特許第6672223号(P6672223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672223
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】車両用衝撃吸収装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20200316BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20200316BHJP
   B60R 19/20 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B62D21/15 Z
   B60R19/24 M
   B60R19/20 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-129130(P2017-129130)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-10977(P2019-10977A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北口 和章
(72)【発明者】
【氏名】鈴森 理生
(72)【発明者】
【氏名】高柳 旬一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 尚裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇至
(72)【発明者】
【氏名】袋野 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一郎
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第0850807(EP,A2)
【文献】 独国特許出願公開第102010011302(DE,A1)
【文献】 特開2004−74971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の被衝突部の車両構造体で衝突荷重を受け止めるように設けられ、衝突物体からの衝突荷重を受けて車両構造体に伝達する衝突荷重受部材と、
前記衝突荷重受部材及び前記車両構造体の間に一つの空間を形成して設けられ、前記衝突荷重受部材が衝突荷重を受ける方向に伸縮可能とされた伸縮体と、
衝突前に前記伸縮体内の前記空間に流体を供給して前記空間の容積を拡大し、前記伸縮体を伸長させる流体供給手段とを備え、前記衝突荷重受部材が衝突荷重を受けると、前記伸縮体が収縮しながら衝突エネルギを吸収する車両用衝撃吸収装置であって、
前記伸縮体は、その前記車両構造体側に底部を備える容器形状とされ、その容器形状の開口側が前記衝突荷重受部材に固定され、前記底部が前記車両構造体に固定されており、
前記流体供給手段は、前記底部に穿設された貫通孔を前記伸縮体の空間内側から塞いだ状態で固定されている車両用衝撃吸収装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記流体供給手段は、全体として前記底部の底面に沿って拡がり、その拡がり量に比べて底面からの突出量が少ない形状とされており、
前記貫通孔の形状及び大きさは、前記流体供給手段が前記底部の底面に対して傾斜することにより挿入可能とされている車両用衝撃吸収装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記流体供給手段は、フランジを備え、そのフランジを介して前記底部に固定されている車両用衝撃吸収装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記流体供給手段は、前記底部に対し直接接合されている車両用衝撃吸収装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記流体供給手段が前記底部の貫通孔を閉塞した状態で、前記底部には、前記流体供給手段の周囲を取り囲むように前記底部から前記空間内に立ち上がる段部を備える車両用衝撃吸収装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記流体供給手段は、前記底部に対してねじ固定具により締結されており、該ねじ固定具の雌ねじ体が前記流体供給手段に固定されている車両用衝撃吸収装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記車両構造体の前記衝突荷重受部材側端部には、該端部側を開口側とする容器形状のカバー体が固定され、該カバー体は、前記車両構造体の内部に収容されており、
前記伸縮体は、その底部が前記カバー体の容器形状の底部に固定され、前記伸縮体の収縮状態では前記カバー体内に収容され、前記伸縮体の伸長状態では前記カバー体から衝突対向方向に突出される車両用衝撃吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において衝突荷重を受ける部位に設けられる車両用衝撃吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用衝撃吸収装置として、車両前端部に設置されたバンパの如き衝突荷重受部材を、衝突物体との衝突直前に前方へ突出させるものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、衝突荷重受部材と車両構造体との間に伸縮自在の伸縮体を設け、この伸縮体内にガスを供給するインフレータを設けている。常時は、伸縮体が収縮されていて衝突荷重受部材は車両構造体の前端部に位置しているが、衝突直前にインフレータが作動して、インフレータから発生するガスにより伸縮体が膨張して伸長され、衝突荷重受部材は車両構造体から離れて前方へ突出される。衝突時は、衝突荷重を受けて膨張されていた伸縮体からガスが徐々に抜けて伸縮体が収縮され、衝突エネルギが吸収される。
【0003】
この場合、伸縮体は筒形状とされた車両構造体の先端の外表面に被せて取り付けられている。その状態で、伸縮体と車両構造体とは、ボルト・ナットにより締結して互いに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−241240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
係る構成の場合、伸縮体内面と車両構造体の外表面との間で密着されていない部分に隙間ができることは避けられない。そのため、伸縮体内でインフレータが発生するガスが隙間から漏れてしまう恐れがある。その対策として、隙間を小さくするための対策を施す必要があり、ガスケット等の部品点数を増加させるなどの不具合があった。
【0006】
このような問題に鑑み本発明の課題は、衝突直前に伸縮体を膨張させて衝突荷重受部材を衝突に対向する方向へ突出させ、伸縮体を収縮させながら衝突エネルギを吸収する車両用衝撃吸収装置において、伸縮体を底部を備えた容器形状とすることにある。それにより、伸縮体内のガス等の流体が漏れ難くするための追加対策なしに流体の漏れを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1発明は、車体の被衝突部の車両構造体で衝突荷重を受け止めるように設けられ、衝突物体からの衝突荷重を受けて車両構造体に伝達する衝突荷重受部材と、前記衝突荷重受部材及び前記車両構造体の間に一つの空間を形成して設けられ、前記衝突荷重受部材が衝突荷重を受ける方向に伸縮可能とされた伸縮体と、衝突前に前記伸縮体内の前記空間に流体を供給して前記空間の容積を拡大し、前記伸縮体を伸長させる流体供給手段とを備え、前記衝突荷重受部材が衝突荷重を受けると、前記伸縮体が収縮しながら衝突エネルギを吸収する車両用衝撃吸収装置である。そして、前記伸縮体は、その前記車両構造体側に底部を備える容器形状とされ、その容器形状の開口側が前記衝突荷重受部材に固定され、前記底部が前記車両構造体に固定されている。前記流体供給手段は、前記底部に穿設された貫通孔を前記伸縮体の空間内側から塞いだ状態で固定されている。
【0008】
第1発明において、被衝突部は、車体の前、後、側部、屋根等いずれでもよい。また、伸縮体内の空間に供給される流体は、ガス、油、空気等いずれでもよい。
【0009】
第1発明によれば、伸縮体は容器形状とされている。また、流体供給手段は、伸縮体の容器形状の底部の貫通孔を空間内側から塞ぐように固定されている。そのため、流体供給手段が伸縮体内で発生する流体が伸縮体内から漏れるのを、追加対策なしに抑制することができる。
【0010】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記流体供給手段は、全体として前記底部の底面に沿って拡がり、その拡がり量に比べて底面からの突出量が少ない形状とされており、前記貫通孔の形状及び大きさは、前記流体供給手段が前記底部の底面に対して傾斜することにより挿入可能とされている。
【0011】
第2発明によれば、伸縮体内の空間が閉じられた状態で、流体供給手段を貫通孔から空間内に挿入することができる。そのため、流体供給手段が熱や振動を避ける必要がある場合でも、伸縮体の空間を閉じるように伸縮体の開口側を閉じるまで製造して、その後に流体供給手段を固定することができる。
【0012】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記流体供給手段は、フランジを備え、そのフランジを介して前記底部に固定されている。
【0013】
第3発明によれば、伸縮体の底部への流体供給手段の固定をフランジにより行うことができる。そのため、流体供給手段を底部に直接固定する場合に比べて、固定作業を容易にすることができる。
【0014】
本発明の第4発明は、上記第1〜第3発明のいずれかにおいて、前記流体供給手段は、前記底部に対し直接接合されている。
【0015】
第4発明によれば、流体供給手段は、伸縮体の容器形状の底部の貫通孔を空間内側から塞いだ状態で直接接合されている。そのため、流体供給手段が伸縮体内に流体を供給すると、その流体圧により流体供給手段は底部に圧接される。従って、流体供給手段と底部との間にパッキン等を設けることなく、流体供給手段と底部との接合部における流体漏れを抑制することができる。
【0016】
本発明の第5発明は、上記第1〜第4発明のいずれかにおいて、前記流体供給手段が前記底部の貫通孔を閉塞した状態で、前記底部には、前記流体供給手段の周囲を取り囲むように前記底部から前記空間内に立ち上がる段部を備える。
【0017】
第5発明において、段部は、底部における流体供給手段と当接する部位の板圧を流体供給手段の周囲の部位に比べて薄くすることにより形成することができる。また、段部は、流体供給手段の周囲にある底部を空間内に向けて突出させることにより形成することもできる。一方、段部は、流体供給手段の周囲を取り囲むように切れ目なく形成されてもよいし、断続的に形成されてもよい。
【0018】
第5発明によれば、流体供給手段が底部に対し設計された正規の位置となれば段部の内側に嵌合することになる。そのため、流体供給手段が伸縮体内に挿入されて作業者から見えない状態でも、流体供給手段を正規の位置に容易に固定することができる。
【0019】
本発明の第6発明は、上記第1〜第5発明のいずれかにおいて、前記流体供給手段は、前記底部に対してねじ固定具により締結されており、該ねじ固定具の雌ねじ体が前記流体供給手段に固定されている。
【0020】
第6発明によれば、流体供給手段に雌ねじ体が固定されるため、雄ねじ体が固定される場合に比べて、雌ねじ体の流体供給手段からの出っ張り量は小さく、流体供給手段を伸縮体内に挿入する際の作業性を良くすることができる。
【0021】
本発明の第7発明は、上記第1〜第6発明のいずれかにおいて、前記車両構造体の前記衝突荷重受部材側端部には、該端部側を開口側とする容器形状のカバー体が固定され、該カバー体は、前記車両構造体の内部に収容されており、前記伸縮体は、その底部が前記カバー体の容器形状の底部に固定され、前記伸縮体の収縮状態では前記カバー体内に収容され、前記伸縮体の伸長状態では前記カバー体から外側に突出される。
【0022】
第7発明によれば、伸縮体は、カバー体と共に車両構造体の内部に収容されている。そのため、伸縮体が収縮状態では、伸縮体は車両構造体から突出せず、伸縮体を備えない場合と同様の車体デザインを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の車両用衝撃吸収装置の第1実施形態が適用された車両前部のバンパ構造を示す平面図である。
図2】第1実施形態における衝撃吸収ユニットの一部透視拡大斜視図である。
図3図1のIII−III線断面矢視拡大図である。
図4】第1実施形態の伸縮体の底部を外側から見た拡大図である。
図5図4のV−V線断面矢視図である。
図6図4と同様の拡大図であり、インフレータを貫通孔から挿入する様子を示す。
図7図5と同様の断面図であり、インフレータが伸縮体の底部に固定される前の状態を示す。
図8図3と同様の断面図であり、インフレータよりガスが供給され、バンパが前方に移動した状態を示す。
図9図3と同様の断面図であり、バンパが衝突荷重を受けて後方に移動されている途中状態を示す。
図10】本発明の第2実施形態の伸縮体の底部を示す図5と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態の全体構成>
図1〜3は、本発明の第1実施形態の構成を示す。第1実施形態は、自動車用フロントバンパ部分に本発明の衝撃吸収装置を適用した例である。各図中、矢印により自動車に搭載した状態における装置の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0025】
図1のように、衝突荷重受部材であるフロントバンパのバンパリインフォースメント1は、車体の被衝突部の車両構造体として、車体左右に配置されたフロントメンバ2L、2Rの前端に固定されている。従って、車両前突時にフロントバンパに加えられる衝突荷重は、バンパリインフォースメント1を介してフロントメンバ2L、2Rで受け止められる。
【0026】
図2、3のように、フロントメンバ2Lの前端部には、本発明の特徴部分である衝撃吸収ユニット10が備えられている。ここではフロントメンバ2Lのみを図示し、フロントメンバ2Rの図示を省略しているが、フロントメンバ2L、2Rは同一構造の衝撃吸収ユニット10を備えている。
【0027】
<衝撃吸収ユニット10の構成>
衝撃吸収ユニット10は、有底円筒体(以下、容器形状ともいう)であるカバー体13と、カバー体13の内部に固定され、容器形状で蛇腹11aを備えた伸縮体11と、伸縮体11の内部に固定された流体供給手段であるインフレータ12とを備える。
【0028】
カバー体13は、容器形状の容器部13aと、容器部13aの開口側の全周に渡って形成されたフランジ13bとを一体に備える。カバー体13は鋼板製である。容器部13aは、閉断面構造のフロントメンバ2Lの前端内部に挿入され、フランジ13bは、リング形状の円板であるトップメンバ21を介してフロントメンバ2Lの前端に固定されている。
【0029】
<伸縮体11の構成>
伸縮体11は、有底円筒体(以下、容器形状ともいう)とされ、側部に蛇腹11aを備え、容器形状の開口側の全周に渡ってフランジ13bが形成されている。蛇腹11aは、伸縮体11が前後方向に伸縮可能となるように形成されており、伸縮体11は、カバー体13に比べて板厚が薄い鋼板製である。伸縮体11は、容器部13aと重なる容器となるように配置され、フランジ11bは、カバー体13のフランジ13bの前側に重ねて配置されている。また、伸縮体11の底部11cは、カバー体13の底部に適宜の手段により接合されている。
【0030】
伸縮体11の開口側には蓋体14が被せられている。蓋体14は、その後側が伸縮体11のフランジ11bの前側に重ねて固定されている。従って、伸縮体11は、その開口を蓋体14により閉塞されて、内部に一つの空間を形成している。また、蓋体14には、その前側にバンパリインフォースメント1が固定されている。
【0031】
このように伸縮体11はカバー体13内に収容されてフロントメンバ2Lの前端に固定されている。しかも、カバー体13はフロントメンバ2Lの閉空間内に収容されている。そのため、図3のように、伸縮体11が収縮状態にあるとき、伸縮体11は、カバー体13内にあってフロントメンバ2Lから突出しない。従って、フロントメンバ2L及びバンパリインフォースメント1の部分のデザインを、伸縮体11を備えない場合と共通化することができる。
【0032】
<インフレータ12の構成>
インフレータ12は、乗員保護用エアバッグ装置に用いられるインフレータと同様の公知もので、通電されることにより点火されてガス(本発明の流体に相当)を発生するように構成されている。インフレータ12は、伸縮体11の底部11cに固定されている。インフレータ12は、公知の衝突予知手段(図示略)が車両の前突を予知したとき、電源(図示略)に接続されて作動するように電気接続されている。従って、インフレータ12は、作動されるとガスを発生し、そのガスを伸縮体11内に供給する。
【0033】
図4、5は、伸縮体11内のインフレータ12固定部付近を拡大して示す。インフレータ12は、伸縮体11の底部11cに穿設された貫通孔11eを伸縮体11の空間内側から塞いだ状態で固定されている。インフレータ12は、周囲にフランジ12aを備え、フランジ12aが複数組(ここでは4組)のボルト・ナット15(本発明におけるねじ固定具に相当)により底部11cに締結されて固定されている。貫通孔11eは四角形とされ、フランジ12aも貫通孔11eよりも大きい相似形の四角形とされている。
【0034】
図4、5のように、インフレータ12がフランジ12aを介して伸縮体11の底部11cに固定された状態で、フランジ12aの周囲の底部11cには段部11dが形成されている。この場合、段部11dは、フランジ12aと面合わせ状態となる部分の底部11cの板厚を、その周りに比べて薄くすることにより形成されている。従って、図4、5のように、インフレータ12がフランジ12aと共に、底部11cの貫通孔11eを蓋う正規の状態において、フランジ12aが段部11d内に嵌合するようにされている。
【0035】
<インフレータ12の組付方法>
この場合、貫通孔11eの四角形とフランジ12aの四角形の形状と大きさの関係は、図6のように、フランジ12aの四角形の一辺が貫通孔11eの対角線よりも小さくされ、図4、5のように、フランジ12aと底部11cとが面合わせ状態とされたとき、貫通孔11eがフランジ12a及びインフレータ12により蓋われるようにされている。また、インフレータ12は、フランジ12aの板厚方向の大きさが、フランジ12aの四角形の一辺よりも小さくされている。従って、図6のように、フランジ12aの板面が、底部11cの底面に対して略垂直となるようにフランジ12aを傾斜することにより、インフレータ12を伸縮体11の外側から内側へ挿入することができる。
【0036】
インフレータ12は、火薬を具備するため、インフレータ12の取付時においても、インフレータ12には溶接、静電気等による火気を近づけないことが必要である。第1実施形態のインフレータ取付方法によれば、伸縮体11へのインフレータ12の取付作業は、伸縮体11の閉空間が形成された後となるため、インフレータ12に製造作業時の火気が影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0037】
インフレータ12の底部11cへの固定は、インフレータ12を伸縮体11内に挿入した状態で行うことになり、作業者はインフレータ12と底部11cの全体が見えない状態で作業を行わなければならない。しかし、上述のように底部11cの空間内側には段部11dが形成されているため、インフレータ12のフランジ12aが段部11dに嵌合したか否かによりインフレータ12が正規の位置にあるか否かを作業者は容易に判断することができる。
【0038】
図7は、インフレータ12が正規の位置にない状態を示し、この状態では、ボルト15a(本発明における雄ねじ体に相当)をフランジ12aと一体に固定されたナット15b(本発明における雌ねじ体に相当)に螺合させることができない。図5のように、インフレータ12が正規の位置となり、フランジ12aが段部11dに嵌合した状態では、ボルト15aをナット15bに螺合させることができる。この場合、ナット15bはフランジ12aに溶接固定されている。ボルト・ナット15のうち、フランジ12aへの溶接固定をボルト15aとすることも考えられる。しかし、その場合には、図6で説明したように、インフレータ12を貫通孔に通す際にボルト15aのフランジ面からの突出量はナット15bを熔接固定した場合に比べて大きくなる。従って、フランジ12aに溶接固定するのはナット15bとした方が作業性が良くなるメリットがある。なお、フランジ12aの底部11cに対する固定は、溶接、接着、係合構造等によってもよい。
【0039】
<第1実施形態の作用>
車両の衝突が予知されてインフレータ12が作動され、インフレータ12がガスを発生すると、図8のように、伸縮体11は膨張(伸長)して、蛇腹11aが伸びてバンパリインフォースメント1が前方に突出される。その後、バンパに衝突物体が衝突して、図9のように、バンパリインフォースメント1が後方に押されると、伸縮体11が収縮しながら衝突エネルギを吸収する。このとき、伸縮体11内でインフレータ12が発生したガスは別途設けられている排気弁(図示略)から排気される。
【0040】
<第1実施形態の効果>
この間、伸縮体11内のガスは、排気弁以外から漏れることが抑制される。即ち、伸縮体11は容器形状とされ、しかも、インフレータ12は伸縮体11の貫通孔11eに対して伸縮体11の空間内側から貫通孔11eを塞いだ状態で被せられている。そのため、伸縮体11に余分な隙間は形成されない。また、インフレータ12のガス圧を受けてインフレータ12のフランジ12aは伸縮体11の底部11cに対して圧接され、ガス漏れは抑制される。なお、必要に応じてフランジ12aと底部11cとの間にガスケット等のシール材を挿入してもよい。
【0041】
<第2実施形態の構成>
図10は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、インフレータ12のフランジ12aの伸縮体11の底部11cに対する固定を、ボルト・ナット15ではなく、接着剤により行うようにした点である。その他の構成は、両者全く同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0042】
図10のように、フランジ12aの外周は伸縮体11の底部11cに向けて屈曲されて屈曲部12bが形成されている。一方、その屈曲部12bに対応して伸縮体11の底部11cには、受容部11fが環状に形成されている。受容部11f内には、接着剤11gが充填されており、受容部11f内に挿入された屈曲部12bを受容部11fから容易に抜けないように固着している。
【0043】
<その他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、伸縮体の底部の貫通孔の形状、及びインフレータのフランジの形状を四角形としたが、これらの形状を楕円形状、長円形状、底辺が高さに比べて大きくされた三角形状などとしてもよい。また、上記実施形態では、本発明を自動車に適用したが、自動車以外の各種車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 バンパリインフォースメント(衝突荷重受部材)
2L、2R フロントメンバ(被衝突部の車両構造体)
21 トップメンバ
10 衝撃吸収ユニット
11 伸縮体
11a 蛇腹
11b フランジ
11c 底部
11d 段部
11e 貫通孔
11f 受容部
11g 接着剤
12 インフレータ(流体供給手段)
12a フランジ
12b 屈曲部
13 カバー体
13a 容器部
13b フランジ
14 蓋体
15 ボルト・ナット(ねじ固定具)
15a ボルト(雄ねじ体)
15b ナット(雌ねじ体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10