(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、
図20に示す構成のシートトラックでは、ロックレバー7の回転中心軸であるシャフト9の軸Oは、どんなにアッパレール5の内壁面に寄せても、アッパレール5の厚み(t)、アッパレール5とロアレール3とのクリアランス(w)分だけ、ロアレール3のロック孔3aに対して、シートトラックの幅方向にオフセットしている。
【0008】
よって、ロック爪7aがロック部3aに係合するためには、ロック部3aの開口高さを上下方向に大きく設定しなければならず、ロアレール3が大型化する問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、小型化が可能なシートトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したシートトラックは、
フロアと対向する基底部,該基底部の両側から延出する一対のロアフランジ部,該ロアフランジ部に形成したロック部を有するロアレールと、
前記一対のロアフランジ部の間に設けられ、貫通した係止孔を有する基部,該基部から延出し、前記ロアフランジ
部と係合可能な一対のアッパフランジを有し、前記ロアレールにスライド可能に係合したアッパレールと、
前記ロアレールに対する前記アッパレールのスライド動作を規制するロック位置と前記ロアレールに対する前記アッパレールのスライド動作を許容するアンロック位置との間を移動可能なロックレバーと、
該ロックレバーを前記ロック位置/前記アンロック位置に切り替える操作部材と、
を有し、
前記ロックレバーは、
前記ロアレールの前記ロック部に係脱可能なロック爪と、
前記アッパレールの係止孔に嵌まる係止部と、
を有し、
前記係止部は、
少なくともスライド動作規制時において、前記係止孔の前記ロアフランジ部側角部に当接し、回転支持され
、
前記ロックレバーが前記ロック位置と、前記アンロック位置との間を移動する際に、前記係止孔の同一の前記ロアフランジ部側角部に当接し、回転支持される
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の特徴は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシートトラックによれば、前記ロックレバーは、前記ロアレールの前記ロック部に係脱可能なロック爪と、前記アッパレールの係止孔に嵌まる係止部と、を有し、前記係止部は、少なくともスライド動作規制時において、前記係止孔の前記ロアフランジ部側角部に当接し、回転支持されていることにより、ロアレールのロック部に対して、係止部の回転支持されてる部分がレール幅方向で近接する(アッパレールの厚み分近づく)。よって、従来に比べロック爪をロック部に対して水平に入り込ませることができるので、ロック部を小さくでき、シートトラックを小型化できる。
【0012】
本発明の他の効果は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
図1−
図4を用いて、本実施形態のシートトラックの全体構成を説明する。
図1は本実施形態のシートトラックを上から見た時の分解斜視図、
図2は
図1のシートトラックを下から見た時の分解斜視図、
図3は
図1のシートトラックを組み立てた際の
図1の矢印IIIから見たアッパレールの正面図、
図4は
図3の切断線IV−IVでの切断部端面図である。
【0015】
シートレール50は、フロア側に設けられるロアレール51と、シート側に設けられ、このロアレール51にスライド可能に係合したアッパレール53とからなっている。
アッパレール53には、ロアレール51に対するアッパレール53のスライド動作を規制するロック位置、ロアレール51に対するアッパレール53のスライド動作を許容するアンロック位置、アンロック位置よりさらに作動させたフルオープン位置を移動可能なロックレバー55が設けられている(ロック位置、アンロック位置、フルオープン位置は後述する)。
【0016】
このロックレバー55は、操作部材57により、ロック位置/アンロック位置/フルオープン位置に切り替えられる。
また、アッパレール53には、アッパレール53のスライド方向を長手とする針金状で、ロックレバー55をロック位置方向に付勢する付勢部材59が設けられている。
【0017】
そして、本実施形態では、シートレール50において、操作部材57がある方が前である。
尚、
図1−
図4及び後述する
図5−
図7において、矢印F方向が前方向、矢印R方向が後方向、矢印U方向が上方向、矢印L方向が下方向を示している。
(ロアレールとアッパレール)
ロアレール51とアッパレール51を
図1−
図4を用いて説明する。
【0018】
図3、
図4に示すように、ロアレール51の断面形状は、フロアと略水平に配置される基底部51aと、基底部51aの一方の端部から折曲され、上方に延出する第1側壁部51bと、基底部51aの他方の端部から折曲され、上方に延出する第2側壁部51cと、第1側壁部51bの上方の端部から折曲し、基底部51aと略平行に第2側壁部51c方向へ延出する第1上面部51dと、第2側壁部51cの上方の端部から折曲し、基底部51aと略平行に第1側壁部51b方向へ延出する第2上面部51eと、第1上面部51dの他方の端部から基底部51a方向に折曲し、第1側壁部51bより長さが短い第1垂下部51fと、第2上面部51eの他方の端部から基底部51a方向に折曲し、第1垂下部51fと空間を介して対向し、第1垂下部51fと略同じ長さの第2垂下部51gとからなっている。
【0019】
アッパレール53は、ロアレール51の基底部51aと略平行に設けられた上面部53aと、上面部53aの一方の端部より折曲し、ロアレール51の第1垂下部51fと第2垂下部51gとの間の空間を介してロアレール51内へ延出する第1側壁部53bと、上面部53aの他方の端部より折曲し、ロアレール51の第1垂下部51fと第2垂下部51gとの間の空間を介してロアレール51内へ延出する第2側壁部53cと、第1側壁部53bの下方の端部よりロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51d,第1垂下部51fで形成される空間へ延出する第1跳上部53dと、第2側壁部53cの下方の端部よりロアレール51の第2側壁部51c,第2上面部51e,第2垂下部51gで形成される空間へ延出する第2跳上部53eとからなっている。
【0020】
ここで、ロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51d、第1垂下部51fと、第2側壁部51c、第2上面部51e、第2垂下部51gとは、基底部51aの両側から延出する一対のロアフランジ部として機能する。
また、アッパレール53の第1側壁部53b、第2側壁部53cは、前記一対のロアフランジ部の間に設けられた基部として機能し、第1跳上部53d、第2跳上部53eは、前記基部から延出し、ロアフランジと係合可能な一対のアッパフランジとして機能する。
【0021】
そして、
図1、
図2に示すように、リテーナ61に保持された鋼球63が、ロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51dと、アッパレール53の第1跳上部53dとで囲まれた空間に配置されている。リテーナ61に保持された鋼球65がロアレール51の基底部51a、第1側壁部51bと、アッパレール53の第1跳上部53dとで囲まれた 空間に配置されている。また、リテーナ67に保持された鋼球69が、ロアレール51の第2側壁部51c、第2上面部51eと、アッパレール53の第2跳上部53eとで囲まれた空間に配置されている。リテーナ67に保持された鋼球71がロアレール51の基底部51a、第2側壁部51cと、アッパレール53の第2跳上部53eとで囲まれた 空間に配置されている。これにより、アッパレール53はロアレール51に対してスムーズにスライド移動する。
【0022】
図2に示すように、ロアレール51の基底部51aは、2カ所の孔51hを有し、これらの孔51hを挿通するピン73により、ロアレール51はフロア側に取り付けられる。
図1に示すように、アッパレール53の上面部53aは、4カ所の孔53fを有し、これらの孔53fを挿通するピン75により、アッパレール53はシート側に取り付けられる。
(ロック機構)
図1−
図7を用いて説明する。
図5は
図3の底面図、
図6は
図2に示すシートトラックを組み付けた際のアッパレールの斜視図、
図7は
図6のアッパレールを異なる方向から見た斜視図、
図8は
図1のロックレバーの拡大斜視図、
図9は
図8のロックレバーを異なる方向から見た斜視図、
図10は
図1のロックレバー55の第1係止部55iを通る切断線X−Xでの切断部端面図、
図11は
図1のロックレバー55の第2係止部55jを通る切断線XI−XIでの切断部端面図、
図12は
図1のロックレバー55の第2係止部55jを通る水平断面図、
図13は
図1のアッパレール53の第2係止孔53jを通る垂直断面図、
である。
【0023】
図1−
図3、
図5−7に示すように、アッパレール53の上面部53a、第1側壁部53b、第2側壁部53cに囲まれた空間内には、シートトラックの前側より順に、操作部材57の後部と、ロックレバー55とが配置され、さらに、その空間には、操作部材57とロックレバー55とに係止される付勢部材59も配置される。
【0024】
図1に示すように、ロアレール51の第2垂下部51gは、アッパレール53の移動方向(長手方向)に沿って複数のロック孔(ロアレール51のロック部)51iを有している。尚、本実施形態では、図示しないが、第1垂下部51fも、第2垂下部51gの複数のロック孔51iに対向するロック孔51i(図示せず)を有している。
【0025】
また、アッパレール53は、その第1側壁部53bの長手方向中央部に、第1切り欠き部53gを有している。さらに、アッパレール53は、その第1跳上部53dに、切り欠き部53gに対向する第2切り欠き部53hを有している。
図5、
図6に示すように、アッパレール53は、その第1側壁部53bに、前方より第1係止孔53i、第2係止孔53jを有している。
【0026】
一方、
図6、
図8に示すように、ロックレバー55は、第1係止孔53i、第2係止孔53jに嵌まる突状の第1係止部55i、突状の第2係止部55jを有している。
そして、
図10に示すように、第1係止部55iは、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側の角部(K1)に当接し、この角部(K1)がロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55は図において、実線(ロック位置)と二点鎖線(フルオープン位置)との間を回転移動する。
【0027】
さらに、
図10に示すように、ロックレバー55の第1係止部55iにおけるアッパレール53の第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側の角部(K1)との当接面は、ロックレバー55の第1係止部55iを第1係止孔53iに嵌める方向に誘導する傾斜面となっている。
【0028】
また、
図11に示すように、第2係止部55jも、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第2係止孔53jの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側角部(K2)に当接し、この角部(K2)もロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55は図において、実線(ロック位置)と二点鎖線(フルオープン位置)との間を回転移動する。
【0029】
さらに、
図12に示すように、アッパレール53の第2係止部55jは、基端部の幅が第2係止孔53jの幅より狭く、先端部の幅が第2係止孔53jの幅より広い幅広形状である。また、本実施形態では、第2係止部55jは、基部から先端部に行くに従って漸次的に幅が広くなる一対のテーパ面55k、55lを有した台形状とした。
【0030】
また、
図13に示すように、アッパレール53の第2係止孔53jには、ロックレバー55の第2係止部55jが当接し、ロックレバー55の回転支点となる突部53kが形成されている。
図1、
図3、
図5、
図11に示すように、ロックレバー55の後部には、ロックレバー55が回転することにより、アッパレール53の第1切り欠き部53gを挿通し、ロアレール51の第1垂下部51fのロック孔51iに係脱可能な複数の(本実施形態では6つ)ロック爪(係止部)55aが形成されている。尚、本実施形態では、ロアレール51の第1垂下部51fのロック孔51iに係合したロックレバー55のロック爪55aの先端側は、アッパレール53の第2切り欠き部53hを挿通するようになっている。
【0031】
そして、アッパレール53に設けられたロックレバー55のロック爪55aが、ロアレール51のロック孔51iに係合することにより、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制される。
(操作部材、付勢部材)
図1−
図16を用いて説明する。
図14は
図1のシートトラックを組み立て、アッパレールの上面部を破断した状態で、上方から見た平面図、
図15は
図14でアッパレールの上面部を破断しない状態での切断線XV−XVでの断面図、
図16は
図15の切断線XVI−XVIでの端面図、
図17はロック時におけるロックレバーに作用する力を説明する図、
図18はロック解除し始めにおけるロックレバーに作用する力を説明する図である。
【0032】
図1−
図3、
図5−
図7、
図10、
図14−
図16に示すように、操作部材57は、ロックレバー55より前側に配置される。操作部材57の後部には、ロックレバー55の前部に設けられた円筒面を有した被押圧部55cを上方から押圧可能な押圧部57aが形成されている。操作部材57の前部は、折曲され、シートクッションの前部に沿う操作部57bとなっている。
【0033】
また、操作部材57の中間部の上面は、アッパレール53の上面部53aの内壁側に形成された支点突部53lに当接し、当接点を回転支点として上下方向に回転可能となっている。さらに、アッパレール53の第2側壁部53cであって、支点突部53lよりも後方の位置には、操作部材57の下面が当接可能なストッパ突部53mが形成されている。
【0034】
図14,
図15に示すように、アッパレール53は、その上面部53aに、切り起こし加工で形成され、アッパレール53の上面部53aと、一対の側壁部(第1側壁部53b、第2側壁部53c)とで囲まれる空間に延出する引掛部54を有している。この引掛部54は、アッパレール53のスライド方向で対向する第1対向面54a、第2対向面54bと、これら第1対向面54a、第2対向面54bを接続する接続面(底面)54cを有する引掛溝54dを有している。
【0035】
図1−
図3、
図5−
図7、
図14−
図16に示すように、付勢部材59は、線状の材料(ワイヤー材)を様々な方向に曲げ加工して得られた線細工ばねである。
付勢部材59は、アッパレール53の上面部53aと、一対の側壁部(第1側壁部53b、第2側壁部53c)とで囲まれる空間に、アッパレール53のスライド方向に沿って配置されている。
【0036】
そして、付勢部材59は、その中間部に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、アッパレール53の引掛部54の引掛溝54dに係止される交差部59cを有している。この交差部59cが、引掛溝54dの第1対向面54a、第2対向面54bに当接することで、付勢部材59とアッパレール53とのアッパレール53のスライド方向の相対移動が禁止される。
【0037】
さらに、付勢部材59の交差部59cが、引掛溝54dの接続面(底面)54cに押接することで、付勢部材59とアッパレール53との下方向の相対移動が禁止されると共に、押圧部57aがロックレバー55の被押圧部55cを押圧する方向に操作部材57を付勢している(詳細は後述する)。
【0038】
付勢部材59は、その後部に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、ロックレバー55の中間部に形成された孔55bに係止することで、ロックレバー55をロック位置方向に付勢する後部折曲部(アーム部)59aを有している。この後部折曲部59aは、後部折曲部59aがねじられた際の弾性復元力を用いてロックレバー55をロック位置方向に付勢する付勢部として機能し、ロックレバー55の孔55bの内壁面(摺接面)は、付勢部材59の付勢力が作用する付勢力作用部Pとして機能する。
【0039】
次に、付勢部材59は、その前端側に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、操作部材57の回転支点より前方の下部にアッパレールのスライド方向と交差する方向に形成された溝57cに係止することで、操作部材57のアッパレール53のスライド方向の移動を規制すると共に上述したように操作部材57を付勢する規制部59bを有している。
【0040】
さらに、
図7に示すように、アッパレール53の第2側壁部53cには、操作部材57に当接することで操作部材57を付勢部材59から離間させるガイド部53nが形成されている。
ここで、上記構成のシートスライド装置の作動を説明する。
【0041】
最初に、操作部材57を操作していない状態では、
図11に示すように、付勢部材59の付勢力により、アッパレール53に設けられたロックレバー55は、実線で示すロック位置にある。即ち、ロック爪55aが、アッパレール53の第1切り欠き部53gを挿通して、ロアレール51のロック孔51iに係合し、さらに、アッパレール53の第2切り欠き部53hに係合し、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制されたロック状態にある。
【0042】
次に、付勢部材59の付勢力に抗して操作部材57の操作部57bを上方に引き上げると、アッパレール53に設けられたロックレバー55は二点鎖線で示すフループン位置まで回転する。即ち、ロック爪55aと、ロアレール51のロック孔51iとの係合が解除され、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が許容されたアンロック状態になる。
【0043】
そして、アッパレール53をロアレール51に対して所望の位置までスライドさせ、操作部材57に対する操作力を解除すると、付勢部材59の弾性復元力(付勢力)より、フルオープンに位置にあるロックレバー55はロック位置まで戻り、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制されたロック状態に復帰する。
【0044】
尚、本実施形態では、
図17に示すように、ロックレバー55と付勢部材59とは、ロック状態にある場合(アッパレール53のスライド動作を規制させる場合)、ロックレバー55の付勢力作用部Pには、付勢部材59による付勢力Fが作用する。
一方、ロックレバー55のロック爪55aとロアレール51のロック孔51iは、噛み合い点E(第1付勢力受け部)で係止状態にある。
【0045】
よって、噛み合い点Eを支点として、ロックレバー55は第2係止部55jの一対のテーパ面55k、テーパ面55lが第2係止孔53jに押接する方向(矢印H1)に付勢されている。
また、ロック解除直後では、
図18に示すように、ロックレバー55のロック爪55aとロアレール51のロック孔51iとの噛み合い点Eでの係止が無くなる。一方、操作部材57の押圧部57aとロックレバー55の被押圧部55cは、当接点(第2付勢力受け部)Sで係止状態にある。
【0046】
即ち、ロックレバー55の付勢力受け部が付勢力作用部Pを介して移動している。
そして、当接点Sを支点として、ロックレバー55は第2係止部55jの一対のテーパ面55k、テーパ面55lが第2係止孔53jから離間する方向(H2)に付勢されている。
【0047】
さらに、本実施形態は、
図19に示すように、ロック状態、アンロック状態、フルオープン状態への移行に伴い、ロックレバー55の孔55bの内壁面(摺接面)に対して、付勢部材59の後部折曲部(アーム部)59aが摺接することで、付勢力作用部Pが移動する。即ち、付勢力作用部Pの位置が変化することにより、ロック状態、アンロック状態、フルオープン状態での付勢部材59のアーム長と、ロックレバー55のロックアーム長を変えるように設定している。尚、付勢部材59のアーム長とは、後部折曲部(アーム部)59aの回転支点K3(基部)からロックレバー55の付勢力作用部Pまでの長さをいい、ロックレバー55のロックアーム長とは、ロックレバー55の付勢力作用部Pからロックレバー55の回転支点(K2)までの長さをいう。
【0048】
本実施形態例では、アンロック位置を越えてフルオープン位置側へロックレバー55が作動すると付勢部材59のアーム長が長くなるようにした。
また、アンロック位置を越えてフルオープン位置側へロックレバー55が作動するとロックアーム長が短くなるようにした。
【0049】
上記構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) ロックレバー55の第1係止部55iは、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ)51f側の角部(K1)に当接し、この角部(K1)がロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55はロック位置とフルオープン位置との間を回転移動する。
【0050】
また、ロックレバー55の第2係止部55jも、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第2係止孔53jの第1垂下部(ロアフランジ)51f側角部(K2)に当接し、この角部(K2)もロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55はロック位置とフルオープン位置との間を回転移動する。
【0051】
即ち、ロアレール51のロック孔(ロアレール51のロック部)51iに対して、ロックレバー55のロック爪(係止部)55aの回転支点がシートトラック幅方向で、アッパレール55の厚み分だけ近づく。
よって、従来に比べロック爪55aをロック孔51iに対して水平に入り込ませることができるので、ロック孔51iを小さくできる。
【0052】
さらに、ロックレバー55の回転支持点が一定であるため、安定した回転が実現できる。
(2)
図10に示すように、ロックレバー55の第1係止部55iにおけるアッパレール53の第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側の角部(K1)との当接面は、ロックレバー55の第1係止部55iを第1係止孔53iに嵌める方向に誘導する傾斜面となっており、ロックレバー55は必ず抜け方向と違う方向に動こうとするので、ロックレバー55の第1係止部55iがアッパレール53の第1係止孔53iから抜けない。