(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算増幅器のアナログ出力を前記マイクロプロセッサのアナログ−デジタル入力に伝送するように構成された導体をさらに備える、請求項2に記載の外科手術用器具。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ファスナーを付けるための外科手術用器具であって、
駆動モータ;
エンドエフェクタアセンブリを有する交換可能な装填ユニット;および
該交換可能な装填ユニットを該駆動モータに解放可能に連結するように構成されたアダプタであって、該アダプタは、駆動回路が連結されたひずみゲージを備え、該ひずみゲージと該駆動回路とは、該アダプタにおける駆動力を直接測定するように構成されている、アダプタ
を備える、外科手術用器具。
(項目2)
上記駆動回路は、マイクロプロセッサおよび演算増幅器を備える、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目3)
上記演算増幅器は、低域フィルタリングを提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目4)
上記演算増幅器は二極バターワースフィルタである、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目5)
上記演算増幅器は、電磁気干渉(EMI)抑制を提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目6)
傾き補正因子およびオフセット補正因子を含めた工場較正力測定値が、上記マイクロプロセッサに永続的に格納されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目7)
上記駆動回路は、3.3ボルトのDC電圧を提供するように構成された電圧調整回路をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目8)
上記演算増幅器のアナログ出力を上記マイクロプロセッサのアナログ−デジタル入力に伝送するように構成された導体をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目9)
上記エンドエフェクタアセンブリは、ステープルを組織に付けるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目10)
上記エンドエフェクタアセンブリは、内視鏡外科手術手順において使用するために構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目11)
外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法であって、
ファスナーを付けるための外科手術用器具を提供する工程であって、該外科手術用器具は、エンドエフェクタアセンブリを有する交換可能な装填ユニットを駆動モータに解放可能に連結するように構成されたアダプタを備え、該アダプタは、駆動回路に連結された、過剰な負荷を検出することが可能なひずみゲージを備える、工程;ならびに
該ひずみゲージおよび該駆動回路を使用して、該アダプタにおける駆動力を直接測定し、力測定値を得る工程
を包含する、方法。
(項目12)
上記力測定値に基づいて、過剰な負荷が検出されたことが決定される場合、上記アダプタに対する損傷を防止するように上記駆動力を調節する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目13)
上記駆動回路の演算増幅器を使用して、信号に対する低域フィルタリングを行う工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記演算増幅器のアナログ出力を上記駆動回路のマイクロプロセッサのアナログ−デジタル入力に伝送する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記エンドエフェクタアセンブリを使用してステープルを付ける工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記エンドエフェクタアセンブリを内視鏡外科手術手順において利用する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記駆動回路の電圧調整回路を使用して、3.3ボルトのDC電圧を提供する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
傾き補正因子およびオフセット補正因子を適用する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
上記傾き補正因子およびオフセット補正因子は、上記マイクロプロセッサに永続的に格納されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0011】
摘要
ファスナーを付けるための外科手術用器具は、駆動モータ、エンドエフェクタアセンブリを有する交換可能な装填ユニット、および交換可能な装填ユニットをこの駆動モータに解放可能に連結するように構成されたアダプタを備える。このアダプタは、駆動回路が連結されたひずみゲージを備える。このひずみゲージとこの駆動回路とは、このアダプタにおける駆動力を直接測定するように構成される。
【0012】
要旨
本開示の局面によれば、ファスナーを付けるための外科手術用器具が提供され、この外科手術用器具は、駆動モータ、エンドエフェクタアセンブリを有する交換可能な装填ユニット、およびこの交換可能な装填ユニットをこの駆動モータに解放可能に連結するように構成されたアダプタを備える。このアダプタは、駆動回路が連結されたひずみゲージを備える。このひずみゲージとこの駆動回路とは、このアダプタにおける駆動力を直接測定するように構成される。
【0013】
本開示の別の局面によれば、外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法は、ファスナーを付けるための外科手術用器具を提供する工程を包含し、この外科手術用器具は、エンドエフェクタアセンブリを有する交換可能な装填ユニットを駆動モータに解放可能に連結するように構成されたアダプタを備える。このアダプタは、過剰な負荷を検出することが可能な、駆動回路に連結されたひずみゲージを備える。この方法はまた、このひずみゲージおよびこの駆動回路を使用して、このアダプタにおける駆動力を直接測定し、力測定値を得る工程、ならびにこの力測定値に基づいて、過剰な負荷が検出されたことが決定される場合、このアダプタに対する損傷を防止するように、この駆動力を調節する工程を包含する。
【0014】
前出の局面のうちのいずれか1つによれば、この駆動回路は、マイクロプロセッサを備え、そして傾き補正因子およびオフセット補正因子を含む工場較正力測定値が、この駆動回路のマイクロプロセッサに永続的に格納されている。前出の局面のうちのいずれか1つによれば、この駆動回路は、DC電圧を提供するように構成された電圧調整回路をさらに備える。
【0015】
本開示の上記および他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と合わせて読まれる場合に、以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態によるチップアセンブリと一緒に使用するための外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、ハンドルアセンブリ、アダプタアセンブリ、および装填ユニットを分離された構成で示す、
図1の外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される外科手術用ステープル留めデバイスの、装填ユニットの近位端およびアダプタアセンブリの遠位端の図である。
【
図4】
図4は、
図3に示される装填ユニットの近位端およびアダプタアセンブリの遠位端の拡大図である。
【
図5】
図5は、
図3に示される装填ユニットの近位端およびアダプタアセンブリの遠位端の別の拡大図である。
【
図6】
図6は、装填ユニットと確証基板とが分離されている、
図3に示される装填ユニットの近位端の拡大分解図である。
【
図7】
図7は、確証基板カバーが装填ユニットから分離されている、
図3に示される装填ユニットの近位端の拡大部分分解図である。
【
図8】
図8は、
図3に示される装填ユニットの近位端の拡大図である。
【
図9】
図9は、本開示の1つの実施形態による確証基板アセンブリの斜視図である。
【
図11】
図11は、アダプタアセンブリとアダプタ基板とが分離されている、
図3に示されるアダプタアセンブリの遠位端の拡大分解図である。
【
図15】
図15は、アダプタアセンブリが装填ユニットから分離されていることろを示す、
図3に示されるアダプタアセンブリの断面側面図である。
【
図16】
図16は、アダプタ基板が確証基板から分離されているところを示す、
図15に示される、指示された領域の拡大図である。
【
図17】
図17は、アダプタアセンブリが装填ユニットと係合しているところを示す、
図3に示されるアダプタアセンブリの断面側面図である。
【
図18】
図18は、アダプタ基板が確証基板と係合しているところを示す、
図17に示される、指示された領域の拡大図である。
【
図19】
図19は、アダプタアセンブリが装填ユニットから分離されているところを示す、
図3に示されるアダプタアセンブリの断面軸方向図である。
【
図20】
図20は、装填ユニットがダプタアセンブリに挿入されているところを示す、
図3に示されるアダプタアセンブリの断面軸方向図である。
【
図21】
図21は、装填ユニットがアダプタアセンブリと係合しているところを示す、
図3に示されるアダプタアセンブリの断面軸方向図である。
【
図22】
図22は、本開示のさらなる実施形態による外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【
図23】
図23は、本開示の実施形態による装填ユニットの斜視図である。
【
図29】
図29は、本開示の実施形態による支持プレートの詳細斜視図である。
【
図32】
図32は、本開示の実施形態によるステープルカートリッジアセンブリの上面斜視図である。
【
図33】
図33は、シッピングウェッジを備える、
図32のステープルカートリッジアセンブリの上面斜視図である。
【
図35】
図35は、本開示の実施形態によるロックアウトアセンブリの詳細斜視図である。
【
図36】
図36は、ステープルカートリッジアセンブリを示す、
図23の装填ユニットの斜視図である。
【
図37】
図37は、アンビルおよびシッピングウェッジが取り外された、装填ユニットの上面図である。
【
図38】
図38は、ステープルカートリッジアセンブリの支持プレートの近位部分の斜視図である。
【
図39】
図39は、装填ユニットのチャネルの近位部分の斜視図である。
【
図41】
図41は、部品が分離された、装填ユニットのチップアセンブリの斜視図である。
【
図46】
図46は、本開示の実施形態によるロックアウトアセンブリの詳細斜視図である。
【
図47】
図47は、本開示の実施形態によるロックアウト機構の別の詳細斜視図である。
【
図49】
図49は、ロックアウト機構の別の詳細斜視図である。
【
図50】
図50は、部品を分離してラッチ、そり、および設置部分を示す、斜視図である。
【
図52】
図52は、部品を取り外してロックアウト機構を示す、装填ユニットの斜視図である。
【
図53】
図53は、部品を分離して駆動梁を示す、ロックアウト機構の斜視図である。
【
図54】
図54は、装填ユニットを通して長手軸方向に見た断面図である。
【
図56】
図56は、駆動梁、動的クランピング部材、およびそりの側面図である、
【
図57】
図57は、駆動梁および動的クランピング部材が前進している、駆動梁、動的クランピング部材、およびそりの側面図である、
【
図58】
図58は、部品が分離されて示されている、外科手術用ステープルを付けるための外科手術用器具の斜視図であり、この外科手術用器具は、本開示の1つの実施形態による、ひずみゲージおよび駆動回路を備えて構成されたアダプタを備える。
【
図60】
図60は、本開示の1つの実施形態による、
図2のマイクロプロセッサおよび電圧調整回路を示す回路図である。
【
図61】
図61は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本明細書中以下で、ひずみゲージおよび駆動回路を備えて構成されたアダプタを備える本開示の外科手術用器具、ならびに外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法の実施形態が、添付の図面を参照しながら記載される。同じ参照番号は、図面の説明全体にわたって、類似の要素または同一の要素をいい得る。本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中以下に記載されるが、開示される実施形態は、単に本開示の例であり、本開示は種々の形態で実施され得ることが、理解されるべきである。周知かつ/または繰り返しの機能および構成は、本開示を不必要または冗長な細部で曖昧にすることを回避するために、詳細に記載されない。従って、本明細書中に開示される特定の構造的細部および機能的細部は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲の基礎として、および当業者が事実上任意の適切に詳述した構造で本開示を様々に実施するための教示の代表的な基礎として、解釈されるべきである。当該分野において一般的であるように、用語「近位」とは、ユーザまたは操作者(すなわち、外科医または医師)に近い方の部分または構成要素をいい、一方で、用語「遠位」とは、ユーザから遠い方の部分または構成要素をいう。さらに、説明および特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、方向に言及する用語(例えば、「頂」、「底」、「上」、「下」、「左」、および「右」など)は、本明細書中に図示および記載される図面および特徴を参照して使用される。本開示による実施形態は、制限なしで任意の配向で実施され得ることが理解されるべきである。本明細書および図面において、同じ参照番号は、同じ機能、類似の機能、または等価な機能を実施し得る要素を表す。本開示のチップアセンブリの実施形態が、ここで図面を参照しながら詳細に記載され、図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々において、同一の要素または対応する要素を表す。用語「例示的な」とは、本明細書中で、「実施例、実例、または説明として働くこと」を意味するように使用される。本明細書中に記載される任意の実施形態において、「例示的な」は必ずしも、他の実施形態より好ましいとも有利であるとも解釈される必要はない。用語「例」は、「例示的な」と交換可能に使用され得る。
【0018】
本説明は、語句「1つの実施形態において」、「実施形態によっては」、「いくつかの実施形態において」、または「他の実施形態において」を使用し得る。これらはそれぞれ、本開示による同じ実施形態または異なる実施形態のうちの1つまたは1つより多くをいい得る。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「電源」および「電力供給源」とは、任意の電力の供給源(例えば、コンセント、a/c発電機、バッテリまたはバッテリパックなど)をいう。本説明中で使用される場合、「導電性」、または単に「伝導性」とは、一般に、電気の伝導が可能である物質をいい、高電導性の物質(例えば、金属および合金)、または半伝導性の物質(例えば、半導体物質および複合材料)が挙げられるが、これらに限定されない。本説明中で使用される場合、「伝送線」とは、一般に、1つの点から別の点までの信号の伝搬のために使用され得る任意の伝送媒体をいう。
【0020】
最初に
図1および
図2を参照すると、本開示による確証システムを備える外科手術用ステープル留め器具が、一般にステープラー10として示されている。ステープラー10は、ハンドルアセンブリ12、ハンドルアセンブリ12から遠位方向に延びるアダプタアセンブリ14、およびアダプタアセンブリ14の遠位端に選択的に固定される装填ユニット16を備える。ハンドルアセンブリ12、アダプタアセンブリ14、および装填ユニット16の詳細な説明は、共有に係る米国特許出願公開第2012/0089131号に提供されており、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0021】
ハンドルアセンブリ12は、下ハウジング部分17、下ハウジング部分17から延びそして/または下ハウジング部分17上に支持される中間ハウジング部分18、および中間ハウジング部分18から延びそして/または中間ハウジング部分18上に支持される上ハウジング部分19を備える。中間ハウジング部分18と上ハウジング部分19とは、遠位半セクション20aと近位半セクション20bとに分離される。遠位半セクション20aは、下ハウジング部分17と一体的に形成され、そして下ハウジング部分17から延び、近位半セクション20bは、遠位半セクション20aに、任意の適切な取り付け方法(例えば、限定されないが、超音波溶接および/または複数の固定具)によって接合される。接合されると、遠位半セクション20aと近位半セクション20bとは、内部に空洞を規定するハンドルハウジング21を形成し、この空洞が、制御器21aを備える回路基板、および駆動機構(図示せず)を収容する。
【0022】
下ハウジング部分17は、下ハウジング部分17内に形成された空洞にアクセスするためにそれに旋回可能に接続されたドア13を備える。この空洞は、バッテリ(図示せず)を内部に保持するためのものである。ステープラー10は、任意の数の電源(例えば、限定されないが、燃料電池、および外部電源に接続された電力コードなど)によって電力供給され得ることが想定される。
【0023】
アダプタアセンブリ14は、その近位端にドライブ連結部22を備え、そしてその遠位端に装填ユニット連結部15を備える。上ハウジング部分19の遠位半セクション20aは、アダプタアセンブリ14のドライブ連結部22を作動可能に受容するように構成された、ノーズまたは接続部分11を規定する。装填ユニット16は、アダプタアセンブリ14の装填ユニット連結部15を作動可能に受容するように構成された、アダプタ連結部27を備える。
【0024】
ハンドルハウジング21の上ハウジング部分19は、駆動機構(図示せず)を封入する。この駆動機構は、ステープラー10の種々の動作を実行する目的で、シャフトおよび/または歯車構成要素(図示せず)を駆動するように構成される。具体的には、この駆動機構は、装填ユニット16のツールアセンブリまたはエンドエフェクタ23を装填ユニット16の近位本体部分24に対して選択的に移動させる目的、装填ユニット16を長手方向軸「X−X」(
図1)の周りでハンドルハウジング21に対して回転させる目的、アンビルアセンブリ25を装填ユニット16のカートリッジアセンブリ26に対して回転させる目的、ならびに/またはステープル留めおよび切断カートリッジを装填ユニット16のカートリッジアセンブリ26内で発射させる目的で、シャフトおよび/または歯車構成要素を駆動するように構成される。
【0025】
図1〜
図21に図示される装填ユニット16は、直線状外科手術用ステープル留め装填ユニットである。この装填ユニットは、外科手術用ステープルを形成するための凹部を有するステープル留めアンビルを備え、これらの外科手術用ステープルは、この外科手術用システムにおける装填ユニットの作動によって、このステープル留めアンビルに対して駆動される。ステープルカートリッジは、これらの外科手術用ステープル、ならびにステープル発射および/または駆動アセンブリを収容する。このステープル発射および/または駆動アセンブリは、公知である。1つのこのようなアセンブリは、米国特許第8,256,656号および同第7,044,353号に記載されており、これらの全開示は、本明細書中に参考として援用される。この駆動アセンブリは、ナイフ刃を有する細長駆動梁を備える。この駆動梁は、プッシャーと相互作用するための楔形の表面を有する起動そりを押す。これらのプッシャーは、これらのステープルを支持し、そしてカム作用表面を有する。このカム作用表面に対してそりの楔形表面がスライドし、このそりがステープルカートリッジを通って長手軸方向の様式で前進する間に、これらのプッシャーを上方に駆動する。
【0026】
この装填ユニットは、このアンビルとこのステープルカートリッジとをそれぞれ支持するための、顎部材を有することが想定される。このアンビル顎部材およびこのステープルカートリッジ顎部材は、これらの間に組織をクランプするように、近接させられ得る。エンドエフェクタは、近位本体部分24によって規定される長手軸方向から軸をずらすように、関節運動または旋回し得ることもまた想定される。
【0027】
この装填ユニットは、円形外科手術用ステープル留めユニット、他の型のステープル留めユニット、または他の型の外科手術用エンドエフェクタ(例えば、電気メス、剥離、超音波など)であり得ることが想定される。
【0028】
図3、
図4、および
図5を参照すると、アダプタアセンブリ14の装填ユニット連結部15は、装填ユニット16のアダプタ連結部27に、押して捩じる配置、または差し込み型の配置を介して作動可能に係合するように構成される。アダプタ連結部27は、1つまたは1つより多くの差し込みラグ28を備え、これらの差し込みラグは、アダプタアセンブリ14の装填ユニット連結部15により提供される差し込みカラー48に規定された、対応する1つまたは1つより多くの差し込みチャネル29と嵌合するように構成される。短いリンク部材44および装填リンク部材45は、アダプタアセンブリ14内に長手軸方向に配置され、そしてステープラー10の作動中に、長手軸方向に(例えば、遠位および近位に)並進するように構成される。短いリンク部材44の遠位端に配置されたカム55は、ばね49aによって遠位に推進されて差し込みチャネル29に押し付けられる。装填ユニット16をアダプタアセンブリ14と係合させるために、装填ユニット16のアダプタ連結部27は、アダプタアセンブリ14の装填ユニット連結部15に挿入され、そして回転させられる。次に、差し込みカラー48が、アダプタ連結部27と協働して回転する。差し込みカラー48が回転するにつれて、カム55が動いて差し込みチャネル29から外れ、短いリンク部材44を遠位方向に並進させ、これが次に、短いリンク部材44に形成されたスイッチタブ47にスイッチ46を起動させる。スイッチ46は、制御器21aと作動可能に電気通信しており、そしてこの制御器に装填ユニット16とアダプタアセンブリ14との間の係合状態を伝えるように構成される。
【0029】
ここで
図6〜
図10を参照すると、装填ユニット16のアダプタ連結部27は、アダプタ連結部27に規定された凹部31内に固定されて設置されるように構成された、確証基板アセンブリ30を備える。確証基板アセンブリ30は、装填ユニット16がアダプタアセンブリ14に固定されているときに、確証基板アセンブリ30がアダプタアセンブリの装填ユニット連結部15内に設置されたアダプタ基板アセンブリ50(
図11)に係合するように、アダプタ連結部27内に配置される。より詳細には、確証基板30は、回路基板37、1対の接触子部材40a、40b(まとめて、接触子部材40)、およびチップ36を備える。回路基板37は、アダプタ連結部27によって規定される凹部31内に固定されて受容されるように構成された、実質的に平坦な細長い部材を規定する。チップ36は、接触子部材40と電気通信する。回路基板37の遠位端37aはチップ36を支持し、そして回路基板37の近位端37bは接触子部材40を支持する。回路基板37の遠位端37aは、それに規定された整列用切欠き33を備え、この整列用切欠きは、凹部31の遠位端に提供された対応する整列用ナブ32と係合して、アダプタ連結部27内での確証基板アセンブリ30の固定された正確な配置を確実にするように構成される。
【0030】
チップ36は、装填ユニット16の仕様(例えば、限定されないが、カートリッジサイズ、ステープル配置、ステープル長さ、締め付け距離、製造日、使用期限、互換性特徴、独特の識別子(例えば、シリアルナンバー)、および/または使用回数)を格納すること、ならびにこれらの仕様をハンドルアセンブリ12に伝送することが可能な、任意のチップを備える。いくつかの実施形態において、チップ36は、消去可能再書込み可能読出し専用メモリ(「EPROM」)チップを備える。この方法で、ハンドルアセンブリ12は、チップ36から伝送される装填ユニット16の仕様に従って、このハンドルアセンブリの発射力、発射行程、および/または他の作動特徴を調節し得る。チップ36は、ハンドルアセンブリ12がチップ36に、関連する装填ユニット16が使用されたことを通信することを可能にする書込み能力を備え得、これにより、使い果たされたリロードアセンブリの再装填もしくは再使用、または他の任意の認可されない使用を防止し得ることがさらに想定される。
【0031】
いくつかの実施形態において、チップ36は、セキュア確証チップ(例えば、限定されないが、1−Wire SHA−256および512−Bit User EEPROMを備えるDS28E15 DeepCover
TM Secure Authenticator(San Jose,CaliforniaのMaxim Integrated
TM製))を備える。これらの実施形態において、チップ36のコンテンツ、およびチップ36とハンドルアセンブリ12との間の通信は、認可されないアクセスを防止するように暗号化される。この方法で、低品質の偽造された装填ユニット、再製された装填ユニット、または「模造」装填ユニットの使用が効果的に妨げられ、このことは次に、新しい確証された装填ユニット16のみが外科手術手順中に使用されることを確実にすることによって、患者に対する危険性を低減させる。さらに、医療施設および/または外科医が偽造された装填ユニットを知らずに使用し得る可能性が大いに縮小され、従って、社会が医療サービスを行うための全体的な費用を減少させる。いくつかの実施形態において、チップ36は、「1ワイヤ」の通信インターフェースを利用し、これによって、チップ36とハンドルアセンブリ12との間での双方向直列通信のために、1つの信号導体が、接地導体と一緒に使用される。
【0032】
接触子アセンブリ38(
図9、
図10)は、接触子ベース59によって接合された短い接触子アーム41および長い接触子アーム42を備え、ほぼ細長いU字形の構成を有する。短い接触子アーム41は、その近位端の上部に直交して配置されて固定された、第一の接触子部材40aを備える。長い接触子アーム42は、その近位端の上部に直交して配置されて固定された、第二の接触子部材40bを備える。短い接触子アーム41および長い接触子アーム42はそれぞれ、その遠位端の下部に直交して配置されて固定された、はんだタブ39を備える。はんだタブ39は、回路基板37の近位端37bに、例えば、はんだ付け、導電性接着剤、および/または他の適切な技術によって電気機械的に接合される。
【0033】
アダプタ連結部27は、その近位端から半径方向に延びる隆起した接触子支持部34を備え、そしてこの接触子支持部に規定された1対のクレードル35a、35bを備え、これらのクレードルは、確証基板アセンブリ30がアダプタ連結部27の凹部31内に配置されるときに、それぞれ第一の接触子部材40aおよび第二の接触子部材40bを受容するように構成される。カバー43は、確証基板アセンブリ30をアダプタ連結部27の凹部31の内部に収容して保持するように構成される(
図7および
図8)。
【0034】
いくつかの実施形態において、短い接触子アーム41および第一の接触子部材40aは、接触子ベース59によって、長い接触子アーム42および第二の接触子部材40bから電気的に絶縁される。これらの実施形態において、短い接触子アーム41および長い接触子アーム42の各々は、別々の回路を有する。例えば、短い接触子アーム41は信号回路を有し、そして長い接触子アーム42は接地回路を有する。他の実施形態において、短い接触子アーム41および第一の接触子部材40aは、長い接触子アーム42および第二の接触子部材40bと電気的に接合される。これらの実施形態において、短い接触子アーム41および長い接触子アーム42は、二又モードまたは冗長モードで作動して信号回路を有し、一方で、接地回路は、装填ユニット16、アダプタユニット14、および/またはハンドルアセンブリ12の他の導電性構成要素により達成される。
【0035】
上述のように、確証基板アセンブリ30は、装填ユニット16がアダプタアセンブリ14に固定されるときに、装填ユニット連結部15内に設置されるアダプタ基板アセンブリ50に係合するように構成される。ここで
図11〜
図14を参照すると、装填ユニット連結部15は、装填ユニット連結部15に規定されたポケット60内に浮動可能に設置されるように構成された、アダプタ基板アセンブリ50を備える。アダプタ基板アセンブリ50は、装填ユニット16がアダプタアセンブリ14に固定されるときにアダプタ基板アセンブリ50が確証基板アセンブリ30に係合するように、装填ユニット連結部15内に配置される。
【0036】
アダプタ基板アセンブリ50は、1対の接触子部材55a、55b(まとめて、接触子部材55)が固定されてハンドルアセンブリ12と作動可能に通信している、回路基板51を備える。図示される実施形態において、接触子部材55a、55bは、横断方向、例えば、ステープラー10の長手方向軸「X−X」に対する横断方向で効果的に係合するように配置されて、本明細書中に記載されるような装填ユニット16とアダプタアセンブリ14との回転連結に適応する。
【0037】
回路基板51は、上表面51a、下表面51b、近位端51c、および遠位端51dを備える。回路基板51は、装填ユニット連結部15によって規定されたポケット60内に弾力的または浮動可能に受容されるように構成された、実質的に平坦な細長い部材を規定する。ばねクリップ52が、回路基板51の近位端51cに固定され、そしてアダプタ基板アセンブリ50をポケット60内で支持するように構成される。ばねクリップ52は、1対のばね支持具54を備え、これらのばね支持具は、はね様の構成を有し、ばねクリップ52が過剰に広がることを防止し、そして硬さを提供するように構成される。アダプタ基板アセンブリ50は、回路基板51の上表面51aに配置された、幅の広い湾曲したU字形のプロフィールを有するばね53を備える。いくつかの実施形態において、ばねクリップ52とばね53とは、一体的に形成され得る。ばねクリップ52および/またはばね53は、回路基板51の近位端51cに規定された切欠き62に積極的に整列し得、そして/またはこの切欠き62によって支持され得る。回路基板51は、それに規定された1つまたは1つより多くのスルーホール56を備え、このスルーホールは、回路基板51の上表面51aと下表面51bとの間に伝導性経路を形成するために利用され得る。
【0038】
アダプタ基板アセンブリ50がポケット60内に設置されるとき、ばね53は、アダプタアセンブリ14の外側管57(
図15、
図16)に押し付けられる。使用中に、アダプタ基板50は、ばね53および横のばねクリップ52によって確証基板アセンブリ30の方にばね付勢され、その結果、装填ユニット16とアダプタアセンブリ14とを接合させるとき、装填ユニット16とアダプタアセンブリ14との間のあらゆる製造許容差が、浮動性のばね設置によりアダプタ基板50をポケット60内に係合させることによって、補償される。この方法で、アダプタ基板50の接触子部材55と確証基板アセンブリ30の接触子部材40との間の信頼性ある接続が、一貫して達成され、従って、チップ36とハンドルアセンブリ12との間の頑丈な通信リンクを提供する。実施形態によっては、接触子アセンブリ38、接触子40、および/または接触子55は、少なくとも部分的に、導電性物質(例えば、限定されないが、ベリリウム銅)から形成される。
【0039】
ここで
図15〜
図21を参照すると、アダプタ基板アセンブリ50と確証基板アセンブリ30との間の相互作用が示されている。
図15、
図16、および
図19に見られるように、アダプタ基板50は、装填ユニットアダプタ15内に、ばねクリップ52によって保持される。ばね53は、外側管57に押し付けられて、アダプタ基板50を内向きに、ボア61の方へと付勢し、その結果、接触子部材55はボア61内に延びる。アダプタ連結部27が装填ユニットアダプタ15のボア61に完全に挿入されると、アダプタ連結部27と装填ユニット連結部15との最初の回転配向は、確証基板30の接触子部材40とアダプタ基板50の接触子部材55とがおよそ45°離れるような配向である(
図20)。装填ユニット16がアダプタアセンブリ14に対して回転させられると、確証基板30の接触子部材40は、アダプタ基板50の接触子部材55と係合する。有利には、装填ユニット16のアダプタ連結部27の接触子支持部34は、接触子部材40がアダプタ基板50の接触子部材55に係合して嵌合するとき、これらの接触子部材に対する半径方向の支持を提供する。さらに、ばね53が外側管57に押し付けられることにより、アダプタ基板50が確証基板30および装填ユニット連結部15に対して浮動することが可能になり、これによって、種々の構成要素間の製造による変動を補償し、そして確証基板30とアダプタ基板50との間に信頼性のある接続を提供する。
【0040】
装填ユニット16のような装填ユニットは、取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリを有し得ることが想定される。本開示の1つの実施形態によるステープル留めシステムが、
図22〜
図57に示されており、このステープル留めシステムは、上で議論されたハンドルアセンブリ12と類似の動力式ハンドルアセンブリ112を有する。このハンドルアセンブリは、上で議論されたように構成され、そして制御器121aを有する。このステープル留めシステムは、アダプタアセンブリ114および装填ユニット116を備え、これらの各々は、上で議論されたように構成され得る。この装填ユニットは、直線状ステープル留め装填ユニットであるが、他の型の装填ユニットが想定される。装填ユニット116は、上で議論されたように、アンビル顎部材111とステープルカートリッジ顎部材113との間にクランプされた組織内にステープルを発射するための、駆動アセンブリを有する。
【0041】
ステープルカートリッジ顎部材113内に、取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリ115が支持されている。取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリは、米国特許出願第13/280,880号(2011年10月25日出願、US 2013−0098965 A1として公開、その全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0042】
本開示の装填ユニット116は、1回より多く使用されるように構成される。具体的には、この装填ユニットは、上で議論されたステープルカートリッジおよび駆動アセンブリを備える、取り外し可能なステープルカートリッジアセンブリ115を有する。取り外し可能なアセンブリ115は、(例えば、ステープルまたは他の外科手術用ファスナーを発射した後に)取り外されて交換されるように構成される。図示される装填ユニット116は、アダプタアセンブリ114に取り付け可能な近位本体部分118を備える。しかし、本開示の装填ユニットの特徴は、器具の細長部分の取り外し可能な部分を備えない外科手術用器具に組み込まれてもよい。
【0043】
装填ユニット116は、長手方向軸「Y−Y」を規定する近位本体部分118を備える。顎部材は、アンビル顎部材111およびカートリッジ顎部材113を備える。これらの顎部材のうちの一方は、他方に対して旋回し、これらの顎部材間に組織をクランプすることを可能にする。図示される実施形態においては、カートリッジ顎部材113がアンビル顎部材に対して旋回し、そして開位置または非クランプ位置と、閉位置または近接位置との間で移動可能である。しかし、アンビル顎部材が、またはカートリッジ顎部材とアンビル顎部材との両方が、移動可能であってもよい。
図1〜
図21に関して議論されたように、このアンビル顎部材は、複数のステープル形成凹部を有するアンビルを備える。
【0044】
カートリッジ顎部材113は、ステープルカートリッジアセンブリ115を受容して支持する、チャネルまたはキャリア120を備える。このカートリッジアセンブリは、カートリッジ本体140および支持プレート111aを有する。このカートリッジ本体および支持プレートは、チャネルまたはキャリア120に、以下で議論されるようなスナップばめ接続、移動止め、ラッチ、または別の型の接続によって、取り付けられる。このカートリッジアセンブリは、ファスナーまたはステープル141を備える。カートリッジ本体140は、横方向に間隔を空けた複数のステープル保持スロット142を規定し、これらのステープル保持スロットは、開口部として構成される(
図32を参照のこと)。各スロットは、内部にファスナーまたはステープルを受容するように構成される。カートリッジアセンブリはまた、複数のカム楔スロットを規定し、これらのカム楔スロットは、ステープルプッシャー146を収容し、そして底部で開口して、上で議論されたようなステープルの発射の際に、起動そり148がこのカートリッジアセンブリを通って長手軸方向に通過することを可能にする。
【0045】
取り外し可能なステープルカートリッジアセンブリ115は、カートリッジ本体140および支持プレート111aを備える。取り外し可能なアセンブリ115は、例えば、ステープルがカートリッジ本体140から発射された後に、チャネル120から取り外し可能である。別の取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリが、このチャネルに装填されることが可能であり、その結果、装填ユニット116は、さらなるファスナーまたはステープルを再度発射するために起動され得る。
【0046】
チャネル120は、ステープルカートリッジアセンブリと支持プレートとを係合させるための1つまたは1対の係合構造体120a(例えば、スロット)(
図39を参照のこと)、駆動梁の通過のための中心スロット、アンビル顎部材との接続のための1対の近位穴150、および傾斜表面152を備える。近位穴150は、アンビル顎部材の対応する1対の穴または特徴と整列し/機械的に係合するように構成される。顎部材は、ピンによって接続され得、例えば、アンビル顎部材111とカートリッジ顎部材113との間の旋回関係を容易にする。
【0047】
カートリッジ本体140は、中心スロット143、およびスロット143の両側に位置するステープル保持スロットの列を備える(
図32を参照のこと)。カートリッジ本体はまた、1対の係合構造体または突出部を備え、これらは、特定の実施形態において、その近位端に隣接する、支持プレート111aおよび/またはチャネル120との接続のためのスロットまたは開口部であってもよい。
【0048】
図29を特に参照すると、支持プレート111aは、基部145、カートリッジ本体および/またはチャネルとの接続のための係合特徴147および147a(
図38を参照のこと)、ならびにその近位端の設置部分149(
図29を参照のこと)を備える。支持プレート111aは、カートリッジ本体の下方に配置されて、ステープルプッシャー、起動そりおよびステープル(または他の外科手術用ファスナー)を支持し、そしてこれらの構成要素がステープルカートリッジアセンブリから落ちることを防止する。
【0049】
この装填ユニットは、例えば
図41〜
図45に示されるように、近位本体部分118の近位端に設置されたチップアセンブリ360を備え得る。このチップアセンブリは、上で議論された確証基板アセンブリ30に関して上に記載されたとおりである。チップアセンブリ360は、アダプタアセンブリ114の遠位端の連結部において基板アセンブリとの接続のために設置され、そして
図1〜
図21に関して上で議論されたように構成され得る。チップアセンブリ360は、確証および情報の目的のチップ361を備え、そして特定の情報を格納するメモリを備え得る。この情報は、その装填ユニットがどのような型のデバイスであるか、そのデバイス/装填ユニットのバージョン、その装填ユニットの名称、製造ロット番号、シリアルナンバーまたは他の識別番号、その装填ユニットの駆動梁が駆動され得る最大の力、インターロックゾーン(mm)、エンドゾーン(mm)、装填ユニットが関節運動し得るか否か、および/あるいは使用限度(その装填ユニットが使用され得る回数)を含み得る。このインターロックゾーンとは、駆動梁の開始位置または初期位置から測定した、この駆動梁がこの装填ユニットのロックアウトにより係合されるときの、ミリメートル単位でのこの駆動梁の位置である。このエンドゾーンとは、駆動梁の開始位置または初期位置から測定した、この駆動梁がそのステープルカートリッジ本体140内での移動の終了に達したときの、ミリメートル単位でのこの駆動梁の位置である。ステープルカートリッジアセンブリ115は、取り外されて交換され得るので、装填ユニットに新しい未発射のステープルカートリッジを再装填し得る回数に対して、意図される限度が存在する。このチップに格納される情報は、ステープル線および/またはカートリッジの長さを含み得る。
【0050】
ハンドルアセンブリ112内の制御器121aは、チップ361上の情報を読み取るようにプログラムされ得る。この情報は、外科手術用システムの操作中に使用される。望ましくは、これらの情報のうちのいくつかまたは全てが暗号化される。このことは、
図1〜
図21に関して上で議論されたように達成され得る。この制御器は、シリアルナンバーまたは他のデータが認識されない場合、ハンドルアセンブリ112内に配置されたモータ(図示せず)に電力を提供しないように、そしてアダプタアセンブリおよび装填ユニットを作動させないように、プログラムされ得る。最大の力の情報は、外科手術用システム内に配置された負荷センサ(例えば、ひずみゲージ)と組み合わせて使用される。例えば、負荷センサは、アダプタアセンブリ114および/または装填ユニット内に配置され得る(例えば、駆動梁上の負荷センサ)。この制御器は、この負荷センサからのデータと、このチップ上に格納された最大の力のデータとを比較するようにプログラムされ、これによって、例えば、この最大の力を超える前に、モータ(図示せず)の作動が妨害される。別の例において、この制御器は、この測定された力が予め決定されたレベルに達した場合、「低速モード」で作動するようにプログラムされ得る。この予め決定されたレベルの力は、上で議論された最大の力であり得るか、またはこのシステム内のチップ(例えば、チップ361)上に格納された、別のレベルの力であり得る。低速モードとは、制御器がモータ(図示せず)をより低い速度で作動させ、より大きいトルクを発生させ、そしてまた、組織の圧縮および/またはステープルの発射を遅くすることを意味する。厚い組織において、低速モードは、この組織内の流体がステープル留めの部位から移動することを可能にし得、この組織のより大きい圧縮を容易にし得る。
【0051】
類似の方法で、このモータの作動は、駆動梁がインターロックゾーンまたはエンドゾーンに配置されるときに、停止され得るか、または低速モードで作動され得る。さらに、この制御器は、チップ361上のデータがその装填ユニットが関節運動しないことを示す場合、関節運動リンクのための機構、棒またはケーブルの作動を妨害または防止し得る。
【0052】
上で議論されたデータのうちのいくつかまたは全てを含むチップ361が、本明細書中に開示される実施形態の任意のもの(取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリを有さない装填ユニット、および/または関節運動しない装填ユニットが挙げられる)に提供され得ることが想定される。
【0053】
チップ361上の情報は、ハンドルアセンブリ内の制御器、このシステム内の別のチップ、またはこの外科手術用システム内の他の任意のコンピュータ構成要素によって読み取られ得ることが想定される。
【0054】
本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、この制御器は、この装填ユニット上のチップに情報を書き込み得る。例えば、組織をクランプするために使用された最大の力(上で議論された負荷センサによって測定されるような)、ステープルを発射するために使用された最大の力、および/または駆動梁が前進を止めるときの駆動梁の位置など。チップ361に書き込まれ得る他の情報としては、そのデバイスが低速モードに入るときの駆動梁の位置、その装填ユニットが発射された回数、その装填ユニットが発射されたか否か、ハンドルアセンブリの型、そのハンドルアセンブリのシリアルナンバー、アダプタアセンブリの型、および/またはそのアダプタアセンブリのシリアルナンバーが挙げられる。ステープルを発射するための最大の力は、本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、駆動梁の位置と一緒に保存され得る。この情報はまた、ハンドルアセンブリ内の制御器に接続されたメモリ、そのシステム内の他のチップ、またはその外科手術用システムの他のコンピュータ構成要素に保存され得る。
【0055】
本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、エンドエフェクタまたはツールアセンブリは、ツールアセンブリが長手方向軸「Y−Y」と整列する第一の位置と、ツールアセンブリが長手方向軸「Y−Y」に対してある角度で配置される第二の位置との間で、関節運動するように配置されることもまた想定される。例えば、アンビル顎部材およびカートリッジ顎部材を備えるツールアセンブリは、近位本体部分118に対して旋回可能であるように設置され得る。このアンビル顎部材およびこのカートリッジ顎部材は、設置アセンブリ2020(以下でさらに議論される)に取り付けられ得、そしてこの設置アセンブリは、近位本体部分118に旋回可能に接続され得る。装填ユニット116は、近位本体部分に配置された1つまたは1つより多くのケーブルまたはリンク機構を備え、その結果、このケーブルまたはリンク機構が動くと、このツールアセンブリは、この器具に対して旋回して関節運動する。関節運動を提供することのさらなる詳細は、共有に係るMillimanらに対する米国特許第6,953,139号に詳細に記載されており、その内容はその全体が本明細書中に参考として援用される。アダプタアセンブリ114は、このツールアセンブリの関節運動を可能にするための、リンク機構、棒またはケーブルを備え得る。
【0056】
図32に見られるように、例えば、本明細書中に開示される実施形態の任意のものが、段状の組織接触表面1412を有するカートリッジ本体140を備え得る。このような実施形態において、異なるサイズのステープルまたは全て同じサイズのステープルが、使用され得る。複数のステープルサイズを有するステープルカートリッジのさらなる詳細は、Holstenらに対する米国特許第7,407,075号に含まれており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。従って、アンビルのステープル形成凹部、またはステープルプッシャー、あるいはこれらの両方は、ステープルを所望の形状およびサイズに形成するように構成され得る。
【0057】
取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリ115は、チップアセンブリ362をさらに備え得る(
図27および
図28を参照のこと)。対応する基板アセンブリ380(
図25および
図26)が、装填ユニット116のツールアセンブリ上に配置され、そしてチャネル120上に配置され得る。このツールアセンブリの基板アセンブリ380は、アダプタ連結部27のアダプタ基板アセンブリ50に関して上で議論されたように構成され得る。このツールアセンブリの基板アセンブリ380は、チャネル120の壁に固定されて設置されるように構成される。この基板アセンブリ380は、カートリッジアセンブリ140が装填ユニットのチャネル120に固定されるときに、チップアセンブリ362がこのチャネルに設置された基板アセンブリ380に係合するように、配置される(
図29〜
図31を参照のこと)。
図27および
図28は、チップアセンブリとステープルカートリッジ本体140との間の関係を示し、一方で、
図29は、チップアセンブリ362と支持プレート111aとの間の関係を示す。
【0058】
より詳細には、チップアセンブリは、本体337、ならびにこの本体に配置されたチップ336に接続された1対の接触子部材340a、340b(まとめて、接触子部材340)を備える。本体337は、可撓性アームを有する矩形の部材を規定し、これらの可撓性アーム上には、スナップ特徴337aがある。これらの可撓性アームは、カートリッジ本体に規定された凹部331に固定されて受容されるように構成される。チップ336は、接触子部材340と電気通信する。
【0059】
チップ336は、ステープルカートリッジアセンブリ115に関する情報を格納することが可能な、任意のチップを備える。このチップは、確証基板アセンブリ30のチップと同じであっても類似であってもよい。本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、これらのチップの任意のものが、情報(例えば、限定されないが、カートリッジサイズ、ステープル配置、ステープル線の長さ(またはカートリッジの長さ)、製造日、使用期限、互換性特徴、独特の識別子(例えば、シリアルナンバー)、および/または使用回数、ならびにこのステープルカートリッジアセンブリが使用されたことがあるか否か)を格納し得る。このような情報は、ハンドルアセンブリ112内の制御器、または別のコンピュータ構成要素に、適切なバス、ピン接続、無線手段などを介して伝送され得る。いくつかの実施形態において、チップ336は、消去可能再書込み可能読出し専用メモリ(「EPROM」)チップを備える。このハンドルアセンブリ内の制御器は、チップ336に情報を書き込み得る。この方法で、ハンドルアセンブリ112は、チップ336から伝送される、ステープルカートリッジアセンブリに関する情報に従って、このハンドルアセンブリの発射力、発射行程、および/または他の作動特徴を調節し得る。ハンドルアセンブリ112は、チップ336に、このステープルカートリッジアセンブリが使用されたことがあることを通信し得、これにより、使い果たされたリロードアセンブリの再装填もしくは再使用、または他の任意の認可されない使用を防止し得る。この外科手術用システム内の構成要素のいずれかに格納された情報は、秘密鍵、公開鍵、および/またはセキュアハッシュアルゴリズムを使用して、暗号化され得る。
【0060】
基板アセンブリ380はまた、1対の接触子380aおよび380b、ならびに本体381を有する。この基板アセンブリは、ステープルカートリッジアセンブリがチャネル120内に適切に設置されるときに、チップアセンブリ362と接触するために設置される。接触子380a、380b、340a、および340bは、図に見られるようなL字形の構成を有し、その結果、これらの接触子は、互いに弾力的に係合し得る。本体381は、スナップ特徴382を規定し得、このスナップ特徴は、この基板アセンブリを固定して設置するために、チャネル内の穴383に係合するために提供される。この基板アセンブリは、チップアセンブリ362からハンドルアセンブリ内の制御器へ、または他の任意のコンピュータデバイスへの情報の伝送のために、バスもしくはワイヤに適切に接続されるか、または無線通信手段を有する。
【0061】
本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、ロックアウト機構500が、装填ユニット内に配置される。この装填ユニットは、上で議論されたように構成され得る。さらに、本開示は、ロックアウトを有する取り外し可能なアセンブリ、またはロックアウトを有する装填ユニットに関する。
【0062】
ロックアウト機構500は、ラッチ2010および少なくとも1つのばね2030を備え、そしてステープルカートリッジアセンブリ115またはステープルカートリッジ26の再発射を防止するように、そしてまた、ステープルカートリッジが発射された後であって別のカートリッジアセンブリ115の装填前の駆動梁の遠位方向への並進を防止するように、構成される。ロックアウト機構500は、
図50において、そり148および設置アセンブリ2020と並んで図示されている。少なくとも1つのばね2030は、遠位に面する表面2031に設置される。例えば、表面2031に、ばね2030を受容するための凹部が形成される。対応するポストが、ラッチ2010の近位に面する表面に提供される。このラッチは、装填ユニット内で旋回可能であるように構成され、そして少なくとも1つのプロング2012、後方部分2014、および支持部分2016を備える。このラッチは、
図50および
図51において下方に垂れ下がる2つの特徴として示される支持部分2016の周りで旋回するように構成され、そしてばね2030(単数または複数)によって付勢される。そり148は、ラッチおよび駆動梁が初期位置にあるときに少なくとも1つのプロング2012を受容するための、穴または凹部を有する(
図52を参照のこと)。駆動梁2039は、上フランジ2042、下フランジ2044、およびナイフ刃2046を有する動的クランピング部材2040(
図53を参照のこと)と相互作用し得るか、またはこの動的クランピング部材2040を備え得る。
【0063】
この初期位置において、ラッチ2010は、前方または遠位方向に付勢され、このとき後方部分2014は、駆動梁2039の縁部2039aと接触して、このラッチのさらなる回転運動を防止する。この駆動梁およびこの動的クランピング部材が前方または遠位方向に移動するにつれて、この動的クランピング部材は、このそりを遠位方向に押す。このそりの後方部分148aは、プロング2012(単数または複数)を押し、このラッチを、少なくとも1つのばね2030の付勢に逆らって傾斜させる。これによって、後方部分2014が縁部2039aの近くの領域から外され、そして駆動梁および動的クランピング部材が前方に移動することを可能にする。この動的クランピング部材がラッチ2010を通過した後に、このラッチは、このばねの影響下で前方に回転する(
図57を参照のこと)。
【0064】
動的クランピング部材およびそりがステープルをカートリッジ140から発射した後に、この動的クランピング部材は近位方向に移動し、このそりをカートリッジ140およびカートリッジアセンブリ115の遠位端に残す。カム表面2041がラッチを移動路から離れるように動かすと、この動的クランピング部材は、ラッチ2010を超えて移動し得る(
図57を参照のこと)。一旦、この動的クランピング部材がその初期位置に戻ると、ラッチ2010は、動的クランピング部材2040のさらに前方への移動を防止する。このラッチの後方部分2014は、この駆動梁の別の縁部2039bに係合するように位置する(
図57を参照のこと)。この装填ユニットが、取り外し可能かつ交換可能なステープルカートリッジアセンブリ115を受け入れる型のものである場合、カートリッジアセンブリ115は、ラッチ2010をその初期位置に戻すように構成され得、その結果、この駆動梁およびこの動的クランピング部材は、再度遠位方向に移動させられて、別のセットのステープルを発射させ得る。
【0065】
上で議論されたように、本明細書中に開示される実施形態の任意のものは、装填ユニット116などの外科手術用ステープル留め装填ユニット上に、上で議論されたロックアウト機構などのロックアウト機構に関する情報を有するチップアセンブリ360を備え得る。さらに、このロックアウト機構に関する情報が、チップ361上に格納され得る。例えば、そのロックアウト機構が係合されたという事実が、ハンドル内の制御器によって、チップアセンブリ360および/またはチップアセンブリ362に記録され得る。このハンドル内の制御器は、情報を格納するためのメモリ(プロセッサ、および他のコンピュータ構成要素が挙げられる)を備え得る。この制御器はまた、このハンドルアセンブリのモータの電流を測定するための電流計、すなわちアンメータを備え得る。この制御器は、この装填ユニットおよび/またはステープルカートリッジアセンブリの使用中に達したピーク電流を記録するようにプログラムされ得、そしてこのピーク電流を、このシステム内のチップまたは他のコンピュータ構成要素のうちの任意のものに記録し得る。ステープルが発射された後に達するピーク電流は、新しいステープルカートリッジアセンブリがその装填ユニットに設置される前に、この装填ユニットを再び発射させることを試みられたことの指標であり得る。あるいは、このロックアウト機構は、センサを、例えばラッチ上に備え得る。この外科手術用システムは、上で議論されたものと同様の、ロックアウト機構を有さない装填ユニットを備え得ることが想定される。その装填ユニットがロックアウト機構を有さないという事実は、チップ361に格納され得る。
【0066】
このハンドルアセンブリはまた、モータ出力シャフトの回転が何回行われたかを決定するエンコーダを備え得、これは、アダプタアセンブリ内の駆動棒、リンク機構、ケーブルなど、装填ユニット内の駆動梁もしくは発射棒、または他の構成要素の位置を決定するために使用され得る。あるいは、他のセンサが、その外科手術用システム内の種々の構成要素の位置を決定するために、使用され得る。
【0067】
本明細書中に開示されるアダプタアセンブリは、本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、米国特許出願公開第2011/0174099 A1号に開示されるように構成され得、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。ハンドルアセンブリ内のモータは、回転出力を回転シャフトに提供し、そしてアダプタは、この出力を、直線運動するリンク機構または棒に転換するように構成され、そしてまた、装填ユニット116の近位本体部分118内の関節運動リンク機構に駆動を提供し得る。ハンドルアセンブリおよび/またはアダプタアセンブリは、米国特許出願公開第2014/0012289 A1号および同第2014/0110453 A1号に開示されるように構成され得、これらの全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0068】
力測定および駆動回路
本明細書中に開示される実施形態の任意のものは、力測定および駆動回路を備え得るか、または力測定および駆動回路を有する構成要素と一緒に使用されるように構成され得る。モータ駆動機構によってエンドエフェクタアセンブリに加えられる力がモータ電流測定によって推定される、ファスナーを付けるための外科手術用器具は、公知である。しかし、温度によって変わる、この測定スキームにおいては、エラーの元が存在し得、そしてある組み合わせのエンドエフェクタアセンブリおよびアダプタと、別の組み合わせのエンドエフェクタアセンブリおよびアダプタとの間の摩擦の差に起因する不確実性が存在し、このことは、モータ電流のみによって推定される力は、その信頼性が変わりやすいことを意味する。
【0069】
本開示の種々の実施形態は、エンドエフェクタアセンブリをモータ駆動機構に作動可能に接続するように構成され、そしてアダプタ内の駆動力を直接測定するように構成された、アダプタを備える外科手術用器具を提供する。本開示の外科手術用器具の実施形態は、過剰な負荷を検出すること、ならびに/あるいはアダプタおよび/またはハンドルアセンブリへの損傷を防止することが可能であり、これにより、信頼性が増大し得る。本開示の外科手術用器具の種々の実施形態はまた、組織圧縮に関するデータを収集することが可能である。本開示の外科手術用器具の実施形態は、組織端部停止(end stop)または端部停止条件にいつ達したかを正確に決定するように構成される。
【0070】
本開示の外科手術用器具の種々の実施形態は、ひずみゲージおよび駆動回路を用いて構成されたアダプタを利用する。以下の説明は、ひずみゲージの使用を記載するが、本開示の教示はまた、加えられる圧力に比例する電気出力を提供することが可能な種々の感知デバイスに応用され得る。いくつかの実施形態において、この駆動回路は、専用計測増幅器、カスタム同調2極フィルタ、低電力モードスイッチ、12ビットアナログデジタル変換器、および32ビットマイクロプロセッサを備える。以下の説明は、外科手術用ステープルを付けるための外科手術用器具の使用を記載するが、本開示の教示はまた、エンドエフェクタアセンブリおよびシャフトを備える種々の外科手術用デバイス(例えば、組織を封止するデバイス)に応用され得る。
【0071】
図58は、種々の外科手術手順(例えば、内視鏡外科手術手順)において使用するための外科手術用器具1110を図示し、この外科手術用器具は、モータパック1150、バッテリパック1160、アダプタ1120、および交換可能な装填ユニット1114(ステープルを付けるように構成されたエンドエフェクタアセンブリ1111を有する)を備える。交換可能な装填ユニット1114および/またはエンドエフェクタアセンブリ1111は、種々のサイズのステープルを備え得、そしてこれらのステープルは、1つまたは1つより多くの構成で配置され得る。いくつかの実施形態において、交換可能な装填ユニット1114は、アダプタ1120の遠位端に解放可能に連結されるように構成される。
【0072】
図58に図示されるように、外科手術用器具1110は、モータパック1150およびバッテリパック1160を保持するように構成されたクラムシェル1140を備え、そしてクラムシェル1140を介してアダプタ1120をモータパック1150に作動可能に連結するための連結機構1130を備える。外科手術用器具1110はさらに、または代替的に、ハンドルアセンブリ(図示せず)を備え得、この場合、アダプタ1120は、このハンドルアセンブリの遠位端から延びる。いくつかの実施形態において、器具1110は、器具1110を外部電源に接続するための伝送線(図示せず)を備え得る。
【0073】
本開示の実施形態によれば、駆動力は、アダプタ1120において、ひずみゲージ1122または他の力センサ、およびこれと作動可能に関連する駆動回路1129を使用して、直接測定される。本開示の外科手術用器具1110の実施形態は、工場較正力測定値を含み得、これによって、傾き補正因子およびオフセット補正因子が、駆動回路1129のマイクロプロセッサ(例えば、
図59および
図60に示されるマイクロプロセッサ1240)に永続的に格納される。この方法で、アダプタ1120は、異なるハンドルアセンブリ、またはクラムシェル1140間で交換され得、そして較正された力測定値が保証される。いくつかの実施形態において、行程の終了時に較正された力測定値は上昇し、このことは、信頼性のある端部停止検出を可能にすることを補助する。
【0074】
力センサおよび力変換器は、温度によって、および経時的に、オフセットのドリフトを示し得る。本開示の実施形態によれば、力変換器は、製造中に工場で較正される。この較正は、補正因子をマイクロプロセッサ(例えば、
図59および
図60に示されるマイクロプロセッサ1240)に提供する。この補正因子は、変換器(例えば、ひずみゲージ1122)から受信されたデータを修正して、工場での製造中に加えられる現実の力と一致させるために、このマイクロプロセッサによって使用されるためのものである。図示される実施形態において、この較正は最初に、変換器オフセット「Y1」の測定を伴う。次に、既知の力「F1」がこの変換器に加えられ、そしてこの変換器の出力が測定されて、データ点「Y2」を与える。見かけの傾き「Sapp」が、等式Sapp=(Y2−Y1)/F1を使用して計算され得る。
【0075】
オフセット「Y1」は、マイクロプロセッサ1240に格納され得(そして/またはこれと作動可能に関連するメモリに格納され得)、そしてマイクロプロセッサ1240は、変換器から受信された全てのデータから、オフセット「Y1」を減算するように構成され得る。これは、y=mx+bの等式を使用してこの変換器から予測される直線に対する、「b」補正に相当する。この傾きの補正は、最初に「Sapp」を理想値「Si」(これは、力「F1」が入力される場合のこのシステムの理想出力である)と比較することによって、計算され得る。y=mx+bの等式の項「m」は、比Si/Sappによって修正される。
【0076】
図59および
図60において、駆動回路1129(
図58)の回路図が示されており、この回路図は、計測増幅器1220、マイクロプロセッサ1240、演算増幅器すなわち「オペアンプ」1230、およびひずみゲージ1122に接続されたインターフェース1215、ならびにオン/オフ能力を提供する電源オン/オフ回路1210を含む。
図60に示されるように、駆動回路1129は、電圧調整回路1250をさらに備え、これは、クリーンなDC電圧を提供する。いくつかの実施形態において、電圧調整回路1250は、3.3ボルトのDC電圧を提供する。
【0077】
計測増幅器1220は、電力供給源注入比、および電流消費がないことのために選択される。計測増幅器1220は、比較的ノイズが多い信号、またはひずみゲージからの非常に弱い信号を増大させるように設計される。例えば、この信号を約50倍増大させる。オペアンプ1230は一般に、低い電流消費および小さいサイズを有し、そして増幅器1220からの信号を約10倍増大させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、オペアンプ1230は、20Hzのカットオフ周波数で20dBの増加を提供し、そして二極バターワースフィルタであり得る。オペアンプ1230はまた、低域フィルタリングを提供して、例えば、モータのノイズを排除し得、そして/または電磁気干渉(EMI)抑制を提供し得る。オペアンプ1230のアナログ出力は、導体1231を介してマイクロプロセッサ1240のアナログ−デジタル入力に伝送され、そしてデジタル形式に変換される。駆動回路1129をアダプタ1120内に収容するための空間の制約に起因して、オペアンプ1230およびマイクロプロセッサ1240を選択する際の主要な懸念事項のうちの1つは、サイズが小さいことである。
【0078】
本明細書中以下で、本開示による外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法が、
図61を参照しながら記載される。本明細書中に提供される方法の工程は、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせて、そして本明細書中に提供される順序とは異なる順序で、実施され得ることが理解されるべきである。
【0079】
図61は、本開示の1つの実施形態による、外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法を図示する流れ図である。工程1410において、外科手術用器具1110が提供され、この外科手術用器具は、エンドエフェクタアセンブリ1111を有する交換可能な装填ユニット1114を駆動モータ1150に解放可能に連結するように構成されたアダプタ1120を備える。アダプタ1120は、過剰な負荷を検出することが可能な、駆動回路1129に連結されたひずみゲージ1122を備える。いくつかの実施形態において、このエンドエフェクタアセンブリは、ステープルを付けるように構成される。
【0080】
いくつかの実施形態において、駆動回路1129は、マイクロプロセッサ1240およびオペアンプ1230を備える。オペアンプ1230は、低域フィルタリングを提供するように構成され得、そして/または二極バターワースフィルタであり得る。いくつかの実施形態において、
図61に図示される方法は、オペアンプ1230のアナログ出力をマイクロプロセッサ1240のアナログ−デジタル入力に伝送する工程をさらに包含し得る。駆動回路1129は、電圧調整回路1250をさらに備え得、これは3.3ボルトのDC電圧を提供し得る。
【0081】
工程1420において、ひずみゲージ1122および駆動回路1129を使用して、アダプタ1120における駆動力を直接測定し、力測定値を得る。
【0082】
工程1430において、この力測定値に基づいて、過剰な負荷が検出されたことが決定される場合、アダプタ1120に対する損傷を防止するように、この駆動力が調節される。
【0083】
いくつかの実施形態において、
図61に図示される方法は、エンドエフェクタアセンブリを使用してステープルを付ける工程、および/または内視鏡外科手術手順においてエンドエフェクタアセンブリ1111を利用する工程をさらに包含し得る。
【0084】
上記外科手術用器具、および外科手術用デバイスにおける駆動力を測定する方法は、内視鏡外科手術手順における利用に適切であり得、そして/または直視下外科手術用途における利用に適切であり得る。
【0085】
図1〜
図57に関して記載された実施形態の任意のものが、上で議論されたひずみゲージ(もしくは他の力センサ)および/または駆動回路を備え得る。本明細書中に開示される実施形態の任意のものにおいて、ハンドルアセンブリまたはクラムシェル内のモータは、1つまたは1つより多くのドライブ(例えば、回転可能なドライブコネクタ)を起動させるように構成された、任意の電気モータであり得る。このモータは、バッテリに連結され、このバッテリは、DCバッテリ(例えば、充電式の鉛ベースのバッテリ、ニッケルベースのバッテリ、リチウムイオンベースのバッテリなど)、AC/DC変圧器、またはこのモータに電気エネルギーを提供するために適した他の電源であり得る。
【0086】
図示および説明の目的で、添付の図面を参照しながら実施形態が詳細に記載されたが、開示されるプロセスおよび装置は、それらによって限定されると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。例えば、ひずみゲージまたは他の力センサは、駆動梁、動的クランピング部材、アンビル、またはこの外科手術用システムにおける他の構成要素に提供され得る。上記実施形態に対する種々の改変が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。