(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672314
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20200316BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20200316BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/36
G01N21/17 620
【請求項の数】13
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-535156(P2017-535156)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-529574(P2017-529574A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】IB2015057195
(87)【国際公開番号】WO2016046714
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】14185718.5
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098837
【氏名又は名称】ナノライブ・エスエイ
【氏名又は名称原語表記】Nanolive SA
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】コット・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コット・ピエール−アラン
(72)【発明者】
【氏名】エキス・セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ケルン・アンドレアス
【審査官】
下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−145843(JP,A)
【文献】
特開2007−250762(JP,A)
【文献】
特開2012−022282(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0275845(US,A1)
【文献】
特開2013−003338(JP,A)
【文献】
特表2008−534929(JP,A)
【文献】
特開2013−231716(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/054776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B21/00
G02B21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡において、
コリメートされた光ビームを生成する光源と、
光ビームガイドシステムであって、前記光ビームを、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラーによって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波とサンプル照明ビームとに分割するように構成されたビーム分割器を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべき液体に浸漬されたサンプルを受け取るように構成されたサンプル観察ゾーンと、
前記サンプル照明ビームを、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ内へと向けるように構成されたサンプル照明装置と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーン内に位置づけられた前記サンプルを通り抜けた後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームを測定するように構成された光感知システムであって、前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された、光感知システムと、
制御システムと、
を含み、
前記サンプル照明装置は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成された、ミラーシステムと、角度の付いた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビーム機構と、を含み、
前記光感知システムは、前記角度の付いた前記サンプル照明ビームの前記光軸の周辺での回転中に、前記光ビームを測定するように構成されていることを特徴とする、顕微鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の顕微鏡において、
前記サンプル照明装置の前記ミラーシステムは、回転支持体の中に据え付けられており、前記回転ビームシステムは、前記回転支持体と、前記支持体を回転させるモーター駆動装置と、から形成されている、顕微鏡。
【請求項3】
請求項2に記載の顕微鏡において、
前記回転支持体は、前記サンプル照明光ビームを通過させるように構成された中空の軸を含み、前記中空の軸は、ベアリングによって、ハウジング支持構造体に据え付けられている、顕微鏡。
【請求項4】
請求項2または3に記載の顕微鏡において、
前記回転支持体は、第1および第2のミラーが中に据え付けられるミラー支持本体を含む、顕微鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の顕微鏡において、
前記第1のミラーは、前記中空の軸を通じて投射された前記サンプル光ビームを前記第2のミラー上へと向け直し、前記第2のミラーは、前記サンプル光ビームを、照明角度(α)で前記サンプルホルダー上に位置付けられた前記サンプル上に向け直す、顕微鏡。
【請求項6】
請求項5に記載の顕微鏡において、
前記第1および第2のミラーのうちの少なくとも一方は、前記制御システムによって制御される、作用可能な傾斜ミラーである、顕微鏡。
【請求項7】
請求項5に記載の顕微鏡において、
前記第1および第2のミラーは、前記ミラー支持本体内部で固定された関係で配列されている、顕微鏡。
【請求項8】
請求項1に記載の顕微鏡において、
前記回転ビームシステムは、前記サンプル照明ビームを前記サンプル照明装置の前記ミラーシステムに向ける、回転する作用可能な傾斜ミラーを含み、
前記ミラーシステムは、固定支持体上に据え付けられている、顕微鏡。
【請求項9】
顕微鏡において、
コリメートされた光ビームを生成する光源と、
光ビームガイドシステムであって、前記光ビームを、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラーによって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波とサンプル照明ビームとに分割するように構成されたビーム分割器を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべき液体に浸漬されたサンプルを受け取るように構成されたサンプル観察ゾーンと、
前記サンプル照明ビームを、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ内へと向けるように構成されたサンプル照明装置と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーン内に位置づけられた前記サンプルを通り抜けた後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームを測定するように構成された光感知システムであって、前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された、光感知システムと、
前記参照波の光路に位置付けられた光路差(OPD)調節装置であって、前記サンプル照明ビームに対する前記参照波の光路長を調節するように構成されている、光路差(OPD)調節装置と、
制御システムと、
を含み、
前記サンプル照明装置は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成された、ミラーシステムと、角度の付いた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビーム機構と、を含み、
前記光感知システムは、前記角度の付いた前記サンプル照明ビームの前記光軸の周辺での回転中に、前記光ビームを測定するように構成されており、
前記OPD調節装置は、第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子と、第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子と、を含み、これらの光偏向素子はそれぞれ、前記参照波の光路に位置付けられた、透明な材料または反射材料を含み、これによって、前記光偏向素子の傾斜角度が前記制御システムにより制御され、光路差を調節することを特徴とする、顕微鏡。
【請求項10】
請求項9に記載の顕微鏡において、
前記第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子および第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子のうちの少なくとも一方は、前記参照波を反射する、旋回可能に作用可能なミラーである、顕微鏡。
【請求項11】
請求項9に記載の顕微鏡において、
前記第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子および第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子のうちの少なくとも一方は、前記参照波が通過する、旋回可能に作用可能な透明の素子である、顕微鏡。
【請求項12】
顕微鏡を制御する方法において、前記顕微鏡は、
光ビームを生成する光源と、
光ビームガイドシステムであって、前記光ビームを、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラーによって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波とサンプル照明ビームとに分割するように構成されたビーム分割器を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべき液体に浸漬されたサンプルを受け取るように構成されたサンプル観察ゾーンと、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーン内に位置づけられた前記サンプルを通り抜けた後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームを測定するように構成された光感知システムであって、前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システムと、
電子制御システムと、
前記サンプル照明ビームを、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ内へと向けるように構成されたサンプル照明装置と、
を含み、
前記サンプル照明装置は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成されたミラーシステムと、角度の付いた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビームシステムと、を含み、
前記光感知システムは、前記角度の付いた前記サンプル照明ビームの前記光軸の周辺での回転中に、前記光ビームを測定するように構成されており、
前記方法は、
前記参照波とサンプルビームとの間の光路差(OPD)を前記光源の干渉長より低く保つために前記顕微鏡の前記制御システムによって前記参照波の光路長(OPL)を調節するよう、前記制御システムのメモリにルックアップテーブル(LUT)を生成することを特徴とし、
a)前記回転ビームシステムを第1の位置に位置付ける工程と、
b)前記参照波を向けるように構成された前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーを第1の位置に位置付ける工程と、
c)前記サンプルビームのスイッチがオフにされている間に前記光感知システムにより捕捉される参照波信号の位置を測定する工程と、
d)前記サンプルビームのスイッチをオンにし、前記光感知システムにより捕捉された信号の縞コントラストを測定する工程と、
e)前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの位置を増分だけ変化させる工程と、
f)増分の合計が前記旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの所定の動作範囲に対応するまで、工程c)〜e)を繰り返す工程と、
g)各増分で得られた縞コントラストの測定値を比較して、前記ルックアップテーブル(LUT)に、最も高い値の縞コントラスト測定値に関する前記旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの位置を、前記回転ビームシステムの位置と共に記憶させる工程と、
h)前記回転ビームシステムを小さな増分だけ回転させ、前記回転ビームシステムが360°の回転を完了するまで、工程b)〜g)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の顕微鏡を使用する、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、顕微鏡に関し、特に、細胞および微生物を含む生物学的物質の三次元断層撮影のための顕微鏡に関する。本発明は、より一般的には、非生物学的な透明な物質(non-biological transparent materials)の三次元断層撮影の分野で使用されることもできる。
【0002】
〔背景〕
生体細胞およびそれらの内部構造を三次元撮像することができる顕微鏡は、一般的に、デジタル断層撮影技術に基づいており、しばしば、細胞の構成要素間の強度コントラストを高めるマーカー染料の使用に基づいている。しかしながら、マーカー染料は、特に生体細胞の場合には、観察すべき物質に影響を及ぼし、また、手順をより複雑にする場合がある。3D屈折率算出に基づく、マーカーなしの非侵襲性顕微鏡法が、国際特許出願PCT/IB2011/051306に記載されている。しかしながら、内部構造の十分な細部を備えた、超小型物体の屈折率に基づく画像を算出するのに必要な画像データの取り込みには、非常に正確な顕微鏡が必要である。従来の顕微鏡の精度は、レンズの品質、および顕微鏡のさまざまな構成要素を組み立てる際の非常に低い製造公差によって決まる。これにより、費用のかかる顕微鏡となる。さらに、取り込んだデータの解像度を高めるために高い開口数を有するには、観察されるべきサンプルの利用可能な作動距離および空間は、非常に限られる。これにより、顕微鏡で見る検体またはサンプルの準備が複雑となり、観察され得るサンプルのタイプ、およびそれらが提示され得る形態が限られる。
【0003】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、実行および使用するのが容易かつ経済的である顕微鏡を提供することである。
【0004】
正確であり、高い解像度を提供するにもかかわらず、製造するのに経済的である顕微鏡を提供することが有利である。
【0005】
観察されるべき生物学的サンプルの準備を単純にする顕微鏡を提供することが有利である。
【0006】
生細胞用の培養皿を含め、さまざまな標準的または一般的形態の生物学的サンプル容器と共に使用され得る顕微鏡を提供することが有利である。
【0007】
観察されるべき生物学的サンプルの調製を単純にする顕微鏡を提供することが有利である。
【0008】
信頼性のある顕微鏡を提供することが有利である。
【0009】
汎用性のある顕微鏡を提供することが有利である。
【0010】
本明細書には、顕微鏡が開示され、顕微鏡は、少なくとも部分的にコリメートされた光ビームを生成する光源と、光ビームを参照波とサンプル照明ビームとに分割するように構成されたビーム分割器を含む光ビームガイドシステムと、観察されるべきサンプルを受け取るように構成されたサンプル観察ゾーンと、サンプル観察ゾーンをサンプル照明ビームが通過した後で参照波とサンプル照明ビームとを再統合するように構成されたビーム再統合器と、ビーム再統合器の下流で光ビームの少なくとも位相および強度の値を捕捉するように構成された光感知システムと、を含む。ある実施形態では、光源は、干渉性または部分的に干渉性のコリメートされた光ビーム、特にレーザービーム、例えばダイオードレーザービーム、を生成するように構成され得る。変形体では、光源は、例えば光学レンズによってコリメートされた、非干渉性の光、例えば白色光を生成することができる。
【0011】
本発明の第1の態様によると、光ビームガイドシステムは、参照波およびサンプル照明ビームを、それらのそれぞれの光路に沿って向ける方向変更ミラーを含み、方向変更ミラーのうちの少なくとも1つは、顕微鏡の電子制御システムにより制御可能である、旋回可能に作用可能なミラー(pivotally actionable mirror)である。制御システムは、その少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの角度を自動的に制御するミラー角度制御信号を生成するように構成され、ミラー角度制御信号は、光感知システムによって、制御システムのフィードバックループを用いて、受信された光ビームの信号に少なくとも部分的に基づいている。
【0012】
ある実施形態では、制御信号は、光感知システムによって測定される光ビームの位相および強度の値の両方に基づいていてよい。
【0013】
有利には、顕微鏡は、サンプル照明ビーム経路および/または参照波経路における方向変更ミラーのうちの1つ以上の角度の電子制御によって、製造もしくは輸送後に、規則的な間隔で、または各使用前に、容易に較正され得る。
【0014】
本発明の第2の態様によると、サンプル照明装置は、光軸に対してゼロでない照明角度で(非オルソスコピック照明(non orthoscopic illumination))サンプル照明ビームを向けるように構成されたミラーシステムと、光軸の周りで少なくとも360°(2Πラジアン)、角度の付いたサンプル照明ビームを回転させるように構成された回転ビーム機構と、を含む。
【0015】
本発明による、所定の照明角度の回転サンプル照明ビームは、レンズに基づく解決策に比べて低コストの構成において、顕微鏡の対物レンズの開口数により主に制限される大きい照明角度で、微細な物体を照明することができる点で、従来の解決策より特に有利である。実際、ビームの成形を低減するために非常に高い品質で製造される必要があり、そのため、本発明により提供される解決策とは対照的に製造コストが高くなる、レンズまたは屈折もしくは回折素子とは対照的に、回転ビームはビーム形状を変化させない。さらに、回転ビームは、サンプルのための大きな作業空間を可能にするので、サンプルホルダー上に位置付けられ顕微鏡で見ることのできるサンプルのサイズにおいて汎用性をもたらすと共に、顕微鏡の製造コスト、および光路に沿った光学素子の品質に対する感受性を著しく低減させる。
【0016】
本発明の第3の態様によると、顕微鏡は、サンプル照明ビームに対して参照波の光路長を調節するように構成された光路差(OPD)調節装置をさらに含み、OPD調節装置は、第1の光偏向素子(first light deviating element)および第2の光偏向素子を含み、これらはそれぞれ、第2の光偏向素子に対する第1の光偏向素子の角度を変えるように構成されたピボット支持体上に据え付けられ、これにより、光偏向素子の傾斜角度が、少なくとも光路差に影響を及ぼす。
【0017】
よって、光路差の連続的で正確な調節を達成することができる。さらに、必要な場合、動的調節が可能である。
【0018】
ある実施形態では、サンプル照明装置のミラーシステムは、回転支持体内に据え付けられ、回転ビーム機構は、回転支持体およびその支持体を回転させるモーター駆動装置によって形成される。
【0019】
ある実施形態では、回転ビーム機構は、サンプル照明装置のミラーシステムに対してサンプル照明ビームを向ける、回転する作用可能な傾斜ミラー(rotating tilt actionable mirrors)を含み、ミラーシステムは、固定支持体上に据え付けられる。
【0020】
有利な実施形態では、旋回可能に作用可能なミラーは、微小電気機械(MEMS)タイプの構成要素である。
【0021】
有利な実施形態では、旋回可能に作用可能なミラーは、顕微鏡の対物レンズの光軸と一致して、本質的にサンプルより上に位置付けられる。
【0022】
有利な実施形態では、方向変更ミラーは、ビーム分割器の下流でサンプル照明ビームの光路に配列された少なくとも第1および第2の方向変更ミラーを含み、どちらのミラーも、光路誤差を補正するか、または、サンプル照明角度を変更するように、旋回可能に作用可能である。
【0023】
有利な実施形態では、顕微鏡は、複数の画像フレームデータ(image frames data)を光感知システムから受け取るように構成されたデータ処理システムをさらに含み、この複数の画像フレームは、顕微鏡の対物レンズの光軸の周辺でサンプル照明ビームを少なくとも360°回転させるために生成されている。
【0024】
有利な実施形態では、光感知システムおよびデータ処理システムにより捕捉される360°当たりのフレームの数は、10より多く、好ましくは20より多く、さらに好ましくは30より多い。
【0025】
有利な実施形態では、画像フレームデータは、微細な物体の3次元画像へと処理されるように、データ処理システムにより再構築されるか、または、データ処理システムによって、外部コンピューティングシステムに供給される。
【0026】
有利な実施形態では、顕微鏡は、微細な物体を通過した後のサンプル照明ビームの位相シフトを決定することによって、微細な物体の屈折率分布に基づいて、微細な物体の3次元画像を生成するように構成されている。
【0027】
また、本明細書には、顕微鏡を制御する方法も開示され、顕微鏡は、光ビームを生成する光源と、光ビームガイドシステムであって、光ビームを、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、光ビームガイドシステムを通過する参照波とサンプル照明ビームとに分割するように構成されたビーム分割器を含み、参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプルを受け取るように構成されたサンプル観察ゾーンと、サンプル照明ビームがサンプル観察ゾーンを通過した後で参照波とサンプル照明ビームとを再統合するように構成されたビーム再統合器と、ビーム再統合器の下流で光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システムと、電子制御システムと、を含み、この方法は、
制御システムのフィードバックループを通じて、光ビームにより生成された信号を、光感知システムから受信することと、
制御システムにおいて、光感知システムから受信した信号に少なくとも部分的に基づいてミラー角度制御信号を生成することと、
少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーにミラー角度制御信号を送って、旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの角度を制御することと、
を特徴としている。
【0028】
ある実施形態では、この方法は、サンプルに対してサンプルビームを回転させることを含む。
【0029】
ある実施形態では、生成されたミラー角度制御信号は動的である。
【0030】
ある実施形態では、ミラー角度制御信号は、サンプルに対するサンプルビームの回転の角度の関数として、動的に生成される。
【0031】
ある実施形態では、生成されたミラー角度制御信号は、静的である。
【0032】
ある実施形態では、ミラー角度制御信号が基づいている、光感知システムから受信され、光ビームにより生成された信号は、光感知システムにより受信される光ビームの強度、干渉性、フリンジ周波数、および位相のうちの任意の1つ以上を含む。
【0033】
ある実施形態では、この方法は、光感知システムから顕微鏡のデータ処理システムに複数の画像フレームデータを受信することをさらに含み、複数の画像フレームは、顕微鏡の対物レンズの光軸の周辺でサンプル照明ビームを少なくとも360°回転させるために生成される。
【0034】
ある実施形態では、光感知システムおよびデータ処理システムにより捕捉される360°当たりのフレームの数は、10より多い。
【0035】
ある実施形態では、画像フレームデータは、データ処理システムによって再構築されるか、または、データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給されて、微細な物体の3次元画像へと処理される。
【0036】
ある実施形態では、画像フレームデータは、さらに、データ処理システムにより採用されるか、または、データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給されて、サンプルの光学的特性を推定し、微細な物体の3次元画像を改善する。
【0037】
ある実施形態では、この方法は、微細な物体を通過した後のサンプル照明ビームの位相シフトを決定することによって、微細な物体の一部の屈折率に基づいて、微細な物体の3次元画像を生成することをさらに含む。
【0038】
また、本明細書には、顕微鏡を制御する方法も開示され、この方法は、参照波とサンプルビームとの光路差(OPD)を光源の干渉長より低く保つために顕微鏡の制御システムによって参照波の光路長(OPL)を動的に調節することを特徴とし、この方法は、
a)回転ビームシステムを第1の位置に位置付ける工程と、
b)参照波を第1の位置に向けるように構成された少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)を位置付ける工程と、
c)サンプルビームがオフにされている間に光感知システムにより捕捉される参照波信号の位置を測定する工程と、
d)サンプルビームをオンにし、光感知システムにより捕捉された信号の縞コントラストを測定する工程と、
e)少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を増分だけ(by an increment)変化させる工程と、
f)増分の合計が旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の所定の動作範囲に対応するまで、工程c)〜e)を繰り返す工程と、
g)各増分について得られた縞コントラスト測定値を比較し、最も高い値の縞コントラスト測定値について、旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を、回転ビームシステムの位置と併せて、制御システムのメモリのルックアップテーブル(LUT)に記憶させる工程と、
h)回転ビームシステムを小さな増分だけ回転させ、回転ビームシステムが360°の回転を完了させるまで、工程b)〜g)を繰り返す工程と、
を含む。
【0039】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、請求項、詳細な説明、添付図面から明らかとなるであろう。
【0040】
〔発明の実施形態の詳細な説明〕
特に
図1a〜
図2bから始めて図面を参照すると、顕微鏡2の例示的な実施形態は、光源4、特にレーザービーム装置などの干渉性の光源と、光ビームガイドシステム6と、光感知システム8と、特に生成された画像データを処理するための、データ処理システム10と、電子制御システム15と、一般的に顕微鏡2のさまざまな構成要素を収容および支持するハウジングおよび支持構造体12と、を含む。
【0041】
顕微鏡2は、生細胞を含む、生体細胞および微生物の3次元撮像を行うことができる。生物学的微物(biological micro-matter)の細胞および他のサンプルの画像は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願PCT/IB2011/051306に記載される技術を用いて生成され得る。
【0042】
ハウジングおよび支持構造体12は、さまざまな標準的および非標準的フォーマットの生物学的サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダー18を含むサンプル観察ゾーンを含む。サンプルホルダーは、サンプルの位置を3次元的に動かすこと、特に高さ調節、およびサンプル照明光ビームが横切る平面における調節、を可能にする位置調節機構を有する。顕微鏡のための位置調節機構は、それ自体が周知であり、観察されるべきサンプルの位置を、サンプルより下(透過)または上(反射)の顕微鏡の対物レンズの位置に対して調節することを可能にする。
【0043】
変形体(不図示)では、サンプル観察ゾーンは、サンプル照明ビームが横切るゾーンを通って延びる透明セクションを有する導管を有してよく、これは、液体の流れによって、閉じた導管内の照明ビーム経路に供給されるサンプル材料を観察するために構成されている。
【0044】
図3aおよび
図3bを参照すると、生物学的サンプルは、閉鎖した収容システム(closed containing system)3a、または開口した皿(open dish)3b(例えばペトリ皿)に提供され得る。生物学的サンプルは、例えば、以下の非制限的な実施例に従って提供され得る。あらゆるタイプのサンプルに対する一般的要件として、緩衝媒質5は、入射光を散乱させるべきではない。リン酸緩衝食塩水(PBS)または4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1‐ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)などの透明な液体を、例えば使用することができる。細胞を3〜4時間生きた状態に保つには、例えば、グルコース(例えば、25ミリモル)およびHEPES(例えば、10ミリモル)を含むPBSがあれば、サンプルは、よく機能する。静的実験では、パラホルムアルデヒド(PFA)で固定した細胞は、数週間使用可能となり得る。観察は、典型的には170μm厚さのカバーガラスを通じて行うことができ(大半の顕微鏡の対物レンズが、このようなカバーガラスに対して最適化されている)、このような対物レンズの限られた作動距離により、細胞は、好ましくはカバーガラスから30μmよりも遠くに離れずに、カバーガラス上に固定されなければならない。光学表面は、できる限り清潔でなければならず、細胞ホルダーは、経験によれば少なくとも2回、注意深く洗浄されなければならず、そうすれば、できるだけ少ない死細胞または任意の種類の残留物が、封入剤(mounting medium)中に浮遊する。
図3aの実施例では、緩衝媒質5は、液体の乾燥または漏れを避けるためチャンバ内でシールされている。例えばテープスペーサー(例えば、Grace Bio-Labsの、内径9mmおよび厚さ0.12mmのSS1X9-SecureSeal Imaging)の形態のシール7が、カバーガラス9とベース11との間に据え付けられる。
【0045】
底面が透明な標準的ペトリ皿3b内に提供された生細胞については、細胞は、ペトリ皿の底面を顕微鏡の対物レンズ37に付けて、またはこれに非常に近接して置くことによって、直接観察され得る。細胞が接触して位置し、観察平面13を形成する皿の底面が覆われているならば、液体の量は重要ではない。
【0046】
細胞の密集度は、観察される細胞の位置を確実に容易に突き止めるためには、20%超であるのが好ましい。
【0047】
干渉性の光源4は、例示的な実施形態では、例えば波長が520nmのダイオードレーザービームのタイプの、レーザービーム発生装置であってよい。波長が短いほど、可能な解像度が高くなることに注意して、他の波長のレーザービームを使用することもできる。
【0048】
光感知システム8は、具体的には、サンプルを通過し、検出された光信号をデータ処理システム10に送信した後で受け取られた光ビームを読み取るように構成された画像センサーを備えるカメラであってよい。このカメラは、CCD、CMOS、もしくは、受け取った光ビームの波長、位相、および強度をとらえてこの情報をデータ処理システム10に送信することができる他のタイプの光センサーを備える既知のタイプのものであってよい。
【0049】
光ビームガイドシステム6は、干渉性の光ビームを2つのビーム、すなわち、参照波光路22およびサンプルビーム光路20というそれぞれ異なる経路をたどる、参照波7aおよびサンプル照明ビーム7bに分割するように構成されている。光ビームガイドシステムは、ビーム分割器14を含み、ビーム分割器14は、干渉性の光源4から干渉性のビーム7を受け取って、それを2つのビーム7a、7bに分ける。ビーム分割器は、それ自体が周知の装置であり、本明細書でさらに説明する必要はない。
【0050】
サンプル照明ビーム7bがサンプル1を通過した後であって、かつ光感知システム8により捕捉される前、サンプル照明ビーム7bおよび参照波7aは、ビーム再統合器16によって再統合される。逆のモードで動作するビーム分割器と同じ構成を有し得るビーム再統合器も、それ自体が周知であり、本明細書でさらに説明する必要はない。一方がサンプルを通過する、2つの経路に沿って干渉性のビーム7を分けることによって、サンプル照明ビーム7bが通過するサンプル物質のセクションの屈折率に左右される、参照波7aに対するサンプル照明ビーム7bの位相シフトを測定することができる。
【0051】
参照波光路システム22は、参照波7aをその経路に沿って向け直してガイドする方向変更ミラー30と、光路差(OPD)調節装置32と、を含む。
【0052】
図4a〜
図4cを参照すると、例示された実施形態によるOPD調節装置32は、透過性原理に基づいたものであり、ピボット支持体46上に据え付けられた第1の光偏向素子42と、第2のピボット支持体48上に据え付けられた第2の光偏向素子44と、を含む。光偏向素子42、44は、空気より大きい屈折率を持つ透明な材料、例えばガラススラブで作られており、この材料は、参照波の光路の長さを調節することができるような形で、その材料を通過する参照光を曲げるように構成されている。この透明な材料は、ガラスもしくはポリマーもしくは他の透明な固体で作られてよく、単に平らなプレートもしくはスラブの形状を有してよいか、あるいは、湾曲もしくは非平行の外面を有してよい。ピボット軸P1、P2を含む、ピボット支持体46、48は、相互に係合する歯(interengaging teeth)50によって機械的に互いに連結されてよく、ピボット支持体は、同時に、かつ互いに反対の角度方向w1、w2に回転する。よって、ピボット支持体上に据え付けられた光偏向素子42、44は、同時に、かつ互いに反対の角度方向に旋回して、ビーム7aの光路の長さを調節する。第1の光偏向素子42と第2の光偏向素子44との間の角度Ωが大きいほど、参照波7aの光路が長くなる。ピボット支持体46、48は、有利には、MEMS製造技術を用いて半電導性基板から作られた微細加工部品であってよく、ピボット支持体の回転は、半導体の一部を流れる誘導電流により制御される。
【0053】
有利な実施形態では、光偏向素子48のうちの少なくとも1つは、その他の光偏向素子に対して角度Ω
1のさらなる独立した回転を有するためにそのピボット支持体上に回転可能に据え付けられてよく、ミスアライメント、製造公差などによる光路のミスアライメント(ウォークオフ)の調節を可能にするように構成される。
【0054】
代替的な実施形態では、第1および第2のピボット支持体は、光路長および光路ウォークオフ両方の調節を可能にするために、独立して制御されてよく、また機械的に直接連結されなくてよい。
【0055】
図4cに概略的に示すような変形体では、参照波経路システム20の方向変更ミラー30のうちの少なくともいくつかは、光路長および/または光路のミスアライメント(ウォークオフ)を調節するために、旋回可能または傾斜調節可能である。
【0056】
図4dおよび
図4eを参照して、前述された実施形態によるOPD補償システムの原理をさらに説明する。ガラススラブがビームを横方向にシフトさせ、光路長を付随的に増大させるのに使用され得ることが知られている。しかしながら、横方向シフトは、有利には、一方が時計回りに、もう一方が反時計回りに回転する2つのガラススラブを使用することによって補償され得、補償された横方向シフトと、2倍の大きさのOPDの両方を有することになる。
【0057】
図4d〜
図4fを参照すると、横方向へのシフト(C’D)およびOPD、すなわちOPD=(BC’−BC)は、以下のように表わすことができる:
【数1】
【0058】
ビームの横方向シフトを補償するため、別のガラススラブが対頂角だけ傾けられる:
図4fに示すように、シフトは補償され、同時にOPDは2倍になる。
図4fは、Rl 1.5で0〜60°傾斜可能な、それぞれ10mm厚さの2つのスラブに関する前記の計算による、OPD補償結果を示している。
【0059】
この実施形態によるOPD調節装置は、
図4gに示すように2つのミラー30間で光路をサンプル厚さに適合させるように顕微鏡に実装され得る。コマンドのエラー、ガラススラブ厚さeの差、または支持構造体12の構成要素の組立体における単にゆるい公差によって、出ていく参照波7aは、
図4hに示すように横方向にシフトされる。レンズとカメラとの間の300mmの距離、およびレンズの20mmの焦点距離に関し、センサー上の視界の10分の1、すなわちおよそ500μmの可能なシフトを認めれば、第2のミラー上における約40μmの許容可能な最大の横方向シフトを意味する。そのような最大の横方向シフトを認めた場合、2つのスラブ42、44は、最大差0.25°の角度で傾斜しなければならないか、または、スラブの厚さの差は、100μmを超えてはならない。厳しい公差を機械的駆動装置またはガラススラブの寸法に課すのを避けるため、ミラー30を、制御システム15のマイクロコントローラにより制御される傾斜可能なミラーTM3、TM4に置き換えるのが有利である。
図4iを参照のこと。
【0060】
完全なOPD補償システムのコマンドの手順を、
図4jおよび
図4hを参照して、以下の通り説明することができる。
‐サンプル1がサンプル観察ゾーン17内に置かれ、調査される状態にある。
‐ガラススラブ42、44が、中立位置に置かれる(
図4hではθ=90°)。
‐傾斜可能なミラーTM3、TM4(例えば、MEMSミラー)が、センサー上の強度を最も良く一様にするよう制御される。調査を容易にするため、サンプル照明ビーム7bは、顕微鏡の対物レンズ37の開口から偏向され得る。
‐縞コントラストは、フーリエ領域のDC成分エネルギーと比べた、キャリアピークエネルギーの算出により評価される。
‐OPDスキャンは、ガラススラブ42、44を、ある方向に、ある小さな角度だけ傾けることで開始される。
‐角度の各増分について(スラブは、適切なギア減速比のステッピングモーターにより駆動され得る)、レーザースポットは、PIDアルゴリズムを通じて光センサー上に中心を置いたまま保たれる。
‐サンプル照明ビーム7bは、適切に向け直されて、縞コントラストが評価される。
‐いったんスキャンが完了したら、スラブ42、44は、最も高い縞コントラストをもたらす位置に適切に向けられる。
‐傾斜可能なミラーTM3、TM4の位置を改善する。
‐顕微鏡が、サンプル1を最適に測定できる状態になる。
【0061】
変形体では、前述した反復調査を加速するために、(手順P2で使用される)手順P1から得られた最適な厚さを使用して、予想される最適位置に近いスラブ角度の開始点を定めることができる:最も高い縞コントラストを生じるスラブの傾斜角度は、手順P1で推定されたサンプルの最適な厚さに直接左右される。
【0062】
図5a〜
図5dを参照すると、例示される実施形態によるOPD調節装置32は、反射原理に基づくものであり、第1の方向変更ミラー30aと、第2の方向変更ミラー30bと、第3の方向変更ミラー30cと、を含む。第1の方向変更ミラー30aおよび第3の方向変更ミラー30cのうちの少なくとも一方は、傾斜可能であるが、参照波の光路に沿って第1のミラーと第3のミラーの中間に位置付けられた第2の方向変更ミラー30bは、並進運動可能である。第2のミラー30bが並進運動することで、光路の長さが替わり、傾斜可能な第1のミラー30aおよび第3のミラー30cは、第2のミラー30bの変位の関数として参照波の方向を補正するように回転する。
【0063】
図5bの変形体では、第2のミラーは、第2のミラー反射面に直角な方向に対して斜めの方向に、第2のミラーを動かす(角の二等分線の変位とも呼ばれる)ように構成された支持体(不図示)上に据え付けられ、これにより、第1のミラー30aおよび第3のミラー30bの両方が、参照光の角度の変動を調節するように傾斜可能である。
図5cの変形体では、第2のミラーは、第2のミラー反射面に直交して第2のミラーを動かすように構成された支持体(不図示)上に据え付けられ、これにより、第1のミラー30aおよび第3のミラー30bの両方が、参照光の角度の変動を調節するように傾斜可能である。
図5dの変形体では、第2のミラーは、第2のミラーから反射される参照波に平行な方向に第2のミラーを動かす(内接円変位とも呼ばれる)ように構成された支持体(不図示)上に据え付けられ、これにより、第1のミラー30aは、参照光の角度の変動を調節するように傾斜可能であり、かつ第2および/または第3のミラーは、オプションとして傾斜可能である。
【0064】
透過性OPDの実施形態と比べ、反射性OPDの実施形態の利点は、強度の変動もしくは非点収差など、光学面のエラー誘発効果を最小限に抑えること、およびMEMS傾斜ミラーの動き(MEMS tilting mirror motions)において容易に利用可能な自由度(degrees of liberty)を使用することである。手順P4は、手順P3と本質的に同等であってよく、スラブの回転をミラーの並進運動と置き換えている。
【0065】
主に
図1a〜
図2bを参照すると、サンプルビーム光路システム20は、サンプル照明ビームを、その選択された経路に沿ってガイドするために、方向変更ミラー26も含む。サンプルビーム光路システムは、ミラーシステム34および回転機構36を含む、サンプル照明装置28をさらに含む。ミラーシステム34は、サンプル照明ビーム7bを、サンプル1の方へ、顕微鏡の対物レンズ37の軸Aに対して、所定の角度αで向けるように構成された、第1のミラー54および第2のミラー56を含む。
【0066】
ある実施形態では、回転機構36は、モーター駆動装置38および回転支持体40を含み、ミラーシステム34が、回転支持体40内に据え付けられている。本発明の例示的な実施形態では、駆動装置38は、ベルト39を含むトランスミッションを介して、回転支持体に連結されるが、多くの他のトランスミッションシステムが、駆動装置を回転支持体に連結させるのに使用されてよく、例えばギアシステムであるか、または磁気誘導連結によるものがある。
【0067】
回転支持体40は、サンプル照明光ビームを通過させるように構成された中空もしくは管状の軸58と、第1のミラー54および第2のミラー56が中に据え付けられるミラー支持本体60と、を含む。回転支持体40、特に中空の軸58は、ベアリング59によって、ハウジング支持構造体12に据え付けられる。
【0068】
第1のミラー54は、中空の軸を通じて投射された光ビームを、第2のミラー56上へと向け直し、第2のミラーは、照明角度αでサンプルホルダー18上に位置付けられたサンプル1上へとその光ビームを向け直す。第1および第2のミラーは、ミラー支持本体60内部に固定された関係で配列され得る。他の変形体では、第1のミラーもしくは第2のミラーのいずれか、またはこれらの両方は、旋回可能に調節可能であってよい。旋回可能に調節可能な第1および/または第2のミラーは、照明角度を、選択された照明角度に調節し、かつ/または製造公差によるか、もしくは輸送および取扱中もしくは使用を通じた非調節(disadjustments)による、ミスアライメントを調節するのに有用となり得る。照明角度はまた、サンプルビーム光路システム20の方向変更ミラー26a、26bの角度を調節することによって調節されることもできる。角度調節可能なミラー26a、26bは、電子的に調節可能である傾斜角度を持つミラーを形成するため、それ自体が当技術分野で知られているような、
図8に示すような半伝導性材料から形成された、MEMSで製造されたミラーの形態をした微細加工部品であってよい。よって、電子的に角度調節可能なミラーは、装置を較正するために製造公差を補償し、かつ、照明角度を、必要に応じて動的または静的に、選択された値に調節することを可能にする。よって、顕微鏡の自動較正は、
図2bに最も良く示されるように、選択された経路7bからビーム7b’を偏向させる、あらゆるミスアライメント、製造公差、熱的効果、および摩耗を補正するために、製造後、および各使用前に、可能である。
【0069】
サンプル照明経路システムの角度調節可能なミラーは、有利には、サンプルの屈折特性の静的もしくは動的調節を可能にすることもできる。例えば、サンプルが浸漬される液体の高さの変化Δh(
図5a〜
図5cを参照)が、補正され得る。動的な補正は、ビームが顕微鏡の対物レンズの光軸Aの周りを360°にわたって回転するときに、光ビームの経路に対して、サンプルが浸漬される液体媒質の不均一な厚さを補償するために適用され得る。この不均一な厚さは、サンプル容器の水平でない据え付けによるものであるか、または、表面張力に起因する液体のメニスカスの存在によるものであり得る。
【0070】
光感知システム8からのフィードバック信号に基づいてミラー26a、26bの傾斜角度を自動で制御するための、閉ループ調整システムが、顕微鏡の制御システム15の電子制御回路に組み込まれ得る。電子制御回路は、回転ビーム機構36および光源4を制御することもできる。
【0071】
図1bに示す実施形態では、回転支持体により、画像取り込み中にサンプル照明ビームを360°回転させると共に、一定の照明角度αを維持することができる。ミラーシステム34の回転中、選択された数の画像フレームが、カメラによって捕捉されてよく、例えば20〜200個の範囲の画像フレーム、例えば約100個の画像フレームであり、これらはそれぞれ、観察されている微細な物体の異なる視野角を表している。各フレームは、観察されているサンプルの平坦な部分における屈折率分布を表す、2次元画像部分を表している。2次元部分は、観察された微細な物体の3次元の屈折率に基づく画像を再構築するために、コンパイルされ得る。
図1bに示す実施形態に関しては回転支持体40の回転速度に依存する、ビームの回転速度は、光感知システム8のフレーム捕捉周波数の関数として調節され得る。
【0072】
本発明による、所定の照明角度αを有する回転サンプル照明ビームは、顕微鏡の対物レンズ37の開口数(NA)により可能になるほどの大きな照明角度αで、微細な物体を照明することができる点で、レンズに基づく従来の解決策よりも特に有利である。これにより、サンプルホルダー上に位置付けられ、顕微鏡により観察され得るサンプルのサイズに、大きな柔軟性が与えられると共に、顕微鏡の製造コスト、および光路に沿った光学素子の品質に対する感受性が著しく低減される。さらに、回転ミラーシステムは、ビーム成形を低減するために非常に高い品質で製造されることが必要となるレンズまたは屈折性素子もしくは回折性素子とは対照的に、ビーム形状を変化させない。後者は、本発明により提供される解決策とは対照的に、製造コストを著しく増大させる。本発明では、照明角度αは、ミラーが回転支持体40内で固定した関係である場合には回転支持体40を取り換えることによって、あるいは、回転支持体内に回転可能な第1のミラー54および/または第2のミラー56を有することによって、変化させることができ、これにより、照明角度の限界が、顕微鏡のレンズの開口数によって決定される。例えば、開口数が0.8では、照明角度は55°であってよく、開口数が1.3では、照明角度は、最高で64°となり得る。角度が大きいほど、感受性が高くなり、そのため、2次元位相画像、ひいてはそれから再構築される3次元位相画像の解像度が高くなる。
【0073】
サンプル照明ビームの光路内の傾斜調節可能なミラーは、装置の耐用期間中のミスアライメント、製造公差、摩耗を調節することができ、また、観察されるべき物質が浸漬される液体の高さなどの変動の、静的または動的な補正を調節できる点で、特に有利である。
【0074】
本発明の特に有利な別の特徴は、光路差(OPD)調節装置32が、傾斜調節可能な、透過性または反射性光偏向素子42、44、30a、30b、30cを有することであり、これらの光偏向素子は、それら素子を変える必要なしに、光路差の自動かつ連続的な較正もしくは調節を可能にし、また、OPDウォークオフを補正することができる。従来の装置では、異なる厚さの、一連の透明なディスクが、光路の調節の関数として、参照波経路内に位置付けられるが、これでは、連続した微細な調節はできず、OPDウォークオフを補正することもできない。
【0075】
図7a〜
図7cを参照して、まず
図7aから始めると、第1の変形体において、回転ビーム機構36は、第1のミラー54および第2のミラー56を備えたミラーシステム34を含み、支持体40の中に据え付けられ、支持体40は、ハウジングの支持体12上に回転可能に据え付けられ、顕微鏡の対物レンズの光軸Aの周りを360°にわたって回転してサンプル1の画像取り込みを行う。第2の方向変更ミラー26bは、変形体によれば調節可能であってよく、あるいは、固定されていてよく、それによって、調節可能な変形体では、ビームの照明の角度αが、照明角度を変化させるか、または一定の照明角度を維持し、ミスアライメントもしくは誤調節を補正するように、変えられることができる。
図7bの第2の変形体では、サンプル照明装置のミラーシステム34は固定されており、第1のミラー54は、本質的には中央の円錐の形態であり、これは、やはり本質的には外側の円錐形リングを形成する第2のミラー56に、ビーム7bを向け直す。ビームの回転は、サンプルビーム光路システム20の第2の方向変更ミラー26bによって実行され、このミラーは、第1のミラー54によって形成された円錐の周りで照明ビームを回転させるため、連続的に傾斜する円形運動を行い、照明ビームは、顕微鏡の対物レンズの光軸Aの周辺を360°回転する。この解決策の利点は、限られた機械部品であるが、円錐形のミラー表面の湾曲の精度に対する感受性が、
図7aに示す機械的解決策と比べて、高い。
【0076】
図7cも、固定支持体40を備えたシステムを例示しており、これにより回転照明ビームは、中央の傾斜可能なミラー54’により作動され、中央の傾斜可能なミラー54’は、360°にわたり円形傾斜運動を行い、第2の横方向ミラー56bに反射する上方の第1のミラー56aに向けて、ビームを反射する。
【0077】
図7dは、サンプルホルダー18がベース18bおよび回転サンプル支持表面18aを含む実施形態を例示しており、サンプルは、回転サンプル支持表面18aの上に置かれる。よって、この実施形態のサンプル照明ビーム7bは、ビームが固定された角度位置にとどまっている間に、顕微鏡の対物レンズ37の光軸Aを中心としてサンプルホルダーを回転させることによって、サンプルに対して回転する。方向変更ミラー26の一方または両方は、例えばMEMS構成要素の形態をした、旋回可能に作用可能なミラーTM1であってよい。
【0078】
サンプル照明手順P1−自動較正ルーチンの実施例:
本発明のある実施形態によると、顕微鏡は、有利には、電子制御システムと、幾何学的ミスアライメントを補正する目的で傾斜可能な(例えばMEMS)ミラー26、TM1の検出角度を制御するために自動較正ルーチンを実行するように構成されたソフトウェアと、を含んでよく、サンプル照明ビーム7bは、視界(FOV)の中央で、顕微鏡の対物レンズ37の焦平面に衝突する。これは、入射光スポット(incident light spot)が、カメラ8のセンサー面上に中心を置くか、または取り込まれたデジタル画像上に中心を置くことに等しい。補正は、サンプル回転ビームシステム36の回転角度と共に変化し得るという意味では、動的である。
【0079】
補正したいと考えるミスアライメントは、回転ビームシステム36の各回転で同一なので、傾斜可能なミラー26aを制御する信号は、システムの回転に対して周期的である。傾斜可能なミラーの各自由度i=x,yについて、信号は、回転ビームシステムの回転数f
0およびその整数の倍数nf
0に対応する、可算個の別々のフーリエ正弦および余弦係数
をそれぞれ用いて記載され得る。光学的構成の回転特徴に起因して、主要なフーリエ係数は、DC項
ならびに、回転ビーム機構と同じ周波数で、ミラーの角度オフセットおよび円形角運動それぞれに対応する、基本周波数
および
に関連したものである。必要な補正信号を十分に記載するために高次の項が必要となり得るが、ほとんどの場合、少数(約10)の項のみが必要であり、そのため、補正情報、例えば、動作中にリアルタイム補正を行うマイクロコントローラの限られたメモリに容易に記憶され得るもの、を記憶するメモリ効率の良い手段が提供される。
【0080】
入射光スポットが対物レンズの視界(FOV)内にある場合、そのスポットの位置は、カメラ画像の4つの四分円内のピクセル値を合計することによって、量的に決定され得る。対角線上に向かい合った2つの四分円の合計間の差を取ることで、画像中心に対するスポットの位置を説明する、2つの値u、vが得られる。FOVの中心のスポットは、u=v=0となる。
【0081】
値u、vは、例えばPID制御のための、フィードバック値として使用され得る。次に、補正信号の軌道が、サンプルに対してサンプル照明ビームを回転させ、カメラのデジタル画像の中心にスポットを維持するためPIDを使用することによって、得られる。しかしながら、このプロセスは、以下の問題点をもたらし得る:(i)一般的に、スポットは、最初はカメラの視界の中になく、そのため、フィードバックループが壊れる;(ii)PID制御の速度がカメラのフレームレートによって制限されるので、回転中にスポットを追跡することができるように非常に大きなフレームレートが必要となり得る。言い換えれば、回転中、スポットが2つのカメラフレーム間でカメラの視界を完全に離れ、PIDが反応できないことが、起こり得る。
【0082】
これらの問題点を回避するため、
図8に示すある実施形態では、以下に記載するような2段階プロセスを実行することができる。主要なフーリエ係数がDCおよび基本周波数であることを前提として、第1の工程では、これらの係数の近似値を取得し、フィードバックループは、はるかに低い振幅を示す高次の調和項と反応することしかできなくなる。まず、スポットをカメラ8の視界の中心に置く傾斜可能なミラーの位置が、回転ビーム機構の2つの直交する静止位置θ1、θ2について見つけられる(
図9のフローチャートにおける「角度1および角度2」、以下のθ1およびθ2)。工程P1‐1〜P1‐5およびP1‐6〜P1‐10を参照。これは、スポットがカメラの視界に入るまで、傾斜可能なミラー(例えば、MEMSミラー)をサーチパターンで動かすことによって行われる(工程P1‐2、P1‐3、P1‐8、P1‐9)。PID制御を次に使用して、スポットを画像の中心に置く(工程P1‐4、P1‐9)。こうして得られたミラーの角度位置は、セーブされ(工程P1‐5、P1‐9)、角度オフセットおよび円の半径および位相に対応するDCおよび基本フーリエ係数の計算(工程P1‐11)が可能となり得る。これは、6つのフーリエ係数aおよびbに関する6つの式:
【数2】
を解くことで行われ得る。ここで、下付き文字mは、角度1および2の測定から得られたxおよびyの値を示し、Fは、傾斜可能なミラーのx方向とy方向との鋭敏比である。
【0083】
次に、回転ビームシステム(例えば、
図1a、
図1bの実施形態において示された機械的に回転するシステムのアームに関して)は、連続的に回転され(工程P1‐12)、先に決定されたオフセットおよび円形運動が、傾斜可能なミラーTM1に動的に適用される(工程P1‐13)。よって、入射光スポットの動きの主要な部分が減じられ、残りの動きは、フィードバックループ、すなわちPID制御が追跡できるほど十分にゆっくりとなる(工程P1‐14)。この位置をセーブすることができ(P1‐15)、完全な回転の後で、フィードバックループの出力信号のフーリエ変換(P1−17)を、先に得られたフーリエ係数(すなわち、DCおよび基本周波数の値)に加えて(P1−18)、完全な訂正スペクトルを生じる。
【0084】
必要であれば(P1‐16)、2回目の反復を行ってよく、ここでは、回転中、得られたフーリエ係数をすべてミラーTM1(例えば、MEMSミラー)に適用し、電子制御システムのフィードバックループを用いて、スポットの残りの運動を再び最小にする。これは、MEMSミラーの反応が一般的に周波数に依存しているので、回転周波数を変える際に有用となり得、そのため、係数は、回転ビームの角速度と共に変化し得る。
【0085】
サンプル位相補正手順P2‐サンプルに基づく、自動化された位相補正のための傾斜可能なミラーのフィードバックループ制御の実施例
このルーチンは、取得した画像の位相平坦性における系統誤差を数の上で補正するのに使用される、ある範囲のルックアップテーブル(LUT)にアクセスするためのパラメータを見つけることを目標としている。サンプルに衝突するレーザーサンプル照明ビームは、わずかにコリメートされていない場合がある。これは、コリメート用光学機械(collimation optics)のミスアライメントによるものであり得るが、ガウスビームの回折限界発散角(diffraction-limited divergence)による場合もある。このビームが通過しなければならないサンプルの光学的厚さを変化させる場合、顕微鏡の対物レンズの視界(FOV)の等位相面の曲率は、デフォーカス
収差の形で変更される。このデフォーカス収差が回転照明アームの方位角θおよびサンプルの光学的厚さnhによって決まることが観察されており、nは、サンプル媒質の屈折率である。収差がサンプルごとに変化しないので、所定のLUTを使用して、デフォーカス効果、所与のθおよびnhを数字の上で補正することができる。
【0086】
サンプルの光学的厚さnhは、較正手順P1の結果から導き出すことができる。手順P1が、顕微鏡の対物レンズの視界(FOV)からのサンプル照明ビームのサンプル厚さh1、h2(
図16dを参照)依存性のウォークオフを補償するために行われ得ることが注目される。
【0087】
回転ビームシステムの上流に位置付けられた傾斜ミラーTM1が静止して据え付けられているので、回転ビームシステム38が回転すると、傾斜可能なミラーTM1による補正が動的になる。しかしながら、主要な成分は、円筒座標における一定の角偏向(前記のα’)に対応する、円形補正(circular correction)である。手順P1では、円形運動は、1次フーリエ係数
により説明され、
運動の半径は、
【数3】
により得られる。
【0088】
半径Rは、角度α’のシフトに正比例する。スネルの法則により、nhとα’との間に線形関係はなく、そのため、nhとRとの間にも線形関係はない。しかしながら、ルックアップテーブル(LUT)が補正パラメータ
のnh依存性を特徴づけるために使用される場合、あらゆる非線形性は、その非線形性がLUTの作成中に考慮されている限り、LUT自体によって補償され得る。この場合、LUTパラメータは、半径Rによって直接定義され得る。
【0089】
手順の工程は以下のとおり列挙することができる:
P2‐1 較正手順P1を実施した後、前述したとおり、1次フーリエ計数
から、Rを算出する。
P2‐2 対応するLUT指数を更新し、そこから、補正係数
を抽出する。
【0090】
デフォーカス補正
が、得られた各ホログラムに別々に適用されるので、対応するLUTパラメータθが、例えば、角度位置センサーを活用するか、または、ホログラムの搬送波周波数を用いて、実行時間に決定される。
【0091】
変形体では、前記の手順が、ウォークオフ補償のための低次高調波
および高次高調波を使用して行われ、不均一なサンプル厚さ(例えば、液体を収容する傾斜した皿またはねじ曲がった表面)を検出することができる。この場合、前述した回転対称性が破れ、LUTパラメータR自体が、回転角度
によって決まる。
【0092】
変形体では、光学的厚さnhが、P3/P4で行われる光路長補償から決まる。ここでは、サンプル厚さnhにより引き出された光路差が、移動素子によって補償される。移動素子の位置を逆に使用してnhを導き出すことができる。前記と同様に、nhは、移動素子の位置に非線形に依存しているが、この非線形性は、適切に較正されたLUTによって補償され得る。反対に、手順P2によって導き出されたnhの推定は、P3/P4において移動素子を位置付けるのに使用され得る。
【0093】
参照波補正手順P5‐実施例
このルーチンは、観察されるホログラフの縞(holographic fringes)が復調された位相画像の信号対雑音比(SNR)を最適化する周波数を有するように、傾斜ミラーTM2の最適な設定を見つけることを目的としている。ホログラフの縞は、光感知システム8(例えばカメラ)において2つの光ビーム、すなわち、物体波と参照波とを重ね合わせることによって、顕微鏡において生じる。両方のビームが波数ベクトル
の平面波であると仮定すると、カメラにおける強度は、
【数4】
と書くことができ、式中、
であり、z
cは、カメラのz位置である。どちらのビームも球面曲率を示すが、半径は、いずれの場合も同じであり、重ね合わせている間に、減じることができる。よって、参照波の方向は、実際、1つの波数ベクトル
によって説明することができる。同様に、物体波は、これが通過する物体によって変調された主要成分
を含む。物体波の搬送波周波数は、回転する入射照明の方向をたどり、その面内成分は、
図14aの点で描いた円によって描写されるように、原点の周囲で円を描く。矢印は、参照波の面内波数ベクトルを示す。式(1)に示す強度パターンのフーリエ変換は、−1次および+1次の円により示され、定数項は、原点付近の黒い点で表示され、第2および第3の加数は、それぞれ「+1次」および「−1次」という名前の円である。ホログラムを正確に処理するために、重ね合わせられた波の強度パターンのスペクトル(すなわち、前記の−1次および+1次の円、搬送波周波数
と呼ばれる)は、中央の黒い点により示される定数項から空間的に分離されていなければならない。さらに、円全体は、スペクトルの1つの四分円内になくてはならず、1つの四分円のみを考慮しなければならないので、処理がスピードアップする。
【0094】
参照波に傾きを導入することは、その式と線形位相関数とを掛け合わせることに相当し、その方向はベクトルkrによって定められる。したがって、傾斜した参照波は、rt=re−i(kr・x)となり、式中、x=(ex,ey,ez)は、デカルト座標系のユニタリベクトルである。
【0095】
干渉項が、SFDにおいて、種々の変調に対応するさまざまな位相因子と掛け合わせられることを、識別することができる。変調方向に平行な軸ωxに沿った変調周波数を考える場合、傾斜角度θは、以下に対応する変調周波数を生じさせる:
【数5】
【0096】
一方、検出器は、ω=1/Δxの周波数に対応するx方向にサンプリング容量を有し、式中、Δxは、カメラの画素サイズである。ナイキストの定理を考慮することによって、検出器によって分解され得る最大角度は、以下のとおりである。
【数6】
【0097】
この式によれば、λ=520nmの主要レーザー線およびCCDカメラの標準画素サイズ(Δx=5μm)では、利用可能な最大角度は、Y≦4oおよびα(2)≦2oである。回折波数ベクトルの測定を可能にするために、最初に、角度をこの値の2分の1に制限する近似値を考え、搬送波周波数を四分円の中心に置き、それにより、α(2)≦1°をもたらすことを考えることができる。通過帯域/8の最大通過帯域シフト、従って512px/8=64pxを仮定すると、最大シフトは、結果としてΔα(2)≦0.25°となる。
【0098】
傾斜可能なミラーTM2から光検出器8までの最大距離が300mmであることを前提として、最大シフトは、Δα(2)≦0.25°となり、tan(0.25°)
*300mm=1.3mmの横方向実空間変位となる。したがって、典型的なセンサーサイズ1024
*0.005mm=5.12mmでは、6.4mmのビームサイズが、実空間直径_ref=FOV+最大変位において強度を失うことなく、単にα(2)の搬送波周波数を適応させるのに十分でなければならない。
【0099】
強度パターンのスペクトルの位置は、物体波7bおよび参照波7a両方の方向に依存する。カメラ8との関係において顕微鏡の対物レンズ37の外形は一定であるので、物体波の方向は、容易に調節することができない。しかしながら、参照波の方向は、傾斜可能なミラー、例えばTM2を用いて調節され得る。傾斜可能なミラーTM2の最適な位置を見つける手順は、以下のとおりであってよい:
P2−1 光検出器8上で観察可能な縞があることを確実にするために、較正手順P1およびP3/4が最初に実行される。
P2−2 回転ビームシステム36によって物体波7bを回転させて(例えば、
図1bに示す実施形態では支持体アーム40を回転させ)、物体波の波数ベクトルのk
x成分を最小化する。
P2−3 光検出器(カメラ)8の強度パターンの2D FFTを算出し、+1次から搬送波周波数
を計算する。
P2−4 k
c,xを所定の最小値k
minと比較する。k
c,x>k
minの場合、工程P5−6に進む。
P2−5 参照波7aがカメラ8のx軸上でより急角度に下がるように傾斜ミラーTM2を増す。工程P5−3に戻る。
P2−6 カメラの強度パターンの2D FFTを算出し、+1次から搬送波周波数
を計算する。
P2−7 k
c,yを所定の最小値k
minと比較する。k
c,y>k
minの場合、工程P5−10に進む。
P2−8 参照波がカメラのy軸上でより急角度に下がるように傾斜ミラーTM2を増す。工程P5−7に戻る。
P2−9 (サンプル1の上流に位置する)物体波経路内でミラーTM1を完全に片側に傾斜させることによって物体波7bを隠し、参照波7aのみが光検出器8に当たるようにする。
P2−10 照明されるカメラの目的領域(ROI)における画素の部分を計算することによって、参照波の充填率ffを算出する。
P2−11 ffを所定の値ff
minと比較する。ff≧ff
minの場合、工程P5−14に進む。
P2−12 非照明画素の平均位置からROIを遠ざける。工程P5−11に戻る。
P2−13 物体波の傾斜可能なミラーTM1をそのデフォルト位置に戻し、光検出器上の物体波を見る。
P2−14 物体波を連続的に回転させる(例えば、支持体アーム40を回転させる)。
P2−15 複数のホログラムを取得し、それらの搬送周波数の重心を、復調に使用される帯域通過フィルタの中心として算出する。
【0100】
品質評価手順P6−
図12を参照する実施例
このルーチンは、サンプルが視界に存在しない場合に、光学ビームのいくつかの特徴:強度平均値の起伏および粗さ、を抽出することによって、測定の品質を評価することを目的としている。この手順の目的は、i)(問題を診断するのに使用され得る)ビームの強度分布に関する情報、およびii)手順P2の後でまだ決定されていない
のLUTを供給することであり、n≧2かつm≧1である。サンプル1が物体波7bの経路に挿入されると、適切な3D測定を可能にするためサンプルが基本的にはその場限りの形状であることを確実にするように、軽減された(lightened)手順を適用しなければならない。
【0101】
観察されるサンプルのタイプ、封入剤の性質、および光学面の清潔さの状態に応じて、強度分布が、いくぶん変化し得る。さらに、ビームの均一性が何らかの品質要件を満たす場合であっても、各ホログラムの位相は、光路における残りのわずかなミスアライメントによって、完全に平坦にはならない場合がある。最高品質の断層撮影測定を可能にするため、いったん1次収差、すなわちピストン、傾き、およびデフォーカス、が補償されたら、手順P3またはP4で説明したように、高次収差が、定量化され、かつ数字の上で補償されることができる。
【0102】
装置の較正のこの段階で、手順P1、P2、P3/4、およびP5が実施されている。ここで、視界全体には、物体波および/または参照波の強度分布における不均一性として現れ得る欠陥がないことを確実にすることができる。あるいは、
図18で記載するように、P6は、P1、P3/4、およびP5を空のFOVに対して適用し、それにより、顕微鏡の光学的特性にのみ起因するパラメータ
のLUTをもたらした後で、実施されてよい。以下の手順P2は、サンプルにより誘発される光学的特性に起因する、
を更新するのに役立つ。
【0103】
ここでは、アプローチは、まず、参照波7aの光路において傾斜ミラーTM2を使用して、光検出器8に対して参照波を隠すことである。次に、物体波7bを特徴づけることができる。傾斜ミラーTM1によって物体波を隠す場合には、同じ手順が参照波に対して実行され得る。この時点でエラーが検出されたら、手順P7を始めてよく、そうでない場合、断層撮影による取得が行われてよく、これは、ホログラムのシーケンスが取得され分析されることを意味する。
【0104】
いったんビームの均一性が何らかの所定の品質基準を満たしたら、ホログラムのシーケンスは、前述したように、記録および分析される。サンプル1に対する回転物体波の回転中に回収された各ホログラムから、光検出器によって回収したビーム信号の位相φ[θ]が、やはり平坦さおよび粗さの点で計算され特徴づけられる。各回転ビームシステム角度について、ゼルニケ多項式
への最小二乗適合(least-squares fit)を計算して、
パラメータの値のルックアップテーブル(LUT)を生成することができる。このLUTから、平坦な位相が、回転ビームシステムのいずれの向きについても回収でき、また、(依然として空の視界の)断層撮影法による再構成を達成することができる。さらに、この方法は、やはり平坦さおよび粗さの点で品質基準と比較され得る、この3D測定からの統計学的特徴づけがしやすい。
【0105】
エラー分析手順P7−
図13を参照した実施例
エラーが生じると、この手順は、ログファイルの形態であるコンピュータネットワーク(本明細書ではクラウドと名付けられている)に有用な情報を送信するため、できる限りその問題を解決または診断するように始められる。いくつかの試験ルーチンの後で、装置が依然として適切に動作しない場合、メンテナンスが必要となり得る。
【0106】
ここでは、P1〜P6の前述したルーチンにおける失敗を考えるだけである。このエラールーチンP7は、どのようにしてシステムが問題を自己診断および解決することができるのか、もしくは基本的かつ正確な指示をユーザーに与えてそうさせることができるのか、について説明する。2つのタイプの問題が考えられる:i)サンプルの性質(吸収、厚さ)、またはサンプルが浸漬される媒質の性質(浮遊破片を分散させるか、もしくは示す)のいずれかである、サンプルに関連する問題、あるいは、ii)例えばほこりまたはミスアライメントに起因する、光学機械に関連する問題である。
【0107】
適切な断層撮像による測定を実行するのを妨げるか、もしくは単に手順P1〜P6のうちの1つを完了するのを妨げる、エラーが検出された場合、アプローチは以下のとおりである。第1の工程では、装置は、メタデータを含むログファイルをアップロードするために、クラウドに接続される。第2の工程は、傾斜可能なミラーTM1の旋回によって、物体波7bの2Dにおけるブラインドグローバルサーチ(blind global search)を実行することである。このサーチは、TM1の可能な傾斜角度の範囲内でサーチパターンを制限するいかなる特別な制約も設けられていないことから、ブラインドと言われている。この手順は、顕微鏡の始動中、例えばサンプル1無しで行われるか、または、サンプルがサンプル観察ゾーン17に挿入された後で、行われる。
【0108】
後で、制約のあるグローバルサーチが、参照波の傾斜可能なミラーTM2〜TM4に対して行われ得るが、制約は、移動可能素子またはTM2の角度範囲の関数として、TM3およびTM4の平行な向きによって与えられる。この工程は、先の工程によって解決されていない問題が、実際に参照光路によるものなのかどうかを識別することを目的としている。ミラーの動きが意図的に線形法則と結び付けられているので、ここではサーチが制約されている。これにより、サーチの複雑さを低減することもでき、それにより、サーチがスピードアップする。
【0109】
これら2つのグローバルサーチを行った後で、手順P6を行って、測定の品質を評価することができる。ここから、問題が解決されるか、またはさらなる分析が必要となり、これは、回転光ガイドシステムの異なる向きに関して実行される。個々の計算集約的な分析が、サンプル照明に依存する一連のホログラムに適用され得る。これは、問題が向きに依存しているかどうかを定めることを目的としている。
【0110】
次に、問題が光学機器またはサンプル由来であるかどうかを導くことができ、方向付けされた命令をユーザーに与えることができる。品質がまだ満足のいくものでない場合、より進歩した分析のために、装置にリモートでアクセスすることができる。この手順の後で問題が残っている場合、装置は特別なケアを必要とする。
【0111】
図18は、本発明のある実施形態による顕微鏡の操作におけるさまざまな手順P1〜P7の全体的実行の実施例を示している。
【0112】
前述した手順P1〜P7のそれぞれで光感知システムにより捕捉された個々のホログラムの振幅および位相分析を以下で説明する。異なるレベルのフィードバックを、玉ねぎの皮むきモデル(onion peel model)で見ることができ、その外面は、最もアクセスしやすいレベルを示し、最も内側のコアは、最もアクセスしづらい。各レベルへのアクセスは、まず、すべての外側フィードバックレベルが成功裏に整列することを必要とする。具体的には、異なるレベルのフィードバック制御は、
図14bに示すような後続レベルの強度、干渉性、フリンジ周波数および位相と共に玉ねぎの皮むきモデルを用いて、説明され得る。各フィードバックレベルは、提示された較正手順のうちの1つ以上でアクセスされてよく、較正品質のモニターだけでなく、内方に進む前に最適化されなければならないパラメータも表わす:すべての外側の層は、次の層を評価できるようにする前に、成功裏に較正されなければならない。最も内側の層である、画像化した位相は、最終的には、生物学的サンプルを顕微鏡で画像化するのに使用される値である。第1の層である強度は、その他のパラメータのアライメントを必要としないので、調節するのに最も複雑でないパラメータである。物体波および参照波の強度は、これらのビームがビーム経路内の全光学素子の開口を適切に通過した場合に、最適化される。最初に、適切なアライメントを一度だけ見つけなければならないが、強度は、その他のフィードバックパラメータのアライメント中に構成が改変されるたびに、調節されなければならない。強度アライメントの1つの特別な事例は、較正手順P1であり、これは、物体波の強度最大がサンプル照明ビームの回転中に顕微鏡の対物レンズのFOVに中心を置いたままであることを確実にする、動的補正の決定を必要とするためである。強度層は、サンプルおよびシステムの構成に関する情報を提供することもできる。例えば、手順P1で得られた係数は、P2で使用されるような、サンプルの光学的厚さの推定値を与えることができる。また、ミラーTM4が傾斜可能かつ並進可能である実施形態では、傾斜可能なミラーTM4の開口を光が通過する、参照波経路内の傾斜可能なミラーTM3の角度は、並進可能なミラーTM4の位置の近似値を与えることができる。
【0113】
第2の層である干渉性は、物体波および参照波の光路長が光源の干渉長より短い場合に、最適化される。これは、物体波と参照波との間の固定された位相関係と同等であり、観察されるべき干渉縞に必要である。縞を得るためには、物体波および参照波双方の強度が適切に最適化されなければならない、すなわち、外層が成功裏に整列されなければならないことが、明らかである。逆に、光路長を最適化した後で、強度のアライメントを検証しなければならない。干渉のための前提条件を提供することに加えて、最適な干渉性のための構成も、物体波経路におけるサンプルの光学的厚さの尺度である。
【0114】
第3の層であるフリンジ周波数は、光感知システムに入射する参照波および物体波の相対角度によって定められる。強度とは対照的に、この層は、ビーム経路の光学素子が通過する角度の影響を受ける。この層は、観察されるホログラムの次数の周りの通過帯域における変調された画像情報が0次領域と重ならないようフリンジ周波数が十分大きい場合に、最適化される。フリンジ周波数は、フリンジ方向が、対応するスペクトルにおける搬送波周波数のピークがサンプルに対する回転サンプル照明ビームのすべての回転位置で同じ四分円内にあるようなものである場合に、さらに最適化され、処理がスピードアップする。強度およびおそらくは干渉性の適切なアライメントは、この層を変更した後で検証しなければならない。
【0115】
フリンジ周波数、すなわち、ホログラムのフーリエ変換における搬送波のピークの位置は、実行時に、すなわち取得中に、有用な情報を抽出するのに使用され得る。例えば、ピークの最大値は、復調のために使用しなければならない周波数を定める。サンプル照明ビームをサンプルに向けたときの回転の重心に対する、ピークの位置は、位相のルックアップテーブル(LUT)に基づく補正に使用されるよう、サンプルに対する回転ビームシステムの角度位置を計算するのに使用され得る。
【0116】
最も内側の層である、復調された画像の位相は、サンプル1の画像を再構成するのに使用され得る。この値は、ホログラムを取得し、そのスペクトル内の先に決定された通過帯域にフィルタを適用し、搬送波周波数を成功裏に復調することによって、得られる。すべての外層は、位相を評価する前に最適化されなければならないことが分かる。媒質を含有するが生物学的物体は含有しない、空のサンプルを仮定すると、このパラメータは、結果として得られる画像の位相が最適には平坦である場合に、最適化される。この位相の平坦さは、準最適に補正された顕微鏡の対物レンズによって劣化し得るが、顕微鏡内の不正確に置かれた光学素子、例えば:
I.非コリメートビームが平らな窓を通過すること、
II.ビームがレンズに斜めに、すなわちレンズの光軸に非平行に、通過すること、
によっても劣化する場合がある。
【0117】
前述した収差、特に、番号IIは、ビーム位置および光学素子への入射角度を制御する、最適化ルーチンを用いて最小化され得る。残りの位相エラーは、サンプルから自由な基準(sample-free reference)が提供される場合に、数字の上で補正され得る。
【0118】
図15を参照して、自動較正工程のための位相補正を以下で説明する。光学的厚さ推定のための物体スキャンフィードバックが、傾斜可能なミラーの制御を通じて行われる。これにより、サンプルに基づいた自動化された位相補正が可能になり、これは、背景を特定することのない、ユーザーから独立した補正を意味し、これは、高い細胞密集度を取り扱うことができる。
【0119】
画像化プロセス中に導入された光学収差は、物体から画像への相間移動に関して説明することができる。物体の位相
は、光学システムの位相オフセット
によって変更されることが想定される。よって、光照射野は、
【数7】
として書くことができる。
【0120】
ここで、指数iは画像を示し、oは、物体を示し、sは、光学システムを示す。
の形態の収差が既知である場合、補正位相因子
を導き出すことができ、これにより、ひずみのない照射野(object field)を再構築することができる:
【数8】
【0121】
位相オフセット
は、ゼルニケ多項式と呼ばれる一連の多項式
で、展開され得る。これらの多項式は、
図15aに描かれている。したがって、補正因子は、1組のパラメータ
へと換算され得る。測定後に収差を数字の上で補正するには、パラメータ
を決定しなければならない。
【0122】
空のサンプル、すなわち、生物学的サンプルが浸漬されていない媒質(例えば、液体)では、
は一定であり、そのため、例えばホログラフィー顕微鏡によって測定された位相は、純粋な収差を示す。この収差の分析は、それぞれの原点を示す。Z
1収差、すなわち傾斜は、照明の向きθおよびαにのみ依存し、それらの大きさは、各ホログラムの搬送波周波数から直接決定され得る。大部分の高次収差(m≧2)は、画像化システムに特徴的なものであり、サンプルとは無関係であるので、これらの収差は、サンプル無しで特徴づけることができ、それらの対応する補正パラメータ
は、参照表に記憶されている。特例は、デフォーカス収差
であり、これは、システムにより定められた成分と、サンプル厚さnhおよび照明方向によって決まる成分と、で構成されている。よって、対応する補正パラメータ
は、nhおよびθの追加パラメータと共に、参照表に記憶されなければならない。
【0123】
取得した各ホログラムの傾斜(Z
1収差、
は、ホログラムのフーリエ変換(特殊周波数領域(special frequency domain):SFD)から、またはただ1つのゼロでない次数を含むようにフィルタリングされたホログラム周波数の位相に対する実空間での最小二乗適合を通じて(または、これら2つのアプローチの組み合わせによって)、直接決定され得る。補正因子は、ホログラムの搬送波ピークの位置、または、最小二乗法により適合された平面の傾きに、正比例する。
【0124】
搬送波周波数(またはSFDにおけるピーク位置)は、サンプルに対する回転ビーム機構の角度位置θを決定するために使用され得る。ここでは、搬送波ピークの位置は、回転ビーム機構の完全な回転の間に搬送波ピークが描く円の重心に対して決定されなければならない。この中心は、3つの搬送波ピークを考慮に入れれば、容易に見つけることができる:重心は、3つのピーク位置をつなぐ線分の垂直二等分線の交点である。回転ビーム機構の位置θを考慮に入れれば、残りの補正因子
は、θ(およびサンプル厚さ)をルックアップテーブルに挿入することによって、得ることができる。このルックアップテーブルは、手順P6にあるように、透明で均一なサンプルに関する較正測定値から先に投入されている。さまざまなサンプル媒質厚さnhおよび回転ビーム機構角度θについて、補正されていない位相が測定され、ゼルニケ多項式
への最小二乗適合により、ルックアップテーブル値がもたらされる。
【0125】
図15bおよび
図15cを参照すると、さまざまなサンプル状態における非点収差およびデフォーカスの、(回転中の)時間の関数として高次展開によって表わされた、典型的な測定値が示されている。
図15bでは、サンプルはカバーガラスによって提供され、デフォーカスは単に回転の関数であり、デフォーカスのオフセットの大きさは光学的厚さによって決まり、非点収差は時間的に一定であり、かつ回転に依存している。
図15cでは、サンプルは、ペトリ皿に入っていて、これにより、デフォーカスは、回転および蒸発(時間で変化する)の関数となり得、デフォーカスのオフセットの大きさは、サンプルの光学的厚さおよび可能なメニスカスによって決まり、非点収差は時間的に一定であり、かつ回転に依存する。
【0126】
これらの測定値から、デフォーカスの平均の大きさが、サンプルの光学的厚さと共に変化することが分かる。したがって、サンプル照明経路における傾斜可能なミラーの角度を変えることによるスキャンの目的は、サンプルの光学的厚さを決定し、これらの手段によりデフォーカスの大きさを決定することである。水溶液の場合、メニスカスは、さらなるデフォーカスをもたらし得る。デフォーカスを最も良く推定するために、デフォーカスの(較正中の)例えばθ依存性(eg theta dependence)の測定は、(とりわけ)メニスカスの推定として役立ち得る。
【0127】
図16a〜
図16cを参照して、前述した前因子の推定を説明する。傾斜可能なミラーの角度が変化するスキャン中、光感知システムの光センサー(例えばカメラ)により捕捉される光ビーム信号の測定により、以下の情報が得られる:視界の中心における、すなわち(x=0)での、強度は、光ビームが視界に直接入るようになっている入射光の角度αの場合に、最大値を示す。これは、
図16aにおいて実線で示される事例である。サンプルの可変の光学的厚さnhについて、この最大値は、
図16bに示すように、異なるαへとシフトする。角度αと光学的厚さとの関係は、フェルマーの原理を用いて得ることができ、所与の外形について光路ψ:
【数9】
を最小化することを伴う。
ここで、(x
0,y
0)は、傾斜可能なミラーから反射されたビームの位置であり、(x
1,y
1)は、サンプル媒質に入るビームの位置である。αと光学的厚さnhとの非線形の関係は、このようにして得ることができるが、ミラーまでの距離と比べて小さい光学的厚さでは、反応は、顕微鏡の標準値について
図16cに示すように、ほぼ線形である。
【数10】
【0128】
傾斜可能なミラーの使用を通じた熱拡散の補償および機能的構造(mechanics)に関する公差の減少の実施例:
図17aを参照すると、サンプル照明ビームの回転ヘッド構造の例示が、以下で論じる機械的公差の影響を調べるために表わされている。変化するパラメータには以下が含まれる:
・α:光軸Aに対する中央のミラー54の角度
・β:構造体に対する回転ビームシステム28の角度
・θ:中立位置での光軸に対する周辺ミラー56の角度
・d:正常方向にある中央のミラー54の位置
・d’:2つのミラー54、56間の距離
・d”:中空のシャフト58と比べたアームの水平位置
選択された基準は、機械的ピボット軸周辺における正常方向の静誤差に対応する、例えば0.1°であってよい、MEMSミラー26bの補償角度の特定の公差以内であるというものである。
【0129】
誤差の種々の組み合わせについて調べ、その結果を、
図17bの表に示す。目的とされた公差は、例えば、以下のものであってよい:
・d/d’およびd”:0.1mm(それほど重要ではない)
・α/β/θ:幾何公差の0.0055mmに対応する0.025°
【0130】
先に述べたように、OPDシステムの傾斜可能な透過性または反射性素子は、参照波の経路を調節および補正するために光感知システムにより捕捉された光ビーム信号に少なくとも部分的に基づくフィードバックループによって、制御されることもできる。
【0131】
より一般的には、本発明の重要な態様は、サンプル照明ビームもしくは参照波、またはサンプル照明ビームおよび参照波双方の望ましくない偏向を補正するか、あるいは、(例えば、OPDを制御するため)望ましい偏向を作り出すために、制御システムによる1つ以上の傾斜調節可能なミラーの角度を、電子制御システムによって自動制御するため、光感知システムにより捕捉されたビーム信号からのフィードバックを使用することである。サンプル照明経路における偏向は、製造公差、耐用期間にわたる使用を通じた顕微鏡の部品の摩耗、熱膨張効果、または、液体の高さ、メニスカス曲率、水平でない液体表面および他の因子など、サンプル媒質の変動によるものであり得る。参照波の偏向もまた、製造公差、耐用期間にわたる使用を通じた顕微鏡の部品の摩耗、および熱膨張効果、また、光路差を制御する望ましい偏向によるものであり得る。光感知システムにより捕捉されたビーム信号を読み取ることによる、サンプル照明ビームまたは参照波のこれらの偏向の制御は、有利には、最小限の設備で単純で容易かつ費用対効果の良い形で、高品質画像を得るための、自動化方法を提供する。
【0132】
動的OPD手順P8‐
図5f、
図5g、
図2c、
図2dを参照する実施例
機能的構造の欠陥または単純に欠点により、サンプルビームの光路の長さ(OPL)は、回転スキャンアームがホログラムの取得中に360°の回転を完了させているときに、変化する可能性がある。それらの欠陥が、レーザーの干渉長の一部に制限されるOPL変動をもたらす場合、
図4h〜
図4iとの関連で示す手順は、スキャンアーム(
図2cおよび
図2d参照)の任意の向きの最適な縞コントラストを有するために使用され得る。
【0133】
しかしながら、この欠陥は、干渉長を超える光路長の変動を結果として生じ得、こうして、アームの特定の向きで縞コントラストを大きく低減させるか、もしくは相殺さえしてしまい、それらの位置において、位相計算が無意味なものとなる。
【0134】
これを補償し、
図5gに示されるような最小のOPLを見出すため、OPLは、顕微鏡の制御システムによって動的に調節され、参照波とサンプルビームとの間のOPDを、レーザー源の干渉長よりはるかに低く保ち、回転スキャンプロセスにのっとった最適な縞コントラストを確実にする。
【0135】
回転ビームシステム36と同時にOPDシステム32に適用され得るパラメータを定める方法は、以下の工程を含む:
a)サンプルをサンプルホルダー上に置く、
b)回転ビームシステムを第1の位置に位置付ける、
c)参照波を向けるように構成された、少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)を第1の位置に位置付ける、
d)サンプルビームのスイッチがオフにされている間に光感知システムによって捕捉された参照波信号の位置を測定する、
e)サンプルビームのスイッチをオンにし、光感知システムによって捕捉された信号の縞コントラストを測定する、
f)少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を、増分だけ(by an increment)変化させる、
g)増分の合計が旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の予め定められた動作範囲に対応するまで、工程d)〜f)を繰り返す、
h)各増分で得られた縞コントラスト測定値を比較して、制御システムのメモリのルックアップテーブル(LUT)に、最も高い値の縞コントラスト測定値に関する旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を、回転ビームシステムの位置と共に記憶させる、
j)回転ビームシステムを小さな増分だけ回転させ、回転ビームシステムが360°の回転を完了するまで工程c)〜h)を繰り返す。
【0136】
このように、ルックアップテーブル(LUT)は、回転ビームシステム36と同時にOPDシステム32を動的に制御するために適用され得るパラメータを提供するために作られ得る。
【0137】
ほんの一例として、この手順は、
図5fの実施例に示されていて、以下の工程を含んでいる:
・いったんサンプルがXYステージに置かれたら(工程P8−1)、回転アーム40を、そのパーキング位置に置く(工程P8−2)。
・次に、(
図5eに示す)手順P4を開始し(工程P8−3)、最大の縞コントラストをもたらす、このアーム位置に対する最適なOPD位置を見出す。
・OPDシステムのパラメータを、このアーム位置について保存する(工程P8−4)。
・次に、スキャンアームを小さい増分で回転させ(工程P8−5)、その後、手順P4を再び開始する。パラメータを再び記憶させる。
・アームがパーキング位置に戻るまで、先の工程P8−3〜P8−5を繰り返す。
・ルックアップテーブル(LUT)をこうして作り出し(工程P8−6)、回転ビームシステム36と同時にOPDシステム32に適用しなければならないパラメータを集める。
【0138】
〔参照符号のリスト〕
顕微鏡2
(干渉性の)光源4(レーザー)
参照波7a
サンプル照明ビーム7b(本明細書では物体波とも呼ばれる)
光ビームガイドシステム6
ビーム分割器14
サンプルビーム光路20
方向変更ミラー26、26a、26b
傾斜可能なミラーTM1(MEMS)
サンプル照明装置28
ミラーシステム34
第1のミラー54
第2のミラー56
回転ビームシステム36
駆動装置38
トランスミッション39(ベルト)
支持体40(回転アーム‐
図1a、1b、1d、7aの実施形態/固定型‐
図7b、7cの実施形態)
作用可能なミラー
中空の軸58
ベアリング59
ミラー支持本体60
回転するように構成された旋回ビーム
顕微鏡の対物レンズ37
参照波光路22
方向変更ミラー30
傾斜可能なミラーTM2、TM3、TM4(例えば、MEMSミラー)
ミラー表面61
ピボット軸63
光路差(OPD)調節装置32
第1の光偏向素子42
第2の光偏向素子44
ピボット支持体46、48
ピボット軸49、51
歯50
レンズ65(本明細書ではフィールドレンズとも呼ばれる)
ビーム再統合器16
光感知システム8(検出器、カメラ)
画像データ処理システム10
ハウジング/支持体構造12
サンプル観察ゾーン17
サンプルホルダー18
高さ調節機構
サンプル光
制御システム15
ミラー(例えば、MEMSミラー)傾斜角度制御装置
ミラー回転駆動制御装置
供給源制御装置
カメラ制御装置
サンプル1
閉鎖した収容システム3a
ベース11
カバーガラス9
観察平面13
シール7
開口した皿3b
緩衝媒質5
【0139】
〔実施の態様〕
(1) 顕微鏡(2)において、
光ビーム(7)を生成する光源(4)と、
光ビームガイドシステム(6)であって、前記光ビーム(7)を、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波(7a)とサンプル照明ビーム(7b)とに分割するように構成されたビーム分割器(14)を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプル(1)を受け取るように構成されたサンプル観察ゾーン(17)と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーンを通過した後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器(16)と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システム(8)と、
制御システムと、
を含み、
前記制御システムは、前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの角度を自動制御するためにミラー角度制御信号を生成するように構成され、
前記ミラー角度制御信号は、前記制御システムのフィードバックループによって、前記光感知システムから受信され、前記光ビームにより生成された、信号に少なくとも部分的に基づいていることを特徴とする、顕微鏡。
(2) 実施態様1に記載の顕微鏡において、
前記ミラー角度制御信号が基づいている、前記光感知システムから受信され、前記光ビームにより生成された前記信号は、前記光感知システムによって受け取られた前記光ビームの強度、干渉性、フリンジ周波数、および位相のうちの任意の1つ以上を含む、顕微鏡。
(3) 実施態様1または2に記載の顕微鏡において、
前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能なミラー(TM1)は、前記サンプル照明ビームの経路に位置付けられて、前記サンプル照明ビームの前記光路の逸脱および/または前記ビームの前記サンプル照明角度の調節を補正する、顕微鏡。
(4) 実施態様3に記載の顕微鏡において、
前記旋回可能に作用可能なミラー(TM1)は、顕微鏡の対物レンズ(37)の光軸と一致して、本質的には前記サンプル観察ゾーンより上に位置付けられている、顕微鏡。
(5) 実施態様1〜4のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能なミラー(TM2、TM3、TM4)は、前記参照波の経路に位置付けられている、顕微鏡。
【0140】
(6) 実施態様4または5に記載の顕微鏡において、
前記旋回可能に作用可能なミラー(TM2、TM3、TM4)は、光路差(OPD)システム(32)における前記参照波の逸脱を補正するように構成された前記OPDシステムより前、後ろ、またはその一部として、位置付けられている、顕微鏡。
(7) 実施態様1〜6のいずれかに記載の顕微鏡において、
少なくとも1つの旋回可能に作用可能なミラー(TM2)は、前記光感知システムにより捕捉された干渉信号を生成および調節するように構成された、前記ビーム再統合器と光路差(OPD)装置(32)との間に位置付けられている、顕微鏡。
(8) 実施態様1〜7のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記参照波の光路に位置付けられた光路差(OPD)調節装置(32)をさらに含み、
前記OPD調節装置は、前記サンプル照明ビームに対する前記参照波の光路長を調節するように構成され、
前記OPD調節装置は、第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子(42、30a)と、第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子(44、30c)と、を含み、これらの光偏向素子はそれぞれ、前記参照波の光路に位置付けられた、透明な材料(42、44)または反射材料(30a、30b、30c)を含み、これによって、前記光偏向素子の傾斜角度が前記制御システムにより制御され、前記光路差を調節する、顕微鏡。
(9) 実施態様1〜8のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記旋回可能に作用可能なミラーは、MEMSタイプの構成要素である、顕微鏡。
(10) 実施態様1〜9のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記サンプル照明ビーム(7b)を、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ(37)内へ向けるように構成されたサンプル照明装置(28)を含み、
前記サンプル照明装置(28)は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成されたミラーシステム(34)と、角度のついた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビームシステムと、を含む、顕微鏡。
【0141】
(11) 実施態様1〜10のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記光感知システム(8)から複数の画像フレームデータを受信するように構成されたデータ処理システム(10)をさらに含み、
前記複数の画像フレームは、前記サンプル照明ビームを前記顕微鏡の対物レンズの光軸の周辺で少なくとも360°回転させるために生成されている、顕微鏡。
(12) 実施態様11に記載の顕微鏡において、
前記光感知システムおよびデータ処理システムにより捕捉される360°当たりのフレームの数は、10より多い、顕微鏡。
(13) 実施態様12に記載の顕微鏡において、
前記画像フレームデータは、微細な物体の3次元画像へと処理されるように、前記データ処理システムにより再構築されるか、または、前記データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給されるものである、顕微鏡。
(14) 実施態様13に記載の顕微鏡において、
前記画像フレームデータは、前記微細な物体の3次元画像を改善するため前記サンプルの光学的特性を予測するように、さらに、前記データ処理システムによって使用されるか、または、前記データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給されるものである、顕微鏡。
(15) 実施態様1〜14のいずれかに記載の顕微鏡において、
前記顕微鏡は、微細な物体を通過した後の前記サンプル照明ビームの位相シフトを決定することによって、前記微細な物体の一部の屈折率に基づいて前記微細な物体の3次元画像を生成するように構成されている、顕微鏡。
【0142】
(16) 顕微鏡(2)において、
コリメートされた光ビーム(7)を生成する光源(4)と、
光ビームガイドシステム(6)であって、前記光ビーム(7)を、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波(7a)とサンプル照明ビーム(7b)とに分割するように構成されたビーム分割器(14)を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプル(1)を受け取るように構成されたサンプル観察ゾーン(17)と、
前記サンプル照明ビーム(7b)を、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ(37)内へと向けるように構成されたサンプル照明装置(28)と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーンを通過した後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器(16)と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システム(8)と、
制御システムと、
を含み、
前記サンプル照明装置(28)は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成された、ミラーシステム(34)と、角度の付いた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビーム機構と、を含むことを特徴とする、顕微鏡。
(17) 実施態様10または16に記載の顕微鏡において、
前記サンプル照明装置の前記ミラーシステム(34)は、回転支持体(40)の中に据え付けられており、前記回転ビームシステムは、前記回転支持体と、前記支持体を回転させるモーター駆動装置(38)と、から形成されている、顕微鏡。
(18) 実施態様17に記載の顕微鏡において、
前記回転支持体(40)は、前記サンプル照明光ビームを通過させるように構成された中空の軸(58)を含み、前記中空の軸は、ベアリング(59)によって、ハウジング支持構造体(12)に据え付けられている、顕微鏡。
(19) 実施態様17または18に記載の顕微鏡において、
前記回転支持体(40)は、第1および第2のミラー(54、56)が中に据え付けられるミラー支持本体(60)を含む、顕微鏡。
(20) 実施態様19に記載の顕微鏡において、
前記第1のミラー(54)は、前記中空の軸を通じて投射された前記サンプル光ビームを前記第2のミラー(56)上へと向け直し、前記第2のミラーは、前記サンプル光ビームを、照明角度(α)で前記サンプルホルダー(18)上に位置付けられた前記サンプル(1)上に向け直す、顕微鏡。
【0143】
(21) 実施態様20に記載の顕微鏡において、
前記第1および第2のミラー(54、56)のうちの少なくとも一方は、前記制御システムによって制御される、作用可能な傾斜ミラーである、顕微鏡。
(22) 実施態様20に記載の顕微鏡において、
前記第1および第2のミラーは、前記ミラー支持本体(60)内部で固定された関係で配列されている、顕微鏡。
(23) 実施態様10または16に記載の顕微鏡において、
前記回転ビームシステム(36)は、前記サンプル照明ビームを前記サンプル照明装置(38)の前記ミラーシステム(34)に向ける、回転する作用可能な傾斜ミラー(26b)を含み、
前記ミラーシステム(34)は、固定支持体上に据え付けられている、顕微鏡。
(24) 顕微鏡(2)において、
コリメートされた光ビーム(7)を生成する光源(4)と、
光ビームガイドシステム(6)であって、前記光ビーム(7)を、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波(7a)とサンプル照明ビーム(7b)とに分割するように構成されたビーム分割器(14)を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプル(1)を受け取るように構成されたサンプル観察ゾーン(17)と、
前記サンプル照明ビーム(7b)を、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ(37)内へと向けるように構成されたサンプル照明装置(28)と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーンを通過した後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器(16)と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システム(8)と、
前記参照波の光路に位置付けられた光路差(OPD)調節装置(32)であって、前記サンプル照明ビームに対する前記参照波の光路長を調節するように構成されている、光路差(OPD)調節装置と、
制御システムと、
を含み、
前記OPD調節装置は、第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子(42、30a)と、第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子(44、30c)と、を含み、これらの光偏向素子はそれぞれ、前記参照波の光路に位置付けられた、透明な材料(42、44)または反射材料(30a、30b、30c)を含み、これによって、前記光偏向素子の傾斜角度が前記制御システムにより制御され、光路差を調節することを特徴とする、顕微鏡。
(25) 実施態様8または24に記載の顕微鏡において、
前記第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子(30a)および第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子(30c)のうちの少なくとも一方は、前記参照波を反射する、旋回可能に作用可能なミラーである、顕微鏡。
【0144】
(26) 実施態様8または24に記載の顕微鏡において、
前記第1の旋回可能に調節可能な光偏向素子(30a)および第2の旋回可能に調節可能な光偏向素子(30c)のうちの少なくとも一方は、前記参照波が通過する、旋回可能に作用可能な透明の素子である、顕微鏡。
(27) 実施態様16〜26のいずれかに記載の顕微鏡において、
実施態様1〜15のいずれかに記載の任意の1つ以上の追加特徴部を含む、顕微鏡。
(28) 顕微鏡(2)を制御する方法において、前記顕微鏡は、
光ビーム(7)を生成する光源(4)と、
光ビームガイドシステム(6)であって、前記光ビーム(7)を、旋回可能に作用可能である、少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波(7a)とサンプル照明ビーム(7b)とに分割するように構成されたビーム分割器(14)を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプル(1)を受け取るように構成されたサンプル観察ゾーン(17)と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーンを通過した後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器(16)と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システム(8)と、
電子制御システムと、を含み、
前記方法は、
前記制御システムのフィードバックループを通じて、前記光ビームにより生成された信号を、前記光感知システムから受信することと、
前記制御システムにおいて、前記光感知システムから受信した前記信号に少なくとも部分的に基づいてミラー角度制御信号を生成することと、
前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラーに前記ミラー角度制御信号を送って、前記旋回可能に作用可能な方向変更ミラーの角度を制御することと、
を特徴とする、方法。
(29) 実施態様28に記載の方法において、
前記サンプルビームを前記サンプルに対して回転させることを含む、方法。
(30) 実施態様28または29に記載の方法において、
生成された前記ミラー角度制御信号は、動的なものである、方法。
【0145】
(31) 実施態様30に記載の方法において、
前記ミラー角度制御信号は、前記サンプルに対する前記サンプルビームの回転の角度の関数として動的に生成される、方法。
(32) 実施態様28または29に記載の方法において、
生成された前記ミラー角度制御信号は、静的なものである、方法。
(33) 実施態様28〜32のいずれかに記載の方法において、
前記ミラー角度制御信号が基づいている、前記光感知システムから受信され、前記光ビームにより生成された前記信号は、前記光感知システムによって受け取られた前記光ビームの強度、干渉性、フリンジ周波数、および位相のうちの任意の1つ以上を含む、方法。
(34) 実施態様28〜33のいずれかに記載の方法において、
前記光感知システム(8)から前記顕微鏡のデータ処理システム(10)に複数の画像フレームデータを受信することをさらに含み、
前記複数の画像フレームは、前記サンプル照明ビームを前記顕微鏡の対物レンズの光軸の周辺で少なくとも360°回転させるために生成される、方法。
(35) 実施態様34に記載の方法において、
前記光感知システムおよびデータ処理システムにより捕捉される360°当たりのフレームの数は、10より多い、方法。
【0146】
(36) 実施態様34または35に記載の方法において、
前記画像フレームデータは、微細な物体の3次元画像へと処理されるように、前記データ処理システムにより再構築されるか、または、前記データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給される、方法。
(37) 実施態様34〜36のいずれかに記載の方法において、
前記画像フレームデータは、前記微細な物体の3次元画像を改善するため前記サンプルの光学的特性を予測するように、さらに、前記データ処理システムによって使用されるか、または、前記データ処理システムによってコンピューティングシステムに供給される、方法。
(38) 実施態様28〜37のいずれかに記載の方法において、
微細な物体を通過した後の前記サンプル照明ビームの位相シフトを決定することによって、前記微細な物体の一部の屈折率に基づいて前記微細な物体の3次元画像を生成することをさらに含む、方法。
(39) 顕微鏡(2)を制御する方法において、前記顕微鏡は、
光ビーム(7)を生成する光源(4)と、
光ビームガイドシステム(6)であって、前記光ビーム(7)を、旋回可能に作用可能である少なくとも1つの方向変更ミラー(TM1、TM2、TM3、TM4)によって向けられる、前記光ビームガイドシステムを通過する参照波(7a)とサンプル照明ビーム(7b)とに分割するように構成されたビーム分割器(14)を含み、前記参照波およびサンプルビームをそれらそれぞれの光路に沿ってガイドする、光ビームガイドシステムと、
前記サンプル照明ビームの経路内で観察されるべきサンプル(1)を受け取るように構成されたサンプル観察ゾーン(17)と、
前記サンプル照明ビームが前記サンプル観察ゾーンを通過した後で前記参照波およびサンプル照明ビームを再統合するように構成されたビーム再統合器(16)と、
前記ビーム再統合器の下流で前記光ビームの少なくとも位相および強度の値を回収するように構成された光感知システム(8)と、
電子制御システムと、
前記サンプル照明ビーム(7b)を、前記サンプル観察ゾーンに通して顕微鏡の対物レンズ(37)内へと向けるように構成されたサンプル照明装置(28)と、
を含み、前記サンプル照明装置(28)は、前記サンプル照明ビームを、前記顕微鏡の対物レンズの光軸(A)に対してゼロでない照明角度(α)で向けるように構成されたミラーシステム(34)と、角度のついた前記サンプル照明ビームを前記光軸の周辺で回転させるように構成された回転ビームシステムと、を含み、
前記方法は、
前記参照波とサンプルビームとの間の光路差(OPD)を前記光源の干渉長より低く保つために前記顕微鏡の前記制御システムによって前記参照波の光路長(OPL)を調節するよう、前記制御システムのメモリにルックアップテーブル(LUT)を生成することを特徴とし、
a)前記回転ビームシステムを第1の位置に位置付ける工程と、
b)前記参照波を向けるように構成された前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)を第1の位置に位置付ける工程と、
c)前記サンプルビームのスイッチがオフにされている間に前記光感知システムにより捕捉される参照波信号の位置を測定する工程と、
d)前記サンプルビームのスイッチをオンにし、前記光感知システムにより捕捉された信号の縞コントラストを測定する工程と、
e)前記少なくとも1つの旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を増分だけ変化させる工程と、
f)増分の合計が前記旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の所定の動作範囲に対応するまで、工程c)〜e)を繰り返す工程と、
g)各増分で得られた縞コントラストの測定値を比較して、前記ルックアップテーブル(LUT)に、最も高い値の縞コントラスト測定値に関する前記旋回可能に作用可能な方向変更ミラー(TM3、TM4)の位置を、前記回転ビームシステムの位置と共に記憶させる工程と、
h)前記回転ビームシステムを小さな増分だけ回転させ、前記回転ビームシステムが360°の回転を完了するまで、工程b)〜g)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
(40) 実施態様28〜39のいずれかに記載の方法において、
実施態様1〜27のいずれかに記載の顕微鏡を使用する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図1a】本発明のある実施形態による顕微鏡からハウジングの一部が取り外された、斜視図である。
【
図1c】マッハ・ツェンダースキームに基づく、本発明のある実施形態による顕微鏡の構成の簡略化された概略図である。
【
図1d】本発明の別の実施形態による顕微鏡の断面図である。
【
図2a】本発明のある実施形態による顕微鏡の構成の簡略化された概略図である。
【
図2b】製造公差、摩耗、振動または熱といったさまざまな欠陥が光路に与える影響を示す、
図2aと同様の概略図である。
【
図2c】顕微鏡の回転スキャンアームの回転中の、光路長に対する機械的欠陥の影響を示す、顕微鏡の一部の構成の概略図であり、欠陥のないスキャンヘッドを示している。
【
図2d】顕微鏡の回転スキャンアームの回転中の、光路長に対する機械的欠陥の影響を示す、顕微鏡の一部の構成の概略図であり、機械的欠陥(ミスアライメント)があるスキャンヘッドを示している。
【
図3a】本発明による顕微鏡のサンプルホルダーに対する第1の変形体に従ったサンプルの部分図である。
【
図3b】本発明による顕微鏡のサンプルホルダーに対する第2の変形体に従ったサンプルの部分図である。
【
図4a】本発明のある実施形態による顕微鏡の、透過性原理に基づく、光路差(OPD)調節装置の図である。
【
図4b】OPDウォークオフ補正(walk-off correction)を示す、
図4aの光路装置の簡略化した概略図である。
【
図4c】OPD補償(compensation)を示す、
図4bの変形体と同様の図である。
【
図4d】詳細な説明で論じられるさまざまな角度および寸法を示す、OPD装置の透明な(例えばガラス)スラブの詳細な概略図である。
【
図4e】
図4aのOPD装置の透明なスラブの向きの角度に対する光路長の変動の関係を示すグラフである。
【
図4f】完全な同期を示す、本発明のある実施形態による透過性OPD装置の概略図である。
【
図4g】不完全な同期を示す、本発明のある実施形態による透過性OPD装置の概略図である。
【
図4h】傾斜可能なミラーによる不完全な同期の補正を示す、本発明のある実施形態による透過性OPD装置の概略図である。
【
図4i】
図4aのOPD装置の調節のための制御手順における工程を示す図である。
【
図5a】本発明のある実施形態による、反射原理に基づくOPD装置を含む顕微鏡の構成の簡略化した概略図である。
【
図5b】
図5aの実施形態のOPD装置の変形体の簡略化した概略図である。
【
図5c】
図5aの実施形態のOPD装置の変形体の簡略化した概略図である。
【
図5d】
図5aの実施形態のOPD装置の変形体の簡略化した概略図である。
【
図5e】
図5aのOPD装置の調節のための制御手順における工程を示す図である。
【
図5f】
図5aのOPD装置の動的調節のための制御手順における工程を示す図である。
【
図5g】最適な位置を決定することを可能にするスキャンヘッド位置の関数としてOPDシステムの光路長(OPL)差を示すグラフである。
【
図6a】観察されるべきサンプルの傾斜のある照明を示す簡略化した概略図であり、サンプルが浸漬される液体の高さ変動(Δh)の影響を示している。
【
図6b】観察されるべきサンプルの傾斜のある照明を示す簡略化した概略図であり、照明角度変動(α)の影響を示している。
【
図6c】サンプルが浸漬される液体の高さ変動の影響を補正する手段により捕捉されるべきサンプルの傾斜のある照明を示す簡略化した概略図である。
【
図7a】本発明による顕微鏡の異なる変形体に従った、サンプルに対する回転照明ビームシステムの簡略化した概略図である。
【
図7b】本発明による顕微鏡の異なる変形体に従った、サンプルに対する回転照明ビームシステムの簡略化した概略図である。
【
図7c】本発明による顕微鏡の異なる変形体に従った、サンプルに対する回転照明ビームシステムの簡略化した概略図である。
【
図7d】本発明による顕微鏡の異なる変形体に従った、サンプルに対する回転照明ビームシステムの簡略化した概略図である。
【
図8】本発明の実施形態による顕微鏡で使用される調節可能な傾斜角度を備えたMEMSベースのミラーの簡略化した斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による顕微鏡の較正プロセス(P1)の工程を示すフローチャートであり、サンプル照明ビーム経路内の傾斜可能なミラーの角度が調節される。
【
図10a】本発明の実施形態による顕微鏡のサンプルに基づく自動位相補正のためのフィードバックループ制御プロセス(P2)の工程を示すフローチャートである。
【
図10b】本発明の実施形態による顕微鏡のサンプルに基づく自動位相補正のためのフィードバックループ制御プロセス(P2)の工程を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態による顕微鏡の較正プロセス(P5)の工程を示すフローチャートであり、参照波およびサンプル照明ビームの経路内の傾斜可能なミラーの角度が調節される。
【
図12】本発明の実施形態による顕微鏡の品質評価プロセス(P6)の工程を示すフローチャートであり、参照波経路内の傾斜可能なミラーの角度が調節される。
【
図13】本発明の実施形態による顕微鏡のエラー分析プロセス(P7)の工程を示すフローチャートである。
【
図14a】本発明の実施形態による顕微鏡の光感知システムにより捕捉されたホログラムの強度パターンのフーリエ変換の概略図である。
【
図14b】本発明の実施形態による顕微鏡の傾斜可能なミラーのさまざまなレベルのフィードバック制御の概略図である。
【
図15a】本発明の実施形態による顕微鏡の光感知システムにより受け取られたビームの振幅および位相の分析に使用される、光感知システムにより捕捉された異なる次数の収差の図である。
【
図15b】本発明の実施形態による顕微鏡の光感知システムにより捕捉された異なる次数の収差により生成される信号のグラフィック表示である。
【
図15c】本発明の実施形態による顕微鏡の光感知システムにより捕捉された異なる次数の収差により生成される信号のグラフィック表示である。
【
図16a】高さhの液体に浸漬されたサンプルを示すための、2つの異なる屈折率n1、n2の物質間のインターフェースにおけるサンプル照明ビームの幾何学的角度および長さを示す図である。
【
図16b】測定されたビーム信号の強度とデフォーカス角度(defocus angle)(Δα)との間の関係を示す図である。
【
図16c】位相補正(Φ)を決定するためのサンプル照明ビームのデフォーカス角度(Δα)とサンプル液体の高さとの間の関係を示す図である。
【
図16d】2つの異なる高さh1、h2の液体を通るサンプル照明ビームのサンプル照明角度α1、α2を示す図である。
【
図17a】角度および寸法を示すためのサンプル照明ビーム経路の概略図である。
【
図17b】公差を補償するのに必要な、サンプル照明ビーム経路における1つ以上の傾斜可能なミラーの角度に対する、製作、振動、または熱の影響における公差の影響を示す、さまざまな角度および寸法の結果の表である。
【
図18】本発明のある実施形態による顕微鏡を操作する上でのさまざまな手順P1〜P7の実行を全体的に示すフローチャートである。