(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記窪み部の上面に沿った形状であって内部に水を満たして冷却して氷袋となる樹脂製の袋であって前記窪み部に着脱自在に装着する冷媒袋を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の芳香蒸留水生成装置。
さらに、水を満たして前記プレートの下部に載置してあり加熱により水蒸気を発生させる透明な水蒸気発生容器を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の芳香蒸留水生成装置。
さらに、前記プレートと前記芳香蒸留水回収容器との間に着脱可能に載置する台座であって、回収する芳香蒸留水の量に応じた高さの台座を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の芳香蒸留水生成装置。
さらに、前記プレートの上面に重ねて着脱可能に載置する保護部材であって、前記穴より細かい網目である保護部材を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の芳香蒸留水生成装置。
前記筒部内において前記芳香蒸留水回収容器の周りに処理対象物を載置するステップの代わりに、内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器を加熱装置の上に載置するステップの次に、前記水蒸気発生容器内の水に処理対象物を投入するステップを含むことを特徴とする請求項8記載の芳香蒸留水生成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたような従来の方法では、構造も操作も複雑で、しかも大掛かりであり、一般家庭において利用しにくかった。また、特許文献2、3に記載されたような従来の装置では、抽出液を外部へ滴下させて取り出す必要があり、理化学機器用の構造で、蒸留釜の外側から採集する構造と相まって、日常生活で使用するには負担が大きく、コンパクト性にも優れないという問題があった。また、特許文献4に記載されたような従来の装置では、水蒸気蒸留釜の内部で捕集でき構造は比較的簡単であるものの、理化学機器用の構造で、組立が難しく、蒸留が目的の容器ではないため安定的で簡便な採取ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を鑑み、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする芳香蒸留水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、従来業務用の大量生産方式で行われていた水蒸気を利用した蒸留を、家庭の調理の一環で利用することができないか、試行錯誤し、希少な精油ではなく大量の収穫できる芳香蒸留水に特化し、家庭で使用する鍋のサイズに集約化した構造で、花、植物、野菜、動物材料から簡単に芳香成分を取り出すことを考え、家庭で使用できる鍋と蓋の間に、筒状部を設けることによって、上記の上昇を確保でき、上部の蓋部分で氷等により強制的に冷却すれば、大型の蒸留器のように芳香成分を捕獲できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の第1の態様は、水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴を多数設けてあるプレートと、
前記プレートの上側周縁部分に載置する筒部と、
前記筒部の上端に着脱可能に載置する鍔部を有し中央を窪ませた窪み部を有する逆錐形の蓋となる形状であって、処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を前記窪み部の下面側の凝結面に接触させて冷却して凝結させ、芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる冷却部と、
前記プレートの上側中央部分に載置し、前記冷却部の下部中央部分から滴下する前記芳香蒸留水を受け止める芳香蒸留水回収容器と、
を有することを特徴とする芳香蒸留水生成装置を提供する。
【0008】
本願において、「芳香蒸留水」には、処理対象物を水蒸気に当てて、あるいは、処理対象物を煮沸して、揮発成分を抽出させて水蒸気とともに冷やして得られる液体を含む。揮発成分には芳香成分が含まれる。芳香蒸留水に含まれる芳香成分は、精油ほど多くは含まないが、その分作用が穏やかなため、ルームスプレー・リネンスプレー等、部屋やファブリック用の芳香剤としての利用の他、アロマや、化粧水、ヘアウォーター、飲用等としても利用できる。芳香蒸留水は、ハイドロゾル、フローラルウォーター、ハーブウォーターとも言われるが、精油に比べて芳香成分の割合は低く、しかしハーブ浸出液のように煮出したり浸したりして得られる液よりは芳香成分の割合は高く、精油をアルコールや水に加えた溶液や、蒸留水やグリセリンに精油を混ぜたものとも、製法や性質が異なる。
【0009】
本願発明においては、処理対象物には、植物の花や葉、枝、根、実などが含まれ、バラの花びらやラベンダーの花、レモングラスの葉のように芳香性で知られているものの他、果物や野菜も含まれ、さらに、植物材料以外に動物材料等も含ませることができ、肉塊や魚貝などからも、芳香成分を含む芳香蒸留水を得ることも可能である。
【0010】
処理対象物は、筒部内において芳香蒸留水回収容器の周りに載置して蒸してもよいし、水蒸気発生容器内の水に投入して煮沸してもよい。蒸す場合も煮沸する場合も、装置の組み立て方は同じであるので、操作が簡単である。
【0011】
前記プレートのサイズは、家庭用の鍋の上で使用できる程度の大きさであることが好ましい。例えば、直径が20cm以上40cm以内であることが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。また、水蒸気の冷却及び回収を同じ空間内で行うことができ、銅製の冷却部で急冷するため、芳香蒸留水の回収率が高く、多様な芳香成分の捕獲を可能とする。
【0013】
前記冷却部が銅製で、前記筒部が透明なガラス製であることが好ましい。冷却効率が飛躍的に高く、回収状況が筒部の外側から一目で把握できる。
【0014】
前記冷却部が、前記鍔部の上部に、前記窪み部を取り囲むリング部を接着してあることが好ましい。
【0015】
さらに、前記窪み部の上面に沿った形状であって内部に水を満たして冷却して氷袋となる樹脂製の袋であって前記窪み部に着脱自在に装着する冷媒袋を有することが好ましい。
【0016】
また、さらに、水を満たして前記プレートの下部に載置してあり加熱により水蒸気を発生させる透明な水蒸気発生容器を有することが好ましい。
【0017】
また、さらに、前記プレートと前記芳香蒸留水回収容器との間に着脱可能に載置する台座であって、回収する芳香蒸留水の量に応じた高さの台座を有することが好ましい。
【0018】
また、さらに、前記プレートの上面に重ねて着脱可能に載置する保護部材であって、前記穴より細かい網目である保護部材を有することが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様は、内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器を加熱装置の上に載置するステップ、
前記水蒸気発生容器の上に、水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴を多数設けてあるプレートを載置するステップ、
芳香蒸留水回収容器を前記プレートの上側中央部分に載置するステップ、
前記芳香蒸留水回収容器を囲うように筒部を載置するステップ、
前記筒部内において前記芳香蒸留水回収容器の周りに処理対象物を載置するステップ、
前記筒部の上端に着脱可能に載置する鍔部を有し中央を窪ませた窪み部を有する逆錐形の蓋となる形状であって前記処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を下面側の凝結面に接触させて冷却して凝結させ芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる冷却部を予め水を満たして凍らせてから前記筒部の上に載せるステップ、
前記加熱装置により前記水蒸気発生容器内の水を加熱して、前記冷却部の下部中央部分から滴下する前記芳香蒸留水を前記芳香蒸留水回収容器に受け止めて芳香蒸留水を集水するステップ、を含むことを特徴とする芳香蒸留水生成装置を提供する。
【0020】
また、前記筒部内において前記芳香蒸留水回収容器の周りに処理対象物を載置するステップの代わりに、内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器を加熱装置の上に載置するステップの次に、前記水蒸気発生容器内の水に処理対象物を投入するステップを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の芳香蒸留水生成装置によれば、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の芳香蒸留水生成装置の好ましい実施形態について、実施例を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置の概略図である。
図2は、本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置の組み立て図である。
図3は、本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置の冷却部の概略図である。
図4は、本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置のプレート上の配置を示す概略図である。本実施例は、
図1〜
図4に示したように、(a)水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴21を多数設けてあるプレート2と、(b)プレート2の上側周縁部分に載置する透明な筒部3と、(c)筒部3の上端に着脱可能に載置する鍔部42を有し中央を窪ませた窪み部43を有する逆錐形の蓋となる形状であって、処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を窪み部43の下面側の凝結面41に接触させて冷却して凝結させ、芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる銅製の冷却部4と、(d)プレート2の上側中央部分に載置し、冷却部4の下部中央部分から滴下する芳香蒸留水を受け止める芳香蒸留水回収容器5と、を有する。
【0025】
プレート2は、本実施例ではステンレス製であるが、銅製や他の金属製であってもよく、竹製や他の木製、ガラス製、陶器製であってもよい。また、
図2に示した本実施例のように、周囲が立ち上がった形状にして筒部3が滑り落ちないようにしてあることが好ましい。
【0026】
冷却部4は、本実施例では銅製であるので、熱伝導率が高く、凝結面での冷却効率が高い。冷却効率を犠牲にすれば、他の金属製であってもよく、ガラス製、陶器製であってもよい。
【0027】
冷却部4は、本実施例では、
図3に示したように、中央を窪ませた窪み部を有する逆円錐形であるが、中央を窪ませた窪み部を有するならば逆三角錐形や逆四角錐形であってもよい。冷却部4が蓋の役割を果たすため、揮発成分の拡散を防止し、冷却部の逆円錐形の形状により中央に芳香蒸留水を集めることができ、回収量の高めることができる。
【0028】
芳香蒸留水回収容器5は、本実施例では目盛りのついたガラス製ビーカーであるが、ガラス製コップでもよく、陶器製、金属製であってもよい。また、芳香蒸留水回収容器5が目盛りがある透明なガラス製である場合、筒部3の外から目視で芳香蒸留水の量が分かり易いように、浮きを入れておいてもよい。また、本実施例では、
図4に示したように、芳香蒸留水回収容器5は、容器載置皿51の上に載置されている。処理対象物は、容器載置皿51を取り囲むようにプレート2の上に敷き詰める。
【0029】
本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置は、さらに、水を満たしてプレート2の下部に載置してあり、加熱により水蒸気を発生させる透明な水蒸気発生容器10を有する。水蒸気発生容器10は耐熱ガラス製が好ましい。水蒸気発生容器10は透明であるので、水の残量が分かるので、空焚きの心配がない。水蒸気発生容器10の下には、加熱装置を設置する。加熱装置は、カセットコンロや台所のガス台でもよいが、IHコンロなど、安全性の高い加熱装置が好ましい。IH調理器を利用する場合、水蒸気発生容器10の中に、熱伝達用金属プレートを入れて使用する。なお、水蒸気発生容器10の代わりに、家庭にある鍋を利用してもよい。鍋の種類は、耐熱ガラス製の他、ホウロウやアルミ製、鉄製、ステンレス製、陶器製、あるいはフッ素加工の鍋でもよい。家庭用鍋の蓋は使用しない。加熱装置と鍋の組合せによっては、鍋の中に熱伝達用金属プレートを入れて使用する。プレート2のサイズは、本実施例では、直径30cmであり、特に制限はないが、家庭用の鍋の上で使用できる程度の大きさ、具体的には、直径が20cm以上40cm以内であることが好ましい。家庭にある鍋を利用することで、一般家庭でも、手軽に低コストで芳香蒸留水を大量に得ることが出来る。
【0030】
本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置では、使用時に、冷却部4の窪み部43に氷9を投入する。冷却部4は銅製で熱伝導率が高いため、処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を効率よく冷やすことができる。氷9に氷以外の冷却材料を混ぜたり、氷の代わりに他の冷却材料を使用してもよい。冷却材料には、冷却溶媒や鉱石、金属を使用してもよい。
【0031】
本実施例では、蒸気発生容器10、その上にプレート2を介して積層された筒部3、筒部3の上に載せて蓋となる冷却部4の3層構造であり、芳香物質の回収を構造の内部で行うものである。
【0032】
本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置では、図示していないが、温度計が冷却部4の鍔部42に設けてある。捕集の効率を上げるには、開始時に冷却部4の温度が5℃以下であることが好ましい。本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置では、温度計で冷却部4の温度を測定できるため、冷却部4の温度が所定温度以上となったら、加熱を弱めたり、窪み部43内に氷を追加したりする等、温度管理を行うことができる。
【0033】
本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置では、筒部3は、透明な耐熱性ガラスである。本実施例によれば、内部に載置した芳香蒸留水回収容器5の回収具合を、常に蓋を開けることなく外側から確認できるので、作業に慣れていなくても、芳香蒸留水回収容器5から芳香蒸留水が溢れて無駄になることを防止できる。処理対象物によって抽出時間は異なり、例えばペパーミントはローズと比べると、同じ量の芳香蒸留水を得るのに長時間かかるが、内部を見ることができるので、途中で蓋を開けてしまって回収効率が落ちることを防止できる。
【0034】
筒部3は、高さが高いものから低いものまで2種以上あることが好ましい。芳香蒸留水回収容器5が冷却部4にぶつからない程度の高さであって、回収する芳香蒸留水の量に合わせて選択して使用することができる。筒部3は、ガラス製の他、視認性を犠牲にすれば、陶器製や金属製でもよい。
【0035】
本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置による第1の芳香蒸留水生成方法は、(a)内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器10を加熱装置11の上に載置するステップ、(b)水蒸気発生容器10の上に、水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴21を多数設けてあるプレート2を載置するステップ、(c)芳香蒸留水回収容器5をプレート2の上側中央部分に載置するステップ、(d)芳香蒸留水回収容器5を囲うように透明な筒部3を載置するステップ、(e)筒部3内において芳香蒸留水回収容器5の周りに処理対象物を載置するステップ、(f)筒部3の上端に着脱可能に載置する鍔部42を有し中央を窪ませた窪み部43を有する逆錐形の蓋となる形状であって処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を下面側の凝結面41に接触させて冷却して凝結させ芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる銅製の冷却部4に氷9を満たして筒部3の上に載せるステップ、(g)加熱装置11により水蒸気発生容器10内の水を加熱して、冷却部4の下部中央部分から滴下する芳香蒸留水を芳香蒸留水回収容器5に受け止めて芳香蒸留水を集水するステップ、を含む。
【0036】
加熱された水は、やがて水蒸気となり、処理対象物を温め、処理対象物内の揮発成分を蒸発させる。蒸発した揮発成分は水蒸気と共に凝結面41に接触して冷却され、冷却部4の下部中央部分に導かれ、芳香蒸留水回収容器5内に滴下する。
【0037】
本方法によれば、場所を取らず、簡単に組み立てて、簡単な操作だけで、容易に芳香成分の捕獲ができる。また、芳香蒸留水の回収率が高く、多様な芳香成分の捕獲を可能とする。
【0038】
{効果}
本実施例の芳香蒸留水生成装置によれば、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。本実施例によれば、芳香成分のうち、主に芳香蒸留水を、家庭の台所などの狭いスペースでも短時間で大量に抽出することができる。また、本実施例により回収した芳香蒸留水には、トップノートの香りが比較的多く含まれ、またその残留時間も長いので、フレッシュさが強く持続できる。
【0039】
本実施例の芳香蒸留水生成装置により抽出した芳香蒸留水は、ルームスプレー・リネンスプレー等、部屋やファブリック用の芳香剤としての利用の他、アロマや、化粧水、ヘアウォーター、飲用等としても利用できる。また、動物材料も処理対象物にすることができるので、フレーバースプレー等、食材に香りを添加することができ、例えば、カツオの香りをスープに添加したり、サラダに肉やハーブの香りを添加したり、アイスクリームに苺の香りを添加したり、マリネを作る時に出しの香りを添加する等にも利用できる。また、月桃の香りを含む芳香蒸留水を生成してゴキブリ退治に利用したり、タイムやペパーミントやユーカリやローズマリーなどの清涼感や殺菌作用のある香りを含む芳香蒸留水を生成してうがい薬に利用して介護や病気の予防に役立てることもできる。
【実施例2】
【0040】
図5は、本発明の実施例2の芳香蒸留水生成装置の冷媒袋の交換方法を示す第1の模式図である。
図6は、本発明の実施例2の芳香蒸留水生成装置の冷媒袋の交換方法を示す第2の模式図である。本実施例では、
図5に示したように窪み部43の上面に沿った形状であって内部に水を満たして冷却して氷袋となる樹脂製の袋であって窪み部43に着脱自在に装着する冷媒袋6を有する。本実施例では、氷を冷却部4に投入する代わりに、
図6に示したように冷媒袋6に予め水を満たして、冷凍庫で凍らせてから、冷却部4の窪み部43に入れる。本実施例によれば、冷媒袋6の中の氷が溶けても、袋ごと別の冷媒袋6に簡単に交換できるので、実施例1の効果に加えて、利便性が向上し、冷却効率を長時間持続することができる。また、温度計で測定した冷却部4の温度が所定温度以上になったときに冷媒袋6を交換したりすることで、温度管理を行うことができる。
【0041】
冷却部4の凝結面41に蒸気が接触すると氷が溶けるが、冷媒袋6を使用することにより、氷を追加したり、溶けた水を取り出して新しい氷を入れるなどの必要がなくなり、蒸留の継続性を遮断しなくて済むので安定した蒸留が実現できる。
【0042】
図7は、本発明の実施例2の芳香蒸留水生成装置の筒部内の配置を示す模式図である。本実施例では、
図7に示したように、プレート2と芳香蒸留水回収容器5との間に着脱可能に載置する台座7を有する。台座7は、高さを、例えば、5mm、1cm、2cmなど、回収する芳香蒸留水Pの量に応じた高さの台座とする。その高さを基準に処理対象物Sを平均的にその周りに敷き詰めれば、都度処理対象物の量を計測しなくても安定的で均一な芳香蒸留水の回収ができる、また、必要に応じて、高さだけでなく直径の異なる台座7を複数有してもよい。
【0043】
図8は、本発明の実施例2の芳香蒸留水生成装置のプレートと保護部材の配置を示す模式図である。本実施例では、
図8に示したように、プレート2の上面に重ねて着脱可能に載置する保護部材8を有する。保護部材8は、穴21より細かい網目である。
【0044】
保護部材8により、処理対象物が水蒸気発生容器5に落下することを防止でき、落下した処理対象物による芳香成分への影響を阻害して、安定した芳香を確保することができる。
【0045】
本実施例において、上述した以外の構成は、実施例1と同様である。
【0046】
{効果}
本実施例の芳香蒸留水生成装置によれば、実施例1と同様に、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。さらに、より安定した蒸留が実現でき、より安定した芳香を確保することができる。
【実施例3】
【0047】
図9は、本発明の実施例3の芳香蒸留水生成装置の冷却部を示す模式図である。本実施例では、冷却部4において、鍔部はなく、上部に、窪み部43を取り囲む円柱形のリング部44を接着してある。本実施例によれば、リング部44の高さ分多く氷9を投入できるので、実施例1の効果に加えて、冷却効果を長時間持続できるという効果を奏する。また、氷が溶けて生成される水が冷却部4の外部に漏れないようにすることができる。
【実施例4】
【0048】
本発明の実施例4の芳香蒸留水生成装置では、冷却部4の窪み部43に予め水を満たして凍らせてから筒部3の上に載せる。窪み部43の中の水は凍って氷9になっている。着脱が容易なので、冷却部4ごと冷凍庫で冷凍して、筒部3の上に載せるだけの操作で済み、また、窪み部43の中が窪み部の容量分の1つの大きな氷の塊となっているため溶けにくく、冷却効果を高め、長時間冷却することが出来る。冷却部4は銅製で熱伝導率が高いため、処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を効率よく冷やすことができる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0049】
{効果}
本実施例の芳香蒸留水生成装置によれば、実施例1と同様に、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。本実施例によれば、実施例1よりも開始時の冷却部4の温度を下げることができ冷却効率がよい。
【0050】
本発明の実施例4の芳香蒸留水生成装置による第2の芳香蒸留水生成方法は、(a)内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器10を加熱装置11の上に載置するステップ、(b)水蒸気発生容器10の上に、水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴21を多数設けてあるプレート2を載置するステップ、(c)芳香蒸留水回収容器5をプレート2の上側中央部分に載置するステップ、(d)芳香蒸留水回収容器5を囲うように透明な筒部3を載置するステップ、(e)筒部3内において芳香蒸留水回収容器5の周りに処理対象物を載置するステップ、(f)筒部3の上端に着脱可能に載置する鍔部42を有し中央を窪ませた窪み部43を有する逆錐形の蓋となる形状であって処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を下面側の凝結面41に接触させて冷却して凝結させ芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる銅製の冷却部4を予め水を満たして凍らせてから筒部3の上に載せるステップ、(g)加熱装置11により水蒸気発生容器10内の水を加熱して、冷却部4の下部中央部分から滴下する芳香蒸留水を芳香蒸留水回収容器5に受け止めて芳香蒸留水を集水するステップ、を含む。
【0051】
本方法によれば、場所を取らず、簡単に組み立てて、簡単な操作だけで、容易に芳香成分の捕獲ができる。また、第1の方法より、さらに、芳香蒸留水の回収率が高く、多様な芳香成分の捕獲を可能とする。
【0052】
本発明の実施例4の芳香蒸留水生成装置による第3の芳香蒸留水生成方法は、筒部3内において芳香蒸留水回収容器5の周りに処理対象物を載置する代わりに、内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器10を加熱装置11の上に載置した後、水蒸気発生容器10内の水に処理対象物を投入して煮沸するもので、具体的には、(a)内部に水を満たした透明な水蒸気発生容器10を加熱装置11の上に載置するステップ、(b)水蒸気発生容器内の水に処理対象物を投入するステップ、(c)水蒸気発生容器10の上に、水蒸気を下面側から上面側に取り入れる穴21を多数設けてあるプレート2を載置するステップ、(d)芳香蒸留水回収容器5をプレート2の上側中央部分に載置するステップ、(e)芳香蒸留水回収容器5を囲うように透明な筒部3を載置するステップ、(f)筒部3の上端に着脱可能に載置する鍔部42を有し中央を窪ませた窪み部43を有する逆錐形の蓋となる形状であって処理対象物から発生する揮発成分を含んだ蒸気を下面側の凝結面41に接触させて冷却して凝結させ芳香蒸留水として下部中央方向に流下させる銅製の冷却部4を予め水を満たして凍らせてから筒部3の上に載せるステップ、(g)加熱装置11により水蒸気発生容器10内の水を加熱して、冷却部4の下部中央部分から滴下する芳香蒸留水を芳香蒸留水回収容器5に受け止めて芳香蒸留水を集水するステップ、を含む。
【0053】
本方法によれば、材料を蒸留水の中に投入して高温で煮詰めて蒸気を発生させるため、第2の方法に比べて、冷却効率が低く揮発性成分を多く散失させてしまうが、従来の方法に比べて、場所を取らず、簡単に組み立てて、簡単な操作だけで、容易に芳香成分の捕獲ができる。
【0054】
本発明の実施例4の芳香蒸留水生成装置による第3の芳香蒸留水生成方法は、処理対象物をプレート2の上にも、水蒸気発生容器10の中にも両方投入して、蒸しと煮沸を両方行う。
【0055】
本方法によれば、揮発性成分も第3の方法より多く回収でき、従来の方法に比べて、場所を取らず、簡単に組み立てて、簡単な操作だけで、容易に芳香成分の捕獲ができる。
【0056】
{効果}
本実施例の芳香蒸留水生成装置によれば、コンパクトな構造で、組立や操作が簡単で、容易に芳香成分の捕獲を可能とする。
【0057】
本実施例の芳香蒸留水生成装置によれば、蒸すタイプの上述した第2の芳香蒸留水生成方法も、煮沸するタイプの上述した3の芳香蒸留水生成方法も、蒸すのと煮沸するのを同時に行うタイプの上述した第4の芳香蒸留水生成方法も、同じ装置で行うことができ、利便性が高い。
【0058】
{蒸留試験}
図10は、本発明の実施例の芳香蒸留水生成装置による蒸留実験の結果を示す図である。実施パターンA〜Dはいずれも処理対象物をプレートの上において蒸して揮発性成分を芳香蒸留水回収容器内に回収した。実施パターンAは、銅製の冷却部の代わりに陶器製の冷却部とした以外は本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置と同じ構成である。実施パターンBは本発明の実施例1の芳香蒸留水生成装置の構成である。実施パターンCは本発明の実施例4の芳香蒸留水生成装置の構成である。実施パターンDは本発明の実施例2の芳香蒸留水生成装置の構成である。いずれの実験でも、処理対象物は有機レモングラス50gとし、水蒸気発生容器に投入した蒸留水は700mlとし、蒸留を行う時間を30分とした。いずれも冷却部の容量は同じとした。実施パターンA、B、Dにおいては、1回に投入する氷の量は400gであるが、冷却部自体を製氷器にして凍らせて使用する実施パターンCでは、氷の量は600gとすることができる。実施パターンDでは、冷媒袋を途中で交換した。
【0059】
実施パターンAは、比較的速く温度上昇が見られるが、100cc収穫段階では安定した温度が維持された。実施パターンBは、中間迄高い冷却能力を維持しており、揮発性成分の収穫量が増加する。実施パターンCは、冷却層を製氷機として使用した為、より冷却効果が高まった。実施パターンDは、冷却層の氷部分を袋状に保管して使用した。交換することによって安定した冷却効果が得られた。実施パターンA〜Dはいずれも、蒸して回収したため、材料を蒸留水の中に投入して高温で煮詰めて蒸気を発生させる煮沸に比べ、芳香物質をより効果的に放散させることができ、冷却効率が高く、揮発性成分を多く回収できる。
【0060】
実施パターンA〜Dはいずれも、冷却部が冷却効果を高める構造を有するため、材料の持つ芳香物質の収穫を高めた。実施パターンB〜Dではさらに、銅製の冷却部であるため、冷却効率が高くなり、従来収穫することが困難であった揮発性の高い成分等幅広い成分をより多く収穫することが可能となる。また、実施パターンCではさらに、冷却効果を高める製氷構造であるため、冷却効果が向上し、揮発性の高い成分等幅広い成分をより多く収穫する効果はより高まる。また、実施パターンDでは、氷を閉じ込めた袋を準備し、適切に交換することによって、冷却部を常に低温に保つことができ、揮発性の高い成分等幅広い成分をより多く収穫する効果はより高まる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。