特許第6671862号(P6671862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671862
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】パッキン、コネクタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20200316BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   H01R13/52 301H
   F16J15/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-95751(P2015-95751)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-213053(P2016-213053A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月19日
【審判番号】不服2019-4189(P2019-4189/J1)
【審判請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健一
【合議体】
【審判長】 平田 信勝
【審判官】 内田 博之
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−176281(JP,U)
【文献】 実開昭51−135262(JP,U)
【文献】 特開2015−82465(JP,A)
【文献】 実開昭50−126855(JP,U)
【文献】 国際公開第2006/115064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52 F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視が多角形状に形成されかつ相手側部品に取り付けられるハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、
前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、
前記パッキン本体が、
前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、
前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、
前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、
前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、
前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、
前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、
前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、
前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする、
パッキン。
【請求項2】
前記芯材が、
前記前後方向に沿った断面積が一定の通常部と、
前記前後方向に沿った断面積が前記通常部よりも小さい小形部と、を備える
請求項1に記載のパッキン。
【請求項3】
前記ハウジングが四角形状の筒状に形成され、かつ、前記外周面が、複数の平面と、前記平面間の角部とを有し、前記通常部は、長辺側の前記平面上に設けられ、前記小形部は、四つの前記角部と、短辺側の前記平面上に設けられる、
請求項2に記載のパッキン。
【請求項4】
正面視が多角形状に形成され、かつ相手側部品に取り付けられるハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、かつ前記相手側部品に電気的に接続される端子金具と、
前記ハウジングの外周面に取り付けられて、前記相手側部品との間を防水するパッキンと、を備え、
前記パッキンが、
前記ハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、
前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、
前記パッキン本体が、
前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、
前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、
前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、
前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、
前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、
前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、
前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、
前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする、
コネクタ。
【請求項5】
正面視が多角形状に形成され、かつ相手側部品に取り付けられるハウジングと、前記ハウジング内に収容され、かつ前記相手側部品に電気的に接続される端子金具と、前記ハウジングの外周面に取り付けられて、前記相手側部品との間を防水するパッキンと、を備えたコネクタと、前記端子金具に電気的に接続される電線と、を備え、
前記パッキンが、前記ハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、
前記パッキン本体が、
前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、
前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、
前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、
前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、
前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、
前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、
前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、
前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキン、コネクタ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器や相手側のコネクタなどの相手側部品と接続するコネクタとして、端子金具を収容するハウジングの外周面に相手側部品との間を防水するパッキンを備えた防水コネクタが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−22062号公報
【特許文献2】特開2014−154359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1及び特許文献2に記載のコネクタは、相手側部品に取り付けられる際に、特に、相手側部品に斜めに近づけられると、パッキンがハウジングに対して位置ずれする虞があった。コネクタは、パッキンがハウジングに対して位置ずれすると、パッキンの防水性能が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、パッキンの防水性能の低下を抑制することができるパッキン、コネクタ及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るパッキンは、正面視が多角形状に形成されかつ相手側部品に取り付けられるハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、前記パッキン本体が、前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする。
【0008】
また、上記パッキンでは、前記芯材が、前記前後方向に沿った断面積が一定の通常部と、前記前後方向に沿った断面積が前記通常部よりも小さい小形部と、を備えるものとすることができる。
【0009】
また、上記パッキンでは、前記ハウジングが四角形状の筒状に形成され、かつ、前記外周面が、複数の平面と、前記平面間の角部とを有し、前記通常部は、長辺側の前記平面上に設けられ、前記小形部は、四つの前記角部と、短辺側の前記平面上に設けられるものとすることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、正面視が多角形状に形成され、かつ相手側部品に取り付けられるハウジングと、前記ハウジング内に収容され、かつ前記相手側部品に電気的に接続される端子金具と、前記ハウジングの外周面に取り付けられて、前記相手側部品との間を防水するパッキンと、を備え、前記パッキンが、前記ハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、前記パッキン本体が、前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、正面視が多角形状に形成され、かつ相手側部品に取り付けられるハウジングと、前記ハウジング内に収容され、かつ前記相手側部品に電気的に接続される端子金具と、前記ハウジングの外周面に取り付けられて、前記相手側部品との間を防水するパッキンと、を備えたコネクタと、前記端子金具に電気的に接続される電線と、を備え、前記パッキンが、前記ハウジングの外周面の全周に取り付けられるとともに、弾性変形自在な合成樹脂で構成されたパッキン本体と、前記パッキン本体内に埋設され、かつ前記パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材と、を備え、前記パッキン本体が、前記ハウジングの外周面に設けられた凹溝に収容され、前記凹溝の底部に密着する小型リップが設けられた収容部と、前記収容部と一体で、かつ前記ハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部と、前記外周面載置部と一体で、かつ前記相手側部品との間を防水するリップ部と、を備え、前記外周載置部の前後方向の幅は、前記収容部の前記前後方向の幅よりも大きく、前記外周載置部は、前記収容部よりも前記前後方向における前側及び後側の双方に突出し、前記パッキン本体は、前記リップ部を前記前後方向に間隔をあけて二つ備え、前記小型リップは、前記収容部の内周面の全周に、当該内周面から凸となるように前記前後方向に間隔をあけて二つ設けられ、前記芯材の中心軸心を通る断面において、前記芯材が、前記収容部と前記外周面載置部とに亘って前記パッキン本体内に埋設され、前記芯材の全体が、前記前後方向における二つの前記リップ部の前記ハウジングの外周面から最も突出した頂部間に設けられるとともに、前記前後方向における二つの前記小型リップ間に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパッキンは、パッキン本体を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材をパッキン本体内に埋設している。また、パッキンは、パッキン本体がハウジングの凹溝内に収容される収容部とハウジングの外周面上に設けられる外周面載置部とを一体に備え、芯材を収容部と外周面載置部とに亘って設けている。これらにより、パッキンは、相手側部品に取り付けられる際に、パッキンが位置ずれしようとしても、芯材が弾性変形しにくいので、芯材が収容部を凹溝内に押し付けることとなる。この結果、パッキンは、収容部が凹溝内に押し付けられるので、凹溝内から収容部が抜け出ることが抑制され、ハウジングの外周面からの位置ずれを抑制でき、相手側部品に取り付けられた際に、パッキンの防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係るコネクタの概略構成を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るコネクタの概略構成を表す断面図である。
図3図3は、実施形態に係るコネクタが相手側部品に取り付けられた状態を表す断面図である。
図4図4は、実施形態に係るコネクタのパッキンの概略構成を表す斜視図である。
図5図5は、図4中のV−V線に沿う断面図である。
図6図6は、実施形態の変形例1に係るコネクタのパッキンの芯材の概略構成を表す斜視図である。
図7図7は、図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図6中のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図9図9は、実施形態の変形例2に係るコネクタのパッキンの概略構成を表す斜視図である。
図10図10は、図9中のX−X線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコネクタの概略構成を表す斜視図である。図2は、実施形態に係るコネクタの概略構成を表す断面図である。図3は、実施形態に係るコネクタが相手側部品に取り付けられた状態を表す断面図である。図4は、実施形態に係るコネクタのパッキンの概略構成を表す斜視図である。図5は、図4中のV−V線に沿う断面図である。
【0016】
本実施形態に係る図1に示すコネクタ1は、自動車等の車両に搭載されて、電力をインバータやモータ間などに供給したり、各種の電子機器に電気信号を供給するものである。ここで、コネクタ1は、図3に示すように、インバータなどの電子機器150に組み込まれ、電線201等の端末などに取り付けられる端子金具202を内部に収容した相手側部品200に取り付けられて、ワイヤハーネス151に組み込まれるものである。コネクタ1は、ワイヤハーネス151を構成する相手側部品200に取り付けられるなどして、電力や電気信号を電子機器等に供給する。
【0017】
本実施形態では、相手側部品200は、電線201の端末に取り付けられた端子金具202と、端子金具202を収容する絶縁性のハウジング203と、ハウジング203を覆う導電性のシールドシェル204とを備えて、端子金具202などを流れる電流により生じる電気的なノイズが外部に漏れることを抑制する、所謂シールドコネクタである。コネクタ1は、相手側部品200に取り付けられて、電力をインバータやモータなどに供給するものである。また、コネクタ1は、相手側部品200としてのシールドコネクタに取り付けられると、端子金具202に端末などが電気的に接続される電線201などと、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネス151を構成する。即ち、ワイヤハーネス151は、少なくとも、コネクタ1と、電線201とを備える。
【0018】
具体的には、コネクタ1は、図1図2及び図3に示すように、端子金具10と、ハウジング20と、パッキン30と、を備える。
【0019】
端子金具10は、ハウジング20内に収容され、かつコネクタ1が相手側部品200に取り付けられると、この相手側部品200の端子金具202に電気的に接続されるものである。端子金具10は、導電性の金属板材を所定形状に打ち抜き加工した後、叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されるものである。端子金具10は、コネクタ1に相手側部品200としてのシールドコネクタが取り付けられると、相手側部品200の端子金具202を介して電線201に電気的に接続される。即ち、電線201は、端子金具10に電気的に接続されるものである。
【0020】
具体的には、端子金具10は、インバータなどの電子機器150に電気的に接続される電線接続部と、相手側部品200の端子金具202に電気的に接続する電気接触部11と、を一体に備えている。本実施形態では、電気接触部11は、コネクタ1が相手側部品200に取り付けられる際に相手側部品200に近づけられる方向に沿って直線状に延びた円筒状に形成されている。電気接触部11は、本実施形態では、端子金具202を内部に収容して、端子金具202と接続する。
【0021】
なお、コネクタ1が、相手側部品200に取り付けられる際に相手側部品200に近付けられる方向、即ち、電気接触部11の長手方向を、コネクタ1の前後方向と記し、コネクタ1が相手側部品200に近付く方向を前側、遠ざかる方向を後側と記し、前後方向の前側からみたものを正面視と記す。また、コネクタ1の前後方向と平行な中心軸心P(図1などに一点鎖線で示す)を中心とした周方向を、周方向と記す。
【0022】
また、端子金具10は、電気接触部11と電線接続部とが同一直線上に設けられて、相手側部品200の端子金具202に端末が取り付けられる電線201の長手方向と平行である。本実施形態では、端子金具10は、三つ設けられている。
【0023】
ハウジング20は、コネクタ1の本体を構成する構造体であり、相手側部品200に取り付けられるものである。本実施形態では、ハウジング20は、全体が絶縁性の合成樹脂等で構成され、金型等を用いて成型される。ハウジング20は、外観が多角形状としての四角形状の筒状に形成されている。こうして、ハウジング20は、正面視が多角形状である四角形状に形成されている。ハウジング20は、端子金具10同士を電気的に絶縁して内部に収容する。
【0024】
なお、本発明では、正面視が多角形状なものとは、ハウジング20の外周面21が複数の平面21aと、平面21a間の角部21bとを有するものをいい、平面21aが平坦であるものに加え若干湾曲しているもの、角部が尖っているものに加え曲面であるものも含んでいる。本実施形態では、ハウジング20の外周面21は、四つの平坦な平面21aと、平面21a間の四つの曲面状の角部21bを有している。
【0025】
また、本実施形態では、複数のハウジング20が、図2に示すように、フランジ部材22により連結されている。具体的には、フランジ部材22は、二つのハウジング20の外周面21同士を連結する平板である。フランジ部材22の両表面は、前後方向に対して直交している。ハウジング20は、フランジ部材22よりも前側が相手側部品200のシールドシェル204内に挿入され、かつフランジ部材22よりも前側にハウジング203が挿入されて、相手側部品200に取り付けられる。
【0026】
また、ハウジング20の外周面21には、凹溝23が周方向の全周に設けられている。具体的には、凹溝23は、ハウジング20の外周面21のフランジ部材22よりも前側に設けられる。凹溝23のハウジング20の中心軸心Pを通る前後方向に沿った断面の断面形状は、矩形状に形成される。
【0027】
さらに、ハウジング20の前側の端には、前側フランジ24が周方向の全周に設けられている。具体的には、前側フランジ24は、ハウジング20の前側の端から外周方向に突出した突起である。前側フランジ24のフランジ部材22と対向する面は、前後方向に対して直交している。
【0028】
パッキン30は、ハウジング20の外周面21の周方向の全周に取り付けられて、ハウジング20と相手側部品200との間を防水するものである。具体的には、パッキン30は、図4及び図5に示すように、パッキン本体31と、芯材32とを備える。
【0029】
パッキン本体31は、パッキン30の本体を構成する構造体であり、ハウジング20の外周面21の全周に取り付けられるとともに、ゴムなどの弾性変形自在な合成樹脂等で構成される。パッキン本体31は、例えば、シリコンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどの種々の合成ゴムなどで構成される。パッキン本体31を構成する合成ゴムとして、コネクタ1の用途などによって、防水性を有するもの、防油性を有するものが適宜選択される。パッキン本体30は、ハウジング20の外周面21に沿った環状に形成されている。本実施形態では、パッキン本体31の外縁の正面視が、略四角形状に形成されている。
【0030】
具体的には、パッキン本体31は、収容部33と、外周面載置部34と、リップ部35とを一体に備える。収容部33は、凹溝23内に収容されるものである。収容部33の中心軸心Pを通る前後方向に沿った断面の断面形状は、凹溝23と略同形状の矩形状に形成される。本実施形態では、収容部33の断面の長辺方向は、前後方向と平行である。また、本実施形態では、収容部33の内周面の全周に凹溝23の底面と密着する小型リップ33aが前後方向に間隔をあけて設けられる。小型リップ33aは、収容部33の内周面から凸である。
【0031】
外周面載置部34は、収容部33と一体で、かつハウジング20の外周面21上に設けられる。外周面載置部34は、収容部33の外周側に設けられる、外周面載置部34の前後方向の幅は、収容部33の前後方向の幅よりも大きい。本実施形態では、外周面載置部34は、収容部33よりも前側、後側の双方に突出している。外周面載置部34は、収容部33が凹溝23内に収容されてパッキン30がハウジング20の外周面21に取り付けられると、フランジ部材22と前側フランジ24との間に設けられる。また、本実施形態では、外周面載置部34の厚みは、前側フランジ24のハウジング20の外周面21からの突出量よりも小さい。
【0032】
リップ部35は、外周面載置部34と一体で、かつ相手側部品200のシールドシェル204との間を防水するものである。リップ部35は、外周面載置部34から外周方向に凸である。リップ部35は、外周面載置部34の全周に設けられる。本実施形態では、リップ部35は、前後方向に間隔をあけて二つ設けられる。即ち、パッキン本体31は、リップ部35を前後方向に間隔をあけて二つ備える。リップ部35は、外周に向かうにしたがって前後方向の幅が徐々に減少する山形に形成される。
【0033】
芯材32は、パッキン本体31内に埋設され、かつパッキン本体31を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成されたものである。本実施形態では、芯材32は、パッキン本体31の全周に埋設される。芯材32は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBT−GFなどの合成樹脂、望ましくは、種々のエンジニアリングプラスチックで構成される。芯材32を構成する合成樹脂として、パッキン30がハウジング20の凹溝23に取り付けられることを許容する伸縮性を有しパッキン本体31よりもある程度固いエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂が適宜選択される。芯材3PBT2は、パッキン本体31と略同形状の環状に形成されている。本実施形態では、芯材32の外縁の正面視が、略四角形状に形成されている。
【0034】
芯材32の中心軸心Pを通る前後方向に沿った断面の断面形状は、図5に示すように、丸形(本実施形態では、円形)に形成される。本実施形態では、芯材32の前後方向に沿った断面形状が、如何なる位置の断面においても等しい。即ち、本実施形態では、芯材32は、全周に亘って前後方向に沿った断面形状、断面積が等しい。
【0035】
また、芯材32は、周方向に収容部33と外周面載置部34とに亘ってパッキン本体31内に埋設されて、パッキン本体31の外表面及び内周面から露出しない位置、即ち、パッキン本体31に覆われる位置に設けられる。また、芯材32の少なくとも一部は、前後方向において、二つのリップ部35のハウジング20の外周面21から最も突出する頂部35a間に設けられる。本実施形態では、芯材32の全体が前後方向において、二つのリップ部35の頂部35a間に設けられる。
【0036】
前述した構成のパッキン30は、金型等を用いてパッキン本体31及び芯材32が一体成型される。パッキン30は、内側に囲む空間が広げられるように、外周方向に引っ張られて、内側にハウジング20のフランジ部材22よりも前側が通される。そして、パッキン30は、収容部33が凹溝23内に収容され、外周面載置部34がフランジ部材22と前側フランジ24との間に収容されて、ハウジング20の外周面21の全周に取り付けられる。
【0037】
前述した構成のコネクタ1は、ハウジング20内に端子金具10を収容し、ハウジング20の外周面21の全周にパッキン30が取り付けられて、組み立てられる。コネクタ1は、ハウジング20のフランジ部材22よりも後側を電子機器150内に挿入し、フランジ部材22が図示しないボルトなどにより電子機器150のケース150aに固定される。こうして組み立てられたコネクタ1は、相手側部品200に取り付けられて、自動車等の車両に搭載される。コネクタ1は、相手側部品200に取り付けられると、パッキン30の特にリップ部35がシールドシェル204の内面から内周側に押圧されて、パッキン30がハウジング20と相手側部品200のシールドシェル204との双方に密に接触して、これらの間を防水する。なお、コネクタ1は、相手側部品200に取り付ける際に、図示しないボルトなどにより相手側部品200に固定される。
【0038】
なお、コネクタ1は、相手側部品200に取り付けられる際に、パッキン30が相手側部品200のシールドシェル204に接触して、パッキン30がハウジング20に対して位置ずれしようとすることがある。すると、パッキン本体31よりも固い芯材32が、周方向に収容部33と外周面載置部34とに亘ってパッキン本体31に埋設されているので、芯材32が収容部33を凹溝23内にとどめることとなる。したがって、コネクタ1は、相手側部品200に取り付けられる際に、パッキン30がハウジング20に対して位置ずれすることが抑制される。
【0039】
以上で説明したパッキン30によれば、パッキン本体31を構成する合成樹脂よりも固い合成樹脂で構成された芯材32をパッキン本体31内に埋設している。また、パッキン30は、パッキン本体31がハウジング20の凹溝23内に収容される収容部33とハウジング20の外周面21上に設けられる外周面載置部34とを一体に備え、芯材32を収容部33と外周面載置部34とに亘って設けている。これらにより、パッキン30は、相手側部品200に取り付けられる際に、位置ずれしようとしても、芯材32が弾性変形しにくいので、芯材32が収容部33を凹溝23内に押し付けることとなる。この結果、パッキン30は、収容部33が凹溝23内に押し付けられるので、凹溝23内から収容部33が抜け出ることが抑制され、ハウジング20の外周面21に対する位置ずれを抑制でき、相手側部品200に取り付けられた際に、パッキン30の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。さらに、パッキン30は、芯材32を収容部33と外周面載置部34とに亘って設けている。これにより、パッキン30は、収容部33の芯材32寄りの内周側の部分が、内側に囲む空間が広がるように変形しやすいので、ハウジング20の外周面21に容易に取り付けることができる。
【0040】
また、パッキン30は、前後方向において芯材32が二つのリップ部35の頂部35a間に設けられる。これにより、前後方向において、芯材32が収容部33内に配置される。本実施形態では、前後方向において、芯材32全体が収容部33内に配置される。この結果、パッキン30は、相手側部品200に取り付けられる際に、位置ずれしようとしても、芯材32が収容部33を凹溝23内に押し付けることとなり、ハウジング20の外周面21に対する位置ずれを抑制できる。
【0041】
以上で説明したコネクタ1は、上述のパッキン30を備えているので、パッキン30の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0042】
また、以上で説明したワイヤハーネス151は、上述のパッキン30を備えているので、コネクタ1のパッキン30の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0043】
[変形例1]
図6は、実施形態の変形例1に係るコネクタのパッキンの芯材の概略構成を表す斜視図である。図7は、図6中のVII−VII線に沿う断面図である。図8は、図6中のVIII−VIII線に沿う断面図である。なお、図6図8において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
実施形態の変形例1に係るコネクタ1のパッキン30の芯材32−1は、図6に示すように、通常部36と、小形部37とを備える。通常部36は、前後方向に沿った断面の断面積が一定の部分をいう。具体的には、通常部36は、図7に示すように、芯材32−1の前後方向に沿った断面形状が、一定、即ち前後方向に沿った断面形状、断面積が等しい部分をいう。変形例1では、通常部36は、芯材32−1の前後方向に沿った断面の断面形状が丸形(円形)で、かつ、外径が等しい部分である。通常部36は、パッキン30がハウジング20の外周面21に取り付けられると、少なくともハウジング20の平面21a上、具体的には、少なくとも正面視の長辺側の平面21a上に設けられる。
【0045】
小形部37は、中心軸心Pを通りかつ前後方向に沿った断面の断面積が通常部36よりも小さい部分をいう。具体的には、小形部37は、図8に示すように、芯材32−1の前後方向に沿った断面形状が、通常部36よりも小さい部分をいう。変形例1では、小形部37は、芯材32−1の一部を切り欠いた切欠き37aにより形成される。切欠き37aは、外周側から内周側に向けて芯材32−1を断面の1/2切り欠いている。小形部37は、芯材32−1の前後方向に沿った断面の断面形状が、半丸形(半円形)の部分である。小形部37は、パッキン30がハウジング20の外周面21に取り付けられると、ハウジング20の四つの角部21bと、正面視の短辺側の平面21a上に、芯材32−1の周方向に間隔をあけて設けられる。小形部37は、切欠き37aを伸縮させるように、芯材32−1を弾性変形しやすくする。また、小形部37間には、通常部36が設けられる。
【0046】
以上で説明した変形例1のパッキン30によれば、実施形態と同様に、パッキン30の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0047】
また、変形例1のパッキン30は、芯材32−1が通常部36よりも断面積が小さい小形部37を備える。これにより、パッキン30は、芯材32−1が弾性変形し易くなっている。この結果、パッキン30は、ハウジング20の外周面21の全周に取り付けられる際に、内側に囲む空間を広げやすくなり、内側にハウジング20を通しやすくなって、ハウジング20に容易に取り付けることができる、という効果を奏する。
【0048】
また、変形例1のパッキン30は、通常部36が少なくともハウジング20の正面視の長辺側の平面21a上に設けられる。これにより、パッキン30は、特に、位置ずれしやすいハウジング20の正面視の長辺側の平面21a上の芯材32−1が変形しにくく、芯材32−1が収容部33を凹溝23に押し付けることとなる。この結果、パッキン30は、収容部33が凹溝23内に押し付けられるので、凹溝23内から収容部33が抜け出ることが抑制され、ハウジング20の外周面21に対する位置ずれを抑制でき、相手側部品200に取り付けられた際に、パッキン30の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0049】
[変形例2]
図9は、実施形態の変形例2に係るコネクタのパッキンの概略構成を表す斜視図である。図10は、図9中のIX−IX線に沿う断面図である。なお、図9及び図10において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
実施形態の変形例2に係るコネクタ1のパッキン30−2の芯材32−2は、図9及び図10に示すように、中心軸心Pを通る前後方向に沿った断面の断面形状が、矩形に形成される。変形例2では、芯材32−2の断面の長辺方向が前後方向と平行である。即ち、芯材32−2の断面の長辺方向が収容部33の断面の長辺方向と平行である。
【0051】
また、変形例2においても、芯材32−2は、周方向に収容部33と外周面載置部34とに亘ってパッキン本体31内に埋設されて、パッキン本体31の外表面及び内周面から露出しない位置に設けられる。また、変形例2では、芯材32−2の前後方向の中央部が、前後方向において、二つのリップ部35の頂部35a間に設けられる。
【0052】
以上で説明した変形例2のパッキン30−2によれば、実施形態と同様に、パッキン30−2の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0053】
また、変形例2のパッキン30−2は、芯材32−2の中心軸心Pを通る前後方向に沿った断面の断面形状が、矩形に形成され、芯材32−2の断面の長辺方向が収容部33の断面の長辺方向と平行である。これにより、パッキン30−2は、相手側部品200に取り付けられる際に、位置ずれしようとしても、芯材32−2が弾性変形しにくいので、芯材32−2が収容部33の特に前後方向の両端を凹溝23内に押し付けやすくなる。この結果、パッキン30−2は、収容部33が凹溝23内に押し付けられるので、凹溝23内から収容部33が抜け出ることが抑制され、ハウジング20の外周面21に対する位置ずれを抑制でき、相手側部品200に取り付けられた際に、パッキン30−2の防水性能が低下することを抑制できる、という効果を奏する。
【0054】
なお、本発明に係るパッキン30,30−2は、上述した実施形態、変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明に係るパッキン30,30−2は、芯材32,32−1,32−2の断面形状、切欠き37a即ち、小形部37の断面形状を種々変更できる。本発明では、パッキン30,30−2は、正面視の長辺側の平面21a上にくわえ、短辺側の平面21a上に通常部36を設け、ハウジング20の四つの角部21b上のみに小形部37を設けてもよい。本発明では、芯材32,32−1,32−2は、切欠きが設けられるなどして、ハウジング20の全周に設けられていなくてもよい。さらに、本発明は、電気的にシールドされていない、防水コネクタに適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ
10 端子金具
20 ハウジング
21 外周面
21a 平面
30,30−2 パッキン
31 パッキン本体
32,32−1,32−2 芯材
33 収容部
34 外周面載置部
35 リップ部
35a 頂部
36 通常部
37 小形部
151 ワイヤハーネス
200 相手側部品
201 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10