特許第6672555号(P6672555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672555
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】断熱ドア用可撓性シール
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/16 20060101AFI20200316BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20200316BHJP
   E06B 7/12 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   E06B7/16 Z
   E06B5/00 B
   E06B7/12
【請求項の数】24
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517192(P2018-517192)
(86)(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公表番号】特表2018-532914(P2018-532914A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016060946
(87)【国際公開番号】WO2017083278
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】14/936,091
(32)【優先日】2015年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513012059
【氏名又は名称】ライト−ハイト ホールディング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ルワン, デレク
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー, ニコラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カーン, ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ホーナー, ウィリアム ダブリュー.
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−304750(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0060937(US,A1)
【文献】 特表2008−524791(JP,A)
【文献】 特開平02−092960(JP,A)
【文献】 特開昭64−003979(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3015163(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/16
E06B 7/22− 7/23
F25D 21/04
F25D 23/06−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア用のシールであって、
第1の装着レールと、
前記第1の装着レールから離間した第2の装着レールと、
前記第1の装着レールと前記2の装着レールとの間に延びた可撓性シートであって、前記第1の装着レール及び前記第2の装着レールから遠ざかる方向に偏倚して、前記ドアが閉位置にあるときに前記ドアに封止係合するようになっている、可撓性シートと、
前記可撓性シートの内面をライニングする弾性断熱材であって、前記可撓性シートを前記第1の装着レール及び前記第2の装着レールから遠ざかる方向に偏倚させており、前記弾性断熱材は、前記第1の装着レールに隣接した第1の断熱セグメントと、前記第2の装着レールに隣接した第2の断熱セグメントとを含み、前記第1の断熱セグメントは、前記第2の断熱セグメントとは別体である、弾性断熱材と
を含む、シール。
【請求項2】
前記第1の装着レールを前記第2の装着レールに接続する接続ブロックをさらに含み、前記接続ブロックは、前記第1の装着レール又は前記第2の装着レールよりも熱伝導性が低い、請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記第2の装着レールは、壁に直接固定されており、前記第1の装着レールは、前記接続ブロック及び前記第2の装着レールを介して前記壁に間接的に固定されている、請求項2に記載のシール。
【請求項4】
前記第1の装着レールと前記第2の装着レールとの間に延びた断熱ブロックをさらに含み、前記可撓性シート及び前記断熱ブロックが前記シール内に密閉領域を形成している、請求項1に記載のシール。
【請求項5】
前記断熱ブロックに取り付けられて前記密閉領域を加熱する自己調節式ヒートテープをさらに含む、請求項4に記載のシール。
【請求項6】
前記弾性断熱材は、前記密閉領域内に配置されている、請求項4に記載のシール。
【請求項7】
前記可撓性シートは、第1のケダー縁部を介して前記第1の装着レールに連結されており、前記可撓性シートは、第2のケダー縁部を介して前記第2の装着レールに連結されている、請求項1に記載のシール。
【請求項8】
前記第1の断熱セグメントと前記第2の断熱セグメントは互いに当接している、請求項に記載のシール。
【請求項9】
前記第1の断熱セグメントは、前記第2の断熱セグメントから離間して隙間を形成している、請求項に記載のシール。
【請求項10】
前記可撓性シートを前記第1の装着レール及び前記第2の装着レールから遠ざかる方向に偏倚させるステーをさらに含む、請求項1に記載のシール。
【請求項11】
前記可撓性シートは、前記ドアが部分的開位置にあるとき、前記ドアの本体から離間している、請求項1に記載のシール。
【請求項12】
ドア用のシールであって、
第1の縁部と前記第1の縁部とは反対側の第2の縁部とを有する可撓性シートであって、前記第1の縁部は、前記ドアに付随する戸口に隣接する壁に連結されており、前記第2の縁部は、密閉領域を形成するように前記第1の縁部から離間して前記壁に連結されている、可撓性シートと、
前記壁に面した前記可撓性シートの内面をライニングする断熱材であって、前記可撓性シートを前記ドアのドアパネルの経路内へと前記壁から遠ざかる方向に偏倚させて、前記ドアパネルが閉位置にあるときに前記ドアパネルに封止係合させるようになっており前記断熱材は、前記可撓性シートの前記第1の縁部に隣接した第1の断熱セグメントと、前記可撓性シートの前記第2の縁部に隣接した第2の断熱セグメントとを含み、前記第1の断熱セグメントは、前記第2の断熱セグメントから離間している、断熱材と
を含む、シール。
【請求項13】
第1の装着レールと、
第2の装着レールと、
前記第1の装着レールと前記第2の装着レールを接続する接続ブロックと
をさらに含み、
前記接続ブロックは、前記第1の装着レールと前記第2の装着レールとの間の間隔を維持するためのものであり、前記可撓性シートの前記第1の縁部は、前記第1の装着レールを介して前記壁に連結されており、前記可撓性シートの前記第2の縁部は、前記第2の装着レールを介して前記壁に連結されている、
請求項12に記載のシール。
【請求項14】
前記接続ブロックは、前記第1の装着レール及び前記第2の装着レールよりも熱伝導性が低い材料で形成されている、請求項13に記載のシール。
【請求項15】
前記第1の装着レールと、前記第2の装着レールと、前記接続ブロックとに隣接して前記密閉領域内に配置された断熱ブロックをさらに含み、前記断熱ブロックは、前記密閉領域内の空気を前記第1の装着レール、前記第2の装着レール、及び前記接続ブロックから隔離するためのものである、請求項13に記載のシール。
【請求項16】
前記密閉領域内に、前記密閉領域を加熱するための自己調節式ヒートテープをさらに含む、請求項12に記載のシール。
【請求項17】
前記可撓性シートを前記第1の装着レール及び前記第2の装着レールから遠ざかる方向に偏倚させるための、前記シール内に配置されたステーをさらに含む、請求項13に記載のシール。
【請求項18】
前記断熱材は、前記可撓性シートの前記第1の縁部と前記可撓性シートの前記第2の縁部との間に実質的に延びている、請求項12に記載のシール。
【請求項19】
前記ドアパネルの前記経路は、前記ドアパネルの外縁部に沿った突出部によって定められており、前記突出部は、前記ドアパネルの本体の表面から前記壁に向かって延びており、前記壁から遠ざかる方向に偏倚しているときの前記可撓性シートの最外端は、前記ドアパネルが部分的開位置にあるときに前記本体の表面から離間したままである、請求項12に記載のシール。
【請求項20】
ドア用のシールであって、
壁装着部と、
前記壁装着部に固定される第1の縁部と前記壁装着部に固定される第2の縁部とを有する可撓性シートであって、前記可撓性シートと前記壁装着部とが内部空洞を形成している、可撓性シートと、
前記可撓性シートの内面に貼付されたフォームライニングであって、前記可撓性シートを前記壁装着部から遠ざかる方向に偏倚させて、前記ドアが閉位置にあるときに前記ドアに封止係合させるようになっており、前記フォームライニングは、前記可撓性シートの前記第1の縁部と前記可撓性シートの前記第2の縁部との間に不連続部を含み、前記不連続部は、前記フォームライニング内のスリット、および前記フォームライニングの別個のセグメント間の隙間の少なくとも一方に対応している、フォームライニングと、
前記内部空洞内に配置されて前記内部空洞及び前記フォームライニングを加熱するヒートテープと
を含む、シール。
【請求項21】
前記ヒートテープは、自己調節式ヒートテープである、請求項20に記載のシール。
【請求項22】
前記内部空洞内に前記壁装着部に当接して配置され、前記内部空洞内の空気を前記壁装着部から隔離する断熱ブロックをさらに含む、請求項20に記載のシール。
【請求項23】
前記ヒートテープは、前記断熱ブロックに貼付されている、請求項22に記載のシール。
【請求項24】
前記シールの長さに沿って分散し、前記可撓性シートを前記壁装着部から遠ざかる方向に偏倚させる複数のステーをさらに含む、請求項20に記載のシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]開示は、一般に断熱ドアに関し、より具体的には断熱ドア用の可撓性シールに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]水平摺動ドアは、多くの場合、頭上軌道に沿って移動するキャリッジによって吊り下げられた1枚以上のドアパネルを含む。ドアを開閉するために、キャリッジは、戸口の開口部の前でドアパネルを略水平方向に動かす。パネルの運動は、動力により又は手動で操作することができる。
【0003】
[0003]摺動ドアは、一般に腐りやすい食品の貯蔵のために用いられる、建物内の冷却された領域である冷蔵室又はロッカーへのアクセスを提供するために用いられることが多い。多くの冷蔵室又は冷凍室は、フォークリフト及びその他の資材搬送機器が進入して大量の製品を室内外に移動させるのに十分に大きい。室へのアクセスは、多くの場合、その室を建物の他の部分から隔てる動力駆動断熱ドアを通る。冷蔵室を閉め切るために摺動ドアが使用されることが多いが、それは、室の冷却負荷を削減するために断熱材を用いて摺動パネルを厚く作ることが比較的容易であるためである。しかしながら、冷蔵室は、スイングドア、ロールアップドア、二つ折りドア、又は頭上収納式ドアのようなその他のタイプのドアを有することもある。冷蔵室開口部に施工されるドアのタイプにかかわらず、ドアパネルの周囲の縁部のシールが不十分だと、冷却損失が生じてドアの特定の領域に霜が蓄積することがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】ドアパネルが閉位置にある、本開示の教示により実装される例示的なドアを示す。
図2】ドアパネルが完全開位置にある図1の例示的なドアを示す。
図3図1の線3−3に沿った、図1及び図2の例示的なシールの断面図である。
図4図2の線4−4に沿った、図1及び図2の例示的なシールの断面図である。
図5図1及び図2の例示的なドアに関連して用いることができる別の例示的なシールの断面図である。
図6図1及び図2の例示的なドアに関連して用いることができる別の例示的なシールの断面図である。
図7図1及び図2の例示的なドアに関連して用いることができる別の例示的なシールの断面図である。
図8図1及び図2の例示的なドアに関連して用いることができる別の例示的なシールの断面図である。
図9】本開示の教示により実装される別の例示的なドアを示す。
図10図9の線10−10に沿った、図9の例示的なシールの断面図である。
図11】ドアパネルが閉位置にある、本開示の教示により実装される別の例示的なドアを示す。
図12】ドアパネルが部分的開位置にある図11の例示的なドアを示す。
図13図11の線13−13に沿った、図11及び図12の例示的なシールの断面図である。
図14図12の線14−14に沿った、図11及び図12の例示的なシールの断面図である。
【0005】
[0016]図面は縮尺通りではない。むしろ、多重の層及び領域を明確にするために、図中、層の厚さを拡大している場合がある。可能な限り、図面及び付随する説明全体を通して、同じ又は類似の部分を示すのに同じ符号を使用する。本特許において使用されるとき、いずれかの部分(例えば、層、フィルム、領域、又はプレート)が何らかの形で別の部分の上にある(例えば、上に位置決めされる、上に位置する、上に配置される、又は上に形成される、など)と述べることは、言及した部分が、他の部分と接触していること、又は言及した部分が1つ以上の間に介在した中間部分を伴って他の部分の上方にあること、のいずれかを意味する。いずれかの部分が他の部分と接触していると述べることは、2つの部分の間に中間層が介在しないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0017]低温の冷凍機環境をより高温の領域から隔てるために用いられる摺動ドア(及び/又は他のタイプのドア)は、多くの場合、ドアフレームの周囲に装着されたシールを含み、ドアフレームを保持する壁と摺動ドアが並進する経路との間の隙間を埋めるようになっている。結果として、ドアパネルは、ドアパネルが開閉するときにシールを横切ることになる。ドアパネルとシールとの間の係合は、ドアの片側の冷蔵領域と他方の側のより高温の領域との間の空気の漏れを低減する。シールとドアパネルとの間に信頼性の高い封止係合を達成するには、いくつかの課題がある。例えば、ある種のドアは、ドアパネル及び/又は付随する軌道及び案内システムに重大な損害を生じさせることなく衝撃に耐えるように構築されている。いくつかの例において、ドアに対する衝撃の影響は、ドアに、そのドアが閉ざす戸口を通過する方向に関してなんらかの順応性(give)又は位置自由度を与えることによって軽減することができる。結果として、ドアパネルは、開閉のたびに必ずしも完全に同じ位置にならず、シールによって閉め切られることになる隙間がドアの各サイクルによって変動することがある。それゆえ、シールは、ある時にはドアパネルと封止係合することができるが、他の時にはシールとドアパネルとの間に空間が存在し得る。冷蔵室用のドアシールの別の課題は、霜がドア上、シール上、及び/又はシール内側に形成されることである。このような霜は、シールの封止能力に悪影響を有することがある。
【0007】
[0018]ドアパネルの位置の変動及び/又は霜の形成の問題を解決するために、ある種のドアは、加熱空気で満たされた膨張式シールを含む。空気は、シールを膨らませて壁とドアパネルとの間の距離を埋め、ドアパネルの具体的な位置にかかわらず、ドアパネルを適正に係合する。加えて、空気を加熱して霜の蓄積の可能性を低くすることができる。シールを通して加熱空気を送風することで上記問題点を解決することができるとはいえ、かかるシステムの稼働は、比較的費用がかかることがあり、また、ブロワ、ヒータ、及びダクトの構成要素は、場所を取り、かつ頻繁な保守を要することがある。
【0008】
[0019]ドアパネルの位置の変動に対する別の解決策は、膨張してドアパネルの表面に係合する弾性フォーム又はその他の材料をシール内で使用することを伴う。さらに、フォームの断熱能力は、霜の形成の可能性を低下させることに役立つことができる。しかしながら、弾性フォーム材料は、低温(例えば冷蔵室内温度)に曝されたときに固化して剛直になることによって、その可撓性を失うことがある。そのため、このようなフォーム断熱材が長期間にわたって閉位置でドアパネルによって圧縮されるとともにドアパネルによって閉め切られた冷蔵領域の低温に供されたときに、フォーム断熱材がその圧縮形態で固化してしまうことがあり、その結果、パネルの位置が再び開閉した後で移動した場合に膨張又は移動することができずドアパネルと係合することができなくなってしまう。
【0009】
[0020]本明細書で開示される例は、可撓性シートを含む、壁に装着されたシールであって、該可撓性シートをライニングする弾性断熱材によってドアパネルに向かって外方に偏倚しているシールによって、これら課題を克服する。いくつかの例において、シールは、空洞内の空気を加熱して冷蔵室に付随した低い外部温度にかかわらず断熱材を完全な可撓性を可能にするのに十分な高温に保持するために、シールの内部空洞内に自己調節式ヒートテープを含む。
【0010】
[0021]より具体的には、第1の装着レールと、第1の装着レールから離間した第2の装着レールとを含む、ドア用の例示的なシールが開示される。例示的なシールは、第1の装着レールと第2の装着レールとの間に延びた可撓性シートをさらに含む。可撓性シートは、第1及び第2の装着レールから遠ざかる方向に偏倚しており、ドアが閉位置にあるときにドアに封止係合するようになっている。
【0011】
[0022]別の例示的なドア用シールは、第1の縁部と、第1の縁部とは反対側の第2の縁部とを有する可撓性シートを含む。第1の縁部は、ドアに付随する戸口に隣接する壁に連結され、第2の縁部は、第1の縁部から離間して該壁に連結されて密閉領域を形成する。例示的なドアは、壁に面した可撓性シートの内面をライニングする断熱材をさらに含む。断熱材は、可撓性シートを、ドアのドアパネルの経路内へと壁から遠ざかる方向に偏倚させており、ドアパネルが閉位置にあるときにドアパネルに封止係合させるようになっている。
【0012】
[0023]別の例示的なドア用シールは、壁装着部と、壁装着部に固定される第1の縁部と壁装着部に固定される第2の縁部とを有する可撓性シートとを含む。可撓性シート及び壁装着部は、内部空洞を形成する。例示的なシールは、可撓性シートの内面に貼付されたフォームライニングをさらに含む。フォームライニングは、可撓性シートを壁装着部から遠ざかる方向に偏倚させており、ドアが閉位置にあるときにドアに封止係合させるようになっている。例示的なドアは、内部空洞内に配置されて内部空洞及びフォームライニングを加熱する、ヒートテープをさらに含む。
【0013】
[0024]図1図2は、本開示の教示を実装する例示的なドア100を示す。図1の図示例において、ドア100は、壁108の戸口106を塞ぐ、閉位置にある2つの並進ドアパネル102、104を含む。図2の図示例において、ドアパネル102、104は、戸口106を塞がない完全開位置にある。
【0014】
[0025]図示例は、2つの水平並進ドアパネルを示すが、本開示の教示は、その他のドアのタイプ及び/又は構成に適用することができる。例えば、本開示の教示は、1枚のパネルのみを有するドア又は2枚以上のパネルを有するドアに適用することができる。さらに、本開示の教示は、垂直並進ドア(例えば、ロールアップドア、頭上収納式ドアなど)、旋回ドア、及び/又は他の任意のタイプのドアに適用することができる。さらにまた、本開示の教示は、可撓性ドア(例えば、布製)又は剛性ドア(例えば、ファイバーグラス製、剛性フォーム製、金属製など)に適用することができる。しかしながら、説明の目的で、本開示の教示を、図1及び図2の例示的なドア100を参照して説明する。
【0015】
[0026]図示例において、パネル102及び104は、頭上軌道112に沿って転動、摺動、又は別の方法で移動することができるパネルキャリア110から吊り下げられている。いくつかの例において、ドア100のドアパネル102、104は、駆動ユニット114によって、閉位置(図1)と開位置(図2)との間で動かされる。かかるいくつかの例において、駆動ユニット114は、モータ駆動スプロケット118と遊びスプロケット120との間で支持されたローラチェーン116を含む。図示例において示されるように、チェーン116の下部分122は、第1のドアパネル102に付随するパネルキャリア110の1つにファスナ124を介して連結され、一方、チェーン116の上部分126は、第2のドアパネル104に付随するパネルキャリア110の1つに別のファスナ128を介して連結される。このようにして、スプロケット118の駆動回転及び対応するチェーン116の運動が、ドアパネル102、104が互いに向かう方向に移動してドア100を閉じるか、又は遠ざかる方向に移動してドア100を開くかを決定する。いくつかの例において、ドア100は、手動で操作することができ、及び/又は駆動ユニット114に手動制御機能を設けることができる。
【0016】
[0027]いくつかの例において、ドア100は、建物内の1つの領域を他の領域から隔てる役割を果たす。より具体的には、いくつかの例において、ドア100の片側の第1の領域318(図3)は、ドア100の他方の側の第2の領域320(図3)とは異なる温度で維持されることが意図された、冷蔵室又はその他の領域に対応する。すなわち、いくつかの例において、第1の領域318は、第2の領域320よりも低い温度で維持される。しかしながら、他の例において、第1の領域318は、第2の領域320よりも高い温度で維持することができる(例えば、第2の領域320が冷蔵室に対応する)。さらに、他の例において、第1及び第2の領域318、320の温度は、ほぼ同じにすることができる。
【0017】
[0028]いくつかの例において、ドアパネル102、104は、断熱材料で作られ及び/又は断熱材料を含み、ドア100の両側の第1及び第2の領域318、320間の熱伝達を低減する。例えば、ドアパネル102、104は、保護カバーに包まれた断熱フォームコアで作ることができる。他の例において、ドアパネル102、104は、断熱材が充填された金属スキン又は外部構造を有することができる。他の例において、ドアパネル102、104は、断熱パッドが間に配置された2枚の可撓性シートで形成することができる。他のパネル構造及び/又は材料を、付加的に又は代替的に使用することができる。
【0018】
[0029]図示例において、ドアパネル102、104は、その開位置と閉位置との間の運動を可能にするために壁108からある距離を置いて離間されている。結果として、ドア100が閉じているとき、ドアパネル102、104と壁108との間に隙間が存在し得る。空気は、この隙間をドア100の両側の領域318、320間で通過することができる。したがって、図1及び図2の図示例において、ドア100に、戸口106の側縁部136及び/又は上縁部138に沿って延びるシール134を設ける。例示的なシール134は、ドアパネル102、104と壁108との間の隙間を閉め切る役割を果たし、ドア100が閉じているときにドア100の両側間の空気の漏れを低減(例えば防止)する。
【0019】
[0030]図3及び図4に関連してより詳細に後述するように、例示的なシール134は、壁装着部302(図3)に連結された可撓性シート144の互いに反対側の縁部140、142によって形成された細長い管状構造を形成する。いくつかの例において、可撓性シートは、例えばウレタンコートポリエステルのような、強靭な可撓性の布地である。いくつかの例において、壁装着部302は、壁108に取り付けられ、戸口106の側縁部136及び上縁部138に隣接して延びる。いくつかの例において、可撓性シート144は、壁装着部302(及び壁108)から遠ざかる方向にドアパネル102、104の経路内へと偏倚され、ドアパネルが閉位置にあるとき又はそれ以外にシール134の前に位置したとき(例えば部分的閉位置にあるとき)にドアパネル102、104との封止係合を促進する。すなわち、可撓性シート144の外方偏倚は、シール134が壁108とドアパネル102、104との間の隙間を閉め切ることを可能にする。
【0020】
[0031]いくつかの例において、可撓性シート144は、可撓性シート144の内面をライニングする弾性断熱材322によって外方に偏倚している。いくつかの例において、断熱材322は、弾性フォームで作られ、これは、ドアパネル102、104がシール134に接触したことに応答して圧縮され得る及び/又は屈曲し得るが、ドアパネル102、104がシール134から外れると(例えば図2の完全開位置にあるとき)元の膨張形態に戻って可撓性シート144をドアパネル102、104の経路内へと偏倚させる。可撓性シート144は、このようにして外方へ偏倚される。それゆえ、シール134は、膨張して壁108とドアパネル102、104との間の広い及び/又は不規則な隙間を満たすことができる。このことは、例えば、ドアの駆動及び/若しくは案内システムの不正確さゆえに毎回同じ位置まで閉めることができないドア、並びに/又は、ドアに対する衝撃を見越したなんらかの順応性又は位置自由度が与えられたドアにとって有益である。
【0021】
[0032]図示例のドア100は冷蔵室を閉め切ることを意図したものであるので、シール134の少なくとも片側は、比較的低い温度に供されることがある。かかる低温は、可撓性シート144を偏倚させることが意図された断熱材322の弾性に悪影響を及ぼし得る。すなわち、多くのタイプの弾性フォーム断熱材料は、長期間にわたって低温に曝されると固化され又は剛直になることがある。図示例においては、冷蔵室を低温に保持するためにドアパネル102、104は大部分の時間は閉位置にあるので、弾性断熱材が長期間にわたって圧縮状態にあることになる。いくつかの例において、断熱材がこの圧縮状態で冷蔵領域の低温に曝されている間に剛直になる可能性を低くするために、シール134は、シール134及び断熱材322の管状構造内部の空気を加熱するためのヒートテープ330(図3)を含む。このようにして、断熱材は、その弾性を維持し、ドアパネル102、104が完全開位置まで移動したときにはいつでも可撓性シート144をパネルの経路内へと外方に適正に偏倚させることになる。
【0022】
[0033]いくつかの例において、シール134の(側縁部136に沿った)垂直部分は、シール134の(上縁部138に沿った)水平部分と斜め継ぎを形成し、シール134が壁108に沿って戸口106全体を囲んで延びる管状構造を形成するようになっている。いくつかの例において、シール134の端部又は底部148をキャップ146が閉め切る。かかるいくつかの例において、キャップ146は、床に当接し及び/又はそれ以外の方式で床に封止係合し、空気がシール134の下を通ることを妨げる。いくつかの例において、シール134の底部148は、キャップ146で閉め切られなくてもよいが、キャップ146なしで床に直接当接し及び/又はそれ以外の方式で床に封止係合する。いずれの場合でも、いくつかの例において、シール134の底部は、開口部を含み、そこにワイヤを通してヒートテープ330を動力源150に電気的に結合することができる。
【0023】
[0034]図3は、ドアパネル102が(図1に示すように)閉位置にあるときの、圧縮状態にある例示的なシール134の断面図を示す。対照的に、図4は、ドアパネル102が(図2に示すように)完全開位置にあるときの、膨張状態にある例示的なシール134の断面図を示す。図示例において、シール134は、可撓性シート144の第1及び第2の縁部140、142で壁装着部302に連結された、可撓性シート144を含む。図示例において示すように、第1の縁部140は、第2の縁部142から離間されており、可撓性シート144が壁装着部302と共に略管状構造を形成するようになっている。いくつかの例において、縁部140、142は、可撓性シート144を壁装着部302に連結する、対応するケダー(keder)縁部304、306を有する。図示例におけるケダー縁部304、306は、可撓性シート144とは別個の構成要素として示されているが、他の例において、ケダー縁部304、306は、可撓性シート144と一体であってもよい。
【0024】
[0035]図示例において、壁装着部302は、可撓性シート144の第1の縁部140を固定するための第1の装着レール308と、可撓性シート144の第2の縁部142を固定するための第2の装着レール310とを含む。いくつかの例において、第1及び第2の装着レール308、310は、押出しアルミニウム又はファイバーグラスで形成される。図示例において、第2の装着レール310は、壁108への装着を容易にするために、L型ブラケット312と、別個のケダー軌道314とを含む。しかしながら、いくつかの例において、第2の装着レール310は、単体の部品として作られる。図示例において、第2の装着レール310は、壁108に直接(例えば、L型ブラケット312を介して)固定される。対照的に、図示例の第1の装着レール308は、壁108に直接取り付けるのではなく、接続ブロック316を介して第2の装着レール310に取り付けられる。接続ブロック316は、第1の装着レール308を第2の装着レール310に剛直に連結すると同時に、第1の装着レールを第2の装着レール310から離間した状態で保持する役割をはたす。いくつかの例において、接続ブロック316は、第1及び第2の装着レール308、310の材料よりも熱伝導性が低い材料で形成される。結果として、接続ブロック316は、装着レール308と310との間に断熱層(thermal break)をもたらして、壁装着部302を通じた熱伝導によるシール134の片側から他方の側への熱伝達を低減する。
【0025】
[0036]例えば、第1の装着レール308は、冷却された環境(例えば冷凍室)に対応する第1の領域318に曝される場合があり、その一方で、第2の装着レール310は、第1の領域318よりも高温の環境に対応する第2の領域320に曝される。第1の領域318の低い空気温度の結果として、第1の装着レール308は低めの温度を有することになるが、接続ブロック316(断熱材料製)が装着レール308、310間の熱伝達を低減する。結果として、熱損失は、壁装着部302が第1及び第2の領域318、320間で熱伝導により熱を通過させることを可能にする単体材料で作られた場合よりも少ないので、第1の領域318の比較的低い温度をより効率的に維持することができる。いくつかの例において、第1の装着レール308は、第2の装着レール310とは独立して壁108に直接固定される。かかるいくつかの例において、第1及び第2の装着レール308、310を離間して、接続ブロック316を排除することができる。
【0026】
[0037]図示例に示すように、可撓性シート144の内面は、断熱材322でライニングされる。いくつかの例において、断熱材は、ゴムフォーム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、又はその他の独立気泡フォームである。いくつかの例において、断熱材322は、接着剤で可撓性シート144に接合される。図示例において、断熱材322は、可撓性シート144に対して外方への偏倚力を及ぼして可撓性シートを壁108及び壁装着部302から遠ざかる方向に外方に膨らませるのに十分なほど剛性である。より具体的には、図示例に示すように、可撓性シート144は、壁108から遠ざかる方向に偏倚されて、ドアパネル102がシール134の前にあるとき(例えばドアパネルが図1及び図3に示すように閉位置にあるとき)パネルと封止係合する。さらに、ドアパネル102がシールの前にないとき(例えばパネルが図2及び図4に示すように完全開位置にあるとき)、可撓性シート144は、ドアパネル102の経路324内へと偏倚される。それゆえ、いくつかの例において、シール134は、ドアパネル102と封止係合しているときには圧縮状態にあり、ドアパネル102がシール134から外れているときには膨張状態にある。
【0027】
[0038]いくつかの例において、断熱材322は、弾性であり、可撓性シート144を、圧縮状態に拘束された後で膨張状態に駆動させる。結果として、ドアパネル102が開くたびに、断熱材322は、可撓性シート144を膨張状態へと偏倚させ、次いでドアパネル102が再び閉じるとドアパネルに接触させる。このようにして、可撓性シート144は、ドアパネル102が閉じるたびにこれに封止係合して、第1及び第2の領域318、320間の空気の漏れの可能性を低減する。いくつかの例において、膨張した形状におけるシール134のサイズは、壁108に対するドアパネル102の位置の潜在的な変動を考慮に入れて、ドアパネル102の経路324内へと延びるように構成される。
【0028】
[0039]外方に偏倚された可撓性シート144及び断熱材322は、シール134の管状構造内に密閉領域又は内部空洞326を形成する。図示例において示すように、断熱材322は、実質的に可撓性シート144の第1の縁部140と可撓性シート144の第2の縁部142との間に延びる。このようにして、断熱材322は、空洞326内の空気を周囲の領域318、320から絶縁部する役割を果たす。いくつかの例において、シール134は、空洞326内の空気を、第1の領域318の低温に曝されるので低温となり得る壁108及び壁装着部302の構成要素から隔てるために、壁装着部302(第1の装着レール308、第2の装着レール310、及び接続ブロック316を含む)に当接して配置された断熱ブロック328を含む。いくつかの例において、断熱ブロック328は、可撓性シート144をライニングする断熱材322と同じ材料で形成される。いくつかの例において、断熱ブロック328は、接続ブロック316と同じ材料で形成される。いくつかの例において、接続ブロック316は、断熱ブロック328と一体に形成される。いくつかの例において、断熱材322は、空洞326内の空気が断熱材料で囲まれるように断熱ブロック328に接続している。
【0029】
[0040]低温貯蔵室又はその他の冷蔵室へのドアは、典型的には、所望の温度を維持するために大部分の時間は閉ざされたままである。結果として、かかる例において、シール134は、大部分の時間、圧縮状態にある(閉じたドアパネル102の表面に当接している)蓋然性が高い。断熱材322は、通常の温度環境(例えば室温)下では弾性であり得るが、より低温の冷蔵室温度に曝されると断熱材が固化して剛直になる可能性がある。すなわち、低温において、断熱材322は、圧縮状態の位置に硬化してしまうことがあり、その結果、ドアパネル102が開いたときに、膨張してドアパネルの経路324内へと延びることがもはやできなくなる。このような状況においては、ドアパネル102が再び閉じたときにシール134の可撓性シート144とドアパネル102との間で適正な封止が達成できないことがある。したがって、いくつかの例において、シール134は、内部空洞326内に封入された空気及び断熱材322を加熱するために、内部空洞326に沿って(例えば断熱ブロック328上に)配置されたヒートテープ330を含み、冷蔵領域の比較的低い温度に曝されたときであっても断熱材322の弾性を維持するようになっている。さらに、いくつかの例において、ヒートテープ330によって生成された熱は、シール134(内側又は外側いずれか)上の霜の形成の可能性を低減する。いくつかの例において、ヒートテープ330は、自己調節式ヒートテープであり、温度が下がると熱出力を高め、温度が上がると熱出力を低下させる。ヒートテープ330の具体的な能力は、シール134のサイズ及びシール134が実装される環境に依存する。いくつかの例において、ヒートテープ330は、8ワット毎フィートを使用する。
【0030】
[0041]図5及び図6は、図1図4の例示的なシール134と類似した別の例示的な500を示す。しかしながら、上述のシール134とは異なり、図5及び図6の例示的なシール500は、可撓性シート502の第1の縁部506と可撓性シート502の第2の縁部508との間で不連続な断熱材504でライニングされた、可撓性シート502を含む。より具体的には、断熱材504は、第1の縁部506に隣接した第1の断熱セグメント510と、第2の縁部508に隣接した第2の断熱セグメント512とを含む。図示例において、第1及び第2の断熱セグメント510、512は、それらの間に隙間514を形成するように離間している。他の例において、第1の断熱セグメント510は、第2の断熱セグメント512と接触し又は当接していてもよい(これらはスリットによって分離される)。いくつかの例において、断熱材504の不連続部(隙間514又はスリット)は、断熱材504が低温に供されたときに圧縮状態(図5)で固化することによって断熱材504がもはや弾性ではなくなって可撓性シート502を外方に向かって偏倚させて膨張状態(図6)にすることができないようになる可能性を低減する。
【0031】
[0042]図7及び図8は、図1図4の例示的なシール134と類似した別の例示的なシール700を示す。しかしながら、上述のシール134とは異なり、図7及び図8の例示的なシール700は、図1図4のシール134の断熱材322よりもはるかに厚い断熱材704でライニングされた可撓性シート702を含む。例えば、いくつかの例において、図1図4のシール134における断熱材322は、およそ0.25インチから0.5インチまでの範囲の厚さを有するのに対し、図7及び図8の断熱材704は、1インチから2インチまでの範囲の厚さを有する。断熱材の具体的な厚さは、シールのサイズ及び/又はその他の関連要因に依存し得る。いくつかの例において、断熱材704は、可撓性シート702及び壁装着部706によって形成された密閉領域を実質的に(例えば少なくとも85%)満たす。いくつかの例において、断熱材704は、ドアパネル102に当接して圧縮されたときに断熱材704の圧縮を促進する、開放空気の小空洞708を形成する。別の例において、シール700内には開放空気の空洞は存在しない。いくつかの例において、図1図4のシール134とは異なり、図7及び図8のシール700はヒートテープを含まないが、それは、断熱材704が、シール700を内部加熱しなくても固化して剛直になることを回避することができるほど十分に厚いためである。
【0032】
[0043]図9は、図1の例示的なドア100と類似した別の例示的なドア900を示す。しかしながら、図1の例示的なドア100とは異なり、図9の例示的なドア900は、複数の離間したステー904を有するシール902を含む。いくつかの例において、ステー904は、シール902の可撓性シート906をドアパネル102、104の経路内へと外方に偏倚させて、ドアパネル102、104との封止係合を維持する役割を果たす。図10の断面図に示すように、いくつかの例において、ステー904は、可撓性シート906の第1及び第2の縁部908、910間で可撓性シート906の内面に沿って延びている。いくつかの例において、ステー904は、可撓性シート906をライニングする断熱材912の弾性に加えて、偏倚力を提供する。いくつかの例において、ステー904は、断熱材912の代わりに用いられるので、断熱材912は随意的である。いくつかの例において、ステー904は、可撓性シート906の内面に沿って屈曲した又はアーチ形にされたファイバーグラスストリップである。ステー904は、任意の適切なサイズのものであり、かつ任意の適切な距離で離間したものとすることができる。例えば、ステー904は、およそ0.25インチ幅であり、かつ、シール902の長さに沿っておよそ12インチ離間して配置することができる。他の例において、ステー904は、より広幅又は狭幅にすることができ(例えば1/8インチ、1インチなど)、及び/又は様々な間隔(例えば、6インチ、2フィートなど)で離間することができる。
【0033】
[0044]図11図14は、本明細書で説明した例示的なシール134、500、700、902のいずれかに関連して実装することができる別の例示的なドア1100を示す。説明の目的で、例示的なドア1100を、図1図4に関連して上述したシール134に関して説明する。図示例で示すように、ドア1100は、2つの並進ドアパネル1102、1104を含む。図11図14のドアパネル1102、1104は、図1図4のドアパネル102、104と類似しているが、ドアパネル1102、1104は、シール134及び戸口106に面したパネルの表面上に突出部1106を含む。より具体的には、図11に示すように、突出部1106は、各パネルの外側縁部1108及び上縁部1110に沿って延びており、ドアパネル1102、1104が閉位置にあるときにはシール134と位置合わせされる。
【0034】
[0045]説明の目的で、突出部1106が(外側縁部及び上縁部1108、1110に沿って)位置するドアパネル1102、1104の部分を、本明細書においてドアパネル1102、1104の外縁部1112と称する。ドアパネル1102、1104の(外縁部1112を除く)残りの部分を、本明細書においてドアパネルの本体1114と称する。図13及び図14の図示例に示すように、ドアパネル1102、1104の本体1114は、ドアパネル1102、1104の外縁部1112に付随する(例えばパネルの外縁部1108及び上縁部1110に沿った)縁部厚さ1118より薄い本体厚さ1116を有する。いくつかの例において、本体厚さ1116は、およそ3インチから4インチまでの範囲であり、一方、縁部厚さ1118は、およそ4.5インチから5.5インチまでの範囲である(例えば、突出部はおよそ1.5インチ厚さである)。いくつかの例において、突出部1106は、ドアパネル1102と一体に作られる。他の例において、突出部1106は、それ以外は概ね一定の厚さを有するドアパネルに取り付けることができる。すなわち、いくつかの例において、既存のドアパネルに本明細書で説明する突出部1106を後付けすることができる。
【0035】
[0046]図14の図示例で示すように、シール134に最も近いドアパネル1102の移動経路の境界は、ドアパネルの突出部1106の経路1120に対応する。それゆえ、シール134が膨張形態にあるとき(図14)、シール134は、突出部1106の経路1120内へ延びており、ドアパネル1102が閉位置にあるとき(図13)、ドアパネル1102との(突出部1106における)封止係合を確実にする。しかしながら、いくつかの例において、膨張形状のシール134は、ドアパネル1102の本体1114に接触するほど十分に外に延びていない。換言すれば、膨張形状のシール134の最外端1122は、ドアパネル1102が部分的開位置又は完全開位置にあるときには、本体1114から離間したままである。このようにして、ドアパネル1102、1104は、閉位置と完全開位置との間のドアパネル1102、1104の運動のうち短時間の部分の間にのみシール134の垂直部分に接触することになるので、シール134の垂直部分が経験する摩耗がより少なくなる。
【0036】
[0047]突出部1106の具体的なサイズ及び/又は形状は、シール134の構成及び/又は壁108に対するドアパネル1102、1104の位置に適切に適合させることができる。いくつかの例において、突出部1106は、適正な封止係合を確実にするように、シール134の幅とほぼ同じか又はわずかに大きく(例えばサイズの2倍)構成される。さらに、いくつかの例において、突出部1106は、シール134の最外端1122とシール134の本体1114との間に隙間又は空間がもたらされるように、シール134が圧縮状態(図13)と膨張状態(図14)との間で壁108から延びる距離の差が突出部の厚さより小さくなるように構成される。例えば、シール134は、およそ4インチ幅であり、突出部1106は、およそ8インチ幅で、厚さはおよそ1.5インチとすることができる。かかるいくつかの例において、シール134が圧縮状態(図13)に比べて膨張状態(図14)で壁108から外方に延びる距離は、1.5インチ未満(例えば1インチ)である。例えば、膨張状態における壁108からのシール134の最外端1122の距離は、およそ3インチとすることができ、一方、壁108と突出部1106との間の距離(すなわち圧縮状態にあるときの壁108からシール134の最外端1122との距離)は、およそ2インチである。
【0037】
[0048]上記のことから、上記開示の方法、装置及び製造物品は、可撓性シートを弾性断熱材でライニングすることによって可撓性シートを偏倚させて閉位置でドアパネルと係合させることにより、冷蔵室に対するドアの効果的なシールを可能にすることが認識される。本明細書で開示された例示的なシールは、長期間にわたって圧縮されるとともに冷蔵室の低温環境に供されてもその弾性又は可撓性を維持するように、断熱材を加熱するためのヒートテープを含む。さらに、本明細書で開示された例示的なシールは、シールの高温側からシールの低温側への熱伝導を低減するための断熱性接続ブロックを介して連結された離間した装着レールで作られた壁装着部を含み、それにより冷蔵室の冷却負荷が削減される。
【0038】
[0049]特定の例示的な方法、装置及び製造物品を本明細書において開示したが、本特許の有効範囲は、それらに限定されない。逆に、本特許は、本特許の特許請求の範囲内に適正に入るすべての方法、装置及び製造物品を有効範囲に含む。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13
図14