(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6671829
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
G02B7/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-193988(P2019-193988)
(22)【出願日】2019年10月25日
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】201821907524.9
(32)【優先日】2018年11月19日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】馬傑
【審査官】
井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−053528(JP,A)
【文献】
中国実用新案第207965319(CN,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0053509(KR,A)
【文献】
特開昭58−087508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒と、前記鏡筒内に収容されかつ光軸を有するレンズと、像側から前記レンズを当接保持する押えリングとを備えるレンズモジュールであって、前記押えリングは、物体側に近い上面と、前記上面に対向して設置された下面と、前記上面と前記下面を接続する内接続面と、前記内接続面に対向する外接続面とを含み、前記外接続面が前記鏡筒に当接し、前記レンズは、光学部と、前記光学部を取り囲んで設置された承接部とを備え、前記承接部は、物体側に近い物体側面と、前記物体側面に対向して設置された像側面と、前記物体側面と前記像側面を接続する周縁面とを含み、前記上面には、物体側に向かって延びる突起部が設けられ、前記突起部は、天面と、前記天面の前記光軸に近い縁から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第1側面と、前記天面の前記光軸から離れた縁から光軸に平行な方向に像側に向かって延びる第2側面とを含み、前記像側面には、対応的に前記突起部を収容する凹部が物体側に向かって凹んで形成されており、前記天面と前記第2側面は前記レンズを当接保持することを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記鏡筒は、前記周縁面に当接する第1当接面と、前記外接続面に当接する第2当接面と、前記第1当接面と前記第2当接面を接続する延出面とを含み、前記延出面は前記第1当接面から前記光軸から離れた方向に向かって延び、前記像側面は、前記周縁面の縁から前記光軸に近い方向に向かって延びる第1表面と、前記第1表面の前記周縁面から離れた縁から物体側に向かって延びる第2表面と、前記第2表面の物体側に近い縁から前記光軸に近い方向に向かって延びる第3表面と、前記第3表面の前記光軸に近い側から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第4表面とを含み、前記第2側面は前記第2表面上に当接保持され、前記天面は前記第3表面上に当接保持され、前記第1側面は前記第4表面と間隔をあけて設置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記第1表面は前記押えリングと間隔をあけて設置されており、前記上面は前記外接続面に滑らかに過渡的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記像側面は前記第4表面の縁から前記光軸に近い方向に向かって前記光学部まで延びる第5表面をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記天面と前記第3表面はいずれも前記光軸に垂直であることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記押えリングの材質はプラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記レンズの物体側に設置された遮光板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項8】
前記レンズと前記遮光板の間に遮光シートが設置されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズモジュール。
【請求項9】
前記遮光板の物体側に設置されたレンズ群をさらに備え、前記レンズ群は、物体側から像側に向かって順次に積層設置された少なくとも5つのレンズを含み、前記レンズ群は像側から前記鏡筒上に当接保持されることを特徴とする請求項7に記載のレンズモジュール。
【請求項10】
前記内接続面は、前記上面から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第1傾斜面と、前記第1傾斜面と前記下面を接続する第2傾斜面とを含み、前記第2傾斜面は前記第1傾斜面から前記光軸から離れた方向に向かって延びることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光学結像技術の分野に関し、特に、レンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の絶え間ない発展に伴い、電子機器は絶え間なくスマート化へ発展しつつある。ユーザが随時写真を撮ることができるという需要を満たすように、デジタルカメラの以外、タブレットPC、携帯電話等の携帯型の電子機器にも撮影機能を有するレンズモジュールが配置されている。関連技術のレンズモジュールは、鏡筒と、鏡筒内に収容されたレンズと、像側からレンズを当接保持することによりレンズを固定する押えリングとを備え、押えリングの外径は鏡筒の内径と合わせる。
【0003】
本発明者は従来技術に少なくとも以下の問題が存在することを発見した:押えリングの外径にバリが存在するため、真円度が悪く、押えリングを組み立てる過程において振れが生じやすくなり、押えリングの組み立て精度が低く、レンズモジュールの良品率が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、レンズモジュールの良品率を向上させることができるレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明の実施形態には、鏡筒と、前記鏡筒内に収容されかつ光軸を有するレンズと、像側から前記レンズを当接保持する押えリングとを備え、前記押えリングは、物体側に近い上面と、前記上面に対向して設置された下面と、前記上面と前記下面を接続する内接続面と、前記内接続面に対向する外接続面とを含み、前記外接続面が前記鏡筒に当接し、前記レンズは、光学部と、前記光学部を取り囲んで設置された承接部とを備え、前記承接部は、物体側に近い物体側面と、前記物体側面に対向して設置された像側面と、前記物体側面と前記像側面を接続する周縁面とを含み、前記上面には、物体側に向かって延びる突起部が設けられ、前記突起部は、天面と、前記天面の前記光軸に近い縁から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第1側面と、前記天面の前記光軸から離れた縁から光軸に平行な方向に像側に向かって延びる第2側面とを含み、前記像側面には、対応的に前記突起部を収容する凹部が物体側に向かって凹んで形成されており、前記天面と前記第2側面は前記レンズを当接保持するレンズモジュールが提供される。
【0006】
従来技術に対して、本実施形態は、前記第2側面が前記レンズ上に当接保持されることで、前記レンズの前記押えリングに対する作用力には、前記光軸に垂直でかつ前記光軸に向かった分量が存在し、それによって押えリングはその外径により鏡筒と合わせる必要がなく、押えリングの外径にバリが存在することにより押えリングの組み立てに振れが生じてしまう問題を回避し、押えリングの組み立て精度を確保し、レンズモジュールの良品率を向上させる。それとともに、前記第1側面が前記天面の前記光軸に近い縁から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びるため、押えリングはレンズと偽って係合して合わせ、第1側面は組み立て案内機能を果たして押えリングの組み立て位置を確保し、さらに押えリングの組み立て精度を確保する。
【0007】
また、前記鏡筒は、前記周縁面に当接する第1当接面と、前記外接続面に当接する第2当接面と、前記第1当接面と前記第2当接面を接続する延出面とを含み、前記延出面は前記第1当接面から前記光軸から離れた方向に向かって延び、前記像側面は、前記周縁面の縁から前記光軸に近い方向に向かって延びる第1表面と、前記第1表面の前記周縁面から離れた縁から物体側に延びる第2表面と、前記第2表面の物体側に近い縁から前記光軸に近い方向に向かって延びる第3表面と、前記第3表面の前記光軸に近い側から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第4表面とを含み、前記第2側面は前記第2表面上に当接保持され、前記天面は前記第3表面上に当接保持され、前記第1側面は前記第4表面と間隔をあけて設置されている。
【0008】
また、前記第1表面は前記押えリングと間隔をあけて設置されており、前記上面は前記外接続面に滑らかに過渡的に接続されている。
【0009】
また、前記像側面は前記第4表面の縁から前記光軸に近い方向に向かって前記光学部まで延びる第5表面をさらに含む。このように設置することで、前記押えリングと前記光学部との間に一定の距離があり、前記押えリングが結像のための光を遮断することを回避し、それによって前記レンズモジュールの結像品質を向上させる。
【0010】
また、前記天面と前記第3表面はいずれも前記光軸に垂直である。
【0011】
また、前記押えリングの材質はプラスチックである。
【0012】
また、前記レンズの物体側に設置された遮光板をさらに備える。このように設置することで、前記鏡筒に入る迷光を低減することにより、前記鏡筒の結像品質を向上させることができる。
【0013】
また、前記レンズと前記遮光板の間に遮光シートが設置されている。
【0014】
また、前記遮光板の物体側に設置されたレンズ群をさらに備え、前記レンズ群は、物体側から像側に向かって順次に積層設置された少なくとも5つのレンズを含み、前記レンズ群は像側から前記鏡筒上に当接保持される。
【0015】
また、前記内接続面は、前記上面から前記光軸に近い方向に像側に向かって延びる第1傾斜面と、前記第1傾斜面と前記下面を接続する第2傾斜面とを含み、前記第2傾斜面は前記第1傾斜面から前記光軸から離れた方向に向かって延びる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
1つまたは複数の実施例をそれらに対応する図面によって例示的に説明する。これら例示的な説明は実施例に対する限定ではない。図面における符号が同様な要素は類似な要素として示されており、特別な声明がない限り、図面は比例上の限定とはならない。
【
図1】本発明の第1実施形態によって提供されたレンズモジュールの断面構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。しかしながら、当業者が理解できるように、本発明の各実施形態では、読者に本発明をよりよく理解させるために多数の技術的詳細が提出されている。ただし、これらの技術的詳細及び以下の各実施形態に基づく種々の変更と修正がなくても、本発明が保護を求めようとする技術案を実現することができる。
【0018】
本発明の第1実施形態は、
図1〜
図2に示されるように、鏡筒11と、鏡筒11内に収容されかつ光軸OO′を有するレンズ12と、像側からレンズ12を当接保持する押えリング13とを備え、押えリング13は、物体側に近い上面131と、上面131に対向して設置された下面132と、上面131と下面132を接続する内接続面133と、内接続面133に対向する外接続面134とを含み、外接続面134が鏡筒11に当接し、レンズ12は、光学部121と、光学部121を取り囲んで設置された承接部122とを備え、承接部122は、物体側に近い物体側面1221と、物体側面1221に対向して設置された像側面1222と、物体側面1221と像側面1222を接続する周縁面1223とを含み、上面131には、物体側に向かって延びる突起部14が設けられ、突起部14は、天面141と、天面141の光軸OO′に近い縁から光軸OO′に近い方向に像側に向かって延びる第1側面142と、天面141の光軸OO′から離れた縁から光軸OO′に平行な方向に像側に向かって延びる第2側面143とを含み、像側面1222には、対応的に突起部14を収容する凹部15が物体側に向かって凹んで形成されており、天面141と第2側面143はレンズ12を当接保持するレンズモジュール100に関する。
【0019】
従来技術に対して、本実施方式は、第2側面143がレンズ12上に当接保持されることで、レンズ12の押えリング13に対する作用力には、光軸OO′に垂直でかつ光軸OO′に向かった分量が存在し、それによって押えリング13はその外径により鏡筒11と合わせる必要がなく、押えリング13の外径にバリが存在することにより押えリング13の組み立てに振れが生じてしまう問題を回避し、押えリング13の組み立て精度を確保し、レンズモジュール100の良品率を向上させる。同時に、第1側面142が天面141の光軸OO′に近い縁から光軸OO′に近い方向に像側に向かって延びるため、押えリング13はレンズ12と偽って係合して合わせ、第1側面142は組み立て案内機能を果たして押えリング13の組み立て位置を確保し、さらに押えリング13の組み立て精度を確保する。
【0020】
本実施形態では、押えリング13の材質はプラスチックである。プラスチックレンズ12は軽量で、加工されやすく、輸送が便利であり、破裂しにくく、かつ破摧された破片が少なくて比較的に鋭くないため安全性が高い。プラスチックレンズ12の防曇性が強く、レンズモジュール100の結像品質を向上させる。プラスチックレンズ12はへこみを防止することができ、一般的に高熱でかつ体積が小さい物質はガラスレンズにへこみとスポットを生じさせやすくなるが、プラスチックレンズ12の場合、自動的に弾かれ、レンズ12の表面に何の跡形も残せず、それによってレンズモジュール100の使用寿命を向上させる。
【0021】
具体的には、鏡筒11は、周縁面1223に当接する第1当接面111と、外接続面134に当接する第2当接面112と、第1当接面111と第2当接面112を接続する延出面113とを含み、延出面113は第1当接面111から光軸OO′から離れた方向に向かって延び、像側面1222は、周縁面1223の縁から光軸OO′に近い方向に向かって延びる第1表面1222aと、第1表面1222aの周縁面1223から離れた縁から物体側に延びる第2表面1222bと、第2表面1222bの物体側に近い縁から光軸OO′に近い方向に向かって延びる第3表面1222cと、第3表面1222cの光軸OO′に近い側から光軸OO′に近い方向に像側に向かって延びる第4表面1222dとを含み、第2側面143は第2表面1222b上に当接保持され、天面141は第3表面1222c上に当接保持され、第1側面142は第4表面1222dと間隔をあけて設置されている。
【0022】
さらに、第1表面1222aは押えリング13と間隔をあけて設置されており、上面131は外接続面134に滑らかに過渡的に接続されている。理解できるように、第1表面1222aは押えリング13に当接してもよい。
【0023】
選択できるように、像側面1222は第4表面1222dの縁から光軸OO′に近い方向に向かって光学部121まで延びる第5表面1222eをさらに含む。このように設置することで、押えリング13と光学部121との間に一定の距離があり、押えリング13が結像のための光を遮断することを回避し、それによってレンズモジュール100の結像品質を向上させる。
【0024】
天面141と第3表面1222cはいずれも光軸OO′に垂直である。
【0025】
本実施形態では、レンズモジュール100は、レンズ12の物体側に設置された遮光板16をさらに備え、このように設置することで、鏡筒11に入る迷光を低減することにより、鏡筒11の結像品質を向上させることができる。選択できるように、レンズ12と遮光板16の間に遮光シート17が設置されることで、迷光をさらに放出し、レンズモジュール100の結像品質を向上させる。
【0026】
本実施形態では、レンズモジュール100は、遮光板16の物体側に設置されたレンズ群18をさらに備え、レンズ群18は、物体側から像側に向かって順次に積層設置された少なくとも5つのレンズを含み、レンズ群18は像側から鏡筒11上に当接保持される。
【0027】
具体的には、内接続面133は、第1表面1311から光軸OO′に近い方向に像側に向かって延びる第1傾斜面1331と、第1傾斜面1331と下面132を接続する第2傾斜面1332とを含み、第2傾斜面1332は第1傾斜面1331から光軸OO′から離れた方向に向かって延びる。
【0028】
当業者が理解できるように、上記の各実施形態は、本発明を実現するための具体的な実施例であり、実際の適用において、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、形式上及び細部上でそれらに対して種々の変更を行うことができる。
【要約】
【課題】本発明の実施例は、光学結像技術の分野に関し、レンズモジュールが開示されている。
【解決手段】本発明では、レンズモジュールは、鏡筒と、レンズと、像側からレンズを当接保持する押えリングとを備え、押えリングは、上面と、下面と、上面と下面を接続する内接続面と、内接続面に対向する外接続面とを含み、外接続面が鏡筒に当接し、レンズは、光学部と承接部とを備え、承接部は、像側に近い像側面を含み、上面には、物体側に向かって延びる突起部が設けられ、突起部は、天面と、天面の光軸に近い縁から光軸に近い方向に像側に向かって延びる第1側面と、天面の光軸から離れた縁から光軸に平行な方向に像側に向かって延びる第2側面とを含み、像側面には、対応的に突起部を収容する凹部が物体側に向かって凹んで形成されており、天面と第2側面はレンズを当接保持する。本発明によって提供されたレンズモジュールは、押えリングの組み立て精度を確保するとともに、レンズモジュールの良品率を向上させることができる。
【選択図】
図2