特許第6672321号(P6672321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6672321駆動器における、および、駆動器に関する改良
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672321
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】駆動器における、および、駆動器に関する改良
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20200316BHJP
   H05B 45/00 20200101ALI20200316BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20200316BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20200316BHJP
【FI】
   G09G3/32 A
   H05B37/02 J
   G09G3/20 642P
   G09G3/20 621F
   G09G3/20 611J
   G09G3/20 623C
   H01L33/00 J
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-542387(P2017-542387)
(86)(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公表番号】特表2018-508033(P2018-508033A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】GB2016050258
(87)【国際公開番号】WO2016128716
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】1502324.5
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ−
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】クローニン、トーマス・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】チャンバース、ゲイリー・ポール
【審査官】 越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−164746(JP,A)
【文献】 特開2007−324416(JP,A)
【文献】 特開2004−341516(JP,A)
【文献】 特開2004−045488(JP,A)
【文献】 特開2003−031358(JP,A)
【文献】 特開2002−040988(JP,A)
【文献】 特開2001−042823(JP,A)
【文献】 特開2000−138572(JP,A)
【文献】 特開昭57−004094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/32
G09G 3/20
H01L 33/00
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイのための光を生成するために、発光しない状態と発光状態との間で発光ダイオード(LED)を切り替えるためのLEDディスプレイのための駆動回路であって、 LEDと;
発光しない状態と発光状態との間で前記LEDを選択的に切り替えるために、前記LEDを通る駆動電流流路を、「オフ」状態と「オン」状態との間で選択的に切り替えるよう構成された電圧制御ユニット又は電流制御ユニットと、
前記駆動電流流路の前記「オフ」状態と前記「オン」状態との間の切り替えを検出するために、前記駆動電流流路を通って流れる電流をモニタし、前記駆動電流流路の切り替えを表す充電要求信号を生成するよう構成された電流モニタユニットと、
前記LEDの接合静電容量によって前記LEDの中に電荷を保持するために、前記LEDに電荷を入力するための電荷注入器ユニットと、
前記駆動電流流路の前記「オン」状態への切り替えを表す前記充電要求信号に応じて、前記電荷を前記LEDに入力するように前記電荷注入器ユニットを制御するよう構成された電荷注入制御ユニットと、
を備える駆動回路。
【請求項2】
スイッチングトランジスタを備え、
前記電圧制御ユニットは、駆動電圧源に前記LEDを選択的に電気的に接続し、切断するよう前記スイッチングトランジスタを制御するように構成された電圧コントローラを備える、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記電荷注入器ユニットは、前記LEDのカソードに電気的に接続される、請求項1ないし請求項2のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記電荷注入器ユニットは、所定の大きさの電流が、所定の持続期間の時間間隔の間、前記LEDに流れるようにされ、それによって、前記大きさと前記持続期間との積に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力するように構成される、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記持続期間は、1(壱)マイクロ秒より少ない、請求項4に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記電荷注入器ユニットは、前記LEDの順方向閾値電圧の値と前記LEDの接合静電容量の値との積によって決定される値に応じた所定の量の電荷を、前記LEDに入力するように構成される、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記駆動電流流路の上で前記LEDに直列に電気的に接続された電流制御用トランジスタを備え、
記電流制御ユニットは、前記駆動電流流路に沿った電流を許すように前記電流制御用トランジスタの導電性を制御するように構成された駆動電流コントローラを備える、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記駆動電流コントローラは、前記電流制御用トランジスタが導通である時に、前記駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するように、前記電流制御用トランジスタの導電性を制御するように構成される、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記駆動電流流路に沿って流れる電流の値をモニタするように、および、その値を示す電流モニタ信号を前記駆動電流コントローラに出力するように構成された電流モニタユニットを含み、
前記駆動電流コントローラは、ほぼ一定の前記駆動電流を維持するように前記電流制御用トランジスタの導電性を制御するために、前記電流モニタ信号に応答する、
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記LEDを渡る電位差を、前記LEDの閾値電圧より小さい、前記LEDへの所定の閾値下順方向電圧まで減らすために、前記LEDに電圧を印加するように構成された電荷ステアユニットを含み、
前記電荷注入制御ユニットは、前記駆動電流流路の前記「オフ」状態への切り替えと同時に、前記電圧を前記LEDに印加するように前記電荷ステアユニットを制御するように更に構成される、
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の駆動回路。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の駆動回路を備えるディスプレイ。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)を、ディスプレイのための光を生成するために、発光しない状態と発光状態との間で切り替えるように駆動する方法であって、
前記LEDを通る駆動電流流路を「オフ」状態と「オン」状態の間で選択的に切り替え、それによって、発光しない状態と発光状態との間で前記LEDを選択的に切り替え、 前記駆動電流流路の前記「オフ」状態と前記「オン」状態との間の切り替えを検出するために、前記駆動電流流路を通って流れる電流をモニタし、前記駆動電流流路の切り替えを表す充電要求信号を生成し、
前記駆動電流流路の前記「オン」状態への切り替えを表す前記充電要求信号に応じて、前記LEDに電荷を入力し、前記LEDの接合静電容量によって前記LEDの中に前記電荷を保持する、
方法。
【請求項13】
スイッチングトランジスタを設けることを含み、
前記駆動電流流路を「オフ」状態と「オン」状態との間で選択的に切り替えることは、前記LEDを駆動電圧に選択的に電気的に接続し、切断するように前記スイッチングトランジスタを制御することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電荷は、前記LEDのカソードに入力される、請求項12または請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
所定の大きさの電流を、所定の持続期間の時間間隔の間、前記LEDに流れるようにさせ、それによって、前記大きさと前記持続期間との積に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力することを含む、請求項12ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記持続期間は、1(壱)マイクロ秒より少ない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記LEDの順方向閾値電圧の値と前記LEDの接合静電容量の値との積によって決定される値に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力することを含む、請求項12ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動電流流路の上で前記LEDに直列に電気的に接続された電流制御用トランジスタを設けることを含み、
前記駆動電流流路を「オフ」状態と「オン」状態との間で選択的に切り替えることは、前記駆動電流流路に沿った電流を許すように前記電流制御用トランジスタの導電性を制御することを含む、
請求項12ないし請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記電流制御用トランジスタが導通である時に、前記駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するように、前記電流制御用トランジスタの導電性を制御することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記駆動電流流路に沿って流れる電流の値をモニタすることと、
ほぼ一定の前記駆動電流を維持するように前記電流制御用トランジスタの導電性を制御することと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記LEDを渡る電位差を、前記LEDの閾値電圧より小さい、前記LEDへの所定の閾値下順方向電圧に減らすために、前記LEDに電圧を印加することと、
前記駆動電流流路の前記「オフ」状態への切り替えと同時に、前記電圧を前記LEDに印加することと、
を含む、請求項12ないし請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)などの半導体デバイスを発光させるための駆動器に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、ディスプレイパネルまたはプロジェクタ等のディスプレイシステムにおけるLED用の駆動器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルおよびプロジェクタの色順次式発行は、画像担持光の光源としてLEDを使用することができる。画像は、ディスプレイパネルの中のLEDのアレイ内のLEDの選択されたパターンからパターン化された光の短いパルスを用いて形成される。カラー画像を表示するために、LEDのアレイは、短いパルスの速い連続で、繰り返し、所望のパターンを生成するように制御されなければならない。これは、ディスプレイパネルが、3つの色成分値(例えば、赤、緑、青)の各々の1つで所望のパターンを表示することを許容する。順次式表示の効果は、視覚的に言えば、フルカラーで所望のパターンを表示することである。もちろん、所望のパターンは、静止画像であってもよいし、または、動画像の1つのフレームに対応してもよい。
【0003】
高品質画像を達成するために、LEDからの光出力は、理想的には、LEDが「オン」状態にあるときの時間にわたって均一であるべきである。理想的には、各LEDが、有意な遅延なく、「オン」と「オフ」との間で素早く変化するように、LEDは、ディスプレイパネルの切り替えと良好に同期されるべきである。
【0004】
これらの望ましい特性を達成することは、LEDが、低輝度レベルで、従って、低電流レベルで駆動される場合に有意な寄生電流シンク(sink:受け手)となるLEDの固有接合静電容量によって問題にされる。影響は、LEDの輝度出力を、LEDの動作の間に時間においてスキュー(skew)されるようにさせることである。具体的には、理想的に、順次式ディスプレイにおけるLEDによる光出力のパルスの輝度プロファイルは、図1に示されるように、実質的に正方形であるべきである。これは、図2に概略的に示されているように、理想的なダイオードと理想的なダイオードを横断して並列に接続された寄生静電容量としてモデル化することができるLEDの接合静電容量に因り、実際に達成するのは困難である。
【0005】
電流の方形パルスがLEDに入力された場合、寄生静電容量は、入力電流パルスの初期のオンになる間に入力電流のいくらかを取り込み、自身を充電し始める。これは、電流の流れに依存するLED内の発光プロセスから電流を取り去り、そうすることで、LEDからの光出力の増加率が減らされる。特に、発光出力の急峻で/素早い立ち上がりは、充電寄生静電容量への電流の分流により抑えられる。逆に、駆動電流パルスが終了し、入力電流がゼロに落ちる場合、寄生キャパシタは、放電を開始し、それによって、−落下する電流にもかかわらず−LEDを通る電流を維持する。この放電電流は、何も望まれていないときに、LEDからの光出力を維持する。その結果は、発光出力の急峻で/素早い落下が、放電寄生静電容量からの電流の供給によって抑えられることである。これの概略的な例が、図3の電流と輝度タイミング図に示される。
【0006】
例えば、LEDにおける寄生接合静電容量は、ナノファラッド(nanoFarrad)のオーダ(例えば、C=4nF(ナノファラッド))のものであってよい。高出力LEDの閾値電圧は、数ボルト(volt)のオーダ(例えば、V=3ボルト(volt))であってよい。このようなLEDが、「オフ」状態でのゼロボルトの初期電位から、I=1mA(ミリアンペア)の電流で駆動される場合、3V(ボルト)の閾値電圧に達するのに必要とされる時間(t)は、約12マイクロ秒(micro-second)(t=CV/I)になる。これは、約1マイクロ秒の輝度整定時間を必要とするディスプレイシステムでは受け入れられない。
【0007】
本発明は、ディスプレイシステムで使用するためのLED用の改良された駆動器を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
その態様の第1において、本発明は、ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(light-emitting diode:LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路を提供し得、この駆動回路は、 LEDと; LEDを通る駆動電流流路を選択的に開閉し、それによってLEDを非発光状態と発光状態との間で選択的に切り替えるよう構成された駆動電流制御器と; LEDの接合静電容量によってLEDの中に電荷を保持するために、LEDの中に電荷を入力するための電荷注入器ユニットと; 駆動電流流路の開と同時にLEDの中に電荷を入力するために電荷注入器ユニットを制御するよう構成された制御ユニットとを備える。
【0009】
駆動電流制御器は、好ましくは、電流流路を可逆的に形成するために、LEDのカソードまたはアノードを駆動電圧源に選択的に電気的に接続および切断するように構成される。カソードおよびアノードは、異なる電位に選択的に接続されてもよい。
【0010】
電荷注入器ユニットは、LEDのカソードに電気的に接続され得る。
【0011】
電荷注入器ユニットは、所定の大きさの電流を、所定の持続期間の時間間隔の間にLEDに流れるようにさせ、それによって、その大きさとその期間の積に応じて所定量の電荷をLEDに入力するように構成され得る。
【0012】
持続期間は、好ましくは、1(壱)マイクロ秒(micro-second)より少なく、より好ましくは、900ns(ナノ秒)より少なく、更により好ましくは、800nsより少なく、更により好ましくは、700nsより少なく、更により好ましくは、500nsまたはそれより少ないなど、600nsよりも少ない。
【0013】
電荷注入器ユニットは、LEDの順方向閾値電圧の値とLEDの接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLEDに入力するように構成され得る。より一般的には、LEDが、それを横断する、ゼロでない閾値下(サブスレッシュヨルド:sub-threshold)電圧を有する場合、注入されるべき電荷の量は、LEDの順方向閾値電圧と閾値下電圧との差の値と、その接合静電容量の値との積に応じて決定され得る。好ましくは、コントローラは、以下のように、その中に注入する電荷の適切な値を計算するために、LEDの接合静電容量(C)の値を計算するのに以下のステップを実装する、または、制御するように構成され得る。
【0014】
(1)LEDの接合静電容量(C)内の既存の保持された電荷を放電する。
【0015】
(2)接合静電容量を再充電することを開始するために、LEDから実質的に一定の電流(I)を引き出す。
【0016】
(3)接合静電容量が再充電する場合に所定の時間間隔(dt)に生じるLEDの両端間の電圧の変化(dv)を決定する。
【0017】
(4)C=I(dt/dV) として、接合静電容量の値を決定する。
【0018】
制御ユニットは、 Δt=C(VTh−Vpc)/Iinject として規定された時間間隔を決定する(例えば、計算する)よう構成され得る。ここで、VThは、LEDの順方向閾値電圧であり、Vpcは、ゼロでない、閾値下の値に事前設定され得るLEDの両端間の前もって存在する(事前チャージ(pre-charge))電圧である。制御ユニットは、好ましくは、時間間隔Δtを決定し(例えば、計算し)、それに応じて電荷注入を実現するために、電荷注入器ユニットに制御信号を発行するように構成され得る。従って、制御ユニットは、LEDの接合静電容量を再充電するよう、時間間隔に等しい期間にわたって、実質的に固定された電流(Iinject)をLEDに注入するように電荷注入器ユニットを制御し得る。
【0019】
駆動回路は、前述の電流流路上で、LEDに直列に電気的に接続されたトランジスタを備え得、ここにおいて、駆動電流制御器は、駆動電流流路を選択的に開閉するために、トランジスタの導電性を制御するように構成される。
【0020】
駆動電流制御器は、開のときに駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するために、トランジスタの導電性を制御するように構成され得る。
【0021】
駆動回路は、駆動電流流路に沿って流れる電流の値を監視し、それを示す電流モニタ信号を駆動電流制御器に出力するよう構成された電流モニタユニットを含み得、ここにおいて、駆動電流制御器は、前述の実質的に一定の駆動電流を維持するようにトランジスタの導電性を制御するために電流モニタ信号に応答する。
【0022】
駆動回路は、LEDの閾値電圧より小さい、LEDへの所定の閾値下の順方向電圧を適用するよう構成された電圧制御ユニットを含み得、ここにおいて、制御ユニットは、駆動電流流路の閉と同時に、LEDに前述の閾値下の順方向電圧を与えるように、電圧制御ユニットを制御するよう構成される。
【0023】
本発明は、第2の態様では、上述したように、駆動回路を備えるディスプレイを提供することができる。
【0024】
第3の態様において、本発明は、ディスプレイのための光を生成するために、非発光状態と発光状態との間を切り替えるように発光ダイオード(light-emitting diode:LED)を駆動するための方法を提供することができ、この方法は、LEDを提供することと; LEDを通じる駆動電流流路を選択的に開閉し、それによって、LEDを非発光状態と発光状態との間で選択的に切り替えることと; LEDの接合静電容量によってLEDの中に電荷を保持するためにLEDの中に電荷を入力することと; 駆動電流流路の開と同時に、LEDに前述の電荷を入力するように電荷注入器ユニットを制御することと; を備える。
【0025】
方法は、電流流路を可逆的に形成するために、LEDのカソードまたはアノードを、駆動電圧源に選択的に電気的に接続し、切断することを含み得る。
【0026】
電荷は、LEDのカソードに入力されてもよい。
【0027】
方法は、所定の大きさの電流を、所定の持続期間の時間の間隔の間にLEDに流れさせ、それによって、前述の大きさと前述の持続期間との積に応じて所定量の電荷をLEDに入力することを含んでもよい。
【0028】
持続期間は、好ましくは、1(壱)マイクロ秒(micro-second)より小さい。
【0029】
方法は、LEDの順方向閾値電圧の値とLEDの接合静電容量の値の積の値に応じて、所定量の電荷をLEDに入力することを含み得る。より一般的には、LEDが、それの両端の間にゼロでない閾値下電圧を有する場合、方法は、LEDの順方向閾値電圧と閾値下電圧との差の値とLEDの接合静電容量の値の積に応じて、注入されるべき電荷の量を決定することを含み得る。方法は、以下のように、その中に注入する電荷の適切な値を計算するために、LEDの接合静電容量(C)の値を計算することを含み得る。
【0030】
(1)LEDの接合静電容量(C)内の既存の保存された電荷を放電する。
【0031】
(2)接合静電容量の再充電を開始するために、LEDから、実質的に一定の電流(I)を引き出す。
【0032】
(3)接合静電容量が再充電されるときに所定の時間間隔(dt)内で生じるLEDの両端間の電圧の変化(dV)を決定する。
【0033】
(4)C=I(dt/dV)として、接合静電容量の値を決定する。
【0034】
方法は、 Δt=C(VT−Vpc)/Iinject として規定される時間間隔を決定することを含み得る。ここで、VTは、LEDの順方向閾値電圧であり、Vpcは、ゼロでない閾値下の値に事前設定され得る、LEDの両端間の任意の事前に存在する(事前チャージ)電圧である。方法は、LEDの接合静電容量を再充電するように、その時間間隔に等しい期間にわたって、実質的に固定された電流(Iinject)をLEDに注入することを含み得る。
【0035】
方法は、前述の電流流路上でLEDに直列に電気的に接続されたトランジスタを提供することを含み得、ここで、その方法は、駆動電流流路を選択的に開閉するためにトランジスタの導電性を制御することを含む。
【0036】
方法は、開の時に駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するために、トランジスタの導電性を制御することを含み得る。
【0037】
方法は、駆動電流流路に沿って流れる電流の値をモニタすることと、前述の実質的に一定の駆動電流を維持するように、トランジスタの導電性を制御することとを含み得る。
【0038】
方法は、LEDの閾値電圧より少ない、所定の閾値下順方向電圧をLEDに印加することと、駆動電流流路の閉鎖と同時に、前述の閾値下順方向電圧をLEDに印加することとを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、LEDが「オフ」状態から「オン」状態になり「オフ」に戻る遷移をする場合の、LEDの理想的な発光出力を示すグラフを示す。
図2図2は、LEDの等価な回路構成部分について、LEDの接合静電容量を概略的に示す。
図3図3は、LEDが「オフ状態」から「オン」状態になり「オフ」状態に戻る場合の、LEDへの駆動電流入力の時間展開と、接合静電容量を有するLEDの結果として生じる発光出力とを示すグラフを概略的に示す。
図4図4は、本発明の実施形態に係るLED用の駆動回路を示す。
図5図5は、本発明の実施形態の駆動回路に従って駆動される場合に、LEDが「オフ」状態から「オン」状態になって「オフ」に戻る遷移をするときの、LEDへの駆動電流入力の時間展開と、接合静電容量を有するLEDの結果として生じる発光出力とを示すグラフを概略的に示す。
図6図6は、本発明の実施形態に係るLED用の駆動回路を示す。
【詳細な説明】
【0040】
図面では、同様な項目は、同様な参照符号がふられる。
【0041】
図4を参照すると、駆動回路1は、ディスプレイにおけるLEDを駆動するために、非発光(オフ)状態と発光(オン)状態との間でLEDを切り替えるように構成される。駆動回路は、LEDのアノードとカソードとの両方に並列に電気的に接続された、静電容量3の等価回路コンポーネントによって図1に表された接合静電容量を有するLED2を含む。
【0042】
LEDのアノードは、LEDのカソードと供給電圧源5との間の電気的なやり取りを制御可能に開閉する(接続および切断する)スイッチングトランジスタ4(ここではFET)を介して、供給電圧源5(接地に対して電圧V)に接続される。トランジスタのゲート端子はLED電圧制御ユニット6に電気的に接続され、トランジスタのドレインとソース端子は、供給電圧源5とLEDのアノードに電気的に接続される。電圧制御ユニット6は、結果としてLEDのアノードを供給電圧源5に電気的に接続する/切断するために、電圧制御ユニット6によってゲート端子に印加される制御電圧に応じて、スイッチングトランジスタ4の導電性を制御するように構成される。
【0043】
同様に、LEDのカソードは、電気的に接地される端子7(0ボルト(volt))で終端する電流流路に沿って、電流検出抵抗9と直列に接続された電流制御用トランジスタ8(ここではFET)に接続される。電流制御トランジスタのドレインとソース端子は、それぞれ、LEDのカソードと電流検出抵抗9に接続される。トランジスタのゲートは、トランジスタを線形/オーミック(Ohmic)領域で動作させ、それによって、トランジスタの導電性(ドレイン電流)がトランジスタを通るドレインからソースへの電圧降下に応じて可変である(即ち、可変抵抗の態様で)ように、トランジスタ8の閾値電圧より低い電圧をゲート端子に印加するよう構成された駆動電流制御ユニット10に接続される。
【0044】
導電性であるように駆動電流制御ユニットにより制御されるとき、電流制御トランジスタ8は、電流が、電流検出抵抗9を介して、接地された端子7への電流流路に沿ってLED2のカソードから流れることを許容する。そうすることにおいて、電圧は、電流検出抵抗を通して降下され、この電圧は、この目的のために、当技術分野で容易に利用手可能であるような電圧モニタを備える電流モニタユニット11によって検出される。検出された電圧信号値(Vdetected)は、電流モニタ11により、検出抵抗の抵抗値(R)によるオームの法則(Idetected=Vdetected/R)によって、検出された電流信号値(Idetected)に変換される。このようにして、電流モニタは、LEDが「オフ」である場合に何らかの電流の流れがないことを簡単に検出し、また、LEDが「オン」である場合に電流流路に存在する任意の駆動電流の値を提供することを可能にする。
【0045】
電流モニタが、「オフ」状態(即ち、電流が検出されない)から「オン」状態(即ち、駆動電流が検出される)になる遷移を検出すると、それは、それに動作可能に接続された制御ユニット12に「充電要求(charge demand)」信号21を発行する。更に、検出された電流の値は、電流モニタユニット11によって、「電流フィードバック」信号20として、駆動電流制御ユニット10に送られる。駆動電流制御ユニットは、受け取られた検出された電流値を、「設定ポイント(set-point)」電流値(ISP)と比較し、検出された電流の値を設定ポイント電流値に接近させる必要に応じてトランジスタの導電性を増加または減少させるために、電流制御用トランジスタ8のゲートに印加される電圧の値を変化させるように構成される。従って、フィードバックループが形成され、電流流路を通じて流れる電流が所望の一定値に維持されることを可能にする。
【0046】
制御ユニット12は、制御信号バス44を介して、電荷注入器ユニット13に電荷注入信号16を発行することにより、電流モニタからの「充電要求」信号21に応答するように構成される。電荷注入器ユニットは、LEDの接合静電容量3を充電するように、制御された量の電荷をLEDに入力するために、電荷注入信号に応答する。これを達成するために、電荷注入器ユニットは、電荷注入経路15を介して直接に(即ち、電流制御トランジスタ8とは独立に)、LEDのカソードに電気的に接続される。ここで説明される電荷注入器ユニット13は、以下に図6を参照してより詳細に示される電荷注入器ユニットと同じである。これは、高速スイッチ46を用いる電荷注入経路を介して、それ自体が制御可能にLEDのカソードに接続可能な電流源45(図6参照)を備える。高速スイッチは、開状態から閉状態に切り替えるために電荷注入信号16に応答し、それにより、電流源をLEDのカソードとの電気的接続状態に置き、電荷が前者から後者に流れることを可能にする。
【0047】
駆動電流が検出された即座のそのような電荷の注入の結果は、さもなければ、LEDの「点灯(turn-on)」の初期段階におけるLEDの接合静電容量の充電に因り生じたであろう電流損失を補償するのに十分な量だけ、駆動電流値が最初に幾分か増進されることである。この電流の増進は、図5における追加の電流ピーク30として概略的に示され、LEDの結果としての輝度は、「点灯(turn-on)」時、および、それ以降も実質的に一定である。駆動電流は、上記の電流フィードバックループ(信号20)の作用により、LEDの発光期間の間、引き続いて実質的に一定の値に維持される。
【0048】
LEDのカソードに注入される電荷の量は、電流源が高速スイッチ46によってLEDのカソードに電気的に接続される時間間隔(Δt)の間に実質的に一定の電流を提供するように電流源(項目45; 図6)を制御することによって制御される。これは、所定の大きさの電流が、所定の期間の時間の間隔(Δt)の間、LEDに流れるようにさせ、それによって、電流(Iinject)とそれが流れる時間の持続期間(Δt)との積に応じた所定量の電荷(Q)をLEDに入力する。持続期間は、好ましくは、約500ns(ナノ秒)など、1(壱)マイクロ秒(microsecond)より少ない。
【0049】
注入されるべき電荷の量は、既知であるLEDの順方向閾値電圧の値と、LEDの接合静電容量の値との積に従って決定され得る。より一般的には、LEDがLEDの両端間にゼロでない閾値下電圧を有する場合(この中に記載のように、有利であり得る)、LEDの順方向閾値電圧と閾値下電圧との間の差の値、既知である、と、LEDの接合静電容量の値との積に従って決定され得る。特に、LEDがオンに切り替えられたときに十分に充電するように、LEDに注入するための電荷の好適な値を計算し、それを実装するために制御信号を電荷注入器ユニットに対して生成するために、LEDの接合静電容量(C)の値を能動的かつ同時に計算することにおいて、以下の手順が有効であることが見出された。その方法は以下の通りである:
(1)LEDの接合静電容量(C)内の既存の保持された電荷を放電する。これは、一時的に、LEDの両端間で硬化される電位がないようにすることによって行われ得る。例えば、事前チャージユニット17(図4図6)内のスイッチ43は、電圧源19(V ボルト(volt))をLEDのカソードに接続するために「閉」状態に切り替えられ得る。これは、LEDの電極間の電位差をゼロにする。そして、事前チャージユニット17(図4図6)内のスイッチ43は、電圧源19(V ボルト(volt))をLEDのカソードから切断するために「開」状態に切り替えられ得る。これは、LEDの両端間の電位差がほぼ0(ゼロ)ボルト(volt)であることを保証する。スイッチ(43)を開くことは、LEDのカソードをフロート(浮動)にし、そうして、LEDの両端間に電位差がないことを維持する。従って、スイッチが開かれた後、カソードは、電圧源19の電圧レベルのままになる。電圧(dv)の変化をモニタするステップ(以下)と、結果的に、これは、落下する電圧である。制御ユニット12は、制御信号バス44を介して送られるそれぞれの制御信号によって、これらの切り替え動作の各々を実装するように構成される。
【0050】
(2)接合静電容量を再充電することを開始するために、LEDから実質的に一定の電流(I)を引き出す。これは、好ましくは、ゼロでない閾値下電圧がLEDの両端間に再印加された後で行われる。現在の一定性は、上述の方法で、電流制御ユニット10によって制御され得る。電流制御ユニットは、「電流要求」制御信号線によって、これに関して、制御ユニット12によって制御されるように構成される。
【0051】
(3)接合静電容量が充電されるとき、LEDの両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化(例えば、落下)を測定する。この電圧は、LEDのカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット1にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされる。制御ユニット、または、カソード電圧モニタ40は、所与の時間間隔(dt)後に起こった、測定された電圧変化(dV)の値を決定し、または、計算するよう構成される。
【0052】
(4)接合静電容量の値を、 C=I(dt/dV) として計算する。この計算は、制御ユニット12によって行われ得る。計算は、単純に、時間間隔dtの後に起こった測定された電圧変化(例えば、落下)(dV)の比を計算し、その結果を、測定された電流値(I)と乗算することにより行われ得る。例えば、LEDのカソードにおいて dV=1v(ボルト) の電圧変化が起こる期間である dt=100μs(マイクロ秒) にわたって印加される I=100μA(マイクロアンペア) の電流は、 100x100x10−12/1=10nF(ナノファラッド)に対応する。
【0053】
(5)LEDの接合静電容量源を十分に充電するように、 Δt=C(VTh−Vpc)/Iinject として規定された時間間隔の間、実質的に固定された電流(Iinject)をLEDに注入する。ここで、VThは、LEDの順方向閾値電圧であり、Vpcは、ゼロでない、閾値下の値に事前設定され得る、LEDの両端間に事前に存在する(事前チャージ)電圧である。好ましくは、電流制御ユニット10は、時間間隔Δtを計算するように構成され、時間間隔Δtの間高速スイッチ46を閉じ、それによって一定電流源45をLEDのカソードに接続し、従って接合静電容量に電荷を注入することによって電荷注入を実現するために、制御信号16を電荷注入器ユニット13(図4; より詳細には図6)に対して発行するように構成され得る。本例において、カソードにおける電圧を言及する場合、好ましくは、電圧は、値において落下する。しかし、LEDの両端間の電圧に言及すると、好ましくは、電圧は、値において、増加する、または、上昇する(ramping)。このように、LEDの両端間の電圧を、時間をかけて線形的に増加する(徐々に上げる)ことによって、固定された接合静電容量が、LEDから引き出される一定電流を生成する。従って、LEDに印加される電圧を上昇させる間に、LEDから引き出される電流を測定することによって、LEDの両端間のバイアス電圧上の静電容量を決定し、電荷注入器13によってLEDに注入されるのに必要とされる電荷の量を決定し得ることが見出された。好ましくは、LEDの両端間に印加される線形的に上昇される電圧は、LEDから引き出されるほぼ全ての電流がLEDの中の接合静電容量から引き出されるように、LEDが非導電状態のままであることを確実にするために、LEDの閾値電圧以下に制限される。これは、LEDの接合静電容量から放電される電荷と、結果として電流を生成することに因るものである。LEDへの電流増加(ブースト)のこの注意深く測定された印加の結果は、図5において付加的な電流ピーク30として概略的に示され、結果としてのLEDの輝度は、LEDの「点灯(turn-on)」時およびそれ以降に、実質的に一定である。図5では、電流パルスの終了は、落ち込み(dip)31を有する。これは、LEDの接合静電容量から放電される電流に起因する。「オン」状態から「オフ」状態へのLEDの出力輝度における急速な変化を達成するために、電荷ステア(steer)ユニット17が、LEDのカソードに直接に(即ち、電流制御トランジスタ8を介さずに)電気的に接続される。電荷ステアユニットは、LEDのカソードとアノードとの間の電位差を、LEDの閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LEDのカソードに印加するように構成される。結果的に、LEDは、非発光となることにより応答し、図5(項目31)に示されるように、急速に放電することを可能にする。
【0054】
電荷ステアユニットによって印加される電圧は、LEDのアノードに接続された電圧源5によって供給される電圧(V)に値が等しくてもよい。電荷ステアユニット17によりLEDのカソードに印加される場合、LEDの両端間の電位差はほぼゼロとなり、LEDは非発光となる。これは、上述された事前チャージ電流注入方法のステップ(1)を実装し得る。代替的に、または、続いて、電荷ステアユニット17によってLEDのカソードに印加される電圧は、LEDのアノードに印加される電源電圧5の値(V)よりも則なくてよいが、LEDの電極間の電位差がLEDの閾値電圧より下であるのに十分に大きくあってよい。これは、また、上述した事前チャージ電流注入方法のステップ(2)の一部を形成してもよい。
【0055】
例えば、図4に示され、図6により詳細に示されたように、電荷ステアユニット17は、ソースとドレイン端子が、それぞれ、電源19(電圧 V)とLEDのカソードに電気的に接続された、FETなどのトランジスタスイッチ43を備え得る。スイッチ43のゲート端子は、制御ユニット12からの制御信号を受けるために、信号バス線44に接続される。制御ユニットは、オーミック(Ohmic)領域でトランジスタを動作させ、それにより、LEDのカソードに可変の電圧信号を供給するように、制御信号をスイッチ43に供給するように構成され得る。代替的に、図6に示されるように、電荷ステアユニット17は、信号バス線44を介した制御ユニット12からの充電制御信号22に応答して開/閉するように動作可能な高速スイッチを介してLEDのカソードに接続される事前チャージキャパシタ49を備え得る。高速スイッチ47を閉じることで、事前チャージキャパシタ49に保持された電圧をLEDのカソードに印加する。
【0056】
電荷ステアユニット17のトランジスタ43を導電状態に切り替えることにより、LEDの両端間の任意の電位差を除き得、または、事前チャージキャパシタ49をLEDのカソードに接続するように高速スイッチ47を切り替えることにより、LEDの両端間の電位差を事前チャージ状態に変化させ得る。
【0057】
LEDの「オフ」段階の間、それは、LEDを発光より下の状態(sub-luminous state)に維持するが、限りのある電圧であるゼロでない(閾値下)電圧に保持される。この限りのある電圧は、典型的には、値で、約1(壱)ボルト(volt)である。これは、FETが、発光していないで、まだ事実上「オフ」であり、発光の「オン」状態を達成するのに必要とされる閾値電圧の近くにある「用意ができた(ready to go)」状態に維持されることを意味する。結果的に、LEDの両端間の電圧は、発光していない状態から発光状態に遷移するために、ゼロボルト(volt)から閾値電圧までと同じように大きな範囲となることを要求されない。これは、高速のスイッチオン時間を達成するのを助ける。
【0058】
これは、キャパシタを所望の電圧に事前チャージするために、事前チャージキャパシタ49に接続された電圧源を備える電荷ステアユニット17によって達成される。高速スイッチユニット47は、LEDが、導通でなく、発光していない「オフ」の状態にあるとき、LEDのアノードとカソードとの間の所望の閾値下電位差を達成するように、事前チャージキャパシタを、LEDのカソードに制御可能に接続/切断するように構成される。電荷ステアユニットは、LEDが発光より下(sub-luminous)の「オフ」状態に維持されるべきである場合に制御信号バス44を介して発行される、制御ユニット12からの電圧制御信号22に応答して、この切り替え、および、電圧印加を行うように構成される。電荷ステアユニットは、LEDが発光の「オン」状態に入るべきときにLEDのカソードから事前チャージキャパシタ49を切断するために、その中の高速スイッチ47を開くように、制御ユニットからの制御信号に応答する。
【0059】
この目的のために、事前チャージキャパシタ49によりLEDに印加される事前チャージ電圧が、LEDのカソードとアノードとの間の電位差を閾値より上(above-threshold)のレベルまで上げるために接地(0v(ボルト))_電圧7によって置き換えられるときに、LEDへの電荷の注入が起こり得るように、制御ユニット12は、電荷注入器ユニット13における高速スイッチを閉じるための制御信号とほぼ同時に、電荷ステアユニットにおけるスイッチを開にするための信号を発行するように構成される。事前チャージ可変電圧源48は、安定化フィードバック増幅器ユニット(50、51)を介して事前チャージキャパシタ49と電気的なやり取りをする事前チャージ/チャージステアユニット17の中に設けられる。事前チャージ可変電圧源によって供給される電圧は、2つ(制御ユニット12と事前チャージ可変電圧源48)を接続する制御信号バス44に沿って事前チャージ可変電圧源48に対して発行された制御信号により、制御ユニット12によって制御される。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
ディスプレイのための光を生成するために、発光しない状態と発光状態との間で発光ダイオード(LED)を切り替えるためのLEDディスプレイのための駆動回路であって、
LEDと;
発光しない状態と発光状態との間で前記LEDを選択的に切り替えるために、前記LEDを通じる駆動電流流路を選択的に開/閉するよう構成された駆動電流制御器と、
接合静電容量によって前記LEDの中に電荷を保持するために、前記LEDに電荷を入力するための電荷注入器ユニットと、
前記駆動電流流路を開にすることと同時に、前記電荷を前記LEDに入力するように、前記電荷注入器ユニットを制御するよう構成された制御ユニットと、
を備える駆動回路。
[C2]
前記駆動電流制御器は、前記駆動電流流路を可逆的に形成するために、駆動電圧源を通じて前記LEDを選択的に電気的に接続し、切断するように構成された[C1]に記載の駆動回路。
[C3]
前記電荷注入器ユニットは、前記LEDのカソードに電気的に接続される、[C1]ないし[C2]のいずれか一項に記載の駆動回路。
[C4]
前記電荷注入器ユニットは、所定の大きさの電流が、所定の持続期間の時間間隔の間、前記LEDに流れるようにされ、それによって、前記大きさと前記持続期間との積に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力するように構成される、[C1]ないし[C3]のいずれか一項に記載の駆動回路。
[C5]
前記持続期間は、1(壱)マイクロ秒より少ない、[C4]に記載の駆動回路。
[C6]
前記電荷注入器ユニットは、前記LEDの順方向閾値電圧の値と前記LEDの接合静電容量の値との積によって決定される値に応じた所定の量の電荷を、前記LEDに入力するように構成される、[C1]ないし[C5]のいずれか一項に記載の駆動回路。
[C7]
前記駆動電流流路の上で前記LEDに直列に電気的に接続されたトランジスタを備え、
前記駆動電流制御器は、前記駆動電流流路を選択的に開/閉するように前記トランジスタの導電性を制御するように構成される、
[C1]ないし[C6]のいずれか一項に記載の駆動回路。
[C8]
前記駆動電流制御器は、開の時に、前記駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するように、前記トランジスタの導電性を制御するように構成される、[C7]に記載の駆動回路。
[C9]
前記駆動電流流路に沿って流れる電流の値をモニタするように、および、その値を示す電流モニタ信号を前記駆動電流制御器に出力するように構成された電流モニタユニットを含み、
前記駆動電流制御器は、ほぼ一定の前記駆動電流を維持するように前記トランジスタの導電性を制御するために、前記電流モニタ信号に応答する、
[C8に記載の駆動回路。
[C10]
前記LEDの閾値電圧より小さい、所定の閾値下順方向電圧を前記LEDに印加するように構成された電圧制御ユニットを含み、
制御ユニットは、前記駆動電流流路の閉と同時に、前記閾値下順方向電圧を前記LEDに印加するように前記電圧制御ユニットを制御するように構成される、
[C1]ないし[C9]のいずれか一項に記載の駆動回路。
[C11]
[C1]ないし[C10]のいずれか一項に記載の駆動回路を備えるディスプレイ。
[C12]
発光ダイオード(LED)を、ディスプレイのための光を生成するために、発光しない状態と発光状態との間で切り替えるように駆動する方法であって、
発光しない状態と発光状態との間で前記LEDを選択的に切り替えるために、前記LEDを通じる駆動電流流路を選択的に開/閉し、
前記LEDの接合静電容量によって前記LEDの中に電荷を保持するために、前記LEDに電荷を入力し、
前記駆動電流流路を開にすることと同時に、前記電荷を前記LEDに入力するように、電荷注入器ユニットを制御する、
方法。
[C13]
前記駆動電流流路を可逆的に形成するために、駆動電圧を通じて前記LEDを選択的に電気的に接続し、切断することを含む、[C12]に記載の方法。
[C14]
前記電荷は、前記LEDのカソードに入力される、[C12または[C13]のいずれか一項に記載の方法。
[C15]
所定の大きさの電流を、所定の持続期間の時間間隔の間、前記LEDに流れるようにさせ、それによって、前記大きさと前記持続期間との積に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力することを含む、[C12]ないし[C14]のいずれか一項に記載の方法。
[C16]
前記持続期間は、1(壱)マイクロ秒より少ない、[C15]に記載の方法。
[C17]
前記LEDの順方向閾値電圧の値と前記LEDの接合静電容量の値との積によって決定される値に応じた所定の量の電荷を前記LEDに入力することを含む、[C12]ないし[C16]のいずれか一項に記載の方法。
[C18]
前記駆動電流流路の上で前記LEDに直列に電気的に接続されたトランジスタを設けることを含み、
前記方法は、前記駆動電流流路を選択的に開/閉するように前記トランジスタの導電性を制御することを含む、
[C12]ないし[C17]のいずれか一項に記載の方法。
[C19]
開の時に、前記駆動電流流路において実質的に一定の駆動電流を維持するように、前記トランジスタの導電性を制御することを含む、[C18]に記載の方法。
[C20]
前記駆動電流流路に沿って流れる電流の値をモニタすることと、
ほぼ一定の前記駆動電流を維持するように前記トランジスタの導電性を制御することと、
を含む、[C19]に記載の方法。
[C21]
前記LEDの閾値電圧より小さい、所定の閾値下順方向電圧を前記LEDに印加することと、
前記駆動電流流路の閉と同時に、前記閾値下順方向電圧を前記LEDに印加することと、
を含む、[C12]ないし[C20]のいずれか一項に記載の方法。
[C22]
本願の明細書に記載の任意の実施形態において、添付の図面の1つまたは複数を参照して、実質的に開示された駆動回路。
[C23]
本願の明細書における任意の実施形態に関連して記載された、LEDを駆動するための方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6