(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の実施例に係るショベル(掘削機)の側面図である。ショベルの下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられる。エンドアタッチメントとして、法面用バケット、浚渫用バケット等が用いられてもよい。
【0011】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられる。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられてもよい。
【0012】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出する。本実施例では、ブーム角度センサS1は水平面に対する傾斜を検出して上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
【0013】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出する。本実施例では、アーム角度センサS2は水平面に対する傾斜を検出してブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
【0014】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出する。本実施例では、バケット角度センサS3は水平面に対する傾斜を検出してアーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。掘削アタッチメントがバケットチルト機構を備える場合、バケット角度センサS3はチルト軸回りのバケット6の回動角度を追加的に検出する。
【0015】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。
【0016】
上部旋回体3にはキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載される。上部旋回体3には機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、及びカメラS6が取り付けられる。通信装置S7及び測位装置S8が取り付けられてもよい。
【0017】
機体傾斜センサS4は水平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施例では、機体傾斜センサS4は上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベルの旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
【0018】
旋回角速度センサS5は、例えばジャイロセンサであり、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0019】
カメラS6はショベルの周辺の画像を取得する装置である。本実施例では、カメラS6は上部旋回体3に取り付けられる1又は複数台のカメラである。
【0020】
通信装置S7は、ショベルと外部との間の通信を制御する装置である。通信装置S7は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)測量システムとショベルとの間の無線通信を制御する。ショベルは、通信装置S7を用いることで無線通信を介して目標施工面に関する情報等を含む設計データを取得できる。但し、ショベルは、半導体メモリ等を用いて設計データを取得してもよい。
【0021】
測位装置S8は、ショベルの位置及び向きを測定する装置である。本実施例では、測位装置S8は、電子コンパスを組み込んだGNSS受信機であり、ショベルの存在位置の緯度、経度、高度を測定し、且つ、ショベルの向きを測定する。
【0022】
キャビン10内には、入力装置D1、音声出力装置D2、表示装置D3、記憶装置D4、ゲートロックレバーD5、コントローラ30、及びマシンガイダンス装置50が設置される。
【0023】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0024】
マシンガイダンス装置50は、ショベルの操作をガイドする。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標施工面とバケット6の先端(爪先)位置との鉛直方向における距離を視覚的に且つ聴覚的に操作者に報知する。これにより、マシンガイダンス装置50は操作者によるショベルの操作をガイドする。マシンガイダンス装置50は、その距離を視覚的に操作者に知らせるのみであってもよく、聴覚的に操作者に知らせるのみであってもよい。具体的には、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。マシンガイダンス装置50の各種機能はCPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。マシンガイダンス装置50は、コントローラ30とは別個に設けられてもよく、あるいは、コントローラ30に組み込まれていてもよい。
【0025】
入力装置D1は、ショベルの操作者がマシンガイダンス装置50に各種情報を入力するための装置である。本実施例では、入力装置D1は、表示装置D3の周囲に取り付けられるメンブレンスイッチである。入力装置D1としてタッチパネル等が用いられてもよい。
【0026】
音声出力装置D2は、マシンガイダンス装置50からの音声出力指令に応じて各種音声情報を出力する。本実施例では、音声出力装置D2として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載スピーカが利用される。音声出力装置D2として、ブザー等の警報器が利用されてもよい。
【0027】
表示装置D3は、マシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施例では、表示装置D3として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載液晶ディスプレイが利用される。表示装置D3にはカメラ画像が表示される。
【0028】
記憶装置D4は、各種情報を記憶するための装置である。本実施例では、記憶装置D4として、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体が用いられる。記憶装置D4は、マシンガイダンス装置50等が出力する各種情報を記憶する。
【0029】
ゲートロックレバーD5は、ショベルが誤って操作されるのを防止する機構である。本実施例では、ゲートロックレバーD5は、キャビン10のドアと運転席との間に配置される。キャビン10から操作者が退出できないようにゲートロックレバーD5が引き上げられた場合に、各種操作装置は操作可能となる。一方、キャビン10から操作者が退出できるようにゲートロックレバーD5が押し下げられた場合には、各種操作装置は操作不能となる。
【0030】
図2は、
図1のショベルの駆動系の構成例を示す図である。
図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示される。
【0031】
エンジン11はショベルの動力源である。本実施例では、エンジン11は、エンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントローラユニット(ECU)D7により制御される。
【0032】
エンジン11には油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。メインポンプ14には高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17が接続される。
【0033】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。右側走行用油圧モータ、左側走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。旋回用油圧モータは旋回用電動発電機であってもよい。
【0034】
パイロットポンプ15にはパイロットラインを介して操作装置26が接続される。操作装置26はレバー及びペダルを含む。操作装置26は、油圧ライン及びゲートロック弁D6を介してコントロールバルブ17に接続される。
【0035】
ゲートロック弁D6は、コントロールバルブ17と操作装置26とを接続する油圧ラインの連通・遮断を切り換える。本実施例では、ゲートロック弁D6は、コントローラ30からの指令に応じて油圧ラインの連通・遮断を切り換える電磁弁である。コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が出力する状態信号に基づいてゲートロックレバーD5の状態を判定する。そして、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き上げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して連通指令を出力する。連通指令を受けると、ゲートロック弁D6は開いて油圧ラインを連通させる。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が有効となる。一方、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き下げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して遮断指令を出力する。遮断指令を受けると、ゲートロック弁D6は閉じて油圧ラインを遮断する。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が無効となる。
【0036】
圧力センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。圧力センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。
【0037】
図2はコントローラ30と表示装置D3との接続関係を示す。本実施例では、表示装置D3はマシンガイダンス装置50を介してコントローラ30に接続される。表示装置D3、マシンガイダンス装置50、及びコントローラ30は、CAN等の通信ネットワークを介して接続されてもよく、専用線を介して接続されてもよい。
【0038】
表示装置D3は画像を生成する変換処理部D3aを含む。本実施例では、変換処理部D3aは、カメラS6の出力に基づいて表示用のカメラ画像を生成する。そのため、カメラS6は、例えば専用線を介して表示装置D3に接続されてもよい。
【0039】
変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50の出力に基づいて表示用の画像を生成する。本実施例では、変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が出力する各種情報を画像信号に変換する。コントローラ30が出力する情報は、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。マシンガイダンス装置50が出力する情報は、バケット6の先端(爪先)位置を示すデータ、作業対象の法面の向きを示すデータ、ショベルの向きを示すデータ、ショベルを法面に正対させるための操作方向を示すデータ等を含む。
【0040】
変換処理部D3aは、表示装置D3が有する機能としてではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が有する機能として実現されてもよい。この場合、カメラS6は、表示装置D3ではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50に接続される。
【0041】
表示装置D3は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置D3以外のショベルの電装品72等にも供給される。エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0042】
エンジン11は、エンジンコントローラユニットD7により制御される。エンジンコントローラユニットD7からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置D3に送信することができる。
【0043】
コントローラ30には以下のように各種のデータが供給される。各種のデータは、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0044】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を表すデータ)は一時記憶部30aに格納される。メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には油温センサ14cが設けられている。その管路を流れる作動油の温度を表すデータが油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
【0045】
燃料収容部55における燃料収容量検出部55aから燃料収容量を示すデータがコントローラ30に供給される。本実施例では、燃料収容部55としての燃料タンクにおける燃料収容量検出部55aとしての燃料残量センサから燃料の残量状態を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0046】
具体的には、燃料残量センサは、液面に追従するフロートと、フロートの上下変動量を抵抗値に変換する可変抵抗器(ポテンショメータ)とで構成される。この構成により、燃料残量センサは、表示装置D3で燃料の残量状態を無段階表示させることができる。燃料収容量検出部55aの検出方式は、使用環境等に応じて適宜選択され得るものであり、燃料の残量状態を段階表示させることができる検出方式が採用されてもよい。
【0047】
操作装置26を操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、圧力センサ29で検出される。圧力センサ29は、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に供給する。
【0048】
本実施例では、
図2に示すように、ショベルは、キャビン10内にエンジン回転数調整ダイヤル75を備える。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施例ではエンジン回転数を4段階で切り換えできる。エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできる。
図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0049】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0050】
次に、
図3を参照しながら、マシンガイダンス装置50の各種機能要素について説明する。
図3は、マシンガイダンス装置50の構成例を示す機能ブロック図である。
【0051】
本実施例では、コントローラ30は、ショベル全体の動作の制御に加えて、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。具体的には、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5の状態、圧力センサ29からの検出信号等に基づいてマシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。
【0052】
次に、マシンガイダンス装置50について説明する。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、入力装置D1、及びコントローラ30から出力される各種信号及びデータを受信する。そして、マシンガイダンス装置50は、受信した信号及びデータに基づいてアタッチメント(例えば、バケット6)の実際の位置を算出する。そして、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの実際の位置が目標位置と異なる場合に、音声出力装置D2及び表示装置D3に警報指令を送信し、警報を発令させる。
【0053】
マシンガイダンス装置50は、様々な機能を担う機能部を含む。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの動作をガイダンスするための機能部として、傾斜角算出部501、高さ算出部503、比較部504、警報制御部505、ガイダンスデータ出力部506、作業対象設定部507、作業対象面情報表示部508、ショベル向き表示部509、操作方向表示部510、及び正対状態表示部511を含む。
【0054】
傾斜角算出部501は、機体傾斜センサS4からの検出信号に基づいて、水平面に対する上部旋回体3の傾斜角(ショベルの傾斜角)を算出する。すなわち、傾斜角算出部501は、機体傾斜センサS4からの検出信号を用いて、ショベルの傾斜角を算出する。
【0055】
高さ算出部503は、傾斜角算出部501が算出した傾斜角と、センサS1〜S3の検出信号から算出されたブーム4、アーム5、バケット6の角度とから、バケット6の先端(爪先)の高さを算出する。本実施例では、バケット6の先端で掘削を行うため、バケット6の先端(爪先)はエンドアタッチメントの作業部位に相当する。一方、バケット6の背面で土砂をならすような作業をするときには、バケット6の背面がエンドアタッチメントの作業部位に相当する。バケット6以外のエンドアタッチメントとしてブレーカを用いた場合には、ブレーカの先端がエンドアタッチメントの作業部位に相当する。
【0056】
比較部504は、高さ算出部503が算出したバケット6の先端(爪先)の高さと、ガイダンスデータ出力部506から出力されるガイダンスデータで示されるバケット6の先端(爪先)の目標高さとを比較する。目標高さは、予め入力された設計図面とショベルの現在位置と作業姿勢とから算出されてもよい。設定された過去のショベルの爪先位置と、入力された目標深さと、ショベルの傾斜角と、現在の作業姿勢(現在の爪先位置)から算出されてもよい。
【0057】
警報制御部505は、比較部504での比較結果に基づいて、警報が必要と判断した場合には警報指令を音声出力装置D2及び表示装置D3の両方又は一方に送信する。音声出力装置D2及び表示装置D3は、警報指令を受けると所定の警報を発してショベルの操作者に通報する。
【0058】
ガイダンスデータ出力部506は、マシンガイダンス装置50の記憶装置に予め格納されていたガイダンスデータからバケット6の目標高さのデータを抽出して比較部504に対して出力する。この際、ガイダンスデータ出力部506は、ショベルの現在位置、作業姿勢、傾斜角等に対応するバケット6の目標高さのデータを出力してもよい。
【0059】
作業対象設定部507はショベルの作業対象を設定する機能要素である。作業対象設定部507は、例えば、入力装置D1の所定のスイッチが押下されたときのショベルの向きを作業対象としての法面に正対する向きとして設定する。2次元マシンガイダンスの場合には、作業対象設定部507は、入力装置D1の所定のスイッチが押下されたときのバケット6の先端(爪先)位置を基準位置として設定してもよい。基準位置は、バケット6の先端位置の現在位置を算出して表示するために用いられる。
【0060】
ショベルが設計データを有し且つ測位装置S8を備える場合には、作業対象設定部507は法面に正対する向きを予め設定している。
【0061】
作業対象面情報表示部508は、作業対象面としての法面に関する情報をカメラ画像に重畳表示する機能要素である。例えば、作業対象面情報表示部508は、表示装置D3が生成したカメラ画像上に作業対象面としての法面の延長方向又はその延長方向に垂直な方向を表す画像を重畳表示する。法面の延長方向又はその延長方向に垂直な方向を表す画像は、法面の延長方向を示す線分、その延長方向に垂直な方向を示す線分等を含む。作業対象面は法面に限定されない。
【0062】
ショベル向き表示部509は、ショベルの向きに関する情報を出力画像上に表示する機能要素である。例えば、ショベル向き表示部509は、表示装置D3が生成したカメラ画像上にショベルの向きを表す画像を重畳表示する。ショベルの向きを表す画像は、ショベルの向きを示す線分を含む。ショベル向き表示部509は、出力画像中のカメラ画像以外の部分にショベルの向きを表す画像を表示してもよい。
【0063】
操作方向表示部510は、ショベルを作業対象としての法面に正対させるための操作方向を表す画像を出力画像上に表示する機能要素である。例えば、操作方向表示部510は、ショベルを法面に正対させるための操作方向を示す矢印をカメラ画像上に重畳表示する。操作方向表示部510は、出力画像中のカメラ画像以外の部分にショベルを法面に正対させるための操作方向を表す画像を表示してもよい。操作方向は旋回方向又は進行方向を含んでいてもよい。
【0064】
正対状態表示部511は、ショベルと作業対象としての法面とが正対した状態を表す画像を出力画像上に表示する機能要素である。例えば、正対状態表示部511は、ショベルと法面とが正対した状態を表す正対マークをカメラ画像上に重畳表示する。
【0065】
図4、
図5A及び
図5Bを参照し、
図3のマシンガイダンス装置50を用いた場合に表示装置D3に表示される出力画像の例について説明する。
図4は、法面WSを形成するショベルの上面図を示す。法面WSは作業対象設定部507により設定された作業対象としての法面である。
【0066】
図4のショベルは、前方カメラS6F、左側方カメラS6L、右側方カメラS6R、及び後方カメラS6Bを上部旋回体3に搭載する。
【0067】
図4は、ショベルの右後方に物体Bが存在することを示す。一点鎖線VL1vは法面WSの延長方向に垂直で且つショベル中心点SXを通る仮想線(説明目的で描画される実際には存在しない線分)である。二点鎖線VL1pは法面WSの延長方向に平行で且つショベル中心点SXを通る仮想線である。破線VL2は、ショベルの前後方向に平行で且つショベル中心点SXを通る仮想線である。
【0068】
図5A及び
図5Bは、
図4のショベルに搭載された左側方カメラS6L、右側方カメラS6R、及び後方カメラS6Bの出力に基づいて表示装置D3が生成した扇形俯瞰画像を含む出力画像Gxを示す。具体的には、
図5Aは、ショベルと法面WSとが正対していないときの出力画像Gxを示し、
図5Bは、ショベルと法面WSとが正対したときの出力画像Gxを示す。
【0069】
図5A及び
図5Bのそれぞれの出力画像Gxにおいて、扇形領域R1の内部には表示装置D3が生成したカメラ画像(扇形俯瞰画像)が表示され、その中心にはショベルの上面図を表すイラスト画像であるショベルアイコンG1が配置される。
図5Aと
図5Bとを見比べて分かるように、扇形領域R1の内部に表示されるカメラ画像は、例えばショベルの旋回動作に応じて変化する。
図5Bのカメラ画像に関するショベルの状態は、
図5Aのカメラ画像に関するショベルを左方向に旋回させた状態に対応する。後述の
図6Aと
図6B、
図7Aと
図7B、
図8Aと
図8Bについても同様である。
【0070】
二点鎖線L1pは、法面WSの延長方向を表す画像の一例であり、
図4の二点鎖線VL1pに対応する。二点鎖線L1pは作業対象面情報表示部508によって少なくとも一部がカメラ画像上に重畳表示される。本実施例では、二点鎖線L1pは扇形領域R1の中心を通り、扇形領域R1の直径と同じ長さを有する。但し、二点鎖線L1pは扇形領域R1の中心を通らなくてもよい。二点鎖線L1pの長さは扇形領域R1の直径と同じでなくてもよい。例えば、二点鎖線L1pは扇形領域R1からはみ出ていてもよい。
【0071】
目盛りG2は、ショベルの向きを表す画像の一例である。本実施例では、目盛りG2は、扇形領域R1の左端に配置される左側目盛りG2Lと、扇形領域R1の右端に配置される右側目盛りG2Rとを含む。左側目盛りG2L及び右側目盛りG2Rはそれぞれ5本の線分で構成され、中心の最長線分である主目盛りが上部旋回体3の左右軸に対応する。目盛りG2はショベル向き表示部509によって出力画像Gx上に表示される。目盛りG2は扇形領域R1の外側に表示されてもよい。
【0072】
図5Aの矢印G3は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向を表す画像の一例である。本実施例では、矢印G3は、扇形領域R1の外周に沿って右側目盛りG2Rから二点鎖線L1pに延びる。矢印G3を見たショベルの操作者は、上部旋回体3を左に向けることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。例えば、操作者は、旋回操作によって上部旋回体3を左方向に旋回させることで、或いは、走行操作によって下部走行体1を左方向に旋回させることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。矢印G3は操作方向表示部510によって出力画像Gx上に表示される。矢印G3は扇形領域R1の外側に表示されてもよい。矢印G3は点滅させられてもよい。
【0073】
図5Bの正対マークG4はショベルと法面WSとが正対したことを表す画像の一例である。本実施例では、正対マークG4は、左側目盛りG2Lの近くに配置される左側正対マークG4Lと、右側目盛りG2Rの近くに配置される右側正対マークG4Rとを含む。左側正対マークG4L及び右側正対マークG4Rはそれぞれ2つの三角形で構成され、2つの三角形の対向する頂点が二点鎖線L1pを挟むように配置される。このとき、二点鎖線L1pは左側目盛りG2L及び右側目盛りG2Rのそれぞれの主目盛りと平行になり且つ一致する。矢印G3は消去される。正対マークG4を見たショベルの操作者は、ショベルと法面WSとが正対したことを直感的に理解する。正対マークG4は正対状態表示部511によって出力画像Gx上に表示される。正対マークG4は扇形領域R1の外側に表示されてもよい。正対マークG4は点滅させられてもよい。
【0074】
次に、
図6A及び
図6Bを参照し、
図3のマシンガイダンス装置50を用いた場合に表示装置D3に表示される出力画像の別の例について説明する。
【0075】
図6A及び
図6Bは、
図4のショベルに搭載された後方カメラS6Bの出力に基づいて表示装置D3が生成した後方画像を含む出力画像Gxを示す。具体的には、
図6Aは、ショベルと法面WSとが正対していないときの出力画像Gxを示し、
図6Bは、ショベルと法面WSとが正対したときの出力画像Gxを示す。
【0076】
図6A及び
図6Bのそれぞれの出力画像Gxにおいて、矩形領域R2の内部には表示装置D3が生成したカメラ画像(後方画像)が表示される。後方画像に表示される像は、バックミラーに映る像と同様に鏡像である。そのため、
図4に示すように実際にはショベルの右後方に存在する物体Bは、
図6Aに示すように矩形領域R2の右側部分に表示される。
【0077】
一点鎖線L1vは、法面WSの延長方向に垂直な方向を表す画像の一例であり、
図4の一点鎖線VL1vに対応する。一点鎖線L1vは作業対象面情報表示部508によって少なくとも一部がカメラ画像上に重畳表示される。本実施例では、一点鎖線L1vは、矩形領域R2の縦軸に平行となるように表示され、矩形領域R2の高さと同じ長さを有する。但し、一点鎖線L1vはその縦軸に平行でなくてもよい。一点鎖線L1vの長さは矩形領域R2の高さと同じでなくてもよい。例えば、一点鎖線L1vは矩形領域R2からはみ出ていてもよい。
【0078】
目盛りG2は、ショベルの向きを表す画像の一例である。本実施例では、目盛りG2は矩形領域R2の下部中央に配置される。目盛りG2は5本の線分で構成され、中心の最長線分である主目盛りが上部旋回体3の前後軸に対応する。矩形領域R2の下端部分に表示されているのは上部旋回体3の後端部分である。目盛りG2はショベル向き表示部509によって出力画像Gx上に表示される。目盛りG2は矩形領域R2の外側に表示されてもよい。
【0079】
図6Aの矢印G3は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向を表す画像の一例である。本実施例では、矢印G3は、矩形領域R2の横軸に平行に一点鎖線L1vから目盛りG2の主目盛りに延びる。矢印G3を見たショベルの操作者は、上部旋回体3を左に向けることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。例えば、操作者は、旋回操作によって上部旋回体3を左方向に旋回させることで、或いは、走行操作によって下部走行体1を左方向に旋回させることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。矢印G3は操作方向表示部510によって出力画像Gx上に表示される。矢印G3は矩形領域R2の外側に表示されてもよい。矢印G3は点滅させられてもよい。
【0080】
図6Bの正対マークG4はショベルと法面WSとが正対したことを表す画像の一例である。本実施例では、正対マークG4は目盛りG2の主目盛りのところに配置される。正対マークG4は2つの三角形で構成され、2つの三角形の対向する頂点が主目盛りを挟むように配置される。このとき、一点鎖線L1vは主目盛りと一致する。矢印G3は消去される。正対マークG4を見たショベルの操作者は、ショベルと法面WSとが正対したことを直感的に理解する。正対マークG4は正対状態表示部511によって出力画像Gx上に表示される。正対マークG4は矩形領域R2の外側に表示されてもよい。正対マークG4は点滅させられてもよい。
【0081】
次に、
図7A及び
図7Bを参照し、
図3のマシンガイダンス装置50を用いた場合に表示装置D3に表示される出力画像の更に別の例について説明する。
【0082】
図7A及び
図7Bは、
図4のショベルに搭載された前方カメラS6F、左側方カメラS6L、右側方カメラS6R、及び後方カメラS6Bのそれぞれの出力に基づいて表示装置D3が生成した全周囲俯瞰画像を含む出力画像Gxを示す。具体的には、
図7Aは、ショベルと法面WSとが正対していないときの出力画像Gxを示し、
図7Bは、ショベルと法面WSとが正対したときの出力画像Gxを示す。
【0083】
図7A及び
図7Bのそれぞれの出力画像Gxにおいて、円形領域R3の内部には表示装置D3が生成したカメラ画像(全周囲俯瞰画像)が表示され、その中心にはショベルの上面図を表すイラスト画像であるショベルアイコンG1が配置される。
【0084】
一点鎖線L1vは、法面WSの延長方向に垂直な方向を表す画像の一例であり、
図4の一点鎖線VL1vに対応する。一点鎖線L1vは作業対象面情報表示部508によって少なくとも一部がカメラ画像上に重畳表示される。本実施例では、一点鎖線L1vは円形領域R3の中心を通り、円形領域R3の直径と同じ長さを有する。但し、一点鎖線L1vは円形領域R3の中心を通らなくてもよい。一点鎖線L1vの長さは円形領域R3の直径と同じでなくてもよい。例えば、一点鎖線L1vは円形領域R3からはみ出ていてもよい。
【0085】
破線L2は、ショベルの向きを表す画像の一例であり、ショベルの前後軸、及び、
図4の破線VL2に対応する。破線L2はショベル向き表示部509によって出力画像Gx上に表示される。本実施例では、破線L2は円形領域R3の中心を通り、円形領域R3の直径と同じ長さを有する。但し、破線L2は円形領域R3の中心を通らなくてもよい。破線L2の長さは円形領域R3の直径と同じでなくてもよい。例えば、破線L2は円形領域R3からはみ出ていてもよく、円形領域R3の外部に表示されてもよい。
【0086】
目盛りG2は、ショベルの向きを表す画像の一例である。本実施例では、目盛りG2は、円形領域R3の上端に配置される上側目盛りG2Tと、円形領域R3の下端に配置される下側目盛りG2Bとを含む。上側目盛りG2T及び下側目盛りG2Bはそれぞれ5本の線分で構成され、中心の最長線分である主目盛りが上部旋回体3の上下軸に対応する。目盛りG2はショベル向き表示部509によって出力画像Gx上に表示される。目盛りG2は円形領域R3の外側に表示されてもよい。目盛りG2は省略されてもよい。
【0087】
図7Aの矢印G3は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向を表す画像の一例である。本実施例では、矢印G3は、円形領域R3の外周に沿って破線L2から一点鎖線L1vに延びる。矢印G3を見たショベルの操作者は、上部旋回体3を左に向けることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。例えば、操作者は、旋回操作によって上部旋回体3を左方向に旋回させることで、或いは、走行操作によって下部走行体1を左方向に旋回させることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。矢印G3は操作方向表示部510によって出力画像Gx上に表示される。矢印G3は円形領域R3の外側に表示されてもよい。矢印G3は点滅させられてもよい。
【0088】
図7Bの正対マークG4はショベルと法面WSとが正対したことを表す画像の一例である。本実施例では、正対マークG4は破線L2のところに配置される。正対マークG4は2つの三角形で構成され、2つの三角形の対向する頂点が破線L2を挟むように配置される。このとき、一点鎖線L1vは破線L2と平行になり且つ一致する。一点鎖線L1v及び矢印G3は消去される。一点鎖線L1vはそのまま表示されていてもよい。正対マークG4を見たショベルの操作者は、ショベルと法面WSとが正対したことを直感的に理解する。正対マークG4は正対状態表示部511によって出力画像Gx上に表示される。正対マークG4は円形領域R3の外側に表示されてもよい。正対マークG4は点滅させられてもよい。
【0089】
次に、
図8A及び
図8Bを参照し、
図3のマシンガイダンス装置50を用いた場合に表示装置D3に表示される出力画像の更に別の例について説明する。
【0090】
図8A及び
図8Bは、
図4のショベルに搭載された前方カメラS6Fの出力に基づいて表示装置D3が生成した前方画像を含む出力画像Gxを示す。具体的には、
図8Aは、ショベルと法面WSとが正対していないときの出力画像Gxを示し、
図8Bは、ショベルと法面WSとが正対したときの出力画像Gxを示す。
【0091】
図8A及び
図8Bのそれぞれの出力画像Gxにおいて、矩形領域R4の内部には表示装置D3が生成したカメラ画像(前方画像)が表示される。
【0092】
一点鎖線L1vは、法面WSの延長方向に垂直な方向を表す画像の一例であり、
図4の一点鎖線VL1vに対応する。一点鎖線L1vは作業対象面情報表示部508によって少なくとも一部がカメラ画像上に重畳表示される。本実施例では、一点鎖線L1vは、矩形領域R4の縦軸に平行となるように表示され、矩形領域R4の高さのほぼ半分の長さを有する。但し、一点鎖線L1vはその縦軸に平行でなくてもよい。一点鎖線L1vの長さはより長くてもより短くてもよい。例えば、一点鎖線L1vは矩形領域R4からはみ出ていてもよい。
【0093】
目盛りG2は、ショベルの向きを表す画像の一例である。本実施例では、目盛りG2は矩形領域R4の下部中央に配置される。目盛りG2は5本の線分で構成され、中心の最長線分である主目盛りが上部旋回体3の前後軸に対応する。目盛りG2はショベル向き表示部509によって出力画像Gx上に表示される。目盛りG2は矩形領域R4の外側に表示されてもよい。
【0094】
図8Aの矢印G3は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向を表す画像の一例である。本実施例では、矢印G3は、矩形領域R4の横軸に平行に目盛りG2の主目盛りから一点鎖線L1vに延びる。矢印G3を見たショベルの操作者は、上部旋回体3を左に向けることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。例えば、操作者は、旋回操作によって上部旋回体3を左方向に旋回させることで、或いは、走行操作によって下部走行体1を左方向に旋回させることでショベルを法面WSに正対させることができることを直感的に理解する。矢印G3は操作方向表示部510によって出力画像Gx上に表示される。矢印G3は矩形領域R4の外側に表示されてもよい。矢印G3は点滅させられてもよい。
【0095】
図8Bの正対マークG4はショベルと法面WSとが正対したことを表す画像の一例である。本実施例では、正対マークG4は目盛りG2の主目盛りのところに配置される。正対マークG4は2つの三角形で構成され、2つの三角形の対向する頂点が主目盛りを挟むように配置される。このとき、一点鎖線L1vは主目盛りと一致する。矢印G3は消去される。正対マークG4を見たショベルの操作者は、ショベルと法面WSとが正対したことを直感的に理解する。正対マークG4は正対状態表示部511によって出力画像Gx上に表示される。正対マークG4は矩形領域R4の外側に表示されてもよい。正対マークG4は点滅させられてもよい。
【0096】
次に、
図9を参照し、
図3のマシンガイダンス装置50を用いた場合に表示装置D3に表示される出力画像の更に別の一例について説明する。
【0098】
図9の出力画像Gxは、バケット高さ表示領域Ga、冷却水温度表示領域Gb、燃料残量表示領域Gc、尿素水残量表示領域Gd、移動高さ表示領域Ge、移動距離表示領域Gf、横法面角度表示領域Gg、縦法面角度表示領域Gh、エンジン作動時間表示領域Gi、及び逸脱角度表示領域Gjを含む。バケット高さ表示領域Ga、移動高さ表示領域Ge、移動距離表示領域Gf、横法面角度表示領域Gg、縦法面角度表示領域Gh、及び逸脱角度表示領域Gjに表示される情報はガイダンス情報を構成し、冷却水温度表示領域Gb、燃料残量表示領域Gc、尿素水残量表示領域Gd、及びエンジン作動時間表示領域Giに表示される情報は車両情報を構成する。マシンガイダンス装置50は、
図9に示すように、カメラ画像と同時にガイダンス情報及び車両情報の少なくとも一方を表示する。
【0099】
バケット高さ表示領域Gaは、バケット6の現在の高さと目標高さとの関係を示す表示領域であり、例えば、バー表示を含む。バー表示は、例えば、7つのセグメントGa1〜Ga7で構成される。バケット6の目標高さは、例えば、目標施工面としての法面の表面にバケット6の先端(爪先)を接触させたときのバケット6の先端(爪先)の高さを含む。本実施例では、セグメントGa1は、バケット6の現在の高さが目標高さよりも低く、バケット6の現在の高さと目標高さの差が25cm以上の場合に点灯状態となる。セグメントGa2は、バケット6の現在の高さが目標高さよりも低く、その差が1cm以上25cm未満の場合に点灯状態となる。セグメントGa3は、バケット6の現在の高さと目標高さとが一致する場合、例えば、その差が±1cm未満の場合に点灯状態となる。セグメントGa4は、バケット6の現在の高さが目標高さよりも高く、その差が1cm以上25cm未満の場合に点灯状態となる。同様に、セグメントGa5、Ga6、Ga7はそれぞれ、バケット6の現在の高さが目標高さよりも高く、その差が25cm以上50cm未満の場合、50cm以上75cm未満の場合、75cm以上の場合に点灯状態となる。斜線ハッチングで示すセグメントGa3は、バケット6の現在の高さとは無関係に、他のセグメントと区別可能に表示される。バケット6の現在の高さと目標高さとの差を操作者が直感的に理解できるようにするためである。
図9では、セグメントGa7が点灯状態であり、他のセグメントGa1からGa6が消灯状態であることを示す。
【0100】
冷却水温度表示領域Gbは、現在のエンジン冷却水の温度状態を画像表示する領域である。
図9に示す例ではエンジン冷却水の温度状態を表すバーグラフが表示されている。エンジン冷却水の温度は、エンジン11に取り付けられる水温センサ11cが出力するデータに基づく。
【0101】
具体的には、冷却水温度表示領域Gbは、注意範囲表示Gb1、正常範囲表示Gb2、セグメント表示Gb3、及びアイコン表示Gb4を含む。
【0102】
注意範囲表示Gb1、正常範囲表示Gb2はそれぞれ、エンジン冷却水の温度が注意を要する状態、正常状態にあることを操作者に知らせるための表示である。セグメント表示Gb3は、エンジン冷却水の温度の高低を操作者に知らせるための表示である。アイコン表示Gb4は、注意範囲表示Gb1、正常範囲表示Gb2、及びセグメント表示Gb3がエンジン冷却水の温度に関する表示であることを表すシンボル図形等のアイコンである。アイコン表示Gb4は、エンジン冷却水の温度に関する表示であることを表す文字情報であってもよい。
【0103】
図9に示す例ではセグメント表示Gb3は、点灯・消灯状態が個別に制御される8つのセグメントで構成され、冷却水温が高くなるほど点灯状態のセグメントの数が増加する。
図9の例では3つのセグメントが点灯状態となっている。
【0104】
図9に示す例では、注意範囲表示Gb1、正常範囲表示Gb2はそれぞれ、セグメント表示Gb3の伸縮方向に沿うように並べて配置される図形であり、黄色(斜線ハッチング)、緑色(ドットハッチング)で常時点灯される。セグメント表示Gb3は、左右両端の2つのセグメントが注意範囲に属し、中央の6つのセグメントが正常範囲に属する。
【0105】
注意範囲表示、正常範囲表示、セグメント表示、及びアイコン表示を含む上述の構成は、燃料残量表示領域Gc及び尿素水残量表示領域Gdにおいても同様に採用される。
【0106】
燃料残量表示領域Gcは、燃料の残量状態を画像表示する領域である。燃料の残量は、燃料残量センサが出力するデータに基づく。
【0107】
尿素水残量表示領域Gdは、選択触媒還元システムで用いられる尿素水の残量状態を画像表示する領域である。尿素水の残量は、図示しない尿素水残量センサが出力するデータに基づく。
【0108】
移動高さ表示領域Geは、バケット6の基準位置と現在位置との鉛直方向における差を移動高さとして表示する領域である。移動高さは、例えば、バケット6の現在位置が基準位置よりも低い場合に正値となり、バケット6の現在位置が基準位置よりも高い場合に負値となる。
図9の例では移動高さが1.00mとなっている。
【0109】
移動距離表示領域Gfは、バケット6の基準位置と現在位置との水平方向における差を移動距離として表示する領域である。移動距離は、例えば、バケット6の現在位置が基準位置に比べて上部旋回体3に近い場合に正値となり、バケット6の現在位置が基準位置に比べて上部旋回体3から遠い場合に負値となる。
図9の例では移動距離が3.50mとなっている。
【0110】
横法面角度表示領域Ggは横法面角度の値と横法面角度を表すイラスト画像とを表示する領域である。横法面角度は、バケット6を横断する鉛直面における作業対象の法面の表面を表す線分と水平線との間に形成される角度である。
図9の例では横法面角度がショベルから見て右下がりの15°となっている。具体的には、横法面角度表示領域Ggには、バケット6と目標施工面との位置関係を模式的に表す第1目標施工面画像が表示される。第1目標施工面表示画像には、操作者がキャビン10内に座ってショベルの前方を見たときのバケット6と目標施工面とが、バケット画像及び目標施工面画像で模式的に表示される。バケット画像は、バケット6を表す図形であり、バケット6をキャビン10から見たときの形で表されている。目標施工面画像は、目標施工面としての地面を表す図形であり、バケット画像と同様、キャビン10から見たときの形で表されている。バケット画像と目標施工面画像との間隔は、実際のバケット6の先端と目標施工面との位置関係(距離)の変化に応じて変化するように表示される。また、バケット画像と目標施工面画像との相対傾斜角も同様に、実際のバケット6と目標施工面との位置関係(相対傾斜角)の変化に応じて変化するように表示される。操作者は、第1目標施工面表示画像を見ることで、バケット6と目標施工面との位置関係、及び、横法面角度を把握できる。第1目標施工面表示画像には、操作者の視認性を高めるために、実際の横法面角度よりも大きくなるように目標施工面画像が表示されていてもよい。操作者は、第1目標施工面表示画像に表示される目標施工面画像から大体の横法面角度を認識できる。また、操作者は、正確な横法面角度の値を知りたい場合には、目標施工面画像の下に数値表示されている横法面角度の値を見ればよい。
【0111】
縦法面角度表示領域Ghは、縦法面角度と縦法面角度を表すイラスト画像とを表示する領域である。縦法面角度は、バケット6を縦断する鉛直面における作業対象の法面の表面を表す線分と水平線との間に形成される角度である。
図9の例ではショベルから見て上り勾配の法面の縦法面角度が35°となっている。具体的には、縦法面角度表示領域Ghには、バケット6と目標施工面との位置関係を模式的に表す第2目標施工面画像が表示される。第2目標施工面表示画像には、側方から見たときのバケット6と目標施工面とが、バケット画像及び目標施工面画像で模式的に表示される。バケット画像は、バケット6を側方から見たときの形で表されている。目標施工面画像は、バケット画像と同様、側方から見たときの形で表されている。バケット画像と目標施工面画像との間隔は、実際のバケット6の先端と目標施工面との位置関係(距離)の変化に応じて変化するように表示される。また、バケット画像と目標施工面画像との相対傾斜角も同様に、実際のバケット6と目標施工面との位置関係(相対傾斜角)の変化に応じて変化するように表示される。操作者は、第2目標施工面表示画像を見ることで、バケット6と目標施工面との位置関係、及び、縦法面角度を把握できる。第2目標施工面表示画像には、操作者の視認性を高めるために、実際の傾斜角よりも大きくなるように目標施工面画像が表示されていてもよい。操作者は、第2目標施工面表示画像に表示される目標施工面画像から大体の縦法面角度を認識できる。また、操作者は、正確な縦法面角度の値を知りたい場合には、目標施工面画像の下に数値表示されている縦法面角度の値を見ればよい。
【0112】
エンジン作動時間表示領域Giは、エンジン11の累積作動時間を画像表示する領域である。
図9に示す例では単位「hr(時)」を用いた値が表示される。
【0113】
逸脱角度表示領域Gjは、逸脱角度を表示する領域である。逸脱角度は、ショベルと作業対象の法面とが正対した状態からの逸脱の大きさを表す角度であり、例えば、ショベルの前後軸と作業対象の法面の延長方向に垂直な方向との間に形成される角度である。逸脱角度は、例えば、ショベルと作業対象の法面とが正対した状態で0°となり、ショベルの上部旋回体3が右方向に旋回するにつれて増大する。
図9の例では逸脱角度が30°となっている。
【0114】
上述のように、マシンガイダンス装置50は、作業対象の法面WSの延長方向又はその延長方向に垂直な方向を表す画像をカメラ画像に重畳表示する。例えば、法面WSの延長方向に垂直な方向を示す一点鎖線L1v、又は、法面WSの延長方向を示す二点鎖線L1pを、扇形俯瞰画像、後方画像、全周囲俯瞰画像、前方画像等のカメラ画像上に重畳表示する。そのため、出力画像Gxを見るショベルの操作者は、例えば、どの程度の旋回操作によってショベルを法面に正対させることができるかを直感的に理解できる。その結果、マシンガイダンス装置50は、ショベルの操作性を向上させることができる。
【0115】
マシンガイダンス装置50は、ショベルの向きを表す画像を出力画像Gxに表示する。例えば、ショベルの前後軸に対応する破線L2、ショベルの左右軸に対応する目盛りG2をカメラ画像上に重畳表示する。そのため、出力画像Gxを見るショベルの操作者は、例えば、ショベルの向きが正対状態でのショベルの向きからどの程度逸脱しているかを直感的に理解できる。
【0116】
マシンガイダンス装置50は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向を示す矢印G3を出力画像Gxに表示する。そのため、出力画像Gxを見るショベルの操作者は、例えば、ショベルを法面WSに正対させるために左右何れの方向にどの程度旋回操作又は走行操作を行えばよいかを直感的に理解できる。
【0117】
マシンガイダンス装置50は、ショベルと法面WSとが正対した場合、正対した旨を表す画像を出力画像Gxに表示する。例えば、マシンガイダンス装置50は、ショベルと法面WSとが正対した場合に正対マークG4を点滅させる。そのため、出力画像Gxを見るショベルの操作者は、例えば、ショベルと法面WSとが正対したことを直感的に理解できる。
【0118】
以上、本発明の好ましい実施例が詳説された。しかし、本発明は、上述した実施例に制限されることはない。本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0119】
例えば、上述の実施例では、マシンガイダンス装置50は、ショベルと法面WSとが正対した場合に正対マークG4を出力画像Gxに表示するが、音声情報によってショベルと法面WSとが正対したことを操作者に伝えるようにしてもよい。
【0120】
マシンガイダンス装置50は、ショベルを法面WSに正対させるための操作方向、逸脱角度等を音声情報によって操作者に伝えるようにしてもよい。
【0121】
本願は、2015年8月10日に出願した日本国特許出願2015−158332号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。