(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
特定の地点と、経由場所とを予め関連付けて記憶した記憶手段を参照して、探索条件に含まれる出発地、経由地および/または目的地が前記経由場所と関連付けられているか否かを判定する判定手段と、
前記探索条件に基づいて前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段であって、前記判定手段にて関連付けられていると判定された場合には、前記関連付けられた経由場所を考慮して前記経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記経由場所は、移動手段が切り替わる乗降場所である、もしくは、前記経由場所からの移動で利用する利用路線または前記経由場所までの移動で利用する利用路線が関連付けられた乗降場所である、情報処理システム。
前記経路探索手段は、関連付けられていると判定された場合に、前記経由場所を考慮して経路を探索して第1経路情報を生成するとともに、考慮せずに経路を探索して第2経路情報を生成する、請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理システム。
前記第1経路情報が示す経路より前記第2経路情報が示す経路が優れている場合にのみ、前記第2経路情報を出力する出力データ生成手段を備える、請求項6に記載の情報処理システム。
前記経路探索手段は、関連付けられていると判定された場合に、前記経由場所を経由する経路、または、前記経由場所を経由しない経路を探索する、請求項1乃至9のいずれかに記載の情報処理システム。
複数の特定地点における組に対し経由場所を予め関連付けて記憶した記憶手段を参照して、探索条件に含まれる出発地、経由地および/または目的地が前記経由場所と関連付けられているか否かを判定する判定手段と、
前記探索条件に基づいて前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段であって、前記判定手段にて関連付けられていると判定された場合には、前記関連付けられた経由場所を考慮して前記経路を探索する経路探索手段と、を備える情報処理システム。
特定の地点と、経由場所とを予め関連付けて記憶した記憶手段を参照して、探索条件に含まれる出発地、経由地および/または目的地が前記経由場所と関連付けられているか否かを判定するステップと、
前記探索条件に基づいて前記出発地から前記目的地までの経路を探索するステップであって、前記判定するステップにて関連付けられていると判定された場合には、前記関連付けられた経由場所を考慮して前記経路を探索するステップと、を備え、
前記経由場所は、移動手段が切り替わる乗降場所である、もしくは、前記経由場所からの移動で利用する利用路線または前記経由場所までの移動で利用する利用路線が関連付けられた乗降場所である、情報処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
図1は、本発明の概念を説明する図である。通常の経路探索では、出発地から目的地までの最適経路が探索される。
図1において、出発地(例えば自宅)Oから目的地(例えば勤務先)Dまでの経路として、まず出発地Oの最寄駅S1まで徒歩で移動し、目的地Dの最寄駅S2まで電車で移動し、最寄駅S2から目的地Dまで徒歩で移動する経路(
図1の破線)が探索によって得られる。
【0011】
しかしながら、実際には、最寄駅S1ではなく少し離れた駅S3を利用した経路(
図1の実線)で移動したい場合もある。例えば、駅S3には駐輪場があって自転車を利用できる場合、健康のためにあえて歩行距離が長くなる駅S3を利用したい場合、交通費を節約したい場合などである。通常の経路探索では、最寄駅ではない駅S3を使う経路が得られない可能性が高い。かといって、経路探索の都度、経由地点として駅S3を探索条件として設定するのはユーザにとって大きな手間である。
【0012】
そこで、本発明では、出発地Oと駅S3とをユーザが予め関連付けておき、出発地Oが探索条件として設定された場合には、出発地Oに関連付けられた駅S3を利用する経路を探索するようにするものである。以下、詳しく説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。情報処理システムは端末装置1およびサーバ2から構成され、これらはネットワーク3を介して通信可能に接続されている。ネットワーク3は無線でもよいし有線でもよい。
【0014】
端末装置1はユーザが使用するものであり、例えば携帯電話、スマートフォンもしくはタブレットなどのモバイル電子機器でもよいし、パーソナルコンピュータやカーナビゲーション装置などの据え置き型電子機器でもよい。
端末装置1は、通信部11と、操作入力部12と、出力部13と、制御部14とを有する。
【0015】
通信部11はネットワーク3を介して制御部14とサーバ2との間で情報を送受信する通信インターフェースである。
【0016】
操作入力部12はユーザが端末装置1に操作を入力するための入力インターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるタッチパネルやマイク、据え置き型電子機器におけるキーボード、マウス、タッチパッドである。
【0017】
出力部13は端末装置1から各種情報をユーザに出力する出力インターフェースである。例えば、出力部13はユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、種々の情報を表示するディスプレイである。あるいは、出力部13は情報を音声で出力するスピーカであってもよい。以下では、主に出力部13がディスプレイである例を示す。
【0018】
ただし、出力部13は情報などをユーザに直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部13は、外部に接続されるディスプレイおよび/またはスピーカに映像信号および/または音声信号を出力したり、外部に接続される印刷装置に情報を出力したり、端末装置1内あるいは外部の記憶装置へ出力して記憶させたりするものであってもよい。
【0019】
制御部14は、経由場所設定部141と、探索条件設定部142と、情報送信部143と、情報受信部144と、出力データ生成部145とを有する。これら各部は、端末装置1のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することによって実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0020】
経由場所設定部141は、ある特定の地点(例えばユーザの自宅や勤務地、任意のPOI(Post of Interest))と、経由場所とを関連付けて設定する。本実施形態では、経由場所が乗降駅(乗降場所)である例を示す。特定の地点には、乗降駅に加えて、乗降駅までの(からの)移動手段、乗降駅などの施設で利用する出入口、乗降駅までに(から)利用する路線などを設定してもよい。詳しくは後述するが、設定された内容はサーバ2に登録されて、この乗降駅を経由する経路が探索される。
【0021】
探索条件設定部142は、ユーザの要求に応じて、経路探索を行う際の探索条件を設定する。探索条件は、少なくとも出発地および目的地を含んでおり、さらに1以上の経由地を含んでいてもよい。探索条件設定部142は、操作入力部12を介したユーザ操作に基づいて出発地などを設定してもよいし、不図示のGPS受信装置からのデータに基づいて現在地を出発地に設定してもよい。また、探索条件は、出発時刻または目的時刻を含んでいてもよく、これもユーザ操作に基づいて設定されてもよいし、現在時刻が出発時刻に設定されてもよい。
本実施形態では、探索条件における出発地などは任意の地点でよく、駅でもよいし駅以外の場所でもよい。
【0022】
情報送信部143は、経由場所設定部141が設定した特定の地点および乗降駅など、また、探索条件設定部142が設定した探索条件を示す情報などを、通信部11からネットワーク3を介してサーバ2に送信する。
【0023】
情報受信部144は、サーバ2が生成した経路情報(後述)などを、ネットワーク3を介して通信部11から受信する。
【0024】
出力データ生成部145は出力部13から出力されるデータを生成する。以下、出力部13がディスプレイであり、出力データ生成部145が画像データを生成する例を主に説明する。具体的には、出力データ生成部145は、経由場所設定部141と協働して乗降駅などを設定するための画面を生成したり、探索条件設定部142と協働して探索条件を設定するための画面を生成したり、情報受信部144と協働して経路情報を表示するための画面を生成したりする。
【0025】
一方、サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
通信部21はネットワーク3を介して制御部23と端末装置1との間で情報を送受信する通信インターフェースである。
【0026】
記憶部22は、例えばハードディスクであり、経由場所情報データベース221および経路ネットワーク情報データベース222とを記憶している。
【0027】
図3は、経由場所情報データベース221の構造の一例を模式的に示す図である。図示のように、経由場所情報データベース221において、特定の地点に対して乗降駅が関連付けられており、さらに移動手段、利用出入口、利用路線および対象者などが関連付けられていてもよい。なお、特定の地点とは、駅などの乗降場所でもよいし、乗降場所以外のPOIなどであってもよい。
【0028】
移動手段は、地点と乗降駅との間での移動手段であり、地点から乗降駅まで、あるいは、乗降駅から地点までその移動手段を利用して移動することを示している。利用路線は、その乗降駅からの移動で利用する路線、あるいは、その乗降駅までの移動で利用する路線を示している。
【0029】
各項目は、特定のユーザのみに適用されるようにしてもよいし、複数のユーザから構成されるグループに適用されるようにしてもよいし、本サービスを利用するすべてのユーザに適用されるようにしてもよい。対象者として設定されたユーザが経路探索を行う場合にのみ、各項目が適用される。
【0030】
これらの情報は、端末装置1の経由場所設定部141によって設定され、サーバ2の経由場所登録部232(後述)によって経由場所情報データベース221に登録される。
【0031】
図2に戻り、記憶部22に記憶される経路ネットワーク情報データベース222は、経路ネットワーク情報として、道路ネットワーク情報および交通ネットワーク情報を含むことができる。これらは、経路探索や最寄ノード探索などに用いられる。
【0032】
道路ネットワーク情報は道路網を規定する情報である。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。ノードの位置は例えば緯度および経度で特定され、現実の地図の位置と対応している。各地点や駅は、ノードに関連付けられていてもよい。
【0033】
交通ネットワーク情報は鉄道やバスなど交通機関の交通網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報などを含む。
【0034】
制御部23は、情報受信部231と、経由場所登録部232と、判定部233と、経路探索部234と、送信情報生成部235と、情報送信部236とを有する。これら各部は、サーバ2のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することによって実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0035】
情報受信部231は、端末装置1の経由場所設定部141が設定した特定の地点および乗降駅(経由場所)や、探索条件設定部142が設定した探索条件を示す情報などを、ネットワーク3を介して通信部21から受信する。
【0036】
経由場所登録部232は、経由場所設定部141が設定した情報に基づいて、地点と乗降駅などを関連付けて経由場所情報データベース221に登録する。また、経由場所登録部232は、ユーザによる乗降駅などの設定を補助するために、必要な情報を取得してもよい。
【0037】
判定部233は、記憶部22の経由場所情報データベース221を参照して、探索条件における出発地、経由地および目的地の少なくとも1つが、乗降駅と関連付けられているか否かを判定する。
【0038】
経路探索部234は探索条件および経路ネットワーク情報に基づく経路探索を行って経路情報を生成する。経路探索の際、判定部233による判定結果が考慮される。
【0039】
すなわち、出発地などが乗降駅と関連付けられていると判定された場合、経路探索部234は、経由場所情報データベース221に登録された内容(特に乗降駅)を考慮して、経路探索を行う。例えば、出発地と乗降駅とが関連付けられている場合、経路探索部234は出発地から乗降駅を経由して目的地まで到達する経路を探索する。仮に設定された乗降駅とは異なる駅が出発地の近くにあったとしても、経路探索部234はこの乗降駅を利用する経路を探索する。
【0040】
一方、出発地、経由地および目的地のいずれも、乗降駅と関連付けられていないと判定された場合、経路探索部234は、経由場所情報データベース221に登録された内容を考慮しない経路探索、言い換えると通常の経路探索を行う。
【0041】
送信情報生成部235は経路探索部234が生成した経路情報に基づいて端末装置1に送信される情報を生成する。
情報送信部236は経路情報などを通信部21からネットワーク3を介して端末装置1に送信する。
【0042】
このような情報処理システムは、まず地点と乗降駅などとを関連付けて経由場所情報データベース221に予め登録しておく。その後、経由場所情報データベース221を参照した経路探索を行う。初めに、経由場所情報データベース221への登録について説明する。
【0043】
図4は、経由場所情報データベース221への登録を行う際の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
まず、ユーザからの指示に応じて、経由場所設定部141は乗降駅と関連付けて登録すべき地点を設定する。設定された地点を示す情報は、情報送信部143によってサーバ2に送信される(ステップS1)。
【0044】
図5は、ステップS1において、登録すべき地点を設定するために、出力部13に表示される画面の一例を示す図である。このような画面は、経由場所設定部141の指示に基づいて出力データ生成部145が生成する。何らかの検索などによって得られたPOIの詳細を示す画面(同図(a))や、自宅や勤務地などのお気に入り地点を登録する画面(同図(b))に「乗降駅を設定」アイコンが設けられる。そして、操作入力部12を介して同アイコンがユーザによって選択されると、経由場所設定部141は本POIやお気に入り地点を登録すべき地点として設定する。
【0045】
登録の方法は
図5に示すものに制限されるわけではなく、経由場所設定部141は、現在地、すでにお気に入りに地点として登録されている地点、ユーザが入力した任意の地点などを登録すべき地点として設定できる。
【0046】
図4に戻り、サーバ2の経由場所登録部232は、登録すべき地点を示す情報に基づき、その地点の周囲にある駅を経路ネットワーク情報を用いて検索する。検索によって得られた駅を示す情報は、情報送信部236によって端末装置1に送信される(ステップS11)。
【0047】
続いて、ユーザからの指示に応じて、端末装置1の経由場所設定部141は地点と関連付けて登録する1または複数の乗降駅を設定する。必要に応じて移動手段も設定する。設定された乗降駅や移動手段を示す情報は、情報送信部143によってサーバ2に送信される(ステップS2)。
【0048】
図6は、ステップS2において、乗降駅を設定するために、出力部13に表示される画面の一例を示す図である。出力データ生成部145は、サーバ2から受信した情報に基づいて、地点の周囲にある駅を表示する。地点と最も近い駅のみを表示してもよいが、地点から近い複数の駅を順に表示するのが望ましい。その際、地点と各駅との距離を表示してもよい。このような画面から、操作入力部12を介して駅が選択されると、経由場所設定部141は、選択された駅を、地点と関連付けて登録すべき乗降駅として設定する。
【0049】
なお、駅の設定は上記の方法に限られず、例えば画面に「自分で探す」アイコンを設け、ユーザが駅を直接指定(フリーワード検索、地点周囲の地図を表示して地図上から指定など)できるようにしてもよい。ユーザが直接指定するのを前提とする場合、サーバ2による駅の検索(ステップS12)を省略してもよい。
【0050】
また、必要に応じて、設定された駅までの(からの)移動手段などその他の情報を設定してもよい。また、以下の処理によって、利用する出入口や利用路線を設定してもよい。
【0051】
すなわち、
図4において、サーバ2の経由場所登録部232は、設定された駅に関する情報を経路ネットワーク情報を用いて取得する。駅に関する情報とは、例えばその駅で利用可能な路線や、出入口の位置などである。取得された情報は、情報送信部236によって端末装置1に送信される(ステップS12)。
【0052】
続いて、ユーザからの指示に応じて、端末装置1の経由場所設定部141は、地点と関連付けて登録すべき1または複数の利用路線や利用出入口を設定する。設定された利用路線や利用出入口を示す情報は、情報送信部143によってサーバ2に送信される(ステップS3)。
【0053】
図7は、ステップS3において、利用路線を設定するために、出力部13に表示される画面の一例を示す図である。出力データ生成部145は、サーバ2から受信した情報に基づいて、ステップS2で設定された駅で利用可能な路線を表示する。
図7の例では、路線のシンボルをアイコンとして表示しており、「G」「Z」「E」のそれぞれが特定の路線を示している。ユーザが選択したシンボルは、選択されたことが分かるよう選択状態となる(例えば赤枠で囲まれる)。そして、1または複数の路線が選択された状態で「設定」アイコンが選択されると、経由場所設定部141は、地点と関連付けて登録すべき利用路線を確定する。
【0054】
利用路線設定用画面の表示形態に特に制限はなく、路線名そのものを選択可能に示してもよいし、ユーザが直接入力するようにしてもよい。
【0055】
図8は、ステップS3において、利用出入口を設定するために、出力部13に表示される画面の一例を示す図である。出力データ生成部145は、サーバ2から受信した情報に基づいて、ステップS2で設定された駅で利用可能な出入口を表示する。
図8の例では、X駅およびその周囲を含む地図を表示しており、利用可能な出入口A0〜A5をアイコンとして表示している。ユーザが選択した出入口は、選択されたことが分かるよう選択状態となる。そして、1または複数の出入口が選択された状態で「設定」アイコンが選択されると、経由場所設定部141は、地点と関連付けて登録すべき利用出入口を確定する。
【0056】
利用出入口設定用画面の表示形態に特に制限はなく、出入口を選択可能に羅列してもよいし、ユーザが直接入力するようにしてもよいし、駅構内図を表示して選択できるようにしてもよい。
図7や
図8に示すように、路線や出入口を表示することで、ユーザは簡易に設定できる。
【0057】
図4に戻り、以上のようにして設定された地点および乗降駅(移動手段、利用路線、利用出入口も)が関連づけられて、サーバ2の経由場所登録部232によって経由場所情報データベース221に登録される(ステップS13)。これにより、
図3に示すような情報が登録される。
【0058】
このような登録処理は任意のタイミングで行うことができる。例えば、通常の経路探索を行って得られた出発地や目的地とその際の乗降駅とを関連付けて登録できるようにしてもよい。あるいは、経路案内の際に登録できるようにしてもよい。また、経由場所設定部141および経由場所登録部232によって、不要になった項目を削除できるようにしてもよい。
【0059】
続いて、経由場所情報データベース221に登録された情報を用いた経路探索について説明する。
【0060】
図9は、経路探索を行う際の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
まず、ユーザからの指示に応じて、探索条件設定部142は探索条件を設定する。探索条件は情報送信部143によってサーバ2に送信される(ステップS21)。探索条件は、少なくとも出発地および目的地を含んでおり、さらに1以上の経由地を含んでいてもよい。出発地は、駅でもよいし、経由場所情報データベース221に登録された地点でもよいし、登録されていない地点でもよい。経由地や目的地も同様である。
【0061】
続いて、サーバ2の判定部233は、記憶部22の経由場所情報データベース221を参照して、探索条件における出発地、経由地および目的地の少なくとも1つが、乗降駅と関連付けられているか否かを判定する(ステップS31)。経由場所情報データベース221に対象者が登録されている場合、探索条件を設定したユーザが対象者となっている項目について、乗降駅と関連付けられているか否かを判定する。
【0062】
なお、現在地を探索条件における出発地とした場合、現在地から所定距離内にある地点が乗降駅と関連付けられていれば、現在地を当該地点とみなして乗降駅と関連付けられていると判定してもよい。GPS受信装置などを用いても正確に現在地を把握できないこともあるためである。
【0063】
関連付けられていないと判定された場合(ステップS31のNO)、経路探索部234は、特に経由場所情報データベース221の内容を考慮せずに、経路ネットワーク情報データベース222を参照して通常の経路探索を行って経路情報を生成する(ステップS32a)。例えば、経路探索部234は、出発地および目的地が駅である場合、交通ネットワーク情報に基づいて出発地(駅)から目的地(駅)までの経路を探索する。
【0064】
目的地が駅であって出発地が駅でない場合、経路探索部234は、まずは道路ネットワーク情報に基づく最寄ノード探索などによって出発地の最寄駅を抽出する。次いで、経路探索部234は、道路ネットワーク情報に基づく出発地から最寄駅までの経路の探索と、交通ネットワーク情報に基づく最寄駅から目的地の駅までの経路探索とを行う。目的地が駅でない場合も、目的地の最寄駅を抽出する点を除き、同様に処理すればよい。最寄駅は、1つのみならず、所定範囲内の駅を所定数探索して、複数の経路を探索するようにしてもよい。
【0065】
また、最寄ノード探索に代えて、エリアと最寄駅とを関連付けたテーブルを予め用意しておき、出発地などが当該エリアに含まれている場合にはテーブルに基づいて最寄駅を抽出してもよい。あるいは、道路ネットワーク情報と交通ネットワーク情報とが一体化されてつながっている場合には、経路探索部234は、最寄駅の抽出を行うことなく、任意の出発地から任意の目的地までの経路を探索できる。
【0066】
一方、関連付けられていると判定された場合(ステップS31のYES)、経路探索部234は経由場所情報データベース221の内容を考慮して経路探索を行って経路情報を生成する。より具体的には、経路探索部234は、出発地、経由地および/または目的地と関連付けられた乗降駅を用いる経路を探索する(ステップS32b)。
【0067】
例えば、出発地と乗降駅とが関連付けられている場合、経路探索部234は関連付けられた乗降駅を抽出し、出発地から乗降駅を経由して目的地に到達する経路を探索する。出発地から乗降駅までの交通手段が登録されている場合、その交通手段を用いて出発地から乗降駅まで移動する経路が探索される。また、利用出入口が登録されている場合、出発地からその出入口に向かう経路が探索される。さらに、乗降駅での利用路線が登録されている場合、乗降駅からはその路線を利用する経路が探索される。
【0068】
また、目的地と乗降駅とが関連付けられている場合、経路探索部234は関連付けられた乗降駅を抽出し、出発地から乗降駅を経由して目的地に到達する経路を探索する。乗降駅から目的地までの交通手段が登録されている場合、その交通手段を用いて乗降駅から目的地まで移動する経路が探索される。また、利用出入口が登録されている場合、その出入口から出て目的地に向かう経路が探索される。さらに、乗降駅での利用路線が登録されている場合、乗降駅まではその路線を利用する経路が探索される。
【0069】
経由地と乗降駅とが関連付けられている場合、任意の出発地から経由地に行くとき、および/または、経由地から目的地に行くときに乗降駅を用いる経路が探索される。交通手段、利用出入口および利用路線は他の場合と同様である。
【0070】
以上の経路探索(ステップS32aまたはS32b)で生成された経路情報に基づいて送信情報生成部235は端末装置1用の経路情報を生成する。この経路情報は情報送信部236によって端末装置1に送信される(ステップS33)。
これに応じて、端末装置1の出力データ生成部145は経路情報を出力部13から出力する(ステップS22)。
【0071】
図10は、ステップS22において、出力部13に表示される経路情報の一例を示す図である。同図は、
図3において、出発地を「自宅」とし目的地を「勤務地」として行われたユーザU1による経路探索の結果を例示している。
図3に示す経由場所情報データベース221を考慮した経路探索の結果として、図示のように、自宅からA駅のA7出口まで自転車で移動し、A駅からP線を利用して移動し、B駅のB1出口から勤務地まで移動する経路が表示される。仮に、自宅からA駅より近い場所に別の駅があったとしても、また自宅からA駅までバスなどがあったとしても、そのような経路ではなく、上記の経路が表示される。なお、
図3において、B駅における移動手段が設定されていないため、例えばB駅のB1出口から勤務地まで徒歩で移動する経路と、バスを利用する経路とが得られることもある。
【0072】
このように、第1の実施形態では、特定の地点と乗降駅とをユーザが予め関連付けておくため、ユーザが希望する乗降駅を経由する経路を効率よく探索でき、ユーザにとっての利便性が向上する。また、探索条件における出発地が、駅である場合でも、乗降駅に関連付けられた地点である場合でも、乗降駅に関連づけられていない地点である場合にも、経路探索を行うことができる。
【0073】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、出発地などが乗降駅と関連付けられている場合、経由場所情報データベース221の内容を考慮した経路探索のみを行うものであった。これに対し、以下に説明する第2の実施形態は、出発地などが乗降駅と関連付けられている場合、経由場所情報データベース221の内容を考慮した経路探索と、同内容を考慮しない経路探索とを行うものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図11は、経路探索を行う際の情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。第1の実施形態との相違点として、探索条件における出発地、経由地および目的地の少なくとも1つが、乗降駅と関連付けられている場合(ステップS31のYES)、経路探索部234は経由場所情報データベース221の内容を考慮した経路探索および考慮しない経路探索を行う。すなわち、経路探索部234は、予め登録された乗降駅を経由する経路を探索して経路情報を生成するとともに、通常の経路探索も行って経路情報を生成する(ステップS32b’)。
【0075】
結果として、出発地などが乗降駅と関連づけられている場合、2種類の経路情報が端末装置1に送信される(ステップS33)。ただし、通常の経路探索は、予め登録された乗降駅を経由しない経路を必ず探索するわけではないので、結果的に当該乗降駅を用いる経路が得られることもある。この場合は、2種類の経路探索を行った結果、1種類の経路情報が端末装置1に送信されることになる。
なお、通常の経路探索で出発地などの最寄駅を最寄ノード探索で抽出する際の抽出範囲を、ステップS32aでの最寄ノード探索時の抽出範囲より広くしたり狭くしたりしてもよい。
【0076】
そして、端末装置1の出力データ生成部145は経路情報を出力部13から出力する(ステップS22)。出力形態は種々考えられる。例えば、出力データ生成部145は、通常の経路探索結果を表示せず、予め登録された乗降駅を経由する経路のみを表示してもよい。この場合、結果的には、第1の実施形態と同様の画面表示となる。以下、第1の実施形態とは異なる表示(出力)態様を例示する。
【0077】
図12は、出力部13に表示される経路情報の一例を示す図である。
図12(a)に示すように、まず「優先ルート」と他のルート(ルート1〜4)があることが表示される。
図12(a)の画面において、ユーザが「優先ルート」アイコンを選択すると、
図12(b)に示すように優先ルートが表示される。優先ルートは、予め登録された乗降駅を経由する経路、言い換えると、経由場所情報データベース221の内容を考慮して得られた経路である。また、
図12(a)の画面において、ユーザが「ルート1」を選択すると、そうでない経路、つまり経由場所情報データベース221の内容を考慮せずに得られた経路が表示される(
図12(c))。
【0078】
図12(a)では、優先ルート以外に4つのルート1〜4を表示しているが、その数に特に制限はない。料金、所要時間、乗換回数など所定の優先順位に基づいて適切な数の経路を表示すればよい。
【0079】
図12において、「優先ルート」を「ルート1」などとは区別して表示することで、「優先ルート」が、ユーザが予め登録した乗降駅を用いる経路であることを一見して把握できる。このように2種類の経路探索結果を比較可能に表示してもよい。また、
図12(b)と
図12(c)とを、例えばタブで切り替えられるようにしてもよい。
【0080】
その他、料金、所要時間、乗換回数、距離などの距離情報を、ルートごとに比較できるよう一覧表示してもよい。そして、「優先ルート」より優れたルートがある場合には、経由場所情報データベース221の登録内容を変更するようレコメンド表示を行ってもよい。例えば、特定の地点と最適な乗降駅とを関連付けて登録していたとしても、その後ユーザが知らないうちに新たな駅やバス停ができたり、バス停が移動などしたりすることもあり得る。その場合には、「優先ルート」より優れたルートが通常の経路探索によって得られるため、上記のレコメンド表示を行うことで、ユーザの利便性を向上できる。
【0081】
なお、ルートが「優れた」ルートであるか否かは、例えば料金、所要時間、乗換回数、距離などから判断することができる。以下同様である。
【0082】
また、出発地などに複数の乗降駅が関連付けられている場合(移動手段、利用出入口、利用路線も同様)、複数の優先ルートが探索されて表示され得る。この場合、料金などの優先順位に基づいて優れている順に表示してもよいし、タップなど簡易な操作で切り替え表示できるようにしてもよい。
【0083】
さらに、
図12において、ルート1などは、優先ルートより優れている場合にのみ表示してもよい。言い換えると、優先ルートが最も優れている場合には、他のルート1などを表示しなくてもよい。なお、サーバ2の送信情報生成部235および情報送信部236は、端末装置1での出力に必要最低限の情報だけを端末装置1に送信するようにしてもよい。例えば、優先ルートが最も優れている場合には、優先ルートの表示に必要な情報のみが端末装置1に送信されてもよい。
【0084】
このように、第2の実施形態では、出発地などが乗降駅と関連付けられている場合、経由場所情報データベース221の内容を考慮した経路探索と、同内容を考慮しない経路探索とを行う。そのため、ユーザが希望する乗降駅を経由する経路の他にも様々な選択肢をユーザに提供でき、ユーザにとっての利便性がさらに向上する。
【0085】
なお、上述した各実施形態において、
図4のステップS32bおよび
図11のステップS32b’では、登録された乗降駅を用いる経路を探索することとしたが、登録された乗降駅を「用いない」(経由しない)経路を探索することにしてもよい。そのためには、例えば登録された乗降駅を用いるか否かを探索条件に含めるようにしてもよい。あるいは、経由場所情報データベース221に乗降駅を「用いる」か「用いない」かの情報も登録するようにしてもよい(この場合、「用いる」乗降駅と、「用いない」乗降駅とを登録できる)。登録された乗降駅を「用いない」経路を探索する場合、最寄ノード探索などによって出発地などの最寄駅を複数抽出し、登録された乗降駅を除外すればよい。同様に、登録された移動手段、利用出入口、利用路線を用いないようにしてもよい。
【0086】
また、1つの地点と乗降駅とを関連付けるのではなく、出発地と目的地との組について、乗降駅を関連付けてもよい。例えば、出発地Oから目的地D1に行く場合の乗降駅S1と、出発地Oから目的地D2に行き場合の乗降駅S2とを別個に登録できるようにしてもよい。
【0087】
さらに、経由場所情報データベース221には対象者を登録できてもよい。そして、判定部233は、乗降駅が登録されているかの判定を行う際(
図4および
図11のステップS31)、経路探索を行うユーザが対象者として登録されているか否かも考慮して判定する。そのためには、例えば探索条件にユーザを特定する情報を含めておいてもよい。
【0088】
例えば、個人ユーザが経由場所情報データベース221に設定した項目は、その個人ユーザのみ対象者とすることが考えられる。また、店舗などが、当該店舗と乗降駅とを関連付けて経由場所情報データベース221に登録できるようにしてもよい。この場合、対象者を本システムの全ユーザとしたり、特定のグループに属するユーザとしたりすることも考えられる。
【0089】
ただし、対象者が登録している場合でも、あえて対象者以外の項目において関連付けられた乗降駅(他のユーザが登録した乗降駅)を考慮した経路探索を行ってもよい。この場合には、経路探索を要求するユーザが登録した乗降駅を用いる経路と、他のユーザが登録した乗降駅を用いる経路とを区別して表示するのが望ましい。また、経路探索を要求するユーザが、他のユーザが登録した乗降駅を用いる経路を表示することを希望する場合にのみ、そのような経路を表示するのが望ましい。
【0090】
また、各実施形態では、地点と乗降駅とを関連付けることとしたが、地点と任意の経由場所とを関連付けて経由場所情報データベース221に登録するようにしてもよい。また、順に経由すべき複数の経由場所を登録できてもよい。例えば、自宅に対して、バス停Dおよびバス停Eをこの順に経由場所としておき、自宅が出発地である場合には、自宅から徒歩でバス停Dへ移動し、バス停Dからバス停Eまでバスで移動する経路が探索されるようにしてもよい。いずれにしても、
図4のステップS32bおよび
図11のステップS32b’では、地点と関連付けられた経由場所(その一例が乗降駅)を考慮した経路探索が行われる。
【0091】
なお、
図2の情報処理システムにおいて、端末装置1内の一部をサーバ2内に設けてもよいし、サーバ2内の一部を端末装置1内に設けてもよいし、端末装置1およびサーバ2の機能を一体化したスタンドアローンの装置としてもよい。また、情報処理システムの少なくとも一部を1または2以上のコンピュータによって構成される情報処理システムとしてもよい。さらに、サーバ2内の各部を、通信可能に接続された複数の情報処理装置に分散してもよい。
【0092】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスクなどの着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0093】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネットなどの有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0094】
さらに、通信可能に接続された1または複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1以上をコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段としての機能が実現されてもよい。
【0095】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形例を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。