特許第6672046号(P6672046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672046
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/12 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   G01R15/12 A
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-75516(P2016-75516)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-187355(P2017-187355A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】池田 正和
(72)【発明者】
【氏名】今泉 憲
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−149464(JP,U)
【文献】 米国特許第06466003(US,B1)
【文献】 特開2002−350177(JP,A)
【文献】 特開2004−028607(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0234654(US,A1)
【文献】 特開2004−007074(JP,A)
【文献】 特表2008−541099(JP,A)
【文献】 特表2009−536742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/00−17/22、
19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出電流を検出して電流検出信号を出力する電流検出部および前記電流検出信号を外部に出力するための2つの第1出力端子が配設された第1コネクタ部を有する電流検出プローブ、並びに被検出電圧を検出するために一対で使用されて当該被検出電圧を示す電圧検出信号をそれぞれに配設された第2コネクタ部の第2出力端子間から出力する電圧検出プローブの当該2つの第2出力端子および前記2つの第1出力端子のうちの一方の2つの出力端子が選択的に接続可能な複数の入力端子と、
前記複数の入力端子に接続された前記一方の2つの出力端子が前記2つの第1出力端子のときには当該2つの第1出力端子から出力される前記電流検出信号に基づいて前記被検出電流を測定すると共に、前記複数の入力端子に接続された前記一方の2つの出力端子が前記2つの第2出力端子のときには当該2つの第2出力端子から出力される前記電圧検出信号に基づいて前記被検出電圧を測定する測定用回路部とを備え、前記複数の入力端子は、前記一方の2つの出力端子が接続可能な2つの共用入力端子として構成されている測定装置であって、
直流電圧を出力する電圧源と、
前記2つの共用入力端子間への前記直流電圧の出力をオン・オフするスイッチとを備え、
前記電流検出部は、前記被検出電流を検出するコイル部と、当該コイル部から出力される信号を検出して前記電流検出信号として出力する検出回路とを含んで構成され、
前記2つの第1出力端子が前記一方の2つの出力端子として前記2つの共用入力端子に接続されているときに、前記スイッチによる前記直流電圧の出力をオンにして当該直流電圧を前記電流検出信号に重畳させることにより、当該直流電圧を前記検出回路の作動用電圧として当該電流検出プローブに供給する測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出プローブの出力端子および電圧検出プローブの出力端子のうちの一方の出力端子を選択的に接続可能な複数の入力端子を備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置の一例として、下記の特許文献1において従来の技術として開示されたデジタルマルチメータが知られている。このデジタルマルチメータは、電圧測定や電流測定などの各ファンクションに切り換えることができる切換スイッチと、この切換スイッチの切り換えにより定まるファンクションとの対応関係のもとで定まるテストリードの個別差込みを自在に配設された3個の入力端子(例えば電圧測定用入力端子とグランドやコモンである共通入力端子と電流測定用入力端子)とを備え、この切換スイッチおよび3個の入力端子が表面に配置されて構成されている。
【0003】
また、同特許文献1において従来の技術として開示された他のデジタルマルチメータでは、電圧測定用入力端子と共通入力端子との間には、電圧測定に必要な回路(内部回路)が設けられ、また電流測定用入力端子と共通入力端子との間には、電流測定に必要な回路(他の内部回路)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−350177号公報(第2頁、第5−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した測定装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、この測定装置では、電圧測定用入力端子、共通入力端子および電流測定用入力端子の3つの入力端子が表面に配置される構成のため、この測定装置には表面全体における各入力端子の設置スペースが大きいという課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題を改善するためになされたものであり、表面全体に占める各入力端子の設置スペースを低減し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項記載の測定装置は、被検出電流を検出して電流検出信号を出力する電流検出部および前記電流検出信号を外部に出力するための2つの第1出力端子が配設された第1コネクタ部を有する電流検出プローブ、並びに被検出電圧を検出するために一対で使用されて当該被検出電圧を示す電圧検出信号をそれぞれに配設された第2コネクタ部の第2出力端子間から出力する電圧検出プローブの当該2つの第2出力端子および前記2つの第1出力端子のうちの一方の2つの出力端子が選択的に接続可能な複数の入力端子と、前記複数の入力端子に接続された前記一方の2つの出力端子が前記2つの第1出力端子のときには当該2つの第1出力端子から出力される前記電流検出信号に基づいて前記被検出電流を測定すると共に、前記複数の入力端子に接続された前記一方の2つの出力端子が前記2つの第2出力端子のときには当該2つの第2出力端子から出力される前記電圧検出信号に基づいて前記被検出電圧を測定する測定用回路部とを備え、前記複数の入力端子は、前記一方の2つの出力端子が接続可能な2つの共用入力端子として構成されている測定装置であって、直流電圧を出力する電圧源と、前記2つの共用入力端子間への前記直流電圧の出力をオン・オフするスイッチとを備え、前記電流検出部は、前記被検出電流を検出するコイル部と、当該コイル部から出力される信号を検出して前記電流検出信号として出力する検出回路とを含んで構成され、前記2つの第1出力端子が前記一方の2つの出力端子として前記2つの共用入力端子に接続されているときに、前記スイッチによる前記直流電圧の出力をオンにして当該直流電圧を前記電流検出信号に重畳させることにより、当該直流電圧を前記検出回路の作動用電圧として当該電流検出プローブに供給する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の測定装置によれば、2つの入力端子が、電流検出プローブの第1コネクタ部に配設された2つの第1出力端子、および一対の電圧検出プローブの第2コネクタ部にそれぞれ配設された2つの第2出力端子のうちの任意の一方の出力端子が接続可能な共用入力端子として構成されている。
【0010】
したがって、この測定装置によれば、電圧測定用入力端子、共通入力端子および電流測定用入力端子の3つの入力端子が表面に配置される従来の構成とは異なり、2つの入力端子を表面に配置するだけで済むため、表面全体における各入力端子の設置スペースを十分に低減することができる。
【0011】
また、この測定装置によれば、過電圧の印加によって故障しやすい検出回路を電流検出プローブ内に配設したことにより、電流測定動作の状態において、誤って2つの共用入力端子としての2つの入力端子に一対の電圧検出プローブの第2出力端子を接続して電圧を2つの入力端子間に印加したとしても、この印加された電圧によって検出回路が故障するといった事態の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】測定装置1(1A)、電流検出プローブ2および電圧検出プローブ3,3の外観図である。
図2図1における測定装置1および電流検出プローブ2の構成図である。
図3】他の測定装置1Aおよび他の電流検出プローブ2Aの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、測定装置としての測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0015】
測定装置1は、図1に示すように、電流検出プローブ2および一対の電圧検出プローブ3,3のうちのいずれか一方を選択的に接続可能に構成されて、電流検出プローブ2の接続時には測定対象電路101などに流れる被検出電流(交流電流)Iの電流値I1を測定し、また電圧検出プローブ3の接続時には例えば測定対象111の両端間に発生している被検出電圧(交流電圧)Vの電圧値V1を測定することが可能となっている。
【0016】
具体的には、測定装置1は、図1,2に示すように、ケース11、2つの入力端子12a,12b、選択スイッチ13、測定用回路部14および出力部15を備えている。ケース11は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて箱体(本例では一例として直方体状の箱体)に形成されている。入力端子12a,12bは、同じ構成の端子(例えば一方がバナナジャックなら他方も同一構成のバナナジャック)で構成されて、本例では一例としてケース11の正面11a(後述するように選択スイッチ13および出力部15が配設された面)に配設されている。また、本例では、入力端子12bは、測定用回路部14における基準電位となる部位(内部グランドG)に接続されている。なお、入力端子12a,12bについては、ケース11における正面11a以外の面(例えば、正面11aに対して直交する側面11b,11c,11d,11eのうちのいずれか1つ)に配設される構成であってもよい。
【0017】
選択スイッチ13は、測定装置1において実行する測定動作を選択する(つまり、電流測定動作および電圧測定動作のいずれか一方を選択する)ためのスイッチであり、本例では一例としてケース11の正面11aに配設されている。なお、選択スイッチ13は、トグルスイッチ、ロッカスイッチ、押ボタンスイッチ、ロータリスイッチ、またはスライドスイッチなどの切換スイッチで構成することができる。
【0018】
測定用回路部14は、図2に示すように、入力回路21、処理回路22および電圧供給回路23を備えている。入力回路21および処理回路22は、入力端子12a,12b間に入力される電圧信号(交流電圧信号)S1に基づき、選択スイッチ13によって電流測定動作が選択されているときには電流値I1を算出し、一方、選択スイッチ13によって電圧測定動作が選択されているときには電圧値V1を算出する。
【0019】
本例では一例として、入力回路21は、入力抵抗21a、コンデンサ21b、接地抵抗21cおよびバッファアンプ21dを備えている。入力抵抗21aは、入力端子12a,12b間の入力インピーダンスを高インピーダンスとするための高い抵抗値の抵抗(例えば、数Mオームの抵抗)で構成されて、一端が入力端子12aに接続されている。コンデンサ21bは、一端が入力抵抗21aの他端に接続されて、電圧信号S1に直流成分(後述の直流電圧Vdc)が重畳されているときにはこの直流成分を除去して、電圧信号S1の交流成分のみを他端から出力する。接地抵抗21cは、コンデンサ21bの他端と内部グランドGとの間に接続されている。この接地抵抗21cは、コンデンサ21bから出力される電圧信号S1の交流成分の振幅の中心を内部グランドGの電位(ゼロボルト)に規定する。バッファアンプ21dは、この電圧信号S1の交流成分を入力すると共に、同じ振幅のまま低インピーダンスで処理回路22に出力する。
【0020】
処理回路22は、例えば、A/D変換器などを含むDSP(Digital Signal Processor)で構成されて、入力回路21から出力される上記の電圧信号S1の交流成分を入力すると共に選択スイッチ13の切換状態(選択状態)を検出して、検出したこの切換状態(選択状態)が電流測定動作を選択するものであるときには電圧信号S1の交流成分に基づいて電流値I1を算出する電流測定動作を実行し、検出したこの切換状態(選択状態)が電圧測定動作を選択するものであるときには電圧信号S1の交流成分に基づいて電圧値V1を算出する電圧測定動作を実行する。また、処理回路22は、電流値I1や電圧値V1を算出したときには、算出した電流値I1や電圧値V1を出力部15に出力する。
【0021】
電圧供給回路23は、予め規定された一定の電圧値の直流電圧Vdcを入力端子12a,12b間に出力(供給)する機能を備えている。本例では一例として、電圧供給回路23は、サーミスタ(正温度係数サーミスタ)23a、スイッチ23b、サージギャップ23cおよび電圧源23dを備えている。サーミスタ23aは、過電流保護素子の一例であって、一端が入力端子12aに接続されている。スイッチ23bは、一例として選択スイッチ13と連動して切り換わるスイッチ(オン・オフスイッチ)で構成されて、一端がサーミスタ23aの他端に接続されている。具体的には、スイッチ23bは、選択スイッチ13が電圧測定動作を選択する切換状態(選択状態)のときにはオフ状態に切り換わり、選択スイッチ13が電流測定動作を選択する切換状態(選択状態)のときにはオン状態に切り換わる。
【0022】
サージギャップ23cは、過電圧保護素子の一例であって、スイッチ23bの他端と内部グランドGとの間に接続されている。電圧源23dは、不図示の一対の出力端子のうちの一方の出力端子がスイッチ23bの他端に接続されると共に他方の出力端子が内部グランドGに接続されている。また、電圧源23dは、この一対の出力端子間から直流電圧Vdc(内部グランドGの電位を基準とする電圧)を出力する。この電圧供給回路23では、サーミスタ23aは、入力端子12a,12b間に入力される外乱などに起因して発生する電圧源23d側に向かう電流の電流値を制限する過電流保護回路(電圧源23dに対する保護回路)として機能し、サージギャップ23cは、入力端子12a,12b間に入力される外乱などに起因して発生する電圧源23d側に向かう電圧の電圧値を制限する過電圧保護回路(電圧源23dに対する保護回路)として機能する。なお、過電流保護回路については、上記したサーミスタ23a以外の他の公知の過電流保護素子を使用(単独での使用や併用)して構成することもできるし、また過電圧保護回路についても、上記したサージギャップ23c以外の他の公知の過電圧保護素子(例えば、双方向ツェナーダイオードなど)を使用(単独での使用や併用)して構成することもできる。
【0023】
出力部15は、一例として、LCDなどのディスプレイ装置で構成されて、測定用回路部14の処理回路22から出力された電流値I1や電圧値V1を入力して画面に表示する。なお、出力部15は、ディスプレイ装置に代えて、種々のインターフェース回路で構成してもよく、例えば、メディアインターフェース回路としてリムーバブルメディアに電流値I1や電圧値V1を記憶させたり、ネットワークインターフェース回路としてネットワーク経由で外部装置に電流値I1や電圧値V1を伝送させたりする構成を採用することもできる。
【0024】
次に、電流検出プローブとしての電流検出プローブ2の構成について、図面を参照して説明する。
【0025】
電流検出プローブ2は、図1に示すように、例えば電線やバスバーなどの電流供給用の線状導体または棒状導体のような測定対象電路101に、環状に湾曲させて測定対象電路101の周りを囲む状態で装着することにより、測定対象電路101に流れる被検出電流I(交流電流)を検出して電流検出信号Siを出力可能に構成されている。本例では、電流検出プローブ2は、一例として、コイル部31、保持部32、検出回路部33、信号ケーブル34(例えば2芯の被覆電線)および第1コネクタ部としてのコネクタ35を備えている。
【0026】
コイル部31は、一例として、可撓性を有する芯材、芯材に巻回された巻線、芯材にこの芯材の長手方向に沿って貫通して配設されて一端部が巻線の一端部に接続された戻り線、並びに芯材および巻線を被覆する絶縁被覆(いずれも図示せず)とを備えて、フレキシブルセンサ(本例ではロゴスキーコイル)として構成されている。この構成により、コイル部31は、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの信号波形を微分して得られる信号波形の検出信号Sd1(図2参照)を、巻線の他端部と戻り線の他端部との間から出力する。また、コイル部31は、検出回路部33と共に電流検出部CDTを構成する。
【0027】
保持部32は、合成樹脂材料を用いて、一例として図1に示すように箱状に形成されている。また、保持部32には、コイル部31の他端部(図1中の右端部)が保持部32内に挿入された状態で固定的に連結されている。また、保持部32は、コイル部31の一端部(図1中の左端部。コイル部31を構成する巻線の上記の一端部側の端部)を着脱自在に保持可能に構成されている。
【0028】
検出回路部33は、図1に示すように保持部32内に配設されると共に、図1,2に示すように、コイル部31を構成する巻線の他端部および戻り線の他端部(この両他端部については、同図において符号Aで示している)と、信号ケーブル34とに接続されている。この場合、図1,2に示すように、信号ケーブル34に接続されているコネクタ35には、2つの第1出力端子35a,35b(以下、出力端子35a,35bともいう)が配設されている。また、各出力端子35a,35bは、同じ構成の端子(例えば一方がバナナプラグなら他方も同一構成のバナナプラグ)で構成されている。また、コネクタ35は、図1,2に示すように、測定装置1に配設された2つの入力端子12a,12bに接続可能に構成されているが、その出力端子35aが入力端子12aに接続され(差し込まれ)、かつその出力端子35bが入力端子12bに接続される(差し込まれる)極性でのみ入力端子12a,12bに接続されるように構成されている。
【0029】
また、検出回路部33は、図2に示すように、デカップリング回路41、中間電圧生成回路42および積分回路43を備えている。この検出回路部33では、図2に示すように、電流検出プローブ2がコネクタ35を介して測定装置1に接続された状態において、検出回路部33側の内部グランドG1が、信号ケーブル34内の導線34b、コネクタ35の出力端子35bおよび測定装置1側の入力端子12bを介して測定装置1内の測定用回路部14側の内部グランドGに接続され、またデカップリング回路41および積分回路43が、信号ケーブル34内の他の導線34a、コネクタ35の出力端子35aおよび測定装置1側の入力端子12aを介して測定装置1内の測定用回路部14側の入力回路21および電圧供給回路23に接続される。
【0030】
デカップリング回路41は、一例として、一端が信号ケーブル34内の導線34aに接続されたインピーダンス素子41a(本例では抵抗であるが、インダクタであってもよい)、およびインピーダンス素子41aの他端と内部グランドG1との間に接続されたコンデンサ41bを備えている。この構成により、デカップリング回路41は、測定装置1側の電圧供給回路23から直流電圧Vdcが入力端子12a,12bを介して信号ケーブル34内の導線34a,34b間に供給されているときに、インピーダンス素子41aを介してコンデンサ41bを直流電圧Vdcに充電すると共に、充電したこの直流電圧Vdcを検出回路部33内の中間電圧生成回路42および積分回路43に作動用電圧として低インピーダンスで出力する。
【0031】
中間電圧生成回路42は、一例として、2つの分圧抵抗42a,42b、コンデンサ42c、および演算増幅器42dを備えている。2つの分圧抵抗42a,42bは、互いに直列接続された状態で、デカップリング回路41を構成するコンデンサ41bに並列接続されている。この構成により、2つの分圧抵抗42a,42bは、デカップリング回路41から出力される直流電圧Vdcをそれぞれの抵抗値で規定される比率で分圧して中間電圧Vmeを生成する。本例では、分圧抵抗42a,42bは、一例として同じ抵抗値に規定されることで、直流電圧Vdcを0.5の比率で分圧して中間電圧Vme(=Vdc/2)を生成する。なお、この比率は0.5に限定されず、例えば、積分回路43が後述するようにして検出信号Sd1を正常に積分し得る範囲内である限り、任意の値(例えば、0.4以上0.6以下の値)に規定することができる。
【0032】
コンデンサ42cは、分圧抵抗42a,42bのうちの内部グランドG1側の分圧抵抗42bに並列に接続されて、中間電圧Vmeを安定化させる(中間電圧Vmeの変動を低減させる)。演算増幅器42dは、一例として、内部グランドG1を基準とする直流電圧Vdc(つまり、正電圧)で動作するボルテージフォロワ回路に構成されて、分圧抵抗42a,42bで生成された中間電圧Vmeを低インピーダンスで、積分回路43に出力する。
【0033】
積分回路43は、検出回路の一例であって、演算増幅器43a、入力抵抗43b、帰還コンデンサ43c、およびコンデンサ43dを備えている。演算増幅器43aは、その非反転入力端子に一例としてコイル部31を構成する巻線の他端部が接続され、その反転入力端子にコイル部31を構成する戻り線の他端部が入力抵抗43bを介して接続されている。また、演算増幅器43aの非反転入力端子は、中間電圧生成回路42の出力端子(具体的には、中間電圧生成回路42を構成する演算増幅器42dの出力端子)に接続されている。また、演算増幅器43aは、その出力端子とその反転入力端子との間に帰還コンデンサ43cが接続されている。コンデンサ43dは、一端が演算増幅器43aの出力端子に接続されると共に他端が信号ケーブル34の導線34aに接続されている。
【0034】
この積分回路43では、図2に示すように、演算増幅器43aが、内部グランドG1を基準とする直流電圧Vdc(つまり、正電圧)で動作するが、演算増幅器43aの非反転入力端子の電位は中間電圧生成回路42から出力される中間電圧Vmeに規定されると共に、コイル部31から出力される検出信号Sd1はこの中間電圧Vmeを基準とする交流信号となっている。この構成により、積分回路43は、直流電圧Vdcで動作しつつ(つまり、いわゆる片電源で動作しつつ)、この検出信号Sd1を検出する(正常に積分する)ことにより、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの信号波形に応じて振幅が変化する電流検出信号Si0(中間電圧Vmeを中心電位とする交流信号)を生成してコンデンサ43dに出力する。コンデンサ43dは、電流検出信号Si0に含まれる直流成分(中間電圧Vme)を除去して新たな電流検出信号Siとして信号ケーブル34の導線34aに出力する。この電流検出信号Siは、測定装置1側の電圧供給回路23から直流電圧Vdcが入力端子12a,12bを介して信号ケーブル34内の導線34a,34b間に供給されているときに(つまり、検出回路部33の中間電圧生成回路42および積分回路43が動作するときに)、この直流電圧Vdcに重畳された状態で(つまり、直流電圧Vdcを中心電位とする交流信号として)測定装置1側に信号ケーブル34を介して出力される。
【0035】
続いて、電圧検出プローブとしての電圧検出プローブ3,3の構成について、図面を参照して説明する。
【0036】
2つの電圧検出プローブ3,3は、図1に示すように、絶縁性を有する合成樹脂材料で柱状に形成された摘まみ部51、摘まみ部51の一端に突設された接触端子52、一端側が摘まみ部51の他端から摘まみ部51の内部に装着されると共に芯線の一端側が接触端子52に接続された信号ケーブル(例えば1芯の被覆電線)53、および信号ケーブル53の他端側に配設された第2コネクタ部としてのコネクタ54をそれぞれ備えて同一に構成されている。この場合、コネクタ54には、信号ケーブル53の芯線の他端側が接続された第2出力端子54a(以下、出力端子54aともいう)が配設されている。また、この出力端子54aは、出力端子35a,35bと同じ構成の端子で構成されて、図1に示すように、測定装置1に配設された2つの入力端子12a,12bのうちの任意の一方に接続可能(差し込み可能)に構成されている。つまり、測定装置1の2つの入力端子12a,12bは、電流検出プローブ2側のコネクタ35の各出力端子35a,35bおよび電圧検出プローブ3,3側のコネクタ54,54の出力端子54a,54aのうちの任意の一方(具体的には任意の一方の組)の出力端子が接続可能な共用入力端子として構成されている。
【0037】
次に、測定装置1の測定動作について説明する。
【0038】
最初に、測定装置1に電流検出プローブ2を接続して(入力端子12a,12bに出力端子35a,35bを接続して)、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの電流値I1を測定する場合の測定動作について説明する。なお、電流検出プローブ2は、図1に示すように、環状に湾曲させて測定対象電路101の周りを囲む状態で測定対象電路101に装着されているものとする。また、選択スイッチ13は、電流測定動作を選択するように切り換えられているものとする。
【0039】
この状態において、測定装置1では、電圧供給回路23は、選択スイッチ13の上記の切換状態(電流測定動作を選択する切換状態)に連動してスイッチ23bがオン状態に切り換えられているため、電圧源23dから出力されている直流電圧Vdcを入力端子12a,12b間に出力(供給)している。この直流電圧Vdcは、コネクタ35および信号ケーブル34を介して電流検出プローブ2に供給される。
【0040】
電流検出プローブ2では、コイル部31が、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの信号波形を微分して得られる信号波形の検出信号Sd1を、巻線の他端部と戻り線の他端部との間から検出回路部33内の積分回路43に出力する。また、検出回路部33内のデカップリング回路41が、このようにして測定装置1から供給される直流電圧Vdcに基づいて、内部グランドG1を基準とする直流電圧Vdcを生成して、検出回路部33内の中間電圧生成回路42および積分回路43に低インピーダンスで出力する。なお、電流検出プローブ2では、測定装置1から供給される直流電圧Vdcが積分回路43にも供給されるが、積分回路43に配設されたコンデンサ43dによって演算増幅器43aの出力端子への直流電圧Vdcの印加が回避されている。
【0041】
また、電流検出プローブ2では、中間電圧生成回路42が、この直流電圧Vdcに基づいて内部グランドG1を基準とする中間電圧Vmeを生成して、低インピーダンスで積分回路43に出力する。積分回路43では、入力抵抗43bおよび帰還コンデンサ43cが接続されることによって積分器として機能する演算増幅器43aが、検出信号Sd1を検出(積分)することにより、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの信号波形に応じて振幅が変化する電流検出信号Si0を生成してコンデンサ43dに出力する。この電流検出信号Si0は、コンデンサ43dによってこの電流検出信号Si0に含まれている直流成分(中間電圧Vme)が除去されて、新たな電流検出信号Si(電流検出信号Si0に含まれている交流成分で構成される信号)として、信号ケーブル34を介してコネクタ35の出力端子35a,35b間に出力される。この場合、出力端子35a,35b間には、測定装置1側から直流電圧Vdcが供給されているため、電流検出信号Siは、この直流電圧Vdcに重畳された状態で出力端子35a,35b間、ひいては測定装置1側の入力端子12a,12b間に出力される。
【0042】
測定装置1では、入力回路21が、直流電圧Vdcが重畳された状態の電流検出信号Siを電圧信号S1として、入力端子12a,12bを介して入力する。この場合、入力回路21では、入力抵抗21a、コンデンサ21bおよび接地抵抗21cが、この電圧信号S1に含まれている直流成分(直流電圧Vdc)を除去すると共に、この電圧信号S1に含まれている交流成分(電流検出信号Si)を内部グランドGの電位を基準とする交流信号とし、かつ入力抵抗21aおよび接地抵抗21cの各抵抗値で規定される比率でこの交流成分(電流検出信号Si)の振幅を分圧(低減)する。また、バッファアンプ21dは、この分圧された電流検出信号Siを入力して低インピーダンスで処理回路22に出力する。
【0043】
処理回路22は、選択スイッチ13の現在の切換状態(選択状態)が電流測定動作を選択するものであることを検出して、電流測定動作を実行する。この電流測定動作においては、処理回路22は、入力回路21から出力される電流検出信号Siに基づいて電流値I1を算出し、算出した電流値I1を出力部15に出力する。出力部15は、処理回路22から出力された電流値I1を入力して画面に表示する。これにより、測定装置1による測定対象電路101に流れる被検出電流Iの電流値I1についての測定が完了する。
【0044】
次に、測定装置1に一対の電圧検出プローブ3,3を接続して(入力端子12a,12bに出力端子54a,54aを接続して)、測定対象111の両端間に発生している被検出電圧Vの電圧値V1を測定する場合の測定動作について説明する。なお、電圧検出プローブ3,3は、図1に示すように、測定対象111の両端部(測定対象111の両電極)に接触されているものとする。また、選択スイッチ13は、電圧測定動作を選択するように切り換えられているものとする。
【0045】
この状態において、測定装置1では、電圧供給回路23は、選択スイッチ13の上記の切換状態(電圧測定動作を選択する切換状態)に連動してスイッチ23bがオフ状態に切り換えられているため、電圧源23dから出力されている直流電圧Vdcは入力端子12a,12b間に出力(供給)しない状態となっている。これにより、測定装置1の入力端子12a,12b間には、電圧検出プローブ3,3を介して被検出電圧Vを示す電圧検出信号が電圧信号S1として入力される。
【0046】
なお、この測定装置1では、電圧供給回路23内には、上記したように正温度係数のサーミスタ23aとサージギャップ23cが配設されている。このため、この測定装置1では、仮に、電圧測定動作を選択するように選択スイッチ13を切り換えていない状態(つまり、電流測定動作を選択するように選択スイッチ13が切り換えられていて、スイッチ23bがオンの状態)で、電圧検出プローブ3,3を介して被検出電圧Vが入力されたときであっても、この被検出電圧Vの入力に起因して入力端子12a,12bから電圧供給回路23内に流入する電流の電流値が増大したときにはサーミスタ23aの抵抗値が増加することで、過電流が電圧供給回路23内に流入する事態を回避することが可能となっている。また、この測定装置1では、この被検出電圧Vの入力に起因して入力端子12a,12bから電圧供給回路23内に入力される電圧の電圧値が増大したときにはサージギャップ23cが動作することで、過電圧が電圧供給回路23内に印加される事態を回避することが可能となっている。
【0047】
測定装置1では、入力回路21が、被検出電圧Vを電圧信号S1として、入力端子12a,12bを介して入力する。この場合、入力回路21では、入力抵抗21a、コンデンサ21bおよび接地抵抗21cが、この電圧信号S1に含まれている交流成分(被検出電圧V自体)を内部グランドGの電位を基準とする交流信号とし、かつ入力抵抗21aおよび接地抵抗21cの各抵抗値で規定される比率でこの被検出電圧Vの振幅を分圧(低減)する。また、バッファアンプ21dは、この分圧された被検出電圧Vを入力して低インピーダンスで処理回路22に出力する。
【0048】
処理回路22は、選択スイッチ13の現在の切換状態(選択状態)が電圧測定動作を選択するものであることを検出して、電圧測定動作を実行する。この電圧測定動作においては、処理回路22は、入力回路21から出力される被検出電圧Vに基づいて電圧値V1を算出し、算出した電圧値V1を出力部15に出力する。出力部15は、処理回路22から出力された電圧値V1を入力して画面に表示する。これにより、測定装置1による測定対象111に生じる被検出電圧Vの電圧値V1についての測定が完了する。
【0049】
このように、この測定装置1では、2つの入力端子12a,12bが、電流検出プローブ2側のコネクタ35の各出力端子35a,35bおよび電圧検出プローブ3,3側のコネクタ54の出力端子54aのうちの任意の一方の出力端子が接続可能な共用入力端子として構成されている。
【0050】
したがって、この測定装置1によれば、電圧測定用入力端子、共通入力端子および電流測定用入力端子の3つの入力端子が表面に配置される従来の構成とは異なり、ケース11の表面に2つの入力端子12a,12bを配置するだけで済むため、ケース11の表面全体における各入力端子12a,12bの設置スペースを十分に低減することができる。
【0051】
また、この測定装置1では、直流電圧Vdcを出力する電圧源23dと、2つの共用入力端子としての2つの入力端子12a,12b間への直流電圧Vdcの出力をオン・オフするスイッチ23bとを備え、被検出電流Iを検出するロゴスキーコイルとしてのコイル部31とこのコイル部31から出力される検出信号Sd1を積分して電流検出信号Siとして出力する積分回路43とを含んで構成された電流検出部CDTを有する電流検出プローブ2の2つの出力端子35a,35bが共用入力端子としての入力端子12a,12bに接続されているときに、スイッチ23bによる直流電圧Vdcの出力をオンにしてこの直流電圧Vdcを電流検出信号Siに重畳させることにより、直流電圧Vdcを積分回路43の作動用電圧として電流検出プローブ2に供給する。
【0052】
したがって、この測定装置1によれば、過電圧の印加によって故障しやすい積分回路43を電流検出プローブ2内に配設したことにより、電流測定動作の状態において、誤って2つの共用入力端子としての2つの入力端子12a,12bに電圧検出プローブ3,3を接続して電圧を入力端子12a,12b間に印加したとしても、この印加された電圧によって積分回路43が故障するといった事態の発生を確実に防止することができる。
【0053】
なお、上記のコイル部31は、可撓性を有する芯材(通常は、非磁性材料で形成された芯材)を備えてロゴスキーコイルとして構成されているが、コイル部31はこの構成に限定されず、例えば、不図示の磁気コアと、この磁気コアに巻回された不図示の検出コイルとを備えた構成とすることもできる。この構成では、検出コイルは、被検出電流(交流電流)Iの電流値I1(振幅)に比例した振幅の検出信号Sd1をその両端間から出力する。このため、電流検出部CDTを構成する検出回路部は、デカップリング回路41、中間電圧生成回路42および積分回路43を備えた検出回路部33の構成(図2に示す構成)に代えて、図示はしないが、デカップリング回路41と同等のデカップリング回路、中間電圧生成回路42と同等の中間電圧生成回路、および例えば積分回路43における帰還コンデンサ43cを帰還抵抗に代えた以外は積分回路43と同等の検出回路としての増幅回路を備えて構成されて、検出信号Sd1を検出して、電流検出信号Siとしてコネクタ部35に出力する。なお、電流検出プローブ2と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。この構成においても、過電圧の印加によって故障しやすい増幅回路を電流検出プローブ2内に配設したことにより、上記した積分回路の構成と同様にして、電流測定動作の状態において、誤って2つの共用入力端子としての2つの入力端子12a,12bに電圧検出プローブ3,3を接続して入力端子12a,12b間に電圧を印加したとしても、この印加された電圧によって増幅回路が故障するといった事態の発生を確実に防止することができる。
【0054】
また、このように電流検出プローブ2内に積分回路43を配設しつつ、この積分回路43の作動用電圧としての直流電圧Vdcを電流検出信号Siが入力される入力端子12a,12b間に出力して電流検出信号Siに重畳させることで電流検出プローブ2側に供給する構成を採用して、測定装置1に配設する入力端子12a,12bの数を2つに低減しつつ積分回路43の故障を回避する例について上記したが、測定装置に配設する入力端子12a,12bの数を2つに低減しつつ積分回路43の故障を回避する構成はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、図3に示すような構成の測定装置1Aであってもよい。以下、この測定装置1A、並びにこの測定装置1Aに接続される電流検出プローブ2Aおよび電圧検出プローブ3,3について説明する。なお、図1に示す測定装置1、電流検出プローブ2および電圧検出プローブ3,3の構成と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0056】
測定装置1Aは、図1,3に示すように、ケース11、2つの入力端子12a,12b、選択スイッチ13、測定用回路部14および出力部15を備えている。
【0057】
測定用回路部14は、図3に示すように、入力回路21、処理回路22、3つのスイッチ24,25,26、保護回路27および積分回路43を備えている。この測定装置1Aでは、入力端子12aと入力回路21との間にスイッチ24が配設されている。スイッチ24は、一端が入力端子12aに接続され、他端が入力回路21に接続されている。スイッチ25は、一端がスイッチ24の一端に接続されると共に他端が保護回路27に接続されている。また、保護回路27は、スイッチ25の他端と積分回路43の入力抵抗43bとの間に配設されている。また、スイッチ26は、一端が積分回路43を構成するコンデンサ43dに接続されると共に、他端が入力回路21の入力側(入力抵抗21aの一端)に接続されている。
【0058】
各スイッチ24,25,26は、一例として選択スイッチ13と連動して切り換わるスイッチ(オン・オフスイッチ)で構成されて、選択スイッチ13が電圧測定動作を選択する切換状態(選択状態)のときには、スイッチ24はオン状態に切り換わると共に各スイッチ25,26はオフ状態に切り換わり、一方、選択スイッチ13が電流測定動作を選択する切換状態(選択状態)のときには、スイッチ24はオフ状態に切り換わると共に各スイッチ25,26はオン状態に切り換わる。
【0059】
保護回路27は、各スイッチ25,26がオン状態のときに入力端子12aから積分回路43に、過電流が供給されたり、過電圧が印加されたりすることを防止する機能を備えている。また、保護回路27は、積分回路43の入力抵抗43bと直列に接続される構成のため、その抵抗値が入力抵抗43bの抵抗値に対して十分に小さい値に規定されている。また、この例の積分回路43では、演算増幅器43aは、測定装置1A内に配設された不図示の電源部が生成する正電圧+Vccおよび負電圧−Vcc(測定用回路部14側の内部グランドGを基準として生成される電圧)を作動用電圧として動作する。
【0060】
この測定装置1Aでは、電流検出プローブ2Aにおけるコネクタ35の各出力端子35a,35bを入力端子12a,12bに接続して、測定対象電路101に流れる被検出電流Iの電流値I1を測定するときには、選択スイッチ13を電流測定動作を選択する切換状態(選択状態)にすることで、スイッチ24がオフ状態に切り換わると共に各スイッチ25,26がオン状態に切り換わる。これにより、入力端子12a,12bと入力回路21との間に保護回路27および積分回路43の直列回路が介装されるため、電流検出プローブ2Aから入力端子12a,12b間に入力される電圧信号(交流電圧信号)S1に基づき、処理回路22が被検出電流Iの電流値I1を算出して出力部15に出力可能となっている。
【0061】
また、この測定装置1Aでは、各電圧検出プローブ3,3のコネクタ54の出力端子54a,54aを入力端子12a,12bに接続して、測定対象111の両端間に発生している被検出電圧Vの電圧値V1を測定するときには、選択スイッチ13を電圧測定動作を選択する切換状態(選択状態)にすることで、スイッチ24がオン状態に切り換わると共に各スイッチ25,26がオフ状態に切り換わる。これにより、保護回路27および積分回路43の直列回路は入力端子12a,12bから切り離されると共に、入力回路21がスイッチ24を介して入力端子12aに接続される。このため、被検出電圧Vが電圧検出プローブ3,3および入力端子12a,12bを介して入力回路21に電圧信号S1として入力されることから、この電圧信号S1に基づき、処理回路22が被検出電圧Vの電圧値V1を算出して出力部15に出力可能となっている。
【0062】
したがって、この測定装置1Aにおいても、電圧測定用入力端子、共通入力端子および電流測定用入力端子の3つの入力端子が表面に配置される従来の構成とは異なり、ケース11の表面に2つの入力端子12a,12bを配置するだけで済むため、ケース11の表面全体における各入力端子12a,12bの設置スペースを十分に低減することができる。また、測定装置1A内に積分回路43を配設する構成であっても、積分回路43と入力端子12aとの間に保護回路27が配設されているため、電流測定動作の状態において、誤って2つの共用入力端子としての2つの入力端子12a,12bに電圧検出プローブ3,3を接続して電圧を入力端子12a,12b間に印加したとしても、この印加された電圧によって積分回路43が故障するといった事態の発生を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A 測定装置
2,2A 電流検出プローブ
3 電圧検出プローブ
12a,12b 入力端子
13 選択スイッチ
14 測定用回路部
23b スイッチ
23d 電圧源
35 コネクタ
35a,35b 出力端子
43 積分回路
54 コネクタ
54a 出力端子
Si 電流検出信号
図1
図2
図3