(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671921
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】成形品及びその加飾方法
(51)【国際特許分類】
B44C 1/22 20060101AFI20200316BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20200316BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20200316BHJP
【FI】
B44C1/22 B
B65D23/00 T
B23K26/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-210752(P2015-210752)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-80975(P2017-80975A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506233335
【氏名又は名称】津田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104396
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】前田 晃成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 晴男
(72)【発明者】
【氏名】大江喜 豪
(72)【発明者】
【氏名】野澤 洋
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−062289(JP,A)
【文献】
特開2001−192036(JP,A)
【文献】
特開2005−035575(JP,A)
【文献】
特開2003−252651(JP,A)
【文献】
特開2005−153462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/22
B23K 26/00
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面とを有するとともに光透過性を有し、かつレーザー光照射によるマーキングが可能であり、
円形の天板部と当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部とを含む断面コの字状の成形品蓋、又は周壁部を有する成形品本体からなる樹脂またはガラスの成形品であって、
当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面側には、レーザー光照射によるハーフカット溝からなる文字、図形、又は記号を含む模様が形成され、
当該ハーフカット溝の形状が、当該表面側から目視可能なレベルで長さ方向に沿って変化し、かつ、当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の周方向に沿って長さ方向に対して垂直な断面が連続的に変化する
ことを特徴とする成形品。
【請求項2】
前記ハーフカット溝の形状変化は、少なくともレーザー光の照射方向の変化に伴うものである
ことを特徴とする請求項1記載の成形品。
【請求項3】
前記樹脂成形品は裏面側に曲面部位を含み、
少なくとも当該曲面部位に前記模様が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の成形品。
【請求項4】
前記樹脂成形品は、周壁部の裏面側に囲まれた凹部を有し、
当該周壁部の裏面側が前記曲面部位を含む
ことを特徴とする請求項3記載の成形品。
【請求項5】
前記樹脂成形品は、天板部と、当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部と、を含む断面コの字状の成形品蓋または成形品本体であって、
当該周壁部の裏面側が前記曲面部位を含む
ことを特徴とする請求項3記載の成形品
【請求項6】
前記裏面の少なくとも前記模様が形成された領域に、加飾層が形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし5何れか記載の成形品。
【請求項7】
表面と裏面とを有するとともに光透過性を有し、かつレーザー光照射によるマーキングが可能であり、
円形の天板部と当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部とを含む断面コの字状の成形品蓋、又は周壁部を有する成形品本体からなる樹脂またはガラスの成形品の加飾方法であって、
当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面がレーザー照射を受け得るように、当該レーザー照射方向との相対位置を設定する工程と、
当該相対位置を設定した状態で、当該成形品蓋又は当該成形品本体を周方向に回転させつつ当該レーザー光を照射することで当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面側にハーフカット溝で文字、図形、又は記号を含む模様を形成する工程と、を含み、
当該模様を形成する工程において、当該ハーフカット溝の形状が当該表面側から目視可能なレベルで長さ方向に沿って変化させるために当該レーザー光の照射条件を変化させる
ことを特徴とする成形品の加飾方法。
【請求項8】
前記照射条件は、少なくともレーザー光の照射方向を含む
ことを特徴とする請求項7記載の成形品の加飾方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品及びその加飾方法に関する。更に詳しくは、レーザー光照射により形成される文様のハーフカット溝に変化をつけ、これによって装飾性に多様性を持たせた樹脂またはガラスの成形品及びその加飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上方開口の樹脂製成形品の外面または内面にレーザー光照射により文字・図形が形成された成形品が開示されている。
【0003】
特許文献2は、光透過性の樹脂もしくはガラスの成形後の成形品の内部に、レーザー光線の照射により視覚認識できる模様を形成した成形品が記述されている。しかし、成形品形状について何ら言及はなく、図面すら添付されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−192036号公報(段落0013)
【特許文献2】特開2005−35575号公報(段落0035)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載された発明は、いずれも樹脂もしくはガラスの成形品内部にレーザー光を照射して模様等を形成するものであるが、どのようにして成形品内部に模様等を形成するのか具体的な方法を含まない。特許文献1に係る成形品は上部開口であるから、その開口から成形品内部へレーザー光照射が可能であることだけはかろうじて伺うことができる。しかし、特許文献2に係る成形品はその成形品形状についてだけでなく、レーザー光照射の方法について何ら言及するものではない。
【0006】
その中で本発明は、従来の技術ではなし得なかった、レーザー光照射により形成される文様のハーフカット溝に変化をつけ、これによって装飾性に多様性を持たせたることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明の成形品(以下、「請求項1の成形品」という)は、表面と裏面とを有する
とともに光透過性を有し、かつレーザー光照射によるマーキングが可能
であり、円形の天板部と当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部とを含む断面コの字状の成形品蓋、又は周壁部を有する成形品本体からなる樹脂またはガラスの成形品であって、当該
成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面側には、レーザー光照射によるハーフカット溝からなる文字、図形、又は記号を含む模様が形成され、当該ハーフカット溝の形状が、当該表面側から目視可能なレベルで長さ方向に沿って変化し
、かつ、当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の周方向に沿って長さ方向に対して垂直な断面の変化が連続的であることを特徴とする。
【0008】
請求項1の成形品によれば、その裏面側に模様が形成され、その模様を構成するハーフカット溝の形状の変化により(変化は表面側から目視できる)、成形品の装飾性に多様性を持たせることができる。
すなわち、成形品蓋や成形品本体の側壁部の周方向全域の裏面側に模様を形成することができる。曲面である側壁部への模様形成に際してレーザー光の焦点がその表面であったり、手前もしくは奥に来たりする、これが、照射条件の変化に伴ってハーフカット溝の形状に変化を与えることになる。特に、その照射角度の変化によれば、たとえば鋭角に照射したときのハーフカット溝は深くくっきりと見えても、少しずつ鈍角化していくことにより徐々にボケて見えるようになる。まして、樹脂もしくはガラスの外側から見ているので、それを通した屈折やゆがみなどと相まってグラデーションのように見えるようになる。これが、他の加飾方法では見られない多様な装飾を可能とする。
【0009】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明の成形品(以下、「請求項2の成形品」という)は、請求項1の成形品であって、前記ハーフカット溝の形状変化は、少なくともレーザー光の照射方向の変化に伴うものであることを特徴とする。レーザー光の照射方向の変化は、成形物とレーザー光の相対位置の変更により行うことが一般的であるが、たとえば、レーザー光が固定で成形品の形状に凹凸や曲面があるために生じる変化も含まれる。
【0010】
請求項2の成形品によれば、レーザー光の照射方向に変化により、ハーフカット溝の外観形状が変化し、これが装飾性に変化をもたらす。
【0011】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明の成形品(以下、「請求項3の成形品」という)は、請求項1または2の成形品であって、前記樹脂成形品は裏面側に曲面部位を含み、少なくとも当該曲面部位に前記模様が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の成形品によれば、曲面部位における装飾性に多様性を持たせることができる。
【0013】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明の成形品(以下、「請求項4の成形品」という)は、請求項3の成形品であって、前記樹脂成形品は、周壁部の裏面側に囲まれた凹部を有し、当該周壁部の裏面側が前記曲面部位を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項4の成形品によれば、裏面側に曲面部位を含む周壁部は凹部を囲んでいる、換言すると周壁部のある部位はそこに対向する他の部位に邪魔されてレーザー光を斜めに照射することになるが、そのため、直角照射とは違った趣のハーフカット溝が形成される。このことが、装飾性に多様性を持たせることになる。
【0015】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明の成形品(以下、「請求項5の成形品」という)は、請求項3の成形品であって、前記樹脂成形品は、天板部と、当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部と、を含む断面コの字状の成形品蓋または成形品本体であって、当該周壁部の裏面側が前記曲面部位を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項5の成形品によれば、成形品蓋または成形品本体の周壁部なので、それらの
周壁部の裏側にレーザー光を照射するには、斜めに行うことになる。そのため、直角照射とは違った趣のハーフカット溝が形成される。このことが、装飾性に多様性を持たせることになる。
【0017】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明の成形品(以下、「請求項6の成形品」という)は、請求項1ないし5いずれかの成形品であって、前記裏面の少なくとも前記模様が形成された領域に、加飾層が形成されていることを特徴とする。加飾層そのものに何ら制限はなく、たとえば、金属蒸着などによりメタリックが風合いを出すことができる。
【0018】
請求項6の成形品によれば、加飾層を形成すれば、裏側に形成された模様と相まって、さ
らに装飾が多様なものになる。
【0019】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明の成形品の加飾方法(以下、「請求項7の加飾方法」という)は、 表面と裏面とを有する
とともに光透過性を有し、かつレーザー光照射によるマーキングが可能
であり、円形の天板部と当該天板部の周囲から起立する環状の周壁部とを含む断面コの字状の成形品蓋、又は周壁部を有する成形品本体からなる樹脂またはガラスの成形品の加飾方法であって、
当該成形品蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面がレーザー照射を受け得るように、当該レーザー照射方向との相対位置を設定する工程と、当該相対位置を設定した状態で、当該成形品蓋又は当該成形品本体を周方向に回転させつつ当該レーザー光を照射することで当該成形品
蓋の周壁部又は当該成形品本体の周壁部の裏面側にハーフカット溝で文字、図形、又は記号を含む模様を形成する工程と、を含み、当該模様を形成する工程において、当該ハーフカット溝の形状が当該表面側から目視可能なレベルで長さ方向に沿って変化させるため
に当該レーザー光の照射条件を変化させることを特徴とする。
【0020】
請求項7の加工方法によれば、レーザー光の照射条件の変化によりハーフカット溝の形状が、成形品の外側から見て分かるレベルで長さ方向に沿って変化する。その変化とは、たとえば、ある部位では細い溝であり、それがだんだん太くなっていったり、その逆の変化をしたりすることをいう。レーザー光の照射角度を変更したり、レーザー出力の強弱を変化させたりすることにより、そのような変化が実現する。その変化により多様な装飾が可能となる。
すなわち、成形品蓋や成形品本体の側壁部の周方向全域の裏面側に模様を形成することができる。曲面である側壁部への模様形成に際してレーザー光の焦点がその表面であったり、手前もしくは奥に来たりする、これが、照射条件の変化に伴ってハーフカット溝の形状に変化を与えることになる。特に、その照射角度の変化によれば、たとえば鋭角に照射したときのハーフカット溝は深くくっきりと見えても、少しずつ鈍角化していくことにより徐々にボケて見えるようになる。まして、樹脂もしくはガラスの外側から見ているので、それを通した屈折やゆがみなどと相まってグラデーションのように見えるようになる。これが、他の加飾方法では見られない多様な装飾を可能とする。
【0021】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明の成形品の加飾方法(以下、「請求項8の加飾方法」という)は、請求項7の加飾方法であって、前記照射条件は、少なくともレーザー光の照射方向を含む
ことを特徴とする。
【0022】
請求項8の加飾方法によれば、少なくともレーザー光の照射方向の変更は、成形品とレーザー光の相対位置の変更によって行うことができるので、扱い勝手がよい。レーザー光の相対位置の変更は、たとえば、ガルバノミラーを用いた方法であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、レーザー光照射により形成される文様のハーフカット溝に変化をつけ、これによって装飾性に多様性を持たせたることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】レーザー照射装置の概略と、成形品蓋の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る成形品は、光透過性の無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物を構成材料の一部又は全部に使用した成形品である。成形品は表面と裏面を有し、その裏面側には文字、図形、又は記号を含む溝模様が形成され、表面側から目視可能なレベルで溝形状が変化して意匠性を高めていることに最大の特徴がある。
【0026】
文字、図形、又は記号を含む模様は、レーザー光を照射しながらハーフカットの溝で、たとえば一筆書きの要領で形成する。ハーフカット溝は、成形品を貫通しない溝のことをいい、その溝の深さは必ずしも素材厚みの半分でなければならないということではなく、貫通しない中途半端な溝という意味である。模様の種類に特に制限はなく、文字、図形、又は記号の一部ないし全部含むものも本発明の模様に該当する。そのようなものとして、たとえば、創作図形、キャラクター、物品の形状、自然物、建造物等などが該当する。
【0027】
ここで本樹脂素材とは、JIS K7105に定義される曇り度が厚み1mmにおいて20%以下のものをいう。特に表面側から目視可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、曇り度10%以下、とりわけ5%以下のものを使用するのが好ましい。また、本ガラス素材とは、JIS R3106(1998)に定義される可視光線透過率(380〜780nm)が厚み3mmにおいて50%以上のものをいう。特に表面側から目視可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、70%以上、とりわけ80%以上のものを使用するのが好ましい。
【0028】
本樹脂素材は、特に限定されるものではないが、具体例として、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)、アクリル樹脂(acrylic resin)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチレンテレフタラート( polyethylene terephthalate)などが該当する。
【0029】
本ガラス素材の具体例としては、板ガラス、焼結ガラス、モールドガラス、低融点ガラス、硬質ガラス、低アルカリガラス、快削性ガラス、ゾルゲルガラス、クラウンガラス、(セミ)クリスタルガラス、光学クラウンガラス、光学フリントガラス、石英ガラスから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。模様形成は、レ−ザ−光線の照射で行う。レ−ザ−光源としては特に限定されるものではなく本素材との適応性に合わせて選択することができる。たとえば、CO2レ−ザ−、アルゴンレ−ザ−、ヘリウム−ネオンレ−ザ−などの気体レ−ザ−、YAGレ−ザ−、ルビ−レ−ザ−、ガラスレ−ザ−などの固体レ−ザ−、ガリウム−砒素レ−ザ−などの半導体レ−ザ−などを適宜使用することができる。これらの中でも室温で連続発振が容易で赤外領域の波長であり熱エネルギ−への変換効率がよいCO2レ−ザ−が好ましい。
【0030】
(成形品蓋の概略構造)
成形品は、種々の形状をとることができるが、たとえば化粧品の成形品蓋や成形品本体が、高い意匠性が求められるものであるため好適である。そこで本実施形態では、
図1に示す化粧品の成形品蓋を対象とする。成形品蓋100は、円形の天板部110と、天板部110の周囲から起立して凹部140を囲む環状の周壁部120と、を含む断面コの字状に形成され、周壁部120の裏面130の側が曲面部位になっている。成形品蓋100は、透明なアクリル素材を図外の金型で一体成形されたものである。
【0031】
(レーザー照射装置)
図1に示すように、レーザー照射装置1は、光源10から発光されたレーザー光Lが可動式のガルバノミラー20に反射され、レンズ30を通して照射されるようになっている。ガルバノミラー20は駆動装置50の働きにより反射角を変更できるように構成され、これにより成形物である成形品蓋100に対するレーザー光の照射方向が変更可能に構成されている。レーザー照射装置1は、さらに回転装置70を備えている。回転装置70は、成形品蓋100を、少なくとも
図1に示すように裏にして傾斜させた状態で保持し、周方向に所定速度で回転するようになっている。回転速度は変えられるようにしておくほうが、多様な模様形成ができるようなるので便利である。なお、駆動装置50や回転装置70を含むレーザー照射装置1全体の制御は、コンピュータによって構成される制御装置90が担っている。制御装置90は、模様パターンのデータに基づいて全体制御を行うようになっている。
【0032】
(模様形成による加飾)
成形品蓋100への模様形成は、まず、成形品蓋100を回転装置70に固定することから始まる。回転装置70への成形品蓋100の固定は、
図1に示すように、裏を上にして傾斜した状態で行う。これは、周壁部120の裏面130を真上からレーザー光Lを照射できるようにするためである。レーザー光Lを照射している最中に駆動装置50を駆動させて照射方向を変更する。
図1に示すものは2次元的に方向を変えるものであるが、3次元的に変えられるように構成することもできる。駆動装置50によるレーザー照射方向の変更と、回転装置70の回転(およびその速度変更)の組み合わせによって周壁部120の裏面130にさまざまな模様を形成することができる。なお、レーザー光Lの照射によって形成する溝Gは、深さは様々であってよいが表面側へは貫通しないハーフカットとする。貫通させると、成形品蓋としての機能を果たせなくなるからである。
【0033】
成形品蓋100は断面コの字状の形状であるから、そのままでは隠れて見えない周壁部120の裏面130へのレーザー光照射は、成形品蓋100の裏を上にして傾斜させ裏面130を露出させることにより行うようになっている。
図1に示す状態で成形品蓋100を周方向(紙面の垂直方向)に回転させながら、レーザー光Lの照射を行う。この回転させながらの照射が原則であるが、回転を止めた状態で照射したり、回転させつつ照射を止めたり、さらに、レーザー出力の強弱を変化させたりすることを妨げない。模様パターンに合わせて、適宜自由に設定でき、さまざまな条件を組み合わせることによって多様な装飾を行うことができる。
【0034】
レーザー光Lの照射方向によって形成される溝は、レーザー光L集束のため断面はほぼV字状になる。その照射方向の変更によって、たとえば
図2から
図4に示すG1からG3のようにV字の形状が変わってくる。照射方向が垂直に近くなるほど左右均衡のとれたV字状になるが(
図2のG1)、照射面に対し傾斜すればするほど均衡が崩れ一方の斜面が他方の斜面よりも長くなってくる(
図3のG2、4のG4)。したがって、このハーフカット溝を裏面130の反対側となる表側から見ると、残った部分の肉厚が変わってくるため溝の見え方も変わってくる(
図1の溝G)。この照射角度を連続的に行うと、屈折やゆがみも相まって一種のグラデーションのように見えるようになる(
図5)これによって、意匠的効果が高まり、化粧品の成形品蓋100としてのあらたな価値を形成したことになる。
【0035】
図6は、
図5に示す成形品蓋の裏面に加飾層を形成したものである。つまり、この加飾層は金属蒸着層によって構成したが、塗装膜形成など適宜好みに応じた加飾層やトップ層などを形成してよい。また、レーザー光線の照射前に加飾層を形成することもできる。この場合、成形品蓋そのものと加飾層の両者に模様が形成されることになる。たとえば、最初に塗装膜を形成し、次にレーザー照射によって溝を形成し、さらに、裏面全体に別の加飾層(たとえば、金属蒸着層)を形成したとすると、溝の中に別の加飾層の色が見えるようになる。このように、さまざまな組み合わせが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 レーザー照射装置
10 高原
20 ガルバノミラー
30 レンズ
50 駆動装置
70 回転装置
90 制御装置
100 成形品蓋
110 天板部
120 周壁部
130 裏面
140 凹部
G 溝
G1 溝
G2 溝
G3 溝
L レーザー光