の両側に配置された遮蔽ブリッジ151が、電磁波遮断膜の機能を行うことになるので、信号部121の上部と下部にのみ電磁波遮蔽層150を積層しながらも、それぞれの信号部121を電磁波シールドで囲んだような効果を提供することができる。
【0046】
添付図面のうち、図5は、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の分解斜視図である。
図5に示したように、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板は、絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150’と基材下部の電磁波遮蔽層150’がそれぞれメッシュ(mesh)状からなる点で、前述した第1実施例との差を持つ。
【0047】
特に、前記メッシュ状からなる電磁波遮蔽層150’は、メッシュの網目の対角線の長さが信号部で発生する電磁波波長の1/2以下、または外部で発生する電磁波波長の1/2以下に設定される。したがって、ファラデーケージ効果によって、信号部121で発生する電磁波が電磁波遮蔽層150’を通過して外部に放出されるか、外部の電磁波が電磁波遮蔽層150’を通過して内部に流入することを防止することができる。
【0048】
特に、電磁波遮蔽層150’をメッシュ状に構成する場合には、一般的なプレート状の電磁波遮蔽層に比べて、回路基板の準軟性・フレキシブル性が向上するという利点を提供することができる。
一方、前記電磁波遮蔽層150’を除いた残りの構成は、第1実施例と同様であるため、同一の構成についての具体的な説明は省略する。
【0049】
一方、図6に示すように、本発明のフラットケーブルは、図2及び図6のフレキシブル回路基板100と、フレキシブル回路基板100の両端部に信号部121と接地部122にそれぞれ連結されるコネクタ100aが設けられた形態で提供されることができる。
このようなフラットケーブルは、フレキシブル回路基板100の両端部に設けられたコネクタ100aが相対移動する第1基板B1と第2基板B2にそれぞれ結合し、前記第1基板B1と第2基板B2がフレキシブル回路基板100によって、電気的に連結されるようにすることができる。
【0050】
すなわち、本実施例によれば、フレキシブル回路基板100に設けられる多数の信号部121は、それぞれ独立的に電磁波遮蔽層150によって保護されるので、長さが長いフレキシブル平板ケーブル(flexible flat cable)、または、映像信号のような大容量信号の高速伝送のためのフレキシブル平板ケーブルとして使用してもフレキシブル回路基板100を介して伝送される信号にノイズが混ざることを防止することができる。
【0051】
添付図面のうち、図7は、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図7に示したように、本発明の第1実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属層形成工程S110と、信号部と接地部形成工程S120と、絶縁層形成工程S130と、ホール加工工程S140及び電磁波遮蔽層形成工程S150を含む。
【0052】
前記金属層形成工程S110は、図7の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる絶縁性の基材110上に銅(Cu)のような金属層120を積層するものであって、基材110の上面に金属層120が積層された状態で提供されるフレキシブル銅箔積層フィルム(FCCL)を準備することで代替することができる。このように、金属層120を基材110にラミネートして備えることもでき、金属を基材110にコーティングして金属層120を備えることもでき、基材110の上にメッキして金属層120を備えることもできるのはもちろんである。
【0053】
前記信号部と接地部形成工程S120は、図7の(b)に示すように、前記金属層120から信号部121と接地部122を形成するために、フォトリソグラフィ工程により前記金属層120をパターニングして、基材110の上面に複数の信号部121と接地部122を形成する。
【0054】
前記絶縁層形成工程S130においては、図7の(c)に示すように、前記基材110の上部に前記信号部121と接地部122を覆う絶縁層130を形成する。一方、前記絶縁層130が基材110に堅固に接合されることができるように、前記絶縁層130の前記基材110と向き合う面には接着剤131が塗布されることができ、前記絶縁層130は、ホットプレス工程により、基材110の上面に接合されることができる。
【0055】
前記ホール加工工程S140においては、図7の(d)に示すように、前記信号部121の両側で前記基材110及び絶縁層130を貫通するスルーホール141を形成し、前記絶縁層130と基材110のうちの少なくともいずれか一つを貫通して接地部122を露出させるコンタクトホール142を形成する。ここで、前記スルーホール141は、信号部121の長さ方向に沿って多数離隔配置され、前記スルーホール141の離隔間隔は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。
【0056】
一方、前記コンタクトホール142が絶縁層130に形成される場合には、前記絶縁層形成工程S130で、コンタクトホール142が予め形成された絶縁層130を基材110の上面に配置し、絶縁層130と基材110の接合位置が整列された状態で、絶縁層130を基材110と接合することができる。このように、絶縁層130にコンタクトホール142を予め形成する場合には、前記ホール加工工程S140でコンタクトホール142の加工深さを精密に制御しなくても良い。
【0057】
前記電磁波遮蔽層形成工程S150においては、図7の(e)に示すように、熱可塑性の導電性物質で構成された電磁波遮蔽フィルムを前記絶縁層130の上部と基材110の下部にそれぞれ配置し、電磁波遮蔽フィルムを融点よりも少し低い温度に加熱して軟化させた状態で圧力を提供すると、電磁波遮蔽フィルムを構成する導電性物質が、前記スルーホール141とコンタクトホール142の内部に充填され、前記絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150と基材110下部の電磁波遮蔽層150を電気的に連結する遮蔽ブリッジ151と、前記絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150と接地部122を電気的に連結する接地ブリッジ152を形成することになる。
【0058】
このような電磁波遮蔽層形成工程S150においては、電磁波遮蔽フィルムを加熱すると共に圧力を提供することができるホットプレス工程が用いられることができる。
【0059】
一方、本実施例においては、絶縁層130の上部と基材110の下部に電磁波遮蔽フィルムを配置し、ホットプレス工程により電磁波遮蔽層150と遮蔽ブリッジ151及び接地ブリッジ152を形成するものとして例を挙げて説明したが、無電解メッキ工程により前記回路基板の外表面全体に無電解メッキ膜を必要な厚さに形成することによって、絶縁層130上部の電磁波遮蔽層150と、前記基材110下部の電磁波遮蔽層150と、前記スルーホール141に充填される遮蔽ブリッジ151及びコンタクトホール142に充填される接地ブリッジ152を形成することも可能である。
【0060】
添付図面のうち、図8図9は、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図8図9に示したように、本発明の第2実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属層形成工程S210と、信号部と接地部形成工程S220と、絶縁層形成工程S230と、上部金属シード層形成工程S240と、下部金属シード層形成工程S250と、ホール加工工程S260と、電磁波遮蔽層形成工程S270及びカバー層形成工程S280を含む。
【0061】
前記金属層形成工程S210においては、図8の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる絶縁性の基材110上に銅(Cu)のような金属層120を積層する。このような金属層形成工程S210は、基材110の上面に金属層120が積層された状態で提供されるフレキシブル銅箔積層フィルム(FCCL)を準備することで代替することができる。このように金属層120を基材110にラミネートして備えることもでき、金属を基材110にコーティングして金属層120を備えることもでき、基材110の上にメッキして金属層120を備えることもできるのはもちろんである。
【0062】
前記信号部と接地部形成工程S220においては、図8の(b)に示すように、前記金属層120から信号部121と接地部122を形成するために、フォトリソグラフィ工程により前記金属層120をパターニングして、基材110の上面に複数の信号部121と接地部122を形成する。
【0063】
前記絶縁層形成工程S230においては、図8の(c)に示すように、ボンディングシート状の接着剤131’を用いて、絶縁層130を基材110の上面に接合する。前記接着剤131’は、ホットプレス工程により絶縁層130と基材110との間に接合されるようにすることができる。
【0064】
また、前記上部金属シード層形成工程S240においては、前記絶縁層130の上面に電磁波遮蔽層150の電解メッキのための上部金属シード層162を形成する。このような上部金属シード層162は、電気伝導性に優れた銀(Ag)材質からなることができ、グラビアコーティング、スクリーンプリンティング、スロットダイ、スピンコーティング、蒸着などによって形成されることができる。
【0065】
一方、本実施例においては、工程の簡素化のために、絶縁層130の上面に金属シード層162が形成されたフレキシブルシード積層フィルム(Flexible Seed Clad Laminate;FSCL)を予め準備し、ボンディングシート131’を用いて、前記フレキシブルシード積層フィルムの絶縁層130が基材110に接合することによって、上部金属シード層形成工程S240を絶縁層形成工程S230と同時に行うものとして例を挙げて説明したが、これに限定するものではない。
【0066】
前記下部金属シード層形成工程S250では、図8の(c)に示すように、前記基材110の下面に電磁波遮蔽層150の電解メッキのための下部金属シード層161を形成する。このような下部金属シード層161は、電気伝導性に優れた銀(Ag)材質からなることができ、下部金属シード層161は、グラビアコーティング、スクリーンプリンティング、スロットダイ、スピンコーティング、蒸着などによって形成されることができる。
【0067】
図8の(d)に示すように、前記ホール加工工程S260では、前記信号部121の両側で上部金属シード層162と絶縁層130と接着層131’と基材110及び下部金属シード層161を貫通するスルーホール141を形成し、前記接地部122を露出させるために、前記接地部122が形成された0位置で前記上部金属シード層162と絶縁層130及び接着層131’を貫通するコンタクトホール142と、前記基材110と下部金属シード層161を貫通するコンタクトホール142を形成する。
【0068】
ここで、前記スルーホール141は、信号部121の長さ方向に沿って多数離隔配置され、前記スルーホール141の離隔間隔は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。
【0069】
一方、本実施例においては、前記コンタクトホール142が接地部122の上部と下部で接地部122の表面が露出する深さに形成されるものとして例を挙げて説明したが、工程の便宜のために接地部122を含んで完全に貫通するように形成することも可能である。一方、接地部122が損傷することを防止するために、コンタクトホール142の位置を調節して、コンタクトホール142内に接地部122の側面が露出するようにすることも可能である。
【0070】
前記電磁波遮蔽層形成工程S270は、図9の(e)に示すように、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成する工程S271と、図9の(f)に示すように、前記上部金属シード層162と下部金属シード層161及び前記金属シード膜Cの露出表面に銅のような導電性物質をメッキする工程S272及び図9の(g)に示すように、不必要な部分に形成された電磁波遮蔽層150と金属シード層161,162を除去するためのパターニング工程S273を含む。
【0071】
前記金属シード膜Cを形成する工程S271では、図9の(e)に示すように、ブラックホール、無電解メッキ、スクリーン印刷などの工程によりスルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成することができる。
【0072】
続いて、前記導電性物質をメッキする工程S272では、図9の(f)に示すように、電解メッキ工程により上部金属シード層162と下部金属シード層161の表面に所望の厚さの電磁波遮蔽層150を形成し、前記金属シード膜Cが形成されたスルーホール141とコンタクトホール142に導電性物質を充填させて、遮蔽ブリッジ151と接地ブリッジ152を形成することができる。
【0073】
すなわち、上部電磁波遮蔽層150と下部電磁波遮蔽層150は、電磁波遮蔽層150と同一の工程で同一の材質で形成される遮蔽ブリッジ151によって互いに電気的に連結され、電磁波遮蔽層150は、同一の工程で同一の材質で形成される接地ブリッジ152を介して接地部122と電気的に連結されるので、従来のように熱硬化性樹脂材質の接着剤を用いて接地部と電磁波遮蔽フィルムを連結する構造における屈曲性低下問題を解決することができる。
【0074】
前記カバー層積層工程S280では、図9の(h)に示すように、前記電磁波遮蔽層150を保護するために、前記上部電磁波遮蔽層150の上面と下部電磁波遮蔽層150の下面にそれぞれ絶縁物質からなるカバー層170を積層する。
添付図面のうち、図10図11は、本発明の第3実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0075】
図10図11に示されたような本発明の第3実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属層形成工程S310と、下部金属シード層形成工程S320と、下部保護フィルム形成工程S330と、信号部と接地部形成工程S340と、絶縁層形成工程S350と、上部金属シード層形成工程S360と、上部保護フィルム形成工程S370と、ホール加工工程S380と、保護フィルム除去工程S390と、電磁波遮蔽層形成工程S400及びカバー層形成工程S410を含む。
【0076】
前記金属層形成工程S310では、図10の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる絶縁性の基材110上に銅(Cu)のような金属層120を積層する。
【0077】
このような基材110に金属層120を形成する金属層形成工程S310は、金属層120を基材110の上面に熱硬化性接着剤Aで接合した状態で提供される片面のフレキシブル銅箔積層フィルム(FCCL)を準備することで代替することができる。このように金属層120を基材110にラミネートして備えることもでき、金属を基材110にコーティングして金属層120を備えることもでき、基材110の上にメッキして金属層120を備えることもできるのはもちろんである。
【0078】
前記下部金属シード層形成工程S320では、図10の(b)に示すように、前記金属層パターニング工程S340に先立ち、前記基材110の下面に電磁波遮蔽層150の電解メッキのための下部金属シード層161を形成する。このような下部金属シード層161は、電気伝導性に優れた銀(Ag)材質からなることができ、クラビアコーティング、スクリーンプリンティング、スロットダイ、スピンコーティング、蒸着などによって形成されることができる。
【0079】
前記下部保護フィルム形成工程S330では、図10の(c)に示すように、前記下部金属シード層161の下部に下部保護フィルム163を積層する。
【0080】
前記信号部と接地部形成工程S340は、図10の(d)に示すように、前記金属層120から信号部121と接地部122を形成するために、フォトリソグラフィ工程により前記金属層120をパターニングし、基材110の上面に多数の信号部121と接地部122を形成する。この際、前記下部金属シード層161は、下部保護フィルム163によって覆われているので、パターニング過程で下部金属シード層161が損傷することを防止することができる。
【0081】
図10の(e)に示すように、前記絶縁層形成工程S350では、ボンディングシート状の接着剤131’を用いて絶縁層130を基材110の上面に接合する。前記接着剤131’は、ホットプレス工程により絶縁層130と基材110との間に接合されるようにすることができる。
【0082】
また、前記上部金属シード層形成工程S360では、前記絶縁層130の上面に電磁波遮蔽層150の電解メッキのための上部金属シード層162を形成する。このような上部金属シード層162は、電気伝導性に優れた銀(Ag)材質からなることができ、クラビアコーティング、スクリーンプリンティング、スロットダイ、スピンコーティング、蒸着などによって形成されることができる。
【0083】
一方、本実施例においては、工程の簡素化のために、絶縁層130の上面に金属シード層が形成されたフレキシブルシード積層フィルム(Flexible Seed Clad Laminate;FSCL)を予め準備し、接着剤131’を用いて前記フレキシブルシード積層フィルムの絶縁層130を基材110に接合することによって、前記絶縁層形成工程S350と上部金属シード層形成工程S360を同時に行うものとして例を挙げて説明したが、これに限定するものではない。
【0084】
前記上部保護フィルム形成工程S370では、図10の(f)に示すように、前記上部金属シード層162の上部に上部保護フィルム164を積層する。
【0085】
前記ホール加工工程S380では、図11の(g)に示すように、前記信号部121の両側で上部保護フィルム164と上部金属シード層162と絶縁層130と接着層131’と基材110と下部金属シード層161及び下部保護フィルム163を貫通するスルーホール141を形成し、前記接地部122を露出させるために、前記接地部122が形成された位置で前記上部保護フィルム164と上部金属シード層162と絶縁層130及び接着層131’を貫通するコンタクトホール142を形成し、前記基材110と下部金属シード層161及び下部保護フィルム163を貫通するコンタクトホール142を形成する。
【0086】
ここで、前記スルーホール141は、信号部121の長さ方向に沿って多数離隔配置され、前記スルーホール141の離隔間隔は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。また、前記コンタクトホール142の離隔間隔は、電磁波遮蔽層150の電気抵抗値を考慮し、電磁波遮蔽層150に吸収された電磁波が接地部122を介して円滑に抜け出すことができるように設定されることができる。
【0087】
一方、本実施例においては、前記コンタクトホール142が接地部122の上部と下部で接地部122の表面が露出する深さに形成されるものとして例を挙げて説明したが、工程の便宜のために、接地部122を含んで完全に貫通するように形成することも可能である。一方、接地部122が損傷することを防止するために、コンタクトホール142の位置を調節して、コンタクトホール142内に接地部122の側面が露出するようにすることも可能である。
【0088】
前記電磁波遮蔽層形成工程S400は、図11の(h)に示すように、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成する工程S401と、図11の(j)に示すように、前記上部金属シード層162と下部金属シード層161及び前記金属シード膜Cに銅のような導電性物質をメッキする工程S402と、図11の(k)に示すように、不必要な部分に形成された電磁波遮蔽層150と金属シード層161,162を除去するためのパターニング工程S403を含む。
【0089】
前記金属シード膜Cを形成する工程S401では、図11の(h)に示すように、ブラックホール、無電解メッキ、スクリーン印刷などの工程によりスルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成することができ、前記導電性物質をメッキする工程S402では、図11の(j)に示すように、電解メッキ工程により上部金属シード層162と下部金属シード層161の表面に所望の厚さの電磁波遮蔽層150を形成し、前記金属シード膜Cが形成されたスルーホール141とコンタクトホール142に導電性物質を充填させて、遮蔽ブリッジ151と接地ブリッジ152を形成することができる。
【0090】
一方、本実施例においては、前記電磁波遮蔽層150を形成するために、無電解メッキ工程により金属シード層161,162と金属シード膜Cを形成した後、電解メッキ工程により電磁波遮蔽層150と遮蔽ブリッジ151及び接地ブリッジ152を形成するものとして例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、ホール加工工程S260以後に無電解メッキ工程により回路基板の外表面全体に無電解メッキ膜を形成して、電磁波遮蔽層150と遮蔽ブリッジ151及び接地ブリッジ152を形成することも可能である。
【0091】
一方、前記保護フィルム除去工程S390は、図11の(i)に示すように、前記金属シード膜を形成する工程S401と導電性物質をメッキする工程S402との間で、上部金属シード層162の上部に積層された上部保護フィルム164と、下部金属シード層161の下部に積層された下部保護フィルム163を除去する。
前記カバー層積層工程S410では、図11の(l)に示すように、前記電磁波遮蔽層150を保護するために、前記上部電磁波遮蔽層150の上面と下部電磁波遮蔽層150の下面にそれぞれ絶縁物質からなるカバー層170を積層する。
【0092】
添付図面のうち、図12図13は、本発明の第4実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
【0093】
図12図13に示されたような本発明の第4実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属シード層形成工程S510と、下部保護フィルム積層工程S520と、金属層形成工程S530と、信号部と接地部形成工程S540と、絶縁層形成工程S550と、上部金属シード層形成工程S560と、上部保護フィルム形成工程S570と、ホール加工工程S580と、上部保護フィルム及び下部保護フィルム除去工程S590と、電磁波遮蔽層形成工程S600及びカバー層形成工程S610を含む。
【0094】
前記金属シード層形成工程S510では、図12の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる基材110の上面に金属層120メッキのための金属シード層120’を形成し、基材110の下面には、電磁波遮蔽層150の電解メッキのための下部金属シード層161を形成する。このような金属シード層120’,161は、電気伝導性に優れた銀(Ag)材質からなることができ、クラビアコーティング、スクリーンプリンティング、スロットダイ、スピンコーティング、蒸着などによって形成されることができる。
【0095】
前記下部保護フィルム形成工程S520では、図12の(b)に示すように、前記下部金属シード層161の下部に下部保護フィルム163を積層する。
【0096】
前記金属層形成工程S530では、図12の(c)に示すように、前記基材110の上面に形成された金属シード層120’上に銅のような導電性物質を電解メッキして金属層120を形成する。この際、前記下部金属シード層161は、下部保護フィルム163によって覆われているので、金属層120を電解メッキする過程で下部金属シード層161に導電性物質がメッキされることを防止することができる。
【0097】
一方、図12の(d)〜(g)及び図13の(h)〜(l)に示された、本実施例の前記信号部と接地部形成工程S540と、絶縁層形成工程S550と、上部金属シード層形成工程S560と、上部保護フィルム形成工程S570と、ホール加工工程S580と、上部保護フィルム及び下部保護フィルム除去工程S590と、電磁波遮蔽層形成工程S600及びカバー層積層工程S610は、前述した第3実施例と同様であるため、これに対する具体的な説明は省略する。
【0098】
添付図面のうち、図14は、本発明の第5実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図14に示されたような本発明の第5実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、信号部と接地部形成工程S710と、絶縁層形成工程S720と、ホール加工工程S730と、電磁波遮蔽層形成工程S740及びカバー層積層工程S750を含む。
【0099】
前記信号部と接地部形成工程S710は、図14の(a)に示すように、基材110の上面に信号部121と接地部122に対応する形態で、金属シード層120’を印刷する工程S711と、図13の(b)に示すように、前記金属シード層120’上に金属層120をメッキする工程S712を含む。
【0100】
前記金属シード層を印刷する工程S711では、図14の(a)に示すように、ロータリースクリーンやフレキソロール・ツー・ロール(R2R)プリンティングのような印刷工程により前記基材110の上面に、銀(Ag)のような導電性ペーストを印刷し、信号部121と接地部122に対応する形態で金属シード層120’を形成する。
【0101】
前記金属層をメッキする工程S712では、図14の(b)に示すように、電解メッキ工程により前記基材110の上面に形成された金属シード層120’上に銅のような導電性物質を電解メッキして金属層を形成する。この際、前記金属シード層120’は、信号部121と接地部122に対応する形態で形成されているので、金属シード層120’上に電解メッキされた金属層によって信号部121と接地部122が形成される。
【0102】
前記絶縁層形成工程S720では、図14の(c)に示すように、前記基材110の上面に形成された信号部121と接地部122を保護するために、絶縁コーティング物質で構成された絶縁層130’を前記信号部121と接地部122が形成された基材110の上面に積層する。
【0103】
前記ホール加工工程S730では、図14の(d)に示すように、前記信号部121の両側で絶縁層130’と基材110を貫通するスルーホール141を形成し、前記接地部122を露出させるために前記接地部122が形成された位置で絶縁層130’を貫通するコンタクトホール142と、基材110及び金属シード層120’を貫通するコンタクトホール142を形成する。
【0104】
ここで、前記スルーホール141は、信号部121の長さ方向に沿って多数離隔配置され、前記スルーホール141の離隔間隔は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。また、前記コンタクトホール142の離隔間隔は、電磁波遮蔽層150の電気抵抗値を考慮して、電磁波遮蔽層150に吸収された電磁波が接地部122を介して円滑に抜け出すことができるように設定されることができる。
【0105】
一方、前記コンタクトホール142の離隔間隔をスルーホール141の離隔間隔と同一に設定する場合には、コンタクトホール142に充填される接地ブリッジ152が遮蔽ブリッジ151の機能を行うことができるので、信号部121と接地部122との間の領域に配置されるスルーホール141と遮蔽ブリッジ151を省略することができる。
【0106】
一方、本実施例においては、前記コンタクトホール142が接地部122を貫通するものとして例を挙げて説明したが、接地部122が形成された位置で食刻やレーザードリリング(Laser drilling)などの方法により接地部122の外側面が露出する位置までコンタクトホール142を形成するか、接地部122の側面が露出するようにコンタクトホール142の位置を調節することによって、接地部122の損傷を最小化することも可能である。
【0107】
前記電磁波遮蔽層形成工程S740は、図14の(e)に示すように、前記絶縁層130’の上部に上部金属シード層162’を形成し、前記基材110の下部に下部金属シード層161’を形成し、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成する工程S741と、図14の(f)に示すように、前記上部金属シード層162と下部金属シード層161及び前記金属シード膜Cに銅のような導電性物質をメッキする工程S742と、図14の(g)に示すように、不必要な部分に形成された電磁波遮蔽層150と金属シード層161,162を除去するためのパターニング工程S743を含む。
【0108】
前記除去時、金属を除去するための当業界で知られている様々なすべての方法を適用することができ、例えば、マスキングテープを用いて除去することもできるが、これに本発明が限定されるものではない。
【0109】
前記上部金属シード層162’と下部金属シード層161’及び金属シード膜Cを形成する工程S741では、図14の(e)に示すように、ブラックホール、無電解メッキ、スクリーン印刷などの工程により、前記絶縁層130’の上面に上部金属シード層162’を形成し、前記基材110の下面に下部金属シード層161’を形成し、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成することができる。
【0110】
この際、回路基板の両端部に設けられるコネクタのように、金属シード膜Cの無電解メッキ過程でメッキ物質から保護されなければならない部分には、予めマスキングテープを付けておき、無電解メッキ工程以後に除去することが好ましい。
【0111】
前記導電性物質をメッキする工程S742では、図14の(f)に示すように、電解メッキ工程により前記絶縁層130’の上面と基材110の下面に形成された金属シード膜Cの表面に所望の厚さの電磁波遮蔽層150を形成し、前記金属シード膜Cが形成されたスルーホール141とコンタクトホール142に導電性物質を充填させて、遮蔽ブリッジ151と接地ブリッジ152を形成することができる。
【0112】
前記カバー層積層工程S750では、図14の(h)に示すように、前記電磁波遮蔽層150を保護するために、前記上部電磁波遮蔽層150の上面と下部電磁波遮蔽層150の下面にそれぞれ絶縁物質からなるカバー層170を積層する。
【0113】
添付図面のうち、図15は、本発明の第6実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図15に示されたような本発明の第6実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属層形成工程S810と、信号部と接地部形成工程S820と、絶縁層形成工程S830と、ホール加工工程S840と、電磁波遮蔽層形成工程S850及びカバー層積層工程S860を含む。
【0114】
前記金属層形成工程S810では、図15の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる絶縁性の基材110上に銅(Cu)のような金属層120を積層する。
【0115】
このような基材110に金属層120を形成する工程は、金属層120を基材110の上面に熱硬化性接着剤Aで接合して提供される片面のフレキシブル銅箔積層フィルム(FCCL)を準備することで代替することができる。このように金属層120を基材110にラミネートして備えることもでき、金属を基材110にコーティングして金属層120を備えることもでき、基材110の上にメッキして金属層120を備えることもできるのはもちろんである。
【0116】
前記信号部と接地部形成工程S820は、図15の(b)に示すように、前記金属層120から信号部121と接地部122を形成するために、フォトリソグラフィ工程により前記金属層120をパターニングして、基材110の上面に複数の信号部121と接地部122を形成する。
【0117】
図15の(c)〜(f)に示された本実施例の絶縁層形成工程S830と、ホール加工工程S840と、電磁波遮蔽層形成工程S850及びカバー層積層工程S860は、前述した第5実施例と同様あるため、これに対する具体的な説明は省略する。
【0118】
このように、本発明によれば、それぞれの信号部121を金属で包装するように金属材質のシールド缶で信号部121を実際に囲んだ従来とは異なって、信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔で離隔され、信号部121で発生する電磁波が遮蔽ブリッジ151の間の空間を通過できないようになるため、「ファラデーケージ(Faraday cage)効果」を提供することができる。
【0119】
すなわち、信号部121全体を囲んだ実体が存在する従来のシールド缶とは異なり、信号部121の両側に配置された遮蔽ブリッジ151が、目では見えない電気的特性のみある仮想の電磁波遮断膜を形成し、この仮想の遮断膜で信号部121を囲みながら遮蔽機能を行うことによって、信号部121の上部と下部にのみ電磁波遮蔽層150を積層しながらも、それぞれの信号部121を電磁波シールドで囲んだことと同じ効果を提供することができるようになる。
【0120】
添付図面のうち、図16は、本発明の第7実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法の工程別断面図である。
図16に示されたような本発明の第7実施例に係る電磁波遮蔽機能を有する回路基板の製造方法は、金属層形成工程S910と、信号部と接地部形成工程S920と、絶縁層形成工程S930と、ホール加工工程S940と、マスキングテープ付着工程S950と、電磁波遮蔽層形成工程S960と、マスキングテープ除去工程S970及びカバー層積層工程S980を含む。
【0121】
前記金属層形成工程S910では、図16の(a)に示すように、ポリイミド(polyimide)のように簡単に曲がることができる絶縁性の基材110上に銅(Cu)のような金属層120を積層する。このような基材110に金属層120を形成する工程は、金属層120を基材110の上面に熱硬化性接着剤Aで接合して提供される片面のフレキシブル銅箔積層フィルム(FCCL)を準備することで代替することができる。このように金属層120を基材110にラミネートして備えることもでき、金属を基材110にコーティングして金属層120を備えることもでき、基材110の上にメッキして金属層120を備えることもできるのはもちろんである。
【0122】
前記信号部と接地部形成工程S920では、図16の(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程により前記金属層120をパターニングして基材110の上面に複数の信号部121と接地部122を形成し、信号部の両側に柱状のポスト123を形成する。このようなポスト123は、信号部121の長さ方向に沿って多数離隔配置され、ポスト123の離隔間隔は、前記信号部121で発生する電磁波波長の1/2以下の間隔に設定される。
【0123】
前記絶縁層形成工程S930では、図16の(c)に示すように、前記基材110の上面に形成された信号部121と接地部122及びポスト123を保護するために、絶縁コーティング物質で構成された絶縁層130’を前記信号部121と接地部122及びポスト123が形成された基材110の上面に積層する。
【0124】
前記ホール加工工程S940では、図16の(d)に示すように、前記ポスト123が形成された位置で絶縁層130’と基材110を貫通するスルーホール141を形成して、前記ポスト123の上面と下面がそれぞれ露出するようにし、前記接地部122が形成された位置で絶縁層130’と基材110を貫通するコンタクトホール142を形成して、前記接地部122の上面と下面がそれぞれ露出するようにする。
【0125】
前記マスキングテープ付着工程S950では、電磁波遮蔽層形成工程S960のメッキ過程でメッキ物質から保護されなければならない部分にマスキングテープ(M)を付ける。このようなマスキングテープ(M)は、電磁波遮蔽層形成工程S960のメッキ過程で任意に分離されず、メッキ以後に簡単に剥がすことができるほどの接着力を有することが好ましい。
【0126】
前記電磁波遮蔽層形成工程S960は、図16の(e)に示すように、前記絶縁層130’の上部と基材110の下部に上部金属シード層162’及び下部金属シード層161’を形成し、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成する工程S961と、図16の(f)に示すように、前記上部金属シード層162’と下部金属シード層161’及び前記金属シード膜Cに銅のような導電性物質をメッキする工程S962を含む。
【0127】
前記上部金属シード層と下部金属シード層及び金属シード膜Cを形成する工程S961では、図16の(e)に示すように、ブラックホール、無電解メッキ、スクリーン印刷などの工程により前記絶縁層130’の上面に上部金属シード層162’を形成し、前記基材110の下面に下部金属シード層161’を形成し、前記スルーホール141及びコンタクトホール142の内壁に金属シード膜Cを形成する。
【0128】
前記導電性物質をメッキする工程S962では、図16の(f)に示すように、電解メッキ工程により前記絶縁層130’の上面に形成された上部金属シード層162’と前記基材110の下面に形成された下部金属シード層161’の表面に所望の厚さの電磁波遮蔽層150を形成し、前記金属シード膜Cが形成されたスルーホール141とコンタクトホール142に導電性物質を充填させて、遮蔽ブリッジ151と接地ブリッジ152を形成することができる。
【0129】
ここで、前記スルーホール141は、回路基板を完全に貫通する形態からなるものではなく、ポスト123の上部と下部にそれぞれ形成されているので、メッキ物質がスルーホール141の内部に完全に充填されない問題を効果的に改善することができる。
【0130】
前記マスキングテープ除去工程S970では、図16の(g)に示すように、絶縁層130’の上部及び基材110の下部に接合されていたマスキングテープ(M)を除去し、前記カバー層積層工程S980では、図16の(h)に示すように、前記上部電磁波遮蔽層150の上面と下部電磁波遮蔽層150の下面にそれぞれ絶縁物質からなるカバー層170を積層する。
【0131】
一方、前述した実施例においては、本発明の基材がフレキシブル基材であるフレキシブル回路基板に適用されるものとして例を挙げて説明したが、これに限定するものではなく、基材が硬性基材である硬性回路基板に適用することも可能である。
【0132】
このように、本発明の権利範囲は、前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内で様々な形態の実施例で具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0133】
110:基材 120:金属層
120’:金属シード層 121:信号部
122:接地部 130:絶縁層
131:接着剤 141:スルーホール
142:コンタクトホール 150:電磁波遮蔽層
151:遮蔽ブリッジ 152:接地ブリッジ
161:下部金属シード層 162:上部金属シード層
163:下部保護フィルム 164:上部保護フィルム
A:熱硬化性接着剤 C:金属シード膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16