特許第6671924号(P6671924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6671924酸素発生触媒、水酸化触媒、および水を酸化するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671924
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】酸素発生触媒、水酸化触媒、および水を酸化するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/888 20060101AFI20200316BHJP
   C01B 13/02 20060101ALI20200316BHJP
   C25B 11/06 20060101ALI20200316BHJP
   C25B 1/04 20060101ALI20200316BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALN20200316BHJP
【FI】
   B01J23/888 M
   C01B13/02 B
   C25B11/06 A
   C25B1/04
   !H01M8/0606
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-212734(P2015-212734)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-87603(P2016-87603A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2018年8月20日
(31)【優先権主張番号】14/528,219
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】賈 鴻 飛
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ジェームズ・マクドナルド
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−155106(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103991913(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C01B 13/02−13/08
C25B 1/04−1/12
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和タングステン酸コバルトを備え
前記水和タングステン酸コバルトはCoWO・xHOを有し、xは1.2〜1.7である、水を酸素および水素イオンに分解する酸素発生触媒。
【請求項2】
前記水和タングステン酸コバルトは、1〜10nmの粒径を有する複数のナノ粒子を含む、請求項1に記載の酸素発生触媒。
【請求項3】
水和タングステン酸コバルトのナノ粒子と組合された導電性粒子および結合剤をさらに含む、請求項1に記載の酸素発生触媒。
【請求項4】
前記触媒は、40〜110m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の酸素発生触媒
【請求項5】
前記触媒は、20充電サイクル後に自身の活性の100%を維持する、請求項1に記載の酸素発生触媒
【請求項6】
前記水和タングステン酸コバルトは、擬似結晶構造を有する、請求項1に記載の酸素発生触媒
【請求項7】
前記水和タングステン酸コバルトは、非晶質タングステン酸コバルトよりも高い定常状態活性を有する、請求項1に記載の酸素発生触媒
【請求項8】
水和タングステン酸コバルトを提供するステップと、
水を提供するステップと、
前記水を前記水和タングステン酸コバルトと接触させるステップとを備え、
前記水和タングステン酸コバルトはCoWO・xHOを有し、xは1.2〜1.7であり、
前記水和タングステン酸コバルトは水の酸化を触媒する、水を酸化するためのプロセス。
【請求項9】
前記水和タングステン酸コバルトは、複数の水和タングステン酸コバルトナノ粒子である、請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水和タングステン酸コバルトと前記水との間に電位を印加するステップをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水に光増感剤を加え、光増感剤を含有する前記水を電磁放射に晒すステップをさらに含み、前記光増感剤は、前記水和タングステン酸コバルトと前記水との間に電位を付与する、請求項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記光増感剤は、ルテニウム−トリス(2,2′−ビピリジル)化合物である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
Co(NO34を提供するステップと、
Na2WO4を提供するステップと、
前記Co(NO34とNa2WO4とを組合せて溶液を形成するステップと、
前記溶液をマイクロ波エネルギ源に晒し、水熱反応を開始し、水和CoWO4を形成す
るステップとを含
前記水和CoWO4はCoWO・xHOを有し、xは1.2〜1.7である、酸素発生触媒を形成するプロセス。
【請求項14】
Co(NO34およびNa2WO4の化学量論量を組合せる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
晒す前記ステップは1〜10分である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
晒す前記ステップは、前記溶液を摂氏200〜300度の温度まで上昇させることを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
晒す前記ステップの後に前記溶液を冷却するステップを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
前記水熱反応の後に前記水和CoWO4を洗浄および乾燥するステップをさらに含む、
請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
該当なし。
【0002】
発明の分野
本発明は、酸素発生触媒を形成するプロセス、ならびにタングステン酸コバルトを水の電気化学電解および光化学電解のための触媒として使用する装置に関し、特に、水の酸化のための触媒として水和タングステン酸コバルトを使用するプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
水素は、化石燃料の代わりにクリーンな無公害の代替物を提供するとして、長い間理想的な燃料源と考えられてきた。水素源の1つは、以下の反応式(1)に表わされるような、水の水素(H)および酸素(O)への分解である。
【0004】
(1) 2HO→O+2H
電気化学半セルにおいて、水分解反応は、次の2つの半反応を含む。
【0005】
(2) 2HO→O+4H+4e
(3) 2H+2e→H
日光を利用して水から生成される水素は、豊富な、再生可能な、クリーンなエネルギ源を提供することが期待される。しかしながら、酸素発生半反応は、水素発生半反応よりもずっと反応速度的に限定されているため、水素の全体的な生成量が限定されてしまうおそれがある。このため、酸素発生反応(OER)の反応速度を増加させ、かつ水からの水素生成量を増加させ得る効率的なOER触媒を探求する試みが行なわれてきた。特に、ルテニウムおよびイリジウムの酸化物が過去に特定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ルテニウムおよびイリジウムは地球上で最も希少な元素に含まれるため、これらの触媒を大規模に用いることは実用的ではない。したがって、改善されたOER触媒は、代替的な燃料源としての水素の発生において非常に有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
一局面では、水和タングステン酸コバルトを含む、水を酸素および水素イオンに分解する酸素発生触媒が開示される。
【0008】
別の局面では、酸素を生成するために水を酸化するためのプロセスが開示される。当該プロセスは、水を水和タングステン酸コバルトと接触させるステップを含み、水和タングステン酸コバルトは、水の酸化を触媒し、酸素を生成する。水和タングステン酸コバルトは、複数の水和タングステン酸コバルトナノ粒子であってもよく、当該ナノ粒子は、電極に付着されていてもいなくてもよく、電極と水との間に電位が印加されて酸素が発生されてもよい。
【0009】
さらなる局面では、Co(NO34を提供するステップと、Na2WO4を提供するステップと、Co(NO34とNa2WO4とを組合せて溶液を形成するステップと、溶液をマイクロ波エネルギ源に晒し、水熱反応を開始し、水和CoWO4を形成するステップとを含む、酸素発生触媒を形成するプロセスが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】非晶質CoWO4ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
図1B】マイクロ波ドゥエル時間が1分の水和CoWO4ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
図1C】マイクロ波ドゥエル時間が10分の結晶質CoWO4ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
図2】水和CoWO4ナノ粒子および非晶質CoWO4粒子のXRDプロットである。
図3】異なるマイクロ波ドゥエル時間にわたって200℃で合成したCoWO4ナノ粒子のXRDプロットである。
図4】CoWO4の非晶、結晶および擬似結晶または水和相を形成するためのマイクロ波における反応またはドゥエル時間および温度のプロットである。
図5】マイクロ波におけるドゥエル時間の関数としてのCoWO4についての表面積および粒径のプロットである。
図6】水和CoWO4を生成するための温度およびドゥエル時間の表である。
図7A】1サイクルのCoWOについて、5mV/秒のスキャン速度を用いたサイクリックボルタンメトリトレースのグラフ図である。
図7B】20サイクル後のCoWO4について、5mV/秒のスキャン速度を用いたサイクリックボルタンメトリトレースのグラフ図である。
図8】水和CoWO4(1分)、結晶質(5〜60分)および非晶質CoWO4のターフェルプロットである。
図9】水和CoWO4についてのTGAデータのグラフのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
本開示は、酸素ガスを発生するための水の酸化のための形成方法、装置および/または触媒組成物を提供する。当該方法は、水和タングステン酸コバルト(CoWO4)触媒材料を提供し、酸素を発生するのに有効な条件下で当該触媒を水に加えることを含む。一実施形態では、当該方法は、触媒を含有する水を光照射に晒して、酸素ガスを発生することをさらに含む。
【0012】
本明細書で使用される「触媒」とは、化学電解反応(または他の電気化学反応)に関わり、化学電解反応(または他の電気化学反応)の速度を増加させるものであり、それ自体は、電解質の一部として反応するが、反応自体によっては殆ど消費されず、かつ、複数の化学変換に関与し得る物質を意味する。本発明の触媒材料は、一部の使用においてわずかな量で消費され得、多くの実施形態において元の化学状態に再生され得る。反応は、水の酸化反応または酸素発生反応を含み得る。
【0013】
一局面では、水酸化触媒または酸素発生触媒は、水を酸素および水素イオンに分解する水和タングステン酸コバルトを含む。
【0014】
さらなる局面では、基板と、基板に接した活物質とを含む、水を酸素および水素イオンに分解する電気化学水酸化のための電極が開示される。活物質は、水和タングステン酸コバルトを含む。
【0015】
一局面では、水和タングステン酸コバルトは、カーボンブラックなどの導電性粒子と組合わされてもよく、デュポン社が販売しているスルホン化テトラフルオロエチレン系のフッ素重合体共重合体であるNAFION(登録商標)などの結合剤をさらに含んでもよい。組合わされた材料は、当業者に既知の任意の方法を用いて、電極基板に付着させてもよい。たとえばガラス状炭素、カーボンブラックまたは他の材料のような、導電可能なさまざまな電極基板が利用されてもよい。
【0016】
触媒は、複数の水和タングステン酸コバルトナノ粒子を含むことができる。いくつかの場合においては、ナノ粒子は、粒径が均一であり、1〜10nmの平均粒径を有することができる。一局面では、複数の水和タングステン酸コバルトナノ粒子を含む酸素発生触媒は、40〜110m2/gの表面積を有してもよい。
【0017】
一実施形態では、水和タングステン酸コバルトは、当業者に既知の任意の方法を用いて電極に付着される。たとえば、例示目的に過ぎないが、水和タングステン酸コバルトを電極に付着するために、吸収技術、接着剤、堆積技術などを使用することができる。
【0018】
いくつかの場合においては、電極はチャネルを有することができ、水は、水が電極チャネル内に取込まれることの可能な速度で触媒と接触されることができる。さらに、電極は、水溶液中にある、および/または電気化学セルの一部である、および/または光電気化学セルの一部であることができ、容器を含んでいてもいなくてもよい。
【0019】
容器は、箱、缶または広口瓶などの任意のレセプタクルであってもよく、その中に電気化学装置の構成要素が保持または置かれてもよい。容器は、当業者に知られるように、任意の既知の技術または材料を用いて作製され得る。この容器は、電気化学装置の構成要素を収容できるのであれば、任意の形状またはサイズを有してもよい。電気化学装置の構成要素は、容器内に取付けられてもよい。すなわち、1つの構成要素、たとえば電極は、容器に対して固定され、場合によっては、容器によって支持されるように、容器に連結されてもよい。
【0020】
いくつかの場合においては、本発明の実施形態を含む電気化学セルは、印加電位の必要なしに、太陽光照射を用いて水を分解する非常に効率のよい方法を提供する。水を光アノードにおいて酸化させると、水素陽子が発生され、次にこれらが還元されて、カウンタ電極において水素ガスが形成される。さらに、セルから発生された酸素および水素は、燃料セルに直接流されて、さらなる電力を発生することができる。
【0021】
さらなる実施形態では、電気化学セルは、色素増感半導体などの光アノードまたは外部電位のいずれかによって駆動されることができる。色素増感半導体は、化学/光電気リレーシステムとして作用する。たとえば、例示目的に過ぎないが、図1は、光電気リレーシステムにおいて生じ得る電子移動の順を示す。このようなリレーシステムの例には、ルテニウムポリピリジル色素などのルテニウムN−ドナー色素が含まれ、これらは、可視光を吸収し、水和タングステン酸コバルト触媒材料から電子を受取ることにより、触媒と接する水の酸化を助けることができる。いくつかの場合においては、光増感剤は、ルテニウム−トリス(2,2′−ビピリジル)クロリドなどのルテニウム−トリス(2,2′−ビピリジル)化合物であることができる。
【0022】
別の局面では、Co(NO34を提供するステップと、Na2WO4を提供するステップと、Co(NO34とNa2WO4とを組合せて溶液を形成するステップと、溶液をマイクロ波エネルギ源に晒し、水熱反応を開始し、水和CoWO4を形成するステップとを含む、酸素発生触媒を形成するプロセスが開示される。晒すステップは、温度を所望の温度範囲まで上昇させるか溶液を所望の温度範囲まで加熱するためにさまざまな時間にわたってマイクロ波エネルギに晒すことを含んでもよい。水和CoWO4材料を形成するためのさまざまな時間および温度値が図6に示される。
【0023】
晒すステップは、溶液をマイクロ波エネルギに1分未満〜60分晒すことを含んでもよい。一局面では、晒すステップは、800ワットの電力で1〜10分であってもよい。晒すステップは、溶液の温度を摂氏200〜300度の温度まで上昇させてもよい。晒すステップの後、溶液を冷却してから、洗浄および乾燥してもよい。
【0024】
酸素発生触媒を形成するプロセスは、擬似結晶相または水和結晶相を有する材料を生成し、これによって、以下により詳細に説明されるように触媒の安定性および活性の増加がもたらされる。水和相は、図4に示されるように,100〜240℃の温度で、かつ1分未満〜60分のドゥエル時間で形成されてもよい。
【0025】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、本発明を実施する具体的態様を例示するものであり、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとして意図されていない。
【0026】
実施例
水和CoWO4の調製
Co(NO 6HOおよびNaWO・2HOの出発材料をシグマアルドリッチ社から購入し、さらなる精製なしに直接使用した。典型的な合成においては、(0.2M)NaWO溶液を強い攪拌下で化学量論的に(0.2M)Co(NO溶液と組合わせた。次に、溶液混合物をマイクロ波ガラス管に入れた。マイクロ波反応器(アントンパール社のMicrowave 300)でマイクロ波補助水熱合成を行った。マイクロ波管を、最大電力(800W)でさまざまな温度まで加熱した。以下により詳細に説明されるように、マイクロ波に晒すことをさまざま時間にわたって維持した。マイクロ波に晒した後、強制的な空気流によって管を冷却した。結果として得られた生成物を遠心分離機で複数回DI水で洗った後、摂氏60度で1晩真空乾燥した。
【0027】
最終粉末生成物を、図1A〜Cに示されるようにTEMによって検査した。図中、水和CoWO4粒子が非晶質CoWO粒子と比較してはるかに小さい粒径を有していることがわかる。
【0028】
マイクロ波エネルギに晒す時間がさまざまである水和CoWO4および非晶質CoWO4について、XRDデータが図3および図4に示される。晒す時間が0〜3分のサンプルについてのプロットは、より長く晒されるサンプルと比較して、高さが異なりピークが移動した固有の擬似結晶相を示す。また、晒す時間が5分未満のサンプルは、図5に最もよく見られるように増大した表面積を有する。
【0029】
実施例2
CoWO4のサイクリックボルタンメトリ(CV)
作用電極を作製するため、触媒粒子、酸処理カーボンブラック(CB)、Na交換ナフィオン1溶液の混合物をテトラヒドロフランで超音波処理した後、予め研磨したガラス状炭素ディスク電極(直径5mm)上にドロップキャストにより塗布する(10mL)ことによって、触媒インクをまず調製した。触媒膜を密封容器内で1晩室温で乾燥し、膜の最終組成物は、CoWO4、CBおよびナフィオン1についてそれぞれ250,50および50mg cm22であると予想した。
【0030】
1600rpmの速度で回転している作用電極、および基準としてAg/AgCl(3M NaCl)を用いて、3電極ガラスセル(125ml)内で電気化学測定を行なった。フリットガラス管を用いて、カウンタ電極(Ptコイル)を主要な電気化学セルから絶縁した。利用した電解質は0.4M Na2HPO4および0.6M Na2SO4の電解質であり、そのpHはNaOHおよびHNO3溶液を用いて調整した。電気化学試験の間、電解質を連続的にパージし、超高純度酸素でマスクした。
【0031】
非晶質CoWO4およびさまざまな水和CoWO4サンプルについての1サイクル後、および20サイクル後のCoWO4粒子についてのサイクリックボルタモグラムプロットが図7Aおよび7Bに示される。これらの図に示されるように、20サイクル後の水和CoWO4粒子は、非晶質CoWO4粒子と比較して増大した性能を有する。水和CoWO4粒子は、CVサイクルを繰返した後の増大した安定性を実証している。一局面では、水和CoWO4は、20充電サイクル後に自身の活性の100パーセントを維持する。
【0032】
水和CoWO4および非晶質CoWO4図8に示されるようなターフェルプロット測定により、水和CoWO4が、定常状態における同一の条件および印加過電位下において、非晶質CoWO4よりも電極表面積単位当たりの性能が改善されていることがわかる。水和CoWO4の性能特徴は、マイクロ波補助水熱反応を用いて大規模に生成され得るものよりも改善された、水を分解するための電気化学触媒を示唆している。
【0033】
図9を参照して、水和CoWO4粒子のTGA分析のプロットが示される。TGAにより、水による全重量損失は約6.5〜9パーセントであり、原子比はCoWO4・xH2Oであり、xは1.2〜1.7であることがわかった。
【0034】
本発明は、上記の例示的な実施例に制限されるものではない。記載された実施例は、本発明の範囲を限定することを意図していない。それらの変更、要素の他の組合せ、および他の使用が当業者には想定されるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9