(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の側面では、式(I)の化合物またはその塩、より詳しくは、その薬学的に許容可能な塩:
【化1】
[式中、R
1は、水素原子、シクロプロピル基、またはピラゾール環を表し、該ピラゾールが1個または2個のメチル基によって置換されていてもよい]
が提供される。
【0012】
式(I)の化合物およびそれらの塩は、α
vβ
6インテグリンアンタゴニスト活性を有し、特定の障害の治療または予防に使用される可能性があると考えられる。用語α
vβ
6アンタゴニスト活性には、本明細書ではα
vβ
6阻害剤活性を含む。
【0013】
本発明の第2の側面では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含んでなる医薬組成物が提供される。
【0014】
本発明の第3の側面では、療法において、特に、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療において使用するための式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0015】
本発明の第4の側面では、それを必要とするヒトにおけるα
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療または予防方法が提供され、その方法は、それを必要とするヒトに治療上有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる。
【0016】
本発明の第5の側面では、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療のための薬剤の製造における式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0017】
本発明の第6の側面では、式(XV)の化合物:
【化2】
[式中、
R
1は、上記に定義される通りであり、
X
1は、ヒドロキシルまたはヒト身体の代謝によって加水分解されてX
1が−OHである式(I)の対応する酸化合物を形成し得る部分を表し、
Y
1は、水素またはヒト身体の代謝によって加水分解されてY
1が水素である式(I)の対応するアミノ化合物を形成し得る部分を表し、
ただし、X
1がヒドロキシルである場合には、Y
1は水素でない]
が提供される。
【0018】
本発明の第1の側面では、式(I)の化合物またはその塩、より詳しくは、その薬学的に許容可能な塩:
【化3】
[式中、
R
1は、水素原子、シクロプロピル基、またはピラゾール環を表し、該ピラゾールが1個または2個のメチル基によって置換されていてもよい]
が提供される。
【0019】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、構造式(IA)を有する。
【化4】
【0020】
他の態様では、式(I)の化合物またはその塩は、構造式(IB)を有する。
【化5】
【0021】
本発明は本明細書に記載された特定の好ましい基のあらゆる組合せを包含すると理解されるべきである。
【0022】
いくつかの態様では、R
1は、水素原子を表す。
【0023】
いくつかの態様では、R
1は、シクロプロピルを表す。
【0024】
いくつかの態様では、R
1は、1H−ピラゾール環を表す。
【0025】
いくつかの態様では、R
1は、3−メチル−1H−ピラゾール環を表す。
【0026】
いくつかの態様では、R
1は、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール環を表す。
【0027】
一態様では、本化合物は、
(S)−3−(3−モルホリノフェニル))−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、
(S)−3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、
(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、
(S)−3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、および
(S)−3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、またはその薬学的に許容可能な塩、
(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)−5−フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、
(S)−3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸、
(S)−3−(3−モルホリノ−5−(−1H−ピラゾール−4−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
から選択される。
【0028】
一態様では、本化合物は、
3−(3−モルホリノフェニル))−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0029】
式(I)または(IA)または(IB)の化合物は、塩基性アミン基とカルボン酸基の両方を有し、結果として内部塩、すなわち、両性イオンまたは分子内塩を形成し得る。従って、ある態様では、式(I)の化合物は両性イオン塩形態にある。別の態様では、式(IA)の化合物は両性イオン塩形態にある。別の態様では、式(IB)の化合物は両性イオン塩形態にある。
【0030】
本発明は親化合物としてのおよびその塩としての、例えば、その薬学的に許容可能な塩としての式(I)の化合物を包含することが認識されるであろう。1つの態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0031】
好適な塩の総説としては、Berge et al., J. Pharm. Sci., 66:1-19, (1977)を参照のこと。好適な薬学的に許容可能な塩は、P H Stahl and C G Wermuth編, Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection and Use, Weinheim/Surich: Wiley- VCH/VHCA, 2002に列挙されている。好適な薬学的に許容可能な塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、オルトリン酸、硝酸、リン酸、もしくは硫酸などの無機酸、または例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、サリチル酸、マレイン酸、グリセロリン酸、酒石酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸、ヘキサン酸、もしくはアセチルサリチル酸などの有機酸との酸付加塩が含まれ得る。一般に、薬学的に許容可能な塩は、適当であれば所望の酸または塩基を使用することによって容易に調製することができる。得られた塩は、溶液から沈澱させ、濾取することができるか、または溶媒の蒸発により回収することができる。
【0032】
他の薬学上許容されない塩、例えば、ギ酸塩、シュウ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩も、式(I)の化合物を単離する際に使用することができ、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
薬学的に許容可能な塩基付加塩を、場合により好適な溶媒中で、式(I)の化合物を好適な有機塩基(例えば、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン、アルギニン、リシンもしくはヒスチジン)と反応させることにより形成して塩基付加塩を得ることができ、この塩基付加塩を通常、例えば、結晶化および濾過により単離する。薬学的に許容可能な無機塩基塩には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩などのアルカリ土類金属、ならびにイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンなどの第一級、第二級および第三級アミンの塩を含む有機塩基との塩が含まれる。
【0034】
1つの態様では、式(I)の化合物は親化合物の形態である。
【0035】
本発明は、その範囲内に、総ての可能な化学量論的および非化学量論的形態の式(I)の化合物の塩を含む。
【0036】
多くの有機化合物は、それらが反応される、またはそれらが沈澱もしくは結晶化される溶媒と複合体を形成することができることが認識されるであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られる。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られる。水、キシレン、N−メチルピロリジノン、メタノールおよびエタノールなどの、高沸点を有しかつ/または水素結合を形成することができる溶媒を、溶媒和物を形成するために使用することができる。溶媒和物を同定するための方法には、限定されるものではないが、NMRおよび微量分析が含まれる。結晶形態は場合により、例えば、薬学的に許容可能な溶媒和物、例えば、化学量論水和物ならびに変動量の水を含有する化合物であり得る水和物を形成するように溶媒和され得ることが認識されるであろう。溶媒和物には、化学量論溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。式(I)の化合物は、溶媒和形態または非溶媒和物形態で存在し得る。
【0037】
式(I)の化合物は、結晶形または非晶質形であり得る。さらに、式(I)の化合物の結晶形の一部は多形として存在することもあり、これらも本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物の多形形態は、限定されるものではないが、X線粉末回折(XRPD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TGA)、および固相核磁気共鳴(SSNMR)を含むいくつかの従来の分析技術を使用して、特性評価および識別を行うことができる。
【0038】
本明細書に記載の化合物は2個の不斉中心を含有するので、光学異性体、例えば、ジアステレオ異性体および鏡像異性体が形成され得る。従って、本発明は、他の異性体を実質的に含まないように単離された(すなわち、純粋な)個々の異性体としてであれ、または混合物としてであれ、式(I)の化合物の異性体を包含する。他の異性体を実質的に含まないように単離された(すなわち、純粋な)個々の異性体は、10%未満、特に、約1%未満、例えば約0.1%未満の他の異性体が存在するように単離され得る。
【0039】
当業者には、ある特定のジアステレオ異性体は他のものよりも活性が劣ることがあり、個々のジアステレオ異性体の活性は選択限界を下回ることもあることが理解されるであろう。
【0040】
1つの態様では、化合物は(S)−3−(3−モルホリノフェニル))−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸またはその薬学的に許容可能な塩である。
【化6】
【0041】
別の態様では、化合物は(R)−3−(3−モルホリノフェニル))−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸またはその薬学的に許容可能な塩である。
【化7】
【0042】
異性体の分離は、当業者に公知の従来技術によって、例えば、分別結晶化、クロマトグラフィーまたはHPLCによって達成することができる。
【0043】
式(I)の化合物は、いくつかの互変異性型の1つとして存在し得る。本発明は、個々の互変異性体としてであれまたはその混合物としてであれ、式(I)の化合物の総ての互変異性体を包含することが認識されるであろう。
【0044】
以上から式(I)の化合物およびその塩の溶媒和物、異性体および多形が本発明の範囲内に含まれることが認識されるであろう。
【0045】
本発明の第6の側面では、式(XV)の化合物
【化8】
[式中、
R
1は、上記で定義される通りであり、
X
1は、ヒドロキシルまたはヒト身体の代謝によって加水分解されてX
1が−OHである式(I)の対応する酸化合物を形成し得る部分を表し;
Y
1は、水素またはヒト身体の代謝によって加水分解されてY
1が水素である式(I)の対応するアミノ化合物を形成し得る部分を表し;
ただし、X
1がヒドロキシルである場合には、Y
1は水素でない。]
が提供される。
【0046】
いくつかの態様では、X
1は部分−ORaであり得、従って、式(I)の化合物はエステルである。
【0047】
例えば、部分Raは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル(およびその異性体)もしくはヘキシル(およびその異性体)などのC
1−6アルキル;または2−メトキシエチル、2−(tert−ブトキシ)エチルなどのC
1−6アルコキシアルキル;または2−(ジメチルアミノ)エチルなどのC
1−6アルキルアミノアルキル;または(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソl−4−イル)メチルなどのC
1−6環式炭酸基;または(ピバロイルオキシ)メチルなどのC
1−6アシルオキシアルキルから選択され得る。
【0048】
例えば、部分Raは、フェニル、5−インダニルまたはL−チロシニルなどのアリール基から選択され得る。
【0049】
例えば、部分Raは、式−(CH
2)
nNRbRcまたは−(CH
2)
nCO NRbRcのC
1−6基などのアミノ基またはアミド基を含有する基から選択され得、式中、nは1〜3であり、RaおよびRbは独立にHもしくはC
1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはRaおよびRbは一緒にモルホリニルなどの環式基を形成している。このような部分の例としては、ジメチルアミノエチル、2−(4−モルホリノ)エチル、アミノ−2−オキソエチル、およびジメチルアミノ−2−オキソエチルが挙げられる。
【0050】
例えば、部分Raは、L−セリンおよびL−トレオニンなどのα−アミノ酸を含有するヒドロキシルから選択され得る。
【0051】
例えば、部分Raは、式:
【化9】
[式中、Rdは、水素、メチル、エチルまたはイソ−プロピルである。]
の環式カーボネートであり得る。
【0052】
例えば、部分Raは、−CHRe−O−CO−Rfから選択され得、式中、Reは、水素、またはメチル、エチルもしくはイソ−プロピルなどのC
1−3アルキルであり、Rfは、メチル、エチル、イソ−プロピル、tert−ブチルもしくはC
5−6シクロアルキルなどのC
1−4アルキル、またはテトラヒドロピラニルである。
【0053】
例えば、部分Raは、−CH(Rg)−O−CO−O−Riから選択され得、式中、Rgは、水素、またはメチル、エチルもしくはイソ−プロピルなどのC
1−3アルキルであり、Riは、メチル、エチル、tert−ブチルもしくはC
5−6シクロアルキルなどのC
1−4アルキル、またはテトラヒドロピラニルである。
【0054】
いくつかの態様では、X
1は部分−NHRjであり得、従って、式(I)の化合物はアミドであり、式中、Rjは例えばC
1−6アルキルであり得る。例えば、式(I)の化合物は、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、システイン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、もしくはアルギニンなどの天然に存在するL−タンパク質構成アミノ酸のα−アミノ基、または上述のタンパク質構成アミノ酸のジ−ペプチドに連結されたアミノ酸に由来するアミドであり得る。例えば、Rjは、アミノ酸の側鎖ε−アミノ基に連結されたL−リシン部分などのタンパク質構成アミノ酸部分、例えば、−(CH
2)
4CH(NH
2)CO
2Hであり得る。
【0055】
例えば、Rjは、−SO
2−Rkなどのスルホンアミド部分であり得、式中、RkはメチルなどのC
1−6アルキル、または−NRmRnであり、RmおよびRnは独立にHもしくはC
1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはRmおよびRnは一緒にモルホリニルなどの環式基を形成している。
【0056】
いくつかの態様では、Y
1は水素であり得る。
【0057】
1つの態様(a)では、Y
1は、C
1−6環式炭酸基により置換されたC
1−6アルキル、例えば、
【化10】
[式中、Rkは、メチル、エチルまたはイソ−プロピルなどのC
1−3アルキルである。]
などの(オキソジオキソニル)メチル基である。
【0058】
別の態様(b)では、Yは、カルバミン酸基、例えば、
【化11】
[式中、Rlは、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ペンチル、またはn−ヘキシルなどのC
1−6アルキルである。]
であり得る。
【0059】
別の態様では、Rlは、OHまたはNMe
2基で置換されたC
1−6アルキル、例えば、−CH
2CH
2OHまたは−CH
2CH
2NMe
2である。
【0060】
別の態様(c)では、Y
1は、一般構造
【化12】
[式中、
Rmは、水素、メチルまたはイソ−プロピルであり、RnはC
1−6アルキル、例えば、メチル、エチル、イソ−プロピル、tert−ブチル、シクロアルキル、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘテロシクリル、例えば、4−テトラヒドロピラニル、アリール、例えば、フェニル、置換フェニル、ヘテロアリール、例えば、2−、3−または4−ピリジルである。]
の基であり得る。
【0061】
別の態様(d)では、Y
1は、一般構造
【化13】
[式中、
RqおよびRrは、独立に、水素、フェニル、ナフチル、アルキル、Et
2NCOCH
2−であるか、またはRqおよびRrは、サリゲニンなどのC
1−6環を形成してもよい。]
の基であり得る。
【0062】
別の態様では、式(I)の化合物は、X
1およびY
1が任意の組合せで上記に定義されるような二重プロドラッグである。
【0063】
本発明は、レシピエントに投与した際に式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはその活性代謝物もしくは残渣を(直接的または間接的に)もたらし得る式(I)の化合物およびその薬学的に許容可能な塩のあらゆるプロドラッグに関する。式(I)の化合物の他の好適なプロドラッグは当業者に容易に明らかになる(例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 第5版, Vol 1: Principles and Practice, and J. Rautio et al (Nature Reviews Drug Discovery 2008, 7, 255-270)。
【0064】
化合物の調製
本発明の化合物は、標準的な化学作用を含む様々な方法によって製造することができる。従前に定義された変数はいずれも、そうではないことが示されない限り、従前に定義された意味を有し続ける。一般合成法の実例を以下に示し、次いで、具体的な本発明の化合物を、実施例において調製する。
【0065】
構造式(I)の化合物は、構造式(II):
【化14】
[式中、
R
1は、上記に定義された通りであり、かつ、
R
2は、C
1〜C
6アルキル基、例えば、tert−ブチル、メチル、または(-)-メンチル等のキラルアルコール基、例えば(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノールである。]
の化合物の第1の脱保護、すなわち、エステル基の切断、続いて、任意の塩への変換を伴う工程によって製造され得る。
【0066】
R
2がtert−Buである、構造式(II)の化合物の脱保護は、例えば、ジクロロメタン、2−メチル−テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、またはシクロペンチルメチルエーテルまたは水などの不活性な溶媒中の塩酸、臭化水素酸、硫酸、またはトリフルオロ酢酸を用いた酸加水分解により達成され得る。
【0067】
エステル基の切断後、得られた生成物は、当業者に周知の方法により必要な塩に変換され得る。
【0068】
構造式(II)の化合物は、構造式(III):
【化15】
[式中、R
1およびR
2は、上記で定義された通りである。]
の化合物の触媒(炭素上のパラジウム等)に対する接触水素化によって得られる。水素化は、大気圧下か、または2〜10大気圧等の水素ガスの多少より高い圧力下で、EtOH、MeOHまたは両方の混合物等の好適な溶媒中で実施し得る。
【0069】
構造式(III)の化合物は、構造式(IV):
【化16】
[式中、
R
1およびR
2は、上記で定義された通りであり、二重結合の幾何学は、(E)異性体、または(E)異性体と(Z)異性体の混合物、好ましくは、純粋な(E)異性体であり、
構造式(V):
【化17】
[式中、
R
1は、上記で定義された通りであり、R
3は、好適な触媒の存在下、場合により上昇した温度にてキラルリガンドの存在下、および塩基の存在下でのピナコール等の水素またはC
1〜C
6アルキル基のいずれかを表す。]
のボロン酸またはボロン酸エステルである。]
の化合物の反応に関与する方法によって調整され得る。
【0070】
構造式(V)の化合物は、純粋なボロン酸(R
3=H)として、または水および水酸化カリウムなどの塩基の存在下でin situにてボロン酸に変換され得るボロン酸エステル(R
3=アルキル基)として使用され得る。
【0071】
構造式(IV)および(V)の化合物を縮合する工程は、50〜90℃等の上昇した温度にて水酸化カリウムなどの塩基の存在下で1,4−ジオキサン等の水混和性溶媒中の、ロジウム触媒、好ましくはおよそ5モル%のクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体等の好適な触媒の存在下で実行することができる。縮合工程は、厳しい嫌気状態下で実施され、ここで反応混合物が窒素等の不活性ガスでパージされ、低減された圧力下で排出され、排出工程および窒素でのパージング工程は数回(例えば、3回)繰り返される。
【0072】
この方法によっておよそ1:1の比で、結晶化、クロマトグラフィーまたはHPLCによって分離することができる2つのジアステレオ異性体が産出される。好ましい分離方法は、キラルパックOD−H等のキラルサポート上のキラルHPLCである。生成されたジアステレオ異性体の比は、10%のキラルリガンド等の添加剤の存在下で、例えば80:20超に実質的に増加させることができる。このような添加剤には、主要異性体として生物学的により活性なジアステレオ異性体を提供する、鏡像異性的に純粋なホスフィンリガンド、例えば(R)−(+)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン[(R)−BINAP]が含まれる。このベンジルの不斉中心での立体配置は(S)である。
【0073】
ジステレオ異性体の比はアルキル基R
2の規模に依存していることが見出された。従って、R
2が三級である場合、所望する主要異性体がより高い比で得られた。より好ましいアルキル基R
2はtert−Buであり、最大91:9のジアステレオ異性体比を産出した。ジアステレオ異性体比は、キラルHPLCまたは結晶化によって、例えば99:1超にさらに増加させることができる。
【0074】
構造式(IV)の化合物は、DCM等の好適な不活性溶媒中のおよそ10%の好適なパラジウム触媒の存在下で、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン塩基の存在下で、かつ大気温度にて、(R)−2−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,8−ナフチリジン[構造式(VI)の化合物]を構造式(VII):
【化18】
の化合物と反応させることによって調製することができる。好適なパラジウム触媒は、好ましくは2つのジフェニルホスフィン基(例えば、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[Pd(dppf)Cl
2])等の二座配位子を保有する。構造式(VI)の化合物は、遊離塩基として用いてもよく、または第三級アミン塩基の存在下で二塩酸塩等の塩からin situにて発生させてもよい。
【0075】
構造式(VI)の化合物[(R)−2−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,8−ナフチリジン]は本明細書に記載された方法によって調製し得る。例証として(R)−2−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,8−ナフチリジンは、スキーム1に記載された方法によって調製することができる。
スキーム1
【化19】
【0076】
試薬および条件:(a)ヨウ素、イミダゾール、トリフェニルホスフィン、DCM、0℃;(b)2−メチル−[1,8]−ナフチリジン、LiN(TMS)
2、THF、0℃;ジオキサン中4M HCl。
【0077】
3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチルは、FluorochemまたはBePharm Ltdより入手可能であり、2−メチル−[1,8]−ナフチリジンは、例えばManchester Organics Ltd、AldrichまたはAlfa Aesarより入手可能である。
【0078】
構造式(VII)の化合物は本明細書に記載された方法によって調製することができる。例証としてR
2がtert−ブチルであり、二重結合が(E)幾何学を有する構造式(VII)の化合物は、スキーム2に記載された方法によって調製され得る。
スキーム2
【化20】
【0079】
試薬および条件:(a)イソブチレン、濃縮H
2SO
4、ジエチルエーテル、24時間;(b)酢酸カリウム、アセトニトリル、60℃、4時間。
【0080】
(E)−4−ブロモブト−2−エン酸を文献[T. Den Hartog, D. J. Van Dijken, A. J. Minnaard, B. L. Feringa Tetrahedron: Asymmetry 2010, 21, 1574-1584]の方法に従い調製した。
【0081】
R
1がHである構造式(V)の化合物、例えば(3−モルホリノフェニル)ボロン酸は、Combi-Blocks Incより入手可能である。
【0082】
R
1がシクロプロピル基でありかつR
3がピナコールである構造式(V)の化合物は、メトキシ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)二量体等のイリジウム触媒の存在下で、かつ4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビピリジン等のリガンドの存在下で、tert−ブチルメチルエーテル等の不活性溶媒中で、約80℃等の上昇した温度にて、好ましくはマイクロ波オーブン内で、構造式(VIII):
【化21】
の化合物をビス(ピナコラト)ジホウ素(Aldrichより入手可能)と反応させることによって調製することができる。
【0083】
R
1がシクロプロピル基である構造式(VIII)の化合物はスキーム3にて概説されている合成経路および本明細書の実験部分に記載された方法によって1,3−ジブロモベンゼンより調製することができる。
スキーム3
【化22】
【0084】
試薬および条件:(a)モルホリン、Pd
2(dba)
3、NaOBu−t、BINAP、トルエン、マイクロ波オーブン、50℃;(b)THF中のシクロプロピル臭化マグネシウム、PdCl
2(dppf)−CH
2Cl
2付加物、70℃。
【0085】
R
1が1H−ピラゾールである構造式(V)の化合物は、スキーム4にて概説されている合成経路および本明細書の実験部分に記載された方法によって1,3−ジブロモ−5−ヨードベンゼンより調製することができる。
スキーム4
【化23】
【0086】
試薬および条件:(a)1H−ピラゾール、Cs
2CO
3、CuI、アセトニトリル、還流;(b)モルホリン、Pd
2(dba)
3、NaOBu−t、BINAP、トルエン、マイクロ波オーブン、90℃;(c)4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)、PdCl
2(dppf)、KOAc、DMF、マイクロ波オーブン、115℃、1時間。
【0087】
R
1が3−メチル−1H−ピラゾールである構造式(V)の化合物は、スキーム5にて概説されている合成経路および本明細書の実験部分に記載された方法によって1,3−ジブロモ−5−ヨードベンゼンより調製することができる。
スキーム5
【化24】
【0088】
試薬および条件:(a)3−メチル−1H−ピラゾール、Cs
2CO
3、CuI、アセトニトリル、還流;(b)モルホリン、Pd
2(dba)
3、NaOBu−t、BINAP、トルエン、還流;(c)4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)、PdCl
2(dppf)、KOAc、DMF、マイクロ波オーブン、115℃、1時間。
【0089】
R
1が3,5−メチル−1H−ピラゾールである構造式(V)の化合物は、スキーム6にて概説されている合成経路および本明細書の実験部分に記載された方法によって1,3−ジブロモアニリンより調製することができる。
スキーム6
【化25】
【0090】
試薬および条件:(a)i)亜硝酸ナトリウム、硫酸、水、0°C;ii)(R)−5−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキシフラ−2(5H)−ノン、水;iii)ペンタン−2,4−ジオン、80°C;(b)モルホリン、Pd
2(dba)
3、NaOBu−t、BINAP、トルエン、還流;(c)4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)、PdCl
2(dppf)、X−PHOS、KOAc、1,4−ジオキサン、110℃、1時間。合成工程を実施する順序は入れ替えてもよい、例えば、テトラヒドロナフチリジン環を生成するための水素化工程は、最後から2番目の段階よりむしろより早い段階で実施されてもよい。
【0091】
代替の合成経路において構造式(II)の化合物は、エタノール等の溶媒中の水性リン酸三カリウムの存在下での塩化2′−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニルイル−パラジウム(II)ジノルボルニルホスフィン複合体(Aldrichより入手可能)等の好適な触媒を用いて、かつ例えば約130℃の上昇した温度にて、好ましくはマイクロ波反応器にて、構造式(IX):
【化26】
[式中、R
2は前記に定義された通りである。]
の化合物をピナコルエステル(例えば、AldrichまたはChemBridgeより入手可能)等の適切なピラゾールボロン酸またはエステルとSuzuki結合させることによって調製し得る。この経路は、1H−ピラゾール−5−イル環または3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル環等のR
1がC−連結したピラゾールまたは置換されたピラゾールである化合物で研究されてきた。R
2がメチルである場合、(II)のエステル基は、反応条件下で加水分解し得、(II)を単離する必要なく(I)を直接提供し得る。
【0092】
構造式(IX)の化合物は、構造式(X):
【化27】
の化合物から、
クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(l)二量体 (Aldrichより入手可能)等の適切な触媒の存在下で、(R)−BINAP (Aldrichより入手可能)等のキラルリガンドの存在下で、かつ水性KOH等の塩基の存在下で、1,4−ジオキサン等の不活性溶媒中で、上昇した温度(例えば約75℃)にて、かつ窒素等の不活性雰囲気下にて、ピナコルエステル等の3−ブロモ−5−モルホリノフェニルボロン酸(CombiBlocksより入手可能)または適切なボロンエステルである構造式(XI):
【化28】
の化合物と反応させることによって調製し得る。
【0093】
キラルリガンドの非存在下における反応によって、新規に発生したベンジルのキラル中心にてジアステレオ異性体の1:1の混合物が提供される。異性体は分取キラルHPLC等のクロマトグラフィーによって分離され得る。(R)−BINAPの存在によって、異性体の比は必要なジアステレオ異性体を優勢に>80:20へ増加する。異性体はキラルセル OJ H等のカラム上のキラルHPLCによって分離することができる。
【0094】
構造式(X)の化合物は、構造式(XII):
【化29】
(XII)
の化合物からか、およそ10%の好適なパラジウム触媒の存在下で、DCM等の好適な不活性溶媒中で、トリエチルアミン、またはジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン塩基の存在下で、かつ大気温度にて、構造式(VII)の化合物と反応させることのいずれかによって調製することができる。好適なパラジウム触媒の例として、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[Pd(dppf)Cl2]が挙げられる。構造式(XII)の化合物は遊離塩基として用いてもよく、または第三級アミン塩基の存在下で二塩酸塩等の塩からin situにて発生させてもよい。あるいは、構造式(XII)の化合物のアルキル化は、ジクロロメタン等の不活性溶媒中でジイソプロピルエチルアミン、またはトリエチルアミン等の第三級有機塩基の存在下で、0℃等の低下した温度にて、(XIII):
【化30】
等の適切な臭化物を用いて実行することができる。構造式(XIII)の化合物は、市販されているか、例えばR
2が(E)−メチル4−ブロモブト−2−エン酸の場合Aldrichより入手可能であり、R
2がtert−ブチルの場合スキーム2にて概説された方法によって合成することができるかのいずれかである。
【0095】
構造式(XII)の化合物は、構造式(XIV):
【化31】
の化合物から、ジオキサン中のHClまたはジクロロメタン中のTFA等の酸との処理によって調製することができる。
【0096】
構造式(XIV)の化合物は、酢酸エチル等の不活性溶媒中にて、C上にPdまたはC上にRh、好ましくは炭素上にRh等の触媒に対する選択的な触媒的水素化によって、構造式(XV)の化合物から調製することができる。
【0097】
Y
1が水素、X
1がアルコキシである構造式(XV)の化合物は、HATUの存在下における適切なアルコールとジクロロメタン中のジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基との反応によって、式(I)の化合物より調製することができる。結果として得られるエステルは、場合により酸の1つの等価と反応させることによって4−スルホン酸トルエン等の塩に転換することができる。
【0098】
上記の経路のいずれにおいても、1以上の官能基を保護することが有利であり得ることが認識されるであろう。保護基およびそれらの除去のための手段の例は、T. W. Greene ‘Protective Groups in Organic Synthesis’ (3rd edition, J. Wiley and Sons, 1999)に見出すことができる。好適なアミン保護基としては、アシル(例えば、アセチル、カルバメート(例えば、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)が含まれ、これらは、適当であれば、加水分解(例えば、ジオキサン中の塩酸、もしくはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸などの酸を使用)によって、または還元的に(例えば、ベンジルもしくはベンジルオキシカルボニル基の水素化分解、または酢酸中で亜鉛を使用する2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)によって除去することができる。他の好適なアミン保護基としては、トリフルオロアセチル(−COCF
3)が含まれ、これは塩基触媒による加水分解によって除去することができる。
【0099】
上記いずれの経路でも、様々な基および部分が分子に導入される合成段階の正確な順序は可変であることが認識されるであろう。この工程の一段階で導入される基または部分が、その後の変換および反応によって影響を受けないように保証し、それに応じて合成段階の順序を選択することは当業者の技術の範囲内である。
【0100】
化合物(I)の絶対立体配置は、既知の絶対立体配置の中間体からの独立したエナンチオ選択的不斉合成によって得ることができる。あるいは、鏡像異性体的に純粋な化合物(I)は、絶対立体配置が既知の化合物に変換され得る。いずれの場合にも、分光分析データ、旋光度および分析的キラルHPLCでの保持時間の比較を絶対立体配置の確認に使用することができる。実現可能であれば、第3の選択肢として、X線結晶構造からの絶対立体配置の決定がある。
【0101】
式(II)〜(XIV)の特定の化合物もまた新規であると考えられ、従って、本発明のさらなる側面をなす。
【0102】
使用方法
式(I)の化合物およびその塩は、α
vインテグリンアンタゴニスト活性、特に、α
vβ
6受容体活性を有すると考えられ、従って、α
vβ
6アンタゴニストが指示される疾患または病態の治療において潜在的有用性を有する。
【0103】
従って、本発明は、療法において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療において使用することができる。
【0104】
従って、本発明は、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0105】
また、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態の治療のための薬剤の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用も提供される。
【0106】
また、必要とする対象においてα
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態を治療する方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0107】
好適には、それを必要とする対象は哺乳動物、特に、ヒトである。
【0108】
本明細書で使用する場合、用語「有効な量」は、例えば、研究者または臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効な量」は、そのような量を受容していない対応する対象と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは寛解の改善、または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増進するために有効な量に含む。
【0109】
線維性疾患は、修復過程または反応過程にある器官または組織において過剰な線維性結合組織の形成を伴う。α
vβ
6アンタゴニストは、α
vβ
6インテグリン機能およびα
vインテグリンを介してのトランスフォーミング増殖因子βの活性化に依存するものを含む、様々なそのような疾患または病態の治療において有用であると考えられる。疾患には、限定されるものではないが、肺線維症(例えば、特発性肺線維症、非特異的間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、Hermansky−Pudlak症候群、進行性塊状線維症(炭坑夫塵肺症の合併症)、結合組織疾患関連肺線維症、喘息およびCOPDでの気道線維症、ARDS関連線維症、急性肺損傷、放射線誘発線維症、家族性肺線維症、肺高血圧);腎線維症(糖尿病性腎障害、IgA腎障害、狼瘡性腎炎、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、移植腎障害、自己免疫腎障害、薬物誘発性腎障害、高血圧関連腎障害、腎性全身性線維症);肝線維症(ウイルス誘発性線維症(例えば、C型またはB型肝炎)、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝臓疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む非アルコール性脂肪肝疾患、先天性肝線維症、原発性硬化性胆管炎、薬物誘発性肝炎、肝硬変);皮膚線維症(肥厚性瘢痕、強皮症、ケロイド、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、Dupytrens拘縮、Ehlers−Danlos症候群、Peyronie病、栄養障害型表皮水疱症、口腔粘膜下線維症);眼線維症(加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ、緑内障);角膜瘢痕化、角膜損傷および角膜創傷治癒、線維柱帯切除術後の濾過胞瘢痕化の予防;心臓線維症(鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心内膜心筋線維症、肥大性心筋症(HCM))、ならびに他の多種の線維性病態(縦隔線維症、骨髄線維症、腹膜後線維症、クローン病、神経線維腫症、子宮平滑筋腫(線維性)、慢性臓器移植拒絶)が含まれ得る。α
vβ
1、α
vβ
5またはα
vβ
8インテグリンのさらなる阻害に関するさらなる利点も存在し得る。
【0110】
加えて、α
vβ
6インテグリンに関連する前癌病変または癌も治療することができる(これらには、限定されるものではないが、子宮内膜癌、基底細胞癌、肝臓癌、結腸癌、子宮頸癌、口腔癌、膵臓癌、乳癌および卵巣癌、カポジ肉腫、巨細胞腫瘍、ならびに癌関連間質が含まれ得る)。血管新生に対する作用から利点を得ることができる病態も、利益を受け得る(例えば、固形腫瘍)。
【0111】
用語「α
vβ
6アンタゴニストが指示される疾患または病態」は、上記病的状態のいずれかまたは総てを含むことが意図される。
【0112】
1つの態様では、α
vβ
6アンタゴニストが指示される疾患または病態は、特発性肺線維症である。
【0113】
別の態様では、α
vβ
6アンタゴニストが指示される疾患または病態は、角膜瘢痕化、角膜損傷および角膜創傷治癒から選択される。
【0114】
組成物
療法において使用するために、式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容可能な塩を、そのままの化学物質として投与してもよいが、有効成分を医薬組成物として提供することが一般的である。
【0115】
従って、本発明は、さらなる側面で、式(I)の化合物またその薬学的に許容可能な塩と1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。式(I)の化合物および薬学的に許容可能な塩は上記の通りである。担体、希釈剤または賦形剤は、組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で許容されなければならない。
【0116】
本発明の別の側面によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物の調製方法も提供される。医薬組成物は、本明細書に記載の病態のいずれかの治療において使用することができる。
【0117】
さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなる、α
vβ
6インテグリンアンタゴニストが指示される疾患または病態を治療するための医薬組成物も提供される。
【0118】
さらに、0.01〜3000mgの式(I)の化合物またはその薬学的塩と0.1〜2gの1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含んでなる医薬組成物も提供される。
【0119】
式(I)の化合物は医薬組成物における使用を意図されているので、それらがそれぞれ、好ましくは実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも純度60%、より好適には少なくとも純度75%、好ましくは少なくとも純度85%、特には少なくとも純度98%(重量に対する重量の%)で提供されることが容易に理解されるであろう。
【0120】
医薬組成物は、単位用量当たり所定量の有効成分を含有する単位投与形で提供され得る。好ましい単位投与組成物は、有効成分の1日用量もしくは部分用量、またはその適切な分数を含有するものである。従って、そのような単位用量は、1日2回以上投与することができる。好ましい単位投与組成物は、本明細書の上記で挙げたような1日用量もしくは部分用量(1日2回以上投与するため)、または適切なその分数の有効成分を含有するものである。
【0121】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口(頬側または舌下を含む)、直腸、吸入、鼻腔内、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、膣、目または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)経路による投与に適合させることができる。そのような組成物は、薬学分野で知られている任意の方法によって、例えば、有効成分を担体または賦形剤と会合させることによって製造することができる。
【0122】
1つの態様では、医薬組成物は経口投与に適合される。
【0123】
経口投与に適合させた医薬組成物は、カプセル剤もしくは錠剤などの分離した単位;散剤もしくは顆粒;水性液もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液;可食フォームまたはホイップ;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提供され得る。
【0124】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与では、有効薬物成分を、エタノール、グリセロール、水などの経口用の非毒性で薬学的に許容可能な不活性担体と合わせることができる。錠剤またはカプセル剤に組み込むために適した散剤は、化合物を好適な微細な粒径(例えば、微粉化によって)に縮小し、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの可食炭水化物などの同様に調製された医薬担体と混合することによって調製され得る。香味剤、保存剤、分散剤および着色剤も存在することができる。
【0125】
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を調製し、成形ゼラチンシースに充填することによって製造することができる。コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの、流動促進剤および滑沢剤を、充填操作の前に、粉末混合物に添加することができる。カプセル剤が摂取される際に、薬剤の利用度を改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を添加することもできる。
【0126】
さらに、所望の場合または必要な場合には、好適な結合剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、崩壊剤および着色剤も、混合物に組み込むことができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然の糖(グルコースまたはベータ−ラクトースなど)、トウモロコシ甘味剤、天然および合成ゴム(アラビアガム、トラガカントガムまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。
【0127】
これらの投与形で使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。
【0128】
崩壊剤には、限定されるものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒またはスラグとし、滑沢剤および崩壊剤を添加し、打錠することによって製剤化する。粉末混合物は、適切に微粉化された化合物を、上記のように希釈剤または基剤、ならびに任意選択でカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリンもしくリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム漿またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤で湿らせ、篩に通すことによって顆粒化することができる。造粒の代わりに、粉末混合物を、打錠機に掛けることができ、結果として不完全に形成されたスラグが破砕されて顆粒となる。顆粒剤は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって、錠剤成形金型に粘着することを防止するために滑沢化することができる。次いで、滑沢化された混合物を打錠する。本発明の化合物は、流動性不活性担体と混合して、造粒またはスラグ化工程を行うことなく直接、打錠することもできる。セラックのシールコート、糖またはポリマー材料のコーティング、およびワックスの艶出コーティングからなる透明または不透明の保護コーティングを施すことができる。異なる単位用量を識別するために、これらのコーティングに染料を添加することができる。
【0129】
溶液、シロップ、およびエリキシルなどの経口用液体は、所定量が、予め決定された量の化合物を含有するように、単位投与形で調製することができる。シロップは、化合物を適宜矯味した水溶液に溶かすことによって調製することができ、エリキシルは、非毒性アルコールビヒクルの使用によって調製する。懸濁剤は、化合物を非毒性ビヒクルに分散させることによって製剤化することができる。エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤、ペパーミントオイルなどの香味添加剤、または天然甘味剤もしくはサッカリンもしくは他の人口甘味剤なども添加することができる。
【0130】
適当であれば、経口投与用の用量単位組成物を、マイクロカプセル化することができる。処方物は、例えば、粒子材料をポリマー、ワックスなどでコーティングまたはそれに包埋することによって、放出を延長また持続させるように調製することもできる。
【0131】
本発明の化合物は、小単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞および多重ラメラ小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0132】
経皮投与に適合させた医薬組成物は、長期間にわたってレシピエントの表皮と密着して接触して留まるように意図された別個のパッチ剤として提供することができる。
【0133】
局所投与に適合させた医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁剤、ローション、散剤、液剤、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製剤化することができる。
【0134】
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療では、組成物は、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏に製剤化する場合、有効成分を、パラフィン系または水混和性軟膏剤基剤のいずれかとともに使用することができる。あるいは、有効成分を、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を用いてクリーム剤に製剤化することができる。本発明の化合物は、局所用点眼剤として投与することができる。本発明の化合物は、1日より長い投与間隔を要する結膜下、房内または硝子体内経路を介して投与することができる。
【0135】
眼への局所投与に適合させた医薬組成物(処方物)には、有効成分が好適な担体、特に、水性溶媒に溶解または懸濁している点眼剤が含まれる。眼に投与される処方物は、眼科的に適合するpHおよびモル浸透圧濃度を有する。酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および乳酸ナトリウムなどの塩基;ならびにクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどのバッファーを含め、1種以上の眼科的に許容可能なpH調整剤および/または緩衝剤が本発明の組成物に含まれ得る。このような酸、塩基、およびバッファーは、組成物のpHを眼科的に許容可能な範囲に維持するのに必要な量で含まれ得る。1以上の眼科的に許容可能な塩は、組成物のモル浸透圧濃度を眼科的に許容可能な範囲とするのに十分な量で組成物を含み得る。このような塩としては、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム陽イオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、重炭酸、硫酸、チオ硫酸または重亜硫酸陰イオンを有するものが含まれる。
【0136】
眼送達デバイスは、複数の定義された放出速度ならびに持続的用量動態および透過性を持った1種以上の治療薬の放出制御のために設計することができる。放出制御は、生分解性/声帯浸食性ポリマー(例えば、ポリ(エチレンビニル)アセテート(EVA)、超加水分解するd PVA)、ヒドロキシアルキルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、ポリ無水物の、薬物の拡散、腐食、溶解および浸透を増強するポリマー分子量、ポリマー結晶度、共重合体比、加工条件、表面仕上げ、幾何学、賦形剤添加およびポリマーコーティングの、種々の選択および特性を組み込んだポリマーマトリックスの設計を通して得ることができる。
【0137】
眼用デバイスを用いた薬物送達のための処方物は、1種以上の有効薬剤と指示される投与経路に適当なアジュバントを組み合わせることができる。例えば、有効薬剤を、任意の薬学的に許容可能な賦形剤、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アラビアガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジン、および/またはポリビニルアルコールと混合し、従来の投与向けに錠剤化またはカプセル化することができる。あるいは、本化合物をポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、エタノール、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ゴマ油、トラガカントガム、および/または種々のバッファーに溶解させてもよい。本化合物はまた、生分解性および非生分解性ポリマーの両方の組成物および時間遅延特性を有する担体または希釈剤と混合してもよい。生分解性組成物の代表例としては、アルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース、デキストラン、多糖類、ポリ(D、L−ラクチド)、ポリ(D、L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)およびポリ(オルトエステル)およびそれらの混合物が挙げられる。非生分解性ポリマーの代表例としては、EVAコポリマー、シリコーンゴムおよびポリ(メチルアクリレート)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0138】
眼送達用の医薬組成物はまた、in situゲル化可能水性組成物も含む。このような組成物は、眼または涙液と接触した際にゲル化を促進するのに効果的な濃度でゲル化剤を含んでなる。好適なゲル化剤としては、限定されるものではないが、熱硬化性ポリマーが含まれる。用語「in situゲル化可能」とは、本明細書で使用する場合、眼または涙液と接触した際にゲルを形成する低粘度の液体を含むだけでなく、眼に投与した際に実質的に高い粘度またはゲル強度を示す半液体およびチキソトロピックゲルなどのより粘稠な液体も含む。例えば、眼への薬物送達に使用するためのポリマーの例の教示の目的で引用することにより本明細書の一部とされるLudwig (2005) Adv. Drug Deliv. Rev. 3; 57:1595-639を参照。
【0139】
口腔中への局所投与に適合させた医薬組成物には、ロゼンジ剤、香錠および洗口液が含まれる。
【0140】
直腸投与に適合させた医薬組成物は、坐剤または浣腸として提供することができる。
【0141】
鼻腔または吸入投与用の投与形は、好都合には、エアロゾル、溶液、懸濁液、ゲルまたはドライパウダーとして処方され得る。
【0142】
吸入投与に好適かつ/または適合させた組成物では、本発明の化合物は粒径縮小形態であることが好ましく、より好ましくは、粒径縮小形態は微粉化により得られるか、または得ることができる。粒径縮小(例えば、微粉化)化合物または塩の好ましい粒径は、約0.5〜約10ミクロン(例えば、レーザー回折を用いて測定した場合)のD50値により定義される。
【0143】
例えば吸入投与用のエアロゾル処方物は、薬学的に許容可能な水性または非水性溶媒中の有効物質の溶液または微細懸濁液を含んでなり得る。エアロゾル処方物は、噴霧装置または吸入器とともに使用するためのカートリッジまたはレフィルの形態と採り得る密閉容器内に無菌形態で単回または複数回用量として提供することができる。あるいは、密閉容器は、単回用量鼻腔用吸入器または容器の内容物が使い尽くされた際に処分することが意図される定量バルブを取り付けたエアロゾルディスペンサー(定量噴霧式吸入器)などの単位分注デバイスであり得る。
【0144】
投与形がエアロゾルディスペンサーを含んでなる場合、それは好ましくは、圧縮空気、二酸化炭素、またはヒドロフルオロカーボン(HFC)などの有機噴射剤といった加圧下の好適な噴射剤を含有する。好適なHFC噴射剤としては、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンが含まれる。エアロゾル投与形はまた、ポンプ式アトマイザーの形態と採ることもできる。与圧エアロゾルは、有効化合物の溶液または懸濁液を含有し得る。これは、懸濁液処方物の分散特性および均一性を改良するために、付加的賦形剤、例えば、補助溶媒および/または界面活性剤の配合を必要とする場合がある。溶液処方物もまた、エタノールなどの補助溶媒の添加を必要とする場合がある。他の賦形剤としての改質剤も、例えば、処方物の安定性および/または味および/または微粒子塊特性(量および/または特性)を改良するために配合され得る。
【0145】
吸入投与に好適なかつ/または適合させた医薬組成物では、医薬組成物はドライパウダー吸入用組成物であり得る。このような組成物は、ラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトールまたはデンプンなどの粉末基剤、式(I)の化合物またはその塩(好ましくは、粒径縮小形態、例えば、微粉化形態)、および場合により、L−ロイシンもしくは別のアミノ酸および/またはステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムなどのステアリン酸の金属といった性能改質剤を分でなり得る。好ましくは、ドライパウダー吸入用組成物は、ラクトースおよび式(I)の化合物またはその塩のドライパウダーブレンドを含んでなる。ラクトースは好ましくは、ラクトース水和物、例えば、ラクトース一水和物であり、かつび/または好ましくは吸入級および/もしくは微細級ラクトースである。好ましくは、ラクトースの粒径は、ラクトース粒子の90%(重量または用量)以上が直径1000ミクロン(マイクロメートル)(例えば、10〜1000ミクロン、例えば、30〜1000ミクロン)未満であり、かつ/またはラクトース粒子の50%以上が直径500ミクロン(例えば、10〜500ミクロン)未満であることにより定義される。より好ましくは、ラクトースの粒径は、ラクトース粒子の90%以上が直径300ミクロン未満(例えば、10〜300ミクロン、例えば、50〜300ミクロン)であり、かつ/またはラクトース粒子の50%以上が直径100ミクロン未満であることにより定義される。場合により、ラクトースの粒径は、ラクトース粒子の90%以上が直径100〜200ミクロン未満であり、かつ/またはラクトース粒子の50%未満が直径40〜70ミクロン未満であることにより定義される。最も重要には、粒子の約3〜約30%(例えば、約10%)(重量または容量)が直径50ミクロン未満または20ミクロン未満であることが望ましい。例えば、限定されるものではないが、好適な吸入級ラクトースはE9334ラクトース(10%微粒)(Borculo Domo Ingredients, Hanzeplein 25, 8017 JD Zwolle, オランダ)である。
【0146】
場合により、特に、ドライパウダー吸入用組成物では、吸入投与用の医薬組成物は、好適な吸入デバイスの内部のストリップまたはリボンの長手方向に取り付けられた複数の密閉用量容器(例えば、ドライパウダー組成物を含有)中に組み込むことができる。この容器は、要求に応じて裂開可能なまたは剥離開封可能であり、例えばドライパウダー組成物の用量が、グラクソスミスクラインにより市販されているDISKUS(商標)デバイスなどのデバイスを介した吸入により投与することができる。DISKUS(商標)吸入デバイスは、例えば、GB2242134 Aに記載され、このようなデバイスでは、粉末形態の医薬組成物用の少なくとも1つの容器(これらの1または複数の容器は好ましくは、ストリップまたはリボンの長手方向に取り付けられた複数の密閉用量容器である)が、互いに剥離可能に取り付けられた2つの部材間に画定され;このデバイスは、前記1または複数の容器の開封ステーションを画定する手段;容器を開封するために開封ステーションから部材を剥離するための手段;および開封された容器と連絡し、それを通して使用者が開封容器から粉末形態の医薬組成物を吸入することができる出口を含んでなる。
【0147】
本発明の化合物は、液体ディスペンサーから送達するための液体処方物として吸入または鼻腔投与されるように処方することができ、例えば、液体ディスペンサーは、使用者によりかけられる力が液体ディスペンサーのポンプ機構に適用された際に定量された用量の液体処方物がそれを通して分注される分注ノズルまたは分注オリフィスを備える。このような液体ディスペンサーは一般に、液体処方物の複数の定量された用量のリザーバーが設けられ、それらの用量が連続ポンプ作動時に分注される。分注ノズルまたはオリフィスは、液体処方物を鼻腔に噴霧分注するために使用者の鼻孔に挿入するために構成され得る。上述のタイプの液体ディスペンサーは、その全内容が引用することにより本明細書の一部とされるWO−A−2005/044354に記載および示されている。このディスペンサーは、液体処方物を含有するための容器に取り付けられた圧縮ポンプを備えた液体排出デバイスを収容するハウジングを備えている。このハウジングは、少なくとも1個の指で操作可能なサイドレバーを備え、このサイドレバーは、ハウジングに対して内側に動かすと、容器をハウジング内の上方向に移動させてポンプを圧縮させ、定量された用量の処方物をポンプステムから、ハウジングの鼻腔ノズルを介してポンピングすることができる。特に好ましい液体ディスペンサーは、WO−A−2005/044354の
図30〜40に示されている一般的なタイプのものである。
【0148】
吸入または鼻腔投与のための組成物は、噴霧化により肺および気道の他の領域にも投与することができる。そのような組成物は、水性溶液または懸濁液であり得る。噴霧化により吸入するための溶液は、酸もしくはアルカリ、緩衝塩、等張性調整剤、界面活性剤、または塩化ベンジルアルコニウム(BAC)などの抗微生物剤などの薬剤を添加して製剤化することができる。組成物は無菌で、抗微生物保存剤不含であってもよい。それらは、例えば、濾過またはオートクレーブ中での加熱によって滅菌してもよい。それらは、非滅菌溶液として提供してもよい。治療上有効な量の本発明の化合物の単回単位用量を、単一の容器内の予め混合され、予め定量された処方物として提供してもよい。
【0149】
膣投与に適合させた医薬組成物は、膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたは噴霧処方物として提供され得る。
【0150】
非経口投与に適合させた医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および組成物を、意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有してよい、水性および非水性無菌液、ならびに懸沈殿防止剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁剤が含まれる。組成物を、単位用量または多回用量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中で提供してもよく、使用直前に、無菌液体担体、例えば注射水を添加するだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。即時注射溶液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0151】
本発明の化合物の治療上有効な量は、例えば、対象の齢および体重、治療を必要とする厳密な病態およびその重篤度、処方物の性質、ならびに投与経路を含む複数の因子によって決まり、最終的には担当の医師または獣医の裁量にある。本医薬組成物では、経口または非経口投与の各用量単位は、好ましくは、0.01〜3000mg、0.1〜2000mg、またはより一般には0.5〜1000mgの親化合物として計算される本発明の化合物を含有する。
【0152】
鼻腔または吸入投与のための各用量単位は好ましくは、遊離塩基として計算される0.001〜50mg、より好ましくは0.01〜5mg、一層より好ましくは10〜50mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含有する。
【0153】
噴霧化溶液または懸濁液の投与では、用量単位は一般に1〜15mg、例えば2mg〜10mg、または4mg〜6mgを含有し、これらは1日1回、1日2回または1日2回を越える回数で適宜送達され得る。本発明の化合物は、薬局でのもしくは患者による再構成のための乾燥もしくは凍結乾燥粉末で提供してもよいし、または例えば生理食塩水溶液中で提供されてもよい。
【0154】
鼻腔または吸入投与のための各用量単位は好ましくは、遊離塩基として計算される0.001〜50mg、より好ましくは0.01〜50mg、一層より好ましくは10〜50mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含有する。
【0155】
本発明の薬学的に許容可能な化合物は、例えば、遊離塩基として計算される式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩1日当たり0.01mg〜3000mg、もしくは1日当たり0.5〜1000mgの経口もしくは非経口用量、または1日当たり0.001〜50mg、もしくは1日当たり0.01〜50mg、もしくは10〜50mgの鼻腔もしくは吸入用量の1日用量(成人患者)で投与することができる。この量は、1日当たり単回用量で、またはより通常には、全1日用量は同じであるように1日当たり複数回(2回、3回、4回、5回もしくは6回)の部分用量で与えてよい。その塩有効量のは、有効量の式(I)の化合物自体の割合として決定することができる。
【0156】
本発明の化合物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。従って、本発明による併用療法は、少なくとも1種の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与、および少なくとも1種の他の薬学上活性な薬剤の使用を含んでなる。好ましくは、本発明による併用療法は、少なくとも1種の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および少なくとも1種の他の薬学上活性な薬剤の投与を含んでなる。本発明の1または複数の化合物および1または複数の他の薬学上活性な薬剤は、一緒に単一の医薬組成物で、または別個に投与することができ、別個に投与される場合には、これを同時にまたは任意の順序で逐次に行うことができる。本発明の1または複数の化合物および他の1または複数の薬学上活性な薬剤の量、ならびに投与の相対なタイミングは、所望の併用治療効果が達成されるように選択される。
【0157】
よって、さらなる側面では、本発明の化合物と少なくとも1種の他の薬学上活性な薬剤を含んでなる組合せが提供される。
【0158】
従って、一側面では、本発明による化合物および医薬組成物は、アレルギー性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患の療法、抗線維性療法および閉塞性気道疾患の療法、糖尿病性眼疾患の療法、ならびに角膜瘢痕化、角膜損傷の療法および角膜創傷治癒を含む、1種以上の他の治療薬と組み合わせて使用し得るか、それを含み得る。
【0159】
抗アレルギー療法としては、抗原免疫療法(例えば、ハチ毒、花粉、牛乳、落花生、CpGモチーフ、コラーゲンの成分および断片、口腔または舌下抗原として投与され得る細胞外マトリックスの他の成分)、抗ヒスタミン薬(例えば、セチリジン、ロラチジン、アクリバスチン、フェキソフェナジン、クロルフェナミン)、およびコルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フロ酸モメタゾン、トリアムシノロン、フルニソリド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン)が含まれる。
【0160】
抗炎症療法としては、NSAID(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、ロイコトリエンモジュレーター(例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト)、および他の抗炎症療法(例えば、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤、IKK2阻害剤、p38阻害剤(ロスマピモド、ジルマピモド)、エラスターゼ阻害剤、β2アゴニスト、DP1アンタゴニスト、DP2アンタゴニスト、pI3Kδ阻害剤、ITK阻害剤、LP(リゾホスファチジン酸)阻害剤またはFLAP(5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)阻害剤(例えば、ナトリウム3−(3−(tert−ブチルチオ)−1−(4−(6−エトキシピリジン−3−イル)ベンジル)−5−((5−メチルピリジン−2−イル)メトキシ)−1H−インドール−2−イル)−2,2−ジメチルプロパノエート);アデノシンa2aアゴニスト(例えば、アデノシンおよびリガデノソン)、ケモカインアンタゴニスト(例えば、CCR3アンタゴニストまたはCCR4アンタゴニスト)、メディエーター放出阻害剤が含まれる。
【0161】
自己免疫疾患の療法としては、DMARDS(例えば、メトトレキサート、レフルノミド、アザチオプリン)、生物薬剤療法(例えば、抗IgE、抗TNF、抗インターロイキン(例えば、抗IL−1、抗IL−6、抗IL−12、抗IL−17、抗IL−18)、受容体療法(例えば、エタネルセプトおよび類似の薬剤);抗原非特異的免疫療法(例えば、インターフェロンまたは他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体モジュレーター、サイトカインアゴニストまたはアンタゴニスト、TLRアゴニストおよび類似の薬剤)が含まれる。
【0162】
他の抗線維性療法としては、TGFβ合成の阻害剤(例えば、ピルフェニドン)、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体キナーゼを標的とするチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ニンテダニブ(BIBF−1120)およびメシル酸イマチニブ(グリベック))、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、アンブリセンタンまたはマシテンタン)、酸化防止剤(例えば、N−アセチルシステイン(NAC);広域抗生物質(例えば、コトリモキサゾール、テトラサイクリン(塩酸ミノサイクリン))、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤(例えば、シルデナフィル)、抗αvβx抗体および薬物(例えば、WO2003100033A2に記載されているものなどの抗αvβ6モノクローナル抗体をインテツムマブ、シレンジチドと併用することができる)が併用可能である。
【0163】
閉塞性気道疾患の療法としては、短期作用型β2−アゴニスト(例えば、サルブタモール)、長期作用型β2−アゴニスト(例えば、サルメテロール、フォルモテロールおよびビランテロール)、短期作用型ムスカリン性アンタゴニスト(例えば、臭化イプラトロピウム)、長期作用型ムスカリン性アンタゴニスト(例えば、チオトロピウム、ウメクリジニウム)などの気管支拡張薬が含まれる。
【0164】
いくつかの態様では、治療はまた、本発明の化合物と他の既存の治療様式、例えば、糖尿病性眼疾患の治療のための既存の薬剤、例えば、抗VEGF療法、例えば、ルセンティス(商標)、アバスチン(商標)、およびアフリバーセプト、ならびにステロイド、例えば、トリアムシノロン、およびフルオシノロンアセトニド含有ステロイドインプラントの組合せも含み得る。
【0165】
いくつかの態様では、治療はまた、本発明の化合物と他の既存の治療様式、例えば、角膜瘢痕化、角膜損傷の治療または角膜創傷治癒のための既存の薬剤、例えば、ゲンテル(Gentel)(商標)、ウシ血液抽出物、レボフロキサシン(商標)、およびオフロキサシン(商標)の組合せも含み得る。
【0166】
本発明の化合物および組成物は、癌を治療するために単独で、または化学療法、放射線療法、標的薬剤、免疫療法および細胞もしくは遺伝子療法を含む癌療法と組み合わせて使用され得る。
【0167】
適当であれば、治療成分の活性および/または安定性および/または溶解度などの物理的特徴を最適化するために、他の治療成分を、塩の形態で、例えば、アルカリ金属塩もしくはアミン塩もしくは酸付加塩として、またはプロドラッグ、またはエステル、例えば低級アルキルエステル、または溶媒和物、例えば水和物として使用することができることは、当業者には明らかである。適当であれば、治療成分を、光学的に純粋な形態で使用することができることもまた明らかである。
【0168】
上記で言及した組合せは、好都合には、医薬組成物の形態で使用するために提供することができ、従って、上記で定義されたような組合せを薬学的に許容可能な希釈剤または担体とともに含んでなる医薬組成物は本発明のさらなる側面を表す。そのような組合せの個々の化合物を順次、または個別もしくは組み合わせた医薬組成物として同時に投与することができる。好ましくは、個々の化合物が、組み合わせた医薬組成物として同時に投与される。公知の治療薬の適切な用量は、当業者には容易に分かる。
【0169】
本発明の化合物が、通常、吸入、静脈内、経口、鼻腔内、眼内局所、または他の経路よって投与される1種以上の他の治療上有効な薬剤と組み合わせて投与される場合には、結果としての医薬組成物も同じ経路によって投与され得ることが認識されるであろう。あるいは、本組成物の個々の成分は異なる経路によって投与されてもよい。
【0171】
略語
以下のリストは、本明細書で使用される特定の略語の定義を示す。このリストは排他的ではなく、本明細書の下記で定義されていない略語の意味は当業者には容易に分かることが認識されるであろう。
【0172】
Ac(アセチル)
BCECF−AM(2’,7’−ビス−(2−カルボキシエチル)−5−(および−6)−カルボキシフルオレセインアセトキシメチルエステル)
BEH(エチレン架橋ハイブリッド技術)ビス(ピナコラト)ジボロン=4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)
Bu(ブチル)
CHAPS (3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)
キラルOD−H(5μmシリカゲル上のセルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)コーティング)
キラルパックAD−H(5μmシリカゲル上のアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)コーティング)
キラルパックID(5μmシリカゲル上の固定化されたアミローストリス(3−クロロフェニルカルバメート))
キラルパックAS(5μmシリカゲル上のアミローストリス((S)−α−メチルベンジルカルバメート)コーティング)
CSH(表面チャージハイブリッド技術)
CV(カラム体積)
DCM(ジクロロメタン)
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)
DMSO(ジメチルスルホキシド)
Et(エチル)
EtOH(エタノール)
EtOAc(酢酸エチル)
h(時間)
HATU((1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシド ヘキサフルオロリン酸塩)
HCl(塩酸)
MDAP(質量分析自動分取HPLC)
Me(メチル)
MeOH(メタノール)
min(分)
Pd(dppf)−Cl
2(1,1’−[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II))
Ph(フェニル)
iPr(イソプロピル)
(R)−BINAP(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン
Si(シリカ)
SPE(固相抽出)
TBME(tert−ブチルメチルエーテル)
TEA(トリエチルアミン)
TFA(トリフルオロ酢酸)
THF(テトラヒドロフラン)
TLC(薄層クロマトグラフィー)
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)
【0173】
ブライン(brine)という場合には、塩化ナトリウムの飽和水溶液を指す。
【実施例】
【0174】
実験の詳細
分析LCMS
分析的LCMSを、次のシステムA、BまたはCの1つで行った。
【0175】
総てのシステムに対するUV検出は、220nm〜350nmの波長の平均シグナルであり、質量スペクトルは、交互スキャンポジティブおよびネガティブモードエレクトロスプレーイオン化を使用する質量分析計で記録した。
【0176】
LCMS純度はダイオードアレイ検出から導き出された。
【0177】
本明細書において言及するLCMSシステムA〜Eの実験の詳細は以下の通りである。
【0178】
システムA
カラム: 50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C
18カラム
流速: 1mL/分
温度: 40℃
溶媒: A:アンモニア溶液でpH10に調整した水中10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:
時間(分) A% B%
0 99 1
1.5 3 97
1.9 3 97
2.0 99 1
【0179】
システムB
カラム: 50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C
18カラム
流速: 1mL/分
温度: 40℃
溶媒: A:水中0.1%v/vトリフルオロ酢酸溶液
B:アセトニトリル中0.1%v/vトリフルオロ酢酸溶液
勾配:
時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 0 100
1.9 0 100
2.0 97 3
【0180】
システムC
カラム: 50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C18カラム
流速: 1mL/分
温度: 40℃
溶媒: A:水中0.1%v/vギ酸溶液
B:アセトニトリル中0.1%v/vギ酸溶液
勾配:
時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 0 100
1.9 0 100
2.0 97 3
【0181】
システムD
カラム: 50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC CSH C18カラム
流速: 1mL/分
温度: 40℃
溶媒: A:アンモニア溶液でpH10に調整した水中10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:
時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 5 95
1.9 5 95
2.0 97 3
【0182】
システムE
カラム: 50mm×2.1mm ID、1.7μm Acquity UPLC CSH C18カラム
流速: 1mL/分
温度: 40℃
溶媒: A:水中0.1% v/vギ酸溶液
B:アセトニトリル中0.1%v/vギ酸
勾配:
時間(分) A% B%
0 97 3
1.5 5 95
1.9 5 95
2.0 97 3
【0183】
質量分析自動分取HPLC
粗製生成物を、次の方法A〜Cの1つによるMDAP HPLCにより精製した。実施時間は、そうではないことが述べられない限り、15分であった。総ての方法でのUV検出は、210nm〜350nmの波長の平均シグナルであり、質量スペクトルは、交互スキャンポジティブおよびネガティブモードエレクトロスプレーイオン化を使用する質量分析計で記録した。
【0184】
方法A:
方法Aは、XBridge C
18カラム(一般に100mm×30mm内径、5μmパッキング直径)にて周囲温度で行った。使用した溶媒は:
A=アンモニア溶液でpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム水溶液
B=アセトニトリル
であった。
【0185】
使用した勾配:
【表1】
【0186】
方法B:
方法Bは、XBridge C
18カラム(一般に100mm×30mm内径、5μmパッキング直径)にて周囲温度で行った。使用した溶媒は:
A=アンモニア溶液でpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム水溶液
B=アセトニトリル
であった。
【0187】
使用した勾配:
【表2】
【0188】
中間体の製法
中間体1:3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル
5L真空ジャケット付きガラス反応容器(Radley’s LARA)に、DCM(2L)、次いで、トリフェニルホスフィン(339g、1.29mol)およびイミダゾール(88g、1.29mol)を装填し、温度を0℃に下げた。次に、発熱を制御するために反応温度を0〜5℃に維持しながらヨウ素(328g、1.29mol)を30分かけて少量ずつ加えた。添加中に粘稠な褐色沈澱が生じた。この沈澱を10分かけて室温まで温めた後、室温でさらに30分間撹拌した。DCM(200mL)中、3−(ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル(200g、994mmol)(FluorochemまたはBePharm Ltdから入手可能)の溶液を、反応温度を24〜30℃の間に維持しながら、15分かけて少量ずつ加えた。この反応混合物を2時間撹拌した後、TBME(8L)で希釈し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣(700g)を氷水浴にてジエチルエーテル(2L)中で摩砕し、333gの粗生成物を得た。27g部の粗生成物を30分にわたって0〜50%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配で溶出するシリカカートリッジ(100g)でのクロマトグラフィーにより精製した。適当な画分を合わせ、真空蒸発させて標題化合物(16.33g、5%)を黄色油状物として得た。残りの粗物質(約306g)を、9.5カラム容量にわたって0〜30%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配で溶出するシリカカートリッジ(1.5kg)のクロマトグラフィーにより精製した。適当な画分を合わせ、真空蒸発させて標題化合物(233.94g、76%)を淡黄色油状物として得た:LCMS(システムA)RT=1.19分、100%、ES+ve m/z 312(M+H)
+;[α]
D20=+23(EtOH中c1.00)。
【0189】
中間体2:3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル
THF(1L)中、2−メチル−1,8−ナフチリジン(57.5g、399mmol) (Manchester Organicsから入手可能)および3−(ヨードメチル)ピロリジン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル(124.2g、399mmol)(中間体1)の撹拌溶液を0℃に冷却し、窒素下、THF中リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(1M、399mL、399mmol)で20分かけて処理、この反応混合物を0℃で3時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム溶液(500mL)および水(500mL)で急冷し、酢酸エチル(1L)を加えた。層を分離し、水相をさらなる酢酸エチル(1L)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空蒸発させた。残った褐色油状物(162g)を、8カラム容量にわたって0〜100%[(5%MeOH−95%酢酸エチル)中酢酸エチル]の勾配で溶出するシリカカートリッジ(750g)でのクロマトグラフィーにより精製した。適当な画分を合わせ、真空蒸発させて標題化合物(46.65g、36%)を橙色固体として得た:LCMS(システムA)RT=0.99分、97%、ES+ve m/z 328(M+H)
+、[α]
D20=+22(EtOH中c1.00)。
【0190】
中間体3:(R)−2−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,8−ナフチリジン、 二塩酸塩
DCM(500mL)中3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)34ロリドン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル((R)-tert-butyl 3-(2-(1, 8-naphthyridin-2-yl)ethyl) 34yrrolidone-1-carboxylate)(104.71 g, 320 mmol)をHCl(1,4−ジオキサン(200mL、800mmol)中4M)と室温でゆっくり処理した。混合物を一晩中室温で撹拌し、その時までにはフラスコ内に大きな固体の塊が生成されていた。固体を溶解しやすくするためにMeOH(〜100mL)を添加し、撹拌を継続した。LCMSは〜72%の生成物および〜25%の出発材料を指示した。1,4−ジオキサン(100mL)中の4M HClの追加量として添加し、1時間撹拌を継続した。溶媒を真空蒸発させ、標題化合物(89.66g、93%)を紫色の固体として得た:LCMS(システムB)RT=0.34分、100%、ES+ve m/z 228(M+H)
+。
【0191】
中間体4:4−ブロモブト−2−エン酸(E)−tert−ブチル
撹拌した4−ブロモブト−2−エン酸(E)−tert−ブチル(210g、1.27mmol)[T. Den Hartog, D. J. Van Dijken, A. J. Minnaard, B. L. Feringa Tetrahedron Asymmet. 2010, 21, 1574-1584]とジエチルエーテル(1L)中の濃縮H
2SO
4(20.35mL、382mmol)溶液にイソブチレンガス(363mL、3.82mol)を−40℃にて30分間スチールオートクレーブ中でバブリングした。混合物をオートクレーブ内に密封し、混合物を室温にて24時間撹拌した。反応物を0℃に冷まし、次いでトリエチルアミン(250mL)で塩基性化し、DCM(3×200mL)で抽出した。有機層を真空乾燥させ濃縮した。残渣をn−ペンタン(200mL)中で粉砕し、褐色シロップとして標題化合物(140g、50%)を得た:
1H NMRδ(CDCl
3, 400 MHz) 6.89 (dt, J=15, 7.5 Hz, 1H), 5.95 (dt, J=15, 1 Hz, 1H), 3.99 (dd, J=7.5, 1 Hz, 2H), 1.48 (s, 9H)。水性層を2M HClでpH2へ酸性化し、EtOAc(2×250mL)で抽出し、組み合わさった有機層を水(2×500mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空蒸発させ、未反応の出発材料(50g)をオフホワイトの固体として得た。
【0192】
中間体5:4−アセトキシブト−2−エン酸(E)−tert−ブチル
アセトニトリル(1.2L)中4−ブロモブト−2−エン酸(E)−tert−ブチル(280g、1.27mol)の撹拌溶液を酢酸カリウム(186g、1.9mol)で室温にて処理した。混合物を60℃にて4時間撹拌し、TLC(石油エーテル中の10%ジエチルエーテル、R
f=0.4、UVによる検出)によって反応を観察した。反応混合物を室温に冷却し、固体を濾過によって取り除き、ジエチルエーテル(600mL)で洗浄した。濾液を低減した圧力下で濃縮し、残渣を石油エーテル中の10%ジエチルエーテルで溶出するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせて蒸発させ、標題化合物(148g、収率58%)を淡い黄色液体として得た:
1H NMR δ (CDCl
3, 400 MHz) 6.82 (dt, J=15.5, 5 Hz, 1H), 5.94 (dt, J=15.5, 2 Hz, 1H), 4.71 (dd, J=5, 2 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 1.49 (s, 9H)。
【0193】
中間体6:4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−tert−ブチル
DCM(100mL)中の(E)−tert−ブチル4−アセトキシブト−2−エン酸(中間体5)(14.20g、70.9mmol)と1,1′−ビス(ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[Pd(dppf)Cl
2](4.72g、6.45mmol)の混合物を15分間窒素下にて撹拌し、その後ジイソプロピルエチルアミン(56.3mL、322mmol)およびDCM(200mL)中の(R)−2−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,8−ナフチリジン二塩酸塩(中間体3)(17g、57mmol)溶液を添加した。鮮明な赤色溶液が得られ、それを窒素下で24時間撹拌した。混合物をDCMと水(3×170mL)に区分けした。有機相を相分離カートリッジに通し、濾液を低減した圧力下で濃縮した。残留油(27g)をDCM中でアミノプロピルカートリッジ(900g)にロードし、CombiFlash Companion XLで、10カラム容量にわたって0〜100%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配を用いてクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ、真空蒸発させ褐色油としてそのままでは固体化する標題化合物(17.62g、85%)を得た: LCMS(システムA)RT=1.05分、100%; ES+ve m/z 368(M+H)
+。
【0194】
中間体7:4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノフェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル
KOH(3.8M,8.16mL,31.0mmol)中の(3−モルホリノフェニル)ボロン酸(Combi-Blocks Inc.より入手可能)(6.42g、31.0mmol)溶液を1,4−ジオキサン(70mL)中の4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−tert−ブチル(中間体6)(6.7g、15.5mmol)で処理し、低減した圧力下にて5分間パージした窒素下で真空排気によって脱気した。これにクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体(0.382g、0.775mmol)および(R)−BINAP(0.965g、1.55mmol)を添加し、混合物をさらに5分間脱気した。溶液を90°Cにて60分間加熱した。冷却後、反応混合物をDCMと水に区分けした。水相をDCMで抽出し、組み合わせたDCM抽出物を真空蒸発させた。残留濃褐色油(11.6g)を0−50%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配で40分間溶出するアミノプロピルカートリッジ(50g)でのクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ真空蒸発させ5.61gの褐色油を得た。50%のEtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタンで等張的に溶出する、流速=1.0mL/分、検出215nmの、キラルパックAD−Hカラム(250mm×4.6mm)での分析的キラルは、油が2つのジアステレオ異性体:ピーク1RT=6.99分、91%;ピーク2RT=12.2分9%であることを指示した。混合物を、40%エタノール(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速=30mL/分、検出230nmの、主要成分の画分を回収(RT=6.5-10分)する、キラルパックAD−Hカラム(30mm×250mm)での分取キラルHPLCによって分離した。合わせた画分を低減した圧力下で蒸発させ標題化合物の主要異性体(異性体1)(4.18g、51%)を得た。LCMS(システムA)RT=1.20分,ES+ve m/z 531(M+H)
+,[a]
D20+10(EtOH中c1.0),キラルパックAD−Hでの分析的キラルHPLC RT=7.2分。RT=14−21分で溶出した画分の蒸発によって、非主要のジアステレオ異性体(異性体2)(462mg、6%)を褐色油として得た。
【0195】
中間体8:3−(3−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(異性体1)
4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノフェニル)ブタン酸tert-ブチル(中間体7、異性体1)(4.18g、7.88mmol)をPd/C(838mg)上でEtOH(20mL)中で水素ガスの雰因気下で室温にて60時間水素化した。触媒を10gのセライトカートリッジを通して濾過によって取り除き、エタノールで洗浄した。組み合わさった濾液と洗浄物を真空蒸発させ標題化合物(3.48g、83%)を褐色油として得た。LCMS(システムA)RT=1.36分、ES+ve m/z 535(M+H)
+。
【0196】
中間体9:4−(3−ブロモフェニル)モルホリン
1,3−ジブロモベンゼン(3.89mL、32.1mmol)、モルホリン(1.40mL、16.1mmol)、Pd
2(dba)
3(736mg、0.803mmol)、tert−ブトキシドナトリウム(1.6g、16.6mmol)、BINAP(750mg、1.20mmol)およびトルエン(8mL)の混合物をマイクロ波バイアル内に入れた。バイアルを密封し、マイクロ波オーブンで反応物を加熱した(通常電力、50℃、60分)。反応物を周囲温度に冷まし、反応混合物(20mL)に水を添加し、かつ有機層を分離させ、低減した圧力下で濃縮した。残渣をMeOH(20mL)中に溶解し、(メタノールで)前処理したアミノプロピルカートリッジに適用した。カラムをMeOH(2CV)で、次いでメタノール(2CV)中の2Mアンモニアで洗浄した。適切な画分を低減した圧力下で濃縮し、橙色油として標題化合物(2.3g、59%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.08分、ES+ve m/z 242/244(M+H)
+。
【0197】
中間体10:4−(3−シクロプロピルフェニル)モルホリン
THF(10mL)中の4−(3−ブロモフェニル)モルホリン(中間体9)(3.3g、13.6mmol)をTHF中の0.5Mのシクロプロピルマグネシウム臭化物(32.7mL、16.4mmol)に添加し、その後PdCl
2(dppf)−CH
2Cl
2付加物(378mg、0.463mmol)に添加した。混合物を窒素(70℃)下で2時間還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をMeOH中で溶解し、(MeOHで)前処理したSCX−2カートリッジに適用した。カートリッジをMeOH(2CV)で、次いでMeOH(2CV)中の2Mアンモニアで溶出した。適切な画分を回収し、低減した圧力下で濃縮した。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、かつ30分間0−50%EtOAc−シクロヘキサンで溶出するシリカカートリッジでのクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を低減した圧力下で濃縮し、標題化合物(2.1g、76%)を得た: LCMS(システムA)RT=1.08分、ES+ve m/z 204(M+H)
+。
【0198】
中間体11:4−(3−シクロプロピル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン
tert−ブチルメチルエーテル(8mL)中の4−(3−シクロプロピルフェニル)モルホリン(中間体10)(1.0g、4.9mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(Aldrichより入手可能)(750mg、2.95mmol)、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビピリジン(79mg、0.29mmol)およびメトキシ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)二量体(98mg、0.15mmol)を含有するマイクロ波バイアルをマイクロ波オーブン(高出力)内で80℃にて60分間加熱した。反応混合物はフロリジル上で吸収され、0−50%EtOAc−シクロヘキサンで溶出する3つのシリカカートリッジ(各100g)上でのクロマトグラフィーによって60分間精製された。適切な画分を真空下で濃縮し、標題化合物(845mg、52%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.31分、ES+ve m/z 330(M+H)
+。
【0199】
中間体12:4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル
4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−tert−ブチル(中間体6)(300mg、0.816mmol)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体(20.13mg、0.041mmol)、4−(3−シクロプロピル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン(中間体11)(605mg、1.84mmol)、(R)−BINAP(61mg、0.098mmol)および3.8M KOH(0.430mL、1.63mmol)を1,4−ジオキサン(2mL)中に溶解し、溶液をマイクロ波オーブン(高出力)内で100分間95℃にて加熱した。反応混合物を、セライトを通して濾過しEtOAc(10mL)で洗浄した。組み合わせた濾液および洗浄物を蒸発させ、残渣をMeOH(1mL)中に溶解し、5−95% [10mM水性アンモニウム重炭酸塩中のMeCN(0.1%アンモニア含有)](20CV)の勾配で溶出するC18、30gカートリッジでの逆相クロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせて蒸発させ、標題化合物をジアステレオ異性体の混合物として得た(81mg、17%)。生成物をEtOH(1mL)およびヘプタン(1mL)中に溶解し、2つのジアステレオ異性体を、45分間にわたって40%[EtOH(0.2%v/vイソプロピルアミン含有)含有ヘプタン]で等張的に溶出する、流速30mL/分、検出215nmの、キラルパックAD−Hカラム(250mm×30mm)でのキラルHPLCを用いて分離し、標題化合物の主要ジアステレオ異性体(中間体12、異性体1)4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(30mg、6%)を得た。40%[(0.2%v/vイソプロピルアミン含有EtOH)含有ヘプタン]溶出、流速=1mL/分、検出215nmの、キラルパックAD−Hカラム(250mm×4.6mm)での分析的キラルHPLC:RT=5.9分、98.3%;および非主要異性体(中間体12、異性体2)4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)ブタン酸(R)−tert−ブチル(5mg、1%):分析的キラルHPLC RT=11.6分、>99.5%。
【0200】
中間体13:3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチルは中間体12異性体1の水素化によって中間体8と同様の様式で調製された:LCMS(システムA)RT=1.45分, ES+ve m/z 575(M+H)
+。
【0201】
中間体14:1−(3,5−ジブロモフェニル)−1H−ピラゾール
アセトニトリル(48mL)中の1,3−ジブロモ−5−ヨードベンゼン(Fluorochemより入手可能)(5.00g、13.8mmol)、1H−ピラゾール(1.38mL、20.7mmol)、ヨウ化銅(I)(526mg、2.76mmol)および炭酸セシウム(9.01g、27.6mmol)の撹拌した懸濁液を加熱し一晩中還流させた。冷却後、反応混合物を真空内で濾過し濃縮した。残渣をDCM中に溶解し、0−100%EtOAc−シクロヘキサンの勾配で溶出するシリカカートリッジ(100g)でのクロマトグラフィーによって60分間精製した。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、標題化合物(3.2g、77%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.26分、ES+ve m/z 301,303,305(M+H)
+。
【0202】
中間体15:4−(3−ブロモ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)モルホリン
トルエン(70mL)中の1−(3,5−ジブロモフェニル)−1H−ピラゾール(中間体14)(1.10g、3.64mmol)、モルホリン(0.346mL、4.01mmol)、Pd
2(dba)
3(691mg、0.754mmol)tert−ブトキシドナトリウム(350mg、3.64mmol)およびBINAP(739mg、1.19mmol)の混合物をマイクロ波バイアル内に密封し、Biotage Initatorマイクロ波オーブン内で、90℃で2時間加熱した。反応混合物を、セライトのパッドに移し、水(100mL)で洗浄した。有機相をさらにブライン(50mL)で洗浄した。組み合わせた有機溶液を相分離器に移し、真空濃縮した。残渣をDCM中に溶解し0−100%EtOAc−シクロヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルカートリッジ(395g)でのクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物(561.5mg、50%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.07分,ES+ve m/z 308,310(M+H)
+。
【0203】
中間体16:4−(3−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン
DMF(20mL)中の4−(3−ブロモ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)モルホリン(中間体15)(1.56g、5.07mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(1.93g、7.61mmol)、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.371g、0.507mmol)および酢酸カリウム(1.99g、20.3mmol)の混合物をマイクロ波バイアルに密封し、Biotage Initator マイクロ波オーブン内で115℃にて1時間加熱した。反応混合物を、平行して実施していた別の反応の反応混合物と組合せ、セライトのパッドに移しEtOAcで洗浄した。濾液を水(100mL)と食塩(50mL)で洗浄し、次いで有機溶液を相分離器に移し真空濃縮した。残渣を0−100%酢酸エチル−シクロヘキサン(14CV)の勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物(4.38g)を得た:LCMS(システムC)RT=1.16分、ES+ve m/z 356(M+H)
+。
【0204】
中間体17:4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル
1,4−ジオキサン(17mL)中、4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2-イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−tert−ブチル(中間体6)(500mg、1.361mmol)と4−(3−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン(中間体16)(1.45g、4.08mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(85mg、0.14mmol)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(l)二量体(33.5mg、0.068mmol)および3.8M KOH(0.358mL、1.36mmol)の混合物を、マイクロ波バイアルに密封し、Biotage Initatorマイクロ波オーブン内で95℃にて40分間加熱した。LCMSは不完全な反応を示した。バイアルを密封しBiotage Initator内で95℃にて2時間加熱した。LCMSは初めのLCMSと類似していた。3.8M KOH(0.358mL、1.36mmol)を反応混合物に添加し、バイアルを95℃にて40分間加熱した。LCMSは変化を示さなかった。追加的な触媒(33.5mg、0.068mmol)を添加し、バイアルを95℃にて40分間加熱した。反応混合物を真空濃縮した。残渣をDCM(25mL)と水(50mL)に区分けした。水性層をDCM(50mL)でさらに抽出し、組み合わさった有機溶液をブラインで洗浄した。有機層を相分離器に移し、真空濃縮した。残渣を、0−100%EtOAc−シクロヘキサンの勾配で溶出するアミノプロピルカートリッジでのクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、さらなる精製が必要な褐色油を得た。粗製生成物を20−75%アセトニトリル(0.1%ギ酸含有)−水(0.1%ギ酸含有)(11CV)の勾配で溶出するSNAPカートリッジでの逆相HPLCによって精製した。結果として得られた生成物は、ジアステレオ異性体の混合物であり、それらは50%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速40mL/分、検出215nmの、画分をRT=9−11.5分およびRT=15−18分で回収する、キラルパックAD−Hカラム(30mm×25cm)での分取キラルHPLCによって分離され、標題化合物異性体1として4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(57mg):50%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速1mL/分、検出215nmのキラルパックAD−Hカラム(4.6mm id×25cm)での分析的キラルHPLC RT=10.3分、LCMS(システムA)RT=1.17分、ES+ve m/z 597(M+H)
+、および異性体2として4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)ブタン酸(R)−tert−ブチル(9mg):分析的キラルHPLC RT=11.5分を得た。
【0205】
中間体18:3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチル
酢酸エチル(9mL)中、4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)ブタン酸tert−ブチル(中間体17、異性体1)(98mg、0.164mmol)の溶液を室温にて炭素(1.7mg、0.016mmol)上で4時間水素化した。追加のRh/C(100mg)を反応混合物に添加し、一晩中撹拌した。触媒を濾過によって取り除き、酢酸エチルで洗浄した。組み合わさった濾液および洗浄物を低減した圧力下で濃縮し、標題化合物(86mg、88%)を淡い黄色油として得た:LCMS(システムA)RT=1.37分、ES+ve m/z 601(M+H)
+。
【0206】
中間体19:1−(3,5−ジブロモフェニル)−3−メチル−1H−ピラゾール
MeCN(70mL)中、1,3−ジブロモ−5−ヨードベンゼン(6.34g、17.5mmol)、3−メチル−1H−ピラゾール(2.54mL、31.5mmol)、炭酸セシウム(11.4g、35.0mmol)およびヨウ化銅(I)(667mg、3.50mmol)の混合物を加熱し、一晩中還流させた。冷却後、反応混合物を濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を40分で0−100%EtOAc−シクロヘキサンの勾配で溶出するシリカカラム(100g)でのクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、位置異性体のさらなる分離が必要な褐色固体を得た。粗製生成物をアンモニア溶液(13CV)でpH10に調節した水中、50−75%アセトニトリル−10mMアンモニア重炭酸塩の勾配で溶出するKP−C18−HS(120g)での逆相クロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ、低減した圧力下で蒸発させ標題化合物(2.8g、51%)を得た:
1H NMRδ(400 MHz, DMSO-d
6) 8.52 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.05 (d, J=1.47 Hz, 2H), 7.69 (t, J=1.5 Hz, 1H), 6.38 (d, J=2.5 Hz, 1H), 2.27 (s, 3H)。
【0207】
中間体20:4−(3−ブロモ−5−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)モルホリン
トルエン(80mL)中、1−(3,5−ジブロモフェニル)−3−メチル−1H−ピラゾール(中間体19)(2.80g、8.86mmol)の溶液をモルホリン(0.841mL、9.75mmol)、Pd
2(dba)
3(1.68g、1.83mmol)、tert−ブトキシドナトリウム(0.852g、8.86mmol)および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(1.799g、2.89mmol)で処理した。混合物を2時間加熱し還流させ、次いでセライトのパッドに移された。濾液を水(200mL)で洗浄した。有機相を相分離器に移し、真空濃縮した。残渣を0−100%酢酸エチル−シクロヘキサン(14CV)の勾配で溶出するシリカカートリッジ(325g)でのクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物(1.82g、64%)を得た:
1H NMRδ(400 MHz, DMSO-d
6) 8.43 (d, J 2.5 Hz, 1H), 7.40 (t, J 2 Hz, 1H), 7.30 (t, J 2 Hz, 1H), 6.96 (t, J 2 Hz, 1H), 6.32 (d, J = 2 Hz, 1H), 3.83-3.65 (m, 4H), 3.17-3.26 (m, 4H), 2.25 (s, 3H)。
【0208】
中間体21:4−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリンを中間体20から、中間体16で記載された方法と類似の様式で調製し、標題化合物(1.48g、76%)を得た:LCMS(システムA)ボロン酸についてはRT=0.65 分 ES+ve m/z 288(M+H)
+、ボロン酸エステルについてはRT=1.20 ES+ve m/z 370(M+H)
+。
【0209】
中間体22:4−((R)−3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)ブタン酸tert−ブチルを中間体6および中間体21から、中間体17の調製で記載された方法と類似の様式で調製した。粗製生成物をMDAP(方法A)によって精製し、標題化合物(30mg、36%)をジアステレオ異性体の混合物として得た(分取キラルHPLCは実行しなかった):LCMS(システムA)RT=1.21分、24%,ES+ve m/z 611(M+H)
+、およびRT=1.23分、76%,ES+ve m/z 611(M+H)
+。
【0210】
中間体23:3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸tert-ブチルを中間体22(ジアステレオ異性体の混合物)の水素化によって中間体18の調製で記載された方法と類似の様式で調製し、標題化合物(68mg、89%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.38分、ES+ve m/z 615(M+H)
+.
【0211】
中間体24:1−(3,5−ジブロモフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール
氷浴中で0℃に冷却した、アセトニトリル(50mL)中、撹拌した3,5−ジブロモアニリン(2.11g、8.41mmol)の溶液、水中、(3mL)硫酸(6.82mL、61.4mmol)および亜硝酸ナトリウム(0.638g、9.25mmol)をゆっくり添加し、反応混合物とし、これを0℃にて72時間撹拌し、その後水中(5mL)の(R)−5−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキシフラン−2(5H)−オン(1.629g、9.25mmol)を添加した。次いで、これを一晩中撹拌し、反応混合物を室温に温めた。次いで、反応混合物を1度の充填で添加したペンタン−2,4−ジオン(1.718mL、16.82mmol)で処理した。これを室温にて72時間撹拌、80℃にて5時間撹拌した。反応物をEtOAc(200mL)で希釈し、次いで水(100mL)、HCl(2M、50mL)および再び水(50mL)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。残渣を0−10%ヘキサン中酢酸エチルの勾配を用いてシリカゲルクロマトグラフィー(100−200メッシュ)によって精製した。適切な画分を合わせ、真空蒸発させ、標題化合物(1.75g、収率62%)を黄色固体として得た。LCMS ES+ve m/z 329,331,333(M+H)
+。
【0212】
中間体25:4−(3−ブロモ−5−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)モルホリンを中間体24から、中間体20に記載されていると類似の様式で調製し、標題化合物(3.5g、78%)を得た。LCMS ES+ve m/z 336,338(M+H)
+。
【0213】
中間体26:4−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリンを中間体25から、中間体16に記載されていると類似の様式で調製し、標題化合物(4.2g、36%)を得た。LCMS ES+ve m/z 384(M+H)
+。
【0214】
中間体27:4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)ブタン酸tert−ブチル
マイクロ波バイアル中で、1,4−ジオキサン(4mL)中に溶解した、4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−tert−ブチル(中間体6)(300mg、0.816mmol)と4−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン(中間体26)(939mg、2.449mmol)の混合物を、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(l)二量体(20.13mg、0.041mmol)、KOH(0.422mL、1.633mmol)およびR−BINAP(50.8mg、0.082mmol)で処理した。反応混合物を密封し、Biotage Initiator内で95℃にて2時間加熱した。冷却後、溶媒を真空除去した。残渣をDCM(45mL)と水(45mL)に区分けした。ブライン(30mL)を水性層に添加し、これをDCM(30mL)で抽出した。組み合わさった有機溶液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮させた。残渣を、ジクロロメタンを用いてアミノプロピル(110g)にロードし、クロマトグラフィーによって精製した(0−100%のEtOAc−シクロヘキサン)。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、10%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速=40mL/分のキラルパックAD−Hカラム(250mm×30mm)でのキラルHPLCによって分離し、標題化合物の2つの異性体を得た。
【0215】
異性体1:4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(134mg):
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) 1.31 (s, 9H), 1.44 (s, 1H), 1.91 - 1.99 (m, 2H), 1.98- 2.03 (m, 1H), 2.15-2.25 (m, 1H), 2.20-2.27 (m, 1H), 2.25-2.29 (m, 4H), 2.35-2.43 (m, 1H), 2.38 - 2.46 (m, 1H), 2.47-2.56 (m, 1H), 2.70-2.76 (m, 1H), 2.73-2.77 (m, 1H), 2.77-2.85 (m, 1H), 2.82 (dd, J=15.4, 5.9 Hz, 1H), 2.95-3.10 (m, 2H), 3.16-3.21 (m, 4H), 3.24-3.35 (m, 1H), 3.79-3.88 (m, 4 H), 5.96 (s, 1H), 6.72 (s, 1H), 6.78 (br. s, 1H), 6.80 (s, 1H), 7.37 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.44 (dd, J=8.1, 4.4 Hz, 1H), 8.09 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.15 (dd, J=8.1, 1.8 Hz, 1H), 9.07 (dd, J=4.2, 2.0 Hz, 1H);LCMS(システムC)RT=0.84分,ES+ve m/z 625(M+H)
+;15%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速=1mL/分、検出235nmの、キラルパックADカラム(250mm×4.6mm)での分析的キラルHPLC RT=13.7分;および、
異性体2:4−(3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)−3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)ブタン酸(R)−tert−ブチル(31mg):15%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)−ヘプタン溶出、流速=1mL/分、検出235nmの、キラルパックADカラム(250mm×4.6mm)での分析的キラルHPLC RT=16.3分。
【0216】
中間体28:3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチル 異性体1を、中間体27異性体1の水素化によって中間体18の調製で記載された方法と類似の様式で調製し、標題化合物(89mg、88%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.42分、ES+ve m/z 629(M+H)
+。
【0217】
中間体29:3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリドン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル
EtOAc(1.5L)中、3−(2−(1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリドン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル(中間体2)(52g,159mmol)の溶液を、水素雰因気下で室温にて20時間、5%Rh/C(32.7g,50%湿潤)で撹拌した。反応混合物を、セライトのパッドに移し、濾液を濃縮し標題化合物(52.6g,96%)を得た:LCMS(システムA)RT=1.25分、ES+ve m/z 332(M+H)
+。
【0218】
中間体30:(R)−7−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン
3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリドン−1−カルボン酸(R)−tert−ブチル(中間体29)(50.72g,153mmol)の溶液を1,4−ジオキサン(4M,200mL)中のHClで処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去した。残渣を水とTBMEに区分けした。水性相を2M NaOH溶液でpH11へ塩基性化し、DCMで抽出した(3回)。DCM溶液を疎水性フリットへ移し、濾液を真空蒸発させ、標題化合物(34.69g,98%)を油として得た:LCMS(システムA)RT=0.80分、ES+ve m/z 232(M+H)
+;[α]
D20=+6(EtOH中c=0.961)。
【0219】
中間体31.4−(3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−メチル
(R)−7−(2−(ピロリジン−3−イル)エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン(中間体30)(7.0g,30.3mmol)をDCM(100mL)中に溶解させた。DIPEA(10.54mL,60.5mmol)を溶液に添加し、続いて4−アセトキシブト−2−エン酸(E)−メチル(4.79g,30.3mmol)および1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−DCM[Pd(dppf)Cl
2](2.471g,3.03mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩中撹拌した。反応混合物を2つのアミノプロピルSPEカートリッジ(各100g)に適用し、0−100%EtOAc−シクロヘキサンの勾配で溶出し、適切な画分を合わせ、真空濃縮し、標題化合物(7.35g,64%)を得た:LCMS(システムD)RT=1.07分 ES+ve m/z 330(M+H)
+。
【0220】
中間体32.3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸メチル、異性体1および異性体2
水酸化カリウム(3.8M,2.58mL,9.79mmol)を、4−(3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブト−2−エン酸(R,E)−メチル(中間体31)(2.15g,6.53mmol)および4−(3−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン−2−イル)フェニル)モルホリン(3.60g,9.79mmol) (CombiPhosより入手可能)、1,4−ジオキサン(21.5mL)中、(R)−BINAP(Aldrichより入手可能)(0.813g,1.3mmol)およびクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(l)二量体(Aldrichより入手可能) (0.322g,0.653mmol)の混合物に添加した。反応混合物を50℃にて2時間加熱した。冷却後、反応混合物をEtOAc(100mL)および水(50mL)で希釈した。2つの相を分離し、有機相をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空濃縮した。残渣をKP−NHカートリッジ(100g)にロードし、0−50%EtOAc−シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、生成物をジアステレオ異性体混合物として得た(2.9g)。混合物を、40%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)含有ヘプタン溶出、流速30mL/分、検出215nmの、画分をRT=21−23分およびRT=23−31分(後者が主成分である)で回収する、キラルセルOJ−Hカラム(30mm×25cm)上で、分取HPLCで分離させた。画分を合わせ、真空蒸発させ、次いで同じ条件を用いて再精製し、標題化合物の2つのジアステレオ異性体を得た:
異性体1 3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(R)−メチル(106mg,3%):LCMS(システムA)RT=1.42分,ES+ve m/z 571,573(M+H)
+;40%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)含有ヘプタン溶出、流速1mL/分、検出215nmの、キラルセルOJ−Hカラム(4.6mm id×25cm)での、分析的分取HPLC:RT=17.2分,97%。
異性体2 3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−メチル(1.34g,34%):LCMS(システムA)RT=1.42分,ES+ve m/z 571,573(M+H)
+;40%EtOH(0.2%イソプロピルアミン含有)含有ヘプタン溶出、流速1mL/分、検出215nmの、キラルセルOJ−Hカラム(4.6mm id×25cm)上でRT=20.3分,96.6%。
【0221】
例の製造
例1:(S)−3−(3−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化32】
DCM(30mL)中、3−(3−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(中間体8、異性体1)(3.48g,6.51mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(20mL)で処理し、室温にて1.5時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、紫色油を得て、それを次いでEtOH(10mL)中に溶解させ、エタノール(3CV)および次に2Mアンモニア/メタノール(3CV)で溶出するSCX−2カートリッジ(70g)で精製した。塩基性画分を合わせ、真空蒸発させ、96%純正の粗製生成物(3.175g)を淡い茶色固体として得た。生成物を10カラム容量上で15−40%アセトニトリル(0.1%アンモニア含有)−(重炭酸アンモニア水溶液10mM)の勾配で溶出する、C18カートリッジ(120g)での逆相クロマトグラフィーによってさらに精製した。適切な画分を合わせ、真空蒸発させ標題化合物(2.1g,67%)を白色固体として得た:LCMS(システムA)RT=0.77分,ES+ve m/z 479(M+H)
+;
1H NMR δ (CD
3OD, 400MHz) は、1.63-1.70 (m, 1H), 1.73-1.83 (m, 2H), 1.82-1.90 (m, 2H), 2.15-2.24 (m, 1H), 2.27-2.38 (m, 1H), 2.54 (t, J=7.8 Hz, 2H), 2.57-2.64 (m, 1H), 2.69 (t, J=6 Hz, 2H), 2.81 (dd, J=16.5, 10.5 Hz, 1H), 2.95-3.06 (m, 1H), 3.10-3.17 (m, 4H), 3.17-3.24 (m, 1H), 3.34-3.40 (m, 3H, 溶媒により目立たず), 3.55 (dd, J=12.5, 9 Hz, 1H), 3.78-3.85 (m, 4H), 6.31-6.42 (m, 1H), 6.74 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.83-6.88 (m, 2H), 7.13 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.17-7.25 (m, 1H); [α]
D 20 + 23 (EtOH中c=1.0)を含む。
【0222】
例2:(S)−3−(3−シクロプロピル−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸を例1に記載の方法と同様の方法で中間体12、異性体1から製造した:
【化33】
LCMS (システムA)RT=0.88分,ES+ve m/z 519(M+H)
+;
1H NMRδ (CD
3OD, 600MHz) 7.13 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.48 (s, 1H), 6.38 (d, J=7.3 Hz, 1H), 3.82 - 3.77 (m, 4H), 3.53 (dd, J=12.7, 9.4 Hz, 1H), 3.38-3.35 (m, 3H), 3.30-3.24 (m, 3H), 3.18 (dd, J=12.7, 3.7 Hz, 1H), 3.14-3.08 (m, 4H), 3.02-2.92 (m, 1H), 2.78 (dd, J=16.3, 10.6 Hz, 1H), 2.69(t, J=6.2 Hz, 2H), 2.60-2.56 (m, 1H), 2.56-2.51 (m, 2H), 2.32 (m, 1H), 2.23-2.14 (m, 1H), 1.89-1.83 (m, 3H), 1.83-1.72 (m, 2H), 1.67 (dq, J=13.0, 8.6 Hz), 0.96-0.85 (m, 2H), 0.71-0.62 (m, 2H)。
【0223】
例3:(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化34】
DCM(6.15mL)中、3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−tert−ブチル(中間体18、異性体1)(86.5mg,0.144mmol)の溶液をTFA(3mL)で処理し、反応混合物を室温にて2時間撹拌した。溶媒およびTFAを真空除去し、残渣を前処理したアミノプロピルカートリッジ(10g)に適用した。カートリッジをMeOHで洗浄し、次いでメタノール(2.5CV)中の2Mアンモニアで洗浄した。アンモニア性の画分を真空濃縮し、標題化合物(67mg,85%)を得た:LCMS(システムD)RT=0.80分,98.2%, ES+ve m/z 545(M+H)
+; NMRδ(500 MHz, DMSO-d
6) 8.48 (1H, br s), 7.70 (1H, br s), 7.19 (1H, br s), 7.15 (1H, br s), 7.02 (1H, d, J 7 Hz), 6.78 (1H, br s), 6.51 (1H, br s), 6.30-6.24 (2H, m), 3.77-3.74 (4H, m), 3.27-3.22 (3H, m), 3.21-3.17 (4H, m), 2.88-2.68 (3H, m), 2.65-2.54 (4H, m), 2.48-2.33 (4H, m), 2.11-1.98 (1H, m), 1.97-1.87 (1H, m), 1.79-1.70 (2H, m), 1.69-1.56 (2H, m), 1.43-1.31 (1H, m)。
【0224】
例4:3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化35】
例3に記載の方法と同様の方法によって中間体23(ジアステレオ異性体の混合物)から標題化合物(48mg,88%)を得た:LCMS(システムA)RT=0.83分,ES+ve m/z 559(M+H)
+;
1H NMRδ(400 MHz, CDCl
3) 7.80 (1H, d, J 2 Hz), 7.14 (1H, d, J 7.3 Hz), 7.10 (1H, m), 6.94 (1H, br s), 6.65 (1H, br s), 6.28 (1H, d, J 7.3 Hz), 6.23 (1H, d, J 2 Hz), 3.91-3.83 (4H, m), 3.52-3.35 (4H, m), 3.27-3.20 (4H, m), 3.12-2.94 (2H, m), 2.79-2.66 (5H, m), 2.62-2.41 (3H, m), 2.37 (3H, s), 2.36-2.29 (1H, br), 2.20-1.99 (4H, m), 1.95-1.81 (3H, m), 1.65-1.53 (1H, m), 1.50-1.40 (1H, m)。
【0225】
例5:(S)−3−(3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化36】
例3に記載の方法と同様の方法によって中間体28、異性体1から標題化合物(34mg,62%)を得た:LCMS(システムA)RT=0.85分,ES+ve m/z 573(M+H)
+;
1H NMRδ(400 MHz, DMSO-d
6) 7.03 (1H, d, J 7.3 Hz), 6.86 (1H, br s), 6.79 (1H, m), 6.75 (1H, br s), 6.37-6.32 (1H, br), 6.26 (1H, d, J 7.3 Hz), 6.03 (1H, s), 3.76-3.71 (4H, m), 3.27-3.20 (3H, m), 3.18-3.13 (4H, m), 3.00-2.57 (9H, m), 2.49-2.38 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.17 (3H, s), 2.11-1.88 (2H, m), 1.78-1.71 (2H, m), 1.66-1.57 (2H, m), 1.43-1.33 (1H, m)。
【0226】
例6:(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化37】
3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(中間体32、異性体2)(454mg,0.79mmol)1H−ピラゾール−5−ボロン酸(S)−メチル(Chemimpexより入手可能)(267mg,2.39mmol)、クロロ(ジ−2−ノルボルニルホスフィノ)(2′−ジメチルアミノ−1,1’−ビスフェニル−2−イル)パラジウム(II)(Flukaより入手可能)(44.5mg,0.08mmol)、EtOH(12.5mL)および水(3.2mL)中のリン酸三カリウム(506mg,2.39mmol)の混合物を、マイクロ波反応器内で140℃まで60分加熱した。反応混合物を室温に冷ました後、混合物を同じ規模の同一の反応混合物と合わせ、合わさった混合物を真空濃縮した。残渣をDMSO−MeOH(1:1)中で溶解し、0−30%アセトニトリル−0.1%水性重炭酸アンモニアの勾配を用いたC18(100gカラム)上での逆相クロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を真空蒸発させ標題化合物(683mg,79%)を得た:LCMS(システムD)RT=0.79分,ES+ve m/z 545(M+H)
+;
1H NMR (DMSO-d
6, 600 MHz) 14.5-12.5 (2H, br s), 7.64 (1H, br s), 7.17 (1H, s), 7.12 (1H, s), 7.01 (1H, d), 6.76 (1H, s), 6.68 (1H, d), 6.26-6.24 (2H, d + br s), 3.75 (4H, m), 3.23 (2H, m), 3.20-3.13 (5H, 2 x m), 2.92 (1H, t), 2.83-2.77 (2H, m), 2.74 (1H, q), 2.59 (3H, t), 2.54 (1H, dd), 2.45-2.38 (3H, m), 2.36 (1H, t), 2.04 (1H, m), 1.92 (1H, m), 1.74 (2H, m), 1.62 (2H, m), 1.36 (1H, m)。
【0227】
例7:(S)−3−(3−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化38】
EtOH(0.5mL)中、3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−メチル(中間体32、異性体2)(57mg,0.100mmol)の溶液を、3−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(ChemBridgeより入手可能)(21mg,0.1mmol)に添加し、Anton Paarマイクロ波バイアルに入れた。水中(0.8ml)に溶解させたリン酸三カリウム(65.5mg,0.308mmol)の原液を調製し、アリコート(0.2mL)をバイアル内に投入した。最後に塩化2′−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニルイル−パラジウム(II)ジノルボルニルホスフィン複合体(Aldrichより入手可能)(5.76mg,10.28μmol)を添加し、反応容器を密封し、初期出力600Wで130℃まで30分間、Anton Parrマイクロ波反応器内で加熱した。反応物を冷ました後、追加の3−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(21mg,0.10mmol)を添加し、続いてリン酸三カリウム(63.5mg,0.299mmol)および塩化2′−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニルイル−パラジウム(II)ジノルボルニルホスフィン複合体(5.59mg,9.97μmol)を添加した。バイアルを密封し、130℃まで30分間、Anton Parrマイクロ波反応器(microwave)(600W)内で加熱した。DMSO(0.4mL)を反応混合物に添加し、濾過し、アセトニトリル水性重炭酸アンモニアを用いてWaters CSH C18(19mm×100mm 5μm)カラム上でMDAPによって精製した。適切な画分を、窒素ガス流下でブローダウン(blown down)した装置内にて蒸発させ、標題化合物(2.8mg,5%)を得た:LCMS(システムE)RT=0.49分,ES+ve m/z 559(M+H)
+;
1H NMRδ(400 MHz, DMSO-d
6) 7.12-7.10 (m, 1H), 7.06-7.05 (m, 1H), 7.01 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.75-6.73 (m, 1H), 6.41 (s, 1H), 6.26-6.23 (m, 2H), 3.77-3.72 m, 4H), 3.25-3.20 (m, 2H), 3.15-3.11 (m, 4H), 2.93-2.68 (m, 4H), 2.62-2.52 (m, 5H), 2.43-2.30 (m, 5H), 2.23 (s, 3H), 2.08-1.98 (m, 1H), 1.96-1.84 (m, 1H), 1.78-1.70 (m, 2H), 1.67-1.55 (m, 2H), 1.41-1.30 (m, 1H)。
【0228】
例8.(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−4−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸
【化39】
EtOH(4mL)中、3−(3−ブロモ−5−モルホリノフェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−メチル(中間体32、異性体2)(80mg,0.14mmol)の溶液を、塩化2′−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニルイル−パラジウム(II)ジノルボルニルホスフィン複合体(7.84mg,0.014mmol)、リン酸三カリウム(89mg,0.42mmol)および水(1mL)で処理した。バイアルを密封し、Biotage Initiator内で130℃にて30分加熱した。反応混合物を真空濃縮した。残渣をMeCN中のBiotage SNAPカートリッジ(30g)にロードし、10mM重炭酸アンモニア中で25−60%MeCN(0.1%アンモニア含有)の勾配で溶出する、逆相クロマトグラフィーによって精製した。適切な画分を真空濃縮し、淡い茶色固体(37.3mg)を得て、それをさらにMDAP(方法A)によって濃縮した。適切な画分を合わせ、真空濃縮し、標題化合物(12mg,16%)を得た:LCMS(システムD)RT=0.77分,98%,ES+ve m/z 545(M+H)
+;
1H NMR (DMSO-d
6 ,600 MHz) 8.01 (br s, 2H), 7.01-7.02 (m, 1H), 7.01 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.97-6.99 (m, 1H), 6.98 (d, J=1.5 Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.64 (s, 1H), 6.25 (d, J=7.2 Hz, 2H), 3.70-3.77 (m, 4H), 3.20-3.27 (m, 3H), 3.09-3.18 (m, 5H), 2.95 (br t, J=11.2 Hz, 1H), 2.78-2.84 (m, 1H), 2.70-2.86 (m, 2H), 2.57-2.65 (m, 3H), 2.52-2.57 (m, 1H), 2.39-2.45 (m, 1H), 2.35-2.45 (m, 3H), 1.99-2.09 (m, 1H), 1.87-1.96 (m, 1H), 1.70-1.77 (m, 2H), 1.62 (br dd, J=13.2, 7.5 Hz, 2H), 1.37 (br d, J=4.4 Hz, 1H)。
【0229】
例9.3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−アミノ−2−オキソエチル 4−メチルベンゼンスルホン酸塩
DCM(2mL)中、(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(例6)(100mg,0.184mmol)および2−ヒドロキシアセトアミド(13.78mg,0.184mmol)の溶液を、HATU(140mg,0.367mmol)およびDIPEA(0.071mL,0.404mmol)で処理し、その後2時間室温にて撹拌した。反応混合物をアミノプロピルカラム(10g)上にロードし、0−100%酢酸エチル−シクロヘキサン溶媒システムで30分溶出した。適切な画分を合わせ、低減した圧力下で蒸発させ、無色のガムを得た(84mg)。反応混合物を別のアミノプロピルカラム(10g)上にロードし、0−100%(3:1酢酸エチル−エタノール+1%NH
3)−シクロヘキサン溶媒システムで20分間溶出した。画分を週末にかけて放置したところ、LCMSはエチルエステルの存在を示した。そのため低減した圧力下で同じシステムおよび適切な画分から蒸発直後の溶媒を用いて試料を再精製し、標題化合物の遊離塩基(36mg,33%)をオフホワイトのガムとして得た。LCMS(システムD)RT=0.99分,98%,ES+ve m/z 602(M+H)
+。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) ・7.66-7.61 (m, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.01 (d, J=7.0 Hz, 1H), 6.82-6.66 (m, 2H), 6.24 (d, J=7.3 Hz, 1H), 4.31 (d, J=4.5 Hz, 2H), 3.78-3.71 (m, 5H), 3.26-3.17 (m, 3H), 3.16-3.09 (m, 3H), 2.89 (d, J=6.5 Hz, 1H), 2.75-2.64 (m, 2H), 2.43-2.34 (m, 4H), 2.17-2.10 (m, 1H), 1.77-1.70 (m, 2H), 1.54 (br. s., 1H), 1.30-1.26 (m, 1H)。3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナ
フチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−アミノ−2−オキソエチル(32mg,0.053mmol)をアセトニトリル(1mL)中に溶解し、アセトニトリル(1mL)中、ベンゼンスルホン酸4−メチル(10.12mg,0.053mmol)の溶液を添加した。混合物を室温にて一晩中撹拌した。溶媒を窒素下でブローダウンし標題化合物(41mg,100%)を白色固体として得た:LCMS(システムD)RT=0.99分,78%,ES+ve m/z 602(M+H)
+。(RT=0.42分,20%(トシル酸)。
【0230】
例10.3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−モルホリノエチル、4−メチルベンゼンスルホン酸塩
DCM(2mL)中、(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(例6)(100mg,0.184mmol)および2−モルホリノエタノール(24.08mg,0.184mmol)の溶液を、HATU(140mg,0.367mmol)およびDIPEA(0.071mL,0.404mmol)で処理し、その後2時間室温にて撹拌した。反応混合物をアミノプロピルカラム(10g)上にロードし、0−100%酢酸エチル−シクロヘキサン溶媒システムで30分溶出した。適切な画分を合わせ、低減した圧力下で蒸発させ、標題化合物の遊離塩基(102mg,84%)を無色ガムとして得た。LCMS(システムD)RT=1.07分,98%,ES+ve m/z 658(M+H)
+。
1H NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) 7.64 (d, J=2 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.01 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.24 (d, J=7.1 Hz, 1H), 4.00 (t, J=5.8 Hz, 2H), 3.79-3.72 (m, 4H), 3.57-3.51 (m, 2H), 3.25-3.20 (m, 3H), 3.16-3.08 (m, 3H), 2.81 (s, 1H), 2.75-2.64 (m, 2H), 2.59 (t, J=5.9 Hz, 3H), 2.13 (d, J=8.6 Hz, 1H), 1.77-1.69 (m, 2H), 1.59 (d, J=7.8 Hz, 2H)。3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−モルホリノエチル(100mg,0.152mmol)をアセトニトリル中に(1mL)溶解し、アセトニトリル中(1mL)に溶解した4−メチルベンゼンスルホン酸(28.9mg,0.152mmol)を添加した。混合物を室温にて一晩中撹拌した。溶媒を窒素下でブローダウンし、標題化合物(94mg,95%)を無色
ガムとして得た。LCMS(システムD)RT=1.07分,82%,ES+ve m/z 658(M+H)
+。(RT=0.42分,15%(トシル酸)。
【0231】
例11.3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−(tert−ブトキシ)エチル、4−メチルベンゼンスルホン酸塩
DCM(1mL)中、撹拌した(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(100mg,0.184mmol)(例6)、HATU(115mg,0.302mmol)および2−(tert−ブトキシ)エタノール(0.072mL,0.551mmol)の溶液にDIPEA(0.071mL,0.404mmol)を添加した。反応混合物を一晩中大気温度にて撹拌した。水(1mL)を添加し、10分撹拌し、次いで混合物を疎水性フリットに移し、溶媒を真空蒸発させた。残渣をDMSO中で溶解し、30−85%に緩衝化した(方法A)アセトニトリル−水の勾配を用いてMDAPによって精製した。適切な画分を取り、室温にて窒素流下で溶媒を取り除いた。残渣(65.7mg)をDCM中のアミノプロピルカラム(5g)上にロードし、0−100%酢酸エチル/シクロヘキサンの勾配を用いて15分精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空蒸発させ標題化合物の遊離塩基(61.5mg)を無色ガラスとして得た。LCMS(システムD)RT=1.27分,99%,ES+ve m/z 645(M+H)
+。遊離塩基(50mg)をアセトニトリル(1mL)中に溶解させ、ベンゼンスルホン酸4−メチル(18.07mg,0.095mmol)を添加し、混合物を一晩中室温にて撹拌した。溶媒を真空除去し、標題化合物(60.8mg)をオフホワイトのガムとして得て、これはフラスコをスクラッチングすることで固体化した。LCMS(システムD)RT=1.27分,82%,ES+ve m/z 645(M+H)
+ 0.41分,16%(トシル酸)。
【0232】
例12.3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(S)−2−メトキシエチル
DCM(1mL)中、撹拌した(S)−3−(3−モルホリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−4−((R)−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)エチル)ピロリジン−1−イル)ブタン酸(例6)(106mg,0.195mmol)、HATU(115mg,0.302mmol)および2−メトキシエタノール(0.046mL,0.584mmol)の溶液に、DIPEA(0.075mL,0.428mmol)を添加した。反応混合物を2時間大気温度にて撹拌した。水(1mL)を添加し10 分撹拌し、次いで混合物を疎水性フリットに移し、アミノプロピル(10g)カラム上にロードした。化合物を0−100%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配を用いて、順相クロマトグラフィーによって15分精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空除去し、標題化合物の遊離塩基(61.5mg)を無色ガムとして得た:LCMS(システムD)RT=1.12分,100%,ES+ve m/z 603(M+H)
+。
【0233】
試料をアセトニトリル(1mL)中に溶解し、4−メチルベンゼンスルホン酸塩(19.40 mg,0.102mmol)を添加し、混合物を室温にて7時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、標題化合物(80.5mg)を無色ガムとして得た。LCMS(システムD)RT=1.12分,75%,ES+ve m/z 603(M+H)
+ 0.40分,19%,(トシル酸)。
【0234】
溶解性
動的溶解性を社内のアッセイを用いて決定した。5μlの名目上10mMのDMSO原液をpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で100μlに希釈し、1時間室温にて平衡化させMillipore Multiscreen
HTS-PCF濾過プレート(MSSL BPC)を通して濾過した。DMSO 原液および濾液を、N. Bhattachar et.al. J. Pharm. Biomed. Anal. 2006, 41, 152-157に概説されたものと類似の、社内のフローインジェクションChemi-Luminescent Nitrogen Detection 方法論によって定量化した。全ての化合物は150μMを超えた溶解性を有することが見いだされた。
【0235】
生物学的アッセイ
細胞間接着アッセイ
使用した試薬および方法は記載の通りであり[Ludbrook et al, Biochem. J. 2003, 369, 311)、以下に明瞭化の点を示す。以下の細胞株を使用し、括弧内にリガンドを示す:K562−α
5β
1(フィブロネクチン)、K562−α
vβ
3(LAP−b
1)、K562−α
vβ
5(ビトロネクチン)、K562−α
vβ
6(LAP−b
1)、K562−α
vβ
8(LAP−b
1)。接着を促進するために使用した二価陽イオンは2mM MgCl
2であった。接着を、蛍光色素BCECF−AM(Life TecHnologies)での細胞標識によって定量化し、その際、3×10
6細胞/mLの細胞懸濁液を、0.33mL/mLの30mM BCECF−AMとともに37℃で10分間インキュベートし、その後、アッセイプレートに分注した。アッセイの終了時に、接着した細胞を、H
2O中0.5%Triton X−100を50μL/ウェルで使用して溶解し、蛍光を放出させた。蛍光強度を、Envision(商標)プレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して検出した。このアッセイにおいて活性な阻害剤について、IC
50決定のために、データを4パラメーターロジスティック方程式にフィットさせた。
【0236】
細胞間接着アッセイにおける例1の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.4;α
vβ
3でpIC
50=6.2;α
vβ
5でpIC
50=7.3;α
vβ
1でpIC
50=6.6であった。
【0237】
細胞間接着アッセイにおける例2の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.4;α
vβ
3でpIC
50=5.7;α
vβ
5でpIC
50=6.6;α
vβ
8でpIC
50=7.7であった。
【0238】
細胞間接着アッセイにおける例3の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.5;α
vβ
3でpIC
50=5.4;α
vβ
5でpIC
50=6.7;α
vβ
8でpIC
50=7.8;α
vβ
1でpIC
50=7.3であった。
【0239】
細胞間接着アッセイにおける例4の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.1;α
vβ
3でpIC
50=5.2;α
vβ
5でpIC
50=6.8;α
vβ
8でpIC
50=7.5であった。
【0240】
細胞間接着アッセイにおける例5の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.1;α
vβ
3でpIC
50=5.0;α
vβ
5でpIC
50=5.8;α
vβ
8でpIC
50=8.0であった。
【0241】
細胞間接着アッセイにおける例6の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.5;α
vβ
3でpIC
50=5.9;α
vβ
5でpIC
50=7.3;α
vβ
8でpIC
50=8.1;α
vβ
1でpIC
50=8.0であった。
【0242】
細胞間接着アッセイにおける例7の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.0;α
vβ
3でpIC
50=5.7;α
vβ
5でpIC
50=6.7;α
vβ
8でpIC
50=7.6であった。
【0243】
細胞間接着アッセイにおける例8の平均親和性(pIC
50)は、α
vβ
6でpIC
50=8.3;α
vβ
3でpIC
50=5.4;α
vβ
5でpIC
50=7.2;α
vβ
8でpIC
50=8.3であった。