(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671885
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/72 20060101AFI20200316BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
B65D5/72 Z
B65D77/30 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-151992(P2015-151992)
(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公開番号】特開2017-30783(P2017-30783A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月7日
【審判番号】不服2019-11302(P2019-11302/J1)
【審判請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝也
(72)【発明者】
【氏名】阿曾井 栄一
【合議体】
【審判長】
渡邊 豊英
【審判官】
杉山 悟史
【審判官】
久保 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開平1−94233(JP,U)
【文献】
特開2008−273621(JP,A)
【文献】
実公昭60−34572(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 - 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面に熱可塑性樹脂を積層した紙素材によって有底の胴部の上に切妻屋根型頂部が存在するように形成され、前記切妻屋根型頂部の切妻屋根面に、裏面からストロー口となる第1ハーフカットが設けられ、表面から前記第1ハーフカットを囲むように第2ハーフカットが設けられ、表面から前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させることによりストロー口が開口する紙容器において、
前記切妻屋根型頂部の切妻屋根面は、横方向に向かう山折りされた状態の山折部により凸面状に形成されており、前記第2ハーフカットにあっては、剥離の糸口となる剥離糸口端部が前記山折部を横切り又は剥離糸口端部の先端が前記山折部と一致するように設けられていることを特徴とする紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する紙容器であって、頂部表面に形成されたハーフカットで囲まれた部分を層間剥離するとストロー口が開口するようになっている紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の紙容器として、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した紙素材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、頂部に裏面からストロー口となる第1ハーフカットが設けられ、表面から第1ハーフカットを囲むように第2ハーフカットが設けられ、表面から第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させることによりストロー口が開口する構造になっており、前記第2ハーフカットは、その層間剥離の糸口となる剥離糸口端部の先端が頂部と胴部の境界の頂部横罫線と一致し、或いは頂部横罫線を越えて胴部の平面部側に僅かに突出するように設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭60−34572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の紙容器は、第2ハーフカットが、その層間剥離の糸口となる剥離糸口端部の先端が頂部と胴部の境界の頂部横罫線と一致し、或いは頂部横罫線を越えて胴部の平面部側に僅かに突出するように設けられているため、例えば、輸送中、第2ハーフカットの剥離糸口端部が隣の紙容器に当たって擦れた場合には、第2ハーフカットの剥離糸口端部が捲れてしまうといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、ストロー口の開口を容易にすると共に、輸送等の取り扱い中、第2ハーフカットの剥離糸口端部が捲れないようにした紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した紙素材によって有底の胴部の上に切妻屋根型頂部が存在するように形成され、前記切妻屋根型頂部の切妻屋根面に、裏面からストロー口となる第1ハーフカットが設けられ、表面から前記第1ハーフカットを囲むように第2ハーフカットが設けられ、表面から前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させることによりストロー口が開口する紙容器において、前記切妻屋根型頂部の切妻屋根面は、横方向に向かう
山折りされた状態の山
折部により凸面状に形成され
ており、前記第2ハーフカットにあっては、剥離の糸口となる剥離糸口端部が前記山
折部を横切り又は剥離糸口端部
の先端が前記山折部と一致するように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の紙容器によれば、第2ハーフカットの剥離糸口端部が切妻屋根面に形成された山
折部を横切り又は剥離糸口端部の先端
が山折部と一致するように設けられているので、輸送中、隣の紙容器に第2ハーフカットの剥離糸口端部が接触せず、輸送等の取り扱い中に第2ハーフカットの剥離糸口端部が捲れてしまうおそれはない。
【0008】
また、切妻屋根型頂部の切妻屋根面は、山
折部により凸面状に形成され、第2ハーフカットにあっては、剥離の糸口となる剥離糸口端部が山
折部を横切り又は剥離糸口端部の先端
が山折部と一致するように設けられているので、第2ハーフカットの剥離糸口端部が山
折部を横切るように設けられている場合には、剥離糸口端部にわずかな力を加えるだけで、紙素材の復元力により剥離糸口端部を容易に立ち上げることができ、また、第2ハーフカットの剥離糸口端部の先端が山
折部と一致するように設けられている場合には、剥離糸口端部の先端に爪が掛かり易く、容易に剥離糸口端部を立ち上げることができる。
このように、剥離糸口端部を容易に立ち上げることができるので、立ち上がった剥離糸口端部を摘まんで第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離することにより、ストロー口の開口を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る紙容器の実施の形態の第1例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す展開図である。
【
図3】本発明に係る紙容器の実施の形態の第2例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る紙容器の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び
図2は本発明に係る紙容器の第1例を示したもので、
図1は本例の紙容器の斜視図、
図2は
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す展開図である。
【0011】
本例の紙容器は、
図2に示される展開構造を有するカートンブランクスによって組み立てられる。
本例に係る紙容器は、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した紙素材によって形成されたものであって、4つの平面部1の隣接部が直角につながった構造の有底の胴部2の上部を切妻屋根型の頂部3で閉塞した構成となっている。切妻屋根型の頂部3は、切妻屋根面4とその両端を閉塞する妻壁5によって構成されている。胴部2と頂部3との境界には頂部横罫線6が設けられている。
【0012】
頂部3の切妻屋根面4は、横方向に向かう山
折部7を有する凸面状に形成されている。
本例では、切妻屋根面4の縦方向中央に1つの山
折部7が形成され、山
折部7により切妻屋根面4が凸面状となっている。なお、切妻屋根面4に形成される山
折部7の数は1つに限定されず、複数の山
折部7を形成してもよいし、また、山
折部7を形成する位置も特に限定されない。
【0013】
頂部3の切妻屋根面4には、その裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられている。
第2ハーフカット10はその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12,13とからなる略U字状の形状になっており、表面から剥離糸口端部11を起点として第2ハーフカット10で囲まれた部分を層間剥離させることによってストロー口8を開口させる構造となっている。
本例では、第2ハーフカット10は、剥離の糸口となる剥離糸口端部11の先端11aが山
折部7と一致するように設けられている。
【0014】
なお、剥離糸口端部11にあっては、本例では円弧状となっているが、これに限定されるものではなく、図示しないが、剥離糸口端部11の先端11aを頂点とした三角形状になっていてもよく、台形状になっていてもよく、多角形状になっていてもよい。
また、略U字状の形状となっている第2ハーフカット10の2本の平行直線部12,13は、その長さが等しくてもよいし、いずれかの平行直線部12,13が他方より短く形成されていてもよい。
【0015】
このような構造の紙容器によれば、第2ハーフカット10の剥離の糸口となる剥離糸口端部11が、頂部3の切妻屋根面4に形成された山
折部7と一致するように設けられているので、輸送中、隣の紙容器に第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が接触せず、輸送等の取り扱い中に第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が捲れてしまうおそれはない。
【0016】
また、頂部3の切妻屋根面4は、山
折部7により凸面状に形成され、第2ハーフカット10の剥離の糸口となる剥離糸口端部11の先端11aが山
折部7と一致するように設けられているので、剥離糸口端部11の先端11aに爪が掛かり易く、容易に剥離糸口端部11を立ち上げることができる。
このように、剥離糸口端部11を容易に立ち上げることができるので、立ち上がった剥離糸口端部11を摘まんで第2ハーフカット10で囲まれた部分を層間剥離することにより、ストロー口8の開口を容易に行うことができる。
【0017】
次ぎに、本発明に係る紙容器の実施の形態の第2例を説明する。
図3は本発明に係る紙容器の第2例を示したもので、
図3は本例の紙容器の斜視図である。
第2例の紙容器について、第1例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
【0018】
本例では、第2ハーフカット10は、第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が山
折部7を横切るように設けられている。第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が山
折部7を越える長さは、1mm〜10mmが好ましい。
【0019】
このような構造の紙容器によれば、第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が山
折部7を横切るように設けられているので、剥離糸口端部11にわずかな力を加えるだけで、紙素材の復元力により剥離糸口端部11を容易に立ち上げることができ、立ち上がった剥離糸口端部11を摘まんで第2ハーフカット10で囲まれた部分を層間剥離することにより、ストロー口8の開口を容易に行うことができる。
その他の作用効果は第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0020】
1 平面部
2 胴部
3 頂部
4 切妻屋根面
5 妻壁
6 頂部横罫線
7 山
折部
8 ストロー口
9 第1ハーフカット
10 第2ハーフカット
11 剥離糸口端部
11a 先端
12,13 平行直線部