(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。実施形態中、同一部材や同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、重複説明は省略する。図面は一部構成の理解を助けるために部分的に省略する場合がある。
図1、
図2に示す、本実施形態に係る建築資材1は、主に建築物や構造物に使用されるものとする。建築資材1は、建築物や構造物の外側に使用される外装資材である。この建築資材1は、回転翼部3を内蔵していて、設置場所に吹き付けられた風によって回転翼部3を回転させることで、風の流速エネルギーを回転エネルギーに変換して風の力を減衰させる機能を備えている。建築資材1には、発電機5も装着可能とされていて、回転翼部3の回転を発電機5に伝達することで発電機5による発電を可能としている。発電機5を備える場合、風力発電機能を備えるので、風の力を発電機5の回転エネルギーとして取り出すことができ、風の力を減衰させつつも、発電に利用することができる。
【0009】
本実施形態において、建築資材1は外観形状の意匠が四角柱である。建築資材1は、長手方向(軸線方向)Hに延びる複数本の支柱部2・・と、複数の支柱部2・・で囲まれた空間4内に配置された回転翼部3と、各支柱部2の長手方向両端2a、2bを支持するとともに、回転翼部3を回転可能に支持するベース部6、7を備えている。本実施形態において、支柱部2は、4本としているが、少なくとも3本以上で、ベース部6、7を三点以上で支持することができればよい。
ベース部6、7は、
図3、
図4に示すように、平面形状が正方形であって、ベース部6、7の四隅に、各支持部2の長手方向両端2a、2bをそれぞれ挿入して支持するための受け部8、9が形成されている。受け部8、9の内側形状は、各支柱部2の外側形状(断面形状)と同一形状で、各支柱部2の外側形状と同等か幾分大きく形成されていて、
図6(a)〜(c)に示すように、長手方向Hからベース部6、7が引き抜き可能とされている。各支柱部2は、受け部8、9にそれぞれ挿入されることで、ベース部6、7に支持される。つまり、ベース部6、7は、
図6(b)に示すように、各支柱部2に対して着脱可能とされている。
【0010】
各支柱部2は、
図4(a)、(b)に示すように、同一断面形状であって、断面略三角形状を成している。各支柱部2は、頂点側2cを外側にして底面2d側がベース部6、7の内側に位置する向きで支持される。隣り合う支柱部2の側面2e、2fの間は、それぞれ開口部20とされていて、風の取込口と風の排出口として機能する。各側面2e、2fは、風の流入方向下流側に向かうに従い開口部20がそれぞれ狭められるように傾斜しており、風を開口部20にそれぞれ導入するためのガイド面として機能するように形成されている。
図4(a)は風の流入により回転翼部30が回転している状態を示し、
図4(b)は回転翼部30の回転により風が排出されている状態を示す。
【0011】
回転翼部3は、
図2に示すように、長手方向Hに延びるとともにベース部6、7に回転可能に、その両端30a、30bが支持される回転軸30と、回転軸30に装着された複数の支持アーム31,32と、支持アーム31,32によって回転軸30の外周側に配置されて、回転軸30と一体回転する複数の回転翼33、34、35とを有している。支持アーム31,32は、長手方向(軸線方向)Hに間隔を開けて回転軸30上に配置されている。支持アーム31,32は、
図5に示すように、中心部に回転軸30を挿通するための軸保持部31b、32bと、軸保持部31b、32bから回転方向に等間隔で3方向に延びるアーム31a、32aを備えている。支持アーム31,32は、軸保持部31b、32bに回転軸30を挿通することで、回転軸30の外周面30cにおいて長手方向(軸線方向)Hに移動可能に支持される。支持アーム31、32は、
図2に示すように、ネジなどの締結部材80Aによって軸保持部31b、32bを回転軸30に締結することで回転軸30に固定され、回転軸30と一体回転するように構成されている。支持アーム31,32は、長手方向(軸線方向)Hに間隔を開けて回転軸30に配置されている。
各アーム31a、32aの先端は、
図5に示すように、回転翼33、34、35の断面形状と同一形状の挿入部31c、32cが形成されている。本実施形態において、回転翼33、34、35は同一形状であって、長手方向Hから挿入部31c、32cに挿入することで支持アーム31,32に保持される。支持アーム31,32に保持された、回転翼33、34、35は締結部材80Bによって支持アーム31,32に固定される。
【0012】
各回転翼33、34、35は、
図2、
図6に示すように、支持アーム31,32による支持位置A1、A2と長手方向端部33a、33b、34a、34b、35a、35bとの間で切断可能とされている。同様に、各支柱部2も任意の位置で切断可能とされている。これら各回転翼33、34、35及び各支柱部2は、ベース部6、7と各支柱部2との締結状態を解除し、
図6(a)、
図6(b)に示すように、ベース部6又はベース部7の少なくとも一方を長手方向Hに引き抜き、各支柱部2と回転翼33、34、35とを同一寸法で切断機などを用いて所定の長さにする。なお、回転翼33、34、35を切断する場合、長手方向端部33a、34a、35a又は長手方向端部33b、34b、35bの何れか一方側だけを切断することも可能であるが、回転時の回転翼部3のバランスを考慮すると、
長手方向端部33a、34a、35aと長手方向端部33b、34b、35bの双方から等距離で切断するのが好ましい。
切断する範囲については、支持アーム31,32による支持位置A1と長手方向端部33a、34a、35a及び支持位置A2と長手方向端部33b、34b、35bの間(
図6(b)の破線で示す部位)とすることで、ベース部6、7を取り外すことで、容易に切断することができるので、作業性がよい。
【0013】
本実施形態において、ベース部6、7は、
図2に示すように、その中央に発電機5、5を有している。回転軸30の端部30a、30bは、発電機5、5が備えるロータ51、51と一体回転可能に設けられている。発電機5、5は、回転軸30と一体で回転するロータ51、51と、ロータ51、51の外周側に配置されたステータ52、52とを有し、ロータ51、51が回転することで発電する周知の構成である。発電機5、5を備えない構成の場合には、ベース部6、7の中央にボールベアリングなどの軸受部材を配置し、回転軸30を回転自在に支持すればよい。
切断後は、ベース部6、7を回転翼部3に近づけ、回転軸30の両端30a、30bをロータ51、51に差し込むとともに、各支持柱2の長手方向両端2a、2bをそれぞれ受け部8、9に挿入し、図示しない締結部材を用いてベース部6、7に固定することで長手方向Hへの長さを調整された建築資材1となる。つまり、支柱部2と回転翼33、34、35とを切断し、その後、
図6(c)に示すように、ベース部6,7と回転翼部3と支柱部2とを組み立てることで、長手方向Hにおける全長を任意の長さに調整した建築資材1とすることができる。
【0014】
このように、本実施形態に係る建築資材1は、長手方向Hに延びる複数の支柱部2と、支柱部で囲まれた空間4内に配置された回転翼部3と、支柱部の長手方向両端2a、2bを支持するとともに、回転翼部3を回転可能に支持するベース部6、7を備えているので、回転翼部3がベース部6、7の外部に突出することはなく、建築資材1でありながら風の力で回転翼部3が回転することで抑制することができる。このため、建築物や構造物に使用する新たな建築資材1を提供することができる。
建築資材1は、支柱部2と回転翼部3が、長手方向Hへの長さLが調整可能とされているので、建築物や構造物の景観に合わせて設置場所で大きさ(長さL)を調整することができる。
【0015】
建築資材1は、ベース部6、7は、支柱部2と回転翼部3に対して着脱可能とされているので、支柱部2と回転翼部3の長手方向Hへの長さLを調整する際の作業性がよい。
建築資材1は、回転翼部3が、長手方向Hに延びるとともにベース部6、7に回転可能に支持される回転軸30と、回転軸に装着された支持アーム31、32と、支持アームによって回転軸の外周側に配置される回転翼33〜35とを有し、回転翼33〜35が支持アームによる支持位置A1、A2と長手方向端部33a、33b、34a、34b、35a、35bとの間で切断可能とされているので、建築物や構造物の景観に合わせて設置場所で大きさを調整することができる。
建築資材1は、ベース部6、7に発電機5、5を有し、回転軸30の端部30a、30bは、発電機5、5が備えるロータ51、51と一体回転可能に設けられているので、風の力で回転翼部3が回転した力を利用して発電することができる。
【0016】
ベース部6、7は、
図7に示す連結部品10を取り付けるための複数の取付部61、71を有している。取付部61、71は、
図3に示すように、ベース部6、7の四方の縁部に同一形状で同一寸法となるようにそれぞれ形成されている。取付部61、71には、ベース部6、7を長手方向Hに貫通する複数の孔62、72がそれぞれ形成されている。取付部61、71には、通常、カバー63、73が装着されていて、外観上の見栄え向上と複数の孔62、72内に異物が侵入しないように保護されている。
【0017】
連結部品10は、目的に応じて複数設けられている。
図7(a)に示す連結部品10(A)は、
図8に示すように、2つの建築資材1を横に並べた状態で連結する際に用いるものである。
図7(b)に示す連結部品10(B)は、
図9に示すように、2つの建築資材1を縦に重ねた状態で連結する際に用いるものである。
図7(c)に示す連結部品10(C)は4つの建築資材1を縦横に並べた状態で連結する際に用いるものである。
図7(d)に示す連結部品10(D)は、1つの建築資材1を建物や構造物に取り付ける際に用いるものである。
連結部品10(A)〜(C)は、
図7(a)〜(c)に示すように、それぞれフランジ10a、10bと、フランジ10a、10bをつなぐウェブ10cを備えていて、フランジ10a、10b間に取付部61、71が緩く嵌まるように形成されている。各フランジ10a、10bには、取付部61、71に装着された際に、取付部の孔62、72と重なる位置に取付孔10d、10eが形成されている。
【0018】
図10(a)、(b)は連結部材10(A)を用いて2つの建築資材1を横に並べて連結した場合の形態を示す。連結部材10(A)を用いる場合、互いに対向している部位のカバー63、73を、カバー63、73を取付部61、71に固定している締結部材80Cを緩めて取り外す。そして、取付部61、71に連結部材10(A)を装着し、外した締結部材80Cを用いて取付部61、71に連結部材10(A)を固定することで2つの建築資材1を一体化することができる。なお、
図10においては建築資材1の下方側の連結部のみを示している。
図11(a)、(b)は連結部材10(B)を用いて2つの建築資材1を縦に並べて連結した場合の形態を示す。連結部材10(B)を用いる場合、互いに同一方向に位置している部位のカバー63、73を、締結部材80Cを緩めて取り外す。そして、取付部61、71に連結部材10(B)を装着し、締結部材80Cを用いて取付部61、71に連結部材10(B)を固定することで2つの建築資材1を一体化することができる。なお、
図11において、カバー63,73は省略している。
このように、建築資材1は、ベース部6、7が、連結部品10(A〜D)を取り付ける取付部61、71を有するので、建築資材1同士を容易に連結することができるとともに、建築物や構造物に容易に取り付けることができる。
【0019】
図12は、建築資材1を縦方向に連結したものを横置きとし、互いに対向して配置した枠体90、91の間に複数並べて構造物100としたものである。この構造物100は、例えば
図13に示すように建築物200の入り口などの上部に、建築物200の壁面200aから突出するように設置される屋根(庇)として利用する。
図13では構造物100を2つ並べている。
このように建築資材1を複数連結して構造物100である屋根(庇)とすると、建築物200の壁面200aに強風であるビル風Fがぶつかり四方に分散されることで発生するダウンフローの風F1を抑制することができるとともに、発電エネルギーとして取り出すことができる。
【0020】
図14(a)は、建築資材1を縦方向に連結したものを構造物101として建築物200の窓201の近く(壁面200aやサッシ部分)に取り付けたものである。この場合、連結部材としては、
図7(d)に示す連結部材10(D)を用いる。連結部材10(D)は、ウェブ10cに対して直交する方向に取付けフランジ10fを形成したものである。フランジ10fには、取付孔10gが形成されている。
構造物101を建築物200に設置するには、連結部材10(D)を取付部61、71に装着した状態とし、
図14(b)に示すように、取付けフランジ10fを建築物200の取付面となる壁面200aに設置されている固定器具202と合わせ締結部材80Dで共締めして固定することで、建築物200に設置することができる。この場合においても、構造物101の設置する高さ方向の位置を変更することで壁面200aにビル風Fがぶつかることで四方に分散される分散風F2や、ダウンフローの風F1(
図13参照)を抑制しながら、発電エネルギーとして取り出すことができる。なお、
図14(b)においては、取付部71側の構成のみを示している。
本実施形態で説明した建築資材1を利用した構造物としては、例えば
図15に示すように、防風林の代わりに、建築資材1を縦と横に複数連結して構造物102として設置してもよい。また、地下鉄や鉄道、高速道路や空港など、風害が発生しやすい場所にも適用可能である。
【0021】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態や実施例に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば建築資材1は、外観形状の意匠が四角柱のものを例示したが、建築資材1の形状としては、内部に回転翼部3が回転可能に収納できる大きさであれば、円柱状の物であってもよい。
開口部20を長手方向全域に渡って覆う保護ネットを開口部20の手前に装着するようにしてもよい。装着形態としては、交換(着脱)できる方式が好ましい。例えば、各支柱部2の側面2e、2fに、長手方向Hに延びる溝を形成して。保護ネットの枠を当該溝に長手方向Hから挿入/抜去して着脱可能にする形態が挙げられる。保護ネットとは、通気性は確保されているが、人の指や異物は通過させない大きさのメッシュ部材である。このような保護ネットを備えていると、安全性が向上する。
本実施形態において、建築資材1に用いた材質は、強度と軽量化の観点からアルミニウム合金を用いているが、アルミニウム合金に材料を限定するものではなく、ステンレス鋼やプラスチック材を用いた構成のものであってもよい。あるいは、回転翼33〜35はプラスチック、その他の部材は金属としてもよい。
図1では、回転翼部3の軸線方向に位置する両端側に発電機5、5をそれぞれ配置した例を示すが、発電機5は建築資材1を使用する場所に応じて何れか一方側にだけ配置する構成であってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。