(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材の前方に配置された液晶シャッタとを有し、前記液晶シャッタに、液晶層と、前記液晶層の前方に位置する上側電極と、前記液晶層の後方に位置する下側電極が設けられている表示装置において、
前記下側電極が複数に分割されて、前記液晶シャッタが、分割されたそれぞれの前記下側電極に対応して第1の領域と第2の領域に区分されており、
前記上側電極と、第2の領域に位置する前記下側電極と、の間に電位差を与えるように接続された電源と、第1の領域に位置する前記下側電極と、前記電源と、の間に接続されたスイッチとが設けられており、
(A)前記電源がオフのときに、前記第1の領域と前記第2の領域とが不透過となり、
(B)前記スイッチの切替えにより、前記上側電極と、前記第1の領域に位置する前記下側電極との間に電位差が与えられると、前記第1の領域と前記第2の領域とが透過となり、
(C)前記スイッチの切替えにより、前記上側電極と、前記第1の領域に位置する前記下側電極とが同電位になると、前記第2の領域が透過で前記第1の領域が不透過となるように、
前記液晶シャッタが切換えられることを特徴とする表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、液晶シャッタの電極の構造や、液晶シャッタの電極に電圧を印加する回路の構成が開示されていない。すなわち、黒浮きや黒むらを抑え、コントラスト比を高める具体的な構成が開示されていない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、黒色を表示したときの黒浮きや黒むらを抑えることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像を表示する液晶表示部材と、前記液晶表示部材の前方に配置された液晶シャッタとを有し、前記液晶シャッタに、液晶層と、前記液晶層の前方に位置する上側電極と、前記液晶層の後方に位置する下側電極が設けられている表示装置において、
前記下側電極が複数に分割されて、前記液晶シャッタが
、分割されたそれぞれの前記下側電極に対応
して第1の領域と第2の領域に区分されており、
前記上側電極と
、第2の領域に位置する前記下側電極
と、の間
に電位差を与えるように接続された電源と、第1の領域に位置する前記下側電極と、前記電源と、の間に接続されたスイッチ
とが設けられており、
(A)前記電源がオフのときに、前記第1の領域と前記第2の領域とが不透過となり、
(B)前記スイッチの切替えにより、
前記上側電極と、前記第1の領域に位置する前記下側電極との間に電位差が与えられると、前記第1の領域と前記第2の領域とが透過となり、
(C)前記スイッチの切替えにより、前記上側電極と、前記第1の領域に位置する前記下側電極とが同電位になると、前記第2の領域が透過で前記第1の領域が不透過となるように、
前記液晶シャッタ
が切換えられることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の表示装置によれば、複数の電極に対応する複数の領域のそれぞれを透過状態と不透過状態とに切り替える電源回路が設けられている。そのため、液晶表示部材が黒色の画像を表示し、複数の領域のうちの任意領域が電源回路により不透過状態に設定されることで、表示装置を正面からみたときの黒浮きや黒むらを抑えることができる。また、夜間における黒浮きや黒むらを抑えることができる。これにより、コントラスト比を高めることができる。コントラスト比を高めることができるため、例えば装飾パーツなどを使用しなくとも、奥行き感や立体表現を実現することができる。
【0009】
また、電源回路は、複数の電極により形成された下側電極に対してひとつの電源により電圧を印加する。そのため、電源回路は、ひとつの電源により複数の領域のそれぞれを透過状態と不透過状態とに切り替えることができる。さらに、上側電極がひとつの電極により形成されている。すなわち、上側電極は、いわゆるべた電極である。そのため、上側電極のオーバーコート層を不要にすることができる。
【0010】
例えば、本発明の表示装置は、車両に搭載されており、車両のエンジンが停止状態とときに、前記液晶シャッタは、
前記(A)の状態に設定される。
【0011】
また、前記エンジンが始動したときに、前記液晶シャッタは、
前記(B)の状態に設定される。
【0012】
さらに、車速検出部が設けられており、車両の速度が所定値になると、前記液晶シャッタは、
前記(C)の状態に設定される。
【0013】
制御部は、液晶表示部材が表示する画像の動作モードと、車速検出部により検出された車両の速度と、に基づいて電源回路を制御する。すなわち、複数の電極に対応する複数の領域のそれぞれは、液晶表示部材が表示する画像の動作モードと、車速検出部により検出された車両の速度と、に基づいて透過状態と不透過状態とに切り替えられる。そのため、車両が所定の速度以上で走行すると、不要な情報を非表示に設定し、表示装置の表示を簡素化することができる。これにより、車両の走行中の視認性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、黒色を表示したときの黒浮きや黒むらを抑えることができる表示装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る表示装置の要部構成を表すブロック図である。
図2は、本実施形態の液晶シャッタおよび液晶表示部材の要部構成を表す模式的断面図である。
図3は、本実施形態のシャッタ液晶セルの要部構成を表す模式的断面図である。
【0017】
本実施形態に係る表示装置10は、液晶シャッタ100と、液晶表示部材200と、電源回路300(
図4参照)と、オプティカルカップリング400と、を備える。液晶シャッタ100は、オプティカルカップリング400を介して液晶表示部材200の前方に配置されている。
【0018】
液晶シャッタ100には、交流化電圧(電源)310を介して電源320が接続されている。交流化電源310は、電源320から供給された電圧を所定の交流電圧に変換し、液晶シャッタ100の動作に必要な電圧を供給する。これにより、液晶シャッタ100は、所定の領域を透過状態に設定したり、不透過状態に設定したりする。この詳細については、後述する。液晶表示部材200には、電源330が接続されている。電源330は、液晶表示部材200の動作に必要な電圧を供給する。
【0019】
図2に表したように、液晶シャッタ100は、シャッタ液晶セル110と、第1の偏光板120と、第2の偏光板130と、表面処理層140と、を有する。シャッタ液晶セル110は、例えばVA(Virtical Alignment)液晶セルである。なお、シャッタ液晶セル110は、VA液晶セルには限定されない。
【0020】
シャッタ液晶セル110は、第1の偏光板120と、第2の偏光板130と、の間に設けられている。
図3に表したように、シャッタ液晶セル110は、液晶層111と、上側配向膜112と、下側配向膜113と、下側オーバーコート層115と、上側透明電極(上側電極)116と、下側透明電極(下側電極)117と、上側ガラス118と、下側ガラス119と、を有する。
【0021】
液晶層111は、上側配向膜112と、下側配向膜113と、の間に設けられている。液晶層111、上側配向膜112および下側配向膜113は、下側オーバーコート層115の前方に設けられている。液晶層111、上側配向膜112、下側配向膜113および下側オーバーコート層115は、上側透明電極116と、下側透明電極117と、の間に設けられている。液晶層111、上側配向膜112、下側配向膜113、下側オーバーコート層115、上側透明電極116および下側透明電極117は、上側ガラス118と、下側ガラス119と、の間に設けられている。このように、上側透明電極116は、液晶層111の前方に設けられている。また、下側透明電極117は、液晶層111の後方に設けられている。
【0022】
上側透明電極116および下側透明電極117は、透明導電性材料により形成されている。透明導電性材料としては、例えばITO、SnO
2、ZnOなどが挙げられる。あるいは、透明導電性材料としては、銀ナノワイヤに代表される金属ナノワイヤ、メッシュ状に形成された薄い金属、あるいは導電性ポリマーなどが挙げられる。上側透明電極116および下側透明電極117は、導電性インクでスクリーン印刷により形成されてもよい。あるいは、上側透明電極116および下側透明電極117は、感光型導電性シート(いわゆる、ドライフィルムレジストに導電層を有したシート)によって形成されてもよい。
【0023】
図2に示されている第1の偏光板120は、シャッタ液晶セル110からみて液晶表示部材200とは反対の側(前方側)に設けられている。第2の偏光板130は、シャッタ液晶セル110と液晶表示部材200との間に設けられている。第1の偏光板120の透過軸の角度は、第2の偏光板130の透過軸の角度に対して直交している。
【0024】
図2に示されている表面処理層140は、第1の偏光板120からみてシャッタ液晶セル110とは反対側(前方側)に設けられている。表面処理層140は、第1の偏光板120の表面に設けられ、指紋防止(AF:Anti-Fingerprint)コート層と、反射防止(AR:Anti-Reflection)コート層と、ハードコート(HC:Hard-Coat)層と、を含む。
【0025】
図2に表されているように、液晶表示部材200は、グラフィック液晶セル210と、第1の偏光板220と、第2の偏光板230と、バックライト240と、を有する。グラフィック液晶セル210、第1の偏光板220、第2の偏光板230およびバックライト240は、例えば金属などにより形成されたケースの内部に収納されている。
【0026】
グラフィック液晶セル210は、例えばIPS(In Plane Switchig:登録商標)液晶セルである。なお、グラフィック液晶セル210は、IPS(登録商標)液晶セルには限定されない。
【0027】
グラフィック液晶セル210は、第1の偏光板220と、第2の偏光板230と、の間に設けられている。第1の偏光板220の透過軸の角度は、第2の偏光板230の透過軸の角度に対して直交している。例えば、第1の偏光板220の透過軸の角度は、液晶シャッタ100の第2の偏光板130の透過軸の角度と同じである。例えば、第2の偏光板230の透過軸の角度は、液晶シャッタ100の第1の偏光板120の透過軸の角度と同じである。
【0028】
オプティカルカップリング400は、液晶シャッタ100と液晶表示部材200との間に設けられている。液晶シャッタ100と液晶表示部材200とは、オプティカルカップリング400により互いに光学的に結合している。オプティカルカップリング400としては、例えばアクリル系粘着剤や両面粘着テープ等などが挙げられる。
【0029】
所定の周波数および電位差を有する電圧がシャッタ液晶セル110に印加されると、シャッタ液晶セル110内の液晶層111が反応して透過状態になる。これにより、液晶シャッタ100の所定の領域が透過状態になる。一方で、電圧の印加を解除すると、シャッタ液晶セル110内の液晶層111が反応しない状態に戻って不透過状態になる。これにより、液晶シャッタ100の所定の領域が不透過状態になる。これについて、図面を参照しつつさらに説明する。
【0030】
図4は、上側透明電極と、下側透明電極と、液晶表示部材と、の関係の例を表す模式図である。
【0031】
図5は、上側透明電極および下側透明電極に印加される電圧の波形の例を表すグラフ図である。
【0032】
図4に表したように、上側透明電極116は、ひとつの電極により形成されている。すなわち、上側透明電極116は、いわゆるべた電極である。一方で、下側透明電極117は、複数の電極により形成されている。具体的には、下側透明電極117は、第1の下側透明電極117Aと、第2の下側透明電極117Bと、により形成されている。なお、下側透明電極117は、ふたつの電極ではなく、3つ以上の電極により形成されていてもよい。
【0033】
前記電源回路300は、交流化電源310と、スイッチ340と、を有する。電源回路300は、ひとつの交流化電源310により上側透明電極116および下側透明電極117に電圧を印加する。
【0034】
液晶層111は、第1の液晶領域111Aと、第2の液晶領域111Bと、を有する。第1の液晶領域111Aは、第1の下側透明電極117Aに対応する。第1の液晶領域111Aは、液晶シャッタ100の第1の領域100Aに相当する。第2の液晶領域111Bは、第2の下側透明電極117Bに対応する。第2の液晶領域111Bは、第2の領域100Bに相当する。
【0035】
例えば、液晶表示部材200は、第1の領域100Aに対応する領域に、オーディオに関する画像や、ナビゲーションに関する画像や、テレビ映像などを表示する。例えば、液晶表示部材200は、第2の領域100Bに対応する領域に、カーエアコンに関する画像や、車両状態に関する画像を表示する。
【0036】
第1の領域100Aおよび第2の領域100Bのそれぞれは、液晶表示部材200の動作時において透過状態または非透過状態に設定される。透過状態と非透過状態との切り替えは、交流化電源310から供給される交流電圧と、スイッチ340と、により行われる。具体的には、スイッチ340は、制御部510から送信された制御信号に基づいて切り替わり、上側透明電極116および下側透明電極117に対して、互いに同電位の電圧と、所定の周波数および互いに電位差を有する電圧と、を選択的に印加する。
【0037】
所定の周波数および互いに電位差を有する電圧が上側透明電極116および下側透明電極117に印加されると、上側透明電極116と、下側透明電極117と、の間に配置された液晶層111が反応して透過状態になる。このときには、液晶シャッタ100は、透過状態になる。一方で、所定の周波数および互いに電位差を有する電圧が解除され、互いに同電位の電圧が上側透明電極116および下側透明電極117に印加されると、上側透明電極116と、下側透明電極117と、の間に配置された液晶層111が反応しない状態に戻って不透過状態になる。このときには、液晶シャッタ100は、不透過状態になる。
【0038】
図4および
図5に表した例では、所定の周波数および互いに電位差を有する電圧が、上側透明電極116と、第1の下側透明電極117Aと、の間に印加されている。そのため、上側透明電極116と、第1の下側透明電極117Aと、の間に配置された液晶層111が反応して透過状態になる。これにより、液晶シャッタ100の第1の領域100Aが透過状態になる。また、所定の周波数および互いに電位差を有する電圧が、上側透明電極116と、第2の下側透明電極117Bと、の間に印加されている。そのため、上側透明電極116と、第2の下側透明電極117Bと、の間に配置された液晶層111が反応して透過状態になる。これにより、液晶シャッタ100の第2の領域100Bが透過状態になる。
【0039】
このように、
図4および
図5に表した例では、液晶シャッタ100の第1の領域100Aおよび第2の領域100Bが透過状態に設定される。そのため、表示装置10は、液晶表示部材200の画像を第1の領域100Aおよび第2の領域100Bに表示させることができる。
図4および
図5に表した例は、例えば車両のエンジン駆動が開始されたときに設定される。
【0040】
なお、制御部510は、車両の速度を検出する車速検出部520から車両速度に関する情報信号を受信してもよい。この場合には、制御部510は、車速検出部520により検出された車両速度に基づいて電源回路300のスイッチ340を制御することができる。この詳細については、後述する。
【0041】
図6は、上側透明電極と、下側透明電極と、液晶表示部材と、の関係の他の例を表す模式図である。
【0042】
図7は、上側透明電極および下側透明電極に印加される電圧の波形の他の例を表すグラフ図である。
【0043】
上側透明電極116および下側透明電極117のそれぞれの構成は、
図4に関して前述した通りである。すなわち、上側透明電極116は、ひとつの電極により形成されている。一方で、下側透明電極117は、第1の下側透明電極117Aと、第2の下側透明電極117Bと、により形成されている。
【0044】
図6および
図7に表した例では、スイッチ340が制御部510から送信された制御信号に基づいて切り替わり、互いに同電位の電圧が上側透明電極116と、第1の下側透明電極117Aと、の間に印加されている。そのため、上側透明電極116と、第1の下側透明電極117Aと、の間に配置された液晶層111が反応しない状態に戻って不透過状態になる。これにより、液晶シャッタ100の第1の領域100Aが不透過状態になる。一方で、上側透明電極116と、第2の下側透明電極117Bと、の間には、所定の周波数および互いに電位差を有する電圧が印加されている。そのため、上側透明電極116と、第2の下側透明電極117Bと、の間に配置された液晶層111は、透過状態に維持される。これにより、液晶シャッタ100の第2の領域100Bは、透過状態に維持される。
【0045】
このように、
図6および
図7に表した例では、液晶シャッタ100の第1の領域100Aが不透過状態に設定され、液晶シャッタ100の第2の領域100Bが透過状態に設定される。そのため、表示装置10は、液晶表示部材200の画像を第2の領域100Bに表示させることができる。
図6および
図7に表した例は、例えば車両の走行中に設定される。
【0046】
図8は、上側透明電極と、下側透明電極と、液晶表示部材と、の関係のさらに他の例を表す模式図である。
【0047】
上側透明電極116および下側透明電極117のそれぞれの構成は、
図4に関して前述した通りである。すなわち、上側透明電極116は、ひとつの電極により形成されている。一方で、下側透明電極117は、第1の下側透明電極117Aと、第2の下側透明電極117Bと、により形成されている。
【0048】
図8に表した例では、車両のエンジンオフで交流化電源310がオフとなっており、さらにスイッチ340が制御部510から送信された制御信号に基づいて切り替わり、中立に設定される。そのため、上側透明電極116、第1の下側透明電極117Aおよび第2の下側透明電極117Bには、交流化電源310から電圧が供給されない。そのため、上側透明電極116と第1の下側透明電極117Aとの間、および上側透明電極116と第2の下側透明電極117Bとの間に配置された液晶層111が反応しない状態になる。上側透明電極116と第1の下側透明電極117Aとの間、および上側透明電極116と第2の下側透明電極117Bとの間に配置された液晶層111は、不透過状態に設定される。これにより、液晶シャッタ100の第1の領域100Aおよび第2の領域100Bが不透過状態になる。
【0049】
このように、
図8に表した例では、液晶シャッタ100の第1の領域100Aおよび第2の領域100Bが不透過状態に設定される。表示装置10は、液晶表示部材200の黒色の画像を第1の領域100Aおよび第2の領域100Bに表示させることができる。
図8に表した例は、例えば車両のエンジンが停止されたときに設定される。
【0050】
本実施形態に係る表示装置10によれば、第1の領域100Aおよび第2の領域100Bのそれぞれを透過状態と不透過状態とに切り替える電源回路300が設けられている。そのため、液晶表示部材200が黒色の画像を表示し、第1の領域100Aおよび第2の領域100Bのいずれかが電源回路300により不透過状態に設定されることで、表示装置10を正面からみたときの黒浮きや黒むらを抑えることができる。例えば、
図6および
図7に表した例では、液晶表示部材200が第1の領域100Aに対応する領域に黒色の画像を表示し、第1の領域100Aが不透過状態に設定されることで、表示装置10を正面からみたときの第1の領域100Aにおける黒浮きや黒むらを抑えることができる。また、夜間における黒浮きや黒むらを抑えることができる。これにより、コントラスト比を高めることができる。コントラスト比を高めることができるため、例えば装飾パーツなどを使用しなくとも、奥行き感や立体表現を実現することができる。
【0051】
また、電源回路300は、第1の下側透明電極117Aおよび第2の下側透明電極117Bにより形成された下側透明電極117に対してひとつの交流化電源310により電圧を印加する。そのため、電源回路300は、ひとつの交流化電源310により第1の領域100Aおよび第2の領域100Bのそれぞれを透過状態と不透過状態とに切り替えることができる。さらに、上側透明電極116がひとつの電極により形成されている。すなわち、上側透明電極116は、いわゆるべた電極である。そのため、
図3に表したように、上側透明電極116のオーバーコート層を不要にすることができる。
【0052】
また、シャッタ液晶セル110がVA液晶セルであり、グラフィック液晶セル210がIPS(登録商標)液晶セルである場合には、複数のアクティブマトリックス型液晶を用いなくとも黒浮きや黒むらを抑えることができる。そのため、制御性やデザイン性を向上させることができるとともに、コストを抑えることができる。また、電源回路300は、液晶表示部材200が表示する画像あるいは映像の信号に応じて動的に制御を実行するわけではない。そのため、システムを簡略化することができる。
【0053】
図4および
図5に関して前述したように、制御部510は、車両の速度を検出する車速検出部520から車両速度に関する情報信号を受信してもよい。具体的に説明すると、例えば、液晶表示部材200がオーディオに関する画像あるいはテレビ映像を第1の領域100Aに対応する領域に表示する動作モードでは、車両の走行中には、液晶表示部材200は、第1の領域100Aに黒色の画像を表示することが好ましい。つまり、第1の領域100Aは、非表示に設定されることが好ましい。この場合には、
図6および
図7に関して前述したように、液晶シャッタ100の第1の領域100Aが不透過状態に設定され、液晶シャッタ100の第2の領域100Bが透過状態に設定される。
【0054】
一方で、例えば、液晶表示部材200がナビゲーションに関する画像を第1の領域100Aに対応する領域に表示する動作モードでは、車両の走行中であっても、液晶表示部材200は、ナビゲーションに関する画像を第1の領域100Aに対応する領域に表示することが好ましい。この場合には、
図4および
図5に関して前述したように、液晶シャッタ100の第1の領域100Aおよび第2の領域100Bが透過状態に設定される。
【0055】
このように、制御部510は、車速検出部520から車両速度に関する情報信号を受信すると、液晶表示部材200が表示する画像の動作モードと、車速検出部520により検出された車両速度と、に基づいて電源回路300のスイッチ340を制御することができる。
【0056】
これによれば、第1の領域100Aおよび第2の領域100Bのそれぞれは、液晶表示部材200が表示する画像の動作モードと、車速検出部520により検出された車両の速度と、に基づいて透過状態と不透過状態とに切り替えられる。そのため、車両が所定の速度以上で走行すると、不要な情報を非表示に設定し、表示装置10の表示を簡素化することができる。これにより、車両の走行中の視認性を向上させることができる。
【0057】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。