特許第6672353号(P6672353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6672353免疫測定方法及びそれに用いられる免疫測定用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672353
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】免疫測定方法及びそれに用いられる免疫測定用キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/531 20060101AFI20200316BHJP
   G01N 33/552 20060101ALI20200316BHJP
   G01N 33/553 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G01N33/531 B
   G01N33/552
   G01N33/553
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-25538(P2018-25538)
(22)【出願日】2018年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-141779(P2018-141779A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-32862(P2017-32862)
(32)【優先日】2017年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北川 隆啓
(72)【発明者】
【氏名】伴野 由季
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−105066(JP,A)
【文献】 特開平06−235730(JP,A)
【文献】 特開2016−194445(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0030901(US,A1)
【文献】 特開2004−177402(JP,A)
【文献】 特開2013−210395(JP,A)
【文献】 特開平10−332697(JP,A)
【文献】 東西田奈都子,糖系非イオン性界面活性剤アルキルグルコシドの特性と応用,オレオサイエンス,2014年,Vol.14 No.11,Page.473-477
【文献】 深田和宏,糖型界面活性剤,日本油化学会誌,2000年,Vol.49 No.10,Page.1035-1040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/531
G01N 33/552
G01N 33/553
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)の存在下で、固相担体としての磁性粒子(B)を用いて免疫反応を行う免疫測定方法。
【請求項2】
アルキルグリコシド(A)が、疎水部として炭素数6〜36のアルキル基を有するアルキルグリコシドである請求項1記載の免疫測定方法。
【請求項3】
アルキルグリコシド(A)の濃度が0.001〜5重量%の溶液中で免疫反応を行う請求項1又は2記載の免疫測定方法。
【請求項4】
磁性粒子(B)が、表面に抗原(C)又は抗体(D)を固定化した磁性粒子(B1)である請求項1〜3のいずれか記載の免疫測定方法。
【請求項5】
磁性粒子(B)が、体積平均粒子径が1〜20nmの超常磁性金属酸化物を60〜95重量%含有する磁性シリカ粒子である請求項1〜4のいずれか記載の免疫測定方法。
【請求項6】
固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)を含む免疫測定用キットであって、固相担体試薬(E)が表面に抗原(C)又は抗体(D)を固定化した磁性粒子(B)を含有し、標識試薬(F)が標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)又は標識物質により標識された測定対象物質(F2)を含有し、固相担体試薬(E)又は標識試薬(F)の少なくともいずれか一方が親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)を含有する請求項1記載の免疫測定方法に用いられる免疫測定用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫測定方法及びこれに用いられる免疫測定用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫測定においては、血清検体を測定する際に、反応容器、固相担体表面及び固相担体表面に固定化した物質への検体由来の成分の非特異的な反応が特定の検体でみられ、これらの非特異反応が正確な測定を行う妨げとなり、問題となっている(例えば、非特許文献1)。非特異的反応を防止するため、種々の蛋白質、界面活性剤又は塩類等を含有させた免疫測定用試薬が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
また、磁性粒子を用いた免疫測定においては、磁性粒子の表面に結合した抗体や抗原により磁力で粒子を回収した際に粒子同士が凝集し、再び分散させることが困難となることがある。その結果、凝集する粒子が存在する等の影響により測定値にばらつきが生じやすく、再現性が悪化する場合があり、特許文献1〜3に記載の方法では十分に対応できないという問題がある。また、多数検体同時迅速検査を目的とした自動化免疫測定装置の開発においては、再現性の良好な免疫測定用試薬の開発がますます重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Japanese Journal of Clinical Laboratory Automation,Vol.36,No.2,P208−213,2011
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−117341号公報
【特許文献2】特開2010−127827号公報
【特許文献3】特開2010−216970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、固相担体表面、固相担体に固定化した物質及び反応容器内壁への検体由来の成分や標識物質の非特異的反応を効果的に減少させ、更に磁性粒子の分散性を向上させることにより高感度かつ再現性に優れた免疫測定方法及び免疫測定キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)の存在下で、固相担体としての磁性粒子(B)を用いて免疫反応を行う免疫測定方法;固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)を含む免疫測定用キットであって、固相担体試薬(E)が表面に抗原(C)又は抗体(D)を固定化した磁性粒子(B)を含有し、標識試薬(F)が標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)又は標識物質により標識された測定対象物質(F2)を含有し、固相担体試薬(E)又は標識試薬(F)の少なくともいずれか一方が親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)を含有する前記免疫測定方法に用いられる免疫測定用キットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免疫測定方法を用いることにより、高感度かつ再現性高く測定対象物質を測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<免疫測定方法>
本発明の免疫測定方法は、親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)の存在下で、固相担体としての磁性粒子(B)を用いて免疫反応を行うことを特徴とする免疫測定方法である。
免疫反応を親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)の存在下で行うことにより、高感度かつ再現性に優れた測定が可能となる。
【0010】
本発明におけるアルキルグリコシド(A)は、単糖(a)とアルキルアルコール又はアルキルチオールとがグリコシド結合したものである。
単糖(a)としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース及びヘプトース等が挙げられるが、再現性の観点から、ヘキソースが好ましい。
ヘキソースとしては、ケトヘキソース(フルクトース等)、アルドヘキソース(グルコース、マンノース及びガラクトース等)及びデオキシ糖(フコース、フクロース及びラムノース等)等が挙げられる。
これらの内、再現性の観点から、ヘキソースが好ましく、更に好ましいのはアルドヘキソース、特に好ましいのはグルコースである。
【0011】
アルキルアルコールとしては、炭素数6〜36のアルキル基を有するアルコール[直鎖アルキル基を有するアルコール(ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びベヘニルアルコール等の飽和直鎖アルキル基を有するもの、オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール及びリノレイルアルコール等の不飽和直鎖アルキル基を有するもの等)及び分岐アルキル基を有するアルコール(イソステアリルアルコール等)]等が挙げられる。
これらの内、溶解度及び洗浄性の観点から、炭素数6〜36の直鎖アルキル基を有するアルコールが好ましく、更に好ましいのは炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有するアルコールである。
【0012】
アルキルチオールとしては、炭素数6〜36のアルキル基を有するチオール[直鎖アルキル基を有するチオール{ヘキシルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール(デカンチオール)、ウンデシルチオール、ドデシルチオール(ドデカンチオール)、テトラデシルチオール(テトラデカンチオール)、ヘキサデカンチオール及びオクタデシルチオール等の飽和直鎖アルキル基を有するもの、7−オクテン−1−チオール及び9−デセンー1−チオール等の不飽和直鎖アルキル基を有するもの等}及び分岐アルキル基を有するチオール(t−ドデカンチオール等)]等が挙げられる。
これらの内、溶解度及び洗浄性の観点から、炭素数6〜36の直鎖アルキル基を有するチオールが好ましく、更に好ましいのは炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有するチオールである。
【0013】
アルキルグリコシド(A)の具体例としては、O−グリコシド結合を有するもの(炭素数6〜36のアルキル基を有するもの、具体的には、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド、n−ヘプチルβ−D−グルコピラノシド、n−オクチルβ−D−グルコピラノシド、n−ノニルβ−D−グルコピラノシド、n−デシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−テトラデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ヘキサデシルβ−D−グルコピラノシド及びn−オクタデシルβ−D−グルコピラノシド等)及びS−グリコシド結合を有するもの(炭素数6〜36のアルキル基を有するもの、具体的には、n−ヘキシルβ−D−チオグリコシド、n−ヘプチルβ−D−チオグリコシド、n−オクチルβ−D−チオグリコシド、n−ノニルβ−D−チオグリコシド、n−デシルβ−D−チオグリコシド、n−ドデシルβ−D−チオグリコシド、n−テトラデシルβ−D−チオグリコシド、n−ヘキサデシルβ−D−チオグリコシド及びn−オクタデシルβ−D−チオグリコシド等)等が挙げられる。
【0014】
(A)としては、感度及び再現性の観点から、疎水部として炭素数6〜36のアルキル基を有するアルキルグリコシドが好ましく、更に好ましいのは炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有するアルキルグリコシドであり、特に好ましいのは炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有しO−グリコシド結合を有するアルキルグリコシドである。アルキルグリコシド(A)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明の免疫測定方法には、固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)が用いられる。
本発明における固相担体としての磁性粒子(B)は、その表面に抗原(C)又は抗体(D)を固定化した磁性粒子(B1)として固相担体試薬(E)に用いられる。
【0016】
磁性粒子(B)は、一般的に免疫測定の分野で用いられるものであれば特に限定はされないが、免疫測定における測定時間の短時間化の観点から、特開2014−210680号公報及び特開2013−019889号公報等に記載の磁性シリカ粒子が好ましい。
【0017】
固相担体として磁性粒子(B)を用いる場合、磁石による集磁及び分散が繰り返されるが、分散性が悪い場合、凝集する粒子が存在する等の影響により測定値にばらつきが生じやすく、再現性が低下する。一方、免疫測定時にアルキルグリコシド(A)を使用ことにより、磁性粒子の分散性が良好となり、再現性を向上させることができる。
【0018】
磁性シリカ粒子としては、免疫測定において測定時間の短時間化の観点から、シリカのマトリックス中に体積平均粒子径が1〜20nmで超常磁性を有する金属酸化物が分散されているものが好ましい。超常磁性とは、外部磁場の存在下で物質の個々の原子磁気モーメントが整列し誘発された一時的な磁場を示し、外部磁場を取り除くと、部分的な整列が損なわれ磁場を示さなくなることをいう。
尚、本発明における金属酸化物及び磁性シリカ粒子の体積平均粒子径は、任意の200個の粒子について走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7000F」)で観察して測定された粒子径の平均値である。
【0019】
体積平均粒子径が1〜20nmで超常磁性を示す超常磁性金属酸化物としては、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等の酸化物が挙げられるが、磁界に対する感応性が優れていることから、酸化鉄が特に好ましい。超常磁性金属酸化物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
磁性シリカ粒子中の超常磁性金属酸化物の含有量の下限は、60重量%が好ましく、更に好ましくは65重量%であり、上限は95重量%が好ましく、更に好ましくは80重量%である。
超常磁性金属酸化物の含有量が60重量%以上であると、得られた磁性シリカ粒子の磁性が十分であるため、実際の用途面における分離操作に時間がかからない。95重量%以下のものは合成が容易である。
尚、磁性シリカ粒子中の超常磁性金属酸化物の含有量が上記範囲であると、磁性が強いため、磁石による集磁及び分散が繰り返されることによる測定値のばらつきが更に起こりやすくなるが、このような場合でも免疫測定時にアルキルグリコシド(A)を使用することにより、磁性シリカ粒子の分散性が良好となり、再現性を向上させることができる。
【0021】
本発明における抗原(C)としては、一般的に免疫測定の分野で用いられるものであれば特に限定はされず、具体的には、ヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;ペプチド鎖(例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等)、タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、β2−ミクログロブリン、アルブミン、これらの分解産物、フェリチン等の血清タンパク質〕;酵素〔例えばアミラーゼ(例えば膵型、唾液腺型、X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性、骨性、胎盤性、小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ−グルタミルトランスファラーゼ(例えば腎性、膵性、肝性等)、リパーゼ(例えば膵型、胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK−1、CK−2、mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1〜LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm、ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm、ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1〜ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC−LAP、AA、CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター、ホルモン(例えばPTH、TSH、インシュリン、LH、FSH、プロラクチン等)、レセプター(例えばエストロゲン、TSH等に対するレセプター);リガンド(例えばエストロゲン、TSH等);例えば細菌(例えば結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸内細菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等)、ウイルス(例えばルベラウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、ATLウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、EBウイルス、HAV、HBV、HCV、HIV、HTLV等)、真菌(例えばカンジダ、クリプトコッカス等)、スピロヘータ(例えばレプトスピラ、梅毒トレポネーマ等)、クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原;気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えばハウスダスト、例えばコナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ、ブタクサ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ライムギ等の花粉、例えばネコ、イヌ、カニ等の動物、例えば米、卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等);脂質(例えばリポタンパク質等);プロテアーゼ(例えばトリプシン、プラスミン、セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(例えばPSA、PGI、PGII等);糖鎖抗原〔例えばAFP(例えばL1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、Decay−accelerating−factor(DAF)、癌胎児性抗原(例えばCEA、NCA、NCA−2、NFA等)、CA19−9、PIVKA−II、CA125、前立腺特異抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(例えばヒアルロン酸、β−グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(例えばヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(例えばカルジオリピン等);リポ多糖(例えばエンドトキシン等);化学物質(例えばT3、T4、例えばトリブチルスズ、ノニルフェノール、4−オクチルフェノール、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、ベンゾフェノン、オクタクロロスチレン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質等が挙げられる。
【0022】
本発明における抗体(D)としては、一般的免疫測定の分野で用いられるものであれば特に限定はされず、具体的には、抗原(A)として例示したものに対する抗体が挙げられる。尚、本発明において用いられる抗体には、パパインやペプシン等の蛋白質分解酵素、或いは化学的分解により生じるFab、F(ab’)2フラグメント等の分解産物も包含される。
【0023】
本発明において、磁性粒子(B)に抗原(C)又は抗体(D)を固定化して磁性粒子(B1)とする方法としては、磁性粒子(B)に、抗原(C)又は抗体(D)を物理吸着させる方法が挙げられるが、より効率良く抗原(C)又は抗体(D)を固定化させる観点から、グルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン、ビオチン及び官能基を有するアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物を磁性粒子(B)の表面に結合させ、それらを介して、抗原(C)又は抗体(D)を磁性粒子(B)に固定化させることが好ましく、更に好ましいのは官能基を有するアルキルアルコキシシランを介して固定化させることである。
このような官能基を有するアルキルアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
固相担体試薬(E)は、固相担体としての磁性粒子(B)以外に水性溶媒[水、生理食塩水、各種緩衝液(リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グリシン緩衝液及びTris緩衝液等)、アルブミン溶液、デキストラン溶液、正常ヒト又は動物血清溶液及び合成高分子溶液並びにこれらの2種以上の混合溶液等]等を含有することができる。
【0025】
固相担体試薬(E)中の磁性粒子(B)の含有量は、固相担体試薬(E)の重量を基準として、粒子の洗浄性の観点から、0.0001〜10重量%が好ましく、更に好ましくは0.001〜1重量%である。
【0026】
標識試薬(F)は、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)又は標識物質により標識された測定対象物質(F2)を含有する。
【0027】
標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)及び標識物質により標識された測定対象物質(F2)における標識物質は、測定対象物質と特異的に結合する物質又は測定対象物質を標識するために用いられるものであり、例えば酵素免疫測定法(EIA)において用いられるアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ(以下、PODと略記することがある)、マイクロペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ルシフェラーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼ等の酵素類、例えば放射免疫測定法(RIA)において用いられる99mTc、131I、125I、14C、3H、32P等の放射性同位元素、例えば蛍光免疫測定法(FIA)において用いられるフルオレセイン、ダンシル、フルオレスカミン、クマリン、ナフチルアミン又はこれらの誘導体、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光性物質、例えばルシフェリン、イソルミノール、ルミノール、ビス(2,4,6−トリフロロフェニル)オキザレート等の発光性物質、例えばフェノール、ナフトール、アントラセン又はこれらの誘導体等の紫外部に吸収を有する物質、例えば4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,6−ジ−t−ブチル−α−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン)−p−トリオキシル等のオキシル基を有する化合物に代表されるスピンラベル化剤としての性質を有する物質等が挙げられる。
これらの内、感度等の観点から、酵素、蛍光性物質が好ましく、更に好ましいのはアルカリホスファターゼ、POD及びグルコースオキシダーゼであり、特に好ましいのはPODである。
【0028】
標識物質を測定対象物質と特異的に結合する物質又は測定対象物質に結合させるには、一般的に免疫測定の分野で用いられる方法、例えば公知のEIA、RIA或はFIA等において一般に行われている公知の標識方法[例えば、医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1版、中山書店、1971;図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、室井潔編、第2版、医学書院、1982等]等を利用すればよい。
【0029】
標識物質の使用量は、用いる標識物質の種類により異なるため一概には言えないが、例えばPODを標識物質として使用する場合には、測定対象物質と特異的に結合する物質又は測定対象物質と標識物質とを、例えば好ましくは1:1〜20(更に好ましくは1:1〜10、特に好ましくは1:1〜2)のモル比となるように、緩衝液中に含有させて用いればよい。
緩衝液としては、一般的に免疫測定の分野で用いられている、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液及びグッド緩衝液等が挙げられ、そのpHは、抗原抗体反応を抑制しない範囲であればよく、5〜10が好ましい。
また、このような緩衝液中には、目的の抗原抗体反応を阻害しないものであれば、例えばアルブミン、グロブリン、水溶性ゼラチン、ポリエチレングリコール等の安定化剤、界面活性剤及び糖類等を含有させておいてもよい。
【0030】
標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)又は標識物質により標識された測定対象物質(F2)における測定対象物質としては後述の測定対象物質が挙げられ、(F1)における測定対象物質と特異的に結合する物質は、測定対象物質が「抗原」であるときは測定対象物質結合物質は「抗体」であり、測定対象物質が「抗体」であるときは測定対象物質結合物質は「抗原」である。
【0031】
標識試薬(F)中の標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(F1)及び標識物質により標識された測定対象物質(F2)の含有量は、感度の観点から、0.01〜40μg/mLが好ましく、更に好ましくは0.1〜20μg/mLである。
【0032】
固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)中には、免疫反応を妨げない範囲で、その他の成分{(A)以外の糖類(グルコース、シュークロース等)、無機塩(塩化ナトリウム等)、(A)以外の界面活性剤(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、防腐剤(アジ化ナトリウム等)及び非特異反応防止剤等(正常動物由来のIgG抗体等)からなる群より選ばれる少なくとも1種等}を含有させてもよい。
固相担体試薬(E)及び/又は標識試薬(F)中糖類、無機塩、界面活性剤、防腐剤及び非特異反応防止剤を含む場合、それぞれの含有量は、(E)又は(F)それぞれの重量に基づいて、糖類の含有量は0.1〜10重量%、無機塩の含有量は0.01〜5重量%、界面活性剤の含有量は0.02〜5重量%、防腐剤の含有量は0.001〜0.1重量%、非特異反応防止剤の含有量は0.001〜5重量%が好ましい。
【0033】
本発明の免疫測定方法は、免疫反応時に親水部が単糖(a)であるアルキルグリコシド(A)を用いること以外は、公知の免疫測定方法[例えば、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、蛍光酵素免疫測定法(FEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ラッテックス光学免疫測定法(LPIA)及びラッテックス粒子計数免疫凝集測定法(CIA)]に準じて行うことができる。
また、免疫反応の方法としては、免疫測定の分野で一般的に行われる文献[例えば、酵素免疫測定法第2版(石川栄治ら編集、医学書院)1982年]記載のサンドイッチ法、競合法及び特開平6−130063号公報記載の方法、具体的には以下の3種の方法が含まれる。
【0034】
<第1の方法:サンドイッチ法>
磁性粒子(B)(好ましくは磁性シリカ粒子)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)としての抗原(C)又は抗体(D)をその表面に固定化しているもの[磁性粒子(B1)]であって、測定対象物質を含む試料(例えば生体試料)と、磁性粒子(B1)と、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(標識測定対象物質結合物質)(F1)又は標識物質により標識された測定対象物質(標識測定対象物質)(F2)とを接触させて、磁性粒子(B)上に測定対象物質結合物質としての抗原(C)又は抗体(D)と測定対象物質と標識測定対象物質結合物質(F1)又は標識測定対象物質(F2)との複合体(標識複合体)を形成させ、標識複合体を担持した磁性粒子(B)をB/F分離して、標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定する。
【0035】
<第2の方法:競合法1>
磁性粒子(B)(好ましくは磁性シリカ粒子)が、測定対象物質又は測定対象物質の類似物質としての抗原(C)又は抗体(D)をその表面に固定化しているもの[磁性粒子(B1)]であって、測定対象物質を含む試料(例えば生体試料)と、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(標識測定対象物質結合物質)(F1)と、磁性粒子(B1)とを接触させて、標識測定対象物質結合物質(F1)に、磁性粒子(B)に固定化した抗原(C)又は抗体(D)と試料中の測定対象物質とを競合反応させ、磁性粒子(B)上に抗原(C)又は抗体(D)と標識測定対象物質結合物質(F1)との複合体(標識複合体)を形成させた後、標識複合体を担持した磁性粒子(B)をB/F分離して、標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定する。
【0036】
<第3の方法:競合法2>
磁性粒子(B)(好ましくは磁性シリカ粒子)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)としての抗原(C)又は抗体(D)をその表面に固定化しているもの[磁性粒子(B1)]であって、測定対象物質を含む試料(例えば生体試料)と、標識物質により標識された測定対象物質(F2)又は標識物質により標識された測定対象物質の類似物質(F3)[標識測定対象物質(F2)又はその類似物質(F3)]と、磁性粒子(B1)とを接触させて、磁性粒子(B)に固定化した抗原(C)又は抗体(D)に、測定対象物質と標識測定対象物質(F2)又はその類似物質(F3)とを競合反応させ、磁性粒子(B)上に測定対象物質結合物質と標識測定対象物質(F2)又はその類似物質(F3)との複合体(標識複合体)を形成させた後、標識複合体を担持した磁性粒子(B)をB/F分離して、標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定する。
【0037】
本発明の免疫測定方法における測定対象物質としては、一般的に免疫測定の分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えば血清、血液、血漿、尿等の生体体液、リンパ液、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれるヌクレオチド鎖、ペプチド鎖、タンパク質、脂質タンパク質、核酸、免疫グロブリン、血液凝固関連因子、抗体、酵素、ホルモン、癌マーカー、心疾患マーカー及び各種薬物等が代表的なものとして挙げられる。更に具体的には、例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等のペプチド鎖、例えばアルブミン、ヘモグロビン、ミオグロビン、トランスフェリン、プロテインA、C反応性蛋白質(CRP)等のタンパク質、例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等のペプチド鎖、例えば高比重リポ蛋白質(HDL)、低比重リポ蛋白質(LDL)、超低比重リポ蛋白質等の脂質蛋白質、例えばデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)等の核酸、例えばアルカリ性ホスファターゼ、アミラーゼ、酸性ホスファターゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)、リパーゼ、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素(LDH)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、レニン、プロテインキナーゼ(PK)、チロシンキナーゼ等の酵素、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、IgE等の免疫グロブリン(或はこれらの、例えばFc部、Fab部、F(ab)2部等の断片)、例えばフィブリノーゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プロトロンビン、トロンビン等の血液凝固関連因子、例えば抗ストレプトリジンO抗体、抗ヒトB型肝炎ウイルス表面抗原抗体(HBs抗原)、抗ヒトC型肝炎ウイルス抗体、抗リュウマチ因子等の抗体、例えば甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(FT3、FT4、T3、T4)、インスリン、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)エストラジオール(E2)等のホルモン、例えばα−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、前立腺特異抗原(PSA)等の癌マーカー、例えばトロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT−proBNP)等の心疾患マーカー、例えば抗てんかん薬、抗生物質、テオフィリン等の薬物等が挙げられる。
上記したものの中でも、抗原(C)又は抗体(D)の安定性の観点から、抗体、ペプチド鎖、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、更に好ましいのはペプチド鎖、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカーからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0038】
本発明の免疫測定方法において、免疫反応を行う際の溶液中のアルキルグリコシド(A)の濃度は、感度及び再現性の観点から反応溶液の重量を基準として、0.001〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%である。
アルキルグリコシド(A)は、予め固相担体試薬(E)又は標識試薬(F)のいずれか一方又は両方に混合しておいてもよいし、免疫反応を行う際に固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)と共に添加してもよいが、再現性の観点から予め標識試薬(F)に混合しておくことが好ましい。また、(E)又は(F)と事前混合せずに(A)を用いる場合、上記水性溶媒に溶解して用いてもよい。
また、免疫反応行う際の溶液のpHは、免疫反応の反応性の観点から、5〜10が好ましい。
【0039】
標識複合体中の標識物質量の測定方法は用いた標識物質に基づいて選択され、例えば公知の化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、蛍光酵素免疫測定法(FEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ラッテックス光学免疫測定法(LPIA)及びラッテックス粒子計数免疫凝集測定法(CIA)等で用いられる方法に基づいて行うことができる。
【0040】
例えば、標識物質量の測定を化学発光法により行う場合、化学発光試薬(G)を用いる。
化学発光試薬(G)は、用いた標識物質に基づき選択され、例えば、標識物質がペルオキシダーゼである場合、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物及び化学発光増強剤を必須構成成分とする化学発光試薬第1液と、酸化剤及び水を必須構成成分とする化学発光試薬第2液とを含む。
【0041】
2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物としては、例えば、特開平2−291299号公報、特開平10−319015号公報及び特開2000−279196号公報等に記載の公知の2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物及びこれらの混合物等が使用できる。
これらの内、感度の観点から、ルミノール、イソルミノール、N−アミノヘキシル−N−エチルイソルミノール(AHEI)、N−アミノブチル−N−エチルイソルミノール(ABEI)及びこれらの金属塩(アルカリ金属塩等)が好ましく、更に好ましいのはルミノール及びその金属塩、特に好ましいのはルミノールのナトリウム塩である。
【0042】
化学発光増強剤としては、例えば、特開昭59−500252号公報、特開昭59−171839号公報及び特開平2−291299号公報等に記載の公知の化学発光増強剤及びこれらの混合物等が使用できる。これらの内、化学発光増強効果等の観点から、フェノールが好ましく、更に好ましいのはP−ヨードフェノール、4−(シアノメチルチオ)フェノール及び4−シアノメチルチオ−2−クロロフェノール、特に好ましいのは4−(シアノメチルチオ)フェノールである。
【0043】
化学発光試薬第1液は、水及び各種緩衝液(リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グリシン緩衝液及びTris緩衝液等)を含有することができる。
【0044】
化学発光試薬第1液は、酵素の蛍光強度の観点からはアルカリ性であることが好ましく、第1液のpHは、7〜11が好ましく、更に好ましくは8〜10である。
尚、pHは、JIS K0400−12−10:2000に準拠して測定温度25℃で測定される。
【0045】
化学発光試薬第2液が含有する酸化剤としては、例えば、特開平8−261943号公報及び特開2000−279196号公報等に記載の公知の酸化剤等[無機の過酸化物(過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム及び過ホウ酸カリウム等)、有機過酸化物(過酸化ジアルキル及び過酸化アシル等)及びペルオクソ酸化合物(ペルオクソ硫酸及びペルオクソリン酸等)等]が挙げられる。
これらの内、保存安定性等の観点から、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム及び過ホウ酸カリウムが好ましく、更に好ましいのは過酸化水素である。
【0046】
<免疫測定用キット>
本発明の免疫測定用キットは本発明の免疫測定方法に用いられる上述の各種試薬及びアルキルグリコシド(A)から構成される試薬キットであり、固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)を必須の構成試薬として固相担体試薬(E)又は標識試薬(F)の少なくともいずれか一方にアルキルグリコシド(A)を含有させておくことが好ましいが、(A)を(E)及び(F)とは別の構成品としてキット化することも可能である。
免疫測定用キットにおけるアルキルグリコシド(A)の量は、本発明の免疫測定用キットを使用して免疫反応させる際の溶液における濃度が0.001〜5重量%となる範囲であることが好ましい。
また、免疫測定用キットにおけるアルキルグリコシド(A)並びに固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)における各構成成分の組成、含有量及びこれらの好ましい範囲等は上述の免疫測定方法で説明したものと同様である。
【0047】
本発明の免疫測定用キットには、固相担体試薬(E)及び標識試薬(F)以外に、化学発光試薬(G)、標準試薬(濃度既知の測定対象物溶液等)、希釈用試薬(高濃度検体の希釈用試薬等)、洗浄試薬(反応容器の洗浄用試薬等)等を含んでもよく、更に取り扱い説明書、測定に必要な治具等(例えば検体容器等)を含んでもよい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。
【0049】
<実施例1>
以下により、固相担体試薬(抗CEA抗体結合磁性シリカ粒子含有試薬)、標識試薬(POD標識抗CEA抗体含有試薬)、化学発光試薬第1液及び化学発光試薬第2液から構成される本発明の免疫測定用キット(S1)を得た。
【0050】
磁性シリカ粒子の作製:
反応容器に塩化鉄(III)6水和物186部、塩化鉄(II)4水和物68部及び水1288部を仕込んで溶解させて50℃に昇温し、撹拌下温度を50〜55℃の保持しながら、25重量%アンモニア水280部を1時間かけて滴下し、水中にマグネタイト粒子を得た。得られたマグネタイト粒子に分散剤であるオレイン酸64部を加え、2時間撹拌を継続した。室温に冷却後、デカンテーションにより固液分離して得られたオレイン酸が吸着したマグネタイト粒子を水1000部で洗浄する操作を3回行い、更にアセトン1000部で洗浄する操作を2回行い、40℃で2日間乾燥させることで、体積平均粒子径が15nmの超常磁性金属酸化物粒子を得た。
【0051】
超常磁性金属酸化物粒子80部をテトラエトキシシラン240部に加えて分散し、分散液(1)を調製した。次に、反応容器に水5050部、25重量%アンモニア水溶液3500部、非イオン界面活性剤[(三洋化成工業(株)製「NSA−17」]400部を加えてクリアミックス[エムテクニック(株)製]を用いて混合し溶液(2)を得た。50℃に昇温後、クリアミックスを回転数6,000rpmで攪拌しながら、上記分散液(1)を溶液(2)に1時間かけて滴下後、50℃で1時間反応させた。反応後、2,000rpmで20分間遠心分離して微粒子の存在する上清を除き、コア層を得た。
【0052】
反応容器にコア層80部、脱イオン水2500部、25重量%アンモニア水溶液260部、エタノール2500部、テトラエトキシシラン1200部を加えてクリアミックス[エムテクニック(株)製]を用いて混合し、クリアミックスの回転数6,000rpmで攪拌しながら2時間反応させた。反応後、2,000rpmで20分間遠心分離して微粒子の存在する上清を除き、磁石を用いて粒子を集磁し上清を除く操作を10回行った。次に、得られた固相に水5000部を加えて粒子を分散させて600rpmで10分間遠心分離後、微粒子の存在する上清を除く操作を20回行い、続いて得られた固相に水5000部を加えて粒子を分散させて300rpmで10分間遠心分離することにより、大きな粒子径の粒子を沈降させて除去することで分級を行った。更に、磁石を用いて粒子を集磁し上清を除く操作を10回行い、目的とする体積平均粒子径2.0μmの磁性シリカ粒子を得た。得られた磁性シリカ粒子中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は81重量%であった。
【0053】
<超常磁性金属酸化物粒子の含有量の測定方法>
磁性シリカ粒子の任意の20個について、走査型電子顕微鏡[型番JSM−7000F、メーカー名日本電子(株)]で観察し、エネルギー分散型X線分光装置(型番INCA Wave/Energy、メーカー名オックスフォード社)により超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定し、その平均値を含有量Sとした。また、同測定にてシリカの含有量を測定し、その平均値を含有量Tとした。以下の計算式(1)にて、超常磁性金属酸化物粒子の含有量を求めた。
超常磁性金属酸化物粒子の含有量(重量%)={(S)/(S+T)}×100・・・(1)
【0054】
固相担体試薬の作製:
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有アセトン溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に製造した磁性シリカ粒子40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性シリカ粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。更にこの洗浄後の磁性シリカ粒子を抗CEAモノクローナル抗体[ダコジャパン(株)製]を10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、抗CEAモノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去した。次いで、磁性シリカ粒子を1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で12時間浸漬させたのち、ネオジウム磁石でシリカ粒子を集磁後、1重量%の牛血清アルブミン含有のリン酸緩衝液を除去した。抗CEA抗体結合磁性シリカ粒子濃度として1.0mg/mLの濃度になるように0.85重量%のNaCl及び0.01重量%n−オクチルβ−D−グルコピラノシドを含む0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、固相担体試薬(抗CEA抗体結合磁性シリカ粒子含有試薬)(E−1)を調製し、冷蔵(2〜10℃)で保存した。
【0055】
標識試薬の作製:
抗CEAモノクローナル抗体[ダコジャパン(株)製]、西洋ワサビ由来POD[東洋紡(株)製]を用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法でPOD標識抗CEA抗体を調製した。これを0.5重量%の牛血清アルブミン及び界面活性剤として1重量%ナロアクティーCL−100を含有する0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で、POD標識抗CEA抗体濃度として100nMの濃度に希釈し、標識試薬(F−1)を調製し、冷蔵(2〜10℃)で保存した。
【0056】
化学発光試薬第1液の調製:
ルミノールのナトリウム塩[シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製]0.7g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH8.6)を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第1液(G−1)を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
【0057】
化学発光試薬第2液の調製:
1,000mL及び過酸化水素[和光純薬工業(株)製、試薬特級、濃度30重量%]6.6gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。脱イオン水を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第2液(G−2)を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
【0058】
<実施例2〜13及び比較例1〜5>
使用原料の種類及び/又は使用量を表1に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして、固相担体試薬(E−2)〜(E−13)及び比較用の固相担体試薬(HE−1)〜(HE−5)、標識試薬(F−2)〜(F−13)及び比較用の標識試薬(HF−1)〜(HF−5)を作製し、これらと化学発光試薬第1液(G−1)及び化学発光試薬第2液(G−2)とを組み合わせて免疫測定用キット(S2)〜(S13)及び比較用の免疫測定用キット(H1)〜(H5)を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
尚、表1において、各成分は下記を用いた。
○親水部が単糖であるアルキルグリコシド(A)
n−オクチルβ−D−グルコピラノシド:和光純薬工業(株)製
n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド:シグマアルドリッチ社製
○親水部が二糖であるアルキルグリコシド
n−ドデシルβ−D−マルトピラノシド:和光純薬工業(株)製
n−オクチルβ−D−マルトピラノシド:和光純薬工業(株)製
○(A)以外の界面活性剤
ナロアクティーCL−100:三洋化成工業(株)製「ナロアクティーCL−100」
○抗体(D)
CEA:抗CEAモノクローナル抗体[ダコジャパン(株)製]
PSA:抗PSAポリクローナル抗体[ダコ・サイトメーション(株)製]
CA19−9:抗CA19−9抗体[ダコジャパン(株)製]
【0061】
<実施例14〜24>
得られた免疫測定用キット(S1)〜(S11)を用いて、以下の方法により免疫測定における感度及び同時再現性を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
<免疫測定における感度及び同時再現性の評価方法>
固相担体試薬(E−1)〜(E−11)を用いて、それぞれ固相担体試薬0.025mLと0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で調製したCEA濃度が1.0ng/mLの標準CEA液0.025mLを試験管に入れて混合し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CEA抗体結合磁性シリカ粒子/CEA複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
【0063】
続いて、固相担体試薬に対応する0.5重量%の牛血清アルブミン含有する標識試薬(F−1)〜(F−11)を用いて、それぞれ標準試薬0.025mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CEA抗体結合磁性シリカ粒子/CEA/POD標識抗CEA抗体複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、化学発光試薬第1液(G−1)0.07mLと化学発光試薬第2液(G−2)0.07mLとを同時に加え、37℃で43秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン(株)製「Lumat LB9507」]で測定した。尚、CEA濃度が1.0ng/mLの標準CEA液の代わりにCEA濃度が0ng/mLの標準CEA液を使用して上記と同様の操作を行いバックグラウンドとして用いた。
【0064】
感度については、CEA濃度が1.0ng/mLと0ng/mLの標準溶液を用いた免疫測定を行った場合の発光量の比{(1.0ng/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)/(0ng/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)}を感度として表1に記載した。
【0065】
同時再現性については、CEA濃度が1ng/mLの標準溶液を用いて免疫測定を行い、それを10回繰り返し、平均発光量(X1)と標準偏差(X2)から以下の計算式で変動係数(CV)を算出した。
CV(%)=(X2/X1)×100
【0066】
<実施例25>
得られた免疫測定用キット(S12)を用いて、以下の方法により免疫測定における感度及び同時再現性を評価した。結果を表1に示す。
【0067】
<免疫測定における感度及び同時再現性の評価方法>
固相担体試薬(E−12)0.025mLと0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で調製したPSA濃度が50mAU/mLの標準PSA液0.025mLを試験管に入れて混合し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗PSA抗体結合磁性シリカ粒子/PSA複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
【0068】
続いて、0.5重量%の牛血清アルブミン含有した標識試薬(F−12)0.025mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗PSA抗体結合磁性シリカ粒子/PSA/POD標識抗PSA抗体複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、化学発光試薬第1液(G−1)0.07mLと化学発光試薬第2液(G−2)0.07mLとを同時に加え、37℃で43秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン(株)製「Lumat LB9507」]で測定した。尚、PSA濃度が0.01ng/mLの標準PSA液の代わりにPSA濃度が0ng/mLの標準PSA液を使用して上記と同様の操作を行いバックグラウンドとして用いた。
【0069】
感度については、PSA濃度が0.01ng/mLと0ng/mLの標準溶液を用いた免疫測定を行った場合の発光量の比{(0.01ng/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)/(0ng/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)}を感度として表1に記載した。
【0070】
同時再現性については、PSA濃度が0.01ng/mLの標準溶液を用いて免疫測定を行い、それを10回繰り返し、平均発光量(X3)と標準偏差(X4)から以下の計算式で変動係数(CV)を算出した。
CV(%)=(X4/X3)×100
【0071】
<実施例26>
得られた免疫測定用キット(S13)を用いて、以下の方法により免疫測定における感度及び同時再現性を評価した。結果を表1に示す。
【0072】
<免疫測定における感度及び同時再現性の評価方法>
固相担体試薬(E−13)0.025mLと0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で調製したCA19−9濃度が1.0U/mLの標準CA19−9液0.025mLを試験管に入れて混合し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CA19−9抗体結合磁性シリカ粒子/CA19−9複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
【0073】
続いて、0.5重量%の牛血清アルブミン含有した標識試薬(F−13)0.025mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CA19−9抗体結合磁性シリカ粒子/CA19−9/POD標識抗CA19−9抗体複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、化学発光試薬第1液(G−1)0.07mLと化学発光試薬第2液(G−2)0.07mLとを同時に加え、37℃で43秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン(株)製「Lumat LB9507」]で測定した。尚、CA19−9濃度が1.0U/mLの標準CA19−9液の代わりにCA19−9濃度が0U/mLの標準CA19−9液を使用して上記と同様の操作を行いバックグラウンドとして用いた。
【0074】
感度については、CA19−9濃度が1.0U/mLと0U/mLの標準溶液を用いた免疫測定を行った場合の発光量の比{(1.0U/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)/(0U/mLの標準溶液を用いた場合の発光量)}を感度として表1に記載した。
【0075】
同時再現性については、CA19−9濃度が1U/mLの標準溶液を用いて免疫測定を行い、それを10回繰り返し、平均発光量(X5)と標準偏差(X6)から以下の計算式で変動係数(CV)を算出した。
CV(%)=(X5/X6)×100
【0076】
<比較例6〜10>
実施例14において、「免疫測定用キット(S1)」に代えて「比較用の免疫測定用キット(H1)〜(H5)」を用いる以外は実施例14と同様にして免疫測定における感度及び同時再現性を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
表1において、免疫測定用試薬である固相担体試薬及び/又は標識試薬中にアルキルグリコシド(A)を含有する本発明の実施例1〜13の免疫測定用キットを用いた実施例14〜26の免疫測定方法では、変動係数が2.4%以下であり、アルキルグリコシド(A)を含まない比較例1〜5の免疫測定用キットを用いた比較例6〜10の免疫測定方法の変動係数4.4〜6.2と比較して、変動係数が小さく、再現性が優れていることがわかる。また、実施例14〜26の免疫測定方法における感度も2.5以上と比較例と同等以上であり、高感度かつ再現性に優れていることがわかる。更に、標識試薬中にアルキルグリコシド(A)を含有する実施例8〜11においては、変動係数が1.5〜1.7と極めて小さく、再現性に極めて優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の免疫測定方法及び免疫測定用キットは、高感度かつ再現性に優れていることから、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法及び化学発光免疫測定法等の臨床検査に幅広く適用できる。