【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のグラビア印刷版は、グラビア印刷に供するグラビア印刷版であって、前記グラビア印刷版の版面部と前記グラビア印刷版両サイドの版側面部とが交差する交差部の前記版面部側に、前記版面部より一段低い段差部が設けられ、前記版面部から前記段差部に至る角部は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する前記角部及び該角部に連なる段差部の一部は前記版面部と同等に平滑に仕上げられ、
前記段差部の段差面から前記版側面部に向けて曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連
なる、又は、角度を持って交わるように形成されており、前記交差部から前記版面部までの長さに対し前記交差部から前記版側面部までの長さが小さいことを特徴とする。
【0012】
本発明のグラビア印刷版は、グラビア印刷に供するグラビア印刷版であって、前記グラビア印刷版の版面部と前記グラビア印刷版両サイドの版側面部とが交差する交差部の前記版面部側に、前記版面部より一段低い段差部が設けられ、前記版面部から前記段差部に至る角部は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する前記角部及び該角部に連なる段差部の一部は前記版面部と同等に平滑に仕上げられ、
前記段差部の段差面から前記版側面部に向けて曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように形成されており、前記版面部と前記版側面部とが交わる交差部を
交差部から版面部までの長さと交差部から版側面部までの長さの、何れか長い方の長さを半径としてR部を設けた形状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し、前記段差部及び前記曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積が小さいことを特徴とする。
【0013】
本発明の一つ目は、グラビア印刷版のエッジの形状として、従来の版面部と版側面部に接する半径7mmから12mmR部を設け形成するものではなく、グラビア印刷版の版面部とグラビア印刷版両サイドの版側面部とが交差する交差部の版面部側に、前記版面部より一段低い段差部が設けられ、版面部から段差部に至る角部は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する角部及び該角部に連なる段差部の一部は版面部と同等に平滑に仕上げられ、
前記段差部の段差面から前記版側面部に向けて曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように形成されており、前記交差部から前記版面部までの長さに対し前記交差部から前記版側面部までの長さが小さいグラビア印刷版である。尚、エッジの形状を形成するには、いろいろな方法が有るが、版のエッジを芯材である鉄又はアルミのシリンダーの段階で機械切削により所望の形状に形成し、更に銅メッキを施した後、ドクター刃が接触する角部及び該角部に連なる段差部の一部は版面部と同等に砥石研磨又はペーパー研磨又はバフ研磨などにより平滑に仕上げれば良い。
【0014】
前段落で説明したグラビア印刷版とすることで、グラビア印刷版の版側面部の面積は大きくなりグラビア印刷版を立てて置かれた場合の転倒を少なくなるものである。因みに、通常グラビア印刷版は立てて置かれており、倉庫などで保管する時は何本かを縛って保管又は何十本かを区切られたスペースに保管される。印刷職場においては、グラビア印刷版を使用する前後において1本で立てて置かれる。従っていずれの場合においても床面への版側面接地面積が大きくなることにより、転倒防止の一助となるものである。
【0015】
グラビア印刷版を移動する場合、長い距離を移動する時はパレットにクッション材を敷きグラビア印刷版を横に倒して移動するが、印刷職場内やグラビア印刷版倉庫からパレットまでは、グラビア印刷版を10度程度傾け回転させて移動する。
【0016】
図3には、グラビア印刷版を床面に立てて、10度の角度で傾けた時の曲面部が床面との接点(17)を★印で示した。従来のグラビア印刷版のR部形状のエッジの場合と本発明の段差部を形成したエッジの場合で、床面との接点(17)の位置は異なが、傾け回転させて移動する際の問題はない。
図3には従来のR部()での10度傾けた時の床面との接点(17)と本発明のエッジの形状の曲面部(13)での10度傾けた時の床面との接点(17)とを記している。
【0017】
本発明の二つ目は、グラビア印刷版のエッジの形状として、従来の版面部と版側面部に接する半径7mmから12mm程度のR部を設け形成するものではなく、グラビア印刷版の版面部とグラビア印刷版両サイドの版側面部とが交差する交差部の版面部側に、前記版面部より一段低い段差部が設けられ、版面部から段差部に至る角部は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する角部及び該角部に連なる段差部の一部は版面部と同等に平滑に仕上げられ、
前記段差部の段差面から前記版側面部に向けて曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように形成されており前記版面部と前記版側面部とが交差する部位を
交差部から版面部までの長さと交差部から版側面部までの長さの、何れか長い方の長さを半径としてR部を設けた形状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し前記段差部及び前記曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積が小さいグラビア印刷版であり、角を取り削除されたエッジ部分に溜まる印刷インキが少ないグラビア印刷版である。尚、エッジの形状を形成するには、いろいろな方法が有るが、版のエッジを芯材である鉄又はアルミのシリンダーの段階で機械切削により所望の形状に形成し、更に銅メッキを施した後、ドクター刃が接触する角部及び該角部に連なる段差部の一部は版面部と同等に砥石研磨又はペーパー研磨又はバフ研磨などにより平滑に仕上げれば良い。
【0018】
前段落で説明したグラビア印刷版のようにすることで、グラビア印刷版両サイドの角取りがされたエッジとドクター刃との間に溜まるインキを少なくすることで、エッジよりインキの飛散を防止して、インキ飛びと言われる品質不良を防ぐと共にグラビア印刷機の両サイドの回転シャフト、印刷機フレーム、床面等を汚すことによる清掃等の作業負荷を少なくする若しくは無くすものである。因みに、印刷速度が早ければインキ飛散は激しくなるが、版エッジへのインキ付着量を少なくすることによりインキ飛散を削減することができる。
【0019】
本発明のグラビア印刷版のエッジの形状及び名称を
図3に示し説明する。尚、
図3は、
図1に示したイーイの断面部分を拡大した概念図である。本発明の段差部を設けたグラビア印刷版のエッジの1例を
図3に示す。(尚、
図4から
図11においても、
図1に示したイーイの断面部分を拡大した概念図である。)
【0020】
図3は、グラビア印刷版のエッジを拡大した断面概念図であり、従来の版面部(1)と版側面部(2)に接するR部(3)の形状を細かい破線で示している。本発明のエッジの形状は、グラビア印刷版の版面部(1)とグラビア印刷版両サイドの版側面部(2)とが交差する交差部(10)の版面部(1)側に、版面部(1)より一段低い段差部(9)が設けられ、版面部(1)から段差部(9)に至る角部(11)は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する角部(11)及び該角部(11)に連なる段差部(9)の一部は版面部(1)と同等に平滑に仕上げられ、
段差部(9)の段差面から版側面部(2)に向けて曲面部(13)が設けられ、段差部(9)の段差面は曲面部(13)と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように設けられている。
【0021】
交差部(10)から版側面部(2)までの長さが、交差部(10)から版面部(1)までの長さより小さくしたエッジを有するものである。
【0022】
また、本発明のグラビア印刷版のエッジの形状は、版面部(1)から版側面部(2)に至る任意に選択された直線や円弧を描く曲線から選択され形成される。
【0023】
本発明のエッジは、版面部(1)に連なる円弧に形成せれる角部(11)、直線や円弧を描く曲線で形成された段差部(9)、段差部(9)の端部(12)、端部(12)より延びる版側面部(2)に接する曲面部(13)で形成される。従って段差部とは、グラビア印刷版のエッジより曲面部(13)を除く部位の総称でもある。また、段差とは、段差部(9)から版面部(1)までの垂線が段差の高さ(版の中心軸から段差部と版面部の高低差)である。
【0024】
図4は、グラビア印刷版のエッジを拡大した断面概念図であり、版面部(1)と版側面部(2)に接するエッジである従来のR部(3)の形状を細かい破線で示している。本発明のエッジの形状は、グラビア印刷版の版面部(1)とグラビア印刷版両サイドの版側面部(2)とが交差する交差部(10)の版面部(1)側に、版面部(1)より一段低い段差部(9)が設けられ、版面部(1)から段差部(9)に至る角部(11)は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃(6)が接触する角部(11)及び該角部(11)に連なる段差部(9)の一部又は全ては版面部(1)と同等に平滑に仕上げられ、段差部(9)の端部(12)から版側面部(2)に向けて、
曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように形成されており、版面部(1)と版側面部(2)とが交差する部位を
交差部から版面部までの長さと交差部から版側面部までの長さの、何れか長い方の長さを半径としてR部を設けた形状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し前記段差部(9)及び前記曲面部(13)よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積を小さくすることにより、削除されたエッジ部分に溜まる印刷インキが少ないグラビア印刷版である。
【0025】
交差部(10)から版側面部(2)までの長さが、交差部(10)から版面部(1)までの長さより小さいエッジを有するものである。従って、本発明のエッジ(16)は版面部(1)から版側面部(2)に至る円弧に形成せれた段差部(9)に含まれる角部(11)、段差部(9)、段差部(9)の端部(12)、曲面部(13)で形成されるものであり、段差部(9)とは、角部(11)から端部(12)に至る部分を呼ぶものである。また、段差の深さ(23)(若しくは高さ若しくは長さ)としては、エッジを形成する版面部(1)の位置から段差部(9)までの垂線の最大の高低差を持って段差の深さ(23)とする。
【0026】
図5をもって、本発明のエッジを形成する版面部(1)の位置から段差部(9)までの垂線の高低差(段差の深さ(23))及び段差部(9)及び曲面部(13)の形状に角取りされた本発明のグラビア印刷版のエッジの断面積(18)について説明する。
【0027】
図5において、斜線で示した部分が本発明の段差部(9)及び曲面部(13)の形状に角取りされたエッジの断面積(18)である。従来使用されているR部形状のエッジの断面と比較すると
R部エッジと本発明エッジとの交点(19)の角部(11)と交点(19)で囲む面積(20)(太矢印さす)は、本発明の断面積(18)に加算されるが、R部エッジと本発明エッジとの交点(18)と R部と版側面部が交わる角部(15)と曲面部と版側面部が交わる角部(14)と段差部の端部(12)で囲む面積(21)を除算することができる。明らかに前者の面積は、後者の面積よりちいさなものであり、本発明のエッジの断面積(18)は、エッジをR部(3)とした断面積より小さなものとなる。
【0028】
また、グラビア印刷版の版面部のドクター刃はインキを掻き取るため加圧しており、加圧によりドクター刃は湾曲した状態(タワミ)になるが、エッジにおいてはドクター刃のタワミは少なくなり、ドクター刃は徐々に平面となる。ドクター刃の刃先(22)は版面部から段差部に近くなることで、前記前者の面積は、前記後者の面積の面積差は大きくなる。ドクター刃の刃先(22)形状を2点破線で示す。
【0029】
ドクターの刃先と本発明の段差部及び曲面部からなるエッジとの間に溜まるインキは、従来のR部を設けたエッジとの間に溜まるインキに対し、少なくする(数分の一程度に)ことができることで、版エッジからのインキ飛散を防止できるものである。
【0030】
本発明のグラビア印刷版に設けるエッジについて1例を持って説明を行ったが、エッジの形状においては、種々の形状を提案することができる。グラビア印刷においては、使用するドクター刃は画一的なものではなく、ドクター刃の弾性・硬さ・厚み、表面加工の有無等などで選択され、また、ドクター刃を使用する条件としては、版面への加圧力・版面への接触角度・ドクターホルダーから刃先までの距離、ドクター刃に沿わす厚刃当て板の寸法等使用条件は様々であり本発明のグラビア印刷版のエッジの形状は諸条件により適切かつ任意に選択すればよい。
【0031】
本発明者は、グラビア印刷版のエッジ近傍でドクター刃の加圧を弱くする発明(特許第6056112号)をしており、本方法を併用する場合は、版面とこれに連なるエッジでドクター刃の形状の変化は異なったものとなるが、適宜エッジの形状を変えれば良い。
【0032】
図6から
図11に、
図3のエッジの形状と異なる本発明の別なエッジの形状について、概念図を示すと共に簡単な説明を行う。
【0033】
図6は、版面部(1)より段差部(9)の一部としてR部(3)形状のエッジ設け、ドクター刃の刃先(22)がR部(3)を離れる少し先の位置よりドクター刃が弾性によるタワミがなくなっていくドクター刃の刃先(22)の形状に合せて段差部(9)を形成し、段差部(9)の端部(12)より版側面部(2)に伸びる曲面部(13)を設けたものである。更に段差部(9)の端部(12)と曲面部(13)の境界は角取りを行なっている。これにより、従来使用されているR部(3)の場合に比べ交点部(10)から版側面部(2)までの長さは、1/3程度になりグラビア印刷版を立てた時の版側面部(2)の接地面積は大きくなり安定性は良くなっている。また、本形状で作成したエッジの断面積は、R部(3)によるエッジの断面積の1/2程度となっている。
【0034】
段差部(9)とドクター刃の刃先(22)が接触する範囲(24)を太カッコで示す。ドクター刃の刃先(22)を当てた場合は、本発明のエッジ(16)との間の断面積は1/4程度にすることができ、この間を通過するインキ量を大幅に減らすことができる。
【0035】
図7は、版面部(1)より斜めの直線状の段差部(9)を設け、ドクター刃が斜めの直線状段差部(9)を離れる少し先の位置より、段差部(9)を版面部(1)と平行な面として、段差部(9)の端部(12)より版側面部(2)に伸びる曲面部(13)を設けたものである。更に段差部(9)の端部(12)と曲面部(13)の境界は角取りを行なっている。
これによりR部(3)形状のエッジと比べ、交点部(10)から版側面部(14)までの長さは、1/3以下程度になりグラビア印刷版を立てた時の版側面(2)の接地面積は大きくなり安定性は良くなっている。ただ曲面部(13)の半径はR部(3)の半径より小さくしている。また、本形状で作成したエッジの断面積は、R部(3)による断面積の1/2程度となっている。
【0036】
段差部(9)とドクター刃の刃先(22)が接触する範囲(24)を太カッコで示す。ドクター刃の刃先(22)を当てた場合は、本発明のエッジ(16)との間の断面積は1/4程度にすることができ、この間を通過するインキ量を大幅に減らすことができる。本形状での欠点は、段差部(9)とドクター刃の刃先(22)と接触する幅が広く版面と同等の平滑面に仕上げる負荷が大きくなる点である。
【0037】
図8は、版面部(1)より斜めの直線状の段差部(9)を設け、ドクター刃が斜めの直線状の段差部(9)を離れ少し先の段差部(9)の端部(12)より版側面部(2)に伸びる曲面部(13)を設けたものである。更に段差部(9)の端部(12)と曲面部(13)の境界は角取りを行なっている。
これによりエッジがR部(3)の形状の場合に比べ交点部(10)から版側面部(2)までの長さは、1/3以下程度になりグラビア印刷版を立てた時の版側面(2)の接地面積は大きくなり安定性は良くなっている。ただ、曲面部(13)の半径は従来のグラビア印刷版のR部の半径より小さくしている。また、本形状で作成したエッジの断面積は、R部(3)による断面積の1/2程度となっている。
【0038】
段差部(9)とドクター刃の刃先(22)が接触する範囲(24)を太カッコで示す。ドクター刃の刃先(22)を当てた場合は、本発明のエッジ(16)との間の断面積は1/4程度にすることができ、この間を通過するインキ量を大幅に減らすことができる。本形状での欠点は、段差部(9)とドクター刃の刃先(22)と接触する幅が広く版面と同等の平滑面に仕上げる負荷は、
図7の形状より少ない。
【0039】
図9は、
図8の段差部(9)の端部(12)より側面部に伸びる曲面部(13)半径を大きくした点が異なる。エッジ形状の起点は、従来使用されているR部(3)の起点と同じであり、グラビア印刷版を立てた時の版側面(2)の接地面積は同じである。また、本形状で作成したエッジの断面積は、
図8と比較して広くなるが、従来使用されているR部(3)の場合に比べ、断面積は1/2程度となっており、ドクター刃の刃先(22)を添わせた場合にインキを溜める断面積は1/4程度となる。本形状は、段差部(9)を版面部(1)と同等の平滑面に仕上げる負荷は、
図8の形状と同じである。
【0040】
図10は、版面部(1)から段差部(9)になる最初に位置に小さな円弧の平滑面を設け、ドクター刃の刃先(22)は該小さな円弧にだけ接触し、円弧から離れドクター刃の刃先(22)のタワミ少なくなりドクター刃は徐々に平面となるが、このドクター刃の刃先(22)の形状の合わせドクター刃の刃先(22)と本発明のエッジが接触しないようにエッジの形状を設けている。このようなエッジとすることで、版面部から(1)段差部(9)となる小さな円弧だけを版面部(1)と同様に平滑な状態にすれば良く、また、ドクター刃の刃先(22)の形状に合わせて、ドクター刃に接触しない小さな円弧に連なる段差部(2)を設けたエッジの形状であり、段差部(9)の端部(12)より版側面部(2)に連なる曲面部(13)を設けている。
【0041】
図10は、ドクター刃の刃先(22)が、段差部(9)と接触する範囲は(24)小さな円弧に接触するだけであり、ドクター刃の刃先(22)が小さな円弧に強く加圧されないように、先に記述した特許第6056112号を併用することができる。
【0042】
図3から
図10で従来のエッジ形状と比較して、本発明の特徴であるグラビア印刷版のエッジ形状は[交差部から版面部までの長さに対し、交差部から版側面部までの長さが小さいこと]について、
図9を除き満たしている。
【0043】
また、
図3から
図10で従来のエッジ形状と比較して、本発明の特徴であるグラビア印刷版のエッジ形状は[版面部と版側面部とが交差する部位をR状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し、段差部及び曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積が小さいこと]について全ての図が満たしている。
【0044】
図4は、
図10と比較して大きな円弧を設けているが、円弧に接触する部分のドクターの刃先(22)のドクター加圧変化は緩やかになるものである。円弧に接触する幅が広くなるため平滑な面を設けるのに少し負荷が多くなる。
図4から
図10を持って、本発明のエッジの形状について説明したが、本発明のエッジの形状は、これらの形状に限定されるものではない。
【0045】
グラビア印刷版の両端部には、R部と呼ばれ半径7mmから12mmの4分の1円周の角取りが施されているが、目的は、1)、版面部を床面より高くすることで版面への傷を防止する。2)、版側面に曲面部を設け移動や運搬時にグラビア印刷版を10度程度傾けて回転して移動、運搬を容易にする。の2点が考えられる。
【0046】
また、
図3から
図10のおいては、一般的に使用されているR部の半径として10mmを想定して図示しているが、R部の半径はこれの限定されることはなく、任意に選ばれる半径で有ってよい。
【0047】
このR部の形状、寸法については、何十年も前から変わることなく受け継がれているが、印刷職場や製版職場の床面の凹凸は改善され、又床面には樹脂コートやステンレス板貼りまた、製版職場やグラビア印刷版の保管場所に置いてはゴムシートを床面に敷くなどの改善が図られ版面を損傷することに対して改善がされている。
【0048】
従って、本発明において、グラビア印刷版を立てて置く場合の床面よりから版面部までの長さ(交点部から版面部までの長さ)は2mm以上であればよく、従来のR部に使用されている半径7mmから12mmに限定されるものではない。
【0049】
従って、本発明のエッジの形状は、
図11に示すものであってもよい。
図3から
図10は段差部の一部に直線部が設けられていたが、
図11では、段差部から直線の部分をなくし交点部から版面部までの長さを短くしている点に特徴がある。これにより、段差部及び曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積は、更に小さなものとすることができる。このような形状にすることで、削除されたグラビア印刷版のエッジ部分に溜まる印刷インキが少なくなり版エッジからのインキ飛散を防止できるものである。
【0050】
図11は、
図5の版面部(1)から段差部(9)になる最初に位置に小さな円弧の平滑面を版側面側に移動し、版側面部(2)に連なる曲面部(13)と繋げている。繋げた位置が段差部(9)の端部(12)となるのであるが、曲面同志を滑らかにして端部(12)が解らない場合は、明確に端部(12)を示すことは難しく、ドクター刃の刃先(22)が段差部(9)になる最初に位置に小さな円弧の平滑面から離れる位置と、版側面部(2)に連なる曲面部(13)の床面に接触しない位置の間に、段差部(9)の端部(12)が有るとすればよい。
図11には、比較のために
図5の段差部(9)を一点破線で示している。尚、
図11、
図5の曲面部(13)は、同じ形状である。また、
図11にも[破線で囲む部分にエッジを設ける]としてエッジを形成する範囲を破線で示しているが、版面部及び版側面部から交差部までの長さは共に短くなっており、交差部を含む破線で示す長方形の範囲が本発明の段差部と曲面部からなるエッジを形成する範囲である。
【0051】
図11を例にして本発明の特徴について説明をすれば、交差部から版面部までの長さと交差部から版側面部までの長さの、何れか長い方の長さの半径をもって、版面部と版側面部とが交差する部位をR状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し、段差部及び曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積が小さいエッジであれば本発明に該当するグラビア印刷版である。
【0052】
本発明のグラビア印刷方法は、グラビア印刷版の版面部と前記グラビア印刷版両サイドの版側面部とが交差する交差部の前記版面部側に、前記版面部より一段低い段差部が設けられ、前記版面部から前記段差部に至る角部は円弧に形成され、且つグラビア印刷でドクター刃が接触する前記角部及び該角部に連なる段差部の一部は前記版面部と同等に平滑に仕上げられ、
前記段差部の段差面から前記版側面部に向けて曲面部が設けられ、前記段差部の段差面が前記曲面部と滑らかに連なる、又は、角度を持って交わるように形成されており、前記交差部から前記版面部までの長さに対し前記交差部から前記版側面部までの長さが小さい、及び
、又は、前記版面部と前記版側面部とが交差する部位を
交差部から版面部までの長さと交差部から版側面部までの長さの、何れか長い方の長さを半径としてR部を設けた形状に角を取り削除されたエッジの断面積に対し前記段差部及び前記曲面部よりなる形状に角を取り削除されたエッジの断面積が小さいグラビア印刷版を使用することを特徴とする。
【0053】
グラビア印刷版の両端部には、R部と呼ばれ半径7mmから12mmの4分の1円周の角取りが施されているが、目的は、1)、版面部を床面より高くすることで版面への傷を防止する。2)、版側面に曲面部を設け移動や運搬時にグラビア印刷版を10度程度傾けて回転して移動、運搬を容易にする。の2点が考えられる。
【0054】
本発明は、前段落の特徴を残し、印刷品質向上、印刷機の汚れ防止、グラビア印刷版の転倒防止を図ったグラビア印刷方法である。
【0055】
本発明のグラビア印刷版を使用したグラビア印刷方法により、ドクター刃の刃先と段差部の間を通過するインキ量を少なくすることにより、グラビア印刷版の両端部分からのインキ飛散を少なくすることで、品質不良であるインキ飛びによる意匠の欠点、及びグラビア印刷版を保持するシャフト軸やグラビア印刷機のフレームの汚れを防止することができ、印刷品質の向上、及び清掃負荷の低減が図れるものである。
【0056】
また、グラビア印刷版は、版倉庫において立てた状態で50本程度ごとに縛って保管、または50本程度の仕切られた区画で保管するが転倒の可能性があること、印刷職場においてもグラビア印刷版は立てた状態で準備されるが転倒の可能性がある。グラビア印刷版の転倒を少しでも少なくするために、版側面部の面積を大きくして床置き時の安定性を高めたものである。