(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671979
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】電源切換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/38 130
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-11393(P2016-11393)
(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公開番号】特開2017-135773(P2017-135773A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】川端 豪
【審査官】
赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−131423(JP,A)
【文献】
特開2015−220791(JP,A)
【文献】
特開2014−183716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源と発電された直流電力を交流電力に変換する電力調整手段との間に接続され、前記系統電源及び前記電力調整手段を接続した連系系統と、前記系統電源から前記電力調整手段を切断した自立運転とに、切換する切換手段と、
前記切換手段を外部指令に応じて切り換える切換制御手段とを、
有し、前記切換制御手段は、
動作を開始する動作電圧が異なる複数の素子を有する接点駆動手段を含み、前記複数の素子に対して電圧が変動する電源が設けられ、前記切換制御手段は、前記外部指令を受けても、前記電源の電圧が、前記複数の素子のうち動作電圧が高いものが動作可能な電圧になるまで前記接点駆動手段の制御を保留する電源切換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源切換装置において、前記接点駆動手段は、ラッチリレーである電源切換装置。
【請求項3】
動作させられると、その動作状態を維持する第1の被駆動手段と、
第1の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、前記第1の被駆動手段を動作させると共に、自己への電圧供給を保留させる第1の駆動手段と、
動作させられたとき、前記第1の駆動手段へ電圧供給可能に前記第1の駆動素子と接続された第2の被駆動手段と、
前記第1の動作電圧よりも低い第2の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、前記第2の被駆動手段を動作させる第2の駆動手段とを、
有し、
前記第1及び第2の駆動手段には、前記第2の動作電圧よりも低い電圧から前記第2の動作電圧を経て前記第1の動作電圧に向かって変化する電源からの電圧が、動作電圧として供給され、
前記電源の電圧が前記第1の動作電圧以上になるまで、前記第2の駆動手段への前記電源からの電圧供給を保留させる保留手段が設けられている
電源切換装置。
【請求項4】
請求項3記載の電源切換装置において、前記第1の駆動手段は、前記第1の動作電圧が供給されたとき前記第1の被駆動手段を動作させる駆動コイルと、この駆動コイルと直列に接続された閉じられている第1接点とを有し、前記第1の動作電圧が供給されたとき、前記第1接点が開放され、
前記第2の被駆動手段は、前記第1の駆動手段の前記第1接点と直列に接続された開放されている第2接点を有し、前記駆動コイルと前記第2接点と前記第1の接点とが直列に前記電源間に接続され、
前記第2の駆動手段は、前記第2の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、前記第2接点を閉じるリレー駆動コイルを有し、
前記保留手段は、前記第2の駆動手段の前記リレー駆動コイルと直列に前記電源間に接続された第3接点を有し、前記保留手段の前記第3接点は、前記電源の電圧が第1の動作電圧以上になるまで開放されている電源切換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4いずれか記載の電源切換装置において、前記電源が、自然エネルギー発電に基づく電源である電源切換装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の電源切換装置において、前記電源が、自然エネルギー発電に基づく電源であり、前記切換制御手段が内部基準を有し、前記切換制御手段は、前記電源の出力電圧が前記内部基準以上になるまで前記接点駆動手段の制御を保留する電源切換装置。
【請求項7】
請求項3または4記載の電源装置において、前記電源が、自然エネルギー発電に基づく電源であり、前記保留手段が、内部基準を有し、前記保留手段は、前記電源の出力電圧が前記内部基準以上になるまで前記第2駆動手段の制御を保留する電源切換装置。
【請求項8】
請求項1、6または7記載の電源切換装置において、前記電源が太陽電池である電源切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源切換装置に関し、例えば太陽電池のように電圧が変動しやすい電源に基づく交流電力の交流電力系統への切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池に基づく交流電力を交流電力系統に接続したり、切断したりする技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1の技術によれば、太陽電池は昇圧チョッパに接続され、昇圧チョッパはインバータ等を含むパワーコンディショナーに接続されている。このパワーコンディショナーの出力側と交流電力系統との間に、系統連系用のリレースイッチが設けられ、このリレースイッチは制御回路によって制御されている。
【0003】
特許文献1には、詳細には記載されていないが、リレースイッチとしては、省電力化の観点から
図2及び
図4に示すようなラッチリレーの主接点を使用することがある。
図2において、パワーコンディショナー4は、電磁接触器の主接点18を有し、第1の被駆動手段である主接点22、30を備えたリレースイッチ21も有し、インバータ16の出力側がリレースイッチ21とスコットトランス24を介して出力端子29と接続されている。これら主接点22、30は、夫々リレー回路33、34によって開閉駆動される。なお、インバータ16と電力系統6との間、およびインバータ16と出力端子29との間には、夫々図示しない電磁遮断器が介在し、異常時等にパワーコンディショナー4と、電力系統6や出力端子29とを必要に応じて適宜遮断するようにされているが、ここでは説明を割愛する。
【0004】
連系運転時には、電磁遮断器の主接点18と主接点22が閉じられ、主接点30が開放されており、インバータ16と電力系統6とが連系して出力端子29に出力が供給されている。このような状態において、例えば、各家庭で発電された電力が、出力端子29に接続された負荷の要求する電力よりも大きい場合、インバータ16から出力された余剰電力は、電力系統6に逆潮流される。ここで、停電等の系統異常時には、外部司令部10からインバータ16を電力系統6から切り離して自立運転を行うよう、指令信号が出力される。なお、外部司令部10は、発電電力が電力系統6の許容値を超えるような場合にも、系統保護のために、単独運転を指示することも考えられる。指令信号に応じて電磁遮断器の主接点18と主接点22が遮断される一方、自立運転用の主接点30が接続されて、インバータ16の出力が主接点30を介して出力端子29に出力されることにより、パワーコンディショナー4が電力系統6とは遮断された自立運転に切り換わる。このような切換に用いられるリレースイッチ21として、ラッチ式のリレー回路33、34が用いられることがある。
【0005】
図4に、ラッチ式のリレー回路33の一般的な構成を示し、同一構成のリレー回路34の説明は省略する。リレー回路33は、第1の被駆動手段である主接点22と、第2の接点、例えばリレー常開接点52no及びリレー常閉接点52ncからなる第2の被駆動手段52を有している。リレー常開接点52noとリレー常閉接点52ncは連動する。主接点22は、セット側にそれぞれ第1の駆動手段の一部をなす駆動素子、例えば駆動コイル22ccと第1の接点、例えば常閉接点22nc及び整流回路22crを備え、リセット側にそれぞれ第1の駆動手段の他の部分をなす駆動コイル22ocと常開接点22no及び整流回路22orを備えている。また、リレー回路33は、第2の駆動手段であるリレー駆動コイル46と、第3の接点、例えば常開接点56を備えており、太陽電池2に基づく電源36から電力供給されている。リレー駆動コイル46は、リレー常開接点52noとリレー常閉接点52ncとを開閉制御する。
【0006】
外部司令部10から連系運転の指令が与えられると、常開接点56が閉じられて、電源36から、リレー駆動コイル46に電圧が印加される。これによって、開かれていたリレー常開接点52noが閉じられ、閉じられていたリレー常閉接点52ncが開かれる。このとき、常閉接点22ncが既に閉じられているので、駆動コイル22ccに電源36から電圧が印加され、駆動コイル22ccに電流が流れて、主接点22を閉じると同時に、常閉接点22ncを開放し、かつ常閉接点22ncの開放に連動して常開接点22noを閉じる。このときリレー常閉接点52ncはリレー駆動コイル46によって開いているため、駆動コイル22ocには、電流が流れず、主接点22は、閉じたままである。このようにして主接点22が閉じられて、連系運転状態に切り換えられる。この連系運転状態での各接点の状態は、リレー常開接点52noが閉、常閉接点22ncが開、リレー常閉接点52ncが開、常開接点22noが閉のリセット待機状態であり、ラッチリレーであるので各接点はその状態を維持する。
【0007】
外部司令部10から自立運転の指令が与えられると、常開接点56が開放され、リレー駆動コイル46への電源36からの印加電圧がなくなり、リレー常開接点52noが開放され、これに連動してリレー常閉接点52ncが閉じられる。すると常開接点22noは既に閉じられているため、リセット側の駆動コイル22ocに電流が流れて、主接点22が開放されて自立運転状態となる。主接点22が開放されるとほぼ同時に、駆動コイル22ocによってそのとき閉じられていた常開接点22noが開放され、駆動コイル22ocには僅かな時間しか電流が流れない。また、常開接点22noの開放に連動して同時に常閉接点22ncが閉じられる。但し、リレー常開接点52noが開放されているので、駆動コイル22ccには電流が流れず、主接点22は開放された状態を維持する。このようにして各接点は元の状態に復帰し、ラッチリレーであるので各接点はその状態を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−15789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
駆動コイル22ccが常閉接点22ncを開放するために駆動コイル22ccに供給される必要のある第1の動作電圧V1と、駆動コイル46がリレー常開接点52noを閉じるためにリレー駆動コイル46に供給される必要のある電圧(第2の動作電圧V2)とが異なり、リレー駆動コイル46の第2の動作電圧V2が、駆動コイル22ccの第1の動作電圧V1よりも低い(V2<V1)ことがある。このような場合、太陽電池に基づく電源36が動作を開始した直後などの電圧が低く、安定していない間に、リレー回路制御部60が常開接点56を閉じると、電源36の電圧がリレー駆動コイル46の第2の動作電圧V2を超えているが、駆動コイル22ccの第1の動作電圧V1を超えていないことがある。この場合、リレー駆動コイル46による第2の動作電圧V2が、リレー常開接点52noを閉じても、駆動コイル22ccが常閉接点22ncを開放する第1の駆動電圧V1には到達していないことから、この常閉接点22ncが開放されず、つまり駆動コイル22ccの電流が遮断されず、駆動コイル22ccに電源36からの電圧が供給されたままになることがある。駆動コイル22ccは、短時間しか電流を流さないことが前提となっており、このように電流が流れ続けると、駆動コイル22ccが焼損するおそれがあるし、太陽電池の自立運転と、太陽電池と系統電源とが接続した連系系統とを切り換える場合であれば、その切換が正常に行えない。このようなことは、リレー回路34においても発生するし、リレーに限らず、駆動手段が被駆動手段を駆動する機器を複数使用し、駆動手段の動作電圧が異なる場合にも生じる。
【0010】
本発明は、所定の条件が満たされるまで、運転の切換を保留することができる電源切換装置を提供することを目的とする。また、他の目的は、以下の説明で明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の電源切換装置は、系統電源と、発電された直流電力を交流電力に変換する電力調整手段との間に接続され、前記系統電源及び前記電力調整手段が接続した連系系統と、前記系統電源から前記電力調整手段が切断された自立運転とに、切換する切換手段を有している。この切換手段を外部指令に応じて切換制御手段が切り換える。前記切換制御手段は、前記外部指令を受けたとき、予め定めた内部条件が満たされるまで前記切換手段の切換を保留する。
【0012】
このように構成された電源切換装置では、外部指令が与えられても、内部条件が満たされるまで、切換制御手段は、切換手段の切換を保留するので、焼損等の事故の発生を防止することができる。
【0013】
前記切換
制御手段は、動作を開始する動作電圧が異なる複数の素子を有する接点駆動手段
を含んでいる。前記複数の素子に対して、電圧が変動する電源が設けられている。前記切換制御手段は、前記外部指令を受けても、前記電源の電圧が、前記複数の素子のうち動作電圧が高いものが動作可能な電圧になるまで前記接点駆動手段の制御を保留する。
【0014】
このように構成すると、接点駆動手段の複数の素子のうち、動作電圧が高いものの動作電圧以上の電圧に電源の電圧がなるまで接点駆動手段の制御が保留されるので、接点駆動手段の複数の素子のうち動作電圧が高いものも低いものも動作せず、動作電圧が高い素子に、その動作電圧よりも低い電圧が連続して供給されることはない。従って、動作電圧が高い素子が破壊されることがない。
【0015】
接点駆動手段としては、ラッチリレーを使用することができる。この場合、ラッチリレーの駆動コイルが焼損することを防止できる。
【0016】
なお、電源は自然エネルギー発電に基づくもの、例えば太陽電池とすることができる。さらに、切換制御手段は、内部基準を有し、前記切換制御手段は、前記電源の出力電圧が前記内部基準以上になるまで前記接点駆動手段の制御を保留するものとすることもできる。
【0017】
本発明の別の態様の電源切換装置は、動作させられると、その動作状態を維持する第1の被駆動手段を有している。第1の駆動手段は、第1の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、前記第1の被駆動手段を動作させると共に、自己への電圧供給を保留させる。本別の態様の電源切換装置は、動作させられたとき、前記第1の駆動手段へ電圧供給可能に第1の駆動手段と接続された第2の被駆動手段も、有している。前記第2の被駆動手段は、第2の駆動手段に前記第1の動作電圧よりも低い第2の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、動作する。第1及び第2の駆動手段には、前記第2の動作電圧よりも低い電圧から前記第2の動作電圧を経て前記第1の動作電圧に向かって変化する電源からの電圧が、動作電圧として供給されている。前記電源の電圧が第1の動作電圧以上になるまで、前記第2の駆動手段への前記電源からの電圧供給を保留させる保留手段が設けられている。
【0018】
このように構成した電源切換装置では、保留手段を設けていないと、電源電圧が第2の動作電圧となると、第2の駆動手段が第2の被駆動手段を動作させて、第1の駆動手段に電圧が供給されるが、第1の動作電圧まで上昇した電圧でないので、第1の駆動手段は動作せず、第1の駆動手段に電圧が供給されたままとなり、第1の駆動手段の破壊が生じる可能性があるが、保留手段を設けているので、電源電圧が第2の動作電圧に等しい電圧になっても、第2の駆動手段は動作せず、第1の動作電圧まで電源の電圧が上昇すると、第2の駆動手段が動作し、第1の駆動手段が動作するので、第1の駆動手段に継続的に低い電圧が供給されることが無く、第1の駆動手段に破壊が生じることはない。
【0019】
前記第1の駆動手段は、前記第1の動作電圧が供給されたとき前記第1の被駆動手段を動作させる駆動
コイルと、この駆動
コイルと直列に接続された第1接点とを有し、前記第1の動作電圧が供給されたとき、閉じられている前記第1接点が開放されるものとすることができる。この場合、前記第2の被駆動手段は、前記第1の駆動
コイルの前記第1接点と直列に接続された第2接点を有し、前記駆動
コイルと前記第1接点と前記第2接点とが直列に前記電源間に接続されている。前記第2の駆動手段は、
前記第2の動作電圧以上の電圧が供給されたとき、開放されている前記第2接点を閉じる
リレー駆動
コイルを有している。前記保留手段は、前記第2の駆動手段の
前記リレー駆動
コイルと直列に前記電源間に接続された第3接点を有し、前記保留手段の前記第3接点は、前記電源の電圧が第2の動作電圧以上になるまで開放されている。
【0020】
本別の態様において、前記電源が、自然エネルギー発電に基づく電源、例えば太陽電池とすることもできる。さらに、前記保留手段が、
内部基準を有し、前記電源の出力電圧が前記内部基準以上になるまで前記第2駆動手段の制御を保留するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の一態様による電源切換装置によれば、所定の条件が満たされるまで電圧供給を保留させることができ、連系系統と自立運転との切換のミスを防止することができる。また、本発明の別の態様による電源切換装置によれば、電圧が変化する電源によって動作する動作電圧の異なる2つの駆動手段を使用している場合でも、動作電圧の高い駆動手段に連続的に電圧が供給された状態が発生することを阻止して、駆動手段が破壊することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の1実施形態の電源切換装置を実施した電源装置のブロック図である。
【
図2】
図1に示すパワーコンディショナーのブロック図である。
【
図3】
図2に示すリレー制御部のブロック図である。
【
図4】
図3に示すリレー回路の詳細なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の1実施形態の電源切換装置を実施した電源装置は、
図1に示すように、発電装置、例えば太陽電池2によって発電した直流電力を、電力調整手段、例えばパワーコンディショナー4と系統電源6とを接続した連系運転して出力端子29に交流電力を供給したり、パワーコンディショナー4の余剰電力を系統電源6に逆潮流したり、或いは系統電源6からパワーコンディショナー4を切断して、パワーコンディショナー4が自立運転して出力端子29に交流電力を供給したり、充放電手段、例えば蓄電池8にパワーコンディショナー4から充電したり、蓄電池8からの直流電力を自然エネルギー発電に基づく電源、例えば太陽電池2からの直流電力とともに、或いは蓄電池8からの直流電力のみを交流電力に変換して、出力端子29に供給したりするものである。これら連系運転、自立運転、充放電は、外部指令部10からの外部指令が通信線12を介してパワーコンディショナー4に与えられることによって行われる。蓄電池8から外部指令部10への通信線12は、蓄電池8における電圧等を外部指令部10に供給するためのものである。なお、
図1に符号14で示すのは、太陽電池2とパワーコンディショナー4との間、パワーコンディショナー4と蓄電池8との間、パワーコンディショナー4と系統電源6との間及びパワーコンディショナー4と出力端子との間の電力線である。
【0024】
パワーコンディショナー4は、背景技術の説明でも引用した
図2に示すように、パワーコンディショナー4の主要部をなすインバータ16を有し、これが太陽電池2からの直流電力を交流電力に変換する。このインバータ16の出力側は、パワーコンディショナー4内の電磁接触器の主接点18を介して系統電源6に接続され、さらにインバータ16の出力側は、主接点18、リレースイッチ21の主接点22及びスコットトランス24を介して、パワーコンディショナー4の出力側、例えば出力端子29に接続されている。また、インバータ16の出力側は、リレースイッチ21の主接点30及びスコットトランス24を介して出力端子29に接続されている。リレースイッチ21はラッチ式のものである。なお、インバータ16と電力系統6との間、およびインバータ16と出力端子29との間には、背景技術の項で説明したように、夫々図示しない電磁遮断器が介在し、異常時等にパワーコンディショナー4と、電力系統6や出力端子29とを必要に応じて適宜遮断するようにされているが、ここでは説明を割愛する。
【0025】
系統電源6からの交流電力のみを出力端子29に供給するときには、主接点18が開かれ、主接点22が閉じられる。系統電源6からの交流電力とインバータ16からの交流電力とを出力端子29に供給する連係運転の場合には、主接点18を閉じ、主接点22を閉じる。このとき、主接点30は開放されている。一方、インバータ16からの交流電力のみを出力端子29に供給する自立運転の時には、主接点30が閉じられ、主接点18、22は開放される。このような主接点18、22、30の制御は、外部指令部10からの指示に従ってリレー制御部32が行う。
【0026】
リレースイッチ21の主接点22は、
図3に示すリレー回路33によって駆動され、リレースイッチ21の主接点30は、リレー回路34によって駆動される。図示していないが、主接点18に対するリレー回路も設けられているが、主接点18は、図示しない駆動コイルに電圧が供給されている間、閉じられるものであり、その制御は本発明の要旨には無関係であるので、その説明は省略する。
【0027】
リレー回路33、34には、太陽電池2からの直流電力を基に電源36が生成する直流電力が供給される。リレー回路33、34は、背景技術の項で述べたように、いずれも同一の構成であり、背景技術の項で参照した
図4にその一方、例えばリレー回路33の詳細を示す。
【0028】
リレー回路33は、主接点22を閉じる(セットする)ための駆動コイル22ccと、主接点22を開く(リセットする)ための駆動コイル22ocとを有している。駆動コイル22ccは、整流回路22crの出力側に接続され、整流回路22crの入力側は、常閉接点22ncと直列に接続されている。この常閉接点22ncは、駆動コイル22ccに所定の動作電圧が印加されたときに、開放されるものである。整流回路22crと常閉接点22ncとは、リレー常開接点52noと直列に電源36間に接続されている。
【0029】
同様に、駆動コイル22ocは、整流回路22orの出力側に接続され、整流回路22orの入力側は常開接点22noと直列に接続され、常開接点22noは、閉じられていた状態で駆動コイル22ocに所定の電圧が印加されたとき、開放される。この整流回路22orと常開接点22noとは、リレー常閉接点52ncと直列に電源36間に接続されている。なお、常開接点22noと上述した常閉接点22ncとは連動するように構成され、常閉接点22ncが開放されたとき、常開接点22noが閉じられ、閉じられていた常開接点22noが開放されたとき、開かれている常閉接点22ncが閉じられる。同様に、リレー常開接点52no、リレー常閉接点52ncも連動して切り換えられるように構成され、リレー常開接点52noが閉じられたとき、リレー常閉接点52ncは開かれる。開かれているリレー常閉接点52ncが閉じられたとき、閉じられていたリレー常開接点52noは開かれる。
【0030】
リレー常開接点52noは、リレー駆動コイル46に所定の動作電圧が印加されたとき、閉じられる。これが閉じられたことにより、駆動コイル22ccに常閉接点22nc、リレー常開接点52no、整流回路22crを介して電圧が印加され、主接点22が閉じられ(セットされ)ると伴に、駆動コイル22ccの作用により常閉接点22ncが開かれ、駆動コイル22ccへの電圧供給が保留される。主接点22を持つリレースイッチ21はラッチ式のものであるので、駆動コイル22ccへの電圧供給が保留されても、主接点22は閉じられた状態を維持する。また、常閉接点22ncが開かれたことによって常開接点22noが閉じられ、また、常閉接点22ncが開かれたことに連動して常開接点22noが閉じられ、その状態が維持される。
【0031】
リレー常開接点52noを開閉するリレー駆動コイル46は、常開接点56と直列に電源36間に接続され、常開接点56は、
図3に示すリレー回路制御部60からの指令に基づいて開閉される。
【0032】
連系運転する場合、外部指令部10は、常開接点56を閉じる指令を常開接点56に与える。これによって、常開接点56が閉じられると、リレー駆動コイル46に電源36から電圧が印加され、リレー常開接点52noが閉じられ、リレー常閉接点52ncが開かれる。リレー常開接点52noが閉じられたことにより、既に常閉接点22ncが閉じられているので、駆動コイル22ccに電圧が印加され、駆動コイル22ccは主接点22を閉じると共に、常閉接点22ncを開放し、常閉接点22ncの開放に連動して常開接点22noを閉じる。従って、駆動コイル22ccには僅かな時間しか電流が流れず、消費電力を削減した状態で主接点22を閉じることができる。一方、連系運転状態では常開接点22noは閉じられているが、リレー常閉接点52ncが開放されているので、駆動コイル22ocには電流が流れず、主接点22は閉じられたままとなる。このようにして、主接点22は閉じられ、常閉接点22ncが開放され、リレー常開接点52noが閉じられ、常開接点22noが閉じられ、リレー常閉接点52ncが開かれている。
【0033】
この状態において、主接点22を開放して、自立運転とする場合、外部指令部10は、常開接点56に指示を与えて、これを開放する。これによって、リレー駆動コイル46への電圧の供給が中止され、開かれていたリレー常閉接点52ncが閉じられ、リレー常開接点52noが開かれる。リレー常閉接点52ncが閉じられたとき、常開接点22noが閉じられているので、駆動コイル22ocに電流が流れ、主接点22が開かれる(リセットされる)と共に、駆動コイル22ocの作用により閉じられていた常開接点22noが開かれ、これに連動して常閉接点22ncが閉じられる。このときリレー常開接点52noは開かれているので、駆動コイル22ccに電流が流れることはない。この連系運転から自立運転への切り換えの場合も、主接点22を開くために駆動コイル22ocには短時間しか電流が流れないので消費される電力を削減できる。
【0034】
ところで、リレー駆動コイル46がリレー常開接点52noを閉じるために、リレー駆動コイル46に供給される必要のある動作電圧、例えば第2の動作電圧V2と、駆動コイル22ccが主接点22を閉じ、かつ常閉接点22ncを開くために、駆動コイル22ccに供給される必要のある動作電圧、例えば第1の動作電圧V1を比較すると、リレー駆動コイル46の動作電圧V2が低く、駆動コイル22ccの動作電圧V1が高い(V2<V1)。また、これらに対する電源36は、太陽電池2の電力に基づいて動作しているので、電源36の電圧は、例えば天候の影響を受けて不安定であり、朝方などには、太陽電池2の電圧がまだ所定値まで上昇しておらず、リレー駆動コイル46および駆動コイル22cc両方が正常に動作するために必要な第1の電圧V1以上の電圧に上昇していないことがある。このようなときに、外部指令部10から主接点22を閉じるように指示があると、電源36の電圧は第2の電圧V2以上であればリレー駆動コイル46が動作して、リレー常開接点52noが閉じられて、駆動コイル22ccに電圧が供給され、電流が流れるが、電源36の電圧が第1の電圧V1には達していないため主接点22が閉じられず、常閉接点22ncも閉じられたままになることがある。この場合、駆動コイル22ccに電流が供給されたままになり、駆動コイル22ccが焼損するおそれがある。同様なことが、主接点30を駆動するリレー回路34の内部におけるリレー駆動コイル46と駆動コイル22ccにそれぞれ対応するものにおいて、起こる可能性がある。
【0035】
そこで、
図3に示すように、電源36には、動作開始電圧設定部62が設けられており、動作開始電圧Vaを設定している。この動作開始電圧Vaは、電源36を駆動開始するのに必要な、太陽電池2の出力電圧値である。このように動作開始電圧Vaを設定することで、太陽電池2の発電量が少なく、出力電圧が低い間は、不必要に電源36を駆動することはない。また、後述するように、太陽電池2の出力電圧はリレー制御部32でも監視されており、電源36からの供給される電圧が、リレー回路33、34が夫々備えているリレー駆動コイルと駆動コイル、リレー回路33でいえば、リレー駆動コイル46と駆動コイル22ccとの両方が正常に動作し、リレー駆動コイル46と駆動コイル22ccとの両方が正常に動作するための電圧になるまで、電源36からリレー回路33、34に電圧を供給しないようにすることができる。夜間には、主接点18、30が開いて主接点22が閉じた状態になっており、系統電源6から出力端子29に交流電力を供給しているが、朝方の運転開始時などで、太陽電池2から電源36に供給される電圧が低かったり、太陽電池2からの出力電圧が動作開始電圧Va付近で上下動する不安定な状態の間に、外部司令部10からリレースイッチ21の主接点22を閉じて連系運転するように外部指令に応じて、主接点22を閉じてしまうと、上述したような焼損事故が起こる可能性がある。したがって、これを回避するために、動作開始電圧設定部62により、太陽電池2の出力電圧を監視し、これが動作開始電圧Vaに達するまでは、外部司令部10からの指令を保留するようにしている。電源36が始動してリレー回路33、34に供給を開始する、太陽電池2から供給される動作開始電圧Vaは、動作開始電圧設定部62に設けられた調整手段、例えば可変抵抗64によって調整することができる。なお、本例では夜間にはインバータ16が動作しない例を示したが、電池を備えて夜間でも主接点18を閉じて、インバータを駆動することも可能である。
【0036】
また、
図2に示す主接点22を閉じた状態から開いた状態とし、主接点30を開いた状態から閉じた状態として、連系運転から自立運転に切換るように、外部指令部10からリレー制御部32に指示が与えられる場合や、夜間の主接点18、30が開いた状態から、系統電源6の停電等の異常に基づき、自立運転に切換るように外部司令部10からリレー制御部32に指示が与えられる場合、電源36がリレー回路33、34に夫々備えられているリレー駆動コイルと駆動コイル、リレー回路33でいえばリレー駆動コイル46、駆動コイル22ccの両方が正常に動作するのに必要な電圧、即ちリレー回路33、34が正常に動作できる電圧よりも低い場合、上述したようなことが生じる可能性がある。そこで、太陽電池2の出力電圧が、電源36からリレー回路33、34を動作させることができる電圧を供給可能なだけ上昇しているかを判断するために、リレー制御部32の内部基準である基準電圧Vrefを太陽電池2が発生しているという条件を満たした後でなければ、リレー制御部32がリレー回路33、34を動作制御せず、主接点22を閉じた状態から開いた状態とし、主接点30を開いた状態から閉じた状態に切換しないように構成されている。なお、この基準電圧Vrefは、電源36が駆動開始される駆動開始電圧Vaより高く、電源36がリレー回路33、34を確実に正常に動作させるのに必要な電圧よりも高く設定されている。これは、朝方などは太陽電池2の出力電圧が変動しているので、電源36からの出力電圧が、短時間だけは十分上昇するが、すぐにこれを下回ってしまうような不安定な期間があり、この間はリレー回路33、34を駆動しないようにして、太陽電池2の出力電圧が十分高くなり、電源36の出力電圧がリレー回路33、34を確実に駆動できる状態になってから主接点22、30を切換るためである。本例では、リレー制御部32の基準電圧Vrefを、電源36が始動されるの動作開始電圧Vaよりも高く(Va<Vref)設定しているが、動作開始電圧Vaが十分に高ければ、基準電圧Vrefと動作開始電圧Vaと同じ電圧値にすることも可能である。これによって、主接点22、30の切換は正常に行うことができるし、かつインバータ16の出力は、自立運転するのに適したものとなっている。
【0037】
具体的には、
図3に示すように、リレー制御部32内に、太陽電池2の電圧を検出する電圧検出部66を設け、この電圧検出部66からの検出出力を比較部68において基準電圧源70からの基準電圧Vrefと比較し、リレー回路制御部60が、電圧検出部66からの検出出力が基準電圧Vrefをこえていると判断したとき、リレー回路制御部60がリレー回路33、34の動作を可能に制御する。リレー回路制御部60は、電圧検出部66からの検出出力が基準電圧Vrefを超えたと判断するまでは、外部指令部10から、例えば連系運転から自立運転への切換指示が与えられていても、その指示を保留または停止して、リレー回路33、34を動作制御せず、電圧検出部66からの検出出力が基準電圧Vrefをこえていることを表す比較部68の出力があって初めて、連系運転から自立運転への切換をリレー回路33、34に指示する。
【0038】
以上のように、この実施形態の電源装置では、朝方などの電源投入時の太陽電池2の電圧が低い、または変動している不安定なときに、系統電源6を出力端子29に接続するために電磁接触器の主接点22を閉じるように外部指令部10から指令があっても、太陽電池2の出力電圧が、電源36を駆動開始させる動作開始電圧Vaに達していない間はリレー回路33、34に電圧が供給されないようにでき、リレー回路33、34が正常に動作する電圧である基準電圧Vref以上あるいは超えて初めて主接点22を閉じることができる。また、電磁接触器の主接点18、22が閉じられ、主接点30が開かれて、連系運転が行われている状態から、主接点18、22を開いて、主接点30を閉じて、自立運転に切り換える指示が外部指令部10から与えられても、電源36の出力電圧が基準電圧Vrefに達したときに、リレー回路制御部60がリレー回路33、34を動作制御し、主接点22、30を切換えるので、リレー33、34が確実に切換られて駆動コイル22ccが焼損等せず、リレー回路33、34の事故が発生することがない。そして電源装置の連系運転や自立運転を、確実に正常に切換ることができる。
【0039】
なお、インバータ16が請求項1で言う電力調整手段の一例であり、主接点22、30は、請求項1で言う切換手段であり、リレー制御部32及びリレー回路33、34が、請求項1で言う切換制御手段である。また、駆動コイル22cc、リレー駆動コイル46が、請求項2で言う動作電圧が異なる複数の素子の一例であり、リレー回路33、34が請求項2で言う接点駆動手段の一例である。主接点22は請求項4で言う第1の被駆動手段の一例である。リレー制御部32は、請求項1で言う切換制御手段の一例である。リレー回路33、34が、請求項2で言う接点駆動手段の一例である。また、主接点22、30が請求項4で言う第1の被駆動手段の一例であり、駆動コイル22cc及び常閉接点22ncが第1の駆動手段の一例であり、リレー常開接点52noが第2の被駆動手段の一例であり、リレー駆動コイル46が第2の駆動手段の一例であり、常開接点56及びリレー制御部32が保留手段の一例である。また、駆動コイル22ccが請求項5で言う第1の被駆動手段を動作させる駆動素子の一例であり、常閉接点22ncが請求項5で言う第1接点の一例であり、リレー常開接点52noが請求項5で言う第2接点の一例であり、リレー駆動コイル46が請求項5で言う第2接点を閉じる駆動素子の一例であり、常開接点56が請求項5で言う第3接点の一例である。
【0040】
上記の実施形態では、太陽電池2を使用したが、これに限ったものではなく、出力電圧が変動するような電源を使用することもできる。上記の実施形態では、内部基準として第1の動作電圧(リレー回路33,34が正常に動作する電圧Vref)以上の電圧である基準電圧Vrefを使用したが、太陽電池2の出力電圧が電源36を始動させる駆動開始電圧Vaを、第1の動作電圧V1以上にしておけば、第1の動作電圧V1として動作開始電圧Vaを内部基準に使用することもできる。
【符号の説明】
【0041】
6 系統電源
16 インバータ(電力調整手段)
22 30 電磁接触器の主接点(切換手段)
32 リレー制御部(切換制御手段)