特許第6671742号(P6671742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6671742
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】熱交換器用フィン製造用金型装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20200316BHJP
   B21D 28/14 20060101ALI20200316BHJP
   B21D 28/20 20060101ALI20200316BHJP
   B21D 28/26 20060101ALI20200316BHJP
   B21D 28/34 20060101ALI20200316BHJP
   B21D 37/02 20060101ALI20200316BHJP
   B21D 53/08 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B21D28/00 B
   B21D28/14 E
   B21D28/20
   B21D28/26
   B21D28/34 C
   B21D37/02 A
   B21D53/08 K
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-231466(P2019-231466)
(22)【出願日】2019年12月23日
【審査請求日】2019年12月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山浦 司
(72)【発明者】
【氏名】吉原 総勇
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭63−47380(JP,Y2)
【文献】 実開平1−60722(JP,U)
【文献】 実公平2−17690(JP,Y2)
【文献】 特公昭56−20930(JP,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第658383(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21D 28/14
B21D 28/20
B21D 28/26
B21D 28/34
B21D 37/02
B21D 53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器用フィンを製造するための金型装置において、
金属製の薄板に対して熱交換器用フィンを形成するためのパンチが設けられ、第1駆動装置によって上下動する上型ダイセットと、
前記パンチと対になっているダイが設けられた下型ダイセットと、
前記上型ダイセットと一体に上下動しつつ、前記上型ダイセットの下降動作の複数回に1回だけ金属製の薄板を打ち抜くように第2駆動装置によって駆動する特殊打ち抜きパンチと、
前記下型ダイセットにおいて、前記特殊打ち抜きパンチと対向する位置に設けられた特殊打ち抜きダイと、を具備することを特徴とする熱交換器用フィン製造用金型装置。
【請求項2】
前記特殊打ち抜きパンチが設けられ、前記上型ダイセットの一部に固定されて前記上型ダイセットとともに上下動する小上型ダイセットを具備することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用フィン製造用金型装置。
【請求項3】
前記第2駆動装置は、前記小上型ダイセットに設けられ、前記上型ダイセット及び前記小上型ダイセットと一体に上下動することを特徴とする請求項2記載の熱交換器用フィン製造用金型装置。
【請求項4】
前記第2駆動装置は、
前記特殊打ち抜きパンチの上面に凹凸状に形成された第1カム部と、
前記特殊打ち抜きパンチの上方に配置され、前記第1カム部と噛み合うように凹凸状に形成され、水平方向に移動可能な第2カム部と、
前記第2カム部を水平方向に移動させて、前記第1カム部の凸部を前記第2カム部の凸部によって押圧することにより前記特殊打ち抜きパンチを駆動させる直動装置と、
前記特殊打ち抜きパンチを上方に付勢する付勢手段と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載の熱交換器用フィン製造用金型装置。
【請求項5】
前記第2カム部には、前記第1カム部に当接するカムフォロアが設けられていることを特徴とする請求項4記載の熱交換器用フィン製造用金型装置。
【請求項6】
前記第2カム部が前記第1カム部を押圧していないときには、前記カムフォロアが前記第1カム部の凹部から凸部へ向かう傾斜面に接触しており、前記第1カム部と前記第2カム部との間に隙間が生じることを特徴とする請求項5記載の熱交換器用フィン製造用金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用フィンを製造する金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クーラー等の熱交換器は、透孔が形成された熱交換器用フィンを複数枚積層してなる積層フィンの透孔に、熱媒体を流通させる熱交換用パイプが挿入されて構成される。
熱交換器用フィンは、通常、金型装置におけるプレス加工によって成形されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、アルミニウム等の金属製の薄板に対して打ち抜き加工を施す金型装置を示している。
金型装置は、上下動する上型ダイセットと、下型ダイセットとを備えている。上型ダイセットは金属製の薄板の上方に配置され、下型ダイセットは金属製の薄板の下方に配置されている。
上型ダイセットには、金属製の薄板に対して打ち抜き加工を施すパンチが設けられ、下型ダイセットにはパンチが進入するダイが設けられている。
金型装置には、金属製の薄板が間欠的に供給され、金属製の薄板にプレス加工を施す。
【0004】
金型装置によって熱交換器用フィンを製造する場合、熱交換チューブを挿入する透孔などの他に、積層時において使用する箇所などで金型装置のプレスタイミングとは異なるタイミングでの特殊打ち抜きが必要となる場合がある。
このような場合、金型装置は透孔を形成するためのプレスタイミングで上下動するが、特殊打ち抜きに対しては、透孔を形成するためのプレスタイミング複数回のうち1回だけ動作して特殊打ち抜きを実行する。
【0005】
このような特殊打ち抜きを実行するための金型装置が特許文献1(特許第6112242号公報)に開示されている。
特許文献1記載の金型装置では、上型ダイセットの動作と別個に駆動する特殊打ち抜き用のパンチを設けている。
特殊打ち抜き用のパンチは上型ダイセットとは別個に設けた小上型ダイセットに設けており、小上型ダイセットを上下動させて特殊打ち抜きパンチを駆動させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6112242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、特殊打ち抜きパンチを駆動させる際に、小上型ダイセットを上下動させているが、小上型ダイセットが大型化しつつある現状では、重量のある小上型ダイセットを上型ダイセットとは別個に駆動させることが困難になってきている。このため、小上型ダイセットだけを駆動するための駆動装置を大型化せざるを得ず、装置全体が大型化してしまうという課題がある。
また、上型ダイセットの動作が高速化している現状において、小上型ダイセットの上下動も高速化せざるを得ない。しかし、上記のように大型化した小上型ダイセットを高速で動作させることは困難であり、そして小上型ダイセットを上型ダイセットとは別個に動作するようにすると振動が発生してしまうおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、特殊打ち抜きパンチを設けた金型装置において、高速動作が可能であって、振動の影響を小さくすることができる金型装置を提供することにある。
【0009】
本発明にかかる熱交換器用フィン製造用金型装置によれば、熱交換器用フィンを製造するための金型装置において、金属製の薄板に対して熱交換器用フィンを形成するためのパンチが設けられ、第1駆動装置によって上下動する上型ダイセットと、前記パンチと対になっているダイが設けられた下型ダイセットと、前記上型ダイセットと一体に上下動しつつ、前記上型ダイセットの下降動作の複数回に1回だけ金属製の薄板を打ち抜くように第2駆動装置によって駆動する特殊打ち抜きパンチと、前記下型ダイセットにおいて、前記特殊打ち抜きパンチと対向する位置に設けられた特殊打ち抜きダイと、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、特殊打ち抜きパンチは上型ダイセットと一体に上下動しつつ、上型ダイセットの下降動作の複数回に1回だけ金属製の薄板を打ち抜くように第2駆動装置によって駆動するので、装置の小型化を図ることができ、特殊打ち抜きパンチの駆動の高速化に寄与し、また振動の影響を少なくすることができる。
【0010】
また、前記特殊打ち抜きパンチが設けられ、前記上型ダイセットの一部に固定されて前記上型ダイセットとともに上下動する小上型ダイセットを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、特殊打ち抜きパンチを上型ダイセットに固定された小上型ダイセットに設けたので、特殊打ち抜きパンチの精度を出しやすくなるとともに、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0011】
また、前記第2駆動装置は、前記小上型ダイセットに設けられ、前記上型ダイセット及び前記小上型ダイセットと一体に上下動することを特徴としてもよい。
この構成によれば、第2駆動装置を金型装置の外側に配置するようなことがなく、コンパクトな構成とすることができる。
【0012】
また、前記第2駆動装置は、前記特殊打ち抜きパンチの上面に凹凸状に形成された第1カム部と、前記特殊打ち抜きパンチの上方に配置され、前記第1カム部と噛み合うように凹凸状に形成され、水平方向に移動可能な第2カム部と、前記第2カム部を水平方向に移動させて、前記第1カム部の凸部を前記第2カム部の凸部によって押圧することにより前記特殊打ち抜きパンチを駆動させる直動装置と、前記特殊打ち抜きパンチを上方に付勢する付勢手段と、を有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、特殊打ち抜きパンチの上面に対して第2カム部が水平移動して第1カム部の凸部を付勢手段の付勢力に抗して押圧することで、特殊打ち抜きパンチを下降させることができる。また、第1カム部の凸部が第2カム部の凸部から離れたときは付勢手段の付勢力によって特殊打ち抜きパンチは上昇する。
【0013】
また、前記第2カム部には、前記第1カム部に当接するカムフォロアが設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、カムフォロアが特殊打ち抜きパンチの第1カム部に当接することで、カム動作をスムーズに行うことができる。
【0014】
また、前記第2カム部が前記第1カム部を押圧していないときには、前記カムフォロアが前記第1カム部の凹部から凸部へ向かう傾斜面に接触しており、前記第1カム部と前記第2カム部との間に隙間が生じることを特徴としてもよい。
この構成によれば、カムフォロアが第1カム部に対して1点での線接触で接触できるため、両カム部の摩耗や破損を防止し、且つスムーズなカム動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱交換器用フィン製造用金型装置によれば、特殊打ち抜きパンチの駆動に際して、高速動作が可能であって、振動の影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】熱交換器用フィン製造装置の全体構成を示す説明図である。
図2】小上型ダイセットの平面図である。
図3】小下型ダイセットの平面図である。
図4】熱交換器用フィン製造用金型装置の側面図である。
図5】特殊打ち抜きパンチが上昇しているときの第2駆動装置の拡大図である。
図6】特殊打ち抜きパンチが下降途中の第2駆動装置の拡大図である。
図7】特殊打ち抜きパンチが下降したときの第2駆動装置の拡大図である。
図8】第1カム部と第2カム部が噛み合っているときのカムフォロアの接触点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る熱交換器用フィン製造用金型装置(以下、単に金型装置と称する場合がある)を図面に基づいて説明する。
熱交換器用フィンの製造装置の全体構成を図1に示す。
アルミニウム等の未加工の金属製の薄板41は、アンコイラー40にコイル状に巻回されている。アンコイラー40から引き出された薄板41は、ループコントローラ42内に挿入され、間欠送りされる薄板41のばたつきがループコントローラ42によって抑えられる。
【0018】
ループコントローラ42の下流側には、NCフィーダ44が設けられている。NCフィーダ44は、薄板41の上面と下面とに接触する2つのローラから構成されており、2つのローラが回転駆動することにより、薄板41を互いに挟み込んで薄板41を間欠送りする。
【0019】
NCフィーダ44の下流側には、金型装置30が設けられている。金型装置30は、内部に上型ダイセット32と下型ダイセット34を備えており、上型ダイセット32が下型ダイセット34に対して上下動して薄板41にプレス加工を施す。
【0020】
上型ダイセット32には、薄板41に対して透孔や切り欠きを形成するための複数のパンチ33が設けられており、下型ダイセット34には上型ダイセット32のパンチ33が進入する複数のダイ36が設けられている。
【0021】
上型ダイセット32の駆動は第1駆動装置50によって行われる。第1駆動装置としてはモータ52と、モータ52の回転駆動を上下方向の駆動に変換するクランクシャフト54とを有しており、クランクシャフト54が上型ダイセット32に接続されている。
モータ52の回転駆動力がクランクシャフト54によって上下動駆動力に変換されて、クランクシャフト54が上型ダイセット32を所定のタイミングで上下動させる。
【0022】
金型装置30の下流側には、金型装置30によって形成された透孔又は切り欠きに対して進入する送りピン55を有する搬送装置56が設けられている。搬送装置56は、NCフィーダ44と同期して、金型装置30の上型ダイセット32と下型ダイセット34が型開きの間に薄板41を間欠送りするように動作する。
【0023】
なお、搬送装置56の下流側には、薄板41を幅狭の金属帯状体に形成するため搬送方向と平行な複数の列に切断する列間スリット装置、金属帯状体を所定長さに切断するカットオフ装置、カットオフ装置によって切断されて形成された熱交換器用フィンを集積するスタッカがここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
また、熱交換器用フィンにおいて、熱交換チューブを挿入する透孔や切り欠き以外に、積層時において使用する箇所などで透孔や切り欠きの形成間隔とは異なる間隔で形成される打ち抜き箇所が必要なことがある。以下、このような打ち抜きを特殊打ち抜きと称する。
本実施形態では、金型装置30の上型ダイセット32内に特殊打ち抜きパンチ60を設け、下型ダイセット34の特殊打ち抜きパンチ60と対向する位置に特殊打ち抜きダイ62を設けている。
【0025】
上型ダイセット32の一部に、特殊打ち抜きパンチ60を設けた小上型ダイセット64を設けている。小上型ダイセット64は、上型ダイセット32に固定されており、上型ダイセット32と一体に上下動する。
特殊打ち抜きパンチ60は、上型ダイセット32の複数回の型閉じ動作のうち1回だけ動作する第2駆動装置66(後述する)によって駆動する。この第2駆動装置66は、小上型ダイセット64に配置される。
【0026】
図2に小上型ダイセットの平面図の一部を示し、図3に小上型ダイセットに対向する位置の小下型ダイセットの平面図の一部を示す。
また、図4に小上型ダイセットを含む金型装置を、薄板の搬送方向側面から見た断面図(側面図)を示す。
【0027】
小上型ダイセット64は上型ダイセット32の一部に固定されて設けられており、上型ダイセット32の上下動動作とともに上下動する。
小上型ダイセット64には、特殊打ち抜きパンチ60が金属製の薄板41の搬送方向と直交する方向に沿って複数設けられている。本実施形態では、幅方向に隣り合う特殊打ち抜きパンチ60が、隣どうしで搬送方向の位置が異なるよう、互い違いに配置されている。
【0028】
下型ダイセット34における小上型ダイセット64の特殊打ち抜きパンチ60と対向する位置には、特殊打ち抜きダイ62が設けられている。なお、本実施形態では、下型ダイセット34の一部に特殊打ち抜きダイ62が設けられた小下型ダイセット35が設けられている。
特殊打ち抜きダイ62に特殊打ち抜きパンチ60が進入することによって薄板41が打ち抜き加工される。
【0029】
特殊打ち抜きパンチ60の上面は、金属製の薄板41の搬送方向に沿って凹凸が形成された第1カム部70が形成されている。打ち抜きパンチ60は、小上型ダイセット64のパンチ保持部71に形成された貫通穴74から下方に向けて突出している。
特殊打ち抜きパンチ60の上部は、上面が第1カム部70として形成されているとともに、貫通穴74よりも大径のフランジ部75として形成されている。
【0030】
パンチ保持部71には、特殊打ち抜きパンチ60のフランジ部75の下面に当接して特殊打ち抜きパンチ60を上方に付勢する付勢部材77が設けられている。付勢部材77は、スプリングによってフランジ部75を押し上げる方向に付勢し、特殊打ち抜きパンチ60が駆動していない状態のときは特殊打ち抜きパンチ60を上昇させている。
また、特殊打ち抜きパンチ60が駆動して下降する場合、フランジ部75は付勢部材77の付勢力に抗して下降する。
【0031】
第1カム部70の上方には、第1カム部70と噛み合うように下方に向けて凹凸が形成された第2カム部72が設けられている。
第2カム部72は、水平面内で搬送方向に沿って移動可能に設けられている。第2カム部72には直動装置78が設けられており、直動装置78によって第2カム部72は水平面内で搬送方向に沿って往復動する。
【0032】
また、図2に示したように、直動装置78は具体的にはエアシリンダーであり、エアの吸排によってロッド80を駆動する。ロッド80の先端部には、1又は複数の第2カム部72に接続される接続部材82が設けられており、1つのエアシリンダー78が1又は複数(図2の例では3つ)の第2カム部72を往復動させる。
【0033】
次に、特殊打ち抜きパンチ60の駆動動作について詳細に説明する。
図5に特殊打ち抜きパンチが上昇した位置にある状態、図6に特殊打ち抜きパンチの動作中、図7に特殊打ち抜きパンチが動作して下降した位置にある状態を示す。また図8に特殊打ち抜きパンチが上昇しているときのカムフォロア近傍の拡大図を示す。
【0034】
特殊打ち抜きパンチ60の第1カム部70は、水平面を有する凹部88と、凹部88よりも上方に形成されて先端に水平面を有する凸部90と、凹部88と凸部90とを結ぶ傾斜面92がそれぞれ複数形成されている。
【0035】
第2カム部72は、第1カム部70の凹凸が形成された面と対向するよう、下面に凹凸が形成されて、第1カム部70と噛み合うような形状である。第2カム部72は、下方に向けて突出して先端に水平面を有する凸部94と、水平面を有し上方に向けて凹む凹部96と、凸部94と凹部96とを結ぶ傾斜面98がそれぞれ複数形成されている。
また、第2カム部72の凸部94から傾斜面98にかかる位置にはカムフォロア100が設けられている。カムフォロア100は第1カム部70に当接し、第2カム部72の移動方向に対してフリー回転するよう設けられている。
【0036】
図5に示すように、特殊打ち抜きパンチ60が上昇しているときはエアシリンダー78のロッド80が縮んでおり、第1カム部70の凹部88に第2カム部72の凸部94が進入し、第1カム部70の凸部90が第2カム部72の凹部96に進入するような位置に、第2カム部72が位置している。
なお、図5図7では、付勢部材77(図4)は省略して図示しているが、図5の状態では付勢部材77がフランジ部75を押し上げていることにより、特殊打ち抜きパンチ60が上昇している。
【0037】
図6に示すように、エアシリンダー78のロッド80が接続部材82を押動することによって、第2カム部72が移動開始する。
第1カム部70の傾斜面92は第2カム部72の進行方向に沿って上向きになるよう形成されており、カムフォロア100が傾斜面92を転動し、カムフォロア100が第1カム部70の傾斜面92を徐々に押し下げていく。すると、特殊打ち抜きパンチ60が徐々に下降する。
【0038】
図7には、特殊打ち抜きパンチ60が下死点に達したところを示している。エアシリンダー78のロッド80が接続部材82を介して第2カム部72を押動していくと、第2カム部72のカムフォロア100が、第1カム部70の傾斜面92から凸部90へ移動して第2カム部72が特殊打ち抜きパンチ60を完全に押し下げる。このように第1カム部70の凸部90と第2カム部72の凸部94に下死点が決まり、この位置で特殊打ち抜きパンチ60は、特殊打ち抜きダイ62とともに、金属製の薄板41を打ち抜く。
【0039】
その後、エアシリンダー78の動作はロッド80を縮める方向に動作する。すると、第2カム部72のカムフォロア100が、第1カム部70の凸部90から傾斜面92を経て凹部88の位置に戻る。
すると、特殊打ち抜きパンチ60のフランジ部75が付勢部材77によって押し上げられ、特殊打ち抜きパンチ60が上昇する。
【0040】
なお、図8に示すように、第2カム部72が第1カム部70を押圧していないときには、カムフォロア100は、第1カム部70の傾斜面92の一点に線接触するようにする。このとき第2カム部72のカムフォロア100以外の箇所は、第1カム部70とは接触しない。
したがって、第1カム部70と第2カム部72との間には隙間が生じており、第2カム部72のスムーズな移動を図ることができる。また、両カム部の摩耗や破損を防止することができる。
【0041】
なお、第2カム部72を往復動させる駆動源としてはエアシリンダーに限定するものではなく、油圧シリンダー、リニアアクチュエータ等を採用することができる。
【0042】
また、上述した実施形態では、特殊打ち抜きパンチを小上型ダイセットに設けた例について説明したが、小上型ダイセットが無く、特殊打ち抜きパンチが上型ダイセットに設けられていてもよい。さらに第2駆動装置が小上型ダイセットに設けられていなくてもよい。
【0043】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
30 金型装置
32 上型ダイセット
33 パンチ
34 下型ダイセット
35 小下型ダイセット
36 ダイ
40 アンコイラー
41 薄板
42 ループコントローラ
44 NCフィーダ
50 第1駆動装置
52 モータ
54 クランクシャフト
55 送りピン
56 搬送装置
60 特殊打ち抜きパンチ
62 特殊打ち抜きダイ
64 小上型ダイセット
66 第2駆動装置
70 第1カム部
71 パンチ保持部
72 第2カム部
74 貫通穴
75 フランジ部
77 付勢部材
78 直動装置(エアシリンダー)
80 ロッド
82 接続部材
88 凹部
90 凸部
92 傾斜面
94 凸部
96 凹部
98 傾斜面
100 カムフォロア
【要約】
【課題】上型ダイセットの動作とは別個に動作する特殊打ち抜き用のパンチを、高速動作が可能であって、振動の影響を小さくすることができるように設ける。
【解決手段】金属製の薄板41に対して熱交換器用フィンを形成するためのパンチ33が設けられ、第1駆動装置50によって上下動する上型ダイセット32と、パンチ33と対になっているダイ36が設けられた下型ダイセット34と、上型ダイセット32と一体に上下動しつつ、上型ダイセット32の下降動作の複数回に1回だけ金属製の薄板41を打ち抜くように第2駆動装置66によって駆動する特殊打ち抜きパンチ60と、下型ダイセット34において特殊打ち抜きパンチ60と対向する位置に設けられた特殊打ち抜きダイ62と、を具備する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8