(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672338
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ディスクブレーキを備える車輪担持体組立体
(51)【国際特許分類】
B60B 35/16 20060101AFI20200316BHJP
B60B 35/14 20060101ALI20200316BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20200316BHJP
F16D 65/12 20060101ALI20200316BHJP
F16D 65/00 20060101ALI20200316BHJP
F16H 1/20 20060101ALI20200316BHJP
F16H 1/10 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
B60B35/16 A
B60B35/16 E
B60B35/14 U
B60T1/06 F
F16D65/12 X
F16D65/12 R
F16D65/00 A
F16H1/20
F16H1/10
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-562146(P2017-562146)
(86)(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公表番号】特表2018-508419(P2018-508419A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】IB2016050974
(87)【国際公開番号】WO2016135629
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】BS2015A000025
(32)【優先日】2015年2月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517295746
【氏名又は名称】サーメ・ドイツ−ファール・イタリア・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】SAME DEUTZ−FAHR ITALIA S.p.A
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ヘロデット、ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ビッフィ、ステファノ
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第00084687(EP,A1)
【文献】
国際公開第2014/166662(WO,A1)
【文献】
実開昭63−195146(JP,U)
【文献】
実開昭63−155875(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 35/02
35/14
35/16
B60T 1/06
F16D 65/00
65/12
F16H 1/10
1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業利用のための車両の車輪担持体組立体(10)であって、
前記車両は、伝達手段を備える駆動手段と、前記駆動手段に連結可能なステアリングアクスル(2)とを有し、前記車輪担持体組立体(10)は、車輪フランジ(500)において前記アクスル(2)に取り付けられた車輪組立体を支持し移動時に制御するために前記アクスル(2)に連結可能であり、前記車輪担持体組立体(10)は、
前記伝達手段に上流で連結され、前記車輪組立体の回転のための回転シャフト(101)を下流に備える定速継ぎ手(100)と、
前記車輪組立体を制動するのに適するディスクブレーキデバイス(200)と、
前記車輪組立体および前記回転シャフト(101)に連結され、前記回転シャフト(101)の回転速度を変化させるのに適する歯車減速機(300)と
を備え、
前記ディスクブレーキデバイス(200)は、少なくとも1つのブレーキディスク(210)と、少なくとも1つのブレーキキャリパ(220)とを備え、前記ブレーキディスク(210)は、制動作用が前記回転シャフト(101)に直接的に適用されるように、前記歯車減速機(300)の上流で前記回転シャフト(101)に動作可能に連結され、
前記回転シャフト(101)および前記ブレーキディスク(210)は、固定手段によって互いに回転が拘束され、
前記固定手段は、軸方向における前記回転シャフト(101)への前記ブレーキディスク(210)の捩じ込みのために、互いに相補的な、前記回転シャフト(101)および前記ブレーキディスク(210)にそれぞれ作られるシャフト歯部(101’)およびブレーキ歯部(210’)を備える、車輪担持体組立体(10)。
【請求項2】
前記ブレーキディスク(210)は、前記回転シャフト(101)に一体的に取り付けられる、請求項1に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項3】
前記ブレーキディスク(210)は、前記回転シャフト(101)と係合されるシャフト部(211)と、前記ブレーキキャリパ(220)が作用する制動バンド部(212)とを、相互に一体的に連結されて備える、請求項1または2に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項4】
農業利用のための車両の車輪担持体組立体(10)であって、
前記車両は、伝達手段を備える駆動手段と、前記駆動手段に連結可能なステアリングアクスル(2)とを有し、前記車輪担持体組立体(10)は、車輪フランジ(500)において前記アクスル(2)に取り付けられた車輪組立体を支持し移動時に制御するために前記アクスル(2)に連結可能であり、前記車輪担持体組立体(10)は、
前記伝達手段に上流で連結され、前記車輪組立体の回転のための回転シャフト(101)を下流に備える定速継ぎ手(100)と、
前記車輪組立体を制動するのに適するディスクブレーキデバイス(200)と、
前記車輪組立体および前記回転シャフト(101)に連結され、前記回転シャフト(101)の回転速度を変化させるのに適する歯車減速機(300)と、
を備え、
前記ディスクブレーキデバイス(200)は、少なくとも1つのブレーキディスク(210)と、少なくとも1つのブレーキキャリパ(220)とを備え、前記ブレーキディスク(210)は、制動作用が前記回転シャフト(101)に直接的に適用されるように、前記歯車減速機(300)の上流で前記回転シャフト(101)に動作可能に連結され、 前記ブレーキディスク(210)は、前記回転シャフト(101)と一体品で作られるシャフト部(211)と、前記ブレーキキャリパ(220)が作用する制動バンド部(212)とを、相互に一体的に連結されて備える、車輪担持体組立体(10)。
【請求項5】
前記シャフト部(211)および前記制動バンド部(212)は、取り付け手段によって互いに連結される、請求項3または4に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項6】
相互に連結された、
前記歯車減速機(300)および前記ブレーキディスク(210)を収容するのに適する箱形部(410)と、
ステアリング軸(S−S)の座部(425)を備えるステアリングフォーク部(420)と
を備える容器本体(400)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項7】
前記ブレーキキャリパ(220)は前記容器本体(400)に搭載されている、請求項6に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項8】
前記ブレーキキャリパ(220)は前記ステアリングフォーク部(420)に取り付けられる、請求項6または7に記載の車輪担持体組立体(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の車輪担持体組立体(10)を用いて操舵輪が連結される運動の伝達手段を備えるステアリングアクスル(2)を備えるトラクタ(1)。
【請求項10】
前記アクスル(2)は前アクスルである、請求項9に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の目的は、農業利用のための車両の車輪担持体組立体(wheel carrier assembly)と、それを備える車両自体とであり、特に、このような車両はトラクタである。具体的には、農業利用のための車両は、伝達手段と、伝達手段に連結可能なステアリングアクスルとを有し、本発明の車輪担持体組立体はアクスルに連結可能である。
【0002】
[0002]以下の記載では、「トラクタ」という用語は、農業用トラクタと、より一般的には、農業用トラクタから派生した土木機械との両方を意味する。一般的に、「トラクタ」という用語は、特に動力作用の実行のための、大きな寸法の車両に言及している。
【0003】
[0003]「車輪担持体組立体」という用語は、車輪、タイヤ、またはリムの種類や、単一または対であるかに拘わらず、「車輪組立体」を支持し、必要な場合は移動時に案内するのに特に適する構成部品の組立体を特定している。
【0004】
[0004]好ましくは、本発明は、ステアリングアクスルに連結されるのに適する車輪担持体組立体に関する。そのため、車輪担持体組立体は、回転中のそれぞれの車輪担持体を、例えばステアリング軸周りで運動するのに適していなければならない。
【背景技術】
【0005】
[0005]さらに1950年代に出願人によって導入された従来の解決策は、運動学的伝達連鎖の最後の構成部品としての農業利用のための車両の車輪に、歯車減速機を適用し、歯車減速機を車輪担持体組立体において収容することであることに留意されたい。
【0006】
[0006]現況技術では、前記歯車減速機の上流に位置決めされたオイルバスブレーキ(oil bath brake)を伴うブレーキシステムを備える車輪担持体組立体の解決策が知られている。または、同じく、ブレーキシステムが、例えばフランジを用いて、車輪組立体に実質的に連結されるディスクブレーキを備える解決策が知られており、換言すれば、これらの実施形態では、ディスクブレーキが歯車減速機の下流で動作する。
【0007】
[0007]さらに換言すれば、既知の歯車減速機を備える車輪担持体組立体では、オイルバスブレーキシステムが、車輪担持体組立体のコンパクトな大きさを維持するために車輪担持体組立体の外部に位置決めされるが、運動学的連鎖のレイアウトを複雑にする。または、選択は、運動学的伝達連鎖において動作しないディスクブレーキを使用し、したがって連鎖を複雑にすることを回避し、ディスクブレーキを連鎖の下流に置くことである。
【0008】
[0008]両方の前述の解決策は複数の欠点を有している。前述の欠点のうちの1つは、車両の運動学的連鎖のレイアウトに関連しており、具体的には、ブレーキシステム自体を位置決めすることの難しさに関連している。別の欠点は、判明しているように特に低速において特に問題となる制動の漸進性を有するブレーキの制動作用の作動に関する。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明の目的は、ステアリングおよびドライブのアクスルに連結可能な車輪担持体組立体、すなわち、制動が最適で漸進的となるように伝達手段を備える車輪担持体組立体を提供することである。
【0010】
[0010]この目的は、請求項1による車輪担持体組立体によって、および、請求項11によるトラクタによって、達成される。従属請求項は、好ましい実施形態のさらなる変形を記載している。
【0011】
[0011]本発明による車輪担持体組立体の特徴および利点は、添付の図面に従って非限定的な例として与えられている以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】好ましい実施形態による少なくとも1つの車輪担持体組立体を備えるトラクタの全体図。
【
図2a】好ましい実施形態による車輪担持体組立体の斜視図。
【
図2b】好ましい実施形態による車輪担持体組立体の斜視図。
【
図3】含まれている構成部品のうちのいくつかが横断平面V−Vに沿って断面で示されている、
図2aおよび
図2bにおいて言及される車輪担持体組立体の別々の部品の斜視図。
【
図4】横断平面V−Vに沿って、車両のアクスルに搭載された、先の図に示したものによる車輪担持体組立体の図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012]添付の図によれば、符号1は、トラクタをその全体において示している。
【0014】
[0013]トラクタ1は、特にトラクタの移動のための駆動手段を備え、例えば、車輪組立体への運動の伝達のための関連する伝達手段を含む内燃エンジンを備える。また、トラクタ1は、前記伝達手段に連結可能な、または、前記伝達手段を備えるステアリングアクスル2を備え、換言すれば、ステアリングアクスル2は駆動アクスルである。アクスル2は、典型的には、トラクタ1の移動の縦断方向軸を横断する、すなわち、その縦断方向軸に対して垂直なアクスル軸A−Aに沿って、延びる。
【0015】
[0014]好ましくは、前記ステアリングアクスル2は、
図1に示したように、トラクタ1の前アクスルである。
【0016】
[0015]トラクタ1に加えて、本発明は、先に言及したトラクタ1など、農業利用のための車両の車輪担持体組立体10に関する。
【0017】
[0016]明確には、車輪担持体組立体10は、車輪フランジ500においてアクスル2に固定された車輪組立体を支持するために、および、運動において制御するために、アクスル2に連結可能である。
【0018】
[0017]好ましい実施形態によれば、連結された車輪担持体組立体10は、伝達手段に上流で連結され、車輪組立体の回転のための回転シャフト101を下流に備える定速継ぎ手100を備える。定速組立体100を用いることで、車輪担持体組立体10の操舵が可能にされ、車輪の運動性を確保する。実際、定速継ぎ手100は、回転運動を回転シャフト101へと伝達するのに適しており、具体的には、伝達手段によって伝達される速度、特に、差動によって伝達される速度は、定速継ぎ手への入力として伝達され、定速継ぎ手100のおかげで、このような伝達は、それらの回転の軸のずれを可能にすることで起こる。
【0019】
[0018]本発明は、定速継ぎ手100の種類、または、定速継ぎ手100の配置に限定されず、例えば、1つまたは複数のカルダン継ぎ手によって構成される。
【0020】
[0019]好ましい実施形態によれば、車輪担持体組立体10は、車輪組立体および回転シャフト101に連結され、回転シャフト101の回転速度を変化させるのに適する歯車減速機300も備える。好ましくは、歯車減速機300のおかげで、伝達手段を備える運動学的連鎖の回転、延いては回転速度は、大きな数字で提供され、したがって、それぞれの車輪組立体に到達する前に、歯車減速機自体によって低下させられる。
【0021】
[0020]好ましい実施形態によれば、回転シャフト101は、「太陽歯車」としても知られている歯車減速機300の入力シャフトである。
【0022】
[0021]好ましくは、歯車減速機300は遊星歯車減速機である。
【0023】
[0022]好ましい実施形態によれば、車輪担持体組立体10は、車輪組立体を制動するのに適したディスクブレーキデバイス200も備える。
【0024】
[0023]好ましい実施形態によれば、ディスクブレーキデバイス200は、少なくとも1つのブレーキディスク210と、少なくとも1つのブレーキキャリパ220とを備える。
【0025】
[0024]好ましくは、ディスクブレーキ210は、制動作用が前記シャフト101へと直接的に適用されるように、歯車減速機300の上流で、シャフト101に動作可能に連結される。
【0026】
[0025]換言すれば、制動作用は、歯車減速機300の上流のディスクブレーキデバイス200を通じて実施される。
【0027】
[0026]好ましくは、ブレーキディスク210は、その作用ができるだけ大きく、回転シャフト101へとできるだけ効率的に放つように、回転シャフト101に一体的に固定される。
【0028】
[0027]好ましくは、回転シャフト101およびブレーキディスク210は、固定手段によって互いに回転が拘束される。
【0029】
[0028]例えば、固定手段は、シャフトにおけるディスクブレーキ210の角度の固定を可能にするためになど、固定ピンまたは固定キーを備える。
【0030】
[0029]好ましい実施形態では、固定手段は、軸方向における回転シャフト101へのブレーキディスク210の捩じ込みのために、互いに相補的な、回転シャフト101およびブレーキディスク210にそれぞれ作られるシャフト歯部101’およびブレーキ歯部(brake toothing)210’を備える。このようにして、角度の固定が、角度的に等距離の複数の点の2つの構成要素間で保証される。
【0031】
[0030]好ましい実施形態によれば、ブレーキディスク210は、回転シャフト101と係合されるシャフト部211と、ブレーキキャリパ220が作用する制動バンド部(braking band portion)212とを、相互に一体的に連結されて備える。
【0032】
[0031]好ましい実施形態では、シャフト部211および制動バンド部212は、ねじなどの取り付け手段によって互いに連結される。
【0033】
[0032]換言すれば、ブレーキディスク210は、特定の目的を有する2つの部分へと分割されるように設計され、すなわち、シャフト部211が、例えばブレーキ歯部210’を備える回転シャフト101と係合するのに適する一方で、制動バンド部212がブレーキキャリパ220によって代わりに係合され、摩擦によって制動作用を生じさせる。
【0034】
[0033]好ましくは、シャフト部211は鋼鉄から作られる。
【0035】
[0034]好ましくは、制動バンド部212は、例えば層状鋳鉄といった、ブレーキキャリパ220との摩擦を確保するのに適する材料から作られる。
【0036】
[0035]好ましくは、制動バンド部212は、完全な、通気された、またはペタル(petal)の構成部品である。また、制動バンド部212は、滑らかな、穿孔された、または有孔の、スロット付きまたは分割の表面を有する。
【0037】
[0036]前述の実施形態によれば、保守の間、制動バンド部212だけが、例えば摩耗のため、回転シャフト101と係合されたままであるシャフト部211から制動バンド部212を取り外すことで、交換可能である。好ましくは、制動バンド部212は、保守を容易にするために、さらにいくつかの部分から構成される。
【0038】
[0037]さらなる好ましい実施形態では、ブレーキディスク210は一体品であり、シャフト部211と制動バンド部212とを備えることに留意されたい。
【0039】
[0038]なおもさらなる実施形態では、シャフト部211および回転シャフト101は一体品で作られる。
【0040】
[0039]実施形態によれば、車輪担持体組立体10は、相互に連結された箱形部410とステアリングフォーク部420とを備える容器本体400を備える。
【0041】
[0040]換言すれば、箱形部410は、歯車減速機300およびブレーキディスク210を収容するのに適する。
【0042】
[0041]好ましくは、ステアリングフォーク部420は、ステアリング軸S−S、すなわち、車輪担持体組立体10、延いては車輪組立体が、例えばステアリングアームによって、その周りで回転して運動されるのに適する回転の軸の座部425を備える。好ましくは、座部425は、それぞれのステアリング継ぎ手を収容可能である。
【0043】
[0042]好ましい実施形態では、箱形部410は、ブレーキディスク210も収容することができるように設計された歯車減速機箱である。
【0044】
[0043]好ましくは、ブレーキキャリパ220は容器本体400に搭載されており、そこに挿入可能であり、例えば箱形部410またはステアリングフォーク部420に径方向で固定される。
【0045】
[0044]好ましくは、容器本体は、ブレーキディスク210の過熱を回避するために、新鮮な空気のアクセスと、その内部からの熱い空気の出口とを可能にするためになど、径方向通気開口411を有している。
【0046】
[0045]革新的なのは、本発明の車輪担持体組立体は、本発明の意図された目的、すなわち、運動学的連鎖において容易に配置可能で、ステアリングおよびドライブアクスルに連結可能で、最適な制動能力を有する車輪担持体組立体を提供することを、可能にする。
【0047】
[0046]有利には、この解決策は、トラクタなどの農業利用のための車両など、ゆっくり移動する車両において用途を見出す。低速度の存在のため、車輪へのフランジ付きとされたディスクブレーキを伴う先行技術の解決策は、非効率的な制動であり、実際、車両の低速度は、ディスクブレーキとブレーキキャリパとの間に小さい周囲速度を生じさせ、これは、結果として、制動の漸進性に問題を有する。有利には、本発明の解決策は、高速において作用することで、すなわち、歯車減速機への高速の入力は、より良好な制動の漸進性を有する。有利には、増大した制動能力の便益が同じく得られる。
【0048】
[0047]さらに、有利には、ブレーキディスクは、車輪担持体の容器本体に容易に収められるように、小さい寸法を有する。
【0049】
[0048]さらなる利点は、車輪担持体組立体の内部のオイルバスブレーキシステムを伴う既知の技術の解決策と比較して、本発明の解決策は、動力吸収を著しく低減することにある。
【0050】
[0049]なおもさらなる利点は、本発明の解決策では、ブレーキは、歯車減速機の機能性におそらくは損傷をもたらすオイルバスブレーキシステムを伴う前述の既知の解決策における場合のように、エネルギーを伝達せず、歯車減速機内のオイルを加熱しないことにある。
【0051】
[0050]有利には、ディスクブレーキの制動は、要求される必要性に応じて容易に調節可能である。換言すれば、車両によって要求される制動能力に応じて、ブレーキディスクの作用は、ブレーキキャリパを用いて、制御可能であり、容易に調節可能である。
【0052】
[0051]さらに、有利には、定速継ぎ手は制動力によって影響されない。換言すれば、定速継ぎ手、延いては、車輪組立体が操舵される構成においてでさえ、定速継ぎ手の下流で起こる制動作用によって応力が加えられない。換言すれば、そのため、定速継ぎ手は大きさがより小さく、トラクショントルクの作用に耐えるのに十分である。
【0053】
[0052]さらに、さらなる利点は、本発明の解決策が極めて汎用性があり、そのため、様々な構成部品のさらなる寸法決定など、追加の進歩的なステップを可能にするようにあつらえることができることにある。
【0054】
[0053]有利には、車輪担持体組立体は、トラクタに適用されるのに適しており、具体的には、前アクスルに適用される解決策において非常に効果的である。
【0055】
[0054]実際、有利には、非常に小さい大きさであるため、車輪担持体組立体は、前アクスルにおいて具体的な用途を見出せ、上記のすべての利点を前アクスルにもたらす。
【0056】
[0055]さらなる利点は、トラクタにおいて、前アクスルへの制動の分配の移動、すなわち、運動学的連鎖を通じた後軸から前軸までの制動作用の伝達は、最小限とされる、または、実際に回避されることにある。
【0057】
[0056]有利には、トラクタでは、70%まで前に分配される全体の制動能力が達成可能である。
【0058】
[0057]したがって、さらなる利点は、前アクスルにおいて、トラクタが具体的な制動容易性を有し、例えば、前輪への制動が、後輪への制動と同時である、または、後輪への制動の前に起こりさえするように取り扱い可能であることにある。
【0059】
[0058]したがって、なおも他の利点は、トラクタの後アクスルにおけるブレーキの寸法の可及的な縮小にあると予測できる。
【0060】
[0059]当業者が、特定の要求に合わせるために、前述した車輪担持体組立体またはトラクタに、変更を行う可能性があり、すべてが以下の特許請求の範囲によって定められる保護の範囲内に含まれることは、明確である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を付記する。
[1] トラクタなど、農業利用のための車両の車輪担持体組立体(10)であって、
前記車両は、伝達手段を備える駆動手段と、前記駆動手段に連結可能なステアリングアクスル(2)とを有し、前記車輪担持体組立体(10)は、車輪フランジ(500)において前記アクスル(2)に取り付けられた車輪組立体を支持し移動時に制御するために前記アクスル(2)に連結可能であり、前記車輪担持体組立体(10)は、
前記伝達手段に上流で連結され、前記車輪組立体の回転のための回転シャフト(101)を下流に備える定速継ぎ手(100)と、
前記車輪組立体を制動するのに適するディスクブレーキデバイス(200)と、
前記車輪組立体および前記回転シャフト(101)に連結され、前記回転シャフト(101)の回転速度を変化させるのに適する歯車減速機(300)と
を備え、
前記ディスクブレーキデバイス(200)は、少なくとも1つのブレーキディスク(210)と、少なくとも1つのブレーキキャリパ(220)とを備え、前記ブレーキディスク(210)は、制動作用が前記回転シャフト(101)に直接的に適用されるように、前記歯車減速機(300)の上流で前記回転シャフト(101)に動作可能に連結される、車輪担持体組立体(10)。
[2] 前記ブレーキディスク(210)は、前記回転シャフト(101)に一体に取り付けられる、[1]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[3] 前記回転シャフト(101)および前記ブレーキディスク(210)は、固定手段によって互いに回転が拘束される、[1]または[2]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[4] 前記固定手段は、軸方向における前記回転シャフト(101)への前記ブレーキディスク(210)の捩じ込みのために、互いに相補的な、前記回転シャフト(101)および前記ブレーキディスク(210)にそれぞれ作られるシャフト歯部(101’)およびブレーキ歯部(210’)を備える、[3]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[5] 前記ブレーキディスク(210)は、前記回転シャフト(101)と係合されるシャフト部(211)と、前記ブレーキキャリパ(220)が作用する制動バンド部(212)とを、相互に一体的に連結されて備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載の車輪担持体組立体(10)。
[6] 前記シャフト部(211)および前記制動バンド部(212)は、ねじなどの取り付け手段によって互いに連結される、[5]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[7] 前記シャフト部(211)および前記回転シャフト(101)は一体品で作られる、[1]または[2]との組み合わせた、[5]または[6]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[8] 相互に連結された、
前記歯車減速機(300)および前記ブレーキディスク(210)を収容するのに適する箱形部(410)と、
ステアリング軸(S−S)の座部(425)を備えるステアリングフォーク部(420)と
を備える容器本体(400)を有する、[1]から[7]のいずれか一項に記載の車輪担持体組立体(10)。
[9] 前記ブレーキキャリパ(220)は前記容器本体(400)に搭載されている、[8]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[10] 前記ブレーキキャリパ(220)は前記ステアリングフォーク部(420)に取り付けられる、[8]または[9]に記載の車輪担持体組立体(10)。
[11] [1]から[10]のいずれか一項に記載の車輪担持体組立体(10)を用いて操舵輪が連結される運動の伝達手段を備えるステアリングアクスル(2)を備えるトラクタ(1)。
[12] 前記アクスル(2)は前アクスルである、[11]に記載のトラクタ。