特許第6672513号(P6672513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672513
(24)【登録日】2020年3月6日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】特殊効果技術
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/00 20060101AFI20200316BHJP
   A63J 5/02 20060101ALI20200316BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20200316BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20200316BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20200316BHJP
   B64D 1/16 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   A63G31/00
   A63J5/02
   B64C13/20 Z
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64D1/16
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-128091(P2019-128091)
(22)【出願日】2019年7月10日
(62)【分割の表示】特願2017-511701(P2017-511701)の分割
【原出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2019-195658(P2019-195658A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2019年8月9日
(31)【優先権主張番号】62/042,106
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/835,468
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】コーテルユー ロバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジールコフスキー アマンダ
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/002778(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0236388(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0231590(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0233099(US,A1)
【文献】 特開2010−036889(JP,A)
【文献】 特開2009−179275(JP,A)
【文献】 特開2003−341599(JP,A)
【文献】 特表2008−528062(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0298603(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0244801(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0227527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00 − 33/00
A63J 1/00 − 99/00
B64C 1/00 − 99/00
B64D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地の特殊効果システムであって、
地上コントローラと、
無人航空機と、
前記地上コントローラとの間で信号を送受信するように構成された、前記無人航空機の通信回路と、
飛行計画を実行するように構成された、前記無人航空機の車両コントローラと、
前記無人航空機の少なくとも1つの特殊効果モジュールと、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールの放出機構と、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールの特殊効果モジュールコントローラであって、該特殊効果モジュールコントローラは、該少なくとも1つの特殊効果モジュールに対し、前記地上コントローラからの活性化信号に応答して前記放出機構を作動させるように指示するよう構成される、特殊効果モジュールコントローラと、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュール内に配置された特殊効果材料であって、前記放出機構は、前記特殊効果モジュールコントローラにより作動したとき、前記少なくとも1つの特殊効果モジュールから前記特殊効果材料を放出するように構成され、該特殊効果材料は放出するときにばらまかれる、特殊効果材料と、を含む、
特殊効果システム。
【請求項2】
前記特殊効果材料は流体を含む、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項3】
前記特殊効果材料は煙効果流体を含む、請求項2に記載の特殊効果システム。
【請求項4】
前記特殊効果材料は香り付き流体を含む、請求項2に記載の特殊効果システム。
【請求項5】
前記特殊効果材料は水を含む、請求項2に記載の特殊効果システム。
【請求項6】
前記特殊効果材料はグリッタ又は紙吹雪を含む、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項7】
前記特殊効果材料は紙を含む、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項8】
前記放出機構は、前記特殊効果モジュールコントローラにより作動したとき、全部又はほとんどの前記特殊効果材料を放出するように構成される、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項9】
前記特殊効果モジュールコントローラは、前記放出機構が前記特殊効果材料を放出することを止めるように該放出機構を停止するように構成され、前記少なくとも1つの特殊効果モジュールは、全部又はほとんどの前記特殊効果材料が放出される前に該放出機構を停止するように構成される、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールは、前記特殊効果モジュール内の特殊効果材料の量を示すモジュール信号を前記特殊効果モジュールコントローラに出力するように構成されたセンサを含む、請求項1に記載の特殊効果システム。
【請求項11】
遊園地の特殊効果システムであって、
地上コントローラと、
無人航空機と、
前記地上コントローラとの間で信号を送受信するように構成された、前記無人航空機の通信回路と、
前記地上コントローラからの信号に応答して飛行計画を実行するように構成された、前記無人航空機の車両コントローラと、
前記無人航空機の少なくとも1つの特殊効果モジュールと、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールの放出機構と、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールの特殊効果モジュールコントローラであって、該特殊効果モジュールコントローラは、該少なくとも1つの特殊効果モジュールに対し、前記地上コントローラからの活性化信号に応答して及び前記無人航空機の位置に関する位置フィードバックに応答して前記放出機構を作動させるように指示するよう構成される、特殊効果モジュールコントローラと、
前記少なくとも1つの特殊効果モジュール内に配置された特殊効果材料であって、前記放出機構は、前記特殊効果モジュールコントローラにより作動したとき、前記少なくとも1つの特殊効果モジュールから前記特殊効果材料を放出するように構成され、該特殊効果材料は放出するときにばらまかれる、特殊効果材料と、
を含む、特殊効果システム。
【請求項12】
前記地上コントローラに前記活性化信号を前記無人航空機に対して送信させるようにするゲスト信号を前記地上コントローラに送信するように構成されたゲスト装置を含む、請求項11に記載の特殊効果システム。
【請求項13】
前記地上コントローラは、前記ゲスト装置との近接性に基づいて、無人航空機の集団から前記無人航空機を選択するように構成される、請求項12に記載の特殊効果システム。
【請求項14】
前記地上コントローラは、前記ゲスト装置に関連する関連装置との近接性に基づいて、無人航空機の集団から前記無人航空機を選択するように構成され、前記関連装置は、家族又はグループの関連性を通じて前記ゲスト装置に関連付けられる、請求項12に記載の特殊効果システム。
【請求項15】
前記ゲスト装置は、前記ゲスト信号を無線で送信するように構成される、請求項12に記載の特殊効果システム。
【請求項16】
前記ゲスト装置は、前記ゲスト信号を送信するように構成された無線トランシーバを含むブレスレットである、請求項12に記載の特殊効果システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの特殊効果モジュールは、前記無人航空機から離れて配向された、かつ前記特殊効果材料を供給するように構成されたノズル又は噴霧器を含む、請求項11に記載の特殊効果システム。
【請求項18】
前記車両コントローラは、前記特殊効果材料の放出中に前記無人航空機を飛行し続けさせる前記飛行計画を実行するように構成される、請求項11に記載の特殊効果システム。
【請求項19】
方法であって、
地上コントローラにおいて、ゲストの達成又はゲームプレイイベントに関する情報を含む信号を受信するステップと、
前記信号に基づいてゲスト情報にアクセスするステップと、
前記信号に基づいて、無人航空機に、前記地上コントローラからの活性化信号に応答して及び前記無人航空機の位置に関する位置フィードバックに応答して前記無人航空機の特殊効果モジュールにゲストの近くに特殊効果材料を散布させるために、飛行計画及び特殊効果活性化信号を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記飛行計画及び特殊効果活性化信号を送信するステップの前に、前記地上コントローラにおいて、前記信号に基づいて、無人航空機の集団から所望の特殊効果材料を含む前記特殊効果モジュールを有する前記無人航空機を選択するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記選択するステップは、前記ゲスト情報に基づく、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ゲスト情報は、前記ゲストの近くに放出されないようにする特殊効果材料を識別する情報を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記選択するステップは、前記ゲストの達成又は前記ゲームプレイイベントに基づき、前記所望の特殊効果材料は、前記ゲストの達成又は前記ゲームプレイイベントに関連する、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2014年8月26日に出願された「非係留型特殊効果プラットフォーム(Untethered Special Effects Platform)」という名称の米国仮特許出願第62/042,106号の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示は全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に遊園地の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、遊園地体験を提供するために利用される方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0003】
遊園地及びその他の娯楽場では、ゲストを乗り物体験又はショー体験に没頭させるのに役立つように特殊効果を使用することができる。従来、これらの投水(water lobs)又は香水砲の爆破(scent cannon blasts)などの特殊効果の場所は、効果の組み立て(effect assembly)を施設又は構造物に帰属させる必要性によって制約されていた。通常、効果の組み立ての場所は、一旦設置すると固定され、変更が困難である。1つの例では、テーマパークが、乗り物又はその他の娯楽オプションに関連するキャラクタパフォーマンス又はライブショーを含むことがある。テーマパークはリピータ客を呼び込むので、このようなショーは、リピータ客であっても継続して楽しめるように頻繁に変更されることが望ましい。しかしながら、効果の組み立てが固定されると、ライブショー及びその対応する特殊効果を修正するテーマパークの能力が制約されてしまう恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を制限するものではなく、むしろ開示するいくつかの実施形態の概要を示すものにすぎない。実際に、本開示は、以下に示す実施形態と同様の又は異なる様々な形態を含むことができる。
【0005】
1つの実施形態によれば、特殊効果システムが、地上コントローラと、無人航空機(unmanned aerial vehicle)とを含む。無人航空機は、地上コントローラとの間で信号を送受信するように構成された通信回路と、飛行計画を実行するように構成された車両コントローラとを含む。無人航空機は、無人航空機の少なくとも1つの特殊効果モジュールも含む。無人航空機は、少なくとも1つの特殊効果モジュールの特殊効果モジュールコントローラも含み、この特殊効果モジュールコントローラは、特殊効果モジュールに対し、地上コントローラからの活性化信号(activation signal)に応答して特殊効果を作動(activate)させるように指示するよう構成される。
【0006】
別の実施形態によれば、特殊効果システムが、地上コントローラと、複数の無人航空機とを含み、無人航空機は、地上コントローラとの間で信号を送受信するように構成された通信回路と、飛行計画を実行するように構成された車両コントローラと、少なくとも1つの特殊効果モジュールとをそれぞれ含む。特殊効果モジュールは、特殊効果材料と、地上コントローラからの活性化信号に応答して特殊効果材料の放出を引き起こすように構成された特殊効果モジュールコントローラとを含み、無人航空機のそれぞれの飛行計画は、互いに無関係であって、テーマパークショーの実行時間内に実行されるように構成される。地上コントローラは、それぞれの無人航空機に対してそれぞれの活性化信号を生成して、テーマパークショーの実行時間中にそれぞれの特殊効果を作動させるように構成される。
【0007】
別の実施形態によれば、特殊効果システムが、地上コントローラと、複数の無人航空機とを含み、無人航空機は、地上コントローラとの間で信号を送受信するように構成された通信回路をそれぞれ含む。システムは、飛行計画を実行するように構成された車両コントローラと、少なくとも1つの特殊効果モジュールとをさらに含む。特殊効果モジュールは、特殊効果材料と、地上コントローラからの活性化信号に応答して特殊効果材料の放出を引き起こすように構成された少なくとも1つの特殊効果モジュールコントローラとを含む。地上コントローラは、それぞれの無人航空機を点検のために帰還させるそれぞれのメンテナンス信号を生成するように構成される。
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術による、特殊効果車両システムを含むテーマパークの概略図である。
図2】本技術による、特殊効果車両システムのブロック図である。
図3】本技術による、特殊効果モジュールのブロック図である。
図4】本技術による、特殊効果車両システムの使用方法のフロー図である。
図5】本技術による、特殊効果車両の斜視図である。
図6】本技術による、特殊効果モジュールを含む特殊効果車両システムのブロック図である。
図7】本技術による、特殊効果車両システムを含むテーマパークショーの概略図である。
図8】本技術による、ゲスト制御型特殊効果の概略図である。
図9】本技術による、ゲスト仲介型特殊効果のための特殊効果車両システムの使用方法のフロー図である。
図10】本技術による、遊園地乗り物と共に使用する特殊効果車両の概略図である。
図11】本技術による、特殊効果車両システムのメンテナンス方法のフロー図である。
図12】係留型特殊効果車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示する実施形態では、沼地の上方又は空き地内などのこれまで手の届かなかった領域内に、無人航空機を用いて効果をもたらすことができる。したがって、効果の場所を、アトラクション、ショー、乗り物又はその他の現場全体を通じて経路に沿って移動するようにプログラムすることができる。この経路は、リアルタイムで再プログラム又は提供することができ、これによってあらゆる特殊効果の場所の直接的な変更又は更新が可能になる。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、特殊効果を専用の場所から「解放」し、固定施設又は固定構造物に帰属させる必要性を排除する。
【0011】
本実施形態によれば、マルチコプタなどの無人航空機(UAV)が、1又は複数の特殊効果をもたらすように装備を整えて、非係留型特殊効果プラットフォームになる。このようなプラットフォームによってもたらされる特殊効果としては、水効果、香水砲、圧縮空気噴射、蒸気噴射、劇場の煙効果、又は霧効果、雪効果、泡効果、紙吹雪効果、火炎効果、或いは指向性スピーカ及びその他の音響効果を挙げることができる。
【0012】
1つの実施形態では、この非係留型特殊効果車両をライブショーと組み合わせて使用することができる。特殊効果の配置又は経路は、予め演出しておくことも、又はショーに対応するようにリアルタイムで提供することもできる。すなわち、特殊効果車両の動作を、ショーの最中に作動し、予めプログラムした経路に沿って移動するように引き起こし、これによって手動介入を伴わずに指定の時間及び/又は指定の場所に特殊効果をもたらすことができる。特殊効果プラットフォームは、内蔵コントローラ、非内蔵コントローラ、又はこれらの組み合わせによって制御することができる。同じショー内で複数のプラットフォームを用いて異なる場所で効果をもたらすこともでき、これらのプラットフォームは、コントローラを共有することも、又は集中制御システムの制御下で動作することもできる。
【0013】
これらの特殊効果車両の実施形態及び関連技術は、従来の特殊効果技術よりも用途が広い。本実施形態は、UAV技術を娯楽産業に、特に単なる照明又はプロジェクタではない物理的特殊効果及びアクション型特殊効果機能(例えば、水効果、香水砲、圧縮空気噴射、蒸気噴射、劇場の煙効果、又は霧効果、雪効果、気泡効果、紙吹雪効果、火炎効果をもたらす装置)の提供に利用するものである。上述したように、本実施形態は、これまでアクセスできなかった場所に配置したUAVプラットフォームから、指向性スピーカを用いて指向性の音響又は他のタイプの音響を提供することもできる。また、開示する特殊効果車両は、ライブショー、キャラクタ交流(例えば、テーマパークのゲスト又は他のキャラクタとの非ショー的な交流)、テーマパーク乗り物、或いは他のテーマパーク又は娯楽イベントに関連して使用することもできる。
【0014】
図1は、テーマパーク14の設定において動作する特殊効果車両システム10の概略図である。特殊効果車両18の集団(fleet)16は、特殊効果制御システム20などの地上コントローラの制御下で動作する。このパークは、乗り物、娯楽場、ショッピング又はレストランを含むことができる複数のアトラクション22を含む。個々の特殊効果車両18は、特定の特殊効果を促すように、制御システム20を介してパーク14全体を通じて様々な場所に展開することができる。集団16は、1又は2以上のタイプの車両18を含むことができ、各個々の車両18は、1又は2以上の特殊効果のために構成することができる。車両18は、特殊効果制御システム20と無線で通信して、所望の飛行計画を実行する命令及び/又は特殊効果を引き起こす命令を受け取る。この通信は、いくつかの実施形態ではパーク14全体にわたって分布することができる1又は2以上の無線タワー24を通じて仲介することができる。
【0015】
図2は、特殊効果制御システム20と個々の特殊効果車両18との間における、特殊効果の誘発を促す通信相互作用のブロック図である。特殊効果制御システム20及び個々の特殊効果車両18の一方又は両方は、アンテナ、無線トランシーバ回路、並びに信号処理ハードウェア及び/又はソフトウェア(例えば、ハードウェア又はソフトウェアフィルタ、A/Dコンバータ、マルチプレクサ増幅器)、又はこれらの組み合わせなどの通信回路(例えば、通信回路34又は36)を含むことができ、この通信回路は、IR無線通信、衛星通信、放送無線、マイクロ波無線、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などを介して無線通信経路を通じて通信するように構成することができる。このような通信は、無線タワー24(図1を参照)などの中間通信装置を含むこともできる。また、特殊効果制御システム20及び個々の特殊効果車両18の一方又は両方は、本明細書で説明する方法及び制御動作を実行するためにプロセッサ(例えば、プロセッサ44又は46)が実行できる命令を記憶する記憶装置(例えば、記憶装置40又は42)を含むこともできる。プロセッサは、1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリは、1又は2以上の有形の非一時的機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、所望のプログラムコードを機械実行可能命令又はデータ構造の形で保持又は記憶するために使用できるとともに、プロセッサ又は他のプロセッサベースの装置(例えば、モバイル装置)がアクセスできる、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、若しくは光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは他のいずれかの媒体を含むことができる。例えば、特殊効果制御システム20は、コンピュータベースのワークステーション又はモバイル装置などのオペレータインターフェイス50によるアクセスを受けることができ、及び/又は入力/出力インターフェイス56及びディスプレイを含むことができる。
【0016】
特殊効果制御システム20は、特殊効果車両18とは別個の1又は複数の装置として実装することができるが、これに加えて、又はこれとは別に、特殊効果制御システム20の一部として開示するいくつかの機能を特殊効果車両18内に実装することもできると理解されたい。図示のように、特殊効果車両18は、車両18の飛行計画又は飛行経路の実行を制御する車両コントローラ64を含む。飛行計画は、特殊効果制御システム20から(例えば、リアルタイムで)通信することも、又は予めプログラムしてメモリ42に記憶しておくこともできる。さらに、いくつかの実施形態では、オペレータ入力をリアルタイムで実行して飛行計画を作成し、及び/又はそれまでの飛行計画命令をオペレータ入力に書き換えることもできる。車両コントローラ64は、モータ66及び特殊効果車両18の他の飛行要素の動作を、所望の飛行計画を実行するように制御する。1つの実施形態では、特殊効果車両18が、特殊効果制御システム20に、特殊効果をいつ誘発すべきかを決定するためのフィードバックとして使用するようにナビゲーション情報又は案内情報を提供することができる。例えば、特殊効果は、特定の地理的位置又はGPS座標において、或いは特定のランドマーク又はアトラクションに対して誘発することができる。したがって、特殊効果車両18は、GPSチップからアクセスされるGPS情報、無線通信からの三角測量情報、及び/又は特殊効果車両18上の1又は2以上のカメラ、位置センサ又は近接センサからのフィードバックなどの、位置及び/又は遠隔測定回路68によって特定される位置情報を使用することができる。位置及び/又は遠隔測定回路68は、ゲストが特殊効果車両18に干渉するのを防ぐように車両を特定の境界の外側に維持するためのフィードバックを提供することもできる。特殊効果車両18は、例えばバッテリ、太陽電池、誘導結合装置などの1又は2以上の電源72を含むこともできる。開示するように、特殊効果車両18は、自己充電式電源又は充電式電源などの内蔵電源を用いて、非係留型特殊効果用プラットフォームとして実装することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、特殊効果車両18をコードによって電源に結合することもできる。
【0017】
図3は、プロセッサと、命令を記憶するメモリと、特殊効果モジュール70の機械的要素に結合して制御する回路とを含むことができるコントローラ74を含む特殊効果モジュール70の実施形態のブロック図である。特殊効果モジュールは、特殊効果材料76も含む。特殊効果材料76は、水、雪、紙吹雪(confetti)、グリッタ(glitter)、煙、泡、香り付き流体(scented fluid)などの無毒な娯楽目的のいずれかの好適な特殊効果材料とすることができる特殊効果材料76の放出を引き起こすことができるキャニスタ又はケースなどのハウジング78内に収容することができる。1つの実施形態では、特殊効果材料76を、一巻きのティッカーテープ、又は放出されるペーパーメッセージのコピーとすることができる。特殊効果材料76の放出は、特殊効果制御システム20の仲介によって誘発することができる。例えば、特殊効果制御システム20(図2を参照)から特殊効果モジュール70に、特殊効果材料を放出するための活性化信号(例えば、放出信号)を通信することができる。さらに、特殊効果モジュールのコントローラ74は、放出機構80を作動させて(例えば、バルブを開いて、ドアを解放して、ファン又はプランジャを作動させて、キャップに穴を開けて)、特殊効果材料76を所望の場所にばらまくことができる。特殊効果材料76は、放出機構80が開くことによって爆発的な放出又は排出が生じるように、例えばハウジング78と流体連通して取り付けられたCO2カートリッジを介して圧力下で収容することができる。1つの実施形態では、特殊効果材料76が、モジュール70内で1回の使用のために構成される。すなわち、例えばバルブの開放、送風機の作動又はシールの穿孔などの放出機構80の開放によって、全部又はほとんどの材料76が放出される。放出機構80は、複数回使用を可能にするように、予め設定した時間後に、またいくつかの実施形態では全部又はほとんどの特殊効果材料76がばらまかれる前に閉じることもできる。特殊効果モジュール70は、ハウジング78内にどれほどの特殊効果材料76が残っているかに関連するデータをコントローラ74に提供するセンサ81又はその他のフィードバック装置を含むこともでき、コントローラ74は、このデータをさらに地上コントローラに提供することができる。センサ81は、圧力センサ、光センサ、重量センサなどとすることができる。例えば、光センサは、特殊効果モジュール内の充填レベル情報を提供することができる。光学的測定値の変化により、材料が特定の閾値充填レベルを下回っていることを示すことができる。他の実施形態では、フィードバック装置が、放出ミス(例えば、放出機構80が正しく開かない不具合、又は放出後に予想される特殊効果材料の充填度の減少を検知できない不具合)に関するデータを提供することができる。このような放出ミスデータは、結果として車両のメンテナンスを引き起こすことができる。
【0018】
本明細書に示すように、特殊効果車両は、特殊効果と協調する飛行計画を所望の場所で所望の時間に実行するように動作することができる。図4は、特殊効果車両18の制御方法82のフロー図である。この方法は、特殊効果制御システム20(図1を参照)などの地上コントローラを用いてシステム10によって実行することができる。車両は、飛行計画を実行(ブロック86)させる信号を地上コントローラから受け取ることができる(ブロック84)。1つの実施形態では、この飛行計画の実行前に車両に飛行計画が通信される。別の実施形態では、飛行計画が予めプログラムされ、又は車両のメモリに記憶され、受け取る信号は、記憶されている飛行計画を車両に実行させる活性化信号である。別の例では、車両が、メモリに記憶された1又は2以上の飛行計画を有することができ、信号が、特定の飛行計画にアクセスするための選択情報を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、特定の飛行計画の選択が、車両が有している特殊効果モジュールのタイプに基づくことができる。1つの例では、水効果のために構成されたモジュールを有する特殊効果車両の境界をパークの特定の地理的地域のみに制限することができ、例えばディナー客又は販売員上への排水を防ぐように、レストラン又はショッピングを含まない地域内に境界設定することができる。別の実施形態では、水を運んでいる特殊効果車両を、非ウォーターエリア又は一般乗り物エリアも含む広大なテーマパークのうちのウォーターパークエリア内でしか飛行できないようにすることもできる。別の例では、例えば花又はキャンディなどの特定の香水砲のために構成されたモジュールを有する特殊効果車両の境界を、その匂いと整合するテーマパークの領域に制限することもできる。このような命令は、バンパイア又は宇宙船のテーマを含むパークの領域内に花の匂いが放出されるのを防ぐ。境界制限は、飛行計画命令内にプログラムすることができる。1つの実施形態では、境界制限された領域との間をメンテナンス又は充電のために車両が飛行することはできるが、特殊効果の放出は特定の境界内でしか許可されないようにすることもできる。
【0020】
動作時には、特殊効果モジュールが車両に識別情報又は仕様情報を提供することにより、地上コントローラ又は車両が、特殊効果モジュールの特性に基づいて特定の飛行計画を通信し、又は特定の飛行計画にアクセスするようにすることができる。車両は、飛行計画の実行に関連して、特殊効果モジュール内の特殊効果材料を放出するための1又は2以上の信号を受け取ることができる(ブロック88)。1つの実施形態では、飛行計画の特定の部分にタイミングを合わせて放出が行われるように、活性化信号又は放出信号が飛行計画に盛り込まれる。したがって、車両のメモリ内に予め放出信号をプログラムし、車両コントローラによって特殊効果モジュールに提供することもできる。別の実施形態では、放出信号を地上コントローラなどのリモートコントローラから通信することができ、いくつかの実施形態では、放出信号がリアルタイムのオペレータ入力に応答することができる。例えば、オペレータは、ボタンを押して特殊効果材料を放出させることができる。
【0021】
特定の実施形態では、飛行計画が、所望の特殊効果を高めるための命令を含むこともできる。例えば、煙効果の場合、車両は、あるキャラクタ又はある場所の周囲を旋回して煙の周辺効果をもたらすことができる。煙効果又はその他のガス効果は、特殊効果車両をバンクさせることによって高めることもできる。例えば、効果の一部として又は効果を高めるために、クアッドコプタのプロペラによって煙を特定の方向に向けることができる。このような効果を高めるためのバンキング又は操縦を飛行計画命令に組み込むこともできる。別の実施形態では、特殊効果材料76の散布場所をさらに狭めるために、放出信号を車両のホバリングに一致させることができる。このような実施形態は、個人の上で放出される紙吹雪又は放水銃に関連して使用することができる。さらに別の実施形態では、特殊効果材料が活発に放出されている間も車両が飛行し続けるように指示することにより、香り付き流体を広範囲にわたって散布することができる。したがって、地上コントローラ又は車両は、所望の効果に依存して、放出信号を適切な飛行計画信号と一致するように協調させることができる。また、放出信号は、位置又は遠隔測定情報からの入力又はフィードバックに依存することもできる。さらに、車両の飛行計画は、特殊効果材料の放出によって乱れることがある安定性又は姿勢変化を考慮するように実装することができる。1つの実施形態では、車両を、材料放出による推力に起因して飛行計画が乱れた場合に所望の飛行計画に戻るように構成することができる。
【0022】
図5は、特殊効果モジュール70を含む、UAVとして実装される特殊効果車両18の斜視図である。図示の実施形態では、UAVが、支柱94によって本体92に結合された回転翼90を含む。特殊効果モジュール70の特殊効果ハウジング78は、ハーネス96又はクリップなどのコネクタを介して車両18に結合され、さらに基部98によって本体92に結合される。図示の特殊効果モジュール70は、UAVの下側に位置する。しかしながら、他の配向も検討される。
【0023】
いくつかの実施形態では、車両18に対する特殊効果モジュール70の結合及び分離をオペレータが行うことができる。例えば、特殊効果モジュール70は、オペレータがUAVからコントローラ及びその他の構成要素を取り外して別の特殊効果モジュール70に置換できるように完全モジュール式とすることができる。別の実施形態では、特殊効果モジュール70を、コントローラ(例えば、コントローラ74、図3を参照)が基部98内に収容されて、ハウジング78及び関連する放出機構80の取り外し及び交換が可能な部分的モジュール式とすることができる。オペレータは、ハウジングを基部のねじコネクタにねじ込んで放出機構80に電気的に接続することができる。また、コントローラは、複数の特殊効果ハウジング78と協働できる汎用コントローラとすることができる。このようにして、高価な又は壊れやすい処理要素を気にせずに、キャニスタ又はケースなどのハウジング78の低コスト部分の交換又は補充を行うことができる。
【0024】
特殊効果車両18は、指向性スピーカ又は照明などの、いくつかの非消耗型特殊効果増強器を含むこともできる。車両18に音楽又はその他のオーディオファイルなどのオーディオデータを搭載して記憶し、又は地上コントローラを介して通信することもできる。また、特殊効果車両18は、モータのノイズを抑えるバッフル、静音プロペラ及び指向性スピーカを含む防音機構を含むこともできる。
【0025】
図6のブロック図に示す特殊効果車両集団16は、複数の車両18(例えば、車両18a及び18b)を含み、これらの車両18の各々は、特殊効果制御システム20に制御される、同じもの又は異なるものとすることができる1又は2以上の特殊効果モジュール70(例えば、特殊効果モジュール70a、70b、70c及び70d)を含むことができる。各特殊効果車両18は、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の特殊効果モジュール70を有することができると考えられる。1つの実施形態では、特殊効果車両18(例えば、車両18a)が、それぞれが同じタイプの特殊効果材料を含む冗長的な特殊効果モジュール70を有する。動作中、特殊効果車両18は、使用毎にモジュール同士を入れ替えて、又は第1のモジュール(例えば、特殊効果モジュール70a)内の特殊効果材料を完全に散布した後で第2のモジュール(例えば、特殊効果モジュール70b)から散布を行って、複数の使用にわたって特殊効果材料を散布することができる。
【0026】
別の実施形態では、特殊効果車両18(例えば、車両18a)が、第1のタイプの第1の特殊効果モジュール(例えば、特殊効果モジュール70c)と、異なるタイプの第2の特殊効果モジュール(例えば、特殊効果モジュール70d)とを含むことができる。第1のタイプと第2のタイプは相補的とすることができ、同じ時点又は同じ時間内に放出を行って単一の特殊効果をもたらすように設計することができる。例えば、1つの実施形態では、第1の特殊効果モジュール(例えば、特殊効果モジュール70c)が、無毒な緑色の粘液材料を含むことができ、第2の特殊効果モジュール(例えば、特殊効果モジュール70d)が、噴射ノズルを介して散布される水又は清浄液を含むことができる。このようなモジュールタイプは、機内制御を通じて、又は特殊効果制御システム20からの信号に応答して、第1の時点に所望の位置で第1の特殊効果モジュールから粘液材料を放出し、その後の第2の時点に同じ所望の位置で水又は清浄液を放出するように協働することができる。このようにして、ライブアクションのキャラクタ又はゲストに粘液を浴びせた後に汚れを落とすことができる。1つの実施形態では、第2の又は後続の特殊効果の作動が、遠隔測定装置及びその他のフィードバック装置(例えば、内蔵センサ)に基づいて生成できる、第1の効果が正しく放出された旨の確認信号に依存することができる。このような効果は、所望の順序で放出を行って効果を実現する別個のモジュールをそれぞれが有する複数の車両18(例えば、車両18a及び18b)を用いて達成することもできる。このような効果を高めるために、個々の特殊効果車両18(例えば、車両18b)上に音響又はカメラモジュールなどのさらなる特殊効果モジュール70又はその他のモジュールを配置して、適切な活性化信号によって作動させることもできる。1つの実施形態では、特殊効果の標的とするゲストに対する特殊効果材料の放出に(静止画像又は動画像を取り込むための)カメラ活性化信号が関連付けられる。この場合、このカメラデータを記憶し、及び/又は集中コントローラに通信してゲストに散布することができる。
【0027】
同じ車両18に搭載された特殊効果モジュール70は、放出中及び放出後に重量バランスが取れるように選択することもできる。例えば、制御システム20は、放出信号のタイミングをモジュール間で交互になるように調整して車両18の重量バランスを取ることができる。別の例では、比較的重い水モジュールを比較的軽い香水砲又は煙モジュールと共に搭載して、総車両重量を最小化しながらさらに複雑な特殊効果を可能にすることができる。
【0028】
図7に示すように、本明細書に示す特殊効果システムは、1又は2以上の特殊効果車両18を用いて実装して、ライブショーにおけるゲスト体験を向上させる。図示の実施形態では、沼地又は湖の設定でライブショーが行われており、係留又は固定された装置を用いて特殊効果をサポートする難易度が高い。このような設定は、固定複合照明施設を有する投射スクリーン108を含む舞台プラットフォーム106を含むことができる。特殊効果車両18aは、舞台プラットフォーム106に係留されておらず、特殊効果を引き起こすことによって映像を増強することができ、ショーの内容が更新された場合には、投射されるメディアコンテンツの変化と共に特殊効果の時間、タイプ及び場所も変化することができる。別の例では、ライブショーが、ライブキャラクタの俳優及び/又はアニマトロニックフィギュアを呼び物にした舞台プラットフォーム110を含むことができる。特殊効果車両18c及び18dは、ライブ俳優又はアニマトロニックフィギュア120と相互作用するようにプログラムすることができる。このようなプログラミングは、生じ得るブロッキング又はタイミングの変化を考慮する動的なものとすることができる。1つの例では、ライブ俳優が特定の時間枠内に特定の舞台位置に達した時点で煙で包むことができる。別の実施形態では、ライブ俳優が、ボタン又はその他の起動装置の作動時に特殊効果車両に放出信号を送信するように構成された無線送信装置を着用することができる。特殊効果の作動は、ショーの技術者によってリアルタイムで開始することもできる。さらに別の実施形態では、アニマトロニックフィギュア120が、特殊効果車両18c又は18dと通信して特定の特殊効果を生じさせるフィードバック装置を含むことができる。このようなライブショーは、タワー又はキャットウォーク124などのかなり複雑な大道具(set pieces)を含むこともあり、したがって特殊効果車両18bは、比較的近付きにくい大道具での特殊効果を可能にするように、粒度の細かい位置制御を行うことができる。さらに、このようなショーは、複数の角度から見えるように設計されることが多いので、特殊効果車両18bは、このような大道具の周囲を旋回して、複数の観客の角度から見える周辺効果をもたらすことができる。
【0029】
舞台又はプラットフォーム又はその付近に効果を配置することに加え、特殊効果車両を用いて観客向けに効果を生じることもできる。特殊効果車両18e、18f及び18gには、一般に観客席130の位置に存在する飛行経路をプログラムすることができる。ショーの最中には、観客中心の効果のタイミングをイベントと協調するように調整することができる。図示の例では、所望の効果に応じて、特殊効果車両18の少なくとも一部が異なる特殊効果モジュールを有することができる。別の実施形態では、一群の特殊効果車両18が、フィナーレ用の又はさらに大規模な特殊効果を同時に放出することができる。例えば、海中をテーマにしたショーのための効果として、観客全体に泡を放出することができる。この放出は、固定気泡発生機に比べてさらに多くの観客が効果を体験できるように、観客上の飛行経路と重なることができる。さらに、飛行車両によって生じる気流が、観客席130全体に泡を散布するように作用することもできる。散布効果を高める車両の配向を飛行計画命令に組み込むことができる。
【0030】
特殊効果車両は、ライブショーをサポートする特殊効果に加え、他のゲスト体験に関連して使用することもできる。図8は、ゲストの制御によって特殊効果を引き起こす概略図である。本明細書に示す技術では、ゲスト140が携帯装置136などを介して、又はいくつかの実施形態ではゲスト用ウェアラブル装置144を介して、特殊効果制御システムに入力を提供することができる。このようなイベントは、ゲームのプレイ又は達成レベルに関連することができる。例えば、ゲスト140aが携帯装置136を介して特定のゲームレベルに達した場合、特殊効果制御システムは、同伴者140b又は仲間のゲームプレーヤを標的にして、特殊効果車両18aによって放出される水の噴霧として示す特殊効果を開始することができる。1つの実施形態では、制御システムに記憶されたグループ又は家族の関連性を通じて同行者又は仲間のゲームプレーヤを識別することができる。例えば、家族の一員は、(例えば、パークの入口において、又は事前登録処理を通じて)自分たちのゲスト用ウェアラブル装置144を互いに関連付けることができる。このような関連付けは、グループ(例えば、ゲーム又は体験に登録した友人又は家族グループ又はゲスト)のメンバを互いに特殊効果放出の標的にすることを許可し、グループ外のゲストが標的になるのを防ぐことを含むことができる。携帯装置136又はゲスト用ウェアラブル装置144によって入力信号が生成されると、特殊効果車両18は、携帯装置136又は特定のゲスト用ウェアラブル装置144bの位置に標的化され、他のゲストの位置情報を提供する非標的ゲスト用ウェアラブル装置144a及び144cからの無線トランシーバ信号に基づいて、このような装置を装着しているゲストから離れることができる。特殊効果制御システムは、特定のゲスト用ウェアラブル装置144を装着しているゲスト140のみに放出を行う条件を放出信号に関連付け、標的でない他のゲスト用ウェアラブル装置144が付近に存在する場合には放出を防止又は禁止することができる。図示の例には、ゲスト140aが仲間140bを標的にすることを示しているが、個々のゲスト140が自分自身を標的にすることもできる。例えば、ゲスト140は、冷却ミストの噴霧又は泡の効果を受けたいと望むことができる。携帯装置136に、又はゲスト用ウェアラブル装置144を介して入力を提供することにより、特殊効果車両18にゲストの方に移動するように指示が行われる。
【0031】
携帯装置136又はゲスト用ウェアラブル装置144は、特殊効果によって強化することができるロールプレーイングゲーム又は他のライブアクション体験の適格なプレーヤを識別することもできる。例えば、あるゲスト140のグループが、パーク体験に登録することができる。このようなゲスト140には、専用の携帯装置又はウェアラブル装置を配布することができ、或いは他のパーク体験に使用される汎用の携帯装置又はウェアラブル装置に登録情報を関連付けることもできる。特殊効果制御システムは、ランダムな間隔で、或いは所定の時点又は場所において、登録したゲスト140に特殊効果を引き起こす命令を実行することができる。したがって、いくつかの実施形態では、特殊効果を特定のゲストに関連付け、さらなるゲスト入力を伴わずに誘発することができる。
【0032】
1つの実施形態では、携帯装置136を、識別コード又はカメラ解像可能な特徴を含む杖とすることができる。携帯装置136は、やはり杖の特徴を解像できるカメラ146を含むことができる特殊効果車両と相互作用するように構成される。1つの実施形態では、カメラによって解像された携帯装置136の動きに基づいて特殊効果を引き起こすことができる。引き起こされる他のタイプの特殊効果は、杖の動きに基づいて異なるタイプの特殊効果が引き起こされる格闘又は決闘体験に基づくことができる。このような体験に関連して使用される特殊効果車両18は、閃光効果又は爆発効果などの、杖の動きの成功に関連する内蔵特殊効果モジュールと、紙吹雪又は泡の効果などの、杖の動きの失敗に関連する特殊効果モジュールとを有するように実装することができる。
【0033】
図9は、ゲストによる特殊効果制御を仲介する方法160のフロー図である。特殊効果制御システムは、ゲスト装置からのゲスト入力に基づいて信号を受け取る(ブロック162)。この入力信号は、新たなレベルの到達、的の命中、パズルの解読又は特定のゲームアイテムの選択などの、ゲストの達成又はゲストのゲームプレイイベントに関連することができる。特殊効果制御システムは、この信号に基づいて、適当な特殊効果モジュールを含む車両を集団から選択する(ブロック164)。また、この選択は、ゲストプロファイルに記憶することができるゲスト関連情報に基づくこともできる。例えば、ゲストは、特殊効果又は特殊効果タイプの一部への参加に興味がないことを指定することができる。例えば、誘発される特殊効果が水の噴霧である場合、方法160は、ゲストがこのような効果に興味がないという情報にアクセスすることができる。この時、方法は、泡、香り又は紙吹雪などの別の効果タイプを含む特殊効果モジュールを有する特殊効果車両を選択することができる。
【0034】
他の実施形態では、ゲストが、特定の香り又は材料に対してアレルギーを示すこともあり、したがって、選択される特殊効果車両をこのような情報に基づいて決定することができる。さらに、特定のゲストを、年齢、又はVIPステータスの欠如に基づいて、特殊効果の誘発に不適格とすることもできる。このような例では、方法が、車両を選択せずに終了する。車両の選択は、ゲストに最も近い適当な車両を決定することに基づくこともできる。すなわち、ゲストが水効果を誘発した場合、方法160は、ゲストに最も近い水特殊効果モジュールを有している車両を選択する。選択されると、方法160は、選択された特殊効果車両に、ゲストに合わせた飛行計画を実行する(ブロック166)命令と、ゲストの近くに来た時に特殊効果材料を放出する(ブロック168)命令とを与える。近さの判定は、車両ナビゲーション及び近接性フィードバック、並びに無線トランシーバを含むブレスレットなどのゲスト用ウェアラブル装置からのフィードバックに基づくことができる。したがって、飛行計画は、定期的に又はリアルタイムで更新することができる。
【0035】
特殊効果車両は、乗り物に組み込むこともできる。図10は、乗り物テーマの一部である空飛ぶ恐竜の外観を含む特殊効果車両18を実装した、恐竜をテーマとする乗り物の概略図である。1つの実施形態では、例えばウェアラブル装置144からの信号を介してゲスト140が特殊効果車両の付近に近づいたと判断された時に、火炎効果などの特殊効果が誘発される。複数の特殊効果車両18を、乗り物の位置の周囲のランダムな又は所定の飛行計画を実行してゲストの没入感を高めるようにプログラムすることができる。また、特殊効果車両18を乗り物の待ち行列に展開して、乗り物を待っている間のゲストの興味を引くこともできる。1つの実施形態では、特殊効果車両の飛行経路が、ゲストが特殊効果車両18を追いかけるように経路又は迷路を通じてわずかに前方に留まってゲストを導くように機能することができる。
【0036】
さらに別の実施形態では、特殊効果車両18を、限られた範囲内で「ステーション滞在」を行って、見込まれるゲストの相互作用を待つようにプログラムすることができる。例えば、ゲストがショッピングエリア及びレストランエリアを通過する際に、暗い路地に配置された特殊効果車両18が閃光効果又は煙効果を引き起こすことができる。車両は、ゲストが近づいて特殊効果が誘発された後、次のゲストがやって来るまで、或いは特殊効果モジュールの交換又は点検が必要になるまでステーション滞在飛行計画を再開する。このような特殊効果は、乗り物内で又はテーマパークの他のエリア内で使用することができる。
【0037】
本明細書に示す特殊効果システムは、パーク全体を通じて様々な場所で誘発できる非係留型特殊効果を通じてさらなるゲスト体験を促すこともできる。このような特殊効果は、補給又は交換前に限られた数の使用のためだけに誘発できる消耗型の特殊効果材料を使用する。図11は、様々な飛行計画を実行し(ブロック182)、特殊効果制御システムの制御下で1又は2以上の特殊効果材料を放出する(ブロック184)、娯楽場を通じた特殊効果車両の車両メンテナンス方法180のフロー図である。車両は、特殊効果の誘発後に、特殊効果材料の消費に関連するフィードバックを生成する(ブロック186)。このフィードバックは、特殊効果モジュールに結合された圧力センサなどのセンサによって生成することができる。この信号が特殊効果材料の枯渇に関連する場合、特殊効果制御システムは、特殊効果車両に信号を送り、特殊効果車両は、信号を受け取ってメンテナンスのために帰還する(ブロック188)。このようなメンテナンスは、特殊効果材料の補給又は交換を含むことができる。さらに、このメンテナンスは、メンテナンス場の適切な自動充填ステーションと整列するように個々の車両18に指示する自動的なものとすることもできる。この自動充填器及び/又は車両18からのフィードバックが、特殊効果モジュール70のメンテナンスが完了したこと(例えば、適切な充填レベルの特殊効果材料)を示すと、メンテナンス信号を停止し、及び/又はパーク内のステーションに戻る新たな命令を与えることができる。
【0038】
これまでに開示した実施形態は、テーマパーク又はその他の娯楽場のための特殊効果プラットフォームを提供する非係留型UAVの文脈で説明したものである。しかしながら、本実施形態は、係留型UAVを含むこともできる。例えば、図12に、ケーブル又は電源コード204を介して天井202に係留された特殊効果車両18を含むアトラクション環境200を示す。コード204は、車両18の電源72にさらに結合される。このようにして、内蔵電源を伴わずに車両18を実装することもでき、これによって何らかの重量的な利点をもたらすことができる。他の実施形態では、係留型車両18が、さらなる内蔵電源を有することもできる。
【0039】
本明細書では、本発明の実施形態のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正及び変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。さらに、開示した実施形態のいくつかの要素は、互いに組み合わせ、又は交換することもできると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12