(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電池収容部(28)に装填した電池(27)の周面の一部が、保持壁(29L・29R)の内面から逃げ部(32)の逃げ空間(S)内に入り込んでいる請求項1または2に記載の小型電気機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電池ケースによれば、電池をケースに収容した状態において、電池の下周面を保持リブの部分円弧状の受座で受止めるので、電池を安定した状態で保持できる。しかし、ケースに収容した電池の下周面とケースの底壁との間に隙間が形成されるので、電池ケースが占めるスペースが大きくなるのを避けられない。また、電池ケースを小型電気機器の本体ケースの内部に収容する場合には、本体ケースが大きくなりやすい。
【0006】
本発明の目的は、本体ケースの内部において電池および電池ケースが占めるスペースを小さくして本体ケースをコンパクト化でき、しかも、電池収容部に装着した電池が遊動するのを確実に防止して、長期にわたって安定した状態で電源機能を発揮できる小型電気機器を提供することにある。
本発明の目的は、肌処理ヘッドに装着した保護キャップの保護機能を強化でき、しかも保護キャップの保護構造を好適化して構造強度を増強できるようにした美容器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る小型電気機器は、本体ケース1の内部に電池収容部28を備えた電池ケース26を設ける。電池ケース26は、電池27の周面を受止める保持壁29L・29Rと、電池27を装填するための装填口31を備えている。
図1に示すように、装填口31と正対する保持壁29L・29Rに、電池収容部28に装填した電池27の周面の一部を受入れる逃げ部32が形成してあることを特徴とする。
【0008】
図1に示すように、逃げ部32は貫通穴で形成する。
【0009】
電池収容部28に装填した電池27の周面の一部が、保持壁29L・29Rの内面から逃げ部32の逃げ空間S内に入り込むようにする。
【0010】
逃げ空間Sにおける電池27の入り込み量T2は、逃げ空間Sの厚みT1の半分以上に設定する。
【0011】
装填口31の対向辺部に、装填口31の外に露出する電池27の周面を押え保持して、電池27の抜け出しを規制する保持爪33・34を設ける。片方の辺部に設けた保持爪34の装填口31からの突出長さH1を、他方の辺部に設けた保持爪33の装填口31からの突出長さH2より大きく設定する(
図1参照)。
【0012】
保持壁29L・29Rの長手方向両端に連続して一対の保持端壁30を設ける。
図5に示すように、保持端壁30のいずれか一方に、電池収容部28に装填した電池27を対向する保持端壁30へ向かって押圧する弾性片35を設ける。
【0013】
図4に示すように電池ケース26は、一対の保持壁29L・29Rおよび一対の保持端壁30で矩形ケース状に構成する。各保持壁29L・29Rの外面両端に張出し形成した締結座37を、締結体39で本体ケース1に固定する。
【0014】
電池収容部28の装填口31と正対する本体ケース1の内面に、電池27の周面に密着する弾性体46を設ける(
図1、
図5参照)。
【0015】
図12、
図13に示すように逃げ部32の外開口側に一対の保持壁29L・29Rを橋絡する複数の補強リブ76を形成する。逃げ部32の逃げ空間Sに入り込んだ電池27の周面を補強リブ76で受止める。
【0016】
本発明に係る美容器具は、本体ケース1の端部に、肌電極24を含む肌処理ヘッド2が設けられており、肌処理ヘッド2の外面に保護キャップ51が着脱可能に装着してある。綿マットMを肌電極24に装着するためのリング状のキャップ11は、肌電極24に着脱可能に装着してある。
図7に示すように、キャップ11を肌電極24に装着した状態のままで、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に着脱できることを特徴とする。
【0017】
本体ケース1の前面の端部にヘッドケース13が突設されて、同ケース13の前端に肌電極24が設けてある。ヘッドケース13は、突出基端の首部22と、首部22の前端に張出し形成したキャップ装着部23を備えている。保護キャップ51は、肌電極24の前面および上面を覆う前保護部52と、肌処理ヘッド2の上方から前記首部22に着脱可能に装着される一対のクリップ片64を一体に備えている(
図10参照)。クリップ片64を前記首部22に係合装着した状態において、
図7に示すようにストッパー部65をヘッドケース13と本体ケース1で前後動不能に係合保持して、前保護部52の前カバー壁54を肌電極24と小さな隙間を介して対向させる。
【0018】
保護キャップ51は、肌電極24の外面を覆う前保護部52と、本体ケース1の上部および上部背面を覆う後保護部53を備えている。前保護部52と後保護部53は、左右一対の弾性変形可能な帯状の横橋絡壁60を介して連続している。
図9に示すように、横橋絡壁60の内面にクリップ片64を設ける。
【0019】
横橋絡壁60は、保護キャップ51の内面側へ凹む谷部62と、谷部62に連続して外面側へ突出する山部63で構成する。
【0020】
横橋絡壁60の外面に、保護キャップ51を着脱するための指掛け片66を突設する。
【0021】
指掛け片66は横橋絡壁60の谷部62に突設する。
【0022】
前保護部52と後保護部53の上部どうしを帯状の上橋絡壁61で繋ぐ。上橋絡壁61の内面にストッパー部65を形成する。
【0023】
上橋絡壁61と左右の横橋絡壁60の間に通気窓67を開口する。
【0024】
図11に示すように、前保護部52と後保護部53のいずれか一方の外面に載置片73を突設する。本体ケース1のグリップ端と載置片73が載置面Fに接当して、横臥状態の本体ケース1を支持する。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、本体ケース1の内部に保持壁29L・29Rと、装填口31を備えた電池ケース26を設けるようにした。また、装填口31と正対する保持壁29L・29Rに、電池収容部28に装填した電池27の周面の一部を受入れる逃げ部32を形成するようにした。このように、電池ケース26の内奥に逃げ部32を形成すると、電池27を電池収容部28に装填した状態において、電池27の周面の一部が逃げ部32の逃げ空間S内に入り込むので、本体ケース1の内部において電池27および電池ケース26が占めるスペースを小さくでき、その分だけ本体ケース1をコンパクト化できる。
【0026】
逃げ部32を貫通穴で形成すると、逃げ部32が凹部として形成してある場合に比べて、逃げ空間Sの厚みT1を大きくして、電池27および電池ケース26が占めるスペースをさらに小さくできる。
【0027】
電池収容部28に装填した電池27の周面の一部が、保持壁29L・29Rの内面から逃げ部32の逃げ空間S内に入り込むようにすると、電池27の周面の2個所を逃げ空間Sの左右の周縁壁で受止めて、電池を安定した状態で保持できる。
【0028】
逃げ空間Sにおける電池27の入り込み量T2は、逃げ空間Sの厚みT1の半分以上に設定することが好ましい。電池27の入り込み量T2が、逃げ空間Sの厚みT1の半分未満であると、本体ケース1の内部において電池27および電池ケース26が占めるスペースを減少する効果を十分に発揮できない。より好ましくは、電池27の入り込み量T2が、逃げ空間Sの厚みT1と同じになるようにする。因みに、電池27の入り込み量T2が、逃げ空間Sの厚みT1を越えると、電池27の周面が電池ケース26の内奥壁から露出するので、露出部分を収容するためのスペースを別途確保する必要がある。
【0029】
装填口31の対向辺部に保持爪33・34を設けると、装填口31の外に露出する電池27の周面を保持爪33・34で押え保持して、電池27が電池ケース26から抜出すのを確実に規制できる。また、片方の辺部に設けた保持爪34の装填口31からの突出長さH1が、他方の辺部に設けた保持爪33の装填口31からの突出長さH2より大きく設定してあると、電池27を電池収容部28に容易に装填できる。詳しくは、突出長さH1が大きな保持爪34の側に電池27をあてがって仮組し、突出長さH2が小さい側の保持爪33に電池の周面をあてがって押込み操作することで、電池27を電池ケース26にパチンと嵌め込むことができる。
【0030】
保持端壁30のいずれか一方に弾性片35を設けるようにした電池ケース26によれば、電池収容部28に装填した電池27を弾性片35で対向する保持端壁30へ向かって押圧して、電池27が長手方向へ移動しようとするのを規制できる。従って、保持壁29L・29Rおよび保持爪33・34で電池27を保持固定することに加えて、弾性片35の弾性変形力によっても電池27を保持固定して、より強固に電池27を保持固定できる。
【0031】
矩形ケース状に構成した電池ケース26の内奥に逃げ部32を形成すると、電池ケース26の構造強度が低下して脆弱になりやすい。しかし、電池ケース26の各保持壁29L・29Rの外面両端に締結座37を張出し、これらの締結座37を締結体39で本体ケース1に固定すると、外力を受けた各保持壁29L・29Rがたわみ変形しようとするのを確実に防止して、電池ケース26の構造強度を増強し耐久性を向上できる。また、電池ケース26で本体ケース1のケース強度を補強して剛性を高めることができる。
【0032】
電池収容部28の装填口31と正対する本体ケース1の内面に、電池27の周面に密着する弾性体46を設ける電源部構造によれば、弾性変形した弾性体46で電池27を電池ケース26に押付けて、電池27の動きを規制できる。また、電池27と保持爪33・34の間に僅かな隙間があった場合でも、電池27ががたつくのを弾性体46で規制して、異音が発生するのを防止できる。
【0033】
逃げ部32の外開口側に一対の保持壁29L・29Rを橋絡する複数の補強リブ76を形成すると、逃げ部32を間にして隣接する保持壁29L・29Rを補強リブ76で補強して、電池ケース26の構造強度を増強できる。また、逃げ部32の逃げ空間Sに入り込んだ電池27の周面を補強リブ76で受止めることにより、電池27を適正な装填位置に位置決めできる。
【0034】
本発明に係る美容器具では、本体ケース1の肌処理ヘッド2の外面に保護キャップ51を着脱可能に装着できるようにした。このとき、綿マットM用のキャップ11を肌電極24に圧嵌装着した状態のままで、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に着脱できるようにした。こうした美容器具によれば、不使用時にキャップ11を肌電極24から取外して、本体ケース1とは別に収納保管する必要がないので、キャップ11がどこかに紛れ込み、あるいは紛失するのを確実に解消できる。
【0035】
肌電極24の周囲を覆う前保護部52と、一対のクリップ片64を備えた保護キャップ51によれば、クリップ片64を首部22に係合装着するだけで、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に簡単に装着できる。また、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態では、前保護部52の前カバー壁54と肌電極24が小さな隙間を介して対向するので、前カバー壁54と肌電極24が互いに擦れあうのを防止して、肌電極24が傷付くのを確実に防止できる。なお、クリップ片64を首部22に係合装着した状態においては、クリップ片64のクリップ爪70が首部22の下半周面に密着するようにすることが好ましい。
【0036】
前保護部52と後保護部53を備えた保護キャップ51において、前後の保護部52・53を一対の弾性変形可能な帯状の横橋絡壁60を介して連続し、さらに横橋絡壁60の内面にクリップ片64を設けるようにした。こうした保護キャップ51によれば、クリップ片64が弾性変形しながら首部22に係合するとき、横橋絡壁60を同時に弾性変形させて、係合負荷がクリップ片64に集中するのを防止して、早期に疲労破壊するのを解消できる。
【0037】
保護キャップ51の内面側へ凹む谷部62と、外面側へ突出する山部63で横橋絡壁60を構成すると、横橋絡壁60が平坦な帯状の壁で形成してある場合に比べて、弾性変形する壁部分の長さを大きくして、横橋絡壁60を弾性変形しやすい構造とすることができる。
【0038】
横橋絡壁60の外面に指掛け片66を突設した保護キャップ51によれば、左右の指掛け片66に親指と人差し指をあてがった状態で保護キャップ51を首部22に着脱することにより、保護キャップ51を容易にしかも適確に着脱できる。また、保護キャップ51を首部22に対して適確に着脱できるので、着脱時に前カバー壁54と肌電極24が互いに擦れあうのを防止して、肌電極24が傷付くのを防止できる。
【0039】
横橋絡壁60の谷部62に指掛け片66を突設すると、谷部62の構造を指掛け片66で補強して、横橋絡壁60が拡開方向へ弾性変形する際に谷部62が過度に変形するのを規制できる。また、クリップ爪70の近傍に指掛け片66が設けてあるので、指掛け片66に加わる押込み力や抜出し力を効果的にクリップ爪70に伝えて、程良いクリック感で保護キャップ51を肌処理ヘッド2に着脱できる。
【0040】
前保護部52と後保護部53を上橋絡壁61で繋ぎ、その内面にストッパー部65を形成すると、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態において、前保護部52と後保護部53をストッパー部65で位置決めできる。また、左右の横橋絡壁60と上橋絡壁61の3者で後保護部53を支持するので、後保護部53の構造強度を増強できる。
【0041】
上橋絡壁61と左右の横橋絡壁60の間に通気窓67を開口すると、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態において、通気窓67に臨む肌処理ヘッド2の表面を外部空間に臨ませることができるので、肌処理ヘッド2の表面に付着した美容用液などの乾燥を促進できる。
【0042】
前保護部52と後保護部53のいずれかに載置片73が突設してあると、本体ケース1のグリップ端と載置片73が載置面Fに接当する状態で美容器具を載置することにより、横臥姿勢にした美容器具をぐら付くことなく安定した状態で載置できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(実施例1)
図1ないし
図11は、本発明に係る美容器具(小型電気機器)の実施例1を示している。なお、本発明における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従うものとする。
【0045】
図2および
図3において美容器具は、グリップを兼ねる縦長の本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けた肌処理ヘッド2を備えている。肌処理ヘッド2は本体ケース1の前面上部に設けられる温熱ヘッド3と、本体ケース1の後面上部に膨出される冷熱ヘッド4を備えている。本体ケース1の前面の下部には卵形のスイッチパネル5が設けられて、その表面に電源投入用の電源ボタン部6と、運転モードを切換えるモードボタン部7と、印加電圧の強度を切換える切換えボタン部8とが設けてある。また、スイッチパネル5の上側のケース面には、運転モードの違いに応じて点灯される4個のモード表示灯(LED)9と、電流刺激の強度の違いに応じて点灯される3個の強度表示灯(LED)10が設けてある。本体ケース1は、前後に分割形成された前ケース1aと後ケース1bとで構成してあり、前後ケース1a・1bを後ケース1bの側からねじ込んだ3個のビスで締結して、縦長の中空ケース状に構成してある。
図3において、符号Mは綿マット、符号11は綿マットMを温熱ヘッド3に装着するためのリング状のキャップである。キャップ11の後開口縁には、後述するキャップ装着部23に圧嵌係合するための係合リブ11aが突設してある。
【0046】
本体ケース1の前面の端部にはヘッドケース13が突設されて、同ケース13の前端に温熱ヘッド3が固定してある。本体ケース1の後面上部には、冷熱ヘッド4がケース外面へ露出する状態で配置してある。また、本体ケース1の後面下部には、放熱板を兼ねる上下に長い卵形のグリップ電極14が露出させてある。本体ケース1の内部には、電源部15が配置され、その前面側に制御基板16が配置してある。温熱ヘッド3の内部にはヒーター17が、冷熱ヘッド4の内部には、ペルチェ素子18とヒートシンク19が配置してある。制御基板16には、ヒーター17、ペルチェ素子18などの作動状態を制御する制御回路が実装され、さらに、先の各ボタン部5・6・7に対応するスイッチ、および各表示灯9・10などが実装してある(
図5参照)。
【0047】
図3において温熱ヘッド3は、本体ケース1に固定したヘッドケース13の外開口を塞ぐ伝熱体21と、ヘッドケース13の内部に設けたヒーター17などで構成する。プラスチック成形品からなるヘッドケース13は、その突出基端に設けた丸筒状の首部22と、首部22の前端に張出し形成したキャップ装着部23を備えており、キャップ装着部23の前端に伝熱体21が固定してある。伝熱体21は肌電極24を兼ねており、チタン板材を素材とするキャップ状のプレス成形品からなる。肌電極24は先のグリップ電極14と協同して、人体を介して肌面に微弱なパルス電流を作用させ、イオン導入用またはイオン導出用の電流刺激を与える。
図7に示すように、キャップ11はキャップ装着部23に装着した状態で収納できる。
【0048】
図4において電源部15は、本体ケース1に固定した電池ケース26と、電池ケース26に装填される電池ユニット(電池)27で構成されており、肌電極24、グリップ電極14、ヒーター17、ペルチェ素子18、表示灯9・10に電力を供給し、これらの電装品を駆動する制御回路に電力を供給する。電池ケース26の内部には、電池ユニット27を収容する電池収容部28が設けてある。
図1および
図4に示すように、電池ケース26は左右一対の保持壁29L・29Rと、保持壁29L・29Rの上下両端(長手方向両端)に連続する一対の保持端壁30で矩形ケース状に構成されて、その後面に装填口31が開口してある。また、電池ケース26の内奥部分、つまり左右の保持壁29L・29Rの間には逃げ部32となる貫通穴が形成してある。装填口31の左右の対向辺部の上下には、電池ユニット27が電池収容部28から抜け出るのを規制する保持爪33・34が突設してある。このように、装填口31の対向辺部に保持爪33・34を設けると、装填口31の外に露出する電池ユニット27の周面を保持爪33・34で押え保持して、電池ユニット27が電池ケース26から抜出すのを確実に規制できる。なお、
図4は電池ケース26および前ケース1aを背面側から見るので、左右の関係は逆になる。
【0049】
図1に示すように、横断面が部分円弧状の保持壁29Lに設けた保持爪33は、保持壁29Lに連続する部分円弧状の突起として形成するが、横断面が屈折する保持壁29Rに設けた保持爪34は、L字状に屈折する突起として形成してある。また、後者の保持爪34の装填口31からの突出長さH1は、前者の保持爪33の装填口31からの突出長さH2より大きく設定してある。上側の保持端壁30の内面には、電池収容部28に装填した電池ユニット27を下側の保持端壁30へ向かって押圧する弾性片35が設けてあり、下側の保持端壁30の下隅には、電池ユニット27の出力リード45を導出するためのリード切欠36が形成してある。さらに、左右の保持壁29L・29Rの外面の上下両端には、締結座37が張出し形成してあり、これらの締結座37を前ケース1aの内面に設けたねじボス38にビス(締結体)39で締結することにより、電池ケース26を前ケース1aと一体化している。左右の保持壁29L・29Rの各保持爪33・34と対応する壁面には、放熱窓40が開口してある。
【0050】
図6に示すように電池ユニット27は、丸筒状の2次電池からなる電池本体42と、電池本体42の周面に密着配置した保護回路基板43をシュリンクフィルム44で被覆して構成してあり、保護回路基板43から出力リード45が導出してある。保護回路基板43は、過充電、過電圧、過放電が起こった場合に、同基板に実装されたICおよびFETからなるスイッチ手段を作動させて電源供給ラインを遮断する。電池ユニット27は、予め電池収容部28に装填されて、先に説明した要領で前ケース1aと一体化してあり、この状態の前ケース1aに後ケース1bを締結固定することにより、電池ユニット27が本体ケース1内に封入される。
【0051】
電池収容部28に装填した電池ユニット27の周面は、左右一対の保持壁29L・29Rで受止められ、さらに装填口31の外に露出する電池ユニット27の周面を、保持爪33および保持爪34で押え保持して、電池ユニット27が電池収容部28から抜け出るのを規制している。同時に、弾性変形した弾性片35で電池ユニット27を下側の保持端壁30へ向かって押圧して、電池ユニット27が長手方向へ移動しようとするのを規制している。さらに、装填口31と正対する後ケース1bの内面に、電池ユニット27の周面に密着するゴム製の弾性体46を設けて、後ケース1bを前ケース1aに締結固定した状態において、弾性変形した弾性体46で電池ユニット27を電池ケース26に押付けている。
図5に示すように、弾性体46は上下に長いゴム条材からなる。このように、後ケース1bの内面に弾性体46を設けると、弾性変形した弾性体46で電池27を電池ケース26に押付けて、電池27の動きを規制できる。また、電池27と保持爪33・34の間に僅かな隙間があった場合でも、電池27ががたつくのを弾性体46で規制して、異音が発生するのを防止できる。
【0052】
先に説明したように、保持爪34の装填口31からの突出長さH1は、保持爪33の装填口31からの突出長さH2より大きく設定してあるが、これは電池ユニット27を電池収容部28に装填しやすくするためである。詳しくは、電池ユニット27を装填する場合には、
図6に想像線で示すように保護回路基板43の側を装填始端にして、保持爪34と保持壁29Rの間にあてがって、電池ユニット27を仮組する。この状態で、電池ユニット27の円弧周面を保持爪33に押付けて、保持爪33・34を弾性変形させながら電池収容部28に装填して、電池ユニット27を電池収容部28に装填する。換言すると、突出長さH1が大きな保持爪34の側に電池ユニット27をあてがって仮組し、突出長さH2が小さい側の保持爪33に電池ユニット27の周面をあてがって押し込み操作することで、電池ユニット27を電池ケース26にパチンと嵌め込むことができる。なお、保持爪34の突端および保持爪33の突端は、電池ケース25に装填した電池ユニット27の頂部(弾性体46に当たっている位置)より低い位置にある。これは、保持爪34の突端および保持爪33の突端が、電池ユニット27の頂部より高い位置にあると、電池ケース26および電池ユニット27が占める高さ空間が増え、コンパクト化できないからである。
【0053】
上記のように、電池ユニット27を電池収容部28に装填した状態では、電池ユニット27の周面の一部が、保持壁29L・29Rの内面から逃げ部32の逃げ空間S内に入り込んでいる。
図6に示すように、逃げ空間Sにおける電池ユニット27の入り込み量T2は、逃げ空間Sの厚みT1の半分以上であることが好ましい。因みに電池ユニット27の入り込み量T2が、逃げ空間Sの厚みT1の半分未満であると、本体ケース1の内部において電池27および電池ケース26が占めるスペースを減少する効果を十分に発揮できない。より好ましくは、
図6に示すように、電池27の入り込み量T2が、逃げ空間Sの厚みT1と同じにするとよく、その場合には電池ユニット27の円弧周面の下部が、逃げ部32の下開口面と面一になる。
【0054】
電池ケース26の内奥(前奥)に逃げ部32を形成すると、電池ユニット27を電池収容部28に装填した状態において、電池ユニット27の周面の一部が逃げ部32の逃げ空間S内に入り込むので、本体ケース1の内部において電池ユニット27および電池ケース26が占めるスペースを小さくして、その分だけ本体ケース1をコンパクト化できる。また、電池ユニット27を電池収容部28に装填した状態においては、電池ユニット27の周面の2個所が逃げ空間Sの左右の周縁壁で受止められるので、電池ユニット27を安定した状態で保持できる。
【0055】
矩形ケース状の電池ケース26の内奥(前奥)に逃げ部32を貫通穴として形成すると、電池ケース26の構造強度が低下して脆弱になりやすい。しかし、電池ケース26の各保持壁29L・29Rの外面両端に締結座37を張出し、これらの締結座37をビス39で本体ケース1に固定すると、外力を受けた各保持壁29L・29Rがたわみ変形しようとするのを確実に防止できる。従って、電池ケース26の構造強度を増強し耐久性を向上できるうえ、電池ケース26で本体ケース1のケース強度を補強して剛性を高めることができる。
【0056】
不使用状態における美容器具の温熱ヘッド3および冷熱ヘッド4を保護するために、肌処理ヘッド2の全体を覆う保護キャップ51を設けている。
図7および
図8に示すように、保護キャップ51は、温熱ヘッド3および肌電極24の前面および上面を覆う前保護部52と、本体ケース1の上部、および同ケース1の上部背面に設けた冷熱ヘッド4を覆う後保護部53を備えたヘルメット状のプラスチック成形品からなる。前保護部52は温熱ヘッド3および肌電極24の前面を覆う円形の前カバー壁54と、肌電極24およびキャップ装着部23の上半周面を覆う前すぼまりテーパー状の前支持壁55を備えている。また、後保護部53は、本体ケース1の上端周面を覆う後支持壁57と、冷熱ヘッド4の後面を覆う円形の後カバー壁58を備えている。
【0057】
前保護部52と後保護部53は、左右一対の弾性変形可能な帯状の横橋絡壁60と、両保護部52・53の上部どうしを繋ぐ帯状の上橋絡壁61を介して一体化してある。各橋絡壁60・61は、保護キャップ51の内面側へ凹む谷部62と、谷部62に連続して外面側へ突出する山部63でm字状に構成してあり、一対の横橋絡壁60の谷部62の内面にクリップ片64を設け、上橋絡壁61の谷部62の内面にストッパー部65を設けている。また、一対の横橋絡壁60の谷部62の下部外面には、保護キャップ51を着脱するための三角形状の指掛け片66が突設してある。横橋絡壁60と上橋絡壁61の間の前支持壁55および後支持壁57は、通気窓67としてくり抜かれている。このように、上橋絡壁61と左右の横橋絡壁60の間に通気窓67を開口すると、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態において、通気窓67に臨む肌処理ヘッド2の表面を外部空間に臨ませることができるので、肌処理ヘッド2の表面に付着した美容用液などの乾燥を促進できる。
【0058】
上記のように、谷部62と山部63で横橋絡壁60を構成すると、横橋絡壁60が平坦な帯状の壁で形成してある場合に比べて、弾性変形する壁部分の長さを大きくして、横橋絡壁60を弾性変形しやすい構造とすることができる。また、横橋絡壁60の外面に指掛け片66を突設するので、左右の指掛け片66に親指と人差し指をあてがった状態で保護キャップ51を首部22に着脱することにより、保護キャップ51を容易にしかも適確に着脱できる。また、保護キャップ51を首部22に対して適確に着脱できるので、着脱時に前カバー壁54と肌電極24が互いに擦れあうのを防止できる。とくに、谷部62に指掛け片66を突設する場合には、谷部62の構造を指掛け片66で補強して、横橋絡壁60が拡開方向へ弾性変形する際に谷部62が過度に変形するのを規制できる。また、クリップ爪70の近傍に指掛け片66が位置しているので、指掛け片66に加わる押込み力や抜出し力を効果的にクリップ爪70に伝えて、程良いクリック感で保護キャップ51を肌処理ヘッド2に着脱できる。
【0059】
図10に示すように、クリップ片64の内方の下部には、左右方向へ弾性変形できる部分円弧状のクリップ爪70が一体に設けてあり、クリップ爪70をヘッドケース13の首部22に圧嵌装着することにより、肌処理ヘッド2に装着した保護キャップ51を抜外れ不能に保持できる。この状態のクリップ爪70は、断面が円形の首部22の下半周面に密着して、自己の弾性変形力で保護キャップ51を下向きに引寄せている。保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着する場合には、綿マットを挟持するためのキャップ11をキャップ装着部23に装着したままであっても、問題なく装着することができる。
図7および
図9に示すように、前支持壁55の内面と肌電極24およびヘッドケース13は、充分な隙間を介して対向しているので、保護キャップ51の装着時はもちろん、装着した後においても、保護キャップ51がキャップ11と緩衝することはないからである。従って、不使用時にキャップ11を肌電極24から取外して、本体ケース1とは別に収納保管する必要がなく、キャップ11がどこかに紛れ込み、あるいは紛失するのを確実に解消できる。なお、前カバー壁54と肌電極24の隙間は、キャップ11の前後厚みより小さい(
図7参照)ので、たとえ、キャップ11がキャップ装着部23から脱落することがあったとしても、保護キャップ51の外へ抜け落ちることはない。
【0060】
ストッパー部65は、上橋絡壁61の谷部62の内面に突設したベース壁71と、ベース壁71の前面に突設した4個の規制リブ72を備えている。
図7および
図10に示すように、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態においては、ベース壁71および規制リブ72が首部22の上周面に接当して、下方移動が規制されている。また、ベース壁71と規制リブ72が、首部22に臨む前ケース1aの前壁と、キャップ装着部23の張出し基端で受止められて、前後移動が規制されている。つまり、クリップ片64を首部22に係合装着した状態においては、ストッパー部65がヘッドケース13と本体ケース1で前後動不能に係合保持されて、前保護部52の前カバー壁54が肌電極24と小さな隙間を介して対向している。従って、前カバー壁54と肌電極24が互いに擦れあうのを防止して、肌電極24が傷付くのを確実に防止できる。同様に、後カバー壁58は冷熱ヘッド4と小さな隙間を介して対向するので、冷熱ヘッド4が傷付くのを確実に防止できる。
【0061】
指掛け片66は、クリップ爪70が首部22に係脱するとき、谷部62に過度の変形応力が集中するのを規制している。また、クリップ爪70の近傍に指掛け片66が設けてあるので、指掛け片66に加わる押込み力や抜出し力を効果的にクリップ爪70に伝えて、程良いクリック感で保護キャップ51を肌処理ヘッド2に着脱できる。上橋絡壁61の内面にストッパー部65を形成すると、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着した状態において、前保護部52と後保護部53をストッパー部65で位置決めできる。また、左右の横橋絡壁60と上橋絡壁61の3者で後保護部53を支持して、後保護部53の構造強度を増強できる。また、クリップ片64を首部22に圧嵌係合した状態では、クリップ片64と横橋絡壁60の弾性でストッパー部65を首部22に密着させて、保護キャップ51ががたつくのを防止できる。さらに、肌処理ヘッド2に装着した保護キャップ51の保護機能を強化でき、さらに保護キャップ51の保護構造を好適化して構造強度を増強できる。
【0062】
美容器具は
図11に示すように、テーブルや化粧台などの載置面Fに横臥姿勢にして載置することがある。こうした場合に、美容器具を安定した状態で載置するために、後カバー壁58の下半部後面の左右にリブ状の載置片73を突設している。美容器具を載置面Fに載置した状態においては、載置片73の上端と、本体ケース1のグリップ電極14の下端付近のグリップ端が載置面Fに接当して、横臥状態の本体ケース1を安定した状態で支持している。
【0063】
美容器具は、電源ボタン部6をオン操作したのち、モードボタン部7を押込み操作するごとに第1から第4の運転モードに切換えられて、各運転モードに対応して各機器の作動状態を制御する。また、必要に応じて、微弱なパルス電流をグリップ電極14および肌電極24に対して出力し、あるいはその極性を切換える。美容器具の使用時には、必要に応じて化粧水などの美容用液が含浸された綿マットMを肌電極24の外面にあてがって、その周囲をキャップ装着部23に圧嵌装着されるキャップ11で固定した状態で使用する。
【0064】
第1運転モードでは、美容用液が含浸された綿マットMを肌電極24に装着して、顔肌のしわ、ひだ、毛穴などに入込んでいる微細な汚れを落とすイオン導出処理を行う。このとき、ヒーター17が駆動されて肌電極24を加熱し、肌電極24にプラス極性のパルス電流が供給される。第1運転モードを開始してから所定時間が経過すると、パルス電流の供給が停止されて第1運転モードを終了する。第2運転モードでは、第1運転モードと同様に、化粧水が含浸された綿マットMを肌電極24に装着して、イオン導入処理を行う。このとき、ヒーター17が駆動されて肌電極24を加熱し、肌電極24にマイナス極性のパルス電流が供給される。第2運転モードを開始してから所定時間が経過すると、パルス電流の供給が停止されて第2運転モードを終了する。第2運転モードでは、化粧水が含浸された綿マットMを使用せずに、粘性の高いジェル状の化粧水や、乳液などの美容用液を温熱ヘッド3に塗付して使用することもある。
【0065】
第3運転モードでは、化粧水が含浸された綿マットMを肌電極24に装着し、肌電極にプラス極性のパルス電流とマイナス極性のパルス電流を交互に供給して美容処理を行う。また、顔肌をシートマスクで覆った状態、あるいは乳液を顔肌に塗付した状態で美容処理を行う。第3運転モードを開始してから所定時間が経過すると、パルス電流の供給が停止されて第3運転モードを終了する。第4運転モードでは、冷熱ヘッド4をペルチェ素子18で冷却した状態で美容処理を行う。詳しくは、化粧用パフを使用するのと同様に、冷熱ヘッド4を顔肌にあて、あるいは顔肌から離す処理を顔肌の中心から周辺へ繰返し行って、顔肌を引締める。第4運転モードを開始してから所定時間が経過すると、ペルチェ素子18に対する駆動電流の供給が停止されて第4運転モードを終了する。
【0066】
以上のように、前保護部52と、一対のクリップ片64と、ストッパー部65を備えた保護キャップ51によれば、クリップ片64を首部22に係合装着した状態において、ストッパー部65をヘッドケース13と本体ケース1で前後動不能に係合保持できる。
【0067】
前後の保護部52・53を一対の弾性変形可能な帯状の横橋絡壁60を介して連続し、その内面にクリップ片64を設ける保護キャップ51によれば、クリップ片64が弾性変形しながら首部22に係合するとき、横橋絡壁60を同時に弾性変形させて、係合負荷がクリップ片64に集中するのを防止して、早期に疲労破壊するのを解消できる。また、クリップ片64を首部22に圧嵌係合した状態では、クリップ片64と横橋絡壁60の弾性でストッパー部65を首部22に密着させて、保護キャップ51ががたつくのを防止できる。
【0068】
図12および
図13は実施例2に係る電池ケース26を示す。そこでは、逃げ部32の外開口側に一対の保持壁29L・29Rを橋絡する複数の補強リブ76を設けて、保持壁29L・29Rを補強し、電池ケース26の構造強度を増強した。電池ユニット27を電池収容部28に装填した状態では、
図12に示すように、逃げ空間Sに入り込んだ電池ユニット27の周面が補強リブ76で受止められるので、電池ユニット27を適正な装填位置に位置決めできる。他は実施例1の電池ケース26と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図14は実施例3に係る電池ケース26を示す。そこでは、電池ケース26を前ケース1aと一体に形成して、本体ケース1において電池ケース26および電池27が占めるスペースをさらに小さくできるようにした。詳しくは、保持壁29L・29Rおよび保持爪33・34を前ケース1aと一体に形成した。また、前ケース1aの内面に凹部を形成し、この凹部が逃げ部32として機能するようにした。この実施例における電池27は、電池本体42と、その周面を被覆するシュリンクフィルム44で構成した。後ケース1bは前ケース1aに対して着脱自在に組付けられていて電池蓋を兼ねており、その内面に弾性体46が固定してある。このように、逃げ部32は凹部で形成してあってもよく、必ずしも貫通穴で形成する必要はない。
【0070】
上記の実施例1では、肌処理ヘッド2の背面に冷熱ヘッド4を設けたが、冷熱ヘッド4は省略してあってもよい。その場合の後保護部53は、後支持壁57および後カバー壁58が本体ケース1の上部外面に沿う形状に形成してあればよい。あるいは、後保護部53を省略して、前保護部52とクリップ片64と、ストッパー部65と、指掛け片66で保護キャップ51を構成してもよい。電池27は充電池である必要はなく、1次電池であってもよい。
【0071】
電池ケース26の締結座37はビス39で締結する以外に、前ケース1aに設けた溶着ピンで締結固定し、あるいはブラインドリベットで締結固定してもよい。必要があれば、載置片73は前保護部52の前面に設けてあってもよい。弾性片35は、下側の保持端壁30に設けてあってもよい。実施例1では、キャップ11をヘッドケース13のキャップ装着部23に係合装着したが、キャップ11は肌電極24に直接係合装着することができる。また、キャップ11のみを肌電極24に係合装着できない場合でも、綿マットMを肌電極24にあてがってキャップ11を圧入装着することにより、綿マットMとキャップ11を肌電極に固定できる場合がある。さらに、保護キャップ51を肌処理ヘッド2に装着することにより、肌電極に被せ付けただけのキャップ11を抜落ち不能に保持できる。請求項10において「キャップ11が肌電極24に着脱可能」とは、キャップ11が上記のいずれの状態であってもよいこととする。