(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品特定手段は、前記重量選別機によって良品として選別された前記物品が、前記物品検出手段の検出箇所に到達すると予測される到達予測時刻データを算出する到達予測時刻データ算出部と、前記重量選別機によって良品の物品が選別される度に、選別される良品の物品の重量値と、該良品の物品に対応して、前記到達予測時刻データ算出部によって算出される到達予測時刻データとが格納される記憶部と、前記物品検出手段によって物品が検出される度に、前記記憶部を検索して、物品が検出された検出時刻に該当する到達予測時刻データに対応する物品を、前記包装機へ供給される前記物品として特定する特定部とを有し、
前記積算重量値算出手段は、前記特定部によって特定される物品の重量値を、前記物品検出手段によって検出される物品の検出回数が、前記所定数になるまで積算して前記積算重量値を算出するという算出処理を繰り返す、
請求項2に記載の計量包装検査システム。
前記重量検査装置は、前記積算重量値に、前記所定数の物品を包装する包材の重量値を加算した重量値を基準値とし、該基準値に対して下限許容値及び上限許容値を用いて前記許容重量範囲を決定する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の計量包装検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、箱詰めされる物品を重量選別するものではあるが、重量以外についての検査を行うものではなく、また、箱詰めした包装品の重量の検査については、全く開示されていない。また、物品を複数列に整列させて供給するものであって、複数の各列にそれぞれ対応させて、計量部、振分け部、カットゲート部を複数設ける必要があり、複数の各列に対応して実質的に複数の重量選別機を設けるものであり、構成が複雑になる。
【0007】
一方、上記特許文献2は、包装機で袋詰めした包装袋の重量を単一の重量選別機で重量選別するものであるが、袋詰めされる個々の物品は、組合せ秤で組合せ計量されものであって、個々の物品の重量を重量選別機で計量して物品を選別するものではない。
【0008】
このように特許文献1及び特許文献2は、重量選別機で物品の重量を計量して選別し、重量選別された物品を、更に検査装置で検査して良品の物品を選別し、選別した物品を包装機へ供給し、包装機で所定数の物品を包装し、包装した包装品の重量を検査する計量包装検査システムではない。
【0009】
かかる計量包装検査システムとして、重量選別機で、例えば小箱の重量を計量して良品の小箱を選別し、選別した良品の小箱を、検査装置、例えば、金属検出装置やX線異物検出装置などで検査して良品の小箱を選別し、選別した良品の小箱を包装機へ供給し、包装機では、供給された良品の小箱の所定数を大箱に箱詰め包装し、この大箱の重量を重量検査装置で検査するシステムがある。
【0010】
この場合、重量検査装置では、大箱の重量を計量し、大箱の重量が、許容重量範囲内にあるときには、大箱に前記所定数の小箱が収納された良品であると判定し、許容重量範囲未満であるときには、所定数に満たない小箱が収納された不良品(欠品)と判定し、許容重量範囲を超えるときには、所定数を上回る小箱が収納された不良品(過量品)と判定する。
【0011】
すなわち、重量検査装置では、大箱の重量を検査することによって、大箱に所定数の小箱が過不足なく収納されているか否かを検査している。
【0012】
前記許容重量範囲は、基準値、上限許容値及び下限許容値に基づいて、(基準値−下限許容値)以上、(基準値+上限許容値)以下に規定される。
【0013】
従来、基準値、上限許容値及び下限許容値は、重量検査装置に設定される。基準値については、例えば、実際に計量される大箱の重量値の平均重量値になるように、補正される場合もある。
【0014】
しかしながら、大箱に包装される良品の小箱の重量のばらつきが大きかったり、その重量が急に変化するような場合には、大箱に前記所定数の小箱が収納されている良品であっても、その重量が許容重量範囲外となって欠品あるいは過量品と判定される場合がある。
【0015】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、重量選別機で物品の重量を計量して選別し、選別された物品が、更に検査装置で検査されて選別され、選別された良品の物品を包装機へ供給し、包装機で所定数の物品を包装し、包装品の重量を検査する計量包装検査システムにおいて、包装品に物品が過不足なく収納されているか否かを正確に検査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0017】
(1)本発明の計量包装検査システムは、物品の重量を計量して良品と不良品とに選別する重量選別機と、該重量選別機によって良品として選別された物品
の重量以外を検査して良品の物品を選別する検査選別装置と、該検査選別装置によって選別された良品の物品が供給されると共に、供給される良品の物品を、所定数毎に包装する包装機と、該包装機によって包装された包装品の重量を計量して検査する重量検査装置とを備える計量包装検査システムであって、前記重量検査装置は、計量した前記包装品の重量が、許容重量範囲内であるか否かを検査するものであり、前記重量検査装置は、
前記重量選別機によって良品として選別された前記物品の内、前記検査選別装置によって良品として選別されて前記包装機へ供給される物品の重量値を、前記所定数分積算した積算重量値を取得し、取得した前記積算重量値に基づいて、該積算重量値に対応する前記包装品の前記許容重量範囲を決定する。
【0018】
本発明によると、重量検査装置は
、重量選別機によって実際に計量されて良品として選別された物品の内、検査選別装置によって良品として選別されて包装機へ供給される物品の重量値を、所定数分積算した積算重量値を取得し、取得した積算重量値に基づいて、該積算重量値に対応する包装品の許容重量範囲を決定するので、重量選別機及び検査選別装置によって良品として選別されて包装機へ供給される良品の物品の重量のばらつきが大きかったり、良品の物品の重量が急に変化するような場合には、重量検査装置は、そのばらつきの大きな物品の重量や急に変化する物品の重量に応じた積算重量値を取得し、取得した積算重量値に基づいて、該積算重量値に対応する包装品の許容重量範囲を決定するので、ばらつきの大きな物品の重量や急に変化する物品の重量に応じた許容重量範囲を決定することができる。
【0019】
これによって、重量検査装置は、良品の物品の重量が大きくばらついたり、その重量が急に変化したときには、それに応じた許容重量範囲を決定して包装品の重量を検査するので、良品の物品の重量のばらつきや重量の急な変化の影響を受けることなく、包装品に所定数の物品が過不足なく収納されているか否かを正確に検査することができる。
【0020】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記検査選別装置によって良品として選別されて前記包装機へ供給される前記物品を検出する物品検出手段と、該物品検出手段の検出出力に基づいて、前記重量選別機によって良品として選別された前記物品の内、前記包装機へ供給される前記物品を特定する物品特定手段と、該物品特定手段によって特定される前記物品の重量値を、前記物品検出手段の検出出力に基づいて、前記所定数分積算して前記積算重量値を算出する積算重量値算出手段とを備える。
【0021】
この実施態様によると、物品特定手段によって、重量選別機で良品として選別された物品の内、包装機へ供給される物品を特定し、積算重量値算出手段では、特定される物品の重量値を所定数分積算して積算重量値を算出するので、重量選別機で良品として選別された物品が、検査選別装置によって検査されて不良品として排除されて包装機へ供給されない場合であっても、包装機へ供給される物品を特定してその重量値を正確に積算することができる。
【0022】
(3)上記(2)の実施態様では、前記物品特定手段は、前記重量選別機によって良品として選別された前記物品が、前記物品検出手段の検出箇所に到達すると予測される到達予測時刻データを算出する到達予測時刻データ算出部と、前記重量選別機によって良品の物品が選別される度に、選別される良品の物品の重量値と、該良品の物品に対応して、前記到達予測時刻データ算出部によって算出される到達予測時刻データとが格納される記憶部と、前記物品検出手段によって物品が検出される度に、前記記憶部を検索して、物品が検出された検出時刻に該当する到達予測時刻データに対応する物品を、前記包装機へ供給される前記物品として特定する特定部とを有し、前記積算重量値算出手段は、前記特定部によって特定される物品の重量値を、前記物品検出手段によって検出される物品の検出回数が、前記所定数になるまで積算して前記積算重量値を算出するという算出処理を繰り返すようにしてもよい。
【0023】
この実施態様によると、物品特定手段は、重量選別機によって良品の物品が選別される度に、選別された良品の物品の重量値と共に、該良品の物品が、包装機へ供給される物品を検出する物品検出手段の検出箇所に到達すると予測される到達予測時刻データを算出して記憶し、物品検出手段によって物品が検出される度に、記憶部を検索して、物品が検出された検出時刻に該当する到達予測時刻データに対応する物品を、包装機へ供給される物品として特定する。積算重量値算出手段では、物品検出手段によって物品が検出される度に、物品特定手段によって特定される物品に対応する重量値を、物品検出手段による検出回数が、所定数になるまで積算して積算重量値を算出するという算出処理を繰り返す。
【0024】
すなわち、重量選別機によって良品として物品が選別されると、その物品の重量値と共に、その物品が、包装機へ供給される物品を検出する物品検出手段の検出箇所に到達すると予測される時刻を、到達予測時刻データとして算出して記憶しておき、物品が、物品検出手段の検出箇所に到達して検出されると、その検出時刻に該当する到達予測時刻データが有るか否かを検索し、該当する到達予測時刻データが有るときには、検査選別装置によって不良品として排除されることなく、包装機へ供給される物品であるとして、その重量値を積算する一方、該当する到達予測時刻データが無いときには、検査選別装置によって不良品として排除された物品であるとして、その重量値は積算しないようにしている。
【0025】
これによって重量選別機によって良品として選別された物品の内、検査選別装置によって検査されて不良品として排除された物品を除いて、包装機へ供給される物品を特定し、特定した物品のみの重量値を所定数分積算して正確に積算重量値を算出することができる。
【0026】
(4)本発明の他の実施態様では、前記重量検査装置は、前記積算重量値に、前記所定数の物品を包装する包材の重量値を加算した重量値を基準値とし、該基準値に対して下限許容値及び上限許容値を用いて前記許容重量範囲を決定する。
【0027】
この実施態様によると、重量検査装置では、包装品として包装される所定数の物品の積算重量値、すなわち、包装される所定数の物品の合計重量値に、風袋重量である包材の重量を加算した重量値を基準値とし、この基準値に対して下限許容値及び上限許容値を用いて許容重量範囲を決定するので、包装される物品の重量が大きくばらついたり、急に変化したりしても、その重量に応じて積算重量値、したがって、基準値が規定されて許容重量範囲が決定されることになる。
【0028】
これによって、包装される物品の重量のばらつきが大きかったり、物品の重量が急に変化するような場合に、その重量の大きなばらつきや急な重量の変化の影響を受けることなく、包装品に、所定数の物品が過不足なく収納されているか否かを正確に検査することができる。
【0029】
(5)本発明の他の実施態様では、前記物品が一次包装品であり、前記包装機は、前記所定数の前記一次包装品を二次包装品に包装する。
【0030】
この実施態様によると、物品を箱詰めや袋詰めして一次包装品とし、この一次包装品の所定数を箱詰めや袋詰めして二次包装品を製造するのに好適である。とする
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記一次包装品が小箱であり、前記二次包装品が大箱である。
【0031】
この実施態様によると、大箱に所定数の小箱が過不足なく収納されているか否かを正確に検査することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、重量検査装置は、重量選別機で実際に計量されて良品として選別された物品の内、検査選別装置によって良品として選別されて包装機へ供給される物品の重量値を、所定数分積算した積算重量値を取得し、取得した積算重量値に基づいて、該積算重量値に対応する包装品の許容重量範囲を決定するので、重量選別機及び検査選別装置によって良品として選別されて包装機へ供給される良品の物品の重量のばらつきが大きかったり、良品の物品の重量が急に変化するような場合には、重量検査装置は、そのばらつきの大きな物品の重量や急に変化する物品の重量に応じた積算重量値を取得し、取得した積算重量値に基づいて、該積算重量値に対応する包装品の許容重量範囲を決定することができる。
【0033】
これによって、重量検査装置は、良品の物品の重量が大きくばらついたり、その重量が急に変化したときには、それに応じた許容重量範囲を決定して包装品を検査するので、良品の物品のばらつきの大きな重量や急に変化する重量の影響を受けることなく、包装品に、所定数の物品が過不足なく収納されているか否かを正確に検査することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る計量包装検査システムの概略構成を示す平面図である。
【0037】
この実施形態の計量包装検査システム1は、矢符A方向へ搬送される物品、例えば、小箱(図示せず)の重量を計量して良品と不良品とに選別する重量選別機2と、この重量選別機2によって良品として選別された小箱を検査して選別する複数(n)台の検査選別装置3
1〜3nと、選別された良品の小箱を、所定数毎に箱詰めして包装品である大箱(図示せず)として搬出する包装機7と、この包装機7から搬送コンベヤ6によって矢符B方向へ搬出される大箱の重量を検査する重量検査装置8と、検査結果に応じて大箱を振分ける包装品振分装置9とを備えている。なお、検査選別装置は、1台であってもよい。
【0038】
重量選別機2は、送込みコンベヤ21と、ロードセル等からなる重量センサ(図示せず)により支持された計量コンベヤ22と、計量結果に応じて小箱を良品と不良品とに振分ける物品振分装置23と、計量コンベヤ22に送り込まれる小箱を検出する第1物品検出器24と、重量選別機2の運転開始・停止や各種の運転パラメータの設定表示などを行う操作設定表示器25とを備えている。物品振分装置23は、振分コンベヤ26と、不良品である過量品及び軽量品を搬送経路外へ排出するための一対の振分アーム27a,27bとを備えている。第1物品検出器24は、例えば、投光器及び受光器を有する光電センサ等からなり、計量コンベヤ22へ送り込まれる小箱を検出する。
【0039】
この重量選別機2は、送込みコンベヤ21によって、選別対象である小箱を1個ずつ計量コンベヤ22へ順次送り込み、計量コンベヤ22では、第1物品検出器24による小箱検出のタイミングに基づいて、送り込まれた小箱を搬送しながらその重量を計量し、計量結果に応じて物品振分装置23によって、小箱を振分ける。物品振分装置23では、計量コンベヤ22によって計量された小箱の重量が、適量重量範囲内の良品であるときには、振分アーム27a,27bを作動させることなく、搬送方向の下流側の検査選別装置3
1へ搬送し、前記適量重量範囲を上回る不良品(過量品)、または、前記適量重量範囲を下回る不良品(軽量品)であるときには、振分アーム27aまたは振分アーム27bを、矢符で示すようにそれぞれ回動させることによって、振分コンベヤ26上の小箱を、搬送経路外へ排出する。
【0040】
複数(n)台の検査選別装置3
1〜3nは、小箱について重量以外の検査を行う検査装置4
1〜4nと、その検査結果に応じて小箱を振分けて選別する振分装置5
1〜5nとをそれぞれ備えている。前記検査選別装置3
1〜3nの検査装置4
1〜4nとしては、例えば、小箱の中に金属などの異物が混入していないかを検査する金属検査装置やX線検査装置、あるいは、小箱の搬送姿勢が、大箱への箱詰めに適した姿勢であるか否かを検査する撮像カメラを備える姿勢検査装置などがある。振分装置5
1〜5nは、検査装置4
1〜4nでの検査結果に応じて、小箱を良品と不良品とに振分けるものであり、不良品と判定された小箱を、搬送経路外へ排出するものであり、例えば、振分アームやプッシャーなどによって物品を排出する。
【0041】
搬送方向の下流側の検査選別装置3nを通過した良品の小箱は、包装機7によって所定数毎に大箱に箱詰めされる。包装機7へ送り込まれる直前の小箱は、物品検出手段としての第2物品検出器11によって検出される。
【0042】
重量選別機2と包装機7との間には、検査選別装置3
1〜3nが設けられているので、重量選別機2によって良品として重量選別された小箱は、検査選別装置3
1〜3nによる検査によって不良品として排除される場合があり、重量選別機2によって良品として重量選別された小箱の全てが包装機7に供給されて箱詰めされるものではない。
【0043】
所定数の小箱が箱詰めされて包装機7から搬出される大箱は、搬送コンベヤ6によって重量検査装置8に送り込まれる。重量検査装置8は、ロードセル等からなる重量センサ(図示せず)により支持された計量コンベヤ16と、計量コンベヤ16に順次送り込まれる大箱を検出する包装品検出器17と、重量検査装置8の運転開始・停止や各種の運転パラメータの設定表示などを行う操作設定表示器18とを備えている。
【0044】
重量検査装置8での検査結果に応じて、大箱を振分ける包装品振分装置9は、振分コンベヤ12と、不良品を搬送経路外へ排出するためのプッシャー13とを備えるプッシャー式の振分装置である。包装品検出器17は、例えば、投光器及び受光器を有する光電センサ等からなり、計量コンベヤ16へ送り込まれる大箱を検出する。
【0045】
重量検査装置8の計量コンベヤ16には、搬送コンベヤ6から1個ずつ大箱が順次送り込まれ、計量コンベヤ16では、包装品検出器17による大箱検出のタイミングに基づいて、大箱を搬送しながらその重量を計量し、許容重量範囲内の良品であるか否かを検査する。包装品振分装置9は、良品であるときには、プッシャー13を作動させることなく、包装品振分装置9の下流側へ良品として搬送し、許容重量範囲外の不良品であるときには、プッシャー13を振分コンベヤ12上に進出させて大箱を搬送経路外に押出して排出する。
【0046】
図2は、
図1の計量包装検査システムの要部のブロック図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0047】
重量選別機2は、重量選別機制御部28を備えており、この重量選別機制御部28は、送込みコンベヤ21、計量コンベヤ22、振分コンベヤ26及び振分アーム27a,27b等の各部を制御する。重量選別機制御部28は、上記のように第1物品検出器24による小箱検出のタイミングに基づいて、計量コンベヤ22によって小箱の重量を計量して良否を判定し、不良品であるときには、振分アーム27a,27bを制御して搬送経路外へ排出する。
【0048】
各検査選別装置3
1〜3nは、搬送方向の上流側から搬送されて来る小箱をそれぞれ検査し、良品の小箱を搬送方向の下流側へそれぞれ搬送し、不良品の小箱を搬送経路外へ排出する。
【0049】
重量検査装置8は、重量検査装置制御部87を備えており、この重量検査装置制御部87は、計量コンベヤ16、振分コンベヤ12及びプッシャー13等の各部を制御する。この重量検査装置制御部87は、上記のように包装品検出器17による大箱検出のタイミングに基づいて、計量コンベヤ16によって大箱の重量を計量して良否を判定し、不良品であるときには、プッシャー13を制御して搬送経路外へ排出する。
【0050】
この実施形態では、計量包装検査システム1の全体を制御する制御部10を備えており、制御部10に対して、操作設定表示部14によって後述の到達時間や所定数等の各種設定や表示を行う。この制御部10は、重量選別機制御部28、重量検査装置制御部87及び包装機7と通信可能であり、例えば、LANによって通信可能に接続されている。
【0051】
重量検査装置8では、上記のように、大箱の重量を計量し、大箱の重量が、許容重量範囲内にあるときには、大箱に所定数の小箱が収納された良品であると判定し、許容重量範囲未満であるときには、所定数に満たない小箱が収納された不良品(欠品)と判定し、許容重量範囲を超えるときには、所定数を上回る小箱が収納された不良品(過量品)と判定する。
【0052】
すなわち、重量検査装置8では、大箱の重量を検査することによって、大箱に所定数の小箱が過不足なく収納されているか否かを検査している。
【0053】
前記許容重量範囲は、基準値、上限許容値及び下限許容値に基づいて、(基準値−下限許容値)以上、(基準値+上限許容値)以下に規定される。
【0054】
従来では、基準値は予め設定されたり、例えば、実際に計量される大箱の重量値の平均重量値になるように、補正されている。
【0055】
しかしながら、大箱として包装される良品の小箱の重量のばらつきが大きかったり、その重量が急に変化するような場合には、大箱に前記所定数の小箱が収納されている良品であっても、その重量が許容重量範囲外となって欠品あるいは過量品と判定される場合がある。
【0056】
この実施形態では、大箱に収納される小箱の重量のばらつきが大きかったり、その重量が急に変化するような場合にも、大箱に所定数の小箱が過不足なく収納されているか否かを正確に検査できるように、次のように構成している。
【0057】
すなわち、この実施形態では、制御部10は、例えば、マイクロコンピュータなどから構成されており、この制御部10は、包装機7に供給される直前の小箱を検出する第2物品検出器11の検出出力に基づいて、重量選別機2によって良品として選別された小箱の内、包装機7へ供給される小箱を特定する物品特定手段30と、この物品特定手段30によって特定される小箱の重量値を、第2物品検出器11の検出出力に基づいて、所定数分積算して大箱に収納される小箱の合計重量値である積算重量値を算出する積算重量値算出手段31としての機能を備えている。また、制御部10は、時刻データを取得するために、リアルタイムクロック(図示せず)を内蔵している。
【0058】
制御部10は、重量選別機2によって良品として選別された小箱の内、検査選別装置3
1〜3nで検査されて良品として選別され、包装機7へ供給される良品の小箱の重量値を、所定数分積算して大箱に収納される小箱の合計重量値である積算重量値を算出する。制御部10は、算出した積算重量値を、その積算重量値に対応する大箱が重量検査装置8へ送り込まれるタイミングで重量検査装置8に送信する。
【0059】
重量検査装置8は、積算重量値を受信し、受信した積算重量値に基づいて、後述のように許容重量範囲を決定し、決定した許容重量範囲に基づいて、大箱の良否を判定する。
【0060】
包装機7で大箱に箱詰めされる所定数分の小箱の重量値を積算して積算重量値を算出するためには、重量選別機2によって良品として選別された小箱の内、検査選別装置3
1〜3nによって検査されて不良品として排除された小箱の重量値を除いて所定数分の小箱の重量値を積算する必要がある。
【0061】
すなわち、重量選別機2によって良品として選別された小箱の内、包装機7へ供給される小箱を特定する必要がある。
【0062】
そこで、制御部10では、重量選別機2によって小箱が計量されて良品と判定されて、その重量値を示す重量データが受信される度に、その受信時刻に基づいて、良品と判定された小箱が、検査選別装置3
1〜3nを経て包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所に到達すると予測される時刻データである到達予測時刻データを算出し、算出した到達予測時刻データと、良品と判定された小箱の重量値を示す重量データとを対応させて内蔵のメモリ33に順次格納する。
【0063】
この実施形態では、到達予測時刻データは、制御部10で良品の小箱の重量データを受信した受信時刻に基づいて算出されるものであって、包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所に、前記受信した重量データに対応する良品の小箱が、到達すると予測される一定の時間幅をもって規定される。具体的には、第2物品検出器11の検出箇所に最も早く到達すると予測される最短到達予測時刻と、最も遅く到達すると予測される最長到達予測時刻とによって規定される。
【0064】
重量選別機2によって良品として選別された小箱が、検査選別装置3
1〜3nによって検査されて良品として選別されて、包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所へ到達するまでに要する到達時間は、一定の時間幅で予測することができる。したがって、この一定の時間幅の到達時間と上記受信時刻とに基づいて、到達予測時刻データを算出することができる。制御部10に対して、操作設定操作部14を操作して、一定の時間幅の到達時間を予め設定することによって、到達予測時刻データを算出することができる。
【0065】
例えば、一定の時間幅の到達時間を、5秒200ms〜5秒350msとし、重量選別機2によって良品として選別された小箱の重量データが制御部10で受信された時刻を、例えば、9時20分32秒300msとすると、第2物品検出器11の検出箇所に最も早く到達すると予測される最短到達予測時刻は、9時20分37秒500msとなり、最も遅く到達すると予測される最長到達予測時刻は、9時20分37秒650msとなる。したがって、第2物品検出器11の検出箇所に到達した小箱が検出され、その検出時刻が、到達予測時刻データである9時20分37秒500ms〜9時20分37秒650msであれば、すなわち、その検出時刻が、到達予測時刻データに該当すれば、その小箱は、9時20分32秒300msに重量データを制御部10で受信した良品の小箱となる。つまり、重量選別機2によって計量されて良品と判定された小箱の内、包装機7へ供給されて箱詰めされる小箱が特定されることになる。特定された小箱の重量データである重量値はメモリ33から読み出されて積算される。
【0066】
一方、重量選別機2によって良品の小箱として選別されたが、検査選別装置3
1〜3nのいずれかによって検査されて不良品として選別されて搬送経路外へ排除された小箱は、包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所に到達することはなく、第2物品検出器11で検出されることはない。したがって、不良品として選別されて搬送経路外へ排除された小箱の到達予測時刻データに対応する重量データは、メモリ33から読み出されることもない、
このようにして制御部10は、その物品特定手段30によって、重量選別機2によって良品として選別された小箱の内、包装機7へ供給される小箱を特定するものである。この物品特定手段30は、重量選別機2によって良品として選別された小箱が、包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所に到達すると予測される到達予測時刻データを算出する到達予測時刻データ算出部32と、重量選別機2によって良品の小箱が選別される度に、選別される良品の小箱の重量値と、この良品の小箱に対応して、到達予測時刻データ算出部32によって算出される到達予測時刻データとが格納される記憶部としての前記メモリ33と、第2物品検出器11によって小箱が検出される度に、メモリ33を検索して、物品が検出された検出時刻に該当する到達予測時刻データに対応する物品を、包装機7へ供給される小箱として特定する特定部34とを有している。
【0067】
制御部10の積算重量値算出手段31は、特定部34によって特定される小箱の重量値を、第2物品検出器11によって検出される小箱の検出回数が、前記所定数になるまで積算して積算重量値を算出する。また、制御部10は、小箱の検出回数が、前記所定数になると、包装機7に対して所定数の小箱の供給が完了したことを示す供給完了信号を送信する。
【0068】
この実施形態では、制御部10は、
図3に模式的に示すように、メモリ33に、重量選別機2で良品の小箱が選別される度に、重量選別機2から送信される良品の小箱の重量値を示す重量データと、その小箱が第2物品検出器11の検出箇所に到達すると予測される到達予測時刻データである最短到達予測時刻及び最長到達予測時刻とが対応付けられて順次格納される。
【0069】
この実施形態のメモリ33は、データを格納するアドレスを示すデータ格納アドレスポインタが、或る程度大きくなると、最後のアドレスを示すポインタが、先頭のアドレスを示すようにしたリングメモリである。このリングメモリでは、リング上にデータを順次書込み,リングを一周すると古いデータに上書きする形式でデータを書き進むものである。したがって、検査選別装置3
1〜3nによって検査されて不良品として選別されて搬送経路外へ排除された小箱に対応する重量データ及び到達予測時刻データを消去する必要はない。
【0070】
制御部10は、上記のようにして、第2物品検出器11によって良品の小箱が検出される度に、その検出時刻に該当する到達予測時刻データの小箱に対応する重量値をリングメモリから読み出し、所定数分積算し、大箱に対応する小箱の積算重量値を算出する。制御部10は、算出した積算重量値を、対応する大箱が重量検査装置8へ送り込まれるタイミングに対応させて、重量検査装置8の重量検査装置制御部87へ許容重量範囲を決定するための積算重量値として送信する。制御部10には、第2物品検出器11で検出された所定数となる小箱が、包装機7へ供給され、包装機7で大箱に包装され、その大箱が、包装品検出器17によって検出されるまでに、大箱何個分のずれがあるか、すなわち、所定数となる小箱が第2物品検出器11で検出される時点で、第2物品検出器11と包装品検出器17との間に、何個の大箱が存在するかが、予め設定されている。したがって、制御部10は、小箱の重量値を所定数分積算した積算重量値を、包装品検出器17によって検出されて重量検査装置8へ送り込まれる大箱に対応させることができる。
【0071】
重量検査装置8は、積算重量値を受信して取得し、取得した積算重量値に、所定数の小箱を箱詰めする包材である大箱自体の重量値(風袋重量)を加算して基準値とし、許容重量範囲を決定する。
【0072】
具体的には、この基準値と、下限許容値及び上限許容値とを用いて、大箱の許容重量範囲を、(基準値−下限許容値)以上で、(基準値+上限許容値)以下の範囲に決定する。下限許容値及び上限許容値は、例えば、大箱の正規の重量の1/2としてもよい。
【0073】
重量検査装置8では、包装機7から搬出される大箱の重量を計量し、大箱の重量が、前記許容重量範囲内であるか否か判定し、許容重量範囲内にあるときには、大箱に所定数の小箱が収納された良品であると判定し、許容重量範囲未満であるときには、所定数に満たない小箱が収納された不良品(欠品)と判定し、許容重量範囲を超えるときには、所定数を上回る小箱が収納された不良品(過量品)と判定する。
【0074】
このように重量検査装置8では、重量選別機2で実際に計量されて良品として選別された物品の内、検査選別装置3
1〜3nによって良品として選別されて包装機7へ供給される物品の重量値を、所定数分積算した積算重量値を取得し、この積算重量値に基づいて、許容重量範囲を決定し、この許容重量範囲に基づいて大箱の重量を検査するので、良品の小箱の重量が大きくばらついたり、良品の小箱の重量が急に変化しても、それに応じた許容重量範囲が決定され、良品の小箱の重量の大きなばらつきや急な重量の変化の影響を受けることなく、重量検査装置8では、大箱に所定数の小箱が過不足なく収納されているか否かを正確に検査することができる。
【0075】
以下、本実施形態の制御部10の動作を、
図4〜
図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
図4は、全体の動作の概要を示すフローチャートである。
【0077】
先ず、運転スイッチがONされたか否かを判断し(ステップS1)、運転スイッチがONされると、初期設定が行われる(ステップS2)。具体的には、良品の小箱の重量値を示す重量データのメモリエリアをクリアし、データ格納アドレスを示すデータ格納アドレスポインタを初期化し、大箱へ箱詰めするために投入される小箱の数を計数する投入数カウンタをクリアし、良品の小箱の重量値の積算値を格納する積算値メモリをクリアし、ステップS3に移る。
【0078】
ステップS3では、小箱の重量データの格納処理のための制御を行い、ステップS4に移り、ステップS4では、包装機7へ供給される小箱の検出制御を行い、ステップS5に移り、ステップS5では、重量検査装置8に対する制御を行いステップS6に移る。ステップS6では、運転スイッチがOFFされたか否かを判断し、OFFされていないときには、ステップS3に戻り、OFFされているときには、終了する。
【0079】
図5は、上記
図4のステップS3の小箱の重量データの格納処理のための制御の詳細を示すフローチャートである。
【0080】
先ず、重量選別機2から良品の小箱の重量値を示す重量データの送信があるか否か判断し(ステップS301)、重量データの送信がないときには、終了し、重量データの送信があるときには、重量データを受信すると共に、受信時刻を読み込み(ステップS302)、受信した重量データの重量値に対応する小箱が、包装機7の直前の第2物品検出器11の検出箇所に到達すると予測される時刻である到達予測時刻データとして、最短到達予測時刻及び最長到達予測時刻を算出し(ステップS303)、ステップS304に移る。
【0081】
ステップS304では、受信した良品の小箱の重量値を示す重量データと算出した到達予測時刻データとを対応させて、データ格納アドレスポインタが示すメモリのアドレスに格納し、データ格納アドレスポインタのアドレスを次のアドレスにし(ステップS305)、ステップS306に移る。
【0082】
ステップS306では、データ格納アドレスポインタのアドレスが所定値を超えるか否か判断し、所定値を超えないときには、終了し、所定値を超えるときには、データ格納アドレスポインタを初期化して終了する。
【0083】
図6は、上記
図4のステップS4の包装機7へ供給される小箱の検出制御の詳細を示すフローチャートである。
【0084】
包装機7の直前の第2物品検出器11によって良品の小箱が検出されたか否かを判断し(ステップS401)、検出されないときには終了し、検出されたときには、その検出時刻を読み込み(ステップS402)、ステップS403に移る。
【0085】
ステップS403では、検出時刻に該当する到達予測時刻データを検索し、該当する到達予測時刻データが有るか否かを判断し(ステップS404)、該当する到達予測時刻データが有るときには、検出された小箱が包装機7へ供給されるので、大箱へ箱詰めするために投入される小箱の個数を計数する投入数カウンタの計数値に「1」を加算し(ステップS405)、該当する到達予測時刻データに対応する小箱の重量値を積算し(ステップS406)、ステップS407に移る。
【0086】
ステップS407では、大箱へ箱詰めされる小箱の個数が所定数になったか否かを判断し、所定数になっていないときには、終了し、所定数になったときには、包装機7へ所定数の小箱の供給が完了したことを示す供給完了信号を包装機7へ送信し(ステップS408)、ステップS409へ移る。
【0087】
ステップS409では、所定数分の小箱の重量値を積算した積算重量値を、重量検査装置8へ送信するための送信データとしてセットし、大箱へ箱詰めするために投入される小箱の個数を計数する投入数カウンタをクリアすると共に、小箱の重量を積算した積算値メモリをクリアして終了する。
【0088】
上記ステップS404において、検出時刻に該当する到達予測時刻データが無いときには、最短到達予測時刻及び最長到達予測時刻を算出するための一定の時間幅の到達時間の設定に誤りがあるので、警報を発してオペレータに報知する(ステップS411)。
【0089】
図7は、上記
図4のステップS5の重量検査装置8に対する制御の詳細を示すフローチャートである。
【0090】
包装品検出センサ17によって、包装品である大箱を検出したか否かを判断し(ステップS501)、検出していないときには、終了し、検出したときには、ステップS502に移る。ステップS502では、検出した大箱に対応する積算重量値を送信データとして重量検査装置8に送信し、送信データメモリをクリアして終了する(ステップS503)。
【0091】
なお、重量検査装置8では、上記のように積算重量値を受信して許容重量範囲を決定し、包装機7から供給される大箱の重量を計量し、計量した重量が、決定した許容重量範囲内の良品であるか否か、すなわち、所定数の小箱が大箱に収納されているか否かを検査する。
【0092】
本発明の他の実施形態として、上記制御部10は、重量選別機2の重量選別機制御部28、あるいは、重量検査装置8の重量検査装置制御部87に組み込んでもよい。
【0093】
上記実施形態では、重量選別機2では、小箱の重量選別を行ったが、小箱に限らず、小箱や包装されていない物品であってもよい。また、包装機7では、箱詰め包装を行ったが、袋詰め包装等を行うものであってもよい。