(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記報知部は、前記構造物の固有周期の精度に応じて該構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、前記構造物の影響度に応じて前記オブジェクトの色を変化させ、前記構造物の位置情報に基づいて前記オブジェクトを地図上に表示させる請求項1記載の構造物の影響予測システム。
前記報知部は、前記構造物の固有周期の精度に応じて該構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、前記構造物の影響度に応じて前記オブジェクトの色を変化させ、前記構造物の位置情報に基づいて前記オブジェクトを地図上に表示させる請求項3記載の構造物の影響予測システム。
構造物に設置された観測センサーの位置情報と、観測センサーが検知した揺れの大きさを示す検知情報とを含む観測センサー情報を記録する観測センサーデータベースを備え、
前記報知部は、前記観測センサーの位置情報に基づいて、前記検知情報を地図上に表示させる請求項3記載の影響予測システム。
前記報知部は、前記構造物の固有周期の精度に応じて該構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、前記検知情報に応じて前記オブジェクトの色を変化させ、前記構造物の位置情報に基づいて前記オブジェクトを地図上に表示させる請求項5記載の構造物の影響予測システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.構造物の影響予測システム
1−1.第1の実施の形態に係る機能構成例
1−2.第2の実施の形態に係る機能構成例
1−3.一実施の形態に係るハードウェア構成例
2.過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション例
3.リアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション例
4.構造物の固定周期の精度の設定例
5.表示画面の遷移例
【0015】
<1.構造物の影響予測システム>
(1−1.第1の実施の形態に係る機能構成例)
図1は、本技術の第1の実施形態に係る構造物の影響予測システムの機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本技術の第1の実施形態に係る構造物の影響予測システムは、構造物の位置情報と、固有周期と、固有周期の精度とを含む構造物情報を記録する構造物データベース1と、地震波の周期を含む地震情報を記録する地震データベース2と、構造物の固有周期及び地震波の周期に基づいて、地震動による構造物の影響度を構造物単位で予測する予測部3と、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度を地図上に表示させる報知部4とを備える。
【0016】
これにより、例えば過去の地震による構造物の影響予測シミュレーションにおいて、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度が地図上に表示されるため、ユーザは、影響度の精度を把握することができ、所定地域における地震の影響予測を詳細に把握することができる。
【0017】
具体的には、報知部4は、構造物の固有周期の精度に応じて構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、構造物の影響度に応じてオブジェクトの色を変化させ、構造物の位置情報に基づいてオブジェクトを地図上に表示させる。
【0018】
これにより、例えば過去の地震による構造物の影響予測シミュレーションにおいて、ユーザは、オブジェクトの種類によって影響度の精度を把握することができ、オブジェクトの色によって構造物の影響度を把握することができる。
【0019】
(1−2.第2の実施の形態に係る機能構成例)
図2は、本技術の第2の実施形態に係る構造物の影響予測システムの機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本技術の第2の実施形態に係る構造物の影響予測システムは、構造物の位置情報と、固有周期と、固有周期の精度とを含む構造物情報を記録する構造物データベース5と、緊急地震速報を取得する取得部6Aと、緊急地震速報に基づいて、地震波の周期を解析する解析部7と、構造物の固有周期及び地震波の周期に基づいて、地震動による構造物の影響度を構造物単位で予測する予測部8と、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度を地図上に表示させる報知部9とを備える。
【0020】
これにより、例えばリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーションにおいて、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度が地図上に表示されるため、ユーザは、影響度の精度を把握することができ、所定地域における地震の影響予測を詳細に把握することができる。
【0021】
具体的には、報知部9は、構造物の固有周期の精度に応じて構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、構造物の影響度に応じてオブジェクトの色を変化させ、構造物の位置情報に基づいてオブジェクトを地図上に表示させる。
【0022】
これにより、例えばリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーションにおいて、ユーザは、オブジェクトの種類によって影響度の精度を把握することができ、オブジェクトの色によって構造物の影響度を把握することができる。
【0023】
また、第2の実施形態に係る構造物の影響予測システムは、構造物に設置された観測センサーの位置情報と、観測センサーが検知した揺れの大きさを示す検知情報とを含む観測センサー情報を記録する観測センサーデータベース6Bを備え、報知部9は、観測センサーの位置情報に基づいて、検知情報を地図上に表示させる。
【0024】
これにより、例えばリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーションにおいて、ユーザは、地図上の構造物の実際の揺れの大きさを把握することができる。
【0025】
具体的には、報知部9は、構造物の固有周期の精度に応じて該構造物を示すオブジェクトの種類を変更させるとともに、検知情報に応じてオブジェクトの色を変化させ、構造物の位置情報に基づいてオブジェクトを地図上に表示させる。
【0026】
これにより、例えばリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーションにおいて、ユーザは、オブジェクトの種類によって影響度の精度を把握することができ、オブジェクトの色によって構造物の実際の揺れの大きさを把握することができる。
【0027】
本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味する。すなわち、すべての構成要素が同一筐体中に収納されている1つの装置、及び、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置のいずれもシステムである。
【0028】
本技術を適用させた構造物の影響予測システムの各構成要素の機能は、例えば、後述する端末装置、サーバ装置、及び観測センサーのハードウェアにより構成することができ、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。例えば、構造物データベース1、地震データベース2、構造物データベース5、観測センサーデータベース6Bは、サーバストレージなどにより機能させることができ、予測部3、解析部7、予測部8は、サーバCPUなどにより機能させることができる。また、例えば、報知部4、報知部9は、サーバGPU、サーバVRAM、サーバ符号化部、サーバ通信部、端末復号部、端末通信部、端末表示部、センサー復号部、センサー通信部、センサー表示部などにより機能させることができる。また、例えば、取得部6Aは、サーバ通信部などにより機能させることができる。
【0029】
また、本技術を適用させた構造物の影響予測システムの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信することができる。
【0030】
(1−3.一実施の形態に係るハードウェア構成例)
以下、
図3〜
図6を参照して、本技術を適用させた一実施の形態に係るハードウェア構成例について説明する。
【0031】
図3は、構造物の影響予測システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施の形態に係る構造物の影響予測システムは、端末装置10と、サーバ装置20と、観測センサー30とを備え、端末装置10とサーバ装置20と観測センサー30とがネットワーク40を介して接続されている。
【0032】
構造物の影響予測システムは、ユーザによる端末装置10の入力操作に応じてサーバ装置20から地震動による構造物の影響度を構造物単位で予測するプログラムの処理結果が提供される、双方向型のシステムである。端末装置10及び観測センサー30は、サーバ装置20において実行されるプログラムに係る画像を符号化動画データとして受信し、受信した符号化動画データを画像として表示する。
【0033】
図4は、端末装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、端末装置10は、プログラムの実行処理を行う端末CPU(Central Processing Unit)11と、端末CPU11により実行されるプログラムを格納する端末ROM(Read Only Memory)12と、プログラムやデータを展開する端末RAM(Random Access Memory)13と、符号化されたデータを復号する端末復号部14と、サーバ装置20と通信する端末通信部15と、端末CPU11により実行されたプログラムの結果等を表示する端末表示部16と、ユーザにより各種の入力操作を受ける操作入力部17と、音声出力を行う音声出力部18と、プログラムやデータを固定的に保存する端末ストレージ19とを有する。
【0034】
端末CPU11は、端末装置10が有する各ブロックの動作を制御する。具体的に、端末CPU11は、例えば端末ROM12に記録されている画像表示処理の動作プログラムを読み出し、端末RAM13に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。より具体的には、端末CPU11は、構造物の影響度をサーバ装置20に問い合わせて取得することができる。また、端末CPU11は、観測センサーの識別情報(ID)及び検知情報をサーバ装置20に問い合わせて取得することができる。
【0035】
端末ROM12は、例えば読み込みのみ可能な不揮発性メモリである。端末ROM12は、画像表示処理等の動作プログラムに加え、端末装置10が有する各ブロックの動作に必要な定数等の情報を記憶する。
【0036】
端末RAM13は、揮発性メモリである。端末RAM13は、動作プログラムの展開領域としてだけでなく、端末装置10が有する各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0037】
端末復号部14は、端末通信部15が受信した符号化動画データについて復号処理を行い、1以上フレームに係る画像を生成する。
【0038】
端末通信部15は、端末装置10が有する通信インタフェースである。端末通信部15は、ネットワーク40を介して接続した、サーバ装置20等の他の機器との間におけるデータ送受信を行う。データ送信時には端末通信部15は、ネットワーク40あるいは送信先の機器との間で定められたデータ伝送形式にデータを変換し、送信先の機器へのデータ送信を行う。またデータ受信時には端末通信部15は、ネットワーク40を介して受信したデータを、端末装置10において読み取り可能な任意のデータ形式に変換し、例えば端末CPU11の制御により端末RAM13に記憶する。
【0039】
端末表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の端末装置10が有する表示装置である。端末表示部16は、入力された画像を表示領域に表示する表示制御を行う。また、端末表示部16は、端末装置10の外部にケーブル等により接続された大画面モニタ等であってもよい。より具体的には、端末表示部16は、後述する過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション画面例、リアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション画面例などをユーザに表示することができる。
【0040】
操作入力部17は、例えばタッチパネル、キーボード等の端末装置10が有するユーザインタフェースである。操作入力部17は、ユーザによりユーザインタフェースに対する入力操作がなされたことを検出すると、この入力操作に対応する入力操作信号を端末CPU11に対して出力する。
【0041】
音声出力部18は、例えばスピーカ等の端末装置10が有する音響装置である。音声出力部18は、画像とともに音声情報が提供される場合に、提供された音声情報を音声として出力する。
【0042】
端末ストレージ19は、端末RAM13に展開された動作プログラムや、端末装置10が有する各ブロックの動作において出力された中間データ等を固定的に記憶する格納領域として用いられる。端末ストレージ19としては、HDD(Hard disk drive)等の各種の記憶手段や不揮発性メモリを用いることができる。
【0043】
図5は、サーバ装置20のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、サーバ装置20は、プログラムの実行処理を行うサーバCPU(Central Processing Unit)21と、サーバCPU21により実行されるプログラムを格納するサーバROM(Read Only Memory)22と、プログラムやデータを展開するサーバRAM(Random Access Memory)23と、画像処理演算を行うサーバGPU(Graphics Processing Unit)24と、サーバGPU24と接続されたサーバVRAM(Video Random Access Memory)25と、データの符号化を行うサーバ符号化部26と、プログラムやデータを固定的に保存するサーバストレージ27と、端末装置10及び観測センサー30と通信するサーバ通信部28とを有する。
【0044】
サーバCPU21は、サーバ装置20が有する各ブロックの動作を制御する。具体的にはサーバCPU21は、例えばサーバROM22に記憶されている後述する構造物の影響予測処理等の動作プログラムを読み出し、サーバRAM23に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。より具体的には、サーバCPU21は、構造物情報と地震情報とに基づいて構造物の影響度を構造物単位で予測することができる。また、サーバCPU21は、緊急地震速報、地盤データベース、地震データベースなどに基づいて、S波、キラーパルス、長周期地震動などの影響範囲を決定することができる。
【0045】
サーバROM22は、例えば読み込みのみ可能な不揮発性メモリである。サーバROM22は、影響予測処理等の動作プログラムに加え、サーバ装置20が有する各ブロックの動作において必要となる定数等の情報を記憶する。
【0046】
サーバRAM23は、揮発性メモリである。サーバRAM23は、動作プログラムの展開領域としてだけでなく、サーバ装置20が有する各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0047】
サーバGPU24は、端末装置10の端末表示部16に表示する画像の生成を行う。サーバGPU24は、サーバCPU21より描画命令を受信すると、この描画命令に基づき画像を描画し、描画した画像をサーバVRAM205に格納する。
【0048】
サーバ符号化部26は、サーバVRAM25等に格納された画像に対する符号化処理を行う。サーバ符号化部26は、例えば、符号化対象の画像をブロックに分割し、各ブロックをイントラ符号化(フレーム内符号化)あるいはインター符号化(フレーム間符号化)する。
【0049】
サーバストレージ27は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の、サーバ装置20に着脱可能に接続される記録装置である。より具体的には、サーバストレージ207は、
構造物データベース、地震データベース、観測センサーデータベース、地盤データベース、などの機能を有することができる。
【0050】
サーバ通信部28は、サーバ装置20が有する通信インタフェースである。サーバ通信部28は、ネットワーク40を介して接続した端末装置10、観測センサー30などの他の機器との間におけるデータ送受信を行う。また、サーバ通信部28は、緊急地震速報(EEW:Earthquake Early Warning)を受信することができる。
【0051】
図6は、観測センサー30のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、観測センサー30は、プログラムの実行処理を行うセンサーCPU(Central Processing Unit)31と、センサーCPU31により実行されるプログラムを格納するセンサーROM(Read Only Memory)32と、プログラムやデータを展開するセンサーRAM(Random Access Memory)33と、符号化されたデータを復号するセンサー復号部34と、サーバ装置20と通信するセンサー通信部35と、センサーCPU31により実行されたプログラムの結果等を表示するセンサー表示部36と、ユーザにより各種の入力操作を受ける操作入力部37と、音声出力を行う音声出力部38と、プログラムやデータを固定的に保存するセンサーストレージ39とを有する。センサーCPU31、センサーROM32と、センサーRAM33、センサー復号部34、センサー通信部35、センサー表示部36、入力部37、音声出力部38、及びセンサーストレージ39は、それぞれ端末CPU11、端末ROM12と、端末RAM13、端末復号部14、端末通信部15、端末表示部16、入力部17、音声出力部18、及び端末ストレージ19と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
また、観測センサー30は、X軸Y軸Z軸の3方向の加速度を検出する加速度センサー371と、加速度センサー371からの検出信号を増幅する増幅回路372と、増幅回路372からの検出信号を所定の周波数成分に分離するフィルター373とを備える。
【0053】
センサーCPU31は、加速度センサー371が検知した揺れの大きさ(ガル)を示す検知情報を、センサー通信部35を介してサーバ装置20に送信する。また、センサーCPU31は、フィルター373により分離された周波数成分により、P波、S波、極短周期地震動、短周期地震動、稍短周期地震動(キラーパルス)、稍長周期地震動、L波(長周期地震動)などをその強度により判定し、これらの判定結果を、センサー通信部35を介してサーバ装置20に送信する。
【0054】
ここで、P波、S波、極短周期地震動、短周期地震動、稍短周期地震動、稍長周期地震動、L波について説明する。
【0055】
P波(初期(地震)微動)は、岩盤中を直線的に上下動して伝播する。P波の伝播速度は約5〜7km/sであり、その周波数は約5〜10Hzである。P波は、微動のため建物(上モノ)で減衰する性質を持つ。
【0056】
S波(主要(地震)動)は、岩盤中を回転運動して全方向に伝播する。S波の伝播速度は約3〜4km/sであり、その周波数は約0.5〜5Hzである。S波は、広範囲に波紋状に広がる性質を持つ。
【0057】
極短周期地震動は、その周波数が2Hz以下の地震動であり、屋内の家具や物などが最も揺れやすい地震動である。計測震度計の感度が最も強いのがこの地震動であるため、震度と被害や体感震度との間のズレを生む原因とされる。
【0058】
短周期地震動は、その周波数が1〜2Hzの地震動であり、やや短周期地震動も含めることがある。人間が最も揺れを感じやすい地震動である。
【0059】
稍短周期地震動は、その周波数が0.5〜1Hzの地震動であり、中低層建築物(20階位まで)が最もゆれやすい地震動である。人間が住む建造物の多くはこの周期の揺れで最も被害を受けやすいため、この周波数の地震動が長く観測されると人的被害が大きくなる傾向にある。このことから、俗にキラーパルスと呼ばれる。
【0060】
稍長周期地震動は、その周波数が0.5〜0.2Hzの地震動であり、巨大なタンクや鉄塔など、中規模建築物(20〜50階)が最も揺れやすい地震動である。
【0061】
L波(長周期地震動)は、地表付近をうねりながら水平方向に伝播する。L波の伝播速度は約2.5〜3km/sであり、その周波数は0.2〜0.5Hzである。L波は、殆ど減衰しない性質を持ち、高層建築物(50階以上)が最も揺れやすい地震動である。周期が短いものに比べて、建物などが揺れる幅が大きく、重いものが建物の揺れにあわせて高速で移動し人や物を傷つけるといったことが起きる。
【0062】
上述したハードウェア構成において、サーバ装置20は、構造物の位置情報と、固有周期と、固有周期の精度とを含む構造物情報を記録する構造物データベースと、地震波の周期を含む地震情報を記録する地震データベースと、構造物の固有周期及び地震波の周期に基づいて、地震動による構造物の影響度を構造物単位で予測する予測部とを備え、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度を地図上に表示させることができる。
【0063】
また、サーバ装置20は、構造物の位置情報と、固有周期と、固有周期の精度とを含む構造物情報を記録する構造物データベースと、緊急地震速報を取得する取得部と、緊急地震速報に基づいて、地震波の周期を解析する解析部と、構造物の固有周期及び地震波の周期に基づいて、地震動による構造物の影響度を構造物単位で予測する予測部とを備え、構造物の位置情報及び固有周期の精度に基づいて、構造物の影響度を地図上に表示させることができる。
【0064】
また、サーバ装置20は、構造物に設置された観測センサーの位置情報と、観測センサーが検知した揺れの大きさを示す検知情報とを含む観測センサー情報を記録する観測センサーデータベースを備え、端末装置10及び観測センサー30は、観測センサーの位置情報に基づいて、検知情報を地図上に表示させることができる。
【0065】
サーバストレージ27は、構造物の位置情報と、固有周期と、固有周期の精度とを含む構造物情報を記録する構造物データベース、地震波の周期を含む地震情報を記録する地震データベース、構造物に設置された観測センサーの位置情報と、観測センサーが検知した揺れの大きさを示す検知情報とを含む観測センサー情報を記録する観測センサーデータベースの機能を有することができる。
【0066】
構造物の位置情報は、例えば、緯度、経度、海抜、住所などであり、構造物としては、オフィスビル、マンション、戸建住宅、学校、役所、駅、スタジアム、ホールなどの建物や、橋、道路(の橋脚)、電波塔、トンネル、ダムなどが挙げられる。
【0067】
構造物の固有周期は、例えば、SRC造、RC造などの構造情報と構造物の高さから計算することができる。また、設計データや実際の振動計測を元にしたデータにより正確に算出することができる。
【0068】
構造物の固有周期の精度は、例えば、SRC造、RC造などの構造情報と構造物の高さから計算した簡易なものであるか、設計データや実際の振動計測を元にしたデータにより計算した正確なものであるかにより段階的に設定される。
【0069】
地震波の周期は、例えば、P波、S波、極短周期地震動、短周期地震動、稍短周期地震動、稍長周期地震動、L波などの強度を含む情報であり、地震波は過去に発生したものであっても、仮想のものであってもよい。
【0070】
観測センサーの位置情報は、例えば、緯度、経度、高さ、海抜、階数、住所などを含むものである。また、観測センサーの検知情報は、X軸Y軸Z軸の3方向の揺れの大きさ(ガル)を含むものである。
【0071】
サーバCPU21は、構造物情報と、地震情報とに基づいて構造物の影響度を構造物単位で計算することができる。例えば、地震波の周期が構造物の固有周期を含む周期範囲に属するか否かに応じて共振するか否かを判別し、その周期の地震波の強さに基づいて影響度を判別することができる。
【0072】
また、サーバCPU21は、緊急地震速報、観測センサーの判定結果、地盤データベース、地震データベースなどに基づいて、S波、キラーパルス、長周期地震動などの影響範囲を決定することができる。例えば、S波の影響範囲は、緊急地震速報に含まれる震源地、震源の深さ、マグニチュード、最大震度などにより計算することができる。
【0073】
<2.過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション例>
次に、上述したハードウェア構成例を用いた過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション例について説明する。
【0074】
図7は、過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション画面例を示す図である。
図7に示す画面例は、マップ領域51と、過去地震データ検索領域52と、選択地震データ表示領域53とを備える。
【0075】
マップ領域51には、構造物を示すオブジェクトが地図上に表示されており、構造物の固有周期の精度に応じてオブジェクトの種類が変更され、構造物の影響度に応じてオブジェクトの色が変化する。例えば、建物の固有周期の精度が高低の2段階の場合、精度が高い場合のオブジェクトを「□」で表示し、精度が低い場合のオブジェクトを「△」で表示し、建物の影響度が高い場合のオブジェクトを赤で示し、低い場合のオブジェクトを青で示す。また、マップ領域51には、拡大縮小ボタンが表示され、拡大縮小ボタンによりマップ領域51に表示される地図範囲を変更可能となっている。
【0076】
過去地震データ検索領域52には、地震の発生期間、最大震度、発生地域などの検索条件が入力可能となっている。
【0077】
選択地震データ表示領域53には、地震名称、最大震度、震源(緯度、経度、深さ)、マグニチュード、長周期の発生の有無とその周波数、キラーパルスの発生の有無とその周波数、影響度などが表示される。
【0078】
続いて、マップ領域51、過去地震データ検索領域52、及び選択地震データ表示領域53の画面生成について説明する。
【0079】
図8は、マップ領域の表示処理を示すフローチャートである。ステップS11において、サーバCPU21は、構造物データベースの機能を有するサーバストレージ27から、マップ領域51に表示される地図領域内の構造物情報を構造物の位置情報に基づいて抽出する。
【0080】
ステップS12において、サーバCPU21は、ステップS11にて抽出されたマップ領域51に表示される地図領域内の構造物情報をサーバRAM23に格納する。
【0081】
ステップS13において、サーバCPU21は、後述するように過去地震データ検索領域52に入力された条件に基づいて、過去地震を検索する。
【0082】
ステップS14において、サーバCPU21は、マップ領域51に表示される地図領域内の構造物情報と、ステップS13にて検索された過去地震の地震情報とに基づいて各建物の影響度を計算する。具体的には、構造物の固有周期及び過去の地震波の周期に基づいて、構造物のS波、キラーパルス、長周期地震動などに対する影響度を構造物単位で計算する。影響度としては、例えば、無し(ゼロ)、小、中、大の4段階に分類することができる。
【0083】
ステップS15において、サーバCPU21は、建物の位置情報及び建物の固有周期の精度に基づいて地図上にオブジェクトを表示させる。例えば
図7に示す画面例のように、精度が高い場合のオブジェクトを「□」で表示させ、精度が低い場合のオブジェクトを「△」で表示させ、建物の影響度が高い場合のオブジェクトを赤で示し、低い場合のオブジェクトを青で示す。
【0084】
図9は、過去地震データ検索領域、及び選択地震データ表示領域の表示処理を示すフローチャートである。ステップS131において、サーバCPU21は、過去地震データ検索領域52に入力された条件を取得する。
【0085】
ステップS132において、サーバCPU21は、取得した入力条件に基づいて地震データベース2から地震情報を抽出し、サーバGPU24を介して過去地震データ検索領域52の検索結果表示領域に地震情報の地震名称を一覧表示させる。
【0086】
ステップS133において、サーバCPU21は、過去地震データ検索領域52の検索結果表示領域において選択された地震情報を取得し、この地震情報を選択地震データ表示領域53に表示させる。
【0087】
このような過去の地震による構造物の影響予測シミュレーション画面例によれば、ユーザは、オブジェクトの種類によって影響度の精度を把握することができ、オブジェクトの色によって構造物の影響度を把握することができる。なお、上記シミュレーション画面例では、オブジェクトの種類により構造物の固有周期の精度を表し、オブジェクトの色により構造物の影響度を表すこととしたが、他の態様を採用してもよい。例えば、オブジェクトの色により構造物の固有周期の精度を表し、オブジェクトの点滅間隔により構造物の影響度を表してもよい。また、上記シミュレーションでは、過去の地震データに基づく影響予測を行ったが、地震データを自由に設定し、仮想の地震データに基づく影響予測を行ってもよい。
【0088】
<3.リアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション例>
次に、上述したハードウェア構成例を用いたリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション例について説明する。
【0089】
図10は、リアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション画面例を示す図である。
図10に示す画面例は、マップ領域61と、アラート表示領域62と、現在地表示領域63と、現在時刻表示領域64と、発生地震表示領域65とを備える。
【0090】
マップ領域61には、構造物を示すオブジェクトが地図上に表示されており、構造物の固有周期の精度に応じてオブジェクトの種類が変更され、構造物の影響度に応じてオブジェクトの色が変化する。例えば、建物の固有周期の精度が高低の2段階の場合、精度が高い場合のオブジェクトを「□」で表示し、精度が低い場合のオブジェクトを「△」で表示し、建物の影響度が高い場合のオブジェクトを赤で示し、低い場合のオブジェクトを白で示す。
【0091】
また、マップ領域61は、構造物に設置された観測センサーの検知情報に応じてオブジェクトの色が変化する。また、マップ領域61には、拡大縮小ボタンが表示され、拡大縮小ボタンによりマップ領域61に表示される地図範囲を変更可能となっている。
【0092】
アラート表示領域62には、現在位置から最も距離が近い構造物又は予め登録された構造物におけるS波、キラーパルス、長周期地震動などの影響予測結果が表示される。
【0093】
現在地表示領域63には、現在地の住所などが表示され、現在時刻表示領域64には、現在時刻などが表示される。
【0094】
発生地震表示領域65には、発生した地震が発生日時順に一覧表示され、地震毎に、発生日時、震央地名、緯度、経度、深さ、マグニチュード、最大震度などが表示される。
【0095】
続いて、マップ領域61、アラート表示領域62、現在地表示領域63、現在時刻表示領域64、及び発生地震表示領域65の画面生成について説明する。
【0096】
図11は、アラート表示領域の表示処理を示すフローチャートである。ステップS21において、サーバCPU21は、サーバ通信部28を介して緊急地震速報を受信する。緊急地震速報には、発生時刻、震源地、震源の深さ、マグニチュード、最大震度などの情報が含まれる。
【0097】
ステップS22において、サーバCPU21は、緊急地震速報、観測センサーの判定結果、地盤データベース、地震データベースなどに基づいて、S波、キラーパルス、長周期地震動などの影響範囲を決定し、影響範囲内の構造物について、構造物の固有周期に基づき、構造物のS波、キラーパルス、長周期地震動などに対する影響度を構造物単位で予測する。
【0098】
ステップS23において、端末CPU11は、現在位置から最も距離が近い構造物又は予め登録された構造物のS波、キラーパルス、長周期地震動などに対する影響度をサーバ20に問い合わせて取得する。
【0099】
ステップS24において、端末CPU11は、サーバ20から取得した構造物のS波、キラーパルス、長周期地震動などに対する影響度をアラート表示領域62に表示させる。
【0100】
ステップS25において、端末CPU11は、発生地震リストを更新させ、端末表示部16を介して発生地震表示領域65に発生地震リストを表示させる。
【0101】
図12は、マップ表示領域における表示処理を示すフローチャートである。ステップS31において、端末CPU11は、マップ領域61に表示される地図領域内の構造物のS波、キラーパルス、長周期地震動などに対する影響度をサーバ装置20に問い合わせて取得し、例えばS波、キラーパルス、長周期地震動などの中で最も影響度の高いものについて、構造物の影響度をマップ表示領域61に表示させる。
【0102】
ステップS32において、端末CPU11は、マップ領域51に表示される地図領域内の観測センサーの識別情報(ID)をサーバ装置20に問い合わせて取得する。
【0103】
ステップS33において、端末CPU11は、地図領域内の観測センサーの検知情報を取得する。
【0104】
ステップS34において、端末CPU11は、端末表示部16介して観測センサーの検知情報をマップ表示領域61に表示(オバーライト)させる。
【0105】
このようなリアルタイムの構造物の影響予測シミュレーション画面例によれば、ユーザは、オブジェクトの種類によって影響度の精度を把握することができ、オブジェクトの色によって構造物の影響度を把握することができる。また、影響予測後の構造物の実際の揺れについては、オブジェクトの色によってその大きさを把握することができる。なお、上記シミュレーション画面例では、オブジェクトの種類により構造物の固有周期の精度を表し、オブジェクトの色により構造物の影響度を表し、オブジェクトの色の変化によりリアルタイムの揺れを表すこととしたが、他の態様を採用してもよい。例えば、オブジェクトの色により構造物の固有周期の精度を表し、オブジェクトの色の濃淡により構造物の影響度を表し、オブジェクトの色の点滅間隔によりリアルタイムの揺れを表してもよい。
【0106】
<4.構造物の固定周期の精度の設定例>
次に、上述したハードウェア構成例を用いた構造物の固有周期の精度の設定例について説明する。この設定例は、構造物の固有周期に関する入力項目を条件化して、構造物の固有周期の精度を決定するものである。
【0107】
図13は、構造物の固有周期を入力する設定画面例を示す図である。この設定画面は、構造物の住所の入力欄
71と、構造物の構造情報の入力欄
72と、構造物の高さ情報の入力欄
73と、設計データに基づく固有周期の入力欄
74と、振動計測に基づく固有周期の入力欄
75とを備える。
【0108】
サーバCPU21は、入力欄
72に入力されたRC造などの構造情報と、入力欄
73に入力された構造物の高さ情報とに基づいて、構造物の固有周期を算出することができる。
【0109】
また、サーバCPU21は、例えば、入力欄
72及び入力欄
73に情報が入力された場合、固有周期を精度「低」とし、入力欄
72、入力欄
73及び入力欄
74に情報が入力された場合、固有周期を精度「中」とし、入力欄
72、入力欄
73、入力欄
74及び入力欄
75に情報が入力された場合、固有周期の精度を「高」と設定する。これにより、サーバCPU21は、設定画面で入力された構造物を地図画面上に「高」精度に対応するオブジェクトとして表示させることができる。
【0110】
<5.表示画面の遷移例>
図14は、表示される画面の遷移例を示す図である。Top画面81には、例えば、揺れ予測シミュレーションボタン、揺れ予測リアルタイムボタン、設定ボタンなどが表示される。Top画面81において、揺れ予測シミュレーションボタン、揺れ予測リアルタイムボタン、又は設定ボタンが押された場合、サーバCPU21は、ログイン画面82を表示させる。ログインが成功した場合、サーバCPU21は、押されたボタンに応じて、ログイン画面82から揺れ予測シミュレーション画面83、揺れ予測リアルタイム画面84、又は設定画面85に遷移させる。このような画面の遷移において、サーバ装置20が緊急地震速報を受信した場合、サーバCPU21は、他の画面から揺れ予測リアルタイム画面84に遷移させる。これにより、所望の構造物の地震の影響予測を素早く把握することができる。
【0111】
また、サーバCPU21は、無料会員、有料会員などのユーザ属性に応じて異なる画面を表示させることができる。例えば、
図13に示す設定画面において、無料会員の場合は、入力欄82及び入力欄83のみ入力可能とする設定画面を表示し、有料会員は、入力欄82、入力欄83、入力欄84及び入力欄85のすべてを入力可能とする設定画面を表示するようにしてもよい。これにより、有料会員への入会を促すことができる。