特許第6671555号(P6671555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671555
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ピロロベンゾジアゼピン抗体複合体
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20200316BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20200316BHJP
   C07D 519/00 20060101ALN20200316BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20200316BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20200316BHJP
【FI】
   A61K47/68
   C07K16/28
   A61K31/5517
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   !A61K39/395 N
   !A61K39/395 T
   !C07D519/00 311
   !C12P21/08
   !C12N15/13
【請求項の数】26
【全頁数】65
(21)【出願番号】特願2019-542659(P2019-542659)
(86)(22)【出願日】2018年2月8日
(65)【公表番号】特表2020-506949(P2020-506949A)
(43)【公表日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2018053163
(87)【国際公開番号】WO2018146189
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年8月7日
(31)【優先権主張番号】1702029.8
(32)【優先日】2017年2月8日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1702031.4
(32)【優先日】2017年2月8日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1719906.8
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517182365
【氏名又は名称】アーデーセー セラピューティクス ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベルケル,パトリシウス ヘンリクス コルネリス
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/166302(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/053107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00−47/69
A61K 39/00−39/44
A61K 31/00−31/80
A61K 45/00
A61P 1/00−43/00
C07K 16/28
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)の複合体:
Ab−(DL) (I)
であって、式中:
Abは、AXLに結合する抗体であり;
DLは、以下
【化1】

であり、式中:
Xは、単結合、−CH−、及び−C−からなる群より選択され;
nは、1〜8であり;
mは、0または1であり;
は、メチルまたはフェニルであり;
C2とC3の間に二重結合が存在する場合、Rは、以下からなる群より選択され:
(ia)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレンを含む群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換された、C5−10アリール基、ここで「アルキル」という用語は、以下のサブクラス、即ち、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルを包含し、ここで「シクロアルキル」という用語は、飽和もしくは不飽和単環式炭化水素化合物を包含する;
(ib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3−6飽和シクロアルキル;
(id)
【化2】

、式中、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、前記R基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
【化3】

、式中、R25a及びR25bの一方は、Hであり、他方は、フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;ならびに
(if)
【化4】

、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニルから選択され
C2とC3の間に単結合が存在する場合、Rは、
【化5】

であり、式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R26a及びR26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R12は、以下からなる群より選択され:
(iia)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレンを含む群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換された、C5−10アリール基、ここで「アルキル」という用語は、以下のサブクラス、即ち、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルを包含し、ここで「シクロアルキル」という用語は、飽和もしくは不飽和単環式炭化水素化合物を包含する;
(iib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(iic)C3−6飽和シクロアルキル;
(iid)
【化6】

、式中、R31、R32、及びR33はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、前記R12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(iie)
【化7】

、式中、R35a及びR35bの一方は、Hであり、他方は、フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニルから選択され;ならびに
(iif)
【化8】

、式中、R24は、H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニルから選択され
C2’とC3’の間に単結合が存在する場合、R12は、
【化9】

であり、式中、R36a及びR36bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R36a及びR36bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
ならびにpは、1〜8である、
前記複合体。
【請求項2】
Xは、−CH−である、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
nは、1〜4である、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
nは、2である、請求項3に記載の複合体。
【請求項5】
C2とC3の間には二重結合が存在し、かつRは、C1−5飽和脂肪族アルキル基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の複合体
【請求項6】
は、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項5に記載の複合体
【請求項7】
C2とC3の間には二重結合が存在し、かつRは、
(a)1つ〜3つの置換基を有するフェニルであって、前記置換基は、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビス−オキシ−メチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ、及びメチルチオフェニルから選択されてもよい、フェニル、又は
(b)シクロプロピル、又は
(c)以下の式の基:
【化10】


前記R基の炭素原子の合計数は、3以下である、又は
(d)以下の基:
【化11】

、又は
(e)以下の式の基:
【化12】


24は、H及びメチルから選択される、
である、請求項1から4のいずれか1項に記載の複合体
【請求項8】
C2とC3の間には単結合が存在し、Rは、
【化13】

であり、かつ
(a)R26a及びR26bは、両方ともHであるか、又は
(b)R26a及びR26bは、両方ともメチルであるか、又は
(c)R26a及びR26bの一方はHであり、かつ他方は、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、任意選択で置換される、請求項1から4のいずれか1項に記載の複合体
【請求項9】
C2’とC3’の間には二重結合が存在し、かつR12は、C1−5飽和脂肪族アルキル基である、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合体
【請求項10】
12は、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項9に記載の複合体
【請求項11】
C2’とC3’の間には二重結合が存在し、かつR12は、
(a)1つ〜3つの置換基を有するフェニルであって、前記置換基は、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビス−オキシ−メチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ、及びメチルチオフェニルから選択されてもよいフェニル、又は
(b)シクロプロピル、又は
(c)以下の式の基:
【化14】


前記R12基の炭素原子の合計数は、3以下である、又は
(d)以下の基:
【化15】

、又は
(e)以下の式の基:
【化16】

34は、H及びメチルから選択される、
である、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合体
【請求項12】
C2’とC3’の間には単結合が存在し、R12
【化17】

であり、かつ
(a)R36a及びR36bは、両方ともHであるか、又は
(b)R36a及びR36bは、両方ともメチルであるか、又は
(c)R36a及びR36bの一方はHであり、かつ他方は、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、任意選択で置換される、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合体
【請求項13】
前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を持つVH CDR3、配列番号6のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR1を含むVHドメインを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項14】
前記抗体は、配列番号1の配列を有するVHドメインを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項15】
前記抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を持つVL CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR1を含むVLドメインを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項16】
前記抗体は、配列番号2の配列を有するVHドメインを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項17】
前記抗体は、配列番号3または配列番号24の配列を有する重鎖を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項18】
前記抗体は、配列番号4の配列を有する軽鎖との対形成を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に定義されるとおりの複合体の混合物を含む組成物であって、前記複合体混合物中の抗体あたりの平均薬物担持数は、1〜4である、前記組成物。
【請求項20】
治療に使用するための、請求項1から18のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項21】
対象における増殖性疾患の治療に使用するための、請求項1から18のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項22】
前記疾患は、がんである、請求項21に記載の複合体。
【請求項23】
疾患またはがんが、AXL+veとAXL−ve細胞との両方を含む新生物の存在によって特徴づけられる、請求項21または22のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項24】
(i)対象において、AXL+veとAXL−ve細胞との両方を含む新生物の存在を同定することと、
(ii)前記対象に前記抗体薬物複合体を投与することと、
を含む、増殖性疾患を治療するための方法における使用のための請求項1から18のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項25】
請求項1から18のいずれか1項に記載の複合体、薬学上許容される希釈剤、キャリア、または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項26】
さらに、治療上有効量の化学療法薬を含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月8日出願のGB1702029.8及びGB1702031.4、ならびに2017年11月30日出願のGB1719906.8の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗体とのリンカーという形で易分解性保護基を有するピロロベンゾジアゼピン(PBD)に関する。
【背景技術】
【0003】
ピロロベンゾジアゼピン
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)の中には、DNAの特定配列を認識して結合する能力を有するものがあり、好適な配列はPuGPuである。最初のPBD抗腫瘍抗生物質であるアントラマイシンは、1965に発見された(Leimgruber, et al., J. AM. Chem. Soc., 87, 5793−5795(1965)、Leimgruber, et al., J. AM. Chem. Soc., 87, 5791−5793(1965))。それ以来、天然に存在するPBDがいくつか報告されており、多様な類似体を合成する10を超える合成経路が開発されている(Thurston, et al., Chem. Rev. 1994, 433−465(1994);Antonow, D. and Thurston, D.E., Chem. Rev. 2011 111(4), 2815−2864)。このファミリーに属するものとして、アベイマイシン(Hochlowski, et al., J. Antibiotics, 40, 145−148(1987))、チカマイシン(Konishi, et al., J. Antibiotics, 37, 200−206(1984)), DC−81(Japanese Patent 58−180 487;Thurston, et al., Chem.Brit., 26, 767−772(1990);Bose, et al., Tetrahedron, 48, 751−758(1992))、マゼトラマイシン(Kuminoto, et al., J. Antibiotics, 33, 665−667(1980))、ネオトラマイシンA及びB(Takeuchi, et al., J. Antibiotics, 29, 93−96(1976))、ポロトラマイシン(Tsunakawa, et al., J. Antibiotics, 41, 1366−1373(1988))、プロトラカルシン(Shimizu, et al, J. Antibiotics, 29, 2492−2503(1982)、Langley and Thurston, J. Org. Chem., 52, 91−97(1987))、シバノミシン(DC−102)(Hara, et al., J. Antibiotics, 41, 702−704(1988);Itoh, et al., J. Antibiotics, 41, 1281−1284(1988))、シビロマイシン(Leber, et al., J. AM. Chem. Soc., 110, 2992−2993(1988))、ならびにトママイシン(Arima, et al., J. Antibiotics, 25, 437−444(1972))が挙げられる。PBDは、以下の一般式のものである。
【化1】
【0004】
PBDは、その芳香環A及びピロロ環Cの両方で、置換基の個数、種類、及び位置が異なるとともに、環Cの飽和度も異なる。環Bでは、N10−C11の位置が、イミン(N=C)、カルビノールアミン(NH−CH(OH))、またはカルビノールアミンメチルエーテル(NH−CH(OMe))のいずれかになっており、ここがDNAアルキル化の原因となる求電子中心である。既知の天然産物は全て、キラルなC11a位に(S)型配置を有し、このため、PBDを環Cから環Aに向かって見たときに、これらは右巻きになっている。このことが、PBDに、B型DNAの副溝との螺旋性一致(isohelicity)に適切な三次元形状を与え、その結果、結合部位でのぴったりとした一致をもたらす(Kohn, In Antibiotics III. Springer−Verlag, New York, pp.3−11(1975);Hurley and Needham−VanDevanter, Acc. Chem. Res., 19, 230−237(1986))。副溝で付加体を形成するPBDの能力により、PBDはDNAプロセシングに干渉することができ、したがって、PBDを抗腫瘍剤として使用することが可能となる。
【0005】
ピロロベンゾジアゼピン化合物の1種が、化合物1としてGregsonらにより(Chem. Commun. 1999, 797−798)に、及び化合物4aとしてGregsonらにより(J. Med. Chem. 2001, 44, 1161−1174)に記載されている。この化合物は、SG2000としても知られる、以下に示すものである:
【化2】
【0006】
WO2007/085930は、抗体などの細胞結合剤と接続するためのリンカー基を有する二量体PBD化合物を記載している。このリンカーは、二量体の単量体PBD単位を連結する架橋に存在する。
【0007】
抗体などの細胞結合剤と接続するためのリンカー基を有する二量体PBD化合物は、WO2011/130613及びWO2011/130616に記載されている。これらの化合物におけるリンカーは、C2位を介してPBD核に結合されており、一般に、リンカー基に酵素が作用することによって切断される。WO2011/130598では、これらの化合物におけるリンカーは、PBD核の利用可能なN10位のうちの1つに結合されており、一般に、リンカー基に酵素が作用することによって切断される。
【0008】
抗体薬物複合体
がん、免疫不全、及び血管原性障害の患者の標的治療のための抗体療法が、確立されている(Carter, P.(2006) Nature Reviews Immunology 6:343−357)。がん治療における、細胞傷害剤または細胞分裂阻害剤、すなわち腫瘍細胞を殺傷または阻害する薬物を局所送達するための、抗体薬物複合体(ADC)、すなわち免疫複合体の使用は、薬物部分を腫瘍に送達し、腫瘍の細胞内に蓄積させることを目的とするが、こうした薬剤を複合体化させずに全身投与すると、許容不能なレベルの毒性を正常細胞にもたらす可能性がある(Xie et al(2006)Expert. Opin. Biol. Ther. 6(3):281−291;Kovtun et al(2006)Cancer Res. 66(6):3214−3121;Law et al(2006)Cancer Res. 66(4):2328−2337;Wu et al(2005)Nature Biotech. 23(9):1137−1145;Lambert J.(2005)Current Opin. in Pharmacol. 5:543−549;Hamann P.(2005)Expert Opin. Ther. Patents 15(9):1087−1103;Payne, G.(2003)Cancer Cell 3:207−212;Trail et al(2003)Cancer Immunol. Immunother. 52:328−337;Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614)。
【0009】
そのため、最小限の毒性で最大限の効果が求められている。ADCを設計及び改良する努力は、薬物の作用機序、薬物結合、薬物/抗体比(担持数)、及び薬物放出特性だけでなく、モノクローナル抗体(mAb)の選択性にも向けられている(Junutula, et al., 2008b Nature Biotech., 26(8):925−932;Dornan et al(2009)Blood 114(13):2721−2729;US7521541;US7723485;WO2009/052249;McDonagh(2006)Protein Eng. Design & Sel. 19(7):299−307;Doronina et al(2006)Bioconj. Chem. 17:114−124;Erickson et al(2006)Cancer Res. 66(8):1−8;Sanderson et al(2005)Clin. Cancer Res. 11:843−852;Jeffrey et al(2005)J. Med. Chem. 48:1344−1358;Hamblett et al(2004)Clin. Cancer Res. 10:7063−7070)。薬物部分は、チューブリン結合、DNA結合、プロテアソーム、及び/またはトポイソメラーゼの阻害をはじめとする機構により、それらの細胞毒性及び細胞分裂阻害効果を付与することができる。細胞毒性薬によっては、巨大抗体またはタンパク質受容体リガンドと複合体形成した場合に、不活化または活性低下する傾向がある。
【0010】
本発明者らは、特定のPBD二量体抗体複合体を開発した。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様は、式(I)の複合体を提供し:
Ab−(DL) (I)
式中:
Abは、AXLに結合する抗体であり;
DLは、以下
【化3】
であり、式中:
Xは、単結合、−CH−、及び−C−からなる群より選択され;
nは、1〜8であり;
mは、0または1であり;
は、メチルまたはフェニルいずれかであり;
C2とC3の間に二重結合がある場合、Rは、以下からなる群より選択され:
(ia)C5−10アリール基、この基は、以下からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(ib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3−6飽和シクロアルキル;
(id)
【化4】
、式中、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
【化5】
、式中、R25a及びR25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
【化6】
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2とC3の間に単結合がある場合、Rは、以下
【化7】
であり、式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R26a及びR26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R12は、以下からなる群より選択され:
(ia)C5−10アリール基、この基は以下からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(ib)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3−6飽和シクロアルキル;
(id)
【化8】
、式中、R31、R32、及びR33はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
【化9】
、式中、R35a及びR35bの一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
【化10】
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2’とC3’の間に単結合が存在する場合、R12は、以下
【化11】
であり、式中、R36a及びR36bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換され;あるいは、R36a及びR36bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択され;
ならびにpは、1〜8である。
【0012】
これらの複合体は、スルホンアミド部分を含有しない類似複合体に比べて、良好な活性、及び驚くべき忍容性を示すことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】複合体のAXLに対する結合を示す;
図2】複合体のin vivo有効性を示す;
図3】複合体のin vivo有効性を示す;
図4】複合体のin vivo有効性を示す;
図5】患者由来の異種移植片に対する複合体のin vivo有効性を示す;
図6】別の患者由来の異種移植片に対する複合体のin vivo有効性を示す。
【0014】
本発明は、以下に定義されるとおり、リンカーが、N10位を通じてPBD部分の一方と抗体とを接続している、PBD二量体を提供する。
【0015】
本発明は、対象の好適な部位にPBD化合物を提供する用途に適している。本複合体は、リンカーのどの部分も保持しない活性PBD化合物を放出することを可能にする。PBD化合物の反応性に影響を及ぼす可能性がある残存基は存在しない。すなわち、式(I)の複合体は、化合物RelAを放出すると思われる:
【化12】
【0016】
本発明のPBD二量体と抗体の間の特定結合は、好ましくは、細胞外で安定である。細胞中に輸送または送達する前、抗体薬物複合体(ADC)は、好ましくは、安定かつ未変化のままである、すなわち、抗体は、薬物部分と連結したままである。リンカーは、標的細胞の外では安定であり、細胞内ではある有効速度で切断される可能性がある。有効なリンカーは、以下のものになる:(i)抗体の特異的結合性を維持する;(ii)複合体または薬物部分の細胞内送達を可能にする;(iii)複合体が、その標的部位に送達されるまたは輸送されるまで、安定かつ未変化のままである、すなわち切断されない;ならびに(iv)PBD薬物部分の細胞毒性、細胞殺傷効果、または細胞分裂阻害効果を維持する。ADCの安定性は、標準的な分析技法、例えば、質量分析法、HPLC、及び分離/分析技法LC/MSなどにより測定可能である。
【0017】
式RelAの化合物の送達は、カテプシンなどの酵素が、リンカー基に、詳細にはバリン−アラニンジペプチド部分に作用することにより、式(I)の複合体の所望の活性化部位で達成される。
【0018】
定義
置換基
「任意選択で置換された」という用語は、本明細書中使用される場合、無置換の可能性も、置換されている可能性もある親基に関する。
【0019】
特に記載がない限り、「置換された」という用語は、本明細書中使用される場合、1つまたは複数の置換基を有する親基に関する。「置換基」という用語は、本明細書中、従来の意味で使用され、親基と共有結合した、または妥当であれば、親基と融合した化学部分を示す。多種多様な置換基が周知であり、それらの形成及び様々な親基への導入の方法も周知である。
【0020】
置換基の例を、以下でより詳細に説明する。
【0021】
1−12アルキル:「C1−12アルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、炭化水素化合物は、脂肪族でも脂環式でも可能であり、飽和でも不飽和でも可能である(例えば、部分不飽和、完全不飽和など)。「C1−4アルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、炭化水素化合物は、脂肪族でも脂環式でも可能であり、飽和でも不飽和でも可能である(例えば、部分不飽和、完全不飽和など)。すなわち、「アルキル」という用語は、以下に説明される、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどのサブクラスを包含する。
【0022】
飽和アルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)、ブチル(C)、ペンチル(C)、ヘキシル(C)、及びヘプチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
飽和直鎖アルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、n−ブチル(C)、n−ペンチル(アミル)(C)、n−ヘキシル(C)、及びn−ヘプチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
飽和分岐鎖アルキル基の例として、イソプロピル(C)、イソブチル(C)、sec−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、イソペンチル(C)、及びネオペンチル(C)が挙げられる。
【0025】
2−12アルケニル:「C2−12アルケニル」という用語は、本明細書中使用される場合、1つまたは複数の炭素炭素二重結合を有するアルキル基に関する。
【0026】
不飽和アルケニル基の例として、エテニル(ビニル、−CH=CH)、1−プロペニル(−CH=CH−CH)、2−プロペニル(アリル、−CH−CH=CH)、イソプロペニル(1−メチルビニル、−C(CH)=CH)、ブテニル(C)、ペンテニル(C)、及びヘキセニル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
2−12アルキニル:「C2−12アルキニル」という用語は、本明細書中使用される場合、1つまたは複数の炭素炭素三重結合を有するアルキル基に関する。
【0028】
不飽和アルキニル基の例としてエチニル(−C≡CH)及び2−プロピニル(プロパルギル、−CH−C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
3−12シクロアルキル:「C3−12シクロアルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、シクリル基でもあるアルキル基に関する;すなわち、環状炭化水素(炭素環式)化合物の脂環式環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分であり、この部分は、3〜7個の環原子を含む3〜7個の炭素原子を有する。
【0030】
シクロアルキル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C)、シクロブタン(C)、シクロペンタン(C)、シクロヘキサン(C)、シクロヘプタン(C)、メチルシクロプロパン(C)、ジメチルシクロプロパン(C)、メチルシクロブタン(C)、ジメチルシクロブタン(C)、メチルシクロペンタン(C)、ジメチルシクロペンタン(C)、及びメチルシクロヘキサン(C);
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C)、シクロブテン(C)、シクロペンテン(C)、シクロヘキセン(C)、メチルシクロプロペン(C)、ジメチルシクロプロペン(C)、メチルシクロブテン(C)、ジメチルシクロブテン(C)、メチルシクロペンテン(C)、ジメチルシクロペンテン(C)、及びメチルシクロヘキセン(C);ならびに
飽和多環式炭化水素化合物:
ノルカラン(C)、ノルピナン(C)、ノルボルナン(C)。
【0031】
3−20ヘテロシクリル:「C3−20ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中使用される場合、複素環化合物の環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、3〜20個の環原子を有し、そのうちの1〜10個は、環ヘテロ原子である。好ましくは、各環は、3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は、環ヘテロ原子である。
【0032】
この文脈において、接頭語(例えば、C3−20、C3−7、C5−6、など)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかに関わらず、環原子の個数または環原子の個数範囲を示す。例えば、「C5−6ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中使用される場合、5〜6個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。
【0033】
単環式ヘテロシクリル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
:アジリジン(C)、アゼチジン(C)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C)、2H−ピロールまたは3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C)、ピペリジン(C)、ジヒドロピリジン(C)、テトラヒドロピリジン(C)、アゼピン(C)、
:オキシラン(C)、オキセタン(C)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C)、オキソール(ジヒドロフラン)(C)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C)、ジヒドロピラン(C)、ピラン(C)、オキセピン(C)、
:チイラン(C)、チエタン(C)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C)、チエパン(C)、
:ジオキソラン(C)、ジオキサン(C)、及びジオキセパン(C)、
:トリオキサン(C)、
:イミダゾリジン(C)、ピラゾリシン(ジアゾリジン)(C)、イミダゾリン(C)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C)、ピペラジン(C)、
:テトラヒドロオキサゾール(C)、ジヒドロオキサゾール(C)、テトラヒドロイソオキサゾール(C)、ジヒドロイソオキサゾール(C)、モルホリン(C)、テトラヒドロオキサジン(C)、ジヒドロオキサジン(C)、オキサジン(C)、
:チアゾリン(C)、チアゾリジン(C)、チオモルホリン(C)、
:オキサジアジン(C)、
:オキサチオール(C)及びオキサチアン(チオキサン)(C)、ならびに、
:オキサチアジン(C)。
【0034】
置換単環式ヘテロシクリル基の例として、環形状の単糖類、例えば、フラノース(C)、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース、及びキシロフラノース、ならびにピラノース(C)、例えば、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース、及びタロピラノースに由来するものが挙げられる。
【0035】
5−20アリール:「C5−20アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、3〜20個の環原子を有する。「C5−7アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、5〜7個の環原子を有する。「C5−10アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、芳香族化合物の、芳香環原子から水素原子を外すことにより得られる、一価部分に関し、この部分は、5〜10個の環原子を有する。好ましくは、各環は、5〜7個の環原子を有する。
【0036】
この文脈において、接頭語(例えば、C3−20、C5−7、C5−6、C5−10、など)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかに関わらず、環原子の個数または環原子の個数範囲を示す。例えば、「C5−6アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、5〜6個の環原子を有するアリール基に関する。
【0037】
環原子は、「カルボアリール基」でそうであるように、全て炭素原子であることが可能である。
カルボアリール基の例として、ベンゼン(すなわち、フェニル)(C)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、及びピレン(C16)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
縮合環を含み、そのうち少なくとも1つが芳香環であるアリール基の例として、インダン(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C)、インデン(C)、イソインデン(C)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、及びアセアントレン(C16)に由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
あるいは、環原子は、「ヘテロアリール基」でそうであるように、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことが可能である。単環式ヘテロアリール基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
:ピロール(アゾール)(C)、ピリジン(アジン)(C)、
:フラン(オキソール)(C)、
:チオフェン(チオール)(C)、
:オキサゾール(C)、イソオキサゾール(C)、イソオキサジン(C)、
:オキサジアゾール(フラザン)(C)、
:オキサトリアゾール(C)、
:チアゾール(C)、イソチアゾール(C)、
:イミダゾール(1,3−ジアゾール)(C)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)(C)、ピリダジン(1,2−ジアジン)(C)、ピリミジン(1,3−ジアジン)(C)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)(C)、
:トリアゾール(C)、トリアジン(C)、及び、
:テトラゾール(C)。
【0040】
縮合環を含むヘテロアリールの例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(2つの縮合環を含む)として、ベンゾフラン(O)、イソベンゾフラン(O)、インドール(N)、イソインドール(N)、インドリジン(N)、インドリン(N)、イソインドリン(N)、プリン(N)(例えば、アデニン、グアニン)、ベンズイミダゾール(N)、インダゾール(N)、ベンゾオキサゾール(N)、ベンゾイソオキサゾール(N)、ベンゾジオキソール(O)、ベンゾフラザン(N)、ベンゾトリアゾール(N)、ベンゾチオフラン(S)、ベンゾチアゾール(N)、ベンゾチアジアゾール(NS)に由来するもの;
10(2つの縮合環を含む)として、クロメン(O)、イソクロメン(O)、クロマン(O)、イソクロマン(O)、ベンゾジオキサン(O)、キノリン(N)、イソキノリン(N)、キノリジン(N)、ベンゾオキサジン(N)、ベンゾジアジン(N)、ピリドピリジン(N)、キノキサリン(N)、キナゾリン(N)、シンノリン(N)、フタラジン(N)、ナフチリジン(N)、プテリジン(N)に由来するもの;
11(2つの縮合環を含む)として、ベンゾジアゼピン(N)に由来するもの;
13(3つの縮合環を含む)として、カルバゾール(N)、ジベンゾフラン(O)、ジベンゾチオフェン(S)、カルボリン(N)、ペリミジン(N)、ピリドインドール(N)に由来するもの;ならびに
14(3つの縮合環を含む)として、アクリジン(N)、キサンテン(O)、チオキサンテン(S)、オキサントレン(O)、フェノキサチイン(O)、フェナジン(N)、フェノキサジン(N)、フェノチアジン(N)、チアントレン(S)、フェナントリジン(N)、フェナントロリン(N)、フェナジン(N)に由来するもの。
【0041】
上記の基は、単独であるか別の置換基の一部であるかに関わらず、それら自身を、それら自身及び以下に列挙されるさらなる置換基から選択される1つまたは複数の基で、任意選択で置換することが可能である。
【0042】
ハロ:−F、−Cl、−Br、及び−I。
【0043】
ヒドロキシ:−OH。
【0044】
エーテル:−OR、式中、Rは、エーテル置換基、例えば、C1−7アルキル基(C1−7アルコキシ基、とも称する、以下で説明)、C3−20ヘテロシクリル基(C3−20ヘテロシクリルオキシ基とも称する)、またはC5−20アリール基(C5−20アリールオキシ基とも称する)、好ましくはC1−7アルキル基である。
【0045】
アルコキシ:−OR、式中、Rは、アルキル基、例えば、C1−7アルキル基である。C1−7アルコキシ基の例として、−OMe(メトキシ)、−OEt(エトキシ)、−O(nPr)(n−プロポキシ)、−O(iPr)(イソプロポキシ)、−O(nBu)(n−ブトキシ)、−O(sBu)(sec−ブトキシ)、−O(iBu)(イソブトキシ)、及び−O(tBu)(tert−ブトキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
カルボキシ(カルボン酸):−C(=O)OH。
【0047】
エステル(カルボキシラート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくは、C1−7アルキル基である。エステル基の例として、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH、及び−C(=O)OPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
アミノ:−NR、式中、R及びRは、独立して、アミノ置換基、例えば、水素、C1−7アルキル基(C1−7アルキルアミノまたはジ−C1−7アルキルアミノとも称する)、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくはHまたはC1−7アルキル基であるか、あるいは、「環状」アミノ基の場合、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第一級(−NH)、第二級(−NHR)、または第三級(−NHR)が可能であり、カチオン形の場合、第四級(−NR)も可能である。アミノ基の例として、−NH、−NHCH、−NHC(CH、−N(CH、−N(CHCH、及び−NHPhが挙げられるが、これらに限定されない。環状アミノ基の例として、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及びチオモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):−C(=O)NR、式中、R及びRは、独立して、アミノ基について定義されるとおりのアミノ置換基である。アミド基の例として、−C(=O)NH、−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHCHCH、及び−C(=O)N(CHCH、ならびにR及びRが、それらが結合した窒素原子と一緒になって複素環構造を形成しているアミド基、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、及びピペラジノカルボニルのような基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ニトロ:−NO
【0051】
アジド:−N
【0052】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):−CN。
【0053】
抗体
1つの態様において、抗体は、AXLに結合する抗体である。
【0054】
1H12
実施形態によっては、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、VHドメインは、さらに、配列番号6のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び/または配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号6のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号7のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。好適な実施形態において、抗体は、配列番号1に記載の配列を有するVHドメインを含む。
【0055】
抗体は、さらに、VLドメインを含むことができる。実施形態によっては、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、VLドメインは、さらに、配列番号9のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び/または配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR1、配列番号9のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号10のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。好適な実施形態において、抗体は、配列番号2に記載の配列を有するVLドメインを含む。
【0056】
好適な実施形態において、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含む。好ましくは、VHは、配列番号1の配列を含み、VLドメインは、配列番号2の配列を含む。
【0057】
VH及びVLドメイン(複数可)は、AXLに結合する抗体抗原結合部位を形成するように、対形成することができる。
【0058】
実施形態によっては、抗体は、VHドメイン及びこれと対形成したVLドメインを含む無傷抗体であり、VHドメイン及びVLドメインは、配列番号1及びこれと対形成した配列番号2の配列を有する。
【0059】
実施形態によっては、抗体は、配列番号3の配列を有する重鎖及びこれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む。実施形態によっては、抗体は、2つの配列番号3の配列を有する重鎖、及びそれぞれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む、無傷抗体である。
【0060】
実施形態によっては、抗体は、配列番号24の配列を有する重鎖及びこれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む。実施形態によっては、抗体は、2つの配列番号24の配列を有する重鎖、及びそれぞれと対形成した配列番号4の配列を有する軽鎖を含む、無傷抗体である。
【0061】
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(またはさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化または表面再構成(resurfaced)形態である。
【0062】
5F11
実施形態によっては、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、VHドメインは、さらに、配列番号14のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び/または配列番号13のアミノ酸配列を持つVH CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号14のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号15のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含む。
【0063】
実施形態によっては、抗体は、配列番号11に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号19に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号20に記載の配列を有するVHドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号21に記載の配列を有するVHドメインを含む。
【0064】
抗体は、さらに、VLドメインを含むことができる。実施形態によっては、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、VLドメインは、さらに、配列番号17のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び/または配列番号16のアミノ酸配列を持つVL CDR1を含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を持つVL CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号18のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインを含む。
【0065】
実施形態によっては、抗体は、配列番号22に記載の配列を有するVLドメインを含む。
【0066】
好適な実施形態において、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含む。実施形態によっては、VHは、配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号14のアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び配列番号15のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、VLドメインは、配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び配列番号18のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0067】
実施形態によっては、抗体は、配列番号19の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号20の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。実施形態によっては、抗体は、配列番号21の配列を有するVHドメイン、及び配列番号22の配列を有するVLドメインを含む。
【0068】
VH及びVLドメイン(複数可)は、AXLに結合する抗体抗原結合部位を形成するように、対形成することができる。
【0069】
実施形態によっては、抗体は、VHドメイン及びこれと対形成したVLドメインを含む無傷抗体である。
【0070】
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載される抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(またはさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中記載される抗体のヒト化、脱免疫化または表面再構成形態である。
【0071】
用語
「抗体」という用語は、本明細書中、最も広義の意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、無傷抗体、及び抗体断片を包含するが、ただし、それらが所望の生物活性を示す、例えば、AXLに結合する能力を持つ限りにおいてである。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、または他の種由来抗体が可能である。抗体とは、免疫系により産生される、特定の抗原を認識してそれに結合することができるタンパク質である。(Janeway, C., Travers, P., Walport, M., Shlomchik(2001)Immuno Biology, 5th Ed., Garland Publishing, New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体のCDRで認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、それぞれ異なる構造を有する。すなわち、1つの抗原は、1つより多い対応する抗体を有する可能性がある。抗体として、全長免疫グロブリン分子または全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、関心対象の標的の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位またはその一部分を有する分子が挙げられ、そのような標的として、がん細胞または自己免疫疾患に関連した自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラス、あるいはアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[これは、G1m1以外の任意のアロタイプである]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、及びKm3)の免疫グロブリン分子が可能である。免疫グロブリンは、任意の種由来のものが可能であり、ヒト、マウス、またはウサギ起原が挙げられる。
【0072】
本明細書中使用される場合、「AXLに結合する」は、ウシ血清アルブミン(BSA、Genbank受入番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 GI:3336842、記録更新日時:Jan 7, 2011 02:30PM)などの非特異的パートナーに対してよりも高い親和性でAXLに結合する抗体を意味するのに使用される。実施形態によっては、抗体は、生理的条件で測定した場合に、抗体のBSAに対する結合定数(K)より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10、10、または10倍高い結合定数でAXLに結合する。本発明の抗体は、高い親和性でCD22に結合することができる。例えば、実施形態によっては、抗体は、約10−6M以下、例えば、1×10−6、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13、または10−14のKでCD22に結合することができる。
【0073】
AXLは、受容体型チロシンキナーゼのヒトTAMファミリーの一員である。実施形態によっては、AXLポリペプチドは、Genbank受入番号AAH32229、バージョン番号AAH32229.1 GI:21619004、記録更新日時:March 6, 2012 01:18 PM(配列番号9)に該当する。1つの実施形態において、AXLポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号M76125、バージョン番号M76125.1 GI:292869、記録更新日時:Jun 23, 2010 08:53 AMに該当する。実施形態によっては、AXLポリペプチドは、配列番号23の配列を有する。
【0074】
「抗体断片」は、全長抗体の一部分、一般には全長抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、及びscFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び上記のもののいずれかの、がん細胞抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原に免疫特異的に結合するエピトープ結合断片、単鎖抗体分子;ならびに、抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0075】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中使用される場合、実質的に同種の抗体の集団、すなわち集団を構成する個々の抗体が、自然発生する可能性のある変異を除いて同一であり、そのような変異が存在したとしても少数である集団から得られる抗体を示す。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単独の抗原部位に向けられている。そのうえさらに、ポリクローナル抗体製剤が、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むのとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単独の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体が混入することなく合成できるという利点を有する。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという特徴を示すものであって、抗体の産生が何か特定の方法による必要があることを意図しない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature 256:495に初めて記載されたハイブリドーマ方法により作製することも可能であるし、組換えDNA法(US4816567を参照)により作製することも可能である。モノクローナル抗体は、また、Clackson et al.(1991)Nature, 352:624−628;Marks et al.(1991)J. Mol. Biol., 222:581−597に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することも可能であるし、完全ヒト免疫グロブリン系を保有する遺伝子導入マウスから単離することも可能である(Lonberg(2008)Curr. Opinion 20(4):450−459)。
【0076】
本明細書中のモノクローナル抗体として、具体的には「キメラ」抗体が挙げられる。「キメラ」抗体では、所望の生物活性を示す限りにおいて、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定種由来の抗体、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の相当する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種由来の抗体、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片の相当する配列と同一または相同である(US4816567;及びMorrison et al(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA,81:6851−6855)。キメラ抗体として、「霊長類化」抗体が挙げられ、この抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザルまたは類人猿)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒトの定常部配列を含む。
【0077】
「無傷抗体」は、本明細書中、VLドメイン及びVHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えばヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異型が可能である。無傷抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有することができ、エフェクター機能とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因する生物学的活性を示す。抗体エフェクター機能の例として、C1q結合;補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;ならびにB細胞受容体及びBCRなど細胞表面受容体の下方制御が挙げられる。
【0078】
無傷抗体は、その抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に従って、異なる「クラス」に割り振ることができる。無傷抗体には、5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのクラスのいくつかは、さらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分割することができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2)。異なる抗体クラスにそれぞれ応じた重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。それぞれのクラスの免疫グロブリンについてのサブユニット構造及び三次元立体配置は、周知である
【0079】
抗体の修飾
本明細書中開示される抗体は、修飾可能である。例えば、ヒト対象に対するそれらの免疫原性を低下させるためである。修飾は、当業者によく知られた多数の技法のいずれかを用いて達成可能である。そのような技法のいくつかを、以下でより詳細に説明する。
【0080】
ヒト化
非ヒト抗体または抗体断片のin vivo免疫原性を低下させる技法として、「ヒト化」と呼ばれるものが挙げられる。
【0081】
「ヒト化抗体」は、ヒト抗体の修飾された可変領域の少なくとも一部分を含むポリペプチドを示し、この可変領域の一部分、好ましくは無傷ヒト可変ドメインより実質的に小さい一部分が、非ヒト種由来の相当する配列で置換されており、かつこの修飾された可変領域は、別のタンパク質の少なくとも別の部分、好ましくはヒト抗体の定常部と連結している。「ヒト化抗体」という表現は、1つまたは複数の相補性決定領域(「CDR」)アミノ酸残基及び/または1つまたは複数のフレームワーク領域(「FW」または「FR」)アミノ酸残基が齧歯類または他の非ヒト抗体の類似部位由来アミノ酸残基で置換されているヒト抗体を含む。「ヒト化抗体」という表現は、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するFR及び実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRを含む免疫グロブリンアミノ酸配列変異型またはその断片も含む。
【0082】
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。すなわち、見方を変えると、ヒト化抗体とは、ヒト配列の代わりに非ヒト(例えばマウス)抗体から選択された配列も含有するヒト抗体である。ヒト化抗体は、保存的アミノ酸置換、すなわち抗体の結合及び/または生物学的活性を大きく変えることのない同種または異なる種由来の非天然の残基を含むことができる。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。
【0083】
様々なヒト化技法が存在し、そのような技法として、「CDRグラフト法」、「選択誘導法」、「脱免疫化」、「表面再構成(resurfacing)(「ベニヤ修飾(veneering)」としても知られる)」、「複合抗体」、「ヒトストリング含有量最適化(Human String Content Optimisation)」、及びフレームワーク混合が挙げられる。
【0084】
CDRグラフト法
この技法では、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の性質を有する、マウス、ラット、ラクダ、ウシ、ヤギ、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である(実際には、非ヒトCDRが、ヒトフレームワークに「移植」されている)。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、相当する非ヒト残基で置換されている(これは、例えば、特定のFR残基が抗原結合に対して大きな効果を有する場合などにそうなる可能性がある)。
【0085】
そのうえさらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、導入されるCDRまたはフレームワーク配列にも見られない残基を含むことができる。こうした修飾を行うことで、抗体の性能をさらに洗練させて最大化することができる。したがって、一般に、ヒト化抗体は、全てまたは全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、及び全てまたは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである可変領域を、全部で少なくとも1つ、及び1つの態様において2つ含むことになる。ヒト化抗体はまた、随意に、ヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常部(Fc)の少なくとも一部分または全部を含むことができる。
【0086】
選択誘導法
この方法は、特定のエピトープに対して特異的な所定の非ヒト抗体のVまたはVドメインをヒトVまたはVライブラリーと組み合わせることからなり、特異的ヒトVドメインは、関心対象の抗原に対して選択される。次いで、この選択されたヒトVHを、VLライブラリーと組み合わせて、完全なヒトVH×VLの組み合わせを作成する。この方法は、Nature Biotechnology (N.Y.) 12,(1994)899−903に記載されている。
【0087】
複合抗体
この方法では、ヒト抗体由来のアミノ酸配列の2つ以上のセグメントを、最終抗体分子内にひとまとめにする。最終抗体分子は、複数のヒトVH及びVL配列セグメントを、ヒトT細胞エピトープを制限または回避する組み合わせで、最終複合抗体V領域内にひとまとめにすることにより、構築される。必要な場合は、T細胞エピトープに寄与するまたはこれをコードするV領域セグメントを、T細胞エピトープを回避する代替セグメントに交換することにより、T細胞エピトープを制限または回避する。この方法は、US2008/0206239A1に記載される。
【0088】
脱免疫化
この方法は、ヒト(または他の二次種)T細胞エピトープを、治療用抗体(または他の分子)のV領域から除去することを含む。治療用抗体V領域配列を、例えば、MHC結合モチーフのデータベース(www.wehi.edu.auがホストである「モチーフ」データベースなど)と比較することで、MHCクラスII結合モチーフの存在について分析する。あるいは、MHCクラスII結合モチーフは、Altuviaらにより記載される方法(J. Mol. Biol. 249 244−250(1995))などのコンピューターによるスレッド化法を用いて同定することができる。これらの方法では、V領域配列由来の連続重複ペプチドを、それらのMHCクラスIIタンパク質との結合エネルギーについて試験する。次いで、このデータを、連続して存在するペプチドと関連する他の配列特性についての情報(両親媒性、ロスバードモチーフ(Rothbard motif)、ならびにカテプシンB及び他のプロセシング酵素による切断部位など)とまとめることができる。
【0089】
いったん可能性のある二次種(例えば、ヒト)T細胞エピトープが同定されたら、1つまたは複数のアミノ酸を変更することで、それらを除去する。修飾されるアミノ酸は、通常、T細胞エピトープ自身内にあるが、タンパク質の一次または二次構造に関してエピトープと隣接するものの場合もある(したがって、一次構造では隣接していない場合がある)。最も典型的には、変更は、置換によるものであるが、状況によっては、アミノ酸の付加または削除の方が適切なこともある。
【0090】
全ての変更は、組換えDNA技法により達成することができ、そのため、十分に確立された方法(部位特異的突然変異誘発など)を用いて組換え宿主で発現させることにより、最終分子を調製することができる。しかしながら、タンパク質化学反応または任意の他の分子変更手段の利用も可能である。
【0091】
表面再構成
この方法は、以下を含む:
(a)非ヒト(例えば、齧歯類)抗体(またはその断片)の可変領域の三次元モデルを構築することにより、非ヒト抗体可変領域の高次立体構造を決定する;
(b)十分な数の非ヒト及びヒト抗体の可変領域重鎖及び軽鎖でのX線結晶構造解析に基づく構造から、相対的到達性分布を用いて、配列アラインメントを作成して、アラインメント位置が、十分な数の非ヒト抗体重鎖及び軽鎖の98%において同一である、重鎖及び軽鎖のフレームワーク位置の組を得る;
(c)工程(b)で作成したフレームワーク位置の組を用いて、ヒト化しようとする非ヒト抗体について、重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を定義する;
(d)ヒト抗体アミノ酸配列から、工程(c)で定義した表面露出アミノ酸残基の組との相同性が最も高い重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を同定するが、このヒト抗体由来の重鎖及び軽鎖は、天然に対形成するかどうかは問わない;
(e)ヒト化しようとする非ヒト抗体のアミノ酸配列において、工程(c)で定義した重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組を、工程(d)で同定した重鎖及び軽鎖の表面露出アミノ酸残基の組と置換する;
(f)工程(e)で指定される置換から得られる非ヒト抗体の可変領域の三次元モデルを構築する;
(g)工程(a)及び工程(f)で構築した三次元モデルを比較することにより、ヒト化しようとする非ヒト抗体の相補性決定領域のいずれかの残基のいずれかの原子から5オングストローム内にあるいずれかのアミノ酸残基を、工程(c)または工程(d)で同定した組から同定する;ならびに
(h)工程(g)で同定したいずれかの残基を、ヒトアミノ酸残基から元々の非ヒトアミノ酸残基に交換し、それにより、表面露出アミノ酸残基の非ヒト抗体ヒト化の組を確定させる;ただし、工程(a)は、必ずしも最初に行う必要はないが、工程(g)の前に行わなければならない。
【0092】
超ヒト化
この方法は、非ヒト配列を、機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーと比較する。これらのヒト遺伝子の中から、非ヒト配列と同一または密接に関連する標準構造をコードするものを選択する。選択したこれらのヒト遺伝子の中から、CDR内で最も高い相同性を持つものをFRドナーとして選択する。最後に、非ヒトCDRをこれらのヒトFRに移植する。この方法は、WO2005/079479A2に記載されている。
【0093】
ヒトストリング含有量最適化
この方法は、非ヒト(例えば、マウス)配列を、ヒト生殖系列遺伝子のレパートリーと比較し、差異を、ヒトストリング含有量(HSC)として点数付けする。HSCは、潜在的MHC/T細胞エピトープのレベルで配列を定量する。次いで、標的配列を、全体的な相同性尺度を用いるのではなく、標的配列のHSCを最大にするようにヒト化することで、複数の多様なヒト化変異型を作成する(Molecular Immunology, 44,(2007)1986−1998に記載されている)。
【0094】
フレームワーク混合
非ヒト抗体のCDRを、全てが既知の重鎖及び軽鎖ヒト生殖系列遺伝子フレームワークを包含するcDNAプールと、インフレームで融合させる。次いで、ヒト化抗体を、例えば、ファージ提示型抗体ライブラリーをパニングすることで選択する。この方法は、Methods 36, 43−60(2005)に記載されている。
【0095】
アジドを用いた抗体修飾
薬物リンカーと複合体形成させるための抗体は、3工程プロセスで調製することができる:
1)コアN−グリカンを有する抗体(Ab)を、適切な発現系(例えば、CHO細胞株)で発現させる。コアN−グリカンは、典型的には、Kabat命名体系に従って重鎖のAsn−297で複合体形成する;
2)全てのグリカンアイソフォーム(複合型、ハイブリッド型、高マンノース型)を、エンドグリコシダーゼでトリミングして、核GlcNAcを残す;及び
3)核GlcNAcに、薬物リンカーと複合体形成させるためのアジド基を抱えたN−アセチルガラクトース残基を、酵素で転移させる。
【0096】
上記プロセスの概要は、van Geel, R., et al., Bioconjugate Chemistry, 2015, 26, 2233−2242;DOI:10.1021/acs.bioconjchem.5b00224に記載されている。あるいは、ワンポットプロセスを使用することができる。実施例参照。
【0097】
実施形態

実施形態によっては、Xは、単結合である。
他の実施形態において、Xは、−CH−である。
さらなる実施形態において、Xは、−C−である。
【0098】
実施形態によっては、nは、1〜4である。
【0099】
これらの実施形態のあるものにおいて、nは、1である。
これらの実施形態の他のものにおいて、nは、2である。
これらの実施形態のさらなるものにおいて、nは、4である。
【0100】

1つの実施形態において、Rは、メチルである。
別の実施形態において、Rは、フェニルである。
【0101】

C2とC3の間に二重結合がある場合、Rは、以下からなる群より選択される:
(a)C5−10アリール基、この基は、以下からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換される:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、C1−7アルキル、C3−7ヘテロシクリル、及びビス−オキシ−C1−3アルキレン;
(b)C1−5飽和脂肪族アルキル;
(c)C3−6飽和シクロアルキル;
(d)
【化13】
、式中、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R基の炭素原子の合計数は、5以下である;
(e)
【化14】
、式中、R25a及びR25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換される;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(f)
【化15】
、式中、R24は、以下から選択され:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換される;ピリジル;及びチオフェニル。
【0102】
がC5−10アリール基である場合、この基は、C5−7アリール基であることが可能である。C5−7アリール基は、フェニル基またはC5−7ヘテロアリール基、例えば、フラニル、チオフェニル、及びピリジルが可能である。実施形態によっては、Rは、好ましくは、フェニルである。他の実施形態において、R12は、好ましくは、チオフェニル、例えば、チオフェン−2−イル及びチオフェン−3−イルである。
【0103】
がC5−10アリール基である場合、この基は、C8−10アリール、例えば、キノリニルまたはイソキノリニル基であることが可能である。キノリニルまたはイソキノリニル基は、任意の利用可能な環位を通じてPBD核と結合することができる。例えば、キノリニルは、キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル、及びキノリン−8−イルが可能である。これらのうち、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イルが好ましい場合がある。イソキノリニルは、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル、及びイソキノリン−8−イルが可能である。これらのうち、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イルが好ましい場合がある。
【0104】
がC5−10アリール基である場合、この基は、任意の個数の置換基を有することができる。この基は、好ましくは、1〜3つの置換基を有し、1つ及び2つであることがより好ましく、単一の置換基であることが特に好ましい。置換基は、任意の位置にあることができる。
【0105】
がC5−7アリール基である場合、単一の置換基は、好ましくは、化合物の残部との結合に隣接していない環原子上にある、すなわち、この置換基は、好ましくは、化合物の残部との結合に対してβ位またはγ位にある。したがって、C5−7アリール基がフェニルである場合、置換基は、好ましくは、メタ位またはパラ位にあり、より好ましくは、パラ位にある。
【0106】
がC8−10アリール基、例えば、キノリニルまたはイソキノリニルである場合、この基は、キノリンまたはイソキノリン環の任意の位置に任意の個数の置換基を有することができる。実施形態によっては、この基は、1つ、2つ、または3つの置換基を有し、それらは、近位環及び遠位環の一方または両方(置換基が複数の場合)に存在することができる。
【0107】
がC5−10アリール基の場合のR置換基
がC5−10アリール基の場合のR置換基がハロである場合、これは、好ましくは、FまたはClであり、より好ましくはClである。
【0108】
がC5−10アリール基の場合のR置換基がエーテルである場合、これは、実施形態によっては、アルコキシ基、例えば、C1−7アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)であることが可能であり、または実施形態によっては、C5−7アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ピリジルオキシ、フラニルオキシ)であることが可能である。アルコキシ基は、それ自身が、置換、例えばアミノ基(例えば、ジメチルアミノ)によりさらに置換可能である。
【0109】
がC5−10アリール基の場合のR置換基がC1−7アルキルである場合、これは、好ましくは、C1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)が可能である。
【0110】
がC5−10アリール基の場合のR置換基がC3−7ヘテロシクリルである場合、これは、実施形態によっては、C窒素含有ヘテロシクリル基、例えば、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルが可能である。これらの基は、窒素原子を介して、PBD部分の残部と結合することができる。これらの基は、例えば、C1−4アルキル基でさらに置換可能である。C窒素含有ヘテロシクリル基がピペラジニルである場合、このさらなる置換基は、第二の窒素環原子上にあることが可能である。
【0111】
がC5−10アリール基の場合のR置換基がビス−オキシ−C1−3アルキレンである場合、これは、好ましくは、ビス−オキシ−メチレンまたはビス−オキシ−エチレンである。
【0112】
がC5−10アリール基の場合のR置換基がエステルである場合、これは、好ましくは、メチルエステルまたはエチルエステルである。
【0113】
がC5−10アリール基である場合の特に好適な置換基として、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビス−オキシ−メチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ、及びメチルチオフェニルが挙げられる。Rに特に好適な他の置換基は、ジメチルアミノプロピルオキシ及びカルボキシである。
【0114】
がC5−10アリール基である場合の特に好適な置換R基として、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ビスオキシメチレン−フェニル、4−メチルチオフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イル、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イル、2−チエニル、2−フラニル、メトキシナフチル、ならびにナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。別の可能な置換R基は、4−ニトロフェニルである。特に関心が持たれるR基として、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル及び3,4−ビスオキシメチレン−フェニルが挙げられる。
【0115】
がC1−5飽和脂肪族アルキルである場合、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルが可能である。実施形態によっては、Rは、メチル、エチル、またはプロピル(n−ペンチルまたはイソプロピル)が可能である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、メチルが可能である。他の実施形態において、Rは、ブチルまたはペンチルが可能であり、それらは、直鎖の場合も分岐鎖の場合もある。
【0116】
がC3−6飽和シクロアルキルである場合、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルが可能である。実施形態によっては、Rは、シクロプロピルが可能である。
【0117】

【化16】
である場合、R21、R22、及びR23はそれぞれ、独立して、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R基の炭素原子の合計数は、5以下である。実施形態によっては、R基の炭素原子の合計数は、4以下、または3以下である。
【0118】
実施形態によっては、R21、R22、及びR23の1つはHであり、その他の2つの基は、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択される。
【0119】
他の実施形態において、R21、R22、及びR23のうち2つはHであり、その他の1つの基は、H、C1−3飽和アルキル、C2−3アルケニル、C2−3アルキニル、及びシクロプロピルから選択される。
【0120】
実施形態によっては、Hではない基は、メチル及びエチルから選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、Hではない基は、メチルである。
【0121】
実施形態によっては、R21は、Hである。
【0122】
実施形態によっては、R22は、Hである。
【0123】
実施形態によっては、R23は、Hである。
【0124】
実施形態によっては、R21及びR22は、Hである。
【0125】
実施形態によっては、R21及びR23は、Hである。
【0126】
実施形態によっては、R22及びR23は、Hである。
【0127】
特に関心が持たれるR基は、以下のものである:
【化17】
【0128】

【化18】
である場合、R25a及びR25bの一方は、Hであり、他方は、以下から選択される:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換される;ピリジル;及びチオフェニル。実施形態によっては、Hではない基は、任意選択で置換されたフェニルである。フェニルの任意選択置換基が、ハロである場合、これは、好ましくは、フルオロである。実施形態によっては、フェニル基は、無置換である。
【0129】

【化19】
である場合、R24は、以下から選択される:H;C1−3飽和アルキル;C2−3アルケニル;C2−3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により任意選択で置換される;ピリジル;及びチオフェニル。フェニルの任意選択置換基が、ハロである場合、これは、好ましくは、フルオロである。実施形態によっては、フェニル基は、無置換である。実施形態によっては、R24は、H、メチル、エチル、エテニル、及びエチニルから選択される。これらの実施形態のあるものにおいて、R24は、H及びメチルから選択される。
【0130】
C2とC3の間に単結合がある場合、
は、
【化20】
であり、式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニル、これらアルキル及びアルケニル基は、C1−4アルキルアミド及びC1−4アルキルエステルから選択される基により任意選択で置換される、から選択されるか、または、R26a及びR26bの一方がHである場合に、他方は、ニトリル及びC1−4アルキルエステルから選択される。
【0131】
実施形態によっては、R26a及びR26bは、両方ともHであることが好ましい。
【0132】
他の実施形態において、R26a及びR26bは、両方ともメチルであることが好ましい。
【0133】
さらなる実施形態において、好ましくは、R26a及びR26bの一方はHであり、かつ他方は、C1−4飽和アルキル、C2−3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、任意選択で置換される。これらさらなる実施形態において、Hではない基は、メチル及びエチルから選択されることがさらに好ましい場合がある。
【0134】
12
に関する上記の優先事項は、R12にも等しく当てはまる。
【0135】
本発明の1つの実施形態において、DLは以下のものである。
【化21】
【0136】
薬物担持数
薬物担持数は、抗体、例えば抗体あたりのPBD薬物の平均数である。
【0137】
複合体形成反応からADCを調製する場合の抗体あたりの薬物の平均数は、従来手段、例えば、UV、逆相HPLC、HIC、質量分析法、ELISAアッセイ、及び電気泳動などにより特性決定可能である。pに関してADCの量的分布を求めることも可能である。ELISAにより、ADCの特定製剤におけるpの平均値を求めることができる(Hamblett et al(2004)Clin. Cancer Res. 10:7063−7070;Sanderson et al(2005)Clin. Cancer Res. 11:843−852)。しかしながら、p(薬物)値の分布を、抗体抗原結合及びELISAの検出限界により識別することはできない。同じく、抗体薬物複合体を検出するためのELISAアッセイは、薬物部分が抗体のどこに結合しているのか、例えば重鎖または軽鎖断片なのか、あるいは特定のアミノ酸残基なのかを明らかにはしない。場合によっては、pがある特定の値である均一なADCを、薬物担持数が異なるADCから分離、精製、及び特性決定することは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段により達成できる。そのような技法は、他の型の複合体にも応用可能である。
【0138】
本発明の抗体薬物複合体の場合、pは、抗体上の結合部位の個数、すなわち、アジド基の個数により制限される。例えば、抗体は、薬物リンカーを結合させることが可能なアジド基を1つまたは2つのみ有する場合がある。
【0139】
典型的には、複合体形成反応中に、理論上最大値よりも少ない個数の薬物部分が、抗体と複合体形成する。ADCの担持数(薬物/抗体比)は、複数の異なる様式で制御することができ、そのような様式として、以下が挙げられる:(i)抗体に対する薬物リンカー中間体(D−L)またはリンカー試薬のモル過剰量を制限する及び(ii)複合体形成反応時間及び温度を制限する。
【0140】
抗体の複数の求核または求電子基が薬物−リンカー中間体と反応する、またはリンカー試薬と反応し続いて薬物部分試薬と反応する場合、得られる生成物は、抗体と結合した薬物部分が、例えば、1つ、2つ、3つなどの分布を有するADC化合物の混合物となる。ポリマー逆相(PLRP)及び疎水的相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、混合物中の化合物を薬物担持数値で分離することができる。単一の薬物担持数値(p)を持つADCの製剤を単離することが可能であるが、しかしながら、こうした単一の薬物担持数値のADCでもなお、異種混合物である場合がある。なぜなら、薬物部分は、リンカーを介して、抗体の異なる部位で結合している可能性があるからである。
【0141】
したがって、本発明の抗体薬物複合体組成物は、抗体薬物複合体化合物の混合物を含み、この混合物において、抗体は1つまたは複数のPBD薬物部分を有し、薬物部分は、様々なアミノ酸残基で抗体と結合している可能性がある。
【0142】
1つの実施形態において、1抗体あたりの二量体ピロロベンゾジアゼピン基の平均数は、1〜8の範囲である。実施形態によっては、この範囲は、1〜4、1〜4、2〜4、及び1〜3から選択される。
【0143】
実施形態によっては、1抗体あたり1つまたは2つの二量体ピロロベンゾジアゼピン基が存在する。
【0144】
包含される他の形態
特に記載がない限り、これら置換基の周知のイオン、塩、溶媒和物、及び保護形も、上記に含まれる。例えば、カルボン酸(−COOH)についての言及は、アニオン(カルボキシラート)形(−COO−)、その塩または溶媒和物、ならびに通常の保護形も含む。同様に、アミノ基についての言及は、プロトン化形(−NHR)、その塩または溶媒和物、例えば、塩酸塩、ならびにアミノ基の通常の保護形も含む。同様に、ヒドロキシル基についての言及は、アニオン形(−O)、その塩または溶媒和物、ならびに通常の保護形も含む。
【0145】

活性化合物の相当する塩、例えば、薬学上許容される塩を調製、精製、及び/または取り扱うことが、好都合であるまたは望ましい場合がある。薬学上許容される塩の例は、Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1−19(1977)に記載される。
【0146】
例えば、化合物がアニオン性である、またはアニオンになることが可能な官能基(例えば、−COOHは、−COOになることが可能)を有する場合、適切なカチオンで塩を形成することができる。適切な無機カチオンの例として、アルカリ金属イオン、例えば、Na及びKなど、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+など、ならびに他のカチオン、例えばAl+3などが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機カチオンの例として、アンモニウムイオン(すなわち、NH)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な置換アンモニウムイオンのいくつかの例として、以下に由来するものがある:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えば、リシン及びアルギニンなど。一般的な第四級アンモニウムイオンの例として、N(CHがある。
【0147】
化合物がカチオン性である、またはカチオンになることが可能な官能基(例えば、−NHは、−NHになることが可能)を有する場合、適切なアニオンで塩を形成することができる。適切な無機アニオンの例として、以下の無機酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸。
【0148】
適切な有機アニオンの例として、以下の有機酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:2−アセチルオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボキン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び吉草酸。適切な有機アニオンポリマーの例として、以下の酸ポリマーに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0149】
溶媒和物
活性化合物の相当する溶媒和物を調製、精製、及び/または取り扱うことが、好都合であるまたは望ましい場合がある。「溶媒和物」という用語は、本明細書中、従来の意味で使用され、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合体を示す。溶媒が水である場合、溶媒和物は、都合よく、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと称することができる。
【0150】
本発明は、溶媒がPBD部分のイミン結合にまたがって付加した化合物を含む。溶媒が水またはアルコール(ROH、式中、RはC1−4アルキルである)場合のそのような化合物を下に示す:
【化22】
これらの形は、カルビノールアミン及びカルビノールアミンエーテル形のPBDと呼ぶことが可能である(上記のR10に関するセクションで記載のとおり)。これらの平衡のバランスは、化合物が見られるときの条件、ならびに部分自身の性質に依存する。
【0151】
これらの特定化合物は、例えば、凍結乾燥により、固体で単離することができる。
【0152】
異性体
本発明のある特定の化合物は、1つまたは複数の特定の幾何異性体、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピ異性体、アトロプ異性体、立体異性体、互変異性体、配座異性体、またはアノマー異性体形で存在することが可能であり、そのような異性体形として、シス及びトランス形;E及びZ形;c、t、及びr形;エンド及びエキソ形;R、S、及びメソ形;D及びL形;d及びl形;(+)及び(−)形;ケト、エノール、及びエノラート形;シン及びアンチ形;シンクリナル及びアンチクリナル形;α及びβ形;アキシャル及びエカトリアル形;舟、いす、ねじれ、封筒、及び半いす形;ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、本明細書中以下、まとめて「異性体」(または異性体形)と称する。
【0153】
「キラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合せることができない性質を持つ分子を示し、一方「アキラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合せることができる分子を示す。
【0154】
「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有するが、原子または基の空間配置に関して異なる化合物を示す。
【0155】
「ジアステレオマー」は、2つ以上の不斉中心を持ち、その分子が互いに相手の鏡像ではない立体異性体を示す。ジアステレオマーは、物性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性などが異なる。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手法で分離可能である。
【0156】
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を示す。
【0157】
本明細書中使用される立体化学の定義及び慣習は、概して、S. P. Parker, Ed., McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company, NewYork;及びEliel, E. and Wilen, S., ‘‘Stereochemistry of Organic Compounds’’, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心を有する場合があり、したがって、異なる立体異性体形で存在する場合がある。本発明の化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体、及びアトロプ異性体をはじめとする、しかしこれらに限らない全ての立体異性体形、ならびにラセミ混合物などのそれらの混合物が、本発明の一部をなすものとする。多くの有機化合物は、光学活性形で存在する、すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物の記載では、接頭語D及びL、またはR及びSを用いて、分子のキラル中心(複数可)についてその絶対配置を表す。接頭語d及びlまたは(+)及び(−)は、その化合物による平面偏光の回転の方向を指定するために用いられ、(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdが先頭に付いた化合物は、右旋性である。所定の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いに相手の鏡像であることを除いて、同一である。特定の1種類の立体異性体を鏡像異性体と称する場合もあり、そのような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれる場合が多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と称し、これは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択性または立体特異性がなかった場合に生じる可能性がある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、2種の鏡像異性体種の等モル混合物を示し、これは光学活性がない。
【0158】
なお、以下の互変異性体形に関する記述を除き、「異性体」という用語が、本明細書中使用される場合、構造(structural)(または構造(constitutional))異性体(すなわち、原子の空間配置だけというのでなく、原子間の接続が異なる異性体)は、具体的に除外される。例えば、メトキシ基、−OCHについての記述は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基、−CHOHについての記述であると見なされることはない。同様に、ortho−クロロフェニルについての記述は、その構造異性体であるmeta−クロロフェニルについての記述であると見なされることはない。しかしながら、あるクラスの構造についての記述は、そのクラスの範疇に入る構造異性体形を含むことが十分可能である(例えば、C1−7アルキルは、n−プロピル及びiso−プロピルを含み;ブチルは、n−、iso−、sec−、及びtert−ブチルを含み;メトキシフェニルは、ortho−、meta−、及びpara−メトキシフェニルを含む)。
【0159】
上記の除外は、互変異性体形、例えば、ケト、エノール、及びエノラート形、例えば、以下の互変異性体対のような場合には関係しない:ケト/エノール(以下に図示する)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/aci−ニトロ。
【化23】
【0160】
「互変異性体」または「互変異性体形」という用語は、低いエネルギー障壁を越えて相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を示す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)として、プロトンの移動を介した相互変換、例えば、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化が挙げられる。原子価互変異性体として、結合電子のあるものの再組織化による相互変換が挙げられる。
【0161】
なお、「異性体」という用語には、1つまたは複数の同位体置換を持つ化合物も、具体的に含まれる。例えば、Hは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、H、H(D)、及びH(T)が挙げられる;Cは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、12C、13C、及び14Cが挙げられる;Oは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形として、16O及び18Oが挙げられる;などである。
【0162】
本発明の化合物に組み込むことが可能な同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体が挙げられ、例えば、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、及び125Iなどであるが、これらに限定されない。本発明の化合物を様々な同位体で標識したもの、例えば、3H、13C、及び14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているもの。そのような同位体標識した化合物は、代謝研究、反応速度研究、検出または画像化技法、例えば、薬物もしくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン断層撮影法(PET)または単光子放射断層撮影法(SPECT)において、あるいは患者の放射線治療において、有用である可能性がある。重水素で標識または置換した本発明の治療化合物は、分布、代謝、及び排泄(ADME)に関連して、DMPK(薬物代謝及び薬物動態学)特性が改善されている可能性がある。重水素などより重い同位体への置換は、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長または投薬必要量の減少など、をもたらす可能性がある。18F標識した化合物は、PETまたはSPECT検査で有用である可能性がある。同位体標識した本発明の化合物及びそのプロドラッグは、一般に、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えて、以下に記載されるスキームまたは実施例及び調製で開示される手順を行うことにより、調製可能である。さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2HまたはD)に置き換えることは、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長または投薬必要量の減少または治療指標の改善など、をもたらす可能性がある。この文脈における重水素は、置換基と見なされる。そのような重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義することが可能である。本発明の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。
【0163】
特に記載がない限り、特定化合物についての記述は、こうした異性体形を全て、それらの(完全または部分)ラセミ混合物及び他の混合物も含めて、包含する。こうした異性体形の調製方法(例えば、不斉合成)及び分離方法(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフィー手段)は、当該分野で既知であるか、本明細書中教示される方法もしくは既知の方法を、既知の様式で適用することにより容易に得られる。
【0164】
生物活性
In vitro細胞増殖アッセイ
一般に、抗体薬物複合体(ADC)の細胞毒性または細胞分裂阻害活性は、以下により測定される:受容体タンパク質を有する哺乳類細胞を、細胞培地中で、ADCの抗体と接触させる;細胞を、約6時間〜約5日間の期間、培養する;そして、細胞生存度を測定する。細胞に基づくin vitroアッセイを用いて、生存度(増殖)、細胞毒性、及び本発明のADCのアポトーシス誘導(カスパーゼ活性)を測定する。
【0165】
抗体薬物複合体のin vitro力価は、細胞増殖アッセイにより測定可能である。CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assayは、市販されているアッセイであり(Promega Corp., Madison, WI)、甲虫目ルシフェラーゼの組換え発現に基づく均一アッセイ方法である(米国特許第5583024号、同第5674713号、及び同第5700670号)。この細胞増殖アッセイは、代謝活性細胞の指標である存在するATPの定量に基づき、培養物中の生存細胞の個数を特定する(Crouch et al(1993)J. Immunol. Meth. 160:81−88;US6602677)。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイは、96ウェル形式で行われるので、自動高処理スクリーニング系(HTS)で行うことが可能である(Cree et al(1995)AntiCancer Drugs 6:398−404)。均一アッセイ手順は、血清添加した培地で培養された細胞に、単一試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を直接加えることを含む。細胞洗浄、培地除去、及び複数のピペット工程を、必要としない。この系は、試薬を加え混合してから10分後には、384ウェル形式でわずか15細胞/ウェルでも検出することができる。細胞は、ADCで連続処理されている場合もあるし、処理された後ADCから分離される場合もある。一般に、手短に、すなわち3時間処理された細胞は、連続処理された細胞と同じ力価効果を示した。
【0166】
均一「添加混合測定」様式は、細胞溶解及び存在するATP量に比例した発光シグナルの発生をもたらす。ATPの量は、培養物中に存在する細胞数と直接比例する。CellTiter−Glo(登録商標)アッセイは、ルシフェラーゼ反応により生成する「グロー型」発光シグナルを生成し、このシグナルは、細胞型及び使用した培地に応じて、一般に5時間を超える半減期を有する。生存細胞数は、相対発光単位(RLU)に反映される。基質である甲虫ルシフェリンは、組換えホタルルシフェラーゼにより酸化的脱カルボン酸化され、これと同時にATPをAMPに変換し、光子を生成する。
【0167】
抗体薬物複合体のin vitro力価は、細胞毒性アッセイにより測定することもできる。培養した付着細胞を、PBSで洗い、トリプシンで脱離させ、10%FCSを含有する完全培地に希釈し、遠心し、新たな培地に再懸濁させ、血球計算器で計数する。懸濁液培養物は、直接計数する。計数に適した単分散細胞懸濁液は、繰り返し吸引により撹拌して細胞塊を壊す必要がある場合がある。
【0168】
細胞懸濁液を、所望の播種密度に希釈し、黒色96ウェルプレートに分注する(1ウェルあたり100μl)。付着細胞株のプレートは、一晩インキュベートして、付着させる。懸濁細胞培養物は、播種の日に使用することができる。
【0169】
ADC貯蔵原液(20μg/ml)(1ml)は、適切な細胞培地で作成する。ADC原液の系列10倍希釈は、15ml遠心管で、系列的に100μlを細胞培地900μlに移すことにより作成する。
【0170】
96ウェル黒色プレート中、4つの複製ウェルのそれぞれに各ADC希釈濃度(100μl)を分注する。そこにはあらかじめ細胞懸濁液(100μl)が播種してあり、その結果、最終体積は200μlになる。対照ウェルには、細胞培地(100μl)を入れる。
【0171】
細胞株の倍加時間が30時間より長い場合、ADCインキュベーションは5日間とし、それ以外は、4日間のインキュベーションを行う。
【0172】
インキュベーション期間終了時、アラマーブルーアッセイで細胞生存度を評価する。アラマーブルー(Invitrogen)を、プレート全体にわたって分注し(1ウェルあたり20μl)、4時間インキュベートする。アラマーブルー蛍光を、Varioskanフラッシュプレートリーダーで、励起570nm、発光585nmで測定する。対照ウェルの平均蛍光に対するADC処理ウェルの平均蛍光から、細胞生存パーセンテージを計算する。
【0173】
用途
本発明の複合体は、標的部位にPBD化合物を提供するために用いることができる。
【0174】
標的部位は、好ましくは、増殖細胞集団である。抗体は、増殖細胞集団に存在する抗原に対する抗体である。
【0175】
1つの実施形態において、抗原は、非増殖性細胞集団に、存在しない、または存在しても、増殖細胞集団、例えば、腫瘍細胞集団に存在する抗原の量に比べて低下したレベルである。
【0176】
標的部位で、リンカーは、化合物RelAを放出するように、切断される可能性がある。すなわち、複合体は、標的部位に化合物RelAを選択的に提供するために用いることができる。
【0177】
リンカーは、標的部位に存在する酵素により切断可能である。
【0178】
標的部位は、in vitro、in vivo、またはex vivoの場合がある。
【0179】
本発明の抗体薬物複合体(ADC)化合物として、抗がん活性に関する有用性を持つものが挙げられる。詳細には、本化合物として、PBD薬物部分、すなわち毒素と、複合体形成した、すなわち、リンカーにより毒素と共有結合した抗体が挙げられる。PBD薬物が抗体と複合体形成していない場合、その薬物は、細胞毒性効果を有する。すなわち、PBD薬物部分の生物活性は、抗体と複合体形成することにより調節される。本発明の抗体薬物複合体(ADC)は、有効量の細胞毒性剤を腫瘍組織に選択的に送達し、それにより、より高い選択性を、すなわちより低い有効量を達成することが可能である。
【0180】
すなわち、1つの態様において、本発明は、治療に使用するための、本明細書中記載されるとおりの複合体化合物を提供する。
【0181】
さらなる態様において、同じく提供されるのは、増殖性疾患の治療に使用するための、本明細書中記載されるとおりの複合体化合物である。本発明の第二の態様は、増殖性疾患の治療用医薬の製造における複合体化合物の使用を提供する。
【0182】
当業者なら、候補の複合体が任意の特定細胞型について増殖性症状を治療するかどうかを、容易に決定することができる。例えば、特定化合物により提供される活性を査定するのに都合良く用いることができるアッセイを、以下の実施例で記載する。
【0183】
「増殖性疾患」という用語は、in vitroであるかin vivoであるかに関わらず、望ましくない過剰なまたは異常細胞の望ましくないまたは制御不能な細胞増殖、例えば、腫瘍性または過形成増殖に関する。
【0184】
増殖性症状の例として、良性、前悪性、及び悪性細胞増殖が挙げられるがこれらに限定されず、そのような細胞増殖として、新生物及び腫瘍(例えば、組織球腫、神経膠腫、星細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺癌、小細胞肺癌、消化器癌、腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、食道癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織のもの)、及び粥状動脈硬化が挙げられるがこれらに限定されない。特に関心が持たれるがんとして、白血病及び卵巣癌が挙げられるがこれらに限定されない。
【0185】
任意の型の細胞を処置することが可能であり、そのような細胞として、肺、消化管(例えば、腸、結腸を含む)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。
【0186】
特に関心が持たれる障害として、がんが挙げられるがこれらに限定されず、がんとして、転移性がん及び転移性がん細胞、例えば、血液またはリンパなどの体液で循環しているところが見つかる可能性がある、循環腫瘍細胞などが挙げられる。特に関心が持たれるがんとして、以下が挙げられる:乳癌、肺癌、胃癌、頭頚部癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、子宮癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮内膜癌、及び前立腺癌、ならびにリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、NHL)、及び白血病(特に、急性骨髄性白血病、AML)。
【0187】
関心が持たれる他の障害として、Axlが過剰発現する任意の症状、またはAxl拮抗作用が臨床的有用性をもたらすことになる任意の症状が挙げられる。そのような症状として、免疫不全、心血管障害、血栓症、糖尿病、免疫チェックポイント障害、線維性障害(線維症)、または増殖性疾患、例えば、がん、詳細には転移性癌が挙げられる。さらに、Axlは、上皮起源の多くのがんにおいて役割を果たすことが知られている。
【0188】
関心が持たれる線維性障害として、斜視、強皮症、ケロイド、腎性全身性線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症(CF)、全身性硬化症、心線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、他の型の肝線維症、原発性胆汁性肝硬変、腎線維症、がん、及びアテローム性動脈硬化が挙げられる。これらの疾患において、組織における線維症の慢性的な進行は、罹患臓器の構造における著しい変化をもたらし、続いて臓器機能の欠陥を引き起こす。臓器への持続的な消耗のこの過程の結果として、線維症を含む多くの疾患はしばしば進行性の状態にあり、そして長期の予後不良を有する(Rockey, D.C., Bell, P.D. and Hill, J.A.(2015), N. Engl. Med., Vol. 372, pp. 1138−1149を参照)。
【0189】
本発明の抗体薬物複合体(ADC)は、様々な疾患または障害、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものの治療に使用される場合があることが企図される。症状または過剰増殖障害の例として、良性または悪性腫瘍;白血病、血液系悪性腫瘍、及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。他のものとして、神経性障害、グリア細胞障害、星状細胞障害、視床下部障害、腺性障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質性障害、胞胚腔障害、炎症性障害、血管原性障害、及び自己免疫障害を含む免疫障害が挙げられる。
【0190】
一般に、治療対象となる疾患または障害は、がんなどの過剰増殖疾患である。本明細書中、治療対象となるがんの例として、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。こうしたがんのより詳細な例として、扁平細胞癌(例えば、扁平上皮癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃(gastric)または胃(stomach)癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓または腎性癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝性癌、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頚部癌が挙げられる。
【0191】
治療にADC化合物を使用する場合がある自己免疫疾患として、リウマチ障害(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎などのループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、低温型グロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬性関節炎など)、変形性関節炎、自己免疫性消化管及び肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病など)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ならびにセリアック病など)、血管炎(例えば、チャーグ・ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、及び多発性動脈炎をはじめとするANCA関連血管炎など)、自己免疫性神経障害(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発ニューロパチーなど)、腎性障害(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルジェ病など)、自己免疫性皮膚障害(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、蕁麻疹(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデスなど)、血液障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫性溶血性貧血など)、粥状動脈硬化、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚障害(例えば、内耳疾患及び難聴など)、ベーチェット病、レイノー病、臓器移植、ならびに自己免疫性内分泌障害(例えば、糖尿病関連自己免疫疾患、例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、及び自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病及び甲状腺炎)など)が挙げられる。そのような疾患のより好ましいものとして、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎が挙げられる。
【0192】
治療方法
本発明の複合体は、治療方法において使用可能である。同じく提供されるのは、治療方法であり、本方法は、治療を必要としている対象に、治療上有効量の本発明の複合体化合物を投与することを含む。「治療上有効量」という用語は、患者に対して有益性を示すのに十分な量である。そのような有益性は、少なくとも1種の症候の少なくとも寛解である場合がある。投与される実際量、ならびに投与の速度及び時間経過は、治療されるものの性質及び重篤度に依存することになる。治療の処方、例えば、投薬量の決定は、一般開業医及び他の医療医師の担当範囲に含まれる。
【0193】
本発明の化合物は、単独で投与することも、他の治療と併用することも可能であり、併用する場合は、治療対象となる症状に応じて同時または順次いずれかである。治療及び療法の例として、化学療法(例えば、化学療法剤などの薬物をはじめとする活性作用剤の投与);手術;及び放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない
【0194】
「化学療法薬」とは、作用機序に関わらず、がんの治療に有用な化学合成物質である。化学療法薬のクラスとして、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤。化学療法薬として、「標的治療」及び従来の化学療法に使用される化合物が挙げられる。
【0195】
化学療法薬の例として、以下が挙げられる:エルロチニブ(タルセバ(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、Sanofi−Aventis)、5−FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS No.51−21−8)、ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標)、Lilly)、PD−0325901(CAS No.391210−10−9、Pfizer)、シスプラチン(cis−ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No.15663−27−1)、カルボプラチン(CAS No.41575−94−4)、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド、CAS No.85622−93−1、テモダール(TEMODAR)(登録商標)、テモダール(TEMODAL)(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブタ−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン、ノルバデックス(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、Akti−1/2、HPPD、及びラパマイシン。
化学療法薬のさらなる例として、以下が挙げられる:オキサリプラチン(エロキサチン(ELOXATIN)(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(スニチニブ(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(フェマーラ(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシル酸塩(グリベック(登録商標)、Novartis)、XL−518(MEK阻害剤、Exelixis、WO2007/044515)、ARRY−886(MEK阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF−1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ−235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL−147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(フェソロデックス(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、ラパミューン(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標)、BAY43−9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR)(登録商標)、CPT−11、Pfizer)、チピファルニブ(ザルネストラ(ZARNESTRA)(商標)、Johnson & Johnson)、アブラキサン(商標)(クレモホールを含まない)、すなわちパクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ザクティマ(ZACTIMA)(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(トーリセル(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、NEOSAR(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど;アジリジン、例えば、benzodopa、カルボコン、meturedopa、及びuredopaなど;エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンなど;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;callystatin;CC−1065(その合成類似体であるアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシンを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ディオカルマイシン(合成類似体である、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質など(例えば、カリチアマイシン、カリチアマイシンガンマ1I、カリチアマイシンオメガI1(Angew Chem. Intl. Ed. Engl.(1994)33:183−186);ジネマイシン、ジネマイシンA;ビスホスホナート、例えば、クロドロネートなど;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団など)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアザ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝産物、例えば、メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなど;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎皮質薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩(elliptinium acetate);エポシロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテンセン(特に、T−2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(ナベルビン(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(ゼローダ(登録商標)、Roche);イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸など;ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。
【0196】
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、以下のものである:(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)など、そのような抗ホルモン剤として、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標);タモキシフェンクエン酸塩を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びフェアストン(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩)などが挙げられる;(ii)副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素、アロマターゼを阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、アロマシン(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、フェマーラ(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びアリミデックス(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなど;ならびに、トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、MEK阻害剤(WO 2007/044515);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異所細胞増殖に関係付けられるシグナル伝達経路における遺伝子発現を阻害するもの、例えば、PKC−アルファ、Raf、及びH−Ras、例えば、オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標)、Genta Inc.)など;(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))など、及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、アロベクチン(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)など;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、ルルトテカン(登録商標)など;アバレリックス(登録商標)rmRH;(ix)血管新生阻害剤、例えば、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、治療用抗体、例えば、アレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(アービタックス(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、オファツムマブ(アーゼラ(登録商標)、GSK)、ペルツズマブ(パージェタ(商標)、OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(ベキサール、Corixia)、及び抗体薬物複合体である、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標)、Wyeth)などである。
【0197】
本発明の複合体と組み合わせて化学療法薬としての治療可能性を持つヒト化モノクローナル抗体として、以下が挙げられる:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピノイズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モダビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマズ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、オマリズマブ、ウルトキサズマブ、及びビジリズマブ。
【0198】
本発明による、及び本発明に従った使用のための医薬組成物は、活性成分、すなわち複合体化合物の他に、薬学上許容される賦形剤、キャリア、緩衝剤、安定化剤、または当業者に周知の他の材料を含むことができる。そのような材料は、無毒でなければならず、また、活性成分の効力に干渉してはならない。キャリアまたは他の材料の正確な性質は、投与経路に依存することになり、投与経路は、経口または注射、例えば、皮膚、皮下、もしくは静脈内注射による場合がある。
【0199】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、または液剤の形状をしている場合がある。錠剤は、固形キャリアまたはアジュバントを含むことができる。液状医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱物油、または合成油などの液状キャリアを含む。生理食塩水溶液、ブドウ糖もしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含ませることができる。カプセル剤は、ゼラチンなどの固形キャリアを含むことができる。
【0200】
静脈内、皮膚、もしくは皮下注射、または患部への注射用の場合、活性成分は、非経口で許容可能な水性液剤の形状をとることになり、この液剤は、パイロジェンを含まず、かつ適切なpH、等張性、及び安定性を有する。当業者なら、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて、適切な液剤を調製することが十分可能である。保存剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び/または他の添加剤を、必要に応じて含ませることができる。
【0201】
配合物
複合体化合物は、単独で使用する(例えば、投与する)ことが可能であるものの、それを組成物または配合物として存在させることが望ましい場合が多い。
【0202】
1つの実施形態において、組成物は、本明細書中記載されるとおりの複合体化合物、及び薬学上許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物(例えば、配合物、製剤、薬剤)である。
【0203】
1つの実施形態において、組成物は、本明細書中記載されるとおりの複合体化合物の少なくとも1種を、当業者に周知の1種または複数の他の薬学上許容される成分とともに含む医薬組成物であり、薬学上許容される成分として、薬学上許容されるキャリア、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
1つの実施形態において、組成物は、さらに、他の活性作用剤、例えば、他の治療薬または予防薬を含む。
【0205】
適切なキャリア、希釈剤、賦形剤などは、標準的な医薬書で見つけることができる。例えば、Handbook of Pharmaceutical Additives, 2nd Edition (eds. M. Ash and I. Ash), 2001(Synapse Information Resources, Inc., Endicott, New York, USA), Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th edition, pub. Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd edition, 1994を参照。
【0206】
本発明の別の態様は、医薬組成物の作成方法に関し、本方法は、少なくとも1種の[11C]−放射標識した本明細書中記載されるとおりの複合体または複合体様化合物を、当業者に周知の1種または複数の薬学上許容される成分、例えば、キャリア、希釈剤、賦形剤などと一緒に混合することを含む。別個の単位(例えば、錠剤など)として配合される場合、各単位は、予め定められた量(投薬量)の活性化合物を含有する。
【0207】
「薬学上許容される」という用語は、本明細書中使用される場合、妥当な医学的判断の範囲内で、問題の対象(例えば、ヒト)の組織と接触する使用に適しており、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わず、合理的なベネフィット/リスクに釣り合う、化合物、成分、材料、組成物、剤形などに関する。各キャリア、希釈剤、賦形剤などは、配合物の他の成分と適合性があるという意味において「許容可能」でもなければならない。
【0208】
配合物は、薬学分野で周知の任意の方法により調製することができる。そのような方法は、活性化合物を、1種または複数の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を含む。一般に、配合物は、活性化合物とキャリア(例えば、液状キャリア、微粉砕固形キャリアなど)を均一かつ密接に会合させ、その後、必要であれば製品へと成型することにより、調製される。
【0209】
配合物は、迅速または緩徐な放出;即時、遅延、または徐放性;あるいはそれらの組み合わせを提供するように調製することができる。
【0210】
非経口投与(例えば、注射による)に適した配合物として、水性または非水性の、等張性で、パイロジェンを含まない、滅菌液体(例えば、液剤、懸濁剤)が挙げられ、この液体に、活性成分は、溶解している、懸濁している、またはそれ以外で提供されている(例えば、リポソームまたは他の微粒子に入れられて)。そのような液体は、追加で、他の薬学上許容される成分、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、静菌剤、懸濁化剤、増粘剤、及び配合物を予定されるレシピエントの血液(または他の関連体液)と等張性にする溶質などを含有することができる。賦形剤の例として、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などが挙げられる。そのような配合物用の適切な等張性キャリアの例として、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、または乳酸リンゲル注射液が挙げられる。典型的には、液体中の活性成分の濃度は、約1ng/ml〜約10μg/ml、例えば約10ng/ml〜約1μg/mlである。配合物は、単位用量または複数用量で密閉された容器、例えば、アンプル及びバイアル中に入れられている場合があり、また、凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵されていて、使用直前に滅菌液状キャリア、例えば水を加えるだけでよい場合がある。即時注射液剤及び懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0211】
投薬量
当業者には当然のことながら、複合体化合物、及び複合体化合物を含む組成物の適切な投薬量は、患者ごとに異なる可能性がある。最適な投薬量の決定は、一般に、治療効果のレベルとあらゆるリスクまたは危険な副作用との兼ね合いが関与することになる。選択される投薬量レベルは、様々な要因に依存することになり、そのような要因として、特定化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/または材料、症状の重篤度、ならびに患者の種族、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の治療歴が挙げられるが、これらに限定されない。化合物の量及び投与経路は、最終的に、医師、獣医師、または臨床医の判断に任されることになるが、一般に、投薬量は、実質的に有害なまたは危険な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を作用部位で達成するように選択されることになる。
【0212】
投与は、一つの用量で実現可能であり、その用量は治療課程を通じて連続的または断続的(例えば、適切な間隔を開けた分割用量)である。投与の最も効果的な手段及び投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される配合物、治療目的、治療される標的細胞(複数可)、及び治療される対象に合わせて変化することになる。一回または複数投与は、担当医師、獣医師、または臨床医により選択された用量レベル及びパターンに合わせて行うことができる。
【0213】
一般に、活性化合物の適切な用量は、1日あたり、対象の体重1キログラムあたり、約100ng〜約25mg(より典型的には、約1μg〜約10mg)の範囲にある。活性化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そのため使用される実際の重量は、比例して増加する。
【0214】
1つの実施形態において、活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト患者に投与される:約100mg、1日3回。
【0215】
1つの実施形態において、活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト患者に投与される:約150mg、1日2回。
【0216】
1つの実施形態において、活性化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト患者に投与される:約200mg、1日2回。
【0217】
しかしながら、1つの実施形態において、複合体化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト患者に投与される:約50または約75mg、1日3回または4回。
【0218】
1つの実施形態において、複合体化合物は、以下の投薬レジメに従ってヒト患者に投与される:約100または約125mg、1日2回。
【0219】
上記の投薬量は、複合体(PBD部分及び抗体と接続するリンカーを含む)または提供される有効量のPBD化合物に適用することができ、例えば、化合物の量は、リンカー切断後に放出可能な量である。
【0220】
疾患の予防または治療の場合、本発明のADCの適切な投薬量は、上記で定義されるとおりの治療予定の疾患の種類、疾患の重篤度及び過程、分子が予防目的で投与されるのか治療目的で投与されるのか、以前の治療、患者の病歴及び抗体に対する反応、ならびに担当医師の判断に依存することになる。分子は、患者に、一回で、または一連の治療にわたって、適切に投与される。疾患の種類及び重篤度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の分子が、例えば、一回でまたは複数の分離した投与によるのか、または持続点滴によるのかに関わらず、患者に投与する最初の投薬量候補である。典型的な1日投薬量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kgの範囲またはそれ以上になる可能性がある。患者に投与する予定のADC投薬量の例は、約0.1〜約10mg/患者体重kgの範囲にある。数日間またはそれより長期にわたる繰り返し投与の場合、状態に応じて、治療は、所望の疾患症候の抑制が生じるまで継続される。投薬レジメンの例は、最初の負荷投与を約4mg/kgで投与し、続いてADCの追加用量を毎週、2週間、または3週間投与するコースを含む。他の投薬レジメンが有用な場合もある。この治療の進行は、従来の技法及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
【0221】
治療
「治療」という用語は、症状の治療の文脈において本明細書中使用される場合、ヒトであるか動物であるか(例えば、獣医学用途において)に関わらず、概して、ある所望の治療効果、例えば、症状の増悪の阻害などが達成される治療及び療法に関し、この用語は、増悪の速度の低下、増悪の速度の停止、症状の退行、症状の寛解、及び症状の治癒を含む。予防的手段としての治療(すなわち、予防、防止)も含まれる。
【0222】
「治療上有効量」という用語は、本明細書中使用される場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の治療効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、または活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
【0223】
同様に、「予防上有効量」という用語は、本明細書中使用される場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の予防効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、または活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
【0224】
薬物複合体の調製
本発明の抗体薬物複合体は、以下の薬物リンカー:
【化24】
を、例えば、van Geel, R., et al., Bioconjugate Chemistry,2015, 26, 2233−2242;DOI:10.1021/acs.bioconjchem.5b00224に記載されるとおりの方法により、アジド含有抗体と複合体形成させることにより、調製することができる。適切な方法として、例えば、水性条件下、DMF、DMSO、及びDMAから選択される任意選択の共溶媒を用いる銅を含まない複合体形成が挙げられるが、これに限定されない。
【0225】
薬物リンカーは、実施例に従って、適切な修飾を行って合成することができ、例えば、リンカーの合成については、WO2016/053107を参照し、及びPBD二量体については、例えば以下の文献を参照する:WO2011/130598、WO2013/055987、WO2014/057074。
【0226】
対象/患者
対象/患者は、動物、哺乳類、有胎盤哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、マーモット)、単孔類(例えば、カモノハシ)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、マウス類(例えば、マウス)、ウサギ類(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ヒツジ類(例えば、ヒツジ)、ウシ類(例えば、ウシ)、霊長類、真猿類(例えば、サルまたは類人猿)、サル類(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、またはヒトの場合がある。
【0227】
そのうえさらに、対象/患者は、その発育形態のいずれの場合もあり、例えば、胎児の場合もある。1つの好適な実施形態において、対象/患者は、ヒトである。
【実施例】
【0228】
中間体3の合成
【化25】
雰囲気下、BCNアルコール(0.384g、2.55mmol)をMeCN(25mL)に溶解させた溶液を、0℃に冷却し、そこに、イソシアン酸クロロスルホニル(CSI)を滴下して加えた(0.255mL、415mg、2.93mmol、1.15当量)。15分撹拌後、EtNを滴下して加え(1.42mL、1.03g、10.2mmol、4当量)、さらに10分間撹拌を続けた。次に、2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸(1.0g、6.1mmol、2.4当量)をHO(5mL)に溶解させた溶液を加え、反応混合物を、室温で2時間撹拌した。この後、CHCl(50mL)及びHO(100mL)を加え、層を分離させた。分液漏斗に入れた水層に、CHCl(100mL)を加え、1NのHClでpHを4に調整してから、層を分離させた。水層を、CHClで2回抽出し(2×100mL)、有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカのフラスコカラムクロマトグラフィーでCHClから20%MeOH含有CHClの勾配で溶出させて精製し、無色粘着ワックス状物として、中間体3を0.42g(1.0mmol、39%)得た。
【0229】
薬物リンカーの合成
【化26】
【化27】
化合物1は、WO2014/057074に記載されるとおりに合成可能である−化合物22を参照。
【0230】
(a)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、4.8mg、4.15μmol)を計量し、不活性雰囲気下におく。ピロリジン(5.0μL、4.3mg、60μmol)をDCM(1mL)に溶解させた溶液全体にNを吹き込むことにより、溶液を脱気する。化合物1(27mg、24μmol)をDCM(6mL)に溶解させた溶液全体にNを吹き込むことにより、溶液を脱気する。溶液全体にNを吹き込み続けながら、脱気したピロリジン溶液を加える。計量したPd(PPhをDCM(1mL)に溶解させ、この溶液のうち0.9mLを加える。50分間Nを吹き込んだ後、DCM(25mL)を加え、混合物を飽和NHCl水溶液(25mL)で洗う。分離後、水層を、DCM(2×25mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣を、RP−HPLC(30−90%MeCN(0.1%ギ酸)含有HO(0.1%ギ酸)により精製する。画分をまとめて、SPE(HCO)カラムに通し、濃縮する。MeCN(50mL)を加えた後、混合物を再び濃縮する。得られる残渣2を、次の工程に用いる。
【0231】
反応物の変換は、LCMS分析を通じてモニタリングすることができる。カラム:XBridge BEH C18 Intelligent Speed(IS)カラム、130Å、3.5μm(4.6mm×20mm)。移動相A:水(0.1%ギ酸)、移動相B(0.1%ギ酸)。PDA及びESI+で検出。試料は、反応混合物をMeCNで希釈することにより調製可能である。
【0232】
(b)上記残渣2をCHCl(5mL)に溶解させた溶液に、中間体3(15mg、36μmol、mw418g/モル)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液を加える。得られる混合物を、固形EDC・HCl(4.7mg、25μmol)に加え、CHCl(5mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。DCM(30mL)を加え、得られる混合物を、水(30mL)で洗う。分離後、水相をDCM(30mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣を、RP−HPLC(30−90%MeCN(酸を含まず)含有HO(0.01%ギ酸))により精製する。HPLC収集管を5%(NH)HCO水溶液で満たしておいてから、収集する。HPLC画分をまとめて、DCM(3×20mL)で抽出する。有機層をまとめて、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。生成物4を、わずかに黄色/白色油状物として得る(21mg、16μmol、mw1323g/モル、2工程全体で67%)。
【0233】
反応物の変換は、LCMS分析によりモニタリングすることができる。カラム:XBridge BEH C18 Intelligent Speed(IS)カラム、130Å、3.5μm(4.6mm×20mm)。移動相A:水(0.1%ギ酸)、移動相B(0.1%ギ酸)。PDA及びESI+で検出。
【0234】
抗体修飾
反応条件
ワンポットグリカン再構築のための反応条件は以下の通りである:
15mg/mlの抗体(約0.1mM)
0.15mg/mLのStreptococcus pyogenes由来のEndoSH(1%w/w)
1.13mg/mLのHis−TnGalNAcT(7.5%w/w)ガラクトース−N−アセチルトランスフェラーゼ(GalNAcT)酵素
2.5mMの6−NGalNAc−UDP(IgGに対して25当量)
10mMのMnCl
25mMのTrisHCl ph8.0
150mMのNaCl
30°Cで16時間インキュベートする
【0235】
これはAXLとB12で実施した。
【0236】
手順
この例は25mg規模であり、必要に応じて変更することができる。個々の成分は順番に添加され、混合される。
106.5μLの25mMのTris pH8.0、150mMのNaCl(1667μLの最終体積を得るため)
1mLの、25mMのTris pH8.0、150mMのNaCl中25mg/mLの抗体
71.4μLの、25mMのTris pH8.0中3.5mg/mLのEndoSH
389μLの、25mMのTris pH8.0中4.82 mg/mLのHis−TnGalNAcT
16.7μLの、MQ中1MのMnCl
83.4μLの、MQ中0.1Mの6−NGalNAc−UDP
【0237】
この混合は30℃で約16時間である。修飾されたガラクトース残基の完了は、試料をMS分析にかけることによって評価することができる。タンパク質A親和性精製後、生成物の試料を少量DTTで還元し、続いてMS分析にかけることができる。転移反応が成功していた場合の典型的な質量スペクトルは、修飾ガラクトースが核GlcNAc(Fuc)置換Abに転移することから生じる主要生成物(全重鎖の90%)1種類、及び修飾ガラクトースが核GlcNAc(フコースを持たない)置換Abに転移することから生じる少量生成物(全重鎖の±10%)を示す。
【0238】
精製手順
緩衝液
結合/洗浄緩衝液(TBS pH7.5):
20mMのTrisHCl ph7.5
150mMのNaCl
エンドトキシン除去のための洗浄緩衝液(TBS pH7.5+Triton−X100):
20mMのTrisHCl pH7.5
150mMのNaCl
0.2%のTriton X−100
溶出緩衝液:
0.1Mのグリシン pH2.7
CIP緩衝液:
0.5MのNaOH
【0239】
手順
1.試料を添加する前にカラムを清浄化するために、以下の緩衝液でMabSelectSure 5mLカラムを洗浄する(5mL/分):
少なくとも5カラム体積(CV)のTBS pH7.5でカラムを洗浄する
15CVの0.5MのNaOHでカラムを洗浄する
5CVのTBS pH 7.5でカラムを洗浄する
5CVのグリシンpH2.7でカラムを洗浄する
中性pHが得られるまで、TBS pH7.5でカラムを洗浄する
2. 遠心分離(4000gで5分間)または濾過(0.22または0.45μmのフィルター)で反応混合物から沈殿物を除去する
3. 2mL/分で試料を添加し、5mL/分で以下の工程を実施する:
少なくとも20CVのTBS=0.2%のTriton X−100で洗浄する
少なくとも20CVのTBSで洗浄する
0.1Mのグリシンph2.7で溶出する
4. 1/5体積の1MのTric−HCl ph8.0を添加して混合することによって、画分をすぐに中性化する
5. 4℃で3回の50体積以上のPBS pH7.4に対して試料を透析する(1時間以上を3回)
6. スピンフィルター装置を使用してサンプルを約20mg/mLに濃縮する
【0240】
化合物4と修飾抗体との複合体形成によるConjA及びConjBの生成
反応条件
15mg/mlのアジド修飾抗体(0.1MのIgG)
0.5mMの化合物4(IgGに対して5当量=アジドあたり2.5当量)
10%のDMFまたは25%のプロピレンジコール
PBS pH7.4
【0241】
手順
1. 9体積の、PBS pH7中16.67mg/mlのアジド修飾抗体を添加する
2. 1体積の、DMF中5mMの化合物4を添加してすぐに混合する
3. 一晩インキュベートする
4. RP−HPLC及びMSで変換を測定する

【表1】
【0242】
ADCの精製
試料調製
カラムに添加する前に以下の要件を満たすべきである:
5%以下の有機溶媒
CVの3%以下の総試料体積(Superdex 200 10/300 GLに対して720μL以下、及びSuperdex 200 HiLoad 26/600に対して10ml以下)
沈殿物が存在しない
【0243】
上記の要件は、次の手順で達成することができる。
1. 5%以下の最終有機溶媒濃度になるようにpH7.4のPBSでサンプルを希釈する
2. 体積がCVの3%を超える場合、サンプルをAmicon Ultra遠心フィルター(MWCO 10kDa)を使用して濃縮する
3. 遠心分離(卓上型遠心分離機で、13000rpmで10分間)によって潜在的沈殿物を除去する
【0244】
精製
精製は、Akta Purifier−10でSuperdex 200 10/300 GLカラム(CV=23ml、GE healthcare)を使用して行った。以下の洗浄工程を0.5ml/分の流速で実施する:
1CVの水でカラムを洗浄する
1CVの0.5MのNaOHでカラムを洗浄する
中性pHが得られるまで、カラムをPBS pH7.4(Sigma,D8537)で平衡化する。
試料を0.5ml/分のPBS pH7.4と共に注入し、1mlの画分を集める(総実行=1.5CV)。単量体画分をプールし、3回の1Lの配合物緩衝液(30mMのヒスチジン、200mMのソルビトール、0.02%(w/v)のtween−20、pH 6.0)に対して4℃で透析する。試料を、0.22μmフィルターを使用して濾過滅菌し、液体窒素を使用して急速冷凍し、そして−80℃で保存する。
【0245】
fabricator消化試料の質量スペクトル分析は、共役Fc/2断片に対応する1つの主要生成物(観察質量25691Da、総Fc/2断片の約90%)を示した。還元試料のRP−HPLC分析は1.98の平均DARを示した。
【0246】
In vitro細胞毒性
H1299細胞をATCCから取得した(ATCC番号CRL−5803)。H1299培地は、10%のGibco FBSを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であった。細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%COで増殖させた。細胞懸濁液を、96ウェル平底プレート中に分注した(ウェルあたり10細胞)。ADC原液の8×10倍希釈液のセットを、細胞培地中で調製した。各ADC希釈液(ウェルあたり50μl)を、96ウェルプレートの細胞懸濁液の入った4つの複製ウェルに分注した。対照ウェルは、培地のみを同体積で添加することによって調製した。96時間インキュベートした後、細胞生存率を、製造業者の取扱説明書に従って、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシ−フェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム(MTS)アッセイ(Promega、カタログ番号G5421)により測定した。吸光度は490nmで測定した。細胞生存率(%)は、4つの対照ウェルにおける平均吸光度(100%)と比較した4つのADC処理ウェルにおける平均吸光度から計算した。3回の反復実験の平均データから用量反応曲線を作成し、Prism(GraphPad, San Diego, CA)を使用して可変勾配を有するシグモイド用量反応曲線にデータをフィッティングすることによってEC50値を決定した。エラーバーは標準偏差(SD)を示す。
【0247】
ConjAのEC50は、0.0554μg/mLであることがわかった。
【0248】
抗原結合試験
MaxisorpプレートをヒトAxl抗原(50ng/ウェル;PBS中バッチ)で一晩+4℃でコーティングした。非反応性部位をSuperBlock緩衝液(+4℃または室温で一晩)でブロックした。ADC原液の8×3倍または5倍希釈液のセットを試料緩衝液/PBS/Tween20中で調製した。各ADC希釈液(60μL/ウェル)をコーティングされたプレートの4つの複製ウェルに分注した。対照ウェルを、同体積の試料緩衝液/PBS/Tween20を添加することによって調製した。抗ヒトカッパIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合体を二次抗体として使用した(1:5000、1時間、室温)。HRPは、1−Step Ultra TMB−ELISA基質溶液(75μL/ウェル;室温で5分間)で検出した。基質反応を0.6MのHCl(75μL/ウェル)で停止させた。吸光度は、450nmのペルオキシダーゼプログラムを用いてEnvisionにおいて450nmで測定した。抗原結合曲線は、Prism(GraphPad, San Diego, CA)を用いた3回の反復実験の平均データから作成した。得られた結果を図1に示すが、図中:▲はConjAである。エラーバーは平均値の標準偏差(SEM)を示す。ConjAはプレート上にコーティングされたAXLの細胞外ドメインに高い親和性で結合した。
【0249】
In vivo有効性試験−MDA−MB−231
5×10個のMDA−MB−231腫瘍細胞をメスの無胸腺ヌードマウスに皮下移植した。腫瘍体積が88〜172mmに達したときに、ビヒクルまたは試験試料を用いたADC投与を開始した。ConjAを尾静脈注射により1mg/kgの用量レベルで1回静脈内(i.v.)投与した。投薬体積は10mL/kg体重であり、各動物個体の体重に合わせて増量した。各動物を、腫瘍体積が終了体積1500mmに到達した時点で、または試験の終了日、いずれか先に訪れた時点で安楽死させた。試験期間中、動物の体重、あらゆる有害な徴候、処置に関連した副作用および臨床的徴候をモニターした。群の平均腫瘍体積の計算のために、以下の規則を適用した:動物が腫瘍サイズのために試験を終了したとき、その動物について記録された最終腫瘍体積をその後時点での平均体積を計算するために用いたデータと共に含めた。ある群の動物の50%未満のみが試験に残っているとき、腫瘍体積および体重の値は、群平均腫瘍体積/体重を計算するためには使用されなかった。Prism(GraphPad, San Diego, CA)をグラフ表示および統計分析に使用した。得られた結果を図2に示すが、図中、▲はConjAであり、
(外1)
はビヒクル単独である。エラーバーはSEMを示す。
【0250】
1mg/kgのConjAの単回投与は、投与後60日で10/10マウスが無腫瘍であり、腫瘍増殖を強く阻害した。
【0251】
ラット毒性試験
方法
ConjA1を、単回静脈内用量のラット忍容性試験で評価した。オスsprague−dawleyラット(n=3/群)に、1日目、ConjAについて3及び6mg/kgで投与し、投与後21日目に死体解剖した。体重及び摂食量は、頻繁にモニタリングし、臨床病理学用に生存中サンプリング(8日目及び21日目に採血)及び薬物動態学用に繰り返しサンプリングを行った。死体解剖では、選択した臓器について、目視で観察し、重量を測定し、組織病理学検査が可能であれば保存した。
【0252】
ConjAは、3及び6mg/kgで臨床上十分に忍容性があった。体重増加は、3及び6mg/kg群でそれぞれ11および21%減少し、摂食量の減少と一致した。8日目には、主に6mg/kg投与群でいくつかの血液学パラメータが減少し(網状赤血球(−76%)、ヘモグロビン(−29%)、白血球(−66%)、及び血小板(−37%))、21日目までに回復のいくつかの証拠を示した。剖検では、胸腺重量の減少がすべての動物で観察された。したがって、ConjAの最大忍容用量(MTD)は6mg/kgであった。
【0253】
In vivo有効性試験−SN12C
メス重症複合免疫不全マウス(Fox Chase SCID(登録商標)、CB17/Icr−Prkdcscid/IcrIcoCrl、Charles River)は、試験1日目において、10週齢であり、体重(BW)範囲は18.0〜21.6gであった。腫瘍移植当日、5×10のSN12C細胞(50%マトリゲル(登録商標)マトリクス(Corning(登録商標))含有リン酸緩衝生理食塩水に加えた細胞懸濁液0.1mL)を、各試験マウスの右側腹部に皮下移植した。SN12Cは、高レベルのAXL発現(細胞あたり約88,000コピー)を有するヒト腎細胞癌由来の異種移植モデルである。
【0254】
腫瘍増殖は、平均寸法が標的範囲の100〜150mmに接近していくところをモニタリングした。腫瘍は、ノギスを用いて二次元で測定し、以下の式に従って体積を計算した:
腫瘍体積(mm)=w×1/2
式中、腫瘍のw=幅、及び1=長さ(mm)である。腫瘍の重さは、1mgが腫瘍体積1mmに等しいという仮定を用いて推定可能である。
【0255】
腫瘍移植から25日後を試験の1日目に指定し、この日、動物を、5つの群に分けた(n=8)。個々の腫瘍体積は108〜172mmであり、群平均の腫瘍体積は120〜123mmであった。全ての処置はi.v.投与した。試験の1日目に単回注射で外側尾静脈に投与した。投薬体積は、体重20グラムあたり0.2mL(10mL/kg)であり、各動物個体の体重に比例した。腫瘍は、ノギスを用いて週に2回測定し、各動物を、腫瘍が終了体積2000mmに到達した時点で、または試験の終了日、いずれか先に訪れた時点で安楽死させた。試験は、60日目に終了した。1mg/kgの用量で、ConjAは、60日目の試験終了時に7/8の完全応答者(CR)および6/8の無腫瘍生存者(TFS)をもたらした。
【0256】
得られた結果を図3に示すが、図中:
(外2)
はビヒクル単独であり;
(外3)
は1mg/kgで投与されたConjBであり;
(外4)
は0.3mg/kgで投与されたConjAであり;
(外5)
は0.6mg/kgで投与されたConjAであり;
(外6)
は1mg/kgで投与されたConjAである。
エラーバーはSEMを示す。
【0257】
In vivo有効性試験−Karpas299(AXL−陰性)
メス重症複合免疫不全マウス(Fox Chase SCID(登録商標)、CB17/Icr−Prkdcscid/IcrIcoCrl、Charles River)は、試験1日目において、9週齢であり、体重(BW)範囲は17.0〜22.5gであった。腫瘍移植当日、1×10 Karpas−299細胞(PBS中0.1mLの細胞懸濁液)を、各試験マウスの右側腹部に皮下移植した。
【0258】
腫瘍増殖は、平均寸法が標的範囲の100〜150mmに接近していくところをモニタリングした。腫瘍は、ノギスを用いて二次元で測定し、以下の式に従って体積を計算した:
腫瘍体積(mm)=w×1/2
式中、腫瘍のw=幅、及び1=長さ(mm)である。腫瘍の重さは、1mgが腫瘍体積1mmに等しいという仮定を用いて推定可能である。
【0259】
腫瘍移植から10日後を試験の1日目に指定し、この日、動物を、4つの群に分けた。個々の腫瘍体積は108〜126mmであり、群平均の腫瘍体積は113〜117mmであった。試験1日目、全ての処置を、外側尾静脈から、単回注射で静脈内投与した。投薬体積は、各動物個体の体重に比例して、体重20グラムあたり0.2mL(10mL/kg)であった。腫瘍は、ノギスを用いて週に2回測定し、各動物を、腫瘍が終了体積2000mmに到達した時点で、または試験の終了日、いずれか先に訪れた時点で安楽死させた。試験は、29日目に終了した。
【0260】
得られた結果を図4に示すが、図中:
(外7)
はビヒクル単独であり;
(外8)
は1mg/kgで投与されたConjAである。
エラーバーはSEMを示す。
【0261】
In vivo有効性試験−膵臓癌患者由来の異種移植(PDX) PAXF 1657モデル
Charles Riverからのメスnu/nuマウス(NU−Foxn1nu)は、0日目において、少なくとも8週齢であり、体重(BW)範囲は22.0〜30.0gであった。移植当日、腫瘍断片をヌードマウス内の異種移植から得た。ドナーマウスから取り出したのち、腫瘍を断片(3〜4mm辺長)に切断し、10%のペニシリン/ストレプトマイシンを含むPBS中に入れた。レシピエント動物をイソフルランの吸入により麻酔し、片側または両側の腹部に、腫瘍移植片を皮下移植した。
【0262】
動物及び腫瘍移植片は、それらの移植体積が、十分な数の動物において標的範囲の50〜250mmに接近していくところをモニタリングした。腫瘍は、ノギスを用いて二次元で測定し、以下の式に従って体積を計算した:
腫瘍体積(mm)=w×1/2
式中、w=腫瘍の幅、及び1=腫瘍の長さ(mm)である。
【0263】
無作為化の日を実験の0日目とした。実験1日目に、皮下PAXF 1657異種移植片を有するメスのnu/nuマウス(群平均腫瘍体積109.0〜110.1mm)を群に分け(群あたりn=8)、投与を開始した。投薬体積は、各動物個体の体重に比例して、体重20グラムあたり0.1mL(5mL/kg)であった。1日目に、全ての処置を、単回注射で静脈内(i.v.)投与した(qd×1)。腫瘍は、ノギスを用いて週に2回測定し、各動物を、腫瘍が終了体積2000mmに到達した時点で、または試験の終了日、いずれか先に訪れた時点で安楽死させた。試験は、42日目に終了した。ConjAの各単回投与(0.3、0.6および1mg/kg)は、試験終了時に腫瘍の完全な根絶をもたらした。
【0264】
得られた結果を図5に示すが、図中:
(外9)
はビヒクル単独であり;
(外10)
は1mg/kgで投与されたConjBであり;
(外11)
は0.3mg/kgで投与されたConjAであり;
(外12)
は0.6mg/kgで投与されたConjAであり;
(外13)
は1mg/kgで投与されたConjAである。
エラーバーはSEMを示す。垂直の点線は投与の開始を示す(1日目)。
【0265】
In vivo有効性試験−食道癌患者由来の異種移植(PDX) ES0195モデル
Beijing AniKeeper Bio−Technology Co. Ltd.からのメスのBalb/cヌードマウスは、試験開始時に、5〜6週齢であり、体重範囲は20.2〜24.6gであった。移植断片(氷冷無血清RPMI1640培地中直径2〜3mm)を24匹のメスBalb/cヌードマウスの右側腹部に皮下播種した。
【0266】
全ての動物を、3つの異なる試験群に無作為に割り当てた。0日目にStudy Logソフトウェアのマルチタスク法を用いて無作為化を行った。無作為化時の各群の平均腫瘍体積(mm)+SDは以下の通りであった:約141mm±47mm)。
【0267】
1日目に、全ての処置を、単回注射で静脈内(i.v.)投与した(qd×1)。試験期間中、体重を週に2回測定した。腫瘍は、週に2回測定した。試験は、投与開始後51日目に終了した。
【0268】
得られた結果を図6に示すが、図中:
(外14)
はビヒクル単独であり;
(外15)
は1mg/kgで投与されたConjAであり;
(外16)
は1mg/kgで投与されたConjBであり;
エラーバーはSEMを示す。垂直の点線は投与の開始を示す(1日目)。
【0269】
in vitroバイスタンダー活性試験
SN12CおよびKarpas−299細胞株におけるConjAおよびアイソタイプ対照ADC、ConjBのin vitro細胞毒性を比較した。Karpas−299はAXL陰性であり、SN12CはAXL陽性である。接着性SN12C細胞をトリプシン処理し、1mlの増殖培地に再懸濁し、穏やかに混合してから細胞密度を決定するため計数した。懸濁Karpas299細胞を前処理なしで計数した。細胞密度は、LUNA−II(商標)自動細胞計数器を用いてトリパンブルー排除アッセイにより複製して決定した。SN12C細胞懸濁液を細胞特異的増殖培地で1×10細胞/mlに希釈し、100μl/ウェルを滅菌白色96ウェル平底マイクロプレートに分注し、一晩インキュベートして細胞を接着させた。Karpas299細胞をADC適用と同一の日に播種した。
【0270】
20μg/mlの出発ADC濃度を用い、滅菌96ウェルポリプロピレンプレートにおいて細胞特異的増殖培地で希釈して、フィルター滅菌したADCの連続希釈液を1:10の比率で行い、繰り返して8回連続希釈液を作製した。ADC希釈液(原液を含む)を、100μlの播種細胞懸濁液を含む標識付き白色96ウェル平底プレートの2つの複製ウェルに、100μl/ウェルで分注した。培地対照ウェルについては、100μlの細胞増殖培地を2つの複製ウェルに分注し、細胞株対照ウェルについては、100μlの増殖培地を100μlの細胞懸濁液(予め分注されている)上に2つの複製ウェルに分注した。全てのプレートを37℃のCOガス(5%)インキュベーター中で5日間インキュベートした。アッセイは、両方の細胞株について同一の細胞播種密度およびインキュベーション時間を使用して実施した。1×10細胞/ウェルをそれぞれ5日間インキュベートした(これらの条件は、この試験のために以前に最適化されている)。
【0271】
5日間のインキュベーション期間の後、プレートを600G(20℃)で5分間遠心分離した後、100μlの播種したKarpas−299細胞(以前に分注された)を含む新たに調製した白色96ウェル平底プレートに100μl/ウェルを慎重に移した。全てのプレートを37℃のCOガス(5%)インキュベーター中で5日間インキュベートした。インキュベーション期間の後、プレートを600G(20℃)で5分間遠心分離した後、100μl/ウェルを慎重に取り出して廃棄し、細胞生存率をCellTiter−Glo(登録商標)アッセイを用いてウェル中の残りの培地で測定した。プレートを、ルミネセンスプロトコールを用いてEnvision上で読み、データをGraphpad Prismソフトウェアを用いて分析した。
【0272】
【表2】
【0273】
配列
配列番号1[1H12 VH、CDRは下線部]
(外17)
【0274】
配列番号2[1H12 VL、CDRは下線部]
(外18)
【0275】
配列番号3[1H12重鎖]
(外19)
N*はAsn297を示す。
【0276】
配列番号4[1H12軽鎖]
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSSGNFHWYQQKPGLAPRLLIYRTSNLASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSGYPWTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0277】
配列番号5[1H12 VH CDR1]
SYGMS
【0278】
配列番号6[1H12 VH CDR2]
TISSGGSYTYYPDSVKG
【0279】
配列番号7[1H12 VH CDR3]
HPIYYTYDDTMDY
【0280】
配列番号8[1H12 VL CDR1]
SASSSVSSGNFH
【0281】
配列番号9[1H12 VL CDR2]
RTSNLAS
【0282】
配列番号10[1H12 VL CDR3]
QQWSGYPWT
【0283】
配列番号11[マウス5F11 VH、CDRは下線部]
(外20)
【0284】
配列番号12[マウス5F11 VL、CDRは下線部]
(外21)
【0285】
配列番号13[5F11 VH CDR1]
RYWMS
【0286】
配列番号14[5F11 VH CDR2]
EINPDSSTINYTPSLKD
【0287】
配列番号15[5F11 VH CDR3]
PYYYGPFAY
【0288】
配列番号16[5F11 VL CDR1]
KASQSVSFAGTSLMH
【0289】
配列番号17[5F11 VL CDR2]
RASNLEA
【0290】
配列番号18[5F11 VL CDR3]
QQSREYPRT
【0291】
配列番号19[5F11 RHA]
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVAEINPDSSTINYTPSLKDRFAISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYYYGPFAYWGQGTLVTVS
【0292】
配列番号20[5F11 RHB]
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVAEINPDSSTINYTPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYYYGPFAYWGQGTLVTVS
【0293】
配列番号21[5F11 RHC]
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVSEINPDSSTINYTPSLKDRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYYYGPFAYWGQGTLVTVS
【0294】
配列番号22[5F11 RKA]
EIVLTQSPLSLPVTPGEPASISCKASQSVSFAGTSLMHWYLQKPGQSPQLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCQQSREYPRTFGQGTKVEIK
【0295】
配列番号23[ヒトAxl]
MAWRCPRMGRVPLAWCLALCGWACMAPRGTQAEESPFVGNPGNITGARGLTGTLRCQLQVQGEPPEVHWLRDGQILELADSTQTQVPLGEDEQDDWIVVSQLRITSLQLSDTGQYQCLVFLGHQTFVSQPGYVGLEGLPYFLEEPEDRTVAANTPFNLSCQAQGPPEPVDLLWLQDAVPLATAPGHGPQRSLHVPGLNKTSSFSCEAHNAKGVTTSRTATITVLPQQPRNLHLVSRQPTELEVAWTPGLSGIYPLTHCTLQAVLSDDGMGIQAGEPDPPEEPLTSQASVPPHQLRLGSLHPHTPYHIRVACTSSQGPSSWTHWLPVETPEGVPLGPPENISATRNGSQAFVHWQEPRAPLQGTLLGYRLAYQGQDTPEVLMDIGLRQEVTLELQGDGSVSNLTVCVAAYTAAGDGPWSLPVPLEAWRPGQAQPVHQLVKEPSTPAFSWPWWYVLLGAVVAAACVLILALFLVHRRKKETRYGEVFEPTVERGELVVRYRVRKSYSRRTTEATLNSLGISEELKEKLRDVMVDRHKVALGKTLGEGEFGAVMEGQLNQDDSILKVAVKTMKIAICTRSELEDFLSEAVCMKEFDHPNVMRLIGVCFQGSERESFPAPVVILPFMKHGDLHSFLLYSRLGDQPVYLPTQMLVKFMADIASGMEYLSTKRFIHRDLAARNCMLNENMSVCVADFGLSKKIYNGDYYRQGRIAKMPVKWIAIESLADRVYTSKSDVWSFGVTMWEIATRGQTPYPGVENSEIYDYLRRGNRLKQPADCLDGLYALMSRCWELNPQDRPSFTELREDLENTLKALPPAQEPDEILYVNMDEGGGYPEPPGAAGGADPPTQPDPKDSCSCLTAAEVHPAGRYVLCPSTTPSPAQPADRGSPAAPGQEDGA
【0296】
配列番号24[1H12重鎖]
(外22)
N*はAsn297を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]