(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隔壁部は、前記第1壁部の少なくとも一部を構成するように配置される正面パネルと、前記第2壁部の少なくとも一部を構成するように配置される側面パネルとを含み、
前記側面パネルには、前記左右方向に向けられて前記第2壁部の少なくとも一部として機能する側面部と、前記前後方向に向けられて前記第1壁部とともに前記第1壁部の少なくとも一部を構成する正面部とが設けられ、
前記側面パネルの前記側面部と前記正面部との間に前記角部が形成され、かつ前記側面部と前記正面部との間に前記反射層が位置している請求項3に記載のゲーム機。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係るゲーム機を説明する。本形態のゲーム機は、所定のプレイ料金の支払いと引き換えにユーザにゲームをプレイさせる業務用のゲーム機として構成されているが、本発明は業務用のゲーム機に限定されるものではない。
【0009】
図1〜
図3に示すように、ゲーム機1は筐体2を備えている。筐体2は、概ね直方体形状であって、本体部3、隔壁部4及び天井部5を含んでいる。本体部3は、ゲーム機1に設けられるべき制御装置、コインセレクタといった各種の装置類を収容し、あるいは取り付ける基礎となるべき構造体である。
図3に示すように、本体部3の上方にはゲーム空間GSが設定され、そのゲーム空間GSには一対のゲーム機構50が並べて設けられている。ゲーム空間GSはユーザの操作に応じたゲームが行われるべき領域であり、各ゲーム機構50はそのゲームを提供するために設けられた物理的な機構である。各ゲーム機構50は、一例として、景品の獲得を目的としたゲームをユーザに提供するように構成されている。ゲーム機構50の具体例を
図13に示すが、その詳細は後述する。ただし、ゲーム空間GSにて行われるゲームは景品を獲得する例に限らず、ゲーム機構50も図示の例に限定されない。ゲーム空間GSでは各種のゲームが行われてよく、ゲーム機構50もゲームの内容に応じて適宜に変更されてよい。
【0010】
図1〜
図3に戻って、本体部3の上部にはゲーム機構50の並び方向に沿って一対の操作部6が設けられている。以下では、筐体2の操作部6が設けられた側を筐体2の正面側とし、操作部6に位置するユーザがゲーム空間GSと向かい合った状態を基準状態として、筐体2の前後方向、左右方向及び上下方向を定義する。例えば、操作部6及びゲーム機構50の並び方向は左右方向に相当する。左側の操作部6は左側のゲーム機構50を操作するために設けられ、右側の操作部6は右側のゲーム機構50を操作するために設けられている。それにより、ゲーム機1では、二人のユーザが同時にゲームをプレイすることが可能である。
【0011】
各操作部6には、ゲームに関するユーザの操作を受け付けるための操作部材として、例えば押し釦スイッチ7等の操作部材が適宜に設けられている。各操作部6の下方には景品取出口8が設けられている。また、操作部6同士の間には表示部9が設けられている。その他にも、ユーザがプレイ料金を支払うためのコイン投入口、ユーザ認証を行うためのカードリーダといった装置類が本体部3に設けられてよい。
【0012】
隔壁部4は、ゲーム空間GS及びゲーム機構50の周囲を取り囲むようにして本体部3上に取り付けられ、天井部5はゲーム空間GSを上部から閉じるようにして隔壁部4の上縁に取り付けられている。それにより、ゲーム空間GSは筐体2の外部に対して閉じられている。隔壁部4は、筐体2の四隅の角部CF1、CF2、CR1、CR2を境界として、筐体2の正面側、すなわち操作部6のユーザから見て前後方向手前側に位置する前壁部11と、前壁部11の左右の端部から前後方向と平行に奥側に延びる一対の側壁部12と、筐体2の背面側に位置する後壁部13(
図3参照)とに区分して設けられている。前壁部11は第1壁部の一例に、側壁部12は第2壁部の一例にそれぞれ相当する。なお、以下では、筐体2の正面側の角部CF1、CF2を参照符号CFで代表することがある。
【0013】
筐体2の前壁部11及び側壁部12のそれぞれは、ゲーム空間GSを透かして見ることができるように、透過性を有する透過壁として設けられている。後壁部13は透過性を有しない非透過壁として構成されている。前壁部11には一対の正面パネル21が設けられている。正面パネル21は、例えばアクリル等の透過性の樹脂を素材とする平板状の部材として形成されている。各正面パネル21は前後方向に幾らかずらして配置されている。また、各正面パネル21は左右方向に移動できるようにして筐体2に取り付けられ、各正面パネル21の左右方向中央側の端部は前後方向に互いに重ね合わされている。それにより、正面パネル21はゲーム空間GS内にアクセスするための開閉可能なスライド式の扉として機能する。正面パネル21の左右方向外側の端部には、正面パネル21の開閉を阻止するための錠22が設けられている。
【0014】
一方、側壁部12には側面パネル23が設けられている。
図4及び
図5に示すように、側面パネル23は、側面部24と正面部25とを組み合わせた断面L字状の部材として形成されている。なお、
図4及び
図5は、筐体2の左側の側面パネル23のみを示すが、右側の側面パネル23も左右対称である。側面部24及び正面部25のそれぞれは、例えばアクリル等の透過性の樹脂を素材として形成されている。すなわち、側面パネル23は、側面部24を構成する樹脂製の平板部材と、正面部25を構成する樹脂製の平板部材とを角部CFにて互いに突き合わせて構成されている。側面部24と正面部25との境界部分、言い換えれば継ぎ目の部分が隔壁部4の正面側における角部CFを形成する。したがって、角部CFもまた透過性を有している。
【0015】
図1及び
図2から明らかなように、側面部24は側壁部12の概ね全体を構成する。一方、正面部25は前壁部11側に回り込みように配置されている。正面パネル21を閉じたとき、側面パネル23の正面部25は各正面パネル21の左右方向外側の端部に対して前後方向外側(手前側)から重なり合う。それにより、正面部25は正面パネル21とともに前壁部11を構成する。側面パネル23に正面部25を設け、これを正面パネル21の外側に重ね合わせることにより、開閉扉として構成された正面パネル21の左右方向外側の端部を側面パネル23の正面部25で覆い隠すことができる。それにより、角部CFにおける隔壁部4の表面の連続性、あるいは一体感を高めて美観を向上させることができ、あるいは角部CFにおける隔壁部4の遮蔽性を確保してゲーム機1の防犯性を高めることができる、といった利点が得られる。
【0016】
図1及び
図3に示すように、背面側の角部CR1、CR2には、非透過性の支柱15が設けられている。支柱15は後壁部13とともに天井部5を支える構造物として設けられている。側面パネル23及び後壁部13のそれぞれは支柱15に連結されている。なお、正面側の角部CFには支柱15のような構造物は設けられていない。
【0017】
図5及び
図6に示すように、側面パネル23の側面部24よりも前後方向奥側には、隔壁部4に対して照明光を照射する照明部の一例としての発光ユニット30が設けられている。なお、
図6では左側の側面パネル23の後端側のみを示すが、右側の側面パネル23の奥側にも同様に発光ユニット30が設けられている。発光ユニット30は、光源としての多数のLED30aを上下方向に列をなすように並べた構成を有している。発光ユニット30は側面部24のほぼ全高に亘って設けられている。発光ユニット30は、そのLED30aが側面パネル23の側面部24における後端面24aと対向するようにして筐体2に取り付けられている。後端面24aは発光対象となるべき角部CFから前後方向の奥側に離れた位置にあり、照明光の入射部の一例として機能する。LED30aから射出される光線束の光軸方向は筐体2の前後方向と一致する。したがって、側面部24の後端面24aから入射した照明光は、側面部24の内部で適宜に反射を繰り返しつつ角部CFに向かって進行する。
【0018】
図4及び
図5に示すように、角部CFにおける側面部24と正面部25との間には、筐体2の前後方向及び左右方向の両者に対して斜めに傾いた反射層26が形成されている。具体的には、入射部としての後端面24aから角部CFに向かって側面部24の表面と平行に結ぶ方向を側面部24内における照明光の進行方向(矢印Fで示す方向)としたとき、反射層26は、進行方向に対して斜めに傾きつつ角部CF1の内側(ゲーム空間GSに臨む側)の谷筋部Vと外側(筐体2外に臨む側)の稜線部Rとを結ぶ方向に延びるように設けられている。つまり、反射層26は、角部CF1の内側よりも外側が前後方向の手前側にずれるように進行方向に対して斜めに傾けられている。反射層26は側面パネル23の全高に亘って設けられている。ただし、反射層26は角部CFの上下方向における一部に儲けられてもよく、上下方向に適宜に分断して複数の反射層26が設けられてもよい。照明光の進行方向に対する反射層26の傾斜角θ(
図4参照)は適宜に設定されてよいが、一例として45°である。反射層26の傾斜角θは一定であることを必ずしも要しない。反射層26の傾斜角θは、反射層26上の位置に応じて適宜に変化していてもよい。例えば、反射層26は、その断面において湾曲が付された形状に形成されてもよい。なお、筐体2の右側の角部CF2に関しても、
図4及び
図5に示した例と同様に反射層26が形成されている。
【0019】
反射層26は適宜の手法により形成することが可能である。例えば、側面部24及び正面部25の角部CF側の端面を傾斜角θに合わせて斜面状に加工し、それらの端面同士を接着剤等を用いて相互に隙間なく接合することにより反射層26が形成されてもよい。側面部24及び正面部25を接合した後に、それらの接合箇所に角部CFの内側、又は外側からスリット加工を施して反射層26を形成してもよい。あるいは、側面部24と正面部25とを相互に接合することなく、それらの端面を相互に密着するように突き合わせて反射層26が形成されてもよい。側面部24及び正面部25の間に幾らか隙間を設けることにより、その隙間を含んだ適度な厚みを有するように反射層26が形成されてもよい。その場合、
図7に示すように、側面部24と正面部25との隙間には、側面パネル23を構成する素材とは屈折率が異なる中間層26aが反射層26の一部として設けられてもよい。中間層26aは空気層としてもよいし、樹脂等の透過性を有する素材で埋められた層として構成されてもよい。側面部24と正面部25とを接合する接着剤を中間層26aとして機能させてもよい。中間層26aに、側面部24及び正面部25の素材とは反射特性、屈折特性等の光学特性が異なる金属片、発光素材等の付加的素材が含まれてもよい。
【0020】
図4及び
図5の例では、反射層26が側面部24と正面部25との継ぎ目に沿って設けれられ、かつ反射層26の両端は角部CFの内側の谷筋部V及び外側の稜線部Rの両者に達している。しかしながら、反射層26は谷筋部V及び稜線部Rの両者に達するように設けられることを必ずしも要しない。谷筋部V又は稜線部Rのいずれか一方のみに達するように反射層26が形成されてもよい。あるいは、反射層26が谷筋部V及び稜線部Rの両者に達することなく、その両端が側面パネル23の内部に位置するように反射層26が形成されてもよい。そのような反射層26は例えば樹脂部材の内部の局所的に発熱させて光学特性が異なる部分を形成するレーザー内部加工といった手法を用いられば形成することができる。さらに、反射層26は谷筋部V及び稜線部Rを結ぶ方向に延ばされることを必ずしも要しない。つまり、反射層26は谷筋部Vと稜線部Rとを結ぶ方向に対して幾らか傾いていてもよい。以上、要するに、反射層26は角部CFの側面部24と正面部25との間において、照明光の進行方向に対して斜めに傾きつつ角部CFの内側から外側に向かって延びるように設けられていればよく、反射層26が側面パネル23の表裏面に達していることも、また、反射層26が谷筋部V及び稜線部Rにそれぞれ達し、あるいは谷筋部Vと稜線部Rとを結ぶ方向と平行に延ばされていることも必須ではない。なお、
図4及び
図5に示したように、側面パネル23の谷筋部V及び稜線部Rは鋭利な角を形成することを必ずしも要しない。谷筋部V及び稜線部Rのそれぞれに幾らかの湾曲又は傾斜が付されてもよい。例えば、鋭利な角が生じることを防ぐといった目的で稜線部Rに面取り加工又はアール加工が施されてもよい。
【0021】
以上の構成によれば、側面部24の後端面24aから入射した照明光が側面部24の内部で適宜に反射を繰り返しつつ角部CFに向かって進行して反射層26に入射する。反射層26への照明光の入射角は、側面部24内にて照明光が適宜に散乱し、反射するために多種多様に変化する。つまり、側面部24に入射した照明光は全体としては進行方向Fに進むが、照明光の光線束の少なくとも一部は
図4に破線矢印で示したように側面部24内で適宜に反射しつつ反射層26に入射する。したがって、反射層26に入射した照明光の一部は
図4に矢印L1で示したように反射層26で反射して側面部24から出射し、照明光の他の一部は
図4に矢印L2で示したように反射層26を透過して正面部25から出射する。そのため、角部CFを筐体2の正面側及び側方のいずれの方向から観察しても角部CFが発光する。角部CFの発光量、あるいは発光方向等の発光特性は反射層26の形状、傾斜角θ等で適宜に変化させることができる。あるいは、反射層26に中間層26aを設け、その中間層26aに反射素材等を混ぜるといった適宜の手法により反射層26における照明光の反射及び透過の特性を種々変化させることができる。しかも、その発光特性は角部CFの外観形状の影響を受けない。したがって、角部CFの外観形状に制限されることなく、角部CFを適宜の特性で発光させることが可能な自由度の高い発光構造を実現することができる。
【0022】
本発明は上述した形態に限定されず、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、反射層の形状、方向、傾き、あるいは構成は上述したような適宜の変更が可能である。また、入射部に関しては、
図6に示したように側面部24の後端面24aを利用する例に限らず、角部から離れた位置に設けられる限りにおいて、適宜の変更が可能である。例えば、
図8及び
図9に示すように、側面パネル23の側面部24に長孔27を形成し、その長孔27の内部に発光ユニット30を収容することにより、長孔27の前側の壁面27aを入射部として機能させてもよい。あるいは、
図10及び
図11に示すように、側面パネル23の側面部24に断面三角形状の溝28を形成し、その溝28内にLED30aが向けられるように発光ユニット30を設けることにより、溝28の壁面28aを入射部として機能させてもよい。
【0023】
上記の形態では、発光ユニット30からの照明光を利用して角部CFのみを発光させたが、例えば
図12に示すように、側面パネル23の側面部24における適宜の位置に反射層26と同様に傾けられた反射層29を適宜に追加し、それにより側面部24の途中からも照明光を出射させて側面部24を発光させてもよい。なお、反射層29も、側面パネル23の全高に亘って設けられることを必ずしも要しない。側面部24における上下方向の一部に反射層29が設けられ、あるいは上下方向に分断して複数の反射層29が設けられてもよい。
【0024】
上記の形態では、側面パネル23に側面部24と正面部25とを設け、角部CFを側面パネル23上に形成したが、正面部25を側面パネル23とは別部品でかつ正面パネル21の一部として設けることにより、正面パネル21と側面パネル23の境界部分に角部CFを形成し、正面パネル21と側面パネル23との間に反射層26を形成してもよい。ただし、側面パネル23上に反射層26を設ける場合には、側面パネル23の製造段階で反射層26を形成することが可能であって、隔壁部4の組立時に反射層26を形成する手間が省略できる利点がある。
【0025】
上記の形態では、ゲーム機1の前壁部11及び側壁部12の両者を透過壁として構成したが、ゲーム機の角部を発光させるためには、角部を境界として異なる方向に向けられた第1壁部及び第2壁部の少なくともいずれか一方が透過壁として構成されていればよい。例えば、側壁部12が非透過壁として構成される場合には、前壁部11の途中、例えば左右方向中央部に一対の発光ユニット30を左右方向外側に向けて配置し、それらの発光ユニット30の照明光を角部CFに設けられた反射層26に導いて角部CFを発光させてもよい。第1壁部と第2壁部とは角部を境界として互いに異なる方向に向けられていれば足り、それらの壁部が交わる角度も90°に限定されない。隔壁部をその断面形状が三角形又は五角形以上の多角形を描くように形成した場合でも、適宜の角部を本発明に従って発光させることが可能である。
【0026】
次に、
図13〜
図17を参照して、ゲーム機構50の一例を説明する。
図13に示すように、ゲーム空間GSの前後方向手前側には一対の景品落下口16が設けられ、ゲーム機構50は各景品落下口16に対して前後方向奥側に隣接するように設けられている。景品落下口16は景品取出口(
図1及び
図2参照)に通じている。各ゲーム機構50の構成は互いに等しい。ゲーム機構50には搬送ユニット51が設けられ、搬送ユニット51には複数のコンベア52が左右方向に並べて設けられている。コンベア52は、互いに独立して前後方向に走行可能である。搬送ユニット51の前方及び後方には、コンベア52と1対1に対応付けて表示ユニット53が設けられている。表示ユニット53は一例として複数のLED等の発光素子をマトリクス状に並べて形成されている。
【0027】
図14は、ゲーム機構50によって提供されるゲームの一例を示している。搬送ユニット51上には、例えばぬいぐるみ等の適宜の景品PRが配置される。景品PRは複数のコンベア52に跨る大きさであり、少なくとも2本のコンベア52によって選択的に支持される。したがって、景品PRを支持するコンベア52を前方に向かって走行させることにより、景品PRを前方に移動させ、ひいては景品PRを景品落下口16に落下させて景品取出口8から取り出すことができる。景品PRの獲得に関して遊戯性を生じさせるため、各コンベア52の走行は、表示ユニット53の表示と、操作部6における操作、例えば押し釦スイッチ7の操作とに関連付けて制御される。
【0028】
例えば、表示ユニット53は、ゲーム機1の制御装置の制御によって選択的に点灯又は消灯が切り替えられる。一例として、左右方向の一端側から他端側に向かって表示ユニット53の点灯位置が順次移動するように各表示ユニット53の点灯又は消灯が切り替えられる。
図14では、一つの表示ユニット53の中央部が選択的に点灯している様子をハッチングで示している。ユーザが押し釦スイッチ7を押し込み操作すると、その操作時点で点灯している表示ユニット53と同列上のコンベア52が駆動対象として選択されてそのコンベア52が所定量だけ前方に向けて走行するように駆動される。なお、コンベア52の駆動量は一定であってもよいし、ユーザが押し釦スイッチ7を操作したタイミングに応じて動的に変更されてもよい。例えば、ユーザが押し釦スチ7を操作したタイミングと表示ユニット53が点灯したタイミングとのずれ量が小さいほど駆動量が増加するようにコンベア52の駆動量が調整されてもよい。したがって、ユーザが景品を獲得するためには、景品PRを支持しているコンベア52を見極め、そのコンベア52に対応する表示ユニット53が点灯するタイミングに合わせて押し釦スイッチ7を操作する必要がある。しかも、景品PRは複数のコンベア52に跨って支持されているので、コンベア52の走行状況によっては景品PRが搬送ユニット51上で回転して景品PRの支持状態が変化する場合がある。したがって、ユーザは景品PRを景品落下口16に向けて移動させるためにはどのコンベア52を走行させるべきかを適宜に判断し、その判断に応じて押し釦スイッチ7を適切なタイミングで操作する必要がある。これにより、景品PRの獲得に遊戯性が生じる。
【0029】
図15〜
図17は搬送ユニット51の詳細を示している。コンベア52は、その表面(景品PRが置かれる側の面である。)に複数の凸部52aが走行方向に一定間隔で設けられた歯付きのコンベアとして構成されている。
図16及び
図17に示したように、搬送ユニット51には前後一対の回転軸56、57が設けられ、それらの回転軸56、57に対して相対回転可能なスプロケット58、59にコンベア52が巻き掛けられている。コンベア52は、多数のシュー52bをピン52cにて帯状につなぎ合わせたいわゆる無限軌道の履帯であって、そのシュー52bの凹凸面がコンベア52の外側に向けられることにより、コンベア52の表面に凸部52aが付与される。
図17に示すように、搬送ユニット51の下部には、コンベア52の凸部52aと噛み合うスプロケット60が設けられている。そのスプロケット60が駆動源としての電動モータ61にて回転駆動されることにより、コンベア52が走行する。スプロケット58、59、60及び電動モータ61はコンベア52ごとに設けられている。それにより、コンベア52は互いに独立して走行可能である。
【0030】
コンベア52の少なくともシュー52bは、透過性を有する樹脂等の素材によって構成されている。一方、
図16に示したように、搬送ユニット51には、LED等を光源とする発光ユニット63がコンベア52ごとに設けられている。発光ユニット63はコンベア52の走行方向に沿って延ばされている。図示例では、一つのコンベア52に対して二つの発光ユニット63が設けられているが、その個数は適宜でよい。
図17に示すように、発光ユニット63はコンベア52の上面側と下面側との間に位置している。それにより、発光ユニット63にてコンベア52を照明し、コンベア52それ自体を発光させることができる。各発光ユニット63の発光及び消灯は、例えば表示ユニット53の点灯及び消灯と同期するように制御されてもよい。その場合には、押し釦スイッチ7の操作タイミングを表示ユニット53の点灯に加えてコンベア52の発光によっても案内することができる。あるいは、発光ユニット63を利用したコンベア52の発光は、ゲーム機1の適宜の演出に利用されてもよい。
【0031】
なお、上述したように、ゲーム機構50は一例であって、ゲーム空間GSにて行われるゲームは適宜に選択されてよく、ゲーム機構もゲームに合わせて適宜に変更されてよい。例えば、メダルゲーム等の遊技媒体を利用したゲームがゲーム空間GSにて行われてよい。ゲーム空間GSにて行われるゲームは、物理的な機構を利用する例に限らない。例えば表示装置を用いたゲームがゲーム空間GSにて行われてもよい。
【0032】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0033】
本発明の一態様に係るゲーム機(1)は、ゲーム空間(GS)を囲むように設けられ、かつ角部(CF1、CF2)を有する隔壁部(4)と、前記隔壁部に対して照明光を照射する照明部(30)とを備えたゲーム機であって、前記隔壁部は、前記角部を境界として互いに異なる方向を向くように設けられた第1壁部(11)及び第2壁部(12)を含み、前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくともいずれか一方は、前記ゲーム空間を透かして見ることが可能な透過性を有する透過壁(12)として設けられ、前記透過壁には、前記照明部からの前記照明光が入射する入射部(24a;27a;28a)が設けられ、前記角部における前記第1壁部と前記第2壁部との間には、前記入射部から前記角部に向かって前記透過壁の表面と平行に進む方向を前記照明光の進行方向としたときに、前記進行方向に対して斜めに傾きつつ前記角部の内側から外側に向かって延びる反射層(26)が設けられたものである。
【0034】
上記態様によれば、入射部から入射した照明光が透過壁内で適宜に反射を繰り返しつつ角部に向かって進行して反射層に入射する。反射層への照明光の入射角は、透過壁内における照明光の散乱、あるいは反射の影響で多様に変化する。そのため、反射層に入射した照明光の一部は反射層で反射して角部外に出射し、照明光の他の一部は反射層を透過して角部外に出射する。したがって、角部CFを種々の方向に対して発光させることができる。角部の発光量、発光方向といった発光特性は反射層それ自体の構成によって適宜に設定することができ、その発光特性は角部の外観形状の影響を受けない。したがって、角部の外観形状に制限されることなく、角部を適宜の特性で発光させることが可能な自由度の高い発光構造を実現することができる。
【0035】
上記態様のゲーム機においては、前記第1壁部及び前記第2壁部のそれぞれが前記透過壁として設けられ、前記入射部は前記第1壁部又は前記第2壁部のいずれか一方の壁部に設けられてもよい。これによれば、透過壁として構成された第1壁部及び第2壁部のいずれか一方から照明光を角部に向けて入射させることにより、それらの壁部の境界に位置する角部を適宜の特性で発光させることが可能である。
【0036】
上記態様のゲーム機においては、ユーザの操作を受け付ける操作部(6)を有し、前記ゲーム空間と向かい合うようにして前記操作部に位置するユーザを基準状態のユーザとしたときに、当該基準状態のユーザから見て前後方向の手前側に前記第1壁部(11)が設けられ、前記角部は、前記基準状態のユーザから見て前記第1壁部の左右方向の端部にて上下方向に延びるように設けられ、前記第2壁部(12)は、前記基準状態のユーザから見て前記角部から前記前後方向の手前側から奥側に延びるように設けられ、前記入射部は、前記基準状態のユーザから見て前記角部よりも前記第2壁部の奥側に離れた位置に設けられてもよい。これによれば、第2壁部の奥側から照明光を入射させることにより、ゲーム機の前後方向の手前側に位置する角部を適宜の特性で発光させることができる。
【0037】
前記隔壁部は、前記第1壁部の少なくとも一部を構成するように配置される正面パネル(21)と、前記第2壁部の少なくとも一部を構成するように配置される側面パネル(23)とを含み、前記側面パネルには、前記左右方向に向けられて前記第2壁部の少なくとも一部として機能する側面部(24)と、前記前後方向に向けられて前記第1壁部とともに前記第1壁部の少なくとも一部を構成する正面部(25)とが設けられ、前記側面パネルの前記側面部と前記正面部との間に前記角部が形成され、かつ前記側面部と前記正面部との間に前記反射層が位置していてもよい。これによれば、側面パネルに側面部と正面部とを設けているので、側面パネルの製造段階で反射層を形成しておくことができる。
【0038】
前記側面パネルの前記正面部は、前記正面パネルの前記左右方向の端部に対して前記隔壁部の外側から重なるように配置されてもよい。これによれば、正面パネルの左右方向の端部を側面パネルの正面部で覆い隠すことができる。それにより、角部における隔壁部の表面の連続性、あるいは一体感を高めて美観を向上させ、あるいは角部における隔壁部の遮蔽性を確保してゲーム機の防犯性を高めることができる、といった利点が得られる。
【0039】
さらに、前記反射層は、前記角部の内側の谷筋部(V)と外側の稜線部(R)とを結ぶ方向に延びるように設けられていてもよい。これによれば、第1壁部と第2壁部との継ぎ目に沿って反射層が設けられることになり、反射層を比較的容易に形成することができる。
【解決手段】ゲーム空間を囲む隔壁部に、角部CF1を境界として互いに異なる方向を向くように設けられた透過性の前壁部及び側壁部が設けられたゲーム機において、側壁部には照明光が入射する入射部を設け、角部CF1における前壁部と側壁部との間には、入射部から角部CF1に向かって側壁部の表面と平行に進む方向を照明光の進行方向としたときに、その進行方向に対して斜めに傾きつつ角部CF1の内側から外側に向かって延びる反射層26を設ける。