【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年5月13日、平成28年6月10日、平成28年6月29日、平成28年6月30日、平成28年7月26日、平成28年7月27日、平成28年8月2日、平成28年8月2日、平成28年8月18日、平成28年8月20日、平成28年8月23日、平成28年9月24日、平成28年9月27日、平成28年10月11日、平成28年10月19日、平成28年10月20日、平成28年10月25日、平成28年10月28日、平成28年10月30日、平成28年10月31日、平成28年11月2日、平成28年12月4日、平成28年11月5日、平成28年11月9日ユニパー株式会社において販売
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モーターと、前記モーターに駆動されるギアと、前記ギアを弾力機構を介して挟持するギア挟持手段を含むギア保持部と、前記ギア保持部と接続可能なラチェット機構と、前記ギア保持部を介して前記ギアによって駆動されるワイヤードラム駆動シャフトと、前記ワイヤードラム駆動シャフトによって駆動されるワイヤードラムと有し、
前記ギア保持部は嵌め合う傾斜面を有する一対のカムを有し、前記ギアが荷揚げ方向に回転するときは前記カムが相対的に正方向に捻れて前記ギア保持部を伸長させて前記ラチェット機構に接続し、前記ラチェット機構を作用させながら前記モーターの回転をワイヤードラムに伝達するウインチ装置において、
前記カムが急激な負荷の増大によって過度に相対的に正方向に捻れて前記ギア保持部の部材が前記ラチェット機構の一部に固着した状態になったときに、前記ギアを荷下ろし方向に回転させることによって前記カムを正の捻れ方向と逆の方向に捻って前記固着した状態を解除する解除手段を有することを特徴とするウインチ装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、工事現場等で建設資材等の荷揚げと荷下ろしにウインチ装置が使用されている。
【0003】
ウインチ装置は、駆動用のモーターと、荷に結びつけたワイヤーを巻き取りあるいは繰り出すためのワイヤードラムと、モーターとワイヤードラムの間の動力伝達機構からなる。モーターの駆動軸は動力伝達用のギアとかみ合っており、ギアの回転はワイヤードラム駆動シャフトを介してワイヤードラムに伝達されるようになっている。
【0004】
かかるウインチ装置において、荷揚げ時および荷下ろし時の様々な荷重状態に対して安全に使用できるように種々の対策が講じられている。
【0005】
荷揚げをするときは、モーターの回転をギアとワイヤードラムに伝えて荷を揚げながら、万一の時にギアが逆回転しないようにラチェット機構を作用させなければならない。荷を下ろすときは、ラチェット機構がギアの逆回転を許さない状況で、モーターの回転(逆回転)をワイヤードラムに伝えなければならない。
【0006】
そのため、ギアを保持する部分の伸縮を可能として、伸びた状態ではラチェット機能の一方向回転に従ってギアを回転させ、縮んだ状態では、ラチェット機構自体が一方向回転しか許さない状況でも、ギアの回転を許す構造としている。
【0007】
ギアを保持する部分(「ギア保持部」という)の伸縮を可能とする手段の一例として、傾斜面が互いに嵌まり合う一対のカムがある。かかるカムによれば、荷揚げ時にはカムの傾斜面が摺動してカムの間の距離が伸長し、その結果ギア保持部のラチェットに当接する部材がラチェット機構のラチェット板に押しつけられ、摩擦力によってラチェット板がギアとともに回転するようになり、ラチェット機構の一方向回転が達成できるようになる。一方、荷下ろし時には、カムの傾斜面が互いに嵌まり合う方向に摺動し、カム間の距離が縮小し、この結果ギア保持部のラチェットに当接する部材は、ラチェット板に対して押し付けられる力が弱くなり、ラチェット板を滑りながら回転可能になり荷下ろしすることができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のウインチ装置においては、荷揚げ中に規定荷重を超える荷重がかかった場合に対して、モーターを保護する手段が講じられている。
【0010】
このような荷揚げ中に規定荷重を超える荷重がかかる場合とは、たとえば荷を一番上まで引き上げたときに荷が滑車に当たってしまったような場合がある。このようなときは、ワイヤードラムが回転できないにも関わらずモーターには電流が流れ、モーターに負荷がかかってしまい、モーターの焼き付きなどの故障を生じることがある。
【0011】
そこで、従来のウインチ装置は、一定以上の荷重がかかった時に、ギアを挟み込むパット部材とギアがスリップし、ギアのみが空回りするように構成している。
【0012】
しかし、想定以上に規定荷重を超える荷重がかかった場合、従来のウインチ装置では問題が生じることがあった。
【0013】
すなわち、想定以上に規定荷重を超える荷重がかかったときに、前記ギア保持部の一対のカム間がさらに押し広げられ、ギア保持部のラチェット板に当接する部材がラチェット板に強く押しつけられて固着した状態(ギア保持部固着状態)になり、元に戻らなくなることがあった。
【0014】
固着状態では、荷揚げ方向ではギアが空転を続け、モーターの焼き付き防止機能は維持される。通常はモーターを逆回転させるとカムの傾斜面が摺動して再びカムが嵌め合う状態に戻り、それによって再び操作可能な状態になる。しかし、強い固着状態になってしまうと、モーターを逆回転させてもギアが空回り(スリップ)するだけで、もとに戻らないことがあった。
【0015】
そこで、本願発明の目的は上記従来技術の課題を解決し、簡易な構成でギアのスリップ動作からの復帰を可能とするウインチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明によるウインチ装置は、例えば、
モーターと、前記モーターに駆動されるギアと、前記ギアを弾力機構を介して挟持するギア挟持手段を含むギア保持部と、前記ギア保持部と接続可能なラチェット機構と、前記ギア保持部を介して前記ギアによって駆動されるワイヤードラム駆動シャフトと、前記ワイヤードラム駆動シャフトによって駆動されるワイヤードラムと有し、
前記ギア保持部は嵌め合う傾斜面を有する一対のカムを有し、前記ギアが荷揚げ方向に回転するときは前記カムが相対的に正方向に捻れて前記ギア保持部を伸長させて前記ラチェット機構に接続し、前記ラチェット機構を作用させながら前記モーターの回転をワイヤードラムに伝達するウインチ装置において、
前記カムが急激な負荷の増大によって過度に相対的に正方向に捻れて前記ギア保持部の部材が前記ラチェット機構の一部に固着した状態になったときに、前記ギアを荷下ろし方向に回転させることによって前記カムを正の捻れ方向と逆の方向に捻って前記固着した状態を解除する解除手段を有することを特徴とする。
【0017】
本願発明によるウインチ装置は、例えば、
前記保持部の部材は、前記一対のカムのうちの一つのカムを設けたブレーキディスクと、前記一対のカムのうちの他のカムを設けたリングとからなり、
前記リングは前記ワイヤードラム駆動シャフトと一体に回転するように嵌合され、
前記ブレーキディスクと前記リングは、前記カムの傾斜面が嵌め合うように対向して配置され、
前記解除手段は、前記ギアとともに回転する第一の係合手段と、前記ブレーキディスクとともに回転する第二の係合手段とを有し、
前記ギアの第一の係合手段は、前記ギアが荷下ろし方向に回転するときに前記ブレーキディスクの第二の係合手段と係合し、前記ブレーキディスクを前記リングに対して荷揚げ時の正の捻れ方向とは逆の方向に回転させるようにすることができる。
【0018】
本願発明によるウインチ装置は、例えば、
前記第一の係合手段は前記ギアの側面から突出するように設けられたスプリングピンからなり、
前記第二の係合手段は、前記ブレーキディスクと一体に回転する爪プレートに設けられた傾斜面を有する爪からなり、
前記爪は、前記ギアの荷揚げ方向の回転の時は前記スプリングピンをその傾斜面に乗り上げさせて通過させ、前記ギアの荷下ろし方向の回転の時は前記スプリングピンと係合するように構成されているようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、簡易な構成でギアのスリップ動作からの復帰を可能とするウインチ装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本願発明を実施した一例である実施形態を説明する。
【0022】
図1は本願発明の一実施形態によるウインチ装置1の斜視図を示している。
【0023】
ウインチ装置1は、駆動源となるモーター部2と、荷を吊り上げあるいは吊り下げるワイヤーを巻き取るワイヤードラム3と、モーター部2の動力をワイヤードラム3に伝える動力伝達部4とを有している。
【0024】
動力伝達部4はケース4aとケースカバー4bを有し、動力伝達機構はその内部に格納されている。
【0025】
ウインチ装置1は、サイドプレート10a,10bを有し、これらサイドプレート10a,10bは装置全体を支持し、ウインチ装置1を台座等に固定するために使用される。
【0026】
図2はウインチ装置1の分解斜視図を示している。
図3は、動力伝達部4部分を拡大した分解斜視図を示している。
図4は、さらに動力伝達部4のギア周辺を拡大して示した分解斜視図である。これらの図面を用いて本実施形態のウインチ装置1の構成を以下に説明する。
【0027】
モーター部2は、
図2に示すように、モーターカバー2aとファンケース2bを有し、その内部に、ファン2cとモーター2dが格納されている。ファン2cは回転してモーター2dの熱を排出するために設けられている。
【0028】
アウターシャフト5はワイヤードラム3の芯部に挿通され、モーター2dの駆動軸ドライブシャフト6はアウターシャフト5の内部を貫通している。
【0029】
図2の符号20は、ワイヤードラム3に巻き付けられるワイヤー(長さの異なる2種)を示している。
【0030】
ドライブシャフト6の端部はドライブシャフトギア6aを有し、ケース4aの内部に挿入され動力伝達部4のギア7と噛合している。
【0031】
図2および
図3においてさらに明らかに示すように、ギア7は、ギア保持部19(すなわちブレーキディスク13と二枚のブレーキパッド14とプレート15と爪プレート33と皿バネ17aと座金17bとナット17cとねじりスプリング24とリング25)を介して、ワイヤードラム駆動シャフト8に動力を伝達することができるように構成されている。
【0032】
ワイヤードラム駆動シャフト8の端部にはワイヤードラム駆動ギア8aが設けられ、
図2に示すようにワイヤードラムギア9と噛合している。
【0033】
ワイヤードラムギア9はねじによってワイヤードラム3に固定され、回転をワイヤードラム3に伝えるようになっている。
【0034】
動力の伝達経路の面から見れば、モーター2dの回転は、ドライブシャフト6を通してギア7に伝えられ、ギア7の回転はギア保持部19を介してワイヤードラム駆動シャフト8に伝えられ、ワイヤードラム駆動シャフト8の回転はワイヤードラムギア9を介してワイヤードラム3に伝えられるように構成されている。
【0035】
図4はギア7と、ギア保持部19とカムの固着状態を解除する解除手段の構成を示している。
【0036】
ギア保持部19は、ブレーキディスク13と一対のブレーキパッド14とプレート15と爪プレート33と皿バネ17aと座金17bとナット17cとねじりスプリング24とリング25とを有している。
【0037】
そのうち、皿バネ17aと座金17bとナット17cは弾力機構17を構成している。
【0038】
ブレーキパッド14はギア7の両側に配置され、全体としては
図4の左側からブレーキディスク13、ブレーキパッド14、ギア7、ブレーキパッド14、プレート15、爪プレート33、皿バネ17a、座金17b、ナット17c、ねじりスプリング24、リング25の順番に配置されている。ねじりスプリング24は、その一端が、ブレーキディスク13のカム13d付近に設けられた溝(孔でも良い)に引っ掛けられ、他端が、リング25の外周に設けられたピン孔に挿着されたスプリングピン25bに引っ掛けられている。
【0039】
ブレーキディスク13とナット17cは、ブレーキディスク13に雄ネジが、ナット17cの内側に雌ネジが形成されており、互いに螺合されている。ブレーキディスク13とナット17cの間には弾力機構17と爪プレート33とプレート15とブレーキパッド14とギア7が存在し、弾力機構17の弾力によって一対のブレーキパッド14がギア7の側面に押しつけられ、通常の運転のトルク(例えば、規定荷重の150%未満)ではブレーキパッド14とギア7が滑らずに一体的に回転するようになっている。すなわち、これらの構成で、ギア挟持手段18を構成している。このため、通常はブレーキディスク13とブレーキパッド14とギア7とプレート15と爪プレート33と皿バネ17aと座金17bとナット17cは一体的に回転し、リング25に対して捻れを生じることになる。
【0040】
図5は爪プレート33を拡大して示している。
【0041】
図5に示すように、爪プレート33は概略鍔状の金属プレートからなり、周縁部に切り込みを有し、一部の金属が折り返されて図に示すような傾斜面を有する一対の爪33a、33bが形成されている。爪プレート33の中央部開口の近傍には図示するように複数の孔33cが形成されている。孔33cは
図4に示すように、トラスネジ36によって爪プレート33を隣接するプレート15に固定するために使用される。
【0042】
図6は、ブレーキディスク13とリング25を抜き出して示している。
【0043】
図6に示すように、ブレーキディスク13はカム13dを有し、リング25はカム25dをそれぞれ有している。カム13dとカム25dはそれぞれ図示するような傾斜面を有し、組み立て時には傾斜面が互いに嵌め合うように形成されている。ブレーキディスク13とリング25はギア保持部19の両端の部材になっている。
【0044】
リング25は図示しないワイヤードラム駆動シャフト8に嵌着され、キー25aによってワイヤードラム駆動シャフト8と一体的に回転するよう固定されている。
【0045】
図7はブレーキディスク13とリング25の相互の作用を説明する図である。
【0046】
図7に示すように、ブレーキディスク13とリング25はカム13dとカム25dが互いに向かい合うように配置され、組み立て時にはカム13dの傾斜面とカム25dの傾斜面が互いに嵌め合うように配置される。
【0047】
荷揚げ時を例に説明すると、荷揚げ時にはギア7は
図7の右側に示す荷揚げ方向(時計回り方向)に回転し、
図4のところで説明したようにブレーキディスク13はギア7とともに回転するため、リング25に対して相対的に時計回り方向の捻れを生じる。なお、本願明細書において荷揚げ時のリング25に対するブレーキディスク13の相対的な捻れ方向を「正の捻れ方向」という。
【0048】
ブレーキディスク13がリング25に対して正の捻れ方向に相対的に回転すると、カム13dとカム25dの傾斜面が互いに摺動し、ブレーキディスク13とリング25の間の距離が増大(伸長)する。
【0049】
ブレーキディスク13とリング25の間の距離が増大すると、ブレーキディスク13がラチェット機構の一部のラチェット板12に押しつけられる。なお、ケースカバー4bの内側には、歯止め16が、軸を中心に搖動可能に、かつコイルバネで内側に向けて付勢され取付けられている。ラチェット板12の外周には、歯の向きが傾けられた歯車が設けられており、歯止め16とともに、ラチェット機構を形成する。ラチェット板12の板面には、摩擦力を増大させる摩擦材が設けられている。ラチェット板12は、エンドプレート11とブレーキディスク13とにより挟まれている。
【0050】
これにより、荷揚げ持では、ブレーキディスク13により押し付けられたラチェット板12がギア7とともに回転し、ギア7が逆転しようとするとラチェット機構が作用してギア7の逆転を防止する。
【0051】
荷下ろし時は、ギア7が反時計回り方向に回転する。
【0052】
荷下ろし時のギア7の反転時は、ブレーキディスク13とリング25のカム13d,25dが元のように嵌め合って、ブレーキディスク13とリング25の間の距離が減少し、ブレーキディスク13とラチェット板12の圧力が弱まる。このため荷下ろし時に、ブレーキディスク13を、ラチェット板12に対して滑りながら反転可能となることから、ギア7を反転させることができる。
【0053】
以上の構成に基づいてウインチ装置1の動作について以下説明する。
【0055】
荷揚げ時は、モーター2dの回転は、ドライブシャフト6を介して、ギア7に伝えられる。ギア7は、二枚のブレーキパッド14によって挟まれ、前述したようにブレーキディスク13とともに回転しようとし、リング25に対して正方向の捻れを生じることになる。これにより、ブレーキディスク13とリング25のカム13d,25dは、傾斜面同士が摺動して離れる方向に作用しながら噛み合う。
【0056】
カム13d,25dが離れる方向に作用するため、ブレーキディスク13がラチェット板12を押し付け圧がかかり、ラチェット板12がブレーキディスク13とともに回転しようとする。ラチェットの歯止め16は解除する方向なので、ラチェット板12は荷揚げ方向には回転可能である。したがって、ブレーキディスク13は、正の方向に回転し、それに伴いリング25が回転する。
【0057】
リング25は、キー25aによってワイヤードラム駆動シャフト8に固定されているので、リング25が回転すれば、ワイヤードラム駆動シャフト8も回転し、ギア7の回転をワイヤードラム3に伝えることになり、荷を引き揚げる。
【0058】
一方、ラチェット板12の逆回転はラチェット機構により制限されるため、引上げ時に万一の場合にギア7の逆回転を防止することができるようになっている。
【0060】
荷下ろし時には、モーター2dが荷揚げ時と逆の方向に回転し、この回転がギア7に伝えられ、ギア7を荷揚げ時とは逆の方向(荷下ろし方向)に回転しようとする。
【0061】
ギア7の荷下ろし方向の回転は、リング25に対するブレーキディスク13の正の捻れ方向と逆方向の捻れとなり、これによってカム13d,25dの傾斜面が互いに嵌まり合い、ブレーキディスク13とリング25は互いに接近する。
【0062】
この結果、ブレーキディスク13のラチェット板12に対する押し付け力が弱まるので、ブレーキディスク13は、ラチェット板12に対して滑って回転することが可能となり、荷下ろしが可能となる。
【0063】
このように、荷下ろし時はモーター2dが荷揚げ時とは反対の方向に回転し、それにともなってギア7が回転し、その回転はワイヤードラム駆動シャフト8を介してワイヤードラム3に伝えられ、荷を下ろすことができる。また、ブレーキディスク13が、ラチェット板12の摩擦材を摩擦しながら滑ることで、ブレーキを効かすことができ、モーター2dに過度な負担を掛けないで済む。
【0064】
次に、急激に過度な荷重がかかりギア保持部19が固着した状態になる場合について説明する。
【0065】
前述したように、荷揚げ時に不意にある程度(想定内)の荷重が増加したとき(例えば、規定荷重の150%以上となったとき)、ギア7とブレーキパッド14がスリップし、モーター2dの焼き付きを防止するようになっている。
【0066】
しかし、急激に過度な荷重がかかったときは、カム13d,25dが過度に離開し、カム13d,25dを有するブレーキディスク13とリング25の間の距離が大きくなり、この結果ブレーキディスク13がラチェット板12に強く押しつけられ、力の作用と反作用によりブレーキディスク13が固定されてしまうことがある。
【0067】
ブレーキディスク13が固着した状態でも、モーター2dの荷揚げ方向の回転が維持されモーターの焼き付きは防止されるが、通常モーター2dを逆回転させるとカム13d,25dが嵌まり合い状態に戻るところ、ブレーキディスク13が固着した状態になると、ギア7が空転し、元の状態に戻らなくなる。この場合、従来ではウインチ装置1を修理に出すより他に途がなかった。これに対して本願発明では解除手段を設け、かかる固着状態を解除することができるようになっている。
【0068】
図8は、本実施形態の解除手段の作用を示している。
【0069】
本願発明の解除手段は、ギア7とともに回転する第一の係合手段と、ブレーキディスク13とともに回転する第二の係合手段とを有している。
【0070】
第一の係合手段は、ギア7が荷下ろし方向に回転するときにブレーキディスク13の第二の係合手段と係合し、ブレーキディスク13をリング25に対して荷揚げ時の正方向の捻れ方向とは逆の方向に回転させる。
【0071】
本実施形態では、スプリングピン34が第一の係合手段になっており、爪プレート33の爪33a、33bが第二の係合手段になっている。
【0072】
スプリングピン34はギア7に設けられたピン孔35に挿着されており、ギア7とともに回転し、爪プレート33側に突出し、
図8の矢印で示す荷下ろし方向に回転するときに、爪33a、33bと係合するようになっている。
【0073】
爪33a、33bは傾斜面を有し、ギア7が荷揚げ方向に回転するときは、スプリングピン34の先端を傾斜面で乗り越えさせるが、ギア7が荷揚げ方向と逆の方向に回転するときはスプリングピン34と係合するようになっている。つまり、ギア7が荷下ろし方向に回転すると、半周以内に、スプリングピン34が爪プレート33を回すことになる。
【0074】
爪プレート33はトラスネジ36によってプレート15と一体的に回転するようになっており、プレート15は内周面にカム13dのキー溝と嵌合するキーを有していることによりブレーキディスク13と一体的に回転するようになっている。
【0075】
以上の構造により、ギア7が
図8の矢印に示す荷下ろし方向に回転すると、半回転以内に、スプリングピン34が爪33a、33bと係合し、ブレーキディスク13を強制的に回転させる。
【0076】
ブレーキディスク13の荷下ろし方向の回転は、リング25に対する正の捻れ方向と逆方向の捻れを生じ、カム13d,25dを傾斜面同士が嵌まり合う状態に復帰する。以降は、通常の荷揚げと荷下ろしの操作を行うことができるようになる。
【0077】
なお、上記実施形態の説明では、爪プレートの形状の一例を説明したが、本願発明はこれに限られない。
【0078】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本願発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。