(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672027
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】管敷設時における管押込み・持上げ方法及びその作業装置
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
F16L1/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-48303(P2016-48303)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-161042(P2017-161042A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義徳
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】魚津 颯二郎
(72)【発明者】
【氏名】下保 哲二
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−077184(JP,A)
【文献】
特開昭63−206532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 − 7/02
F16L 51/00 − 55/48
E03F 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
さや管(P’)内に、走行用台車(3)でもって複数の新管(P)を持ち込み搬入し、その先行する新管(P1)に後行の新管(P2)を継合わせつつさや管(P’)内に管路を新設する際、その後行の新管(P2)を先行の新管(P1)に押込み及び持上げる管敷設作業装置(A)であって、
上記さや管(P’)内面と新管(P)の端部との間に介設され、前記さや管(P’)内面又は新管(P)の端部に固定される装置本体(21)と、その装置本体(21)に設けられて前記新管(P)の端部又はさや管(P’)の内面を押圧する押圧手段(23)とからなり、その押圧手段(23)は、その押圧方向が前記装置本体(21)に対して押込み時と持上げ時の2方向に変更可能となっていることを特徴とする管敷設作業装置。
【請求項2】
上記装置本体(21)に上記押圧手段(23)を自在継手(30)を介して設け、その自在継手(30)により、上記押圧方向が前記装置本体(21)に対して押込み時と持上げ時の2方向に変更可能となっているようにしたことを特徴とする請求項1に記載の管敷設作業装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管敷設作業装置(A)によって上記後行の新管(P2)を先行の新管(P1)に押込み及び持上げる方法であって、
さや管(P’)内面又は新管(P)の端部に上記装置本体(21)を取り付ける工程と、
上記押圧手段(23)を押込み方向に設定した後、その押圧手段(23)によって後行の新管(P2)の後端を押圧して先行の新管(P1)に押し込む工程と、
その後、上記押圧手段(23)を持上げ方向に設定した後、その押圧手段(23)によって後行の新管(P2)の後端を持上げる工程と、
上記新管(P2)の下から上記走行用台車(3)を引き抜く工程と、
を有することを特徴とする新管の押込み及び持上げ方法。
【請求項4】
上記さや管(P’)内面に上記装置本体(21)を取り付け、上記新管(P2)の端部内周面間に梁部材(40)を架け渡し、その梁部材(40)に上記押圧手段(23)の伸縮部(27)先端を連結して、その梁部材(40)を介して上記押圧手段(23)によって後行の新管(P2)の後端を持上げるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の新管の押込み及び持上げ方法。
【請求項5】
上記走行用台車(3)を引き抜いた後、更に、上記押圧手段(23)による後行の新管(P2)の押込みを行って仕上げの管押込み工程を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の新管の押込み及び持上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設のさや管内に、複数の新管を持ち込み搬入し、その先行する新管に後行の新管を継合わせつつ、上水道、ガス、下水道等に用いる流体輸送用管路を構築する際、その後行の新管を先行の新管に押込み・持上げる方法及びその作業装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダクタイル鋳鉄管等の各種流体輸送用配管を地中に埋設する工法として、
図5に示すように、推進やシールド工法等によって新設された管をさや管(鞘管)P’とし、その内部に、ダクタイル鋳鉄管等の新しい管(以下、単に「新管」という。)Pを配設する工法が採用される場合がある。また、既に供用されている既設管をさや管P’として、その内部に口径の小さい新管Pを挿入して管路を更新する工法が採用される場合もある。
【0003】
この種の工法において、さや管P’には、鋼管、コンクリート管(ヒューム管)などが採用され、新管Pには、コンクリート管、ダクタイル鋳鉄管などが採用される。その地中に埋設されたさや管P’内の所定の配設場所に新管Pを運搬し、新管Pを順々に接続して管路を構築する。その接続は、先行する新管Pの受口2に後続(後行)の(運搬された)新管Pの挿し口1を挿入して継ぎ合わせる継手構造で行われる。
【0004】
その新管Pの運搬時、新管Pに走行用台車(搬送台車)3が取り付けられ、走行用台車3には車輪3aが設けられており、その車輪3aのレールR上の転動により、新管Pがさや管P’内を走行する。このため、電動作業車4による牽引や推進により新管Pはさや管P’内を走行して、所定の配設箇所へ運搬される(特許文献1〜3参照)。図中、5は走行用台車3と電動作業車4を連結する鋼材である。
その所定の配設場所に運搬されると、上記の先行の新管P1に後行の新管P2を嵌合接続して継ぎ合わせる。
【0005】
このとき、例えば、
図6に示す継手構造であると、同図に示すように、先行の新管P1の受口2には、ロックリング6、ゴム輪7、ねじジャッキ8、ディスタンスピース9が装填されており、まず、同図(a)に示すように、後行の新管P2の挿し口1をゴム輪7まで挿し込み、さらに、ディスタンスピース9に当たるまでゆっくりと挿し口1を差し込む(同図(b))。つぎに、ディスタンスピース9を取り外した後、ねじジャッキ8によりゴム輪7を押して所要の弾力に設定する。その後、挿し口1をさらに差し込んで、挿し口1の先端と受口2内面奥の段部が所要の間隙sとして継ぎ合わせ(接続)を完了する。図中、6aはロックリング6の芯出し部材、6bはロックリング溝である。
【0006】
この新管P1、P2(以下、適宜に、総称符号:Pとする。)の接続が完了すれば、運搬した新管P2の一端(
図5では受口2)を持上げ、その状態で、作業車4を後退させ、連結鋼材5を介して走行用台車3を新管P2の下から引き抜いて、新管Pから走行用台車3を取り外す。走行用台車3が新管P2の下から離脱して所定の位置に到達すれば、さや管P’内に新管Pを受け台(図示せず)を介在して載置する。
【0007】
この管敷設作業において、例えば、上記
図6(a)〜(c)に示す、後行の新管P2を先行の新管P1に向かって押圧して接続する管押込み作業装置10として、
図7に示すものがある。この作業装置10は、電動作業車4に備えた手動油圧ポンプ11とジャッキ一体型反力受け12とからなる。反力受け12は、
図8に示すように、断面横U字状のベース13と、そのベース13に設けた支持片14と、その支持片14に上下動可能に設けた昇降片15と、その昇降片15に設けた油圧ジャッキ16とからなる。この反力受け12は、
図7(b)に示すように、ベース13をレールRに嵌め、締結ボルト17をハンドル17aでもって回転してレールRに圧接することによって取付け固定する。
【0008】
支持片14は、
図8(b)に示すように、上下方向の溝14aを有し、蝶ボルト18がその溝14aを通って昇降片15にねじ込まれている。このため、昇降片15を支持片14に対して上下に移動させ、所要位置で蝶ボルト18をねじ込むことによってベース13に対して昇降片15、すなわち油圧ジャッキ16が所要高さ位置に固定される。
【0009】
この反力受け12でもって後行の新管P2を先行の新管P1に向かって押圧するには、
図7に示すように、後行の新管P2の受口2の端面に圧力受け材としての角材19を当てがうとともに、左右のレールR、Rに反力受け12を取付け(
図7(b)参照)、油圧ポンプ11からの油圧をレバー16aによって調節しながらその押圧ロッド16bを伸長させて角材19を介して新管P2を押圧する。
【0010】
その押圧によって、
図6の継手構造の新管P(P1、P2)であれば、同図(b)の状態になった後、反力受け12をレールRから取り外し、その後、新管P2を持上げ、走行用台車3を新管P2の下面から引き抜くこととなる。
その新管P2の持上げ手段として、新管P2の受口2の端部にジャッキを設け、そのジャッキのロッドをさや管P’の内面に押圧し、その押圧力の反力によって新管P2を持上げる技術がある(特許文献3
図4等参照)。
また、さや管P’内に門形の支持枠及びその支持枠から上方に伸びる支持杆を設け、その支持杆の上部から新管P2を持上げる技術もある(特許文献4第2図等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平03−56783号公報
【特許文献2】特開2001−262991号公報
【特許文献3】特開2014−141997号公報
【特許文献4】特開昭59−77184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献3の技術は、ジャッキを新管P2の端部に取付け、そのロッドをさや管P’の内面に押圧し、その押圧力の反力によって新管P2を持上げているため、そのジャッキが動いても、そのジャッキが新管端部から外れることがない、としている。しかし、新管P2の管軸方向への押圧力を付与できないため、新管P2の押込み作用はできない。
また、特許文献4記載の技術はその装置が大がかりとなるとともに、同様に、上記新管P2の押込み作用はできない。
【0013】
この発明は、以上の実状の下、管押込み及び管持上げの両者を行うことが出来る作業装置を提供し、その装置を使用した管押込み・持上げ方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために、この発明は、油圧シリンダ等からなる押圧手段の押圧方向を、固定された本体に対して押込み時と持上げ時の2方向に変更可能としたのである。
このように、押圧方向(押し込み方向)を2方向に変更可能であれば、一の押圧手段によって、管押込みと管持上げの両者の作用を行うことができる。
【0015】
この発明の具体的な構成としては、 さや管内に、走行用台車でもって複数の新管を持ち込み搬入し、その先行する新管に後行の新管を継合わせつつさや管内に管路を新設する際、その後行の新管を先行の新管に押込み及び持上げる管敷設作業装置において、前記さや管内面と新管の端部との間に介設され、前記さや管内面又は新管の端部に固定される装置本体と、その装置本体に設けられて前記新管の端部又はさや管の内面を押圧する押圧手段とからなり、その押圧手段は、その押圧方向が前記装置本体に対して押込み時と持上げ時の2方向に変更可能となっている構成を採用することができる。
その押圧方向の2方向への変更構造としては、種々のものが考えられるが、一般的には、自在継手(ユニバーサルジョイント)を採用することができる。
【0016】
この構成の管敷設作業装置によって上記後行の新管を先行の新管に押込み及び持上げる方法としては、例えば、さや管内面又は新管の端部に装置本体を取り付ける工程と、上記押圧手段を押込み方向に設定した後、その押圧手段によって後行の新管の後端を押圧して先行の新管に押し込む工程と、その後、前記押圧手段を持上げ方向に設定した後、その押圧手段によって後行の新管の後端を持上げる工程と、その持上げられた新管の下から走行用台車を引き抜く工程と、を有する構成を採用することができる。
このとき、上記新管の端部内周面間に梁部材を架け渡し、その梁部材に上記押圧手段の伸縮部先端を連結して、その梁部材を介して前記押圧手段によって後行の新管の後端を持上げるようにすることができる。このようにすれば、新管を安定して持上げることができる。
また、上記走行用台車を引き抜いた後、更に、上記押圧手段による後行の新管の押込みを行って仕上げの管押込み工程を行うこともできる(例えば、
図6(b)から同(c))。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、以上のように、油圧シリンダ等からなる押圧手段の押圧方向を、固定された本体に対して押込み時と持上げ時の2方向に変更可能としたので、一の押圧手段によって、管押込みと管持上げの両者を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明に係る管敷設作業装置の一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図
【
図2】同実施形態の新管押込み作用説明図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の左概略側面図
【
図3】同実施形態の新管持上げ作用図であり、(a)は持上げ前の側面図、(b)は持上げ後の側面図、(c)は(b)の要部平面図
【
図5】さや管内部に新管を配設する作用説明用概略図
【
図7】従来の新管の押し込み作用説明用概略図であり、(a)は正面図、(b)は要部左側面図
【
図8】ジャッキ一体型反力受けを示し、(a)は正面図、(b)は(a)のI−I線概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明に係る管敷設作業装置の一実施形態を
図1に示し、この実施形態の管敷設作業装置Aは、上記従来のジャッキ一体型反力受け12と同様に、断面横U字状のベース(装置本体)21と、そのベース21に設けた上下方向に長い支持片22と、その支持片22に設けた自在継手30と、その自在継手30に設けた油圧ジャッキ23とからなる。
ベース21はその一方のフランジ部(同図(b)において上側)に締結ボルト24がねじ込まれており、その締結ボルト24をハンドル25でもって回転してベース21内に入れた部材(例えば、さや管P’のリブr)に圧接することによってその部材に取付け固定する。
【0020】
自在継手30は、上記支持片22に固定の基板31と、その基板31に固定の水平なブロック32と、そのブロック32の上下面を挟む対の挟持片33、33と、その挟持片33と一体の他のブロック34と、そのブロック34の前後面を挟む他の挟持片35、35とからなり、その挟持片35に前記油圧ジャッキ23が水平方向に突出して固定されている。支持片22に対し基板31を
図8に示したボルト18と溝14aの構造によって昇降可能とすることができる。
【0021】
上記前者のブロック32と挟持片33は上下方向の軸36によってブロック32に対して挟持片33がその軸周りに回転可能となっている(水平方向に回転可能となっている)。また、後者のブロック34と挟持片35は水平方向の軸37によってブロック34に対して挟持片35がその軸周りに回転可能となっている(上下方向に回転可能となっている)。すなわち、これらのブロック32、34、挟持片33、35等によって自在継手30が構成されており、油圧ジャッキ23は、支持片22に対してその軸周り全方位(360度)に向くことが出来る。挟持片33を基板31に、ブロック34を油圧ジャッキ23側に設け、同様に、その対の挟持片33でブロック32を回転可能に挟持し、そのブロック32に固定の挟持片35でブロック34を回転可能に挟持するようにすることができる。
【0022】
両ブロック32、34には固定ボルト38がそれぞれねじ込まれており、この固定ボルト38をねじ込んで軸36、37に圧接することによってブロック32、34に対し挟持片33、35が不動となる(自在継手30が一体となって油圧ジャッキ23の向きが固定される)。
その油圧ジャッキ23は、従来と同様に、油圧ポンプ11からの油圧をレバー26によって調節しながらその押圧ロッド27を伸縮させる。そのロッド27の先端にはコ字状の嵌合片28が設けられており、その嵌合片28は締結ボルト・ナット29を有する。
【0023】
この実施形態の管敷設作業装置Aは以上の構成であり、つぎに、この管敷設作業装置Aによって、鋼管、コンクリート管(ヒューム管)などの内面に縦リブrを有するさや管P’内に、
図6の継手構造の新管Pを継ぎ合わせて管路を構築する方法について説明する。
まず、
図5で示した従来と同様に、電動作業車4によって新管Pを走行用台車3に載せて先行の新管P1の近く、例えば、後行の新管P2の挿し口1が先行の新管P1の受口2の手前1m程に至らせる。
つぎに、
図2(a)に示すように、レバーホイスト(レバーブロック:登録商標)等又は人力によって、新管P2を押してその挿し口1が先行の新管P1の受口2のゴム輪7に当たる程度まで静かに前進させる(
図6(a)参照)。このとき、先行の新管P1と後行の新管P2との心だしを十分に行う。
【0024】
その状態になれば、又はその前に、
図2に示すように、管敷設作業装置Aをさや管P’の両側のリブrに固定する。その固定は、ベース21をさや管P’のリブrに嵌めて締結ボルト24をねじ込んで行う。また、その固定位置は、同図(a)に示すように、管敷設作業装置A(油圧ジャッキ23)がほぼ水平になるとともに、同図(b)に示すように、両管敷設作業装置A、Aの間を走行用台車3が通り抜け得るように設定する。
このとき、油圧ジャッキ23のロッド27先端の嵌合片28を新管P2の受口2の端部に嵌め込む(ボルト29は抜いておく)。また、自在継手30は固定ボルト38によってその向きを押圧方向(水平方向)に固定する。
この状態で、油圧ジャッキ23を作動させて新管P2をさらに押込み、
図6(b)の状態にする。
【0025】
この新管P1、P2が継ぎ合わせ接続された状態(
図6(b))において、
図3に示すように、ターンバックル状の梁部材40を新管P2の受口2内面に取り付ける。その取付けは、両端の受け片41をロックリング溝6bに嵌めて回転環42を回し、その受け片41を溝6b内面に押圧することによって行う。この梁部材40の位置は受口2の中心線の位置とする(
図3(a)参照)。
この後、必要があれば、新管P2の持ち上げに(持ち上げ力が作用するように)管敷設作業装置Aを受口2の端面に近づけてリブrに固定し直し、自在継手30も固定ボルト38を緩めて油圧ジャッキ23を梁部材40に向け、その嵌合片28を梁部材40のガイド片43に嵌める。そのガイド片43の長孔44にボルト29を通して油圧ジャッキ23のロッド27を梁部材40に連結する。
【0026】
この状態において、油圧ジャッキ23を作動させると、ロッド27の伸長に伴って新管P2の受口2が持上げられる。このとき、ボルト29が長孔44内を移動するため、その持上げ動作は円滑である。
図3(b)に示すように、その新管P2が持ち上げられれば、従来と同様にして、新管P2の下方から走行用台車3を引き出し、走行用台車3が新管Pの下から離脱して所定の位置に到達すれば、さや管P’の底の所定の高さに新管Pを受け台を介在して載置する。
【0027】
この状態で、油圧ジャッキ23のロッド27を梁部材40から外し、そのロッド27の向きを自在継手30を介し変えてその先端の嵌合片28を新管P2の受口2の端部に嵌め込み、ロッド27の進行により、新管P2をさらに押込んで適正な位置まで押し込み(
図6(c))、新管P2の継ぎ作業を終了する。このとき、必要があれば、新管P2の押し込み作用ができるように、管敷設作業装置Aのリブrへの固定位置をし直す。梁部材40は適宜な時に取り除く。
以上の作業において、自在継手30によってロッド27の進行方向(突出方向)を変更でき、かつロッド27の進行長さ(突出長さ)を適切に設定すれば、新管P2の押し込み作用(
図6(a)、同(b)、同(c))及び新管P2の持ち上げ作用を、管敷設作業装置Aを一のリブrに固定した状態で(移動させることなく)行うこともできる。
以後、同様にして新管Pの継ぎ合わせ接続を行ってさや管P’内に新管Pからなる管路を構築する。
【0028】
上記実施形態の管敷設作業装置Aの自在継手30は、対のブロック32、34と対の挟持片33、35とから成ったが、
図4に示すように、同様な対のブロック32、34と対の挟持片33、35とから成る自在継手30を2段構成とすれば、油圧ジャッキ23の取付方向(向き方向)の自由度を増すことができる。
また、自在継手30も上記実施形態の態様に特定されず、押圧手段(油圧ジャッキ23)が押込み時と持上げ時の少なくとも2方向に変更可能である、種々のユニバーサルジョイントを採用することができることは勿論である。このとき、その各ユニバーサルジョイントにおいても、その押圧手段(油圧ジャッキ23)が押込み時と持上げ時の少なくとも2方向において、上記固定ボルト38等によってその各方向が固定されるものとする。
押圧手段は、油圧ジャッキ23以外に、電動ねじジャッキ、油圧ねじジャッキ等の種々の構成のものを採用できる。
【0029】
上記実施形態のさや管P‘は、鋼管、コンクリート管(ヒューム管)などの内面に縦リブr等の係止片を有するものであったが、その縦リブrを有さない内面が平坦なさや管P’にあっては、特許文献3
図13に示される受け台をさや管P’内に架設し、その受け台にベース21でもってこの管敷設作業装置Aを固定すれば、この発明の作用効果を得ることができる。
また、先行する新管P1の挿し口1に後行の新管P1の受口2を嵌めて継ぎ合わせる場合においてもこの発明は採用し得る。
さらに、この管敷設作業装置Aを新管Pの端部に固定し、油圧ジャッキ23のロッド27をさや管P’の内面に押圧することによって、その反力で新管Pを押したり、持ち上げたりすることもできる。
上記実施形態は、
図6に示す管継手構造の場合であったが、この発明は他の継手構造の管路(管P)にあっても採用し得ることは勿論である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
因みに、特許文献3の管端持上装置においても、ジャッキの支持部をこの発明に係る自在継手30とすれば、そのジャッキの向きを任意の方向にし得る。
また、
図8に示した反力受け12においても、昇降片15と油圧ジャッキ16との間に上記自在継手30を介在して油圧ジャッキ16の向きを可変とすることができる。
【符号の説明】
【0031】
A 管敷設作業装置
P 新管
P1 先行新管
P2 後行新管
P’ さや管
r 縦リブ
1 挿し口
2 受口
3 新管搬送用(走行用)台車
6 ロックリング
6b ロックリング溝
7 ゴム輪
11 油圧ポンプ
12 ジャッキ一体型反力受け
21 管敷設作業装置のベース(装置本体)
22 同支持片
23 油圧ジャッキ(押圧手段)
24 締結(固定)ボルト
29 締結ボルト・ナット
30 自在継手
31 自在継手の基板
32、34 自在継手の一構成品であるブロック
33、35 同一構成品である挟持片
36、37 同軸
38 同固定ボルト
40 梁部材
41 梁部材の受け片
42 同回転環
43 同ガイド片
44 同長孔