(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態(以下、本実施形態ともいう)について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0019】
図1は、本実施形態に係るゲート装置を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るゲート装置を示す上面図である。なお、
図1においては、プラットホームPの脇に鉄道車両Tが停車している様子を示しており、
図2においては、プラットホームPの脇に鉄道車両Tが停車していない様子を示している。
図3は、本実施形態に係るゲートシステムのシステム構成の概要を示すブロック図である。
【0020】
なお、本実施形態においては、車両扉Dの数、車両扉Dの間隔が異なる鉄道車両Tをそれぞれ鉄道車両T1〜T6と符号を付して表すが、特に区別して説明する必要がない場合は、単に鉄道車両Tとして表して説明する。また、本実施形態においては、
図2中の左方向が鉄道車両Tの進行方向(前方)であり、
図2中の右方向が鉄道車両Tの進行方向の逆方向(後方)であるとする。後述の
図4〜
図17においても同様とする。また、車両扉Dにおいては、鉄道車両Tの前方から順に、車両扉D1、車両扉D2、車両扉D3、車両扉D4と符号を付して表すが、特に区別して説明する必要がない場合は、単に車両扉Dとして表して説明する。
【0021】
プラットホーム用ゲートシステム1000(以下、単にゲートシステム1000という)は、プラットホームPから線路Rへの落下防止など乗客の安全性を確保するために設けられるシステムである。なお、プラットホームPとは、線路R上を走行する電車や新幹線等の鉄道車両Tが停車する駅において乗客が鉄道車両Tに乗り降りするために設けられる乗降場所である。
【0022】
図3に示すように、本実施形態に係るゲートシステム1000には、複数のプラットホーム用ゲート装置100(以下、単にゲート装置100という)と、データ収集装置20と、制御装置30と、が含まれている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態において、プラットホームPには、プラットホームPの縁PEに沿うように延びる、第1の扉通路11、第2の扉通路12、第3の扉通路13が設けられている。第2の扉通路12は、第1の扉通路11よりもプラットホームPの縁PE側においてプラットホームPの縁PEに沿うように延びている。また、第3の扉通路13は、第2の扉通路12よりもプラットホームPの縁PE側においてプラットホームPの縁PEに沿うように延びている。
【0024】
そして、ゲート装置100は、第1の扉1、第2の扉2、第3の扉3、第4の扉4、第5の扉5、第6の扉6を有している。
【0025】
第1の扉1と第4の扉4は、第1の扉通路11上を移動する。第2の扉2と第5の扉5は、第2の扉通路12上を移動する。第3の扉3と第6の扉6は、第3の扉通路13上を移動する。第1の扉1〜第6の扉6は、プラットホームPの縁PEの長さに応じて、それぞれ複数設けられているとよい。
【0026】
後述の
図4〜
図17においては、ゲート装置100を前方から順に、ゲート装置100A、ゲート装置100B、ゲート装置100C、ゲート装置100Dと符号を付して表すが、特に区別して説明する必要がない場合は、単にゲート装置100として表して説明する。ゲート装置100が備える各構成についても同様とする。例えば、ゲート装置100Aの各扉を、第1の扉1A〜第6の扉6Aと符号を付して表し、特に区別して説明する必要がない場合は、単に第1の扉1〜第6の扉6として表して説明する。
【0027】
また、以下の説明では、ゲート装置100に含まれる第1の扉1〜第3の扉3を、第1扉群G1といい、ゲート装置100に含まれる第4の扉4〜第6の扉6を、第2扉群G2ということとする。第1扉群G1に属する第1の扉1〜第3の扉3については、プラットホームPから線路Rに向かって左から順に、第3の扉3、第2の扉2、第1の扉1の順に配置されている。また、第2扉群G2に属する第4の扉4〜第6の扉6については、プラットホームPから線路Rに向かって左から順に、第4の扉4、第5の扉5、第6の扉6の順に配置されている。
【0028】
データ収集装置20は、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tに関する各種のデータを収集するデバイスである。
【0029】
データ収集装置20は、例えば、鉄道車両Tの停止を検出するセンサ、及び、当該鉄道車両Tの停止位置を計測するレーザセンサ等の測距部を備えていてもよい。そして、データ収集装置20は、鉄道車両Tの停止の検出に応じて、鉄道車両Tの停止位置を計測してもよい。
【0030】
また、データ収集装置20には、鉄道車両Tの正規の停止位置を示す正規停止位置データが記憶されていてもよい。そして、データ収集装置20が、鉄道車両Tの停止位置の計測結果と正規停止位置データとに基づいて、鉄道車両Tの正規の停止位置からの誤差を示す誤差補正データを生成してもよい。
【0031】
また、データ収集装置20が、乗務員が所有するタブレット端末等の通信端末と通信可能な通信部を備えていてもよい。そして、データ収集装置20が、当該通信端末から、停止した鉄道車両Tの車種、車両数、及び、車両扉Dの位置及び大きさ(例えば、プラットホームPの縁PEに沿った長さ)を示す車両データを受信してもよい。
【0032】
また、データ収集装置20が、ICカードリーダを備えていてもよい。そして、乗務員が上述の車両データが記憶されたICカードをかざすことにより、ICカードリーダが、当該ICカードから車両データを読み取ってもよい。
【0033】
また、データ収集装置20が、線路Rに配置された地上子を備えていてもよい。当該地上子と通信可能な、鉄道車両Tの車体の下に設けられている車上子から、上述の車両データを受信してもよい。
【0034】
そして、データ収集装置20は、上述の誤差補正データと上述の車両データとを含む停止車両データを、制御装置30に送信する。本実施形態では、停止車両データに基づいて、鉄道車両Tが備える車両扉Dの位置及び大きさが一意に特定可能になっている。
【0035】
制御装置30は、例えばコンピュータデバイスであって、プロセッサ30a、記憶部30b、及び、通信部30cが含まれる。
【0036】
プロセッサ30aは、例えば、制御装置30にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。記憶部30bは、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部30bには、プロセッサ30aによって実行されるプログラムなどが記憶される。通信部30cは、例えばゲート装置100との間でデータを授受するためのネットワークボードなどの通信インタフェースである。
【0037】
本実施形態に係る制御装置30は、ゲート装置100に含まれる第1の扉1〜第6の扉6の位置を制御する。
【0038】
また、
図3に示すように、ゲート装置100の第1の扉1〜第6の扉6はそれぞれ、モータ等を含む駆動部51〜駆動部56を有している。第1の扉1〜第6の扉6はそれぞれ、駆動部51〜駆動部56により、他の扉と独立して移動される。本実施形態に係る駆動部は、制御装置30から受け付ける制御信号に応じて、当該駆動部に対応する扉を移動させる。
【0039】
以下の説明において、プラットホームPの脇に鉄道車両Tが停止していない場合、又は、プラットホームPの脇を鉄道車両Tが通過している場合における、ゲート装置100の各扉の位置を、基準位置ということとする。以下の説明において、第1の扉1〜第6の扉6の基準位置をそれぞれ、第1の基準位置〜第6の基準位置という。本実施形態において、ゲート装置100の各扉の位置が基準位置にある際には、乗客が乗降するための開口はゲート装置100に形成されない。また、第1の基準位置〜第6の基準位置にある第1の扉1〜第6の扉6が、乗客が乗降するための開口を形成するために移動した後の位置をそれぞれ、第1の目標位置〜第6の目標位置ということとする。なお、本実施形態では、乗客が乗降するための開口が形成される際に移動しない扉については、目標位置は決定されない。
【0040】
図4は、複数のゲート装置100の各扉が基準位置にある様子を示す図である。
図5は、
図4に示す鉄道車両T及びゲート装置100を上方から見た様子を模式的に示す図である。なお、
図4においては、プラットホームP上からゲート装置100を見た様子を示している。後述の
図6、
図8、
図10、
図12、
図14、
図16においても同様である。
【0041】
図4、
図5に示すように、第1の基準位置にある第1の扉1Aと、第4の基準位置にある第4の扉4Bとは、互いに隣接することにより、プラットホームP上から線路Rへの乗客の移動を規制している。また、第3の基準位置にある第3の扉3Bと、第6の基準位置にある第6の扉6Bとは、互いに隣接することにより、プラットホームP上から線路Rへの乗客の移動を規制している。
【0042】
また、
図5に示すように、第2の基準位置にある第2の扉2Bは、プラットホームPの縁PEが延びる方向において、第1の扉1B及び第3の扉3Bと一部が重なることにより、プラットホームPから線路Rへの乗客の移動を規制している。
【0043】
また、第5の基準位置にある第5の扉5Bは、プラットホームPの縁PEが延びる方向において、第4の扉4B及び第6の扉6Bと一部が重なることにより、プラットホームPから線路Rへの乗客の移動を規制している。
【0044】
各ゲート装置100の各扉が上記のように基準位置に位置することにより、プラットホームPの縁PEが沿う方向の全域に亘って、プラットホームPから線路Rへの乗客の移動が規制されることとなる。
【0045】
駆動部51は、第1の基準位置にある第1の扉1を、第1の目標位置に移動させる。駆動部52は、第2の基準位置にある第2の扉2を、第2の目標位置に移動させる。駆動部53は、第3の基準位置にある第3の扉3を、第3の目標位置に移動させる。駆動部54は、第4の基準位置にある第4の扉4を、第4の目標位置に移動させる。駆動部55は、第5の基準位置にある第5の扉5を、第5の目標位置に移動させる。駆動部56は、第6の基準位置にある第6の扉6を、第6の目標位置に移動させる。
【0046】
また、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tにおいて、乗客の乗り降りが行われ、発車の準備が完了した後、駆動部51〜駆動部56はそれぞれ、第1の目標位置〜第6の目標位置にある第1の扉1〜第6の扉6を、第1の基準位置〜第6の基準位置に移動させるとよい。すなわち、
図4、
図5に示す位置に、第1の扉1〜第6の扉6を移動させることにより、プラットホームPの縁PEが沿う方向の全域に亘って、プラットホームPから線路Rへの乗客の移動を規制する状態とするとよい。
【0047】
以下、
図6〜
図17を参照して、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dに応じた、ゲート装置100の各扉の位置の例について具体的に説明する。
図6〜
図17においては、ゲート装置100A〜100Dの各扉が、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dの数及びその間隔に応じて、目標位置にそれぞれ移動した後の様子を示している。
【0048】
まず、
図6、
図7を参照して、4つの車両扉D1〜D4を備える鉄道車両T1がプラットホームPの脇に停車する第1の例について説明する。
図6は、第1の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図7は、
図6に示す鉄道車両T1及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0049】
図6、
図7に示すように、4つの車両扉D1〜D4を通じての鉄道車両T1への乗客の乗り降りが可能となるように、各扉が基準位置から目標位置へ移動される。
【0050】
第1の例においては、第3の扉3Aと第6の扉6Aとが互いに離間する方向に移動することにより、車両扉D1を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口が形成されている。この際、開口の幅を十分に確保するために、第2の扉2Aと第5の扉5Aも互いに離間する方向に移動している。一方、開口の幅に寄与しない第1の扉1Aと第4の扉4Aは、基準位置にある状態を維持している。
【0051】
第1の例においては、車両扉D1〜D4が等間隔に配置されているため、ゲート装置100B、100C、100Dの各扉も、ゲート装置100Aの各扉と同様の配置になっている。
【0052】
なお、
図6、
図7においては、車両扉Dの幅よりもゲート装置100の開口の幅が広くなるようにゲート装置100の各扉の目標位置が決定された場合の例について示すが、これに限られるものではなく、開口が、少なくとも乗客が通過できる程度の幅となるようにゲート装置100の各扉の目標位置が決定されるとよい。以下で説明する
図8〜
図17で示す例においても同様である。
【0053】
次に、
図8、
図9を参照して、4つの車両扉D1〜D4を備える鉄道車両T2がプラットホームPの脇に停車する第2の例について説明する。
図8は、第2の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図9は、
図8に示す鉄道車両T2及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0054】
第2の例は、第1の例と同様に、4つの車両扉Dを備える鉄道車両T2がプラットホームPの脇に停車している例である。本例では、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両T2が先頭車両である場合を例に挙げて説明する。
【0055】
鉄道車両T2においては、車両の前部に運転室があるため、車両扉D1〜D4が等間隔に配置されていない。具体的には、第1の例と比較して、車両扉D1が車両の後方に位置しており、車両扉D1と車両扉D2の間隔が、他の車両扉Dの間隔よりも狭くなっている。
【0056】
本実施形態に係るゲート装置100においては、車両扉D1〜D4が等間隔に配置されていない鉄道車両T2がプラットホームPの脇に停車した場合であっても、適切な位置に開口を形成することができる。具体的には、
図8、
図9に示すように、第1の扉1Aは第1の基準位置にある状態を維持し、第2の扉2A及び第3の扉3Aが、第1の扉1Aと重なり合う位置まで移動する。これにより、車両扉D1を通じて乗客が鉄道車両T2に乗り降りするのに十分な幅の開口を形成することができる。なお、
図8、
図9に示すように、ゲート装置100B〜100Dの各扉は、第1の例と同様の目標位置に移動しているとよい。
【0057】
次に、
図10、
図11を参照して、3つの車両扉D1〜D3を備える鉄道車両T3がプラットホームPの脇に停車する第3の例について説明する。
図10は、第3の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図11は、
図10に示す鉄道車両T3及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0058】
図10、
図11に示すように、車両扉D1を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第3の扉3Aが第6の扉6Aから離間する方向に移動し、第2の扉2Aが第5の扉5Aから離間する方向に移動している。なお、第1の扉1Aは第1の基準位置にある状態を維持しており、第4の扉4Aは第4の基準位置にある状態を維持しており、第5の扉5Aは第5の基準位置にある状態を維持しており、第6の扉6Aは第6の基準位置にある状態を維持している。
【0059】
また、車両扉D2を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第1の扉1Bと第4の扉4Cが互いに離間する方向に移動し、第2の扉2Bと第5の扉5Cが互いに離間する方向に移動している。なお、第3の扉3Bは第3の基準位置にある状態を維持しており、第5の扉5Bは第5の基準位置にある状態を維持しており、第6の扉6Bは第6の基準位置にある状態を維持しており、第6の扉6Cは第6の基準位置にある状態を維持している。
【0060】
また、車両扉D3を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第6の扉6Dが第3の扉3Dから離間する方向に移動し、第5の扉5Dが第2の扉2Dから離間する方向に移動している。なお、第1の扉1Dは第1の基準位置にある状態を維持しており、第2の扉2Dは第2の基準位置にある状態を維持しており、第3の扉3Dは第3の基準位置にある状態を維持しており、第4の扉4Dは第4の基準位置にある状態を維持している。
【0061】
次に、
図12、
図13を参照して、2つの車両扉D1、D2を備える鉄道車両T4がプラットホームPの脇に停車する第4の例について説明する。
図12は、第4の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図13は、
図12に示す鉄道車両T4及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0062】
図12、
図13に示すように、車両扉D1を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第1の扉1Aが第4の扉4Bから離間する方向に移動し、第2の扉2Aが第5の扉5Bから離間する方向に移動している。なお、第3の扉3Aは第3の基準位置にある状態を維持しており、第4の扉4Aは第4の基準位置にある状態を維持しており、第5の扉5Aは第5の基準位置にある状態を維持しており、第6の扉6Aは第6の基準位置にある状態を維持している。
【0063】
また、ゲート装置100Bの第1の扉1B〜第6の扉6Bはいずれも基準位置にある状態を維持している。
【0064】
また、車両扉D2を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第4の扉4Dが第1の扉1Cから離間する方向に移動しており、第5の扉5Dが第2の扉2Cから離間する方向に移動している。
【0065】
なお、ゲート装置100Cの第1の扉1C〜第6の扉6Cはいずれも基準位置にある状態を維持している。また、ゲート装置100Dの第4の扉4D、及び、第5の扉5D以外の扉は、基準位置にある状態を維持している。
【0066】
次に、
図14、
図15を参照して、1つの車両扉D1を備える鉄道車両T5がプラットホームPの脇に停車する第5の例について説明する。
図14は、第5の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図15は、
図14に示す鉄道車両T5及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0067】
図14、
図15に示すように、車両扉D1を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第3の扉3Dと第6の扉6Dとが互いに離間する方向に移動している。この際、開口の幅を十分に確保するために、第2の扉2Dと第5の扉5Dも互いに離間する方向に移動している。なお、ゲート装置100A〜100Cが備える各扉は、基準位置にある状態を維持している。
【0068】
次に、
図16、
図17を参照して、1つの車両扉D1を備える鉄道車両T6がプラットホームPの脇に停車する第6の例について説明する。
図16は、第6の例において、ゲート装置100が備える各扉が目標位置にある様子を示す図である。
図17は、
図16に示す鉄道車両T6及びゲート装置100を上方から見た図である。
【0069】
第6の例の鉄道車両T6は、第5の例の鉄道車両T5と同様に1つの車両扉D1を備えているが、車両扉D1が鉄道車両T5よりも後方に位置している。
【0070】
図16、
図17に示すように、車両扉D1を通じて乗客の乗り降りを可能とする開口を形成するように、第1の扉1Dが当該第1の扉1Dの右隣の扉から離間する方向に移動している。この際、開口の幅を十分に確保するために、第2の扉2Dも第1の扉1Dと同じ方向に移動している。なお、ゲート装置100A〜100Cが備える各扉は、基準位置にある状態を維持している。
【0071】
以上、第1の例〜第6の例を用いて説明したように、本実施形態に係るゲート装置100においては、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dの数、車両扉Dの間隔に応じて、乗客の乗り降りを可能とする開口を形成することができる。
【0072】
また、各扉は、扉通路上であって、隣り合う扉に接触するまでの範囲であれば、制限なく移動可能としてもよい。例えば、
図7に示す第3の扉3Aは、第3の扉通路13上において第6の扉6Bと接触する位置まで移動可能であってもよい。同様に、例えば、
図7に示す第5の扉5Dは、第2の扉通路12上において第2の扉2Cと接触する位置まで移動可能であってもよい。このような構成とすることにより、第1の例〜第6の例で示した車両扉Dよりも幅の広い車両扉Dを備える鉄道車両Tや、複数の車両扉Dが近接して配置される鉄道車両TがプラットホームPの脇に停車した場合であっても、当該車両扉Dの幅、その間隔に応じて、適切な幅の開口を形成することができる。
【0073】
以下、本実施形態に係る扉の開閉制御についてさらに説明する。
【0074】
図18は、制御装置30で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る制御装置30で、
図18に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、
図18に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0075】
図18に示すように、本実施形態に係る制御装置30には、機能的には例えば、基準位置データ記憶部60、車両扉位置特定部62、扉分類部64、移動方向決定部66、目標位置決定部68、扉制御部70、が含まれる。
【0076】
基準位置データ記憶部60は、記憶部30bを主として実装される。車両扉位置特定部62、扉制御部70は、プロセッサ30a、及び、通信部30cを主として実装される。扉分類部64、目標位置決定部68は、プロセッサ30aを主として実装される。
【0077】
以上の機能は、コンピュータである制御装置30にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ30aで実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して制御装置30に供給されてもよい。
【0078】
基準位置データ記憶部60は、本実施形態では例えば、ゲートシステム1000に含まれる複数の扉のそれぞれについての基準位置、及び、扉の大きさ(例えば、プラットホームPの縁PEに沿った長さ)を示す基準位置データを記憶する。
【0079】
車両扉位置特定部62は、本実施形態では例えば、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dの位置を特定する。車両扉位置特定部62は、本実施形態では例えば、データ収集装置20から送信される停止車両データを受信する。そして、車両扉位置特定部62は、受信した停止車両データに基づいて、鉄道車両Tが備える車両扉Dの位置及び大きさを特定する。ここで例えば、車両扉位置特定部62に、上述の正規停止位置データが記憶されていてもよい。そして車両扉位置特定部62が、正規停止位置データと、停止車両データと、に基づいて、鉄道車両Tが備える車両扉Dの位置及び大きさを特定してもよい。
【0080】
また、車両扉位置特定部62は、特定される車両扉Dの位置及び大きさに基づいて、開口の障害となる障害範囲を特定する。
【0081】
例えば、
図2に示すように、車両扉Dやゲート装置100が備える扉の位置を、プラットホームPの縁PEに沿った座標軸上における座標値で表現することとする。また、当該座標軸は、
図2における右方向が正方向であることとする。そして、車両扉Dの中心の位置の座標値がxであり、車両扉Dの縁PEに沿った長さをLとする。また、所定の余裕長(バッファ)をdとする。この場合、車両扉位置特定部62は、座標値が(x−L/2−d)以上(x+L/2+d)以下である範囲を、当該車両扉Dの障害範囲に特定する。
【0082】
なお本実施形態において、複数の車両扉Dに対応する1つの障害範囲が特定されてもよい。例えば、隣接する2つの車両扉Dについて、左の車両扉Dの中心の位置の座標値がx1であり、当該車両扉Dの縁PEに沿った長さをL1とし、右の車両扉Dの中心の位置の座標値がx2であり、当該車両扉Dの縁PEに沿った長さをL2とする。この場合、右の車両扉Dの左端の座標値と左の車両扉Dの右端の座標値との差が、上述の長さ2d以下である場合には、座標値が(x1−L1/2−d)以上(x2+L2/2+d)以下である範囲が、当該2つの車両扉Dに対応する障害範囲に特定されてもよい。
【0083】
扉分類部64は、本実施形態では例えば、プラットホームPの縁PEに沿って延びる複数の扉通路のうちのいずれかの上をそれぞれ独立して移動する複数の扉を、1以上の開口扉のペア、又は、該開口扉のペア以外の非開口扉のいずれかに分類する。ここで、開口扉のペアとは、左右のいずれか又は両方が移動することによりその間が開口する扉のペアを指す。扉分類部64は、本実施形態では例えば、第1の扉1、第3の扉3、第4の扉4、及び、第6の扉6について、当該扉を開口扉又は非開口扉のいずれかに分類する。そして、扉分類部64は、第2の扉2、及び、第5の扉5については、すべて中間扉に分類する。
【0084】
扉分類部64は、例えば、扉の位置と、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dの位置と、に基づいて、当該扉を、開口扉のペア、又は、該開口扉のペア以外の非開口扉のいずれかに分類してもよい。
【0085】
扉分類部64は、例えば、第1扉群G1に属する扉について、当該第1扉群G1に属する第2の扉2の中央と、当該第2の扉2の左隣の第5の扉5の中央と、の間に車両扉Dの中央が存在するか否かを確認する。
【0086】
ここで、存在することが確認された場合は、扉分類部64は、当該第1扉群G1の属する第3の扉3を、開口扉と特定する。一方、存在しないことが確認された場合は、扉分類部64は、当該第1扉群G1の属する第3の扉3を、非開口扉と特定する。
【0087】
そして、扉分類部64は、当該第1扉群G1に属する第2の扉2の中央と、当該第2の扉2の右隣の第5の扉5の中央と、の間に車両扉Dの中央が存在するか否かを確認する。
【0088】
ここで、存在することが確認された場合は、扉分類部64は、当該第1扉群G1の属する第1の扉1を、開口扉と特定する。一方、存在しないことが確認された場合は、扉分類部64は、当該第1扉群G1の属する第1の扉1を、非開口扉と特定する。
【0089】
また、扉分類部64は、例えば、第2扉群G2に属する扉について、当該第2扉群G2に属する第5の扉5の中央と、当該第5の扉5の左隣の第2の扉2の中央と、の間に車両扉Dの中央が存在するか否かを確認する。
【0090】
ここで、存在することが確認された場合は、扉分類部64は、当該第2扉群G2の属する第4の扉4を、開口扉と特定する。一方、存在しないことが確認された場合は、扉分類部64は、当該第2扉群G2の属する第4の扉4を、非開口扉と特定する。
【0091】
そして、扉分類部64は、当該第2扉群G2に属する第5の扉5の中央と、当該第5の扉5の右隣の第2の扉2の中央と、の間に車両扉Dの中央が存在するか否かを確認する。
【0092】
ここで、存在することが確認された場合は、扉分類部64は、当該第2扉群G2の属する第6の扉6を、開口扉と特定する。一方、存在しないことが確認された場合は、扉分類部64は、当該第2扉群G2の属する第6の扉6を、非開口扉と特定する。
【0093】
以上のようにして開口扉及び非開口扉の特定が行われるようにすると、開口扉に特定される第1の扉1の右隣の第4の扉4は開口扉と特定されることとなる。すなわち、当該第1の扉1と当該第4の扉4とのペアが開口扉のペアと特定されることとなる。また、開口扉に特定される第6の扉6の右隣の第3の扉3は開口扉と特定されることとなる。すなわち、当該第3の扉3と当該第6の扉6とのペアが開口扉のペアと特定されることとなる。
【0094】
また同様に、非開口扉に特定される第1の扉1の右隣の第4の扉4は非開口扉と特定されることとなる。すなわち、当該第1の扉1と当該第4の扉4とのペアが非開口扉のペアと特定されることとなる。また、非開口扉に特定される第6の扉6の右隣の第3の扉3は非開口扉と特定されることとなる。すなわち、当該第3の扉3と当該第6の扉6とのペアが非開口扉のペアと特定されることとなる。
【0095】
また、扉分類部64は、本実施形態では例えば、開口扉を、開口の障害となる障害扉、又は、開口の障害とはならない非障害扉、のいずれかに分類する。また、扉分類部64は、本実施形態では例えば、非開口扉についても、障害扉、又は、非障害扉、のいずれかに分類する。
【0096】
ここでは例えば、ゲート装置100に含まれる扉の左端の座標値から右端の座標値までの範囲が、いずれかの車両扉Dの障害範囲の少なくとも一部と重複している場合に、当該扉が障害扉と特定される。逆に、ゲート装置100に含まれる扉の左端の座標値から右端の座標値までの範囲が、いずれの車両扉Dの障害範囲とも全く重複しない場合に、当該扉が非障害扉と特定される。
【0097】
移動方向決定部66は、本実施形態では例えば、障害扉と特定された開口扉のそれぞれについて、当該開口扉の移動方向を決定する。
【0098】
ここで例えば、基本位置において当該開口扉に接触している扉が当該開口扉の左隣の扉である場合、すなわち、当該開口扉が第3の扉3又は第4の扉4である場合は、移動方向決定部66は、当該開口扉の移動方向を右と決定する。
【0099】
また例えば、基本位置において当該開口扉に接触している扉が当該開口扉の右隣の扉である場合、すなわち、当該開口扉が第1の扉1又は第6の扉6である場合は、移動方向決定部66は、当該開口扉の移動方向を左と決定する。
【0100】
目標位置決定部68は、本実施形態では例えば、プラットホームPの脇に停車する鉄道車両Tの車両扉Dの位置に基づいて、障害扉と特定された開口扉の目標位置を決定する。ここで、目標位置決定部68は、開口扉の目標位置を決定してもよい。
【0101】
ここで例えば、開口扉について決定された移動方向に沿って当該開口扉を移動させることで当該開口扉の左端の座標値から右端の座標値までの範囲がいずれの車両扉Dの障害範囲とも重複しなくなる位置が、当該開口扉の目標位置に決定されてもよい。また、開口扉の左端の座標値から右端の座標値までの範囲がいずれの車両扉Dの障害範囲とも重複しなくなる位置よりも基準位置から所定距離だけ離れた位置が、当該開口扉の目標位置に決定されてもよい。ここで例えば開口扉の中央の位置を示す目標位置が決定されてもよい。この場合、後述する扉制御部70によって、当該開口扉の中央が、当該開口扉の目標位置に移動するよう制御される。
【0102】
また、目標位置決定部68は、障害扉と特定された非開口扉の目標位置を決定してもよい。ここでは例えば、当該非開口扉のペアの左隣の開口扉があるべき位置と、当該非開口扉の右隣の開口扉があるべき位置(例えば、2つのあるべき位置の間の中央の位置)が、当該非開口扉のペアの目標位置に決定されてもよい。ここで、扉があるべき位置とは、当該扉が障害扉である場合は目標位置を指し、当該扉が非障害扉である場合は基準位置を指す。この場合、後述する扉制御部70によって、当該非開口扉のペアの中央(すなわち左側の非開口扉の右端(右側の非開口扉の左端))が、当該目標位置に移動するよう制御される。また本実施形態では、当該非開口扉のペアの間に開口が生じないよう当該非開口扉のペアは一体的に移動するよう制御される。
【0103】
また、目標位置決定部68は、左隣及び右隣の少なくとも一方の扉が障害扉である中間扉についても目標位置を決定する。ここで、例えば、左隣の第3の扉3、及び、右隣の第1の扉1の少なくとも一方が障害扉である第2の扉2について、当該第3の扉3があるべき位置と当該第1の扉1があるべき位置との中央の位置が目標位置に決定されてもよい。また、左隣の第4の扉4、及び、右隣の第6の扉6の少なくとも一方が障害扉である第5の扉5について、当該第4の扉4があるべき位置と当該第6の扉6があるべき位置との中央の位置が目標位置に決定されてもよい。
【0104】
扉制御部70は、本実施形態では例えば、目標位置が決定された扉について、当該扉を目標位置に移動させる。
【0105】
ここで扉制御部70は、扉を目標位置に移動させる制御信号を当該扉に含まれる駆動部に送信してもよい。当該制御信号は、例えば、扉の移動時間、移動速度、移動開始タイミング、移動終了タイミング、目標位置などを示す信号であってもよい。
【0106】
そして、駆動部が、当該制御信号の受信に応じて、当該制御信号に従って、当該駆動部に対応付けられる扉を目標位置に移動させてもよい。
【0107】
以下、本実施形態に係る制御装置30において、プラットホームPの脇での鉄道車両Tの停止に応じて実行される処理の流れの一例を、
図19に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0108】
上述のように、プラットホームPの脇に鉄道車両Tが停止すると、データ収集装置20が、停止車両データを制御装置30に送信する。
【0109】
すると、車両扉位置特定部62が、データ収集装置20から送信される停止車両データを受信する(S101)。
【0110】
そして、車両扉位置特定部62が、S101に示す処理で受信した停止車両データに基づいて、車両扉Dの位置及び大きさを特定する(S102)。
【0111】
そして、扉分類部64が、ゲート装置100が備える、第1の扉1、第3の扉3、第4の扉4、及び、第6の扉6、のそれぞれについて、当該扉が開口扉であるか、非開口扉であるかを特定する(S103)。
【0112】
そして、扉分類部64が、ゲート装置100が備える、第1の扉1、第3の扉3、第4の扉4、及び、第6の扉6、のそれぞれについて、当該扉が障害扉であるか、非障害扉であるかを特定する(S104)。
【0113】
そして、移動方向決定部66が、S103及びS104に示す処理によって障害扉と特定された開口扉のそれぞれについて、移動方向を決定する(S105)。
【0114】
そして、目標位置決定部68が、S103及びS104に示す処理によって障害扉と特定された開口扉のそれぞれについて、S105に示す処理で決定された移動方向に基づく目標位置を決定する(S106)。
【0115】
そして、目標位置決定部68が、S103及びS104に示す処理によって障害扉と特定された非開口扉のそれぞれについて、S106に示す処理で決定された開口扉の目標位置に基づいて、目標位置を決定する(S107)。
【0116】
そして、目標位置決定部68が、左隣の扉及び右隣の扉の少なくとも一方が障害扉である中間扉について、上述のように目標位置を決定する(S108)。
【0117】
そして、扉制御部70が、S106〜S108に示す処理で目標位置が決定された扉を目標位置に移動させる制御信号を当該扉に含まれる駆動部に送信する(S109)。その結果、駆動部によって、扉は目標位置に移動することとなる。
【0118】
そして、本処理例に示す処理は終了する。
【0119】
ここで本実施形態では、扉制御部70は、開口扉を目標位置に移動させるとともに、当該開口扉に対応する、障害扉と特定された非開口扉を、当該開口扉の移動に対して従属的に移動させる。また本実施形態では、扉制御部70は、開口扉に対応する、目標位置が決定された中間扉についても、当該開口扉の移動に対して従属的に移動させる。
【0120】
ここで開口扉に対応する、障害扉と特定された非開口扉とは、例えば、当該開口扉と同じ扉群に属する非開口扉を指す。また、開口扉に対応する、目標位置が決定された中間扉とは、例えば、当該開口扉と同じ扉群に属する中間扉を指す。
【0121】
ここで例えば、扉制御部70は、開口扉に対応する、障害扉と特定された非開口扉を、当該開口扉の移動時間以下の時間だけ移動させるようにしてもよい。
【0122】
例えば、第3の扉3A及び第6の扉6Bが障害扉と特定された開口扉であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bが障害扉と特定された非開口扉であるとする。この場合、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動時間が、第3の扉3Aの移動時間以下であってもよい。また第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動時間が、第6の扉6Bの移動時間以下であってもよい。
【0123】
またこの場合、第2の扉2Aの移動時間が、第3の扉3Aの移動時間以下であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動時間以上であってもよい。また、第5の扉5Bの移動時間が、第6の扉6Bの移動時間以下であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動時間以上であってもよい。
【0124】
また、扉制御部70は、開口扉に対応する障害扉を当該開口扉の速度以下の速度で移動させてもよい。
【0125】
例えば、第3の扉3A及び第6の扉6Bが障害扉と特定された開口扉であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bが障害扉と特定された非開口扉であるとする。この場合、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動速度が、第3の扉3Aの移動速度以下であってもよい。また第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動速度が、第6の扉6Bの移動速度以下であってもよい。
【0126】
またこの場合、第2の扉2Aの移動速度が、第3の扉3Aの移動速度以下であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動速度以上であってもよい。また、第5の扉5Bの移動速度が、第6の扉6Bの移動速度以下であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動速度以上であってもよい。
【0127】
また、扉制御部70は、開口扉に対応する障害扉の移動を当該開口扉と同時又は当該開口扉よりも遅いタイミングで開始させてもよい。
【0128】
例えば、第3の扉3A及び第6の扉6Bが障害扉と特定された開口扉であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bが障害扉と特定された非開口扉であるとする。この場合、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動開始タイミングが、第3の扉3Aの移動開始タイミングと同時、又は、第3の扉3Aの移動開始タイミングよりも遅いタイミングであってもよい。また第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動開始タイミングが、第6の扉6Bの移動開始タイミングと同時、又は、第6の扉6Bの移動開始タイミングよりも遅いタイミングであってもよい。
【0129】
またこの場合、第2の扉2Aの移動開始タイミングが、第3の扉3Aの移動開始タイミングと同時又はより遅く、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動開始タイミングと同時又はより早くてもよい。また、第5の扉5Bの移動開始タイミングが、第6の扉6Bの移動開始タイミングと同時又はより遅く、第1の扉1A及び第4の扉4Bの移動開始タイミングと同時又はより早くてもよい。
【0130】
また、扉制御部70は、開口扉に対応する障害扉を当該開口扉と同時又は当該開口扉よりも早いタイミングで停止させてもよい。
【0131】
例えば、第3の扉3A及び第6の扉6Bが障害扉と特定された開口扉であり、第1の扉1A及び第4の扉4Bが障害扉と特定された非開口扉であるとする。この場合、第1の扉1A及び第4の扉4Bの停止タイミングが、第3の扉3Aの停止タイミングと同時、又は、第3の扉3Aの停止タイミングよりも早いタイミングであってもよい。また第1の扉1A及び第4の扉4Bの停止タイミングが、第6の扉6Bの停止タイミングよりも早いタイミングであってもよい。
【0132】
またこの場合、第2の扉2Aの停止タイミングが、第3の扉3Aの停止タイミングと同時又はより早く、第1の扉1A及び第4の扉4Bの停止タイミングと同時又はより遅くてもよい。また、第5の扉5Bの停止タイミングが、第6の扉6Bの停止タイミングと同時又はより早く、第1の扉1A及び第4の扉4Bの停止タイミングと同時又はより遅くてもよい。
【0133】
そして、本実施形態において、例えば乗務員が所定の閉扉操作を行うことで、駆動部は、当該駆動部を備えた扉を当該扉の基準位置に移動させてもよい。この場合、駆動部は、それぞれの扉について、基準位置から目標位置に移動した際の動きと対称的な逆の動きとなるよう、目標位置から基準位置に扉を移動させてもよい。
【0134】
本実施形態では上述のように、扉制御部70は、開口扉を目標位置に移動させるとともに、当該開口扉に対応する、障害扉と特定された非開口扉を、当該開口扉の移動に対して従属的に移動させる。そのため、本実施形態によれば、開口位置の自由度を向上させつつ、車両扉Dの前以外の箇所が開口することを防ぐことができる。
【0135】
また、ゲート装置100の各扉はそれぞれ、警告ランプを有しているとよい。警告ランプは、各扉の外装を構成するハウジングのうち、各扉の移動方向における端部にそれぞれ設けられていてもよい。警告ランプは、例えば、扉の移動中に扉通路上に乗客がいる場合など、扉が緊急停止する際等に点灯又は点滅する照明装置である。警告ランプが点灯又は点滅することにより、駅員等が、視覚的に危険を察知することができ、事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0136】
また、
図1に示すように、ゲート装置100の各扉はそれぞれ、表示部90を有しているとよい。表示部90は、各扉の外装を構成するハウジングのうちプラットホームPの内側の面に設けられており、各扉の移動方向を示す画像を表示するものである。表示部90は、例えば、有機EL(Electronic Luminescent)表示装置、液晶表示装置などであるとよい。
【0137】
図1においては、第1の扉1A、第4の扉4B、及び第6の扉6Bの表示部90には、左方向を示す矢印が表示されている。また、第3の扉3Bの表示部90には、右方向を示す矢印が表示されている。また、第1の扉1Bの表示部90は消灯しており、矢印が表示されていない。
【0138】
これにより、乗客は、各扉がどの方向に移動するのかを容易に認識することができる。そのため、乗客は、ゲート装置100のどの位置に開口が形成されるのかを即座に認識することができ、プラットホームP上から鉄道車両T内への移動をスムーズに行うことができる。また、乗客は各扉の移動方向を認識することにより、プラットホームP上を移動する扉に接触することなどを回避することができる。
【0139】
なお、
図1においては、第2の扉2と第5の扉5が表示部90を有しない例について示すが、これらの扉も同様に表示部90を有していてもよい。
【0140】
また、表示部90に表示されるものは矢印に限られるものではなく、扉の移動の際にその旨を表示するものであればよい。例えば、扉が右方向に移動する場合、表示部90は「右へ移動します」等の文字を表示するものであってもよい。また、表示部90は、移動方向を示すものに限らず、例えば、移動中であることを乗客に認識させるものであればよい。例えば、扉の移動中に表示部90が点滅するような構成であってもよい。また、「この扉が開きます」などといった扉が開くことを表すメッセージが表示部90に表示されてもよい。これにより、乗客は、どの扉が移動し、どの扉が移動しないのかを少なくとも認識することができ、移動する扉に接触することなどを回避することができる。
【0141】
表示部90による画像の表示は、扉が移動中に行われてもよいし、移動前に行われてもよい。また、表示部90による画像の表示は、扉の移動前と移動中の双方において行われてもよい。また、表示部90による表示は、扉が移動を開始する直前に行われ、移動が開始すると表示が消灯するようにしてもよい。
【0142】
扉が移動する前に表示部90による表示が行われることにより、乗客は、どの扉が移動し、どの扉が移動しないのかを予め認識することが可能となる。また、扉の移動中に画像が表示されることにより、乗客は、移動中の扉に接触することを回避することができる。
【0143】
扉制御部70は、扉が備える表示部90に、当該扉の移動の際にその旨を表示させてもよい。ここで例えば、扉制御部70は、上述の制御信号を扉に含まれる駆動部に送信する際に、表示すべき画像などを表す表示信号を当該扉に含まれる表示部90に送信してもよい。そして、表示部90が表示信号に応じた画像を表示してもよい。上述のように、当該画像は、扉の移動方向を表す画像であってもよい。
【0144】
なお、上述の警告ランプが、表示部90としての機能を備えていてもよい。すなわち、例えば、第1の扉1に設けられる警告ランプが、第1の扉1の移動の際に点灯してもよい。このように、警告ランプが点灯することにより、乗客は、いずれの扉が移動するのか又は移動中であるのかを認識することができる。
【0145】
なお、本実施形態において、制御装置30が、データ収集装置20を介さずに、乗務員が所有するタブレット端末等の通信端末から、車両データを受信してもよい。
【0146】
また、本実施形態において、すべての扉について目標位置が決定されてもよい。この場合、乗客が乗降するための開口が形成される際に移動しない扉については、基準位置と同じ位置が目標位置に決定される。
【0147】
また、本実施形態及び変形例においては、扉通路が3つ設けられる例について示したが、これに限られるものではなく、扉通路は4つ以上設けられていてもよい。また、本実施形態及び変形例においては、ゲート装置100が備える全ての扉が移動可能である例について示したが、これに限られるものではなく、プラットホームPの縁PEの延びる方向の一部において、鉄道車両Tへの乗客の乗り降りを規制する板等がプラットホームP上に固定して設けられていてもよい。
【解決手段】扉分類部64は、複数の扉通路のうちのいずれかの上をそれぞれ独立して移動する複数の扉を、当該扉の位置とプラットホームの脇に停車する鉄道車両の車両扉の位置とに基づいて、左右のいずれか又は両方が移動することによりその間が開口する1以上の開口扉のペア、又は、該開口扉のペア以外の非開口扉のいずれかに分類する。扉分類部64は、非開口扉を、開口の障害となる障害扉、又は、開口の障害とはならない非障害扉のいずれかに分類する。目標位置決定部68は、車両扉の位置に基づいて、開口扉の目標位置を決定する。扉制御部70は、開口扉を目標位置に移動させるとともに、当該開口扉に対応する障害扉を当該開口扉の移動に対して従属的に移動させる。