【実施例】
【0068】
実施例1
0.042%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)を含有する眼科用組成物の調製(100リットルバッチ)
眼科用組成物の成分を以下に列挙する。
【0069】
NCX470=ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(API) 42.0g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 32.0g
エデト酸二ナトリウム二水和物 50g
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1326g
注射用水 適量で100kgに
【0070】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1,000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに、約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15−ヒドロステアラート/水の混合物を、42gのNCX−470を含む4Lのバッチ缶に加えた。
【0071】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0072】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液の調製
注射用水100Lをステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに注ぎ、25℃〜30℃に冷却した。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0073】
下記の化合物を連続撹拌下で、水を含む製造タンクに、正確に次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
50gのエデト酸二ナトリウム二水和物
500gのホウ酸
1326gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(Na
2HPO
4 7H
2O)
2760gのソルビトール
32gのベンザルコニウム塩化物50%溶液
ベンザルコニウム塩化物溶液を含む容器を十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0074】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンクに移した。4Lのバッチ缶を注射用水ですすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0075】
注射用水を製造タンクに加え、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0076】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmのポリエーテルスルホン(PES)フィルター(Supor(登録商標))を通した何回ものろ過により滅菌した。
【0077】
5) LDPE眼科用ボトルへのバルク眼科用溶液の充填
ろ過工程後、眼科用溶液を従来の無菌プロセス手技に従って、グレードA環境下で適切な容量のLDPEマルチドーズ容器内に充填した。
【0078】
実施例2
安定性試験
種々の滅菌法で滅菌したマルチドーズ低密度ポリエチレン(LDPE)容器に保存した本発明の眼科用処方物を、安定性について試験した。
【0079】
0.042%w/wのNCX470を含有する眼科用処方物の安定性を、25℃において、開始時、3.5か月及び6か月、9か月(長期保存条件)で評価し、40℃、25%以下の相対湿度(RH)において、開始時、3.5か月及び6か月での加速下の安定性について評価した。
【0080】
眼科用処方物の組成:
NCX470(API) 0.042g
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 0.032g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1.00g
エデト酸二ナトリウム二水和物 0.05g
ホウ酸 0.50g
ソルビトール 2.76g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1.326g
水酸化ナトリウム及び塩酸 適量でpH 6.0に調整
注射用水 適量で100gに
【0081】
結果を表1〜4に示す。
【0082】
25℃(表1及び3)及び40℃(表2及び4)での安定性試験の結果は、本発明に係る眼科用溶液の良好な安定性を示しており、その結果、LDPE一次容器に充填された眼科用溶液は、周囲温度での保存条件において少なくとも24か月の製品有効期間を有すると予想される。
【0083】
実施例2A:
一次容器:透明なLDPE。放射線で予備滅菌した(ガンマ線/25kGy)。
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
実施例2B:
一次容器:LDPE。エチレンオキシドにより予備滅菌した。
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
結論として、本発明由来の眼科用溶液は、そのような容器の予備滅菌モードが何であろうと、LDPE一次容器にパッケージングすることができる。マルチドーズ一次容器をガンマ線又はエチレンオキシドガスのいずれかにより滅菌することができる。BFS(登録商標)(ブロー・フィル・シール)技法により製造されたシングルユース又はユニットドーズの容器は、自然に滅菌されたそのままのLDPE容器を提供し、このようなLDPE物質調製物も、保存剤を含まない本発明由来の眼科用溶液をパッケージングするのに適している。
【0090】
実施例3
抗菌効果試験
実施例3A
抗菌効果試験を行い、本発明に係る眼科用溶液が抗菌性保存の効果基準を満たす能力を評価した。
【0091】
0.05%(w/w)のエデト酸二ナトリウムを含む眼科用溶液(表5を参照のこと)及びベンザルコニウム塩化物の種々の濃度(表6を参照のこと)を試験した。眼科用組成物を、実施例1に開示したプロセスを適用することにより、調製した。
【0092】
試験を、米国薬局方のMonograph <51>, 「Antimicrobial Effectiveness Testing」(AET)に開示されている試験の実行手順に従って行った。このUSP試験の成功は、欧州薬局方の基準Bに適合することと同等である。
【0093】
表6に報告した結果は、0.012%(w/w)〜0.02%(w/w)の範囲のベンザルコニウム塩化物を含有する眼科用組成物が、微生物効果の基準を満たし、抗菌効果試験(AET)に合格したことを示していた。
【0094】
NCX470=ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
実施例3B
抗菌性保存助剤としてのEDTAの効果を評価するために、ベンザルコニウム塩化物(0.016%w/w)及びエデト酸二ナトリウム(0.05%w/w)を含有する眼科用組成物(処方A−表7)並びにベンザルコニウム塩化物(0.016%w/w)を含有するが、エデト酸二ナトリウムを含有しない眼科用組成物(処方B−表7)の保存基準を満たす効果を評価した。
【0098】
結果は、エデト酸二ナトリウムの存在が、米国薬局方のmonograph <51>又は欧州薬局方の基準Bに規定された保存基準を満たすのに必要であることが示していた。
【0099】
【表7】
【0100】
国際公開第2013/003827号(Allergan)には、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが抗菌性保存効果を改善し、これによりUSPの<51>又はEPの基準Bを満たすための抗菌性保存剤であるベンザルコニウム塩化物の用量を減らすことが可能になることが開示されている。本発明の眼科用溶液を用いて行った保存剤の研究から、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートがベンザルコニウム塩化物の抗菌性保存効果を改善しないこと、及び眼科用溶液の抗菌性保存効果を確保するために、0.5%w/wのEDTAの存在下で、0.12%w/w超でなければならない量のベンザルコニウム塩化物を含有しなければならない。最も適切な抗菌性保存用量のターゲットは、0.16%w/wのベンザルコニウム塩化物と0.05%w/wのEDTAとの混合物を用いて達成された。
【0101】
実施例4
単眼点眼後のオランダベルトウサギにおける薬物動態評価
試験1
ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルは、ビマトプロストの薬理活性が一酸化窒素と組み合わせられている二面作用性のプロスタグランジン類似体誘導体である。ビマトプロストの遊離酸は、ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルの活性代謝物の1つである。この研究では、ビマトプロストの遊離酸のレベルをマーカーとして使用して、本発明の水性眼科用溶液の局所点眼後の、ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルの眼内への浸透を、ビマトプロストを含有する市販の点眼剤、及びヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを含有する参照処方物に対して比較した。
【0102】
この研究の目的は、試験した水性眼科用溶液の点眼後に採取した眼房水サンプル中のビマトプロストの遊離酸の量を比較により評価することであった。
【0103】
ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを含有する2つの異なる水性眼科用溶液(処方1及び2)並びに市販のビマトプロスト含有点眼剤(処方3)をウサギの眼薬物動態研究において評価した。
【0104】
ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを含む2つの異なる水性溶液は、本発明に係る眼科用溶液(処方1)及び国際公開第2009/136281号に開示されている処方(処方2)である。
【0105】
試験した溶液
表8に、0.042%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを含有する2つの水性眼科用溶液の媒体を報告する。
【0106】
【表8】
【0107】
処方3(市販の点眼剤/Lumigan(登録商標)、Allergan)
有効成分:0.03mg/ml ビマトプロスト
濃度0.042%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルは、市販の点眼剤(処方3)のビマトプロストのモル数に対して等モルである。
【0108】
原料
マクロゴール15−ヒドロキシステアラートは、市販のKolliphor(登録商標)HS15(BASF)である。ポリソルベート80は、市販のポリソルベート80 Super Refined(登録商標)(Croda)である。
【0109】
実験手順
10匹の雄ナイーブオランダベルトウサギの群をこの研究に割り当て、処方1及び2又は処方3のいずれかを、処方1及び2については12.6μg/眼並びにビマトプロスト溶液については9μg/眼の名目上のターゲット用量で各眼に点眼により投与した。生体分析目的のためのブランク対照マトリックス(房水)を提供するために、5匹の雄の更なる群を採用した。
【0110】
この研究の間、体重測定及び臨床観察を行い、所定の時点、1時間、2時間、4時間及び8時間において、房水(AH)採取の目的で、動物を供死した。
【0111】
投与に関連する臨床徴候は、この研究の間に観察されなかった。
【0112】
結果
本発明に係る水性眼科用溶液(処方1)は、参照処方(処方2)及び市販の点眼剤(処方3)の投与後に達成された曝露と比較して、ビマトプロストの酸へのより大きな曝露(C
max及びAUC値に関して)を示したことを、表9に報告した結果は示していた。
【0113】
C
maxは、ビマトプロストの遊離酸が房水中で達した最高濃度である。
【0114】
AUC(曲線下面積)は、生物学的効果を生じるために利用可能な経時の房水中のビマトプロストの遊離酸の総量を表わす。
【0115】
【表9】
【0116】
研究2
この試験の目的は、表10に報告した3つの異なる媒体中にヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(0.042%w/w)を含有する3つの異なる水性眼科用溶液による局所眼投与後のビマトプロストの遊離酸の房水含量を評価することであった。
【0117】
媒体1及び2は、先行技術文献である国際公開第2009/136281号に開示されている処方の可溶化剤であるポリソルベート80を含有する。媒体1はベンザルコニウム塩化物を含有するが、媒体2はベンザルコニウム塩化物を含有しない点で、媒体1は媒体2と異なる。
媒体3は、ポリソルベート80とマクロゴール15−ヒドロキシステアラートとの混合物を含有する。
【0118】
試験した溶液
表10は、0.042%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを含有する水性眼科用溶液の媒体を報告する。
【0119】
追加の参照処方を試験した。この処方は、0.03mg/mlの活性ビマトプロストを含有する市販の点眼剤である。
【0120】
【表10】
【0121】
原料
マクロゴール15−ヒドロキシステアラートは、市販のKolliphor(登録商標)HS15(BASF)である。ポリソルベート80は、市販のポリソルベート80 Super Refined(登録商標)(Croda)である。
【0122】
実験手順
40匹の動物をこの研究に含めた。それらを10匹/群の4群に割り当て、上で報告した試験した水性眼科用溶液を投与した。
【0123】
この研究に含まれる全ての動物を、30μL/眼の容量で目盛り付きピペットにより、両眼の点眼により投与した。1処方当たり2匹の動物を、0時間(投与前)、1時間、2時間、4時間及び8時間で供死し、房水サンプルを両眼から直ちに得た。
【0124】
結果
表11に報告した薬物動態データにより、媒体1又は媒体2を含有する水性眼科用溶液のビマトプロストの酸への曝露(C
max及びAUC値に関する)が同等であることが示され、一方で、媒体3を含有する水性眼科用溶液により、ビマトプロストの遊離酸へのより高い曝露(房水中のビマトプロストの遊離酸のより高い濃度)が示された。
【0125】
ビマトプロストの酸についての最低曝露パラメータを参照処方の群において得た。
【0126】
更に、結果は、ベンザルコニウム塩化物は、ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−(オキソ−2−ヘプテン−1−イル)]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルヘキサノアートの眼内浸透に対して、0.02%w/wの濃度まで何ら影響を及ぼさなかったことを示しており、実際、薬物動態データは、媒体1又は2を含有する2つの水性眼科用溶液について同等であると考えられる。
【0127】
【表11】
【0128】
結論として、上で報告した研究の結果は、マクロゴール15−ヒドロキシステアラートが、ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルの眼内浸透を向上させることが可能であることを示していた。向上した吸収は、驚くべき効果である。なぜならば、全ての試験した水性眼科用溶液中で治療活性化合物が可溶化されたので、これは、マクロゴール15−ヒドロキシステアラートの既知の可溶化活性に依存していないからである。
【0129】
実際に、0.5%(w/w)のマクロゴール15−ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)又は0.5%(w/w)のポリソルベート80(Tween(登録商標)80)を含有するpH6.0の水溶液中のヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルの溶解度はそれぞれ、0.070%(w/w)及び0.074%(w/w)であり、基本的に同等であると考えられるので、全ての試験した媒体において、ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステルを可溶化した。
【0130】
更に、研究2の結果は、ベンザルコニウム塩化物は、活性化合物の眼生物学的利用能に影響がなかったことを示していた。実際に、ポリソルベート80及びベンザルコニウム塩化物を含有する媒体1、及びポリソルベート80を含有するがベンザルコニウム塩化物を含有しない媒体2は、房水中、ビマトプロストの遊離酸の同等濃度を示していた。
【0131】
実施例5
正常眼圧のビーグル犬における眼内圧
この研究では、本発明に係る眼科用水性組成物の正常眼圧ビーグル犬における眼内圧(IOP)を降下させる効果を評価した。
【0132】
試験した組成物
処方1
処方1は、以下のものを含有する:
0.042%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル
マクロゴール15−ヒドロキシステアラート:1.0%w/w
ベンザルコニウム塩化物:0.016%w/w
ホウ酸:0.5%w/w
エデト酸二ナトリウム:0.05%w/w
ソルビトール:2.76%w/w
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(Na
2HPO
4 7H
2O):1.326%w/w
注射用水 適量で100gに
組成物は、6.0の最終pH及び約300mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0133】
実験手順
試験した水性組成物をビーグル犬の両眼の結膜嚢に、1日2回、約4時間隔で28日間、局所経路により投与した。2群(各群が、ビーグル犬の雄3匹及び雌3匹を含む)を含めた。
群1(対照動物):媒体
群2:処方1
【0134】
各動物に、各処置において、示した物質30μL/眼を受けさせた。
【0135】
その日の1回目の用量は、午前7〜9時の間に、毎日ほぼ同時に投与した。
【0136】
下瞼を眼球から穏やかに引き離した後、各動物の両眼の結膜に、自動ピペットにより試験品目を配置した。次いで、試験品目の損失を防ぐために、約1秒間、瞼を穏やかに一緒になるように保持した。
【0137】
眼内圧を投与前に、並びに処置2、4、8、20及び27日目の1日用量の1〜1.5時間後に、電子眼圧計により測定した。
【0138】
瞳孔にオキシブプロカイン塩酸塩(Prescaina(登録商標)0.4%)又はオキシブプロカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩(Colircusi Doble(登録商標)Anestessico)点眼剤を点眼し、その後に、眼内圧を測定した。
【0139】
結果
結果をIOP変化対ベースラインとして表12に報告する。
【0140】
本発明の水性組成物は、正常眼圧の犬においてIOPを降下させるのに有効であった。更に、本発明の水性組成物の毎日の反復投与により、経時的に持続的なIOP降下活性がもたらされた。
【0141】
【表12】
【0142】
実施例6
安定性研究
ガンマ線滅菌した7.5mLのLDPEボトルに保存した0.065%w/wのNCX470を含有する本発明の眼科用処方物の安定性を、25℃において、開始時、3か月及び6か月で評価し、40℃、25%以下の相対湿度(RH)において、開始時、3か月及び6か月での加速安定性について評価した。
【0143】
眼科用処方物を実施例1に記載した方法に従って調製した。
【0144】
眼科用処方物の組成:
0.065%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)、
1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、
0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、
0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、
2.76%w/wのソルビトール、
1.326%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.5%w/wのホウ酸、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0145】
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0146】
【表13】
【0147】
【表14】
【0148】
25℃(表13)及び40℃(表14)での安定性試験の結果は、本発明に係る眼科用処方物が安定であることを示しており、その結果、眼科用溶液は、LDPE容器を保存した場合、周囲温度での保存条件において少なくとも24ヶ月の製品有効期間を有すると予想される。
【0149】
実施例7
0.065%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)を含有する保存剤を含まない眼科用組成物の調製
【0150】
眼科用組成物の成分を以下に列挙する:
NCX470 65g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1300g
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸 適量でpH6.0に調整
注射用水 適量で100kgに
【0151】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1,000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15−ヒドロステアラート/水の混合物を、65gのNCX−470を含有する4Lのバッチ缶に加えた。
【0152】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0153】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液の調製
注射用水100Lをステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに注ぎ、25℃〜30℃に冷却した。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0154】
下記の化合物を、連続撹拌下で、水を含む製造タンクに次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
500gのホウ酸
1300gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(Na
2HPO
4 7H
2O)
2760gのソルビトール
【0155】
この溶液を含む容器を十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0156】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンクに移した。4Lのバッチ缶を注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0157】
注射用水を製造タンクに加え、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0158】
pHは、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸を使用することにより、より正確に微調整することができる。
【0159】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmポリエーテルスルホン(PES)フィルター(PallからのSupor(登録商標))を通した何回ものろ過により滅菌した。
【0160】
5) LDPE眼科用一次容器へのバルク眼科用溶液の充填
ろ過工程後、眼科用溶液を、従来の無菌プロセス手技に従って、グレードA環境下で、適切な容量を有する保存剤を含まないLDPEマルチドーズ一次容器システム(例えば、Aptar OSD(登録商標)システム)内に充填した。別の保存剤を含まない一次容器システムの選択肢として、バルク滅菌溶液を、シングルドーズ一次容器(例えば、BFS technology製のシングルドーズ一次容器(Blow-Fill-Seal(登録商標)/Rommelag))に充填することができる。
【0161】
実施例8
安定性試験
5mLガラスボトル中に保存した、0.01%w/wのNCX470及び0.18%のNCX470を含有する保存剤を含まない本発明の眼科用処方物の安定性を、25℃及び40℃において、種々の時点で評価した。
【0162】
眼科用処方物を実施例7に記載した方法に従って調製した。これらの処方物において、バッファー系は、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物とクエン酸一水和物との混合物であり、等張化剤は、グリセロールである。
【0163】
0.01%w/wのNCX470眼科用処方物の組成:
0.01%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)、
1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)、
0.52%w/wのグリセロール、
2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.36%w/wのクエン酸一水和物、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0164】
一次容器の構成:5mLのガラスボトルに3mL充填
【0165】
0.18%w/wのNCX470眼科用処方物の組成:
0.18%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)、
1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)、
0.52%w/wのグリセロール、
2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.36%w/wのクエン酸一水和物、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0166】
一次容器の構成:5mLのボトルに3mL充填
【0167】
これら2つの眼科用処方物の安定性の結果を以下の表15〜18に報告する。結果は、保存剤を含まない本発明の眼科用処方物は安定であったことを示していた。
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【0170】
【表17】
【0171】
【表18】
【0172】
実施例9(粘性溶液)
0.065%w/wのヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(NCX470)及び粘度調整剤を含有する眼科用組成物の調製
【0173】
眼科用組成物の成分を以下に列挙する:
NCX470=ヘキサン酸,6−(ニトロオキシ)−,(1S,2E)−3−[(1R,2R,3S,5R)−2−[(2Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソ−2−ヘプテン−1−イル]−3,5−ジヒドロキシシクロペンチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−プロペン−1−イルエステル(API) 65g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 32g
エデト酸二ナトリウム二水和物 50g
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1326g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 200g
注射用水 適量で100kgに
【0174】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15−ヒドロステアラート/水の混合物を、65gのNCX−470を含む4Lのバッチ缶に加えた。
【0175】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0176】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液(粘性溶液の例)の調製
注射用水100Lを、ステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに85℃超の温度で注いだ。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0177】
200gのHPMC(Metolose(登録商標)/Shin-Etsu)を、混合しながらタンク内にゆっくり導入する。セルロースを15分にわたってゆっくり導入する。一旦ポリマーがタンク内で完全に分散したら、少なくとも85℃の温度で更に15分間混合を維持する。その保持時間後、バルク溶液を25℃〜30℃の温度まで冷却する。
【0178】
次いで、下記の化合物を、連続撹拌下で、水を含む製造タンクに正確に次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
50gのエデト酸二ナトリウム二水和物
500gのホウ酸
1326gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(Na
2HPO
4 7H
2O)
2760gのソルビトール
32gのベンザルコニウム塩化物50%溶液
【0179】
ベンザルコニウム塩化物溶液を含む容器を、十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0180】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンク内に移した。4Lのバッチ缶を注射用水ですすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0181】
注射用水を製造タンクに加えて、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0182】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmポリエーテルスルホン(PES)フィルター(Supor(登録商標)Pall)を通した十二分なろ過により滅菌した。
【0183】
工程5) 場合により、バルク眼科用溶液を、低密度ポリエチレン(LDPE)眼科用一次容器に充填する。通常、処方物は、キャップ及び制御された液滴サイズを有する較正された液滴を送達することを可能にする滴下チップを備えるマルチドーズ眼科用ボトルにパッケージングすることができる。このような一次容器の例は、Berry-PlasticsからのRispharm(登録商標)ボトル、AmcorからのBoston Round(登録商標)、Gerresheimer、Philips-Medisize、Bormioliのいずれかからの3ピースボトル、又は同等品であることができる。