【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人地盤工学会関東支部が、平成27年10月9日に発行した第12回地盤工学会関東支部研究発表会DVD−ROM 日本科学未来館にて、平成27年10月9日に開催した第12回地盤工学会関東支部研究発表会
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
次に固結改良体を造成する位置である造成目標位置を求めるための造成目標位置演算データを記憶した演算処理手段を備え、演算処理手段において造成目標位置演算データにより造成目標位置を自動的に演算して求めることを特徴とする請求項3記載の既設構造物直下における地盤改良方法。
既設構造物直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体を集中的に造成するとき、地盤中に造成する固結改良体周辺の動態観測を行い、動態観測の結果に基づきながら地盤中に固結改良体を造成することを特徴とする請求項5記載の既設構造物直下における地盤改良方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の既設構造物直下における地盤改良方法にあっては、既設構造物K直下の地盤を改良する際、既設構造物K直下の地盤中に固結改良体Tcを造成するが、このとき、
図23において斜線を付して示すように、既設構造物K直下以外の地盤中にも固結改良体Tcが造成され、即ち、既設構造物K直下の地盤以外の不必要な場所の地盤も改良することから、セメントミルクなどの硬化材を大量に使用するようになる。これにより、地盤改良工事の工費の大幅な高騰を招いたり、あるいは工期の長期化を招いたりするおそれがある。
【0005】
また、既設構造物K直下の地盤中に縦向き円柱状の固結改良体Tcを造成することから、この固結改良体Tcが固まるまでは地盤強度が大幅に低下した状態になり、このため、既設構造物K直下の地盤中に固結改良体Tcを造成するとき、上部の建物や構築物などの既設構造物Kが一部沈下するといった既設構造物Kの構造物変位が起こるおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、既設構造物直下の地盤を改良する際、既設構造物直下に左右両側から平行に並べた複数の壁状の固結改良体を造成することで、既設構造物直下以外の不必要な場所の地盤を改良するのをなくし、地盤改良工事の工費を安価にすると共に、その工期も短縮する既設構造物直下における地盤改良方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明は、建物や構築物などの既設構造物直下の地盤中に固結改良体を造成して上部の既設構造物を安定して支持できる強固な地盤へと地盤を改良する既設構造物直下における地盤改良方法
であって、施工機械にて管ロッドを地盤中の所定深度まで挿入し、挿入後、管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を横方向に噴射し、硬化材の噴射を管ロッドを引き抜きながら上方に向かって行うことにより、地盤中に壁状の固結改良体を造成
し、壁状の固結改良体の造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行うことにより、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成する
と共に、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に平行に並べて造成する複数の壁状の固結改良体において、隣り合う固結改良体の間に所定の間隙を空け、この既設構造物直下の左右一方側の地盤中に造成する複数の固結改良体と左右他方側の地盤中に造成する複数の固結改良体とが互いに横にずれるように配置する既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0008】
第二の発明は、
建物や構築物などの既設構造物直下の地盤中に固結改良体を造成して上部の既設構造物を安定して支持できる強固な地盤へと地盤を改良する既設構造物直下における地盤改良方法であって、施工機械にて管ロッドを地盤中の所定深度まで挿入し、挿入後、管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を横方向に噴射し、硬化材の噴射を管ロッドを引き抜きながら上方に向かって行うことにより、地盤中に壁状の固結改良体を造成し、壁状の固結改良体の造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行うことにより、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成すると共に、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に平行に並べて造成する複数の壁状の固結改良体において、隣り合う固結改良体の間に間隙を空け、間隔を空けて造成した固結改良体の養生期間経過後、各間隙それぞれに管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を噴射してここに壁状の固結改良体を造成することにより、既設構造物直下すべての地盤中に固結改良体を造成する既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0009】
第三の発明は、
建物や構築物などの既設構造物直下の地盤中に固結改良体を造成して上部の既設構造物を安定して支持できる強固な地盤へと地盤を改良する既設構造物直下における地盤改良方法であって、施工機械にて管ロッドを地盤中の所定深度まで挿入し、挿入後、管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を横方向に噴射し、硬化材の噴射を管ロッドを引き抜きながら上方に向かって行うことにより、地盤中に壁状の固結改良体を造成し、壁状の固結改良体の造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行うことにより、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成すると共に、地盤中に壁状の固結改良体を造成する施工機械は、自走式小型施工機とし、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に造成する固結改良体周辺の動態観測を行い、動態観測の結果に基づき次に固結改良体を造成する位置である造成目標位置を求め、求めた造成目標位置に自走式小型施工機を移動し、造成目標位置において自走式小型施工機にて壁状の固結改良体を造成する既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0010】
第四の発明は、
第三の発明において、次に固結改良体を造成する位置である造成目標位置を求めるための造成目標位置演算データを記憶した演算処理手段を備え、演算処理手段において造成目標位置演算データにより造成目標位置を自動的に演算して求める既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0011】
第五の発明は、
建物や構築物などの既設構造物直下の地盤中に固結改良体を造成して上部の既設構造物を安定して支持できる強固な地盤へと地盤を改良する既設構造物直下における地盤改良方法であって、施工機械にて管ロッドを地盤中の所定深度まで挿入し、挿入後、管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を横方向に噴射し、硬化材の噴射を管ロッドを引き抜きながら上方に向かって行うことにより、地盤中に壁状の固結改良体を造成し、壁状の固結改良体の造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行うことにより、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成すると共に、既設構造物の左右において不等沈下が生じる場合、既設構造物の沈下量が少ない既設構造物直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体を集中的に造成し、複数の固結改良体を地盤中に集中的に造成することにより、既設構造物の左右一方側を所定の深さまで沈下させる既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0012】
第六の発明は、
第五の発明において、既設構造物直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体を集中的に造成するとき、地盤中に造成する固結改良体周辺の動態観測を行い、動態観測の結果に基づきながら地盤中に固結改良体を造成する既設構造物直下における地盤改良方法である。
【0013】
第七の発明は、
第一乃至第六のいずれか一つの発明において、地盤中に壁状の固結改良体を造成するとき、地盤中に挿入した管ロッドをその軸を中心にして揺動しながら噴射ノズルから硬化材を横方向に噴射する既設構造物直下における地盤改良方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地盤中への壁状の固結改良体の造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行って、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成することで、既設構造物直下の地盤を、上部の既設構造物を安定して支持できる強固な地盤へと改良することができる。しかも、既設構造物直下の地盤を改良する際、壁状の固結改良体のほとんどを既設構造物直下の地盤中に造成することから、既設構造物直下以外の地盤中に固結改良体を造成することがない。これにより、必要な場所のみの地盤を改良することにより、硬化材を大量に使用することをなくし、地盤改良工事の工費を安価にできると共に、その工期も大幅に短縮できる。
【0017】
また、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に複数の固結改良体を造成するとき、この複数の固結改良体を所定の間隙を空けて平行に並べて造成することから、それぞれの固結改良体の両側には常に地盤が残った状態になり、この固結改良体の両側に残った地盤によって、地盤強度が大幅に低下することがない。これにより、上部の既設構造物が一部沈下するといった既設構造物の構造物変位がほとんど起こることがなく、極めて良好に固結改良体を造成することができる。
【0018】
既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に間隙を空けて複数の壁状の固結改良体を平行に並べて造成し、この造成した固結改良体の養生期間経過後、各間隙それぞれに管ロッドに設けた噴射ノズルから硬化材を噴射してここに壁状の固結改良体を造成することで、既設構造物直下すべての地盤中に隙間なく固結改良体を造成することができ、既設構造物直下の地盤をさらに強固な地盤へと改良することができる。これにより、既設構造物が重量のある構築物や建物などであっても、この既設構造物を安定して支持することができ、既設構造物の一部が沈下して既設構造物が傾くあるいはその一部が破損するといったことを確実に防止できる。
【0019】
造成目標位置を求めるための造成目標位置演算データを記憶した演算処理手段を備え、この演算処理手段において造成目標位置演算データにより造成目標位置を自動的に演算して求めることで、常に最適な固結改良体を造成する順番を求めて、これをオペレータに伝えることができる。これにより、固結改良体を造成して強固な地盤へと改良する地盤改良工事の作業を簡単かつ良好に行うことができ、その作業効率の向上を図ることができる。
【0020】
既設構造物の左右において不等沈下が生じる場合、既設構造物の沈下量が少ない既設構造物直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体を集中的に造成し、この複数の固結改良体を地盤中に集中的に造成することにより、既設構造物の左右一方側を所定の深さまで沈下させることで、既設構造物の左右における傾きを是正することができる。これにより、不等沈下によって傾いた既設構造物を正常な状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法において用いる装置の説明図である。
【
図2】管ロッドの先端に備えたヘッドの正面図である。
【
図3】管ロッドの先端に備えたヘッドの下面図である。
【
図4】管ロッドの先端に備えた別のヘッドの下面図である。
【
図5】(a)固結改良体の造成の工程図である。(b)固結改良体の造成の工程図である。(c)固結改良体の造成の工程図である。
【
図6】(d)固結改良体の造成の工程図である。(e)固結改良体の造成の工程図である。(f)固結改良体の造成の工程図である。
【
図7】地盤中に造成する壁状の固結改良体の説明図である。
【
図8】地盤中に造成する別の壁状の固結改良体の説明図である。
【
図9】(d)別の固結改良体の造成の工程図である。(e)別の固結改良体の造成の工程図である。(f)別の固結改良体の造成の工程図である。
【
図10】管ロッドを揺動しながら硬化材を噴射して固結改良体を造成する例を示す説明図である。
【
図11】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法において地盤中に造成する複数の固結改良体を正面から見た説明図である。
【
図12】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法において地盤中に造成する複数の固結改良体を上面から見た説明図である。
【
図13】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法において地盤中に造成する複数の固結改良体を斜めから見た説明図である。
【
図14】地盤中に造成する別の複数の固結改良体を上面から見た拡大説明図である。
【
図15】地盤中に造成する別の複数の固結改良体を上面から見た説明図である。
【
図16】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法において複数の固結改良体を造成する際の造成する順番を示す説明図である。
【
図17】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態において地盤中に造成する複数の固結改良体を上面から見た説明図である。
【
図18】(a)既設構造物の不等沈下の説明図である。(b)既設構造物の不等沈下の説明図である。
【
図19】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態の一工程を示す説明図である。
【
図20】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態の一工程を示す説明図である。
【
図21】本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態の一工程を示す説明図である。
【
図22】従来の地盤を改良する地盤改良方法の説明図である。
【
図23】従来の既設構造物直下の地盤中に造成する固結改良体を上面から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の実施形態について説明する。
この既設構造物直下における地盤改良方法において用いる装置について説明すると、
図1に示すように、地盤中に管ロッド2を所定深度まで挿入又は引き抜くための施工機械を備え、この施工機械は自走可能な小型の杭打ち機といった自走式小型施工機1である。ただし、施工機械はこの自走式小型施工機1に限定されるものではなく、地盤改良の施工深度等の改良規模に応じてボーリングマシンや他の大型施工機でも良い。
【0023】
そして、この自走式小型施工機1にあっては、マスト3を立設し、このマスト3に沿って管ロッド2を縦に向けて取り付けると共に、マスト3の上部に管ロッド2を地盤中に挿入したり引き抜いたりする昇降装置4と管ロッド2を回転させる回転装置5をそれぞれ設ける。管ロッド2はその内側を硬化材や圧縮空気等が通るようになる中空状の鋼管であり、その下端である先端に噴射ノズル24を設けたヘッド6を備える。
【0024】
また、自走式小型施工機1の周辺設備は、自走式小型施工機1に取り付けた管ロッド2に硬化材や圧縮空気を供給するための設備である。硬化材はセメントミルクである。ただし、硬化材はこれに限定されるものではなく、セメントミルクに各種の添加剤等を混ぜ合わせたものやその他のものでも良い。そして、圧縮空気を供給するための設備はコンプレッサー11であり、流量計12を介してコンプレッサー11から管ロッド2に圧縮空気を供給する。また、セメントミルクを供給する混合装置13を備え、この混合装置13において、セメントサイロ114からセメント原料を流入すると共に、水中ポンプ16を有する水槽15から水を流入し、これらを混合してセメントミルクを生成する。そして、生成したセメントミルクを流量計17を介して高圧ポンプ19を有する硬化材供給装置18に供給し、この硬化材供給装置18から管ロッド2にセメントミルクを供給する。なお、各装置には図示していないがそれぞれ発電機を備える。
【0025】
一方、管ロッドの下端である先端に備えたヘッドは、
図2、
図3に示すように、その先端側に複数のビット21を取り付けると共に、左右両側の横に突出する水平翼22を備え、この水平翼22の下部にもビット23を取り付ける。また、水平翼22には管ロッド2の内側と連通する噴射ノズル24を横方向に向けて設け、この噴射ノズル24は水平翼22の左右にそれぞれ、たとえば横に2個並べて配置し、この2個の噴射ノズル24は、同一方向に向けており、この2個の噴射ノズル24から硬化材であるセメントミルクを横方向に平行な状態で噴射する。なお、噴射ノズル24は、この横に2個並べて配置したものに限定されるものではなく、1個でも良いし、3個以上の複数個にしても良い。また、横に複数個並べて配置しているが、これを、縦に複数個並べて配置しても良いし、さらには、縦横両方向に複数個並べて配置しても良い。また、複数の噴射ノズル24を縦に並べて配置する場合、水平翼22を備えることなく、噴射ノズル24をヘッド6に直接設ける。
【0026】
また、ヘッド6に設ける噴射ノズル24は、2個又は複数個の噴射ノズル24を同一方向に向け、ここからセメントミルクを横方向に平行な状態で噴射するが、この代わりに、
図4に示すように、噴射ノズル24を水平翼の長手方向(左右方向)にわたって横にたとえば3個並べて配置し、この3個の噴射ノズル24は、中央に位置する噴射ノズル24を真っ直ぐ前方に向けると共に、その左右両側に位置する噴射ノズル24を僅かに中央側にずらすようにして前方に向けて、3個の噴射ノズル24から噴射したセメントミルクが噴射した先の一点で交差するような交差噴射にしても良い。
【0027】
また、前述のものは、管ロッド2の下端である先端にヘッド6を備え、このヘッド6に噴射ノズル24を設けているが、このヘッド6を備えることなく、管ロッド2のみの構造としても良く、この場合は管ロッド2に噴射ノズル24を直接設ける。
【0028】
次に、このような構成となる装置を用いて行う既設構造物直下における地盤改良方法について説明する。
【0029】
まず、地盤中に固結改良体Tを造成する方法としては、施工機械である自走式小型施工機1を所定の位置に設置し、
図5(a)に示すように、自走式小型施工機1に取り付けた管ロッド2を回転しなら地盤中に挿入して行く。このとき、
図5(b)に示すように、管ロッド2に備えたヘッド6にて地盤を掘削するが、この管ロッド2の挿入を補助するため、ヘッド6の噴射ノズル24から圧縮空気や水等を噴射しながら行う。そして、
図5(c)に示すように、管ロッド2を所定深度まで挿入した後、管ロッド2及びヘッド6の回転を停止する。それから、ヘッド6の噴射ノズル24から地盤中に硬化材であるセメントミルクを横方向に高速高圧で噴射し、このセメントミルクの噴射エネルギーで地盤を切削して噴射したセメントミルクと地盤とを混合攪拌し、これを管ロッド2を引き抜きながら上方に向かって行うことにより、地盤中に壁状の固結改良体Tを造成する。
【0030】
具体的には、管ロッド2を所定深度まで挿入した後、
図6(d)に示すように、管ロッド2に備えたヘッド6の噴射ノズル24を横方向に向けてから管ロッド2を回転することなく停止した状態又は管ロッド2をその軸を中心にして揺動しながら、管ロッド2に供給したセメントミルクと圧縮空気によって、ヘッドの噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に高速高圧で直線的に噴射し、このセメントミルクの噴射をたとえば数十秒間行って、セメントミルクの噴射エネルギーで地盤を切削して噴射したセメントミルクと地盤とを混合攪拌して、地盤中に固結改良体Tの一段目を造成する。なお、管ロッド2を揺動する場合、その揺動する角度としては4度から15度程度である。
【0031】
そして、管ロッド2を数センチから数十センチ引き抜いて上方に移動し、
図6(e)に示すように、その上方に移動した位置にてヘッド6の噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に高速高圧で直線的に噴射し、一段目と同様、固結改良体Tの二段目を造成する。さらに、これを繰り返し、固結改良体Tの三段目、四段目、五段目と順番に造成して、
図6(f)に示すように、所定の位置まで固結改良体Tを造成する。このように管ロッド2を引き抜いて上方に順次移動しながらセメントミルクを噴射することで、上方に向かって段階的に固結改良体Tを造成する。
【0032】
これにより、噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に噴射するとき、管ロッド2を回転することなく停止した状態で行うと、
図7に示すように、地盤中に平面視細長長方形の壁状の固結改良体Tが造成され、このような壁状の固結改良体Tを地盤中に造成して地盤を改良する。また、噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に噴射するとき、管ロッド2をその軸を中心にして揺動しながら行うと、
図8に示すように、地盤中に平面視細長扇形の壁状の固結改良体Tが造成され、このような壁状の固結改良体Tを地盤中に造成して地盤を改良する。そして、地盤中に壁状の固結改良体Tを造成した後、自走式小型施工機1にて管ロッド2を地盤から引き抜き、ここでの作業を完了する。
【0033】
なお、この壁状の固結改良体Tの地盤中への造成については、セメントミルクの地盤中への噴射を、管ロッド2を上方に移動することなく停止した状態で噴射した後、数センチから数十センチ引き抜いて上方に移動してから、再び停止した状態で噴射することで、上方に向かって段階的に固結改良体Tを造成するようにしているが、
図9(d)、(e)、(f)に示すように、このセメントミルクの地盤中への噴射を、管ロッド2を停止することなく上方に低速で移動しながら噴射することで、上方に向かって連続的に固結改良体Tを造成するようにしても良い。なお、このときも、管ロッド2を回転することなく停止した状態又は管ロッド2をその軸を中心にして揺動しながら、噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に噴射する。
【0034】
また、噴射ノズル24からセメントミルクを地盤中に噴射するときに管ロッド2をその軸を中心にして揺動(たとえば揺動する角度が4度から15度程度)しながら行う場合、前述した噴射ノズル24を横に3個並べて配置し、この3個の噴射ノズル24から噴射したセメントミルクが噴射した先の一点で交差するような交差噴射となるもの(
図4に示す)を用いれば、
図10に示すように、地盤中に極めて良好な平面視細長長方形の壁状の固結改良体Tを造成することができる。
【0035】
そして、このような方法によって地盤中に造成する壁状の固結改良体Tを、既設構造物直下の地盤中に造成する。これは、この壁状の固結改良体Tの造成を、既設構造物の左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行うことにより、既設構造物直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体Tを平行に並べて造成する。なお、この既設構造物としては、地下道、水路、貯留槽、通信線用地下管路として使用するボックスカルバートBといった構築物である。ただし、これに限定されるものではなく、貯蔵タンクなどの他の構築物でも良いし、さらには住宅や倉庫などの建物などの他のものでも良い。
【0036】
これについて具体的に述べると、
図11、12、13に示すように、既設構造物であるボックスカルバートBの左右一方側において、ボックスカルバートB直下の地盤中に複数の固結改良体Tを平行に並べて造成する。なお、ここでの左右とは、ボックスカルバートBの長さ方向である長手方向に対して直交する方向のボックスカルバートBの左右の幅方向である。そして、このとき、隣り合う固結改良体Tの間に間隙を空ける。この間隙は、所定の間隙であって、造成する固結改良体Tの幅と略同じ寸法にする。また、固結改良体Tの長手方向の長さ(噴射ノズル24から噴射したセメントミルクが到達する距離)は、ボックスカルバートBの左右の幅の略半分の長さで、ボックスカルバートBの左右一方側より左右中間部まで達する長さである。そして、この所定の間隙を空けて平行に並べた複数の固結改良体TをボックスカルバートBの左右一方側全体にわたって造成する。
【0037】
また、ボックスカルバートBの左右一方側の反対である左右他方側においても、ボックスカルバートB直下の地盤中に左右一方側に造成する複数の固結改良体Tと向かい合うように複数の固結改良体Tを平行に並べて造成する。そして、このときも、隣り合う固結改良体Tの間に所定の間隙を空けると共に、この左右他方側に造成する複数の固結改良体Tも、左右一方側に造成する複数の固結改良体Tと同様のものである。そして、この所定の間隙を空けて平行に並べた複数の固結改良体TをボックスカルバートBの左右他方側全体にわたって造成する。
【0038】
そして、このボックスカルバートB直下の左右一方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tと左右他方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tとが互いに横(
図12の中では縦方向)にずれるように配置する。これにより、ボックスカルバートB直下の地盤中には、左右一方側に造成する所定の間隙を空けて平行に並べた複数の固結改良体Tと左右他方側に造成する所定の間隙を空けて平行に並べた複数固結改良体Tとが互いに横にずれて重ならないように造成される。
【0039】
なお、このボックスカルバートB直下の左右一方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tと左右他方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tとにあっては、互いに横にずれて重ならないようにしているが、これを、
図14に示すように、少し重なるようにしても良い。
【0040】
また、ボックスカルバートB直下の左右一方側又は左右他方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tにおいて、隣り合う固結改良体Tの間に空ける間隙については、前述したものではすべて所定の間隙として略同じ寸法にしているが、これに限定されるものではなく、たとえば、
図15に示すように、ボックスカルバートBの中心部に造成する複数の固結改良体Tではその間隙を狭くすると共に、ボックスカルバートBの中心部より離れたところに造成する複数の固結改良体Tではその間隙を広くするといったように、隣り合う固結改良体Tの間に空ける間隙を必要に応じて異ならせるようにしても良い。
【0041】
このように、地盤中への壁状の固結改良体Tの造成を、既設構造物であるボックスカルバートBの左右一方側とその反対である左右他方側との左右両側から行って、ボックスカルバートB直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体Tを平行に並べて造成することで、ボックスカルバートB直下の地盤を、上部のボックスカルバートBを安定して支持できる強固な地盤へと改良することができる。また、このとき、ボックスカルバートB直下の左右一方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tと左右他方側の地盤中に造成する複数の固結改良体Tとが互いに横にずれるように配置することで、造成する固結改良体Tの先端を含む周囲に他の固結改良体Tが存在することはなく常に地盤が存在するようになる。これにより、たとえば、左右一方側に固結改良体Tを造成するとき、左右他方側に造成した固結改良体Tに悪影響を与えたりあるいは邪魔されたりすることがなく、固結改良体Tを良好に造成することができる。
【0042】
しかも、既設構造物であるボックスカルバートB直下の地盤を改良する際、壁状の固結改良体TのほとんどをボックスカルバートB直下の地盤中に造成することから、ボックスカルバートB直下以外の地盤中に固結改良体Tを造成することがない。これにより、必要な場所のみの地盤を改良し、不必要な場所の地盤を改良するのをなくすことにより、セメントミルクなどの硬化材を大量に使用することをなくし、地盤改良工事の工費を安価にできると共に、その工期も大幅に短縮できる。
【0043】
また、既設構造物であるボックスカルバートB直下の左右両側それぞれの地盤中に複数の固結改良体Tを造成するとき、この複数の固結改良体Tを所定の間隙を空けて平行に並べて造成することから、それぞれの固結改良体Tの両側には常に地盤が残った状態になり、この固結改良体Tの両側に残った地盤によって、地盤強度が大幅に低下することがない。これにより、上部のボックスカルバートBが一部沈下するといったボックスカルバートBの構造物変位がほとんど起こることがなく、極めて良好に固結改良体Tを造成することができる。
【0044】
次に、この既設構造物直下における地盤改良方法において、既設構造物であるボックスカルバートB直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体Tを平行に並べて造成する際の造成する順番について説明する。
【0045】
この固結改良体Tを造成する順番について、
図16に示す。なお、
図16中の丸で囲んだ番号は、その順番を示すものである。
【0046】
まず、既設構造物であるボックスカルバートBの左右一方側の両隅に順番に固結改良体Tを造成し、その後、ボックスカルバートBの左右他方側の両隅に順番に固結改良体Tを造成し、即ち、ボックスカルバートBの左右一方側と左右他方側の四隅に順番に固結改良体Tを造成する。それから、ボックスカルバートBの左右一方側の中央の位置に固結改良体Tを造成し、その後、ボックスカルバートBの左右他方側の中央近くの位置に固結改良体Tを造成する。そして、ボックスカルバートBの左右一方側の接近しない2ヶ所に固結改良体Tをそれぞれ造成し、その後、ボックスカルバートBの左右他方側の中央近くの位置に固結改良体Tを造成し、そして、その他の位置に固結改良体Tをそれぞれ造成する。このように、ボックスカルバートBの左右一方側と左右他方側において、前に造成した位置と出来るだけ離れた位置に次の固結改良体Tを造成することにより、まだ固まっていない養生中の固結改良体Tの近くに新たな固結改良体Tを造成しないようにする。なお、この固結改良体Tの造成については、造成する固結改良体Tの大きさなどによって変わるものの、通常、1日に4本から6本程度である。また、造成した固結改良体Tが固まって十分な強度を有するまでの養生期間としては、1日から3日程度の日数が必要である。
【0047】
また、前述のような順番で固結改良体Tを造成するとき、施工機械を自走式小型施工機1としていることから、次の固結改良体Tを造成する位置が離れた位置であっても、前の固結改良体Tを造成した位置から次の固結改良体Tを造成する位置まで自走式小型施工機1を容易にしかも短時間に移動することができる。なお、施工機械をボーリングマシンなどの大型施工機としたときは、その移動だけでも大幅に時間がかかることから、出来るだけ効率良く作業を行うため、近接した横隣などの位置に順次移動して固結改良体Tを造成し、即ち、養生中の固結改良体Tの近くに新たな固結改良体Tを造成することもあったが、施工機械を自走式小型施工機1とすることで、この自走式小型施工機1を容易にしかも短時間に移動することができ、これにより、養生中の固結改良体Tの近くに新たな固結改良体Tを造成することなく、次の固結改良体Tを造成する位置において固結改良体Tを素早く造成することができ、地盤改良工事の作業を効率良く行うことができる。
【0048】
また、この固結改良体Tを造成する順番にあっては、既設構造物であるボックスカルバートB直下に造成する固結改良体T周辺の動態観測を行い、この動態観測の結果に基づき次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を求め、この求めた造成目標位置に壁状の固結改良体Tを造成するようにしても良い。
【0049】
これについては、基本的に、前述したように、前に造成した位置と出来るだけ離れた位置に次の固結改良体Tを造成することにより、養生中の固結改良体Tの近くに新たな固結改良体Tを造成することがないようにするが、これと共に、造成する固結改良体T周辺の動態観測を行う。この動態観測とは、傾斜計による既設構造物の変位、沈下計による既設構造物の沈下量といったものなどをそれぞれ計測して構造物の挙動を把握すると共に、沈下計による地表面の沈下量、傾斜計を多段に設けた地中変位計による地盤中の変位、ひずみセンサーを複数設けた層別沈下計による各層の沈下量といったものなどをそれぞれ計測して地盤の挙動を把握するものである。
【0050】
そして、この動態観測にて構造物の挙動及び地盤の挙動を把握し、この動態観測の結果に基づき次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を求める。この求め方としては、動態観測にて把握した構造物の挙動及び地盤の挙動において大きな変化が現れたとき、たとえば、この大きな変化が影響しない離れた範囲の中で、自走式小型施工機1の移動する距離が短い場所を、次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置として求めるようにする。ただし、自走式小型施工機1を複数台使用して地盤改良工事を行う場合などにおいては、全体の作業効率を考慮して、大きな変化が影響しない離れた範囲の中で、自走式小型施工機1の移動する距離が長い他の場所であっても、ここを次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置として求めるようにしても良い。
【0051】
また、この動態観測にて構造物の挙動及び地盤の挙動を把握し、この動態観測の結果に基づき次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を求める際、現場技術者がそれまでの経験から動態観測の結果に基づき判断し、造成目標位置を求めても良いが、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである演算処理手段を備え、この演算処理手段において造成目標位置演算データにより造成目標位置を自動的に演算して求めるようにする。
【0052】
これは、演算処理手段において、次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を求めるための造成目標位置演算データを予め記憶し、この造成目標位置演算データは、現場での実験データや過去に行った地盤改良工事での各種のデータを、動態観測の結果である構造物の挙動及び地盤の挙動に応じて、これらのデータを組み合わせて最適な造成目標位置を求めるものである。
【0053】
そして、この演算処理手段において、予め記憶した造成目標位置演算データにより、次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を自動的に演算して求め、この演算処理手段において求めた造成目標位置を自走式小型施工機1に備えたディスプレーに表示する。それから、このディスプレーに表示された造成目標位置を、自走式小型施工機1を操作するオペレータが見て、これに基づいて次の固結改良体Tを造成する位置まで自走式小型施工機1を移動し、移動後、ここに次の固結改良体Tを造成する。なお、ディスプレーについては、自走式小型施工機1に備えるのではなく、これとは別に単独あるいは他の箇所に備えるようにしても良い。
【0054】
このように、既設構造物であるボックスカルバートB直下に造成する固結改良体T周辺の動態観測を行い、この動態観測の結果に基づいて、演算処理手段において造成目標位置演算データにより、次に固結改良体Tを造成する位置である造成目標位置を自動的に演算して求めて、これをディスプレーに表示することで、常に最適な固結改良体Tを造成する順番をオペレータに伝えることができる。これにより、固結改良体Tを造成して強固な地盤へと改良する地盤改良工事の作業を簡単かつ良好に行うことができ、その作業効率の向上を図ることができる。
【0055】
また、ボックスカルバートB直下に造成する固結改良体T周辺の動態観測を行うことで、常に構造物の挙動及び地盤の挙動を把握することができ、何らかのアクシデントなどが発生しても、これを察知し、この動態観測の結果に基づいて次に固結改良体Tを造成する位置を変更することにより、アクシデントなどを回避することができる。
【0056】
次に、前述した既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態について説明する。これは、前述の実施形態では既設構造物としてボックスカルバートBであったが、このボックスカルバートBよりもさらに重量のある重量構築物Cの場合である。
【0057】
既設構造物として重量構築物Cの場合、上部の重量構築物Cを安定して支持できるさらに強固な地盤へと改良にする必要があった。そこで、このような場合、次のような方法で地盤を改良する。
【0058】
まず、前述の実施形態のように、既設構造物である重量構築物Cの左右一方側において、重量構築物C直下の地盤中に所定の間隙を空けて複数の固結改良体Tを平行に並べて造成すると共に、重量構築物Cの左右一方側の反対である左右他方側においても、重量構築物C直下の地盤中に所定の間隙を空けて複数の固結改良体Tを平行に並べて造成することにより、重量構築物C直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体Tを平行に並べて造成する。これは、
図12に示すものと同様である。
【0059】
それから、この重量構築物C直下の左右両側それぞれの地盤中に間隙を空けて複数の壁状の固結改良体Tを平行に並べて造成し、この造成した固結改良体Tが固まって十分な強度を有した後、即ち、固結改良体Tの養生期間経過後、各間隙それぞれに、前述と同様、管ロッド2に設けた噴射ノズル24からセメントミルクを横方向に噴射し、これを上方に向かって行うことにより、ここに壁状の固結改良体Tを造成し、この固結改良体Tをすべての間隙にそれぞれ造成することにより、
図17に示すように、重量構築物C直下の左右両側それぞれの地盤中に左右向かい合うように複数の壁状の固結改良体Tを間隙を空けることなく平行に並べて造成し、即ち、重量構築物C直下すべての地盤中に隙間なく固結改良体Tを造成する。
【0060】
このように、既設構造物である重量構築物C直下すべての地盤中に隙間なく固結改良体Tを造成することで、重量構築物C直下の地盤をさらに強固な地盤へと改良することができる。これにより、既設構造物が重量のある重量構築物Cであっても、この重量構築物Cを安定して支持することができ、重量構築物Cの一部が沈下して重量構築物Cが傾くあるいはその一部が破損するといったことを確実に防止できる。
【0061】
また、本発明の既設構造物直下における地盤改良方法の別の実施形態について説明する。この実施形態では、既設構造物が住宅や倉庫などの建物Rであり、この既設構造物である建物Rの左右において不等沈下が生じる場合に行うものである。ただし、既設構造物はこれに限定されるものではなく、構築物などの他のものでも良い。また、施工機械は自走式小型施工機1であるが、これに限定されるものではなく、ボーリングマシンや他の大型施工機でも良い。
【0062】
この既設構造物である建物Rの不等沈下とは、地表面が不均等に沈んで建物Rが傾いてしまうもので、その原因はいろいろであるが、たとえば、
図18(a)に示すように、地盤中の軟弱層Sの厚さが異なっていると、軟弱層Sが厚い部分ほど沈下量が大きくなり、これにより、地表面が不均等に沈むことで、建物Rが傾いてしまう。また、
図18(b)に示すように、軟弱地盤の上に建てた建物Rが、重量バランスが偏った建物Rであると、建物Rの重くなる部分の沈下量が大きくなり、これにより、地表面が不均等に沈むことから建物Rが傾いてしまう。
【0063】
そして、このような建物Rの左右において不等沈下が生じる場合、
図19に示すように、建物Rの沈下量が少ない建物R直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体Tを平行に並べて集中的に造成する。この複数の固結改良体Tを集中的に造成する際、隣り合う固結改良体Tの間に間隙を空けながら、あるいは間隔を空けることなく、複数の固結改良体Tを地盤中に造成する。なお、この固結改良体Tの間に間隔を空ける場合、その間隔を前述した所定の間隔としても良いし、また間隔を狭いものにしても良い。
【0064】
この建物Rの沈下量が少ない建物R直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体Tを平行に並べて集中的に造成することで、地盤中に造成する複数の固結改良体Tが固まるまで、その地盤強度を低下した状態にし、即ち、一時的に地盤を緩めた状態にすることにより、建物Rの左右一方側を沈下させることができる。
【0065】
そして、このとき、前述の実施形態で行う動態観測と同様、地盤中に造成する固結改良体T周辺の動態観測を行い、この動態観測の結果に基づきながら地盤中に固結改良体Tを造成する。これは、建物R直下の左右一方側の地盤中に固結改良体Tを造成するとき、動態観測を行って、建物Rの沈下量を把握し、これに基づいて、
図20に示すように、この建物Rにおいて、その左右一方側の沈下量がその左右他方側の沈下量と同じになる所定の深さまで、建物R直下の左右一方側の地盤中に固結改良体Tを造成して、建物Rの左右一方側を沈下させる。
【0066】
そして、建物Rの左右一方側を所定の深さまで沈下させたら、一旦固結改良体Tの造成作業を停止する。それから、この建物R直下の左右一方側の地盤中に集中的に造成した複数の固結改良体Tが固まって十分な強度を有した後、
図21に示すように、建物の左右一方側の反対である左右他方側において、前述の実施形態と同様、その建物R直下の地盤中に複数の固結改良体Tを造成する。
【0067】
このように、建物Rの沈下量が少ない建物R直下の左右一方側の地盤中に複数の固結改良体Tを集中的に造成し、この建物Rの左右一方側を所定の深さまで沈下させることで、建物Rの左右における傾きを是正することができ、これにより、不等沈下によって傾いた建物Rを正常な状態に戻すことができる。しかも、これと共に、上部の建物Rを安定して支持できる強固な地盤へと改良することができる。