特許第6672567号(P6672567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6672567太陽電池モジュール用の同時押出バックシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672567
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール用の同時押出バックシート
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20200316BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20200316BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20200316BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20200316BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20200316BHJP
   C08L 23/18 20060101ALI20200316BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20200316BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20200316BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20200316BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20200316BHJP
【FI】
   H01L31/04 562
   C08L77/00
   C08L51/00
   C08L21/00
   C08L101/00
   C08L23/18
   B32B25/08
   B32B27/34
   B29C48/18
   B29L9:00
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-575058(P2016-575058)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2017-522728(P2017-522728A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015064938
(87)【国際公開番号】WO2016001280
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】14175785.6
(32)【優先日】2014年7月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デュインホーフェン, ファン, フランシスカス ゲラルドゥス ヘンリクス
(72)【発明者】
【氏名】メイジャース, ギド ジョゼフィーナ ウィルヘルムス
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−043065(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/021003(WO,A1)
【文献】 特表2014−511562(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0144499(US,A1)
【文献】 特開2013−086510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20
B32B 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールのバッキング層であって、
(i)(a)ポリアミドと、(b)エラストマーと、(c)前記ポリアミドに対して化学的に結合する基を含む官能化エラストマーとを含む第1のポリマー組成物であって、(前記第1のポリマー組成物中に存在するポリアミド(a)ならびにエラストマー(b)および(c)の全重量の)10〜90重量%の前記ポリアミド(a)ならびに10〜90重量%の前記エラストマー(b)および(c)を含み、前記ポリアミドに対して化学的に結合する前記基が、無水物類、酸類、エポキシド類、シラン類、イソシアネート類、オキサゾリン類、チオール類、および/または(メタ)メタクリレート類からなる群から選択される、第1のポリマー組成物と、
(ii)50〜98重量%のエラストマーと、前記太陽電池および場合により前記第1のポリマー組成物に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する0.15〜5重量%の基とを含み(第2のポリマー組成物の重量を基準とする)、前記太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する前記基が、無水物類、酸類、エポキシド類、シラン類、イソシアネート類、オキサゾリン類、チオール類、および/または(メタ)メタクリレート類からなる群から選択される、第2のポリマー組成物と
の溶融同時押出によって得られる、太陽電池モジュールのバッキング層。
【請求項2】
前記ポリアミド(a)が前記第1のポリマー組成物の連続相を構成し、前記エラストマー(b)および(c)が前記第1のポリマー組成物の分散相を構成し、前記第1のポリマー組成物が、(前記第1のポリマー組成物中に存在するポリアミド(a)ならびにエラストマー(b)および(c)の全重量の)50〜90重量%の前記ポリアミド(a)、ならびに10〜50重量%の前記エラストマー(b)および(c)を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッキング層。
【請求項3】
前記ポリアミドに対して化学的に結合する基を含むエラストマー(c)(官能化エラストマー)の前記第1のポリマー組成物中の量が(前記第1のポリマー組成物中のエラストマー(b)および(c)の全重量の)5〜50重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッキング層。
【請求項4】
前記ポリアミドが、ポリアミド−6,6、ポリアミド−4,6、およびポリアミド−6、ならびにそれらのあらゆる混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項5】
前記第1のポリマー組成物中の前記エラストマー(b)が、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項6】
前記エチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーがエチレン−オクテンコポリマーであることを特徴とする請求項5に記載のバッキング層。
【請求項7】
前記エチレン−オクテンコポリマーがメタロセン触媒の存在下での重合によって得られることを特徴とする請求項6に記載のバッキング層。
【請求項8】
前記ポリアミドに対して化学的に結合する前記基が、不飽和ジカルボン酸無水物類、不飽和ジカルボン酸類、および不飽和ジカルボン酸エステル類、ならびにそれら2種類以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項9】
前記官能化エラストマー(c)が、エラストマーと、マレイン酸、無水マレイン酸および/またはフマル酸とのグラフト重合によって得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項10】
前記第2のポリマー組成物中に存在し前記太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基が、シラン類、エポキシド類、無水物類、シラン類とエポキシド類との組合せ、または無水物類とエポキシド類との組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項11】
シラン基およびエポキシド基が前記第2のポリマー組成物中に存在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項12】
前記太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する前記基が、そのような基を含むエラストマーを前記第2のポリマー組成物中にブレンドすることによって、前記第2のポリマー組成物中に導入されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項13】
前記第2のポリマー組成物中に存在し前記太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基の量が、(前記第2のポリマー組成物の全重量の)0.025〜2重量%であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項14】
前記第2のポリマー組成物中に存在し前記太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基の量が、(前記第2のポリマー組成物の全重量の)0.05〜2重量%であることを特徴とする請求項13に記載のバッキング層。
【請求項15】
前記第2のポリマー組成物中の前記エラストマーが、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のバッキング層。
【請求項16】
前記エチレンとα−オレフィンとのコポリマーがエチレン−オクテンコポリマーであることを特徴とする請求項15に記載のバッキング層。
【請求項17】
太陽に面する前面から太陽に面しない裏面までの位置の順で、透明ペイン、前面封止材層、1つ以上の電気的に相互接続された太陽電池で構成される太陽電池層、およびバッキング層を本質的に含み、前記バッキング層が前記太陽電池の下側に接続される太陽電池モジュールであって、前記バッキング層が請求項1〜16のいずれか一項に記載のものであり、前記第1のポリマー組成物が前記モジュールの前記太陽に面しない裏面に存在するように前記バッキング層が配置されることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項18】
前記太陽電池層中の前記太陽電池がウエハ系太陽電池であることを特徴とする請求項17に記載の太陽電池モジュール。
【請求項19】
前記バッキング層が前記太陽電池モジュールの背面層であり、前記バッキング層が前記太陽電池の下側に接続されることを特徴とする、太陽電池モジュールのバッキング層としての請求項1〜16のいずれか一項に記載のバッキング層の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用のバックシートに関する。本発明は、そのようなバックシートを含む太陽電池モジュールにも関する。さらに、本発明は、太陽電池モジュール用のバックシートの製造に使用できるポリマー組成物に関する。
【0002】
太陽電池モジュールまたは光起電力モジュールは、太陽光から電気エネルギーを発生させるために使用され、コア層として太陽電池システムを含む積層体からなる。このコア層(本明細書では太陽電池層とも記載する)は、機械的な影響および天候によって生じる影響から保護する機能を果たす封止材料で封止される。これらの封止材料は、プラスチックフィルムおよび/またはプラスチック複合材料の1つ以上の層からなることができる。
【0003】
これらは持続可能なエネルギー資源となるので、太陽電池の使用が急速に拡大している。より従来の太陽電池はウエハ系太陽電池である。
【0004】
単結晶シリコン(c−Si)、ポリ結晶シリコンまたは多結晶シリコン(ポリ−Siまたはmc−Si)、ならびにリボンシリコンは、より従来のウエハ系太陽電池の形成に最も一般的に使用される材料である。ウエハ系太陽電池から得られる太陽電池モジュールは、互いにはんだ付けされる一連の自立ウエハ(またはセル)を含むことが多い。ウエハは一般に約180〜約240ミクロンの間の厚さを有する。このような太陽電池のパネルは、太陽電池層と呼ばれ、個別のセル単位およびセルに接続される一端を有するバスバーを接続するクロスリボンなどの電気配線、ならびに別の既存のモジュールをさらに含むことができる。次に太陽電池層は、封止材層および保護層にさらに積層されて、少なくとも20年間使用できる耐候性モジュールが形成される。一般に、ウエハ系太陽電池から得られる太陽電池モジュールは、太陽に面する前面から太陽に面しない裏面までの位置の順で:(1)透明ペイン(フロントシートとなる)、(2)前面封止材層、(3)太陽電池層、(4)裏面封止材層、および(5)バッキング層(またはバックシート、モジュールの背面保護層となる)を含む。
【0005】
太陽電池モジュール中に使用される封止材層は、脆弱な太陽電池を封止し保護するように設計される。太陽電池の封止材層に適切なポリマー材料は、典型的には、高い耐衝撃性、高い貫入抵抗、良好な紫外(UV)光抵抗性、良好な長期熱安定性、ガラスおよび/または他の剛性ポリマーシートに対する十分な接着強度、高い耐湿性、および良好な長期耐候性などの特性の組合せを有する。現在、エチレン/酢酸ビニルコポリマーは最も広く使用されている封止材料であり、ポリビニルフルオリドおよびポリエチレンテレフタレートは、当産業分野においてバックシートに最も広く使用されている材料である。
【0006】
太陽電池モジュールが野外で使用される場合、封止材シートおよびバックシートがしっかりと封止されないと、水分が入って、層間剥離および/または破壊電圧が生じやすくなることが分かっている。したがって、互いに対する優れた接着性を有し、したがって太陽電池モジュールの耐候性が改善される封止材およびバックシート材料の開発が依然として必要とされている。
【0007】
典型的には多層バックシートが提供され、それに裏面封止材層接着される従来技術とは対照的に、本発明の目的は、バッキング層として使用される太陽電池モジュール用の層の製造に使用可能な適切な材料を見出すことであり、このバッキング層は太陽電池の下側に接続される。本発明では、バッキング層は、裏面封止材層およびバックシートの機能を1つの層に一体化し、太陽電池モジュールの背面層として使用される。
【0008】
この目的は、(i)(a)ポリアミドと、(b)エラストマーと、(c)上記ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基を含むエラストマーとを含む第1のポリマー組成物であって、10〜90重量%のポリアミド(a)ならびに10〜90重量%のエラストマー(b)および(c)(第1のポリマー組成物中に存在するポリアミド(a)ならびにエラストマー(b)および(c)の全重量を基準とする)を含む第1のポリマー組成物と、(ii)50〜98重量%(好ましくは60〜98重量%、より好ましくは70〜98重量%、さらにより好ましくは80〜98重量%)のエラストマーと、太陽電池および場合により第1のポリマー組成物に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する0.15〜5重量%の基(第2のポリマー組成物の重量を基準とする)とを含む第2のポリマー組成物との溶融同時押出によってバッキング層が得られる、または得ることができるという点で、実現された。バッキング層は、第1および第2のポリマー組成物の溶融同時押出によって形成される1つの層の形態である。
【0009】
驚くべきことに、請求される本発明のバッキング層は、太陽電池モジュールの背面層として適用可能であり、裏面封止材層およびバックシートの機能を一体化することが分かった。数層の代わりに1つの層を使用することは、層間剥離がない、積層に必要な層が少なくとも1つ少なくなるので太陽電池モジュールの製造がより単純になるなどのいくつかの利点を有する。さらに、太陽電池モジュールの製造中に水分および/または酸素が背面バッキング層と背面封止材層との間に入る危険性が低下し、したがって層間剥離および/または絶縁破壊の危険性が低下する。
【0010】
本明細書に言及されるエラストマーは、ヤング率(23℃でISO 527 1Aに準拠して測定される)が2MPa〜400MPaであるポリマー化合物を意味する。好ましくは5〜300MPa、より好ましくは5〜200MPa、さらにより好ましくは5〜100MPa。
【0011】
好ましくは、ポリアミド(a)は第1のポリマー組成物の連続相を構成し、エラストマー(b)および(c)は第1のポリマー組成物の分散相を構成し、第1のポリマー組成物は、(第1のポリマー組成物中に存在するポリアミド(a)ならびにエラストマー(b)および(c)の全重量の)50〜90重量%のポリアミド(a)、ならびに10〜50重量%のエラストマー(b)および(c)を含む。これによって、太陽電池を製造するための積層プロセス中に改善された寸法安定性(たとえばより少ない収縮によって示される)が得られる。
【0012】
ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する、第1のポリマー組成物中に存在する基の量は、好ましくは0.01〜5重量%である。0.025〜2重量%、好ましくは0.05〜2重量%(第1のポリマー組成物の全重量を基準とする)の含有量で最良の結果が一般に実現される。第1のポリマー組成物中の非官能化エラストマーの官能化エラストマーに対する重量比は、広い範囲内で変動することができ、エラストマーの官能基含有量、およびポリアミドポリマー中の利用可能な反応性基によって部分的には決定される。好ましくは、ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基を含むエラストマー(c)(官能化エラストマー)の第1のポリマー組成物中の量は、(第1のポリマー組成物中のエラストマー(b)および(c)の総量の)5〜50重量%である。
【0013】
第1のポリマー組成物中に存在するポリアミドは、好ましくはポリアミド−6,6、ポリアミド−4,6、およびポリアミド−6、ならびにそれらのあらゆる混合物からなる群から選択され、より好ましくはポリアミドはポリアミド−6である。
【0014】
第1のポリマー組成物のエラストマー(b)は、好ましくは、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーである。より好ましくは、第1のポリマー組成物のエラストマー(b)は、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレン−オクテンコポリマーである。さらにより好ましくは、上記エチレン−オクテンコポリマーは、メタロセン触媒の存在下での重合によって得られるが、その理由はこれによって第1のポリマー組成物中のポリアミドおよびエラストマーの相溶性が改善されることが分かったからである。
【0015】
第1のポリマー組成物のエラストマー(c)は、好ましくは、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーであり、このコポリマーは、ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基を含む。好ましくは、このコポリマーは、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレン−オクテンコポリマーである。さらにより好ましくは、上記エチレン−オクテンコポリマーは、メタロセン触媒の存在下での重合によって得られ、その理由はこれによって第1のポリマー組成物中のポリアミドおよびエラストマーの相溶性が改善されるからである。非官能化エラストマーおよび官能化されるエラストマーは、同一である場合も異なる場合もある。適切な組合せの例は、エチレン−オクテンコポリマー、およびたとえば無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーである。
【0016】
本発明では、ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基を含むエラストマーが、第1のポリマー組成物中に存在する。好ましくは、第1のポリマー組成物は、ポリアミドに対して化学的に結合する基を含む官能化エラストマー(c)を含む。好ましくは、ポリアミドに対して化学的に結合する基は、無水物類、酸類、エポキシド類、シラン類、イソシアネート類、オキサゾリン類、チオール類、および/または(メタ)アクリレート類からなる群から選択され、但し、シランと無水物との組合せは好ましくは排除され、その理由はシランが無水物との組合せで存在すると、ポリマー組成物のゲル化が生じうるからである。より好ましくは、ポリアミドに対して化学的に結合する基は、不飽和ジカルボン酸無水物類、不飽和ジカルボン酸類、および不飽和ジカルボン酸エステル類、およびそれら2種類以上の混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、ポリアミドに対して化学的に結合する基は、不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選択される。最も好ましくは、ポリアミドに対して化学的に結合する基を含むエラストマーは、エラストマーと、マレイン酸、無水マレイン酸、および/またはフマル酸、好ましくは無水マレイン酸とのグラフト重合によって得られる。
【0017】
第2のポリマー組成物中に存在し太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基は、好ましくは、無水物類、酸類、エポキシド類、シラン類、イソシアネート類、オキサゾリン類、チオール類、および/または(メタ)メタクリレート類からなる官能基から選択され、但し、シランと無水物との組合せは好ましくは排除され、その理由はシランが無水物との組合せで存在すると、ポリマー組成物のゲル化が生じうるからである。より好ましくは、太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する、第2のポリマー組成物中に存在する基は、シラン類、エポキシド類、無水物類、シラン類とエポキシド類との組合せ、または無水物類とエポキシド類との組合せからなる群から選択される。さらにより好ましくは、第2のポリマー組成物中に存在し太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基は、シラン類およびエポキシド類からなる群から選択される。
【0018】
好ましい一実施形態では、太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基は、そのような基を含むエラストマーを第2のポリマー組成物中にブレンドすることによって第2のポリマー組成物中に導入される。別の方法で官能基を導入する場合、第2のポリマー組成物からそれらの基が蒸発する場合があるので、この実施形態が好ましい。
【0019】
好ましくは、第2のポリマー組成物中に存在し太陽電池に対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基の量は、(第2のポリマー組成物の全重量の)0.025〜2重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。
【0020】
好ましくは、第2のポリマー組成物中のエラストマーは、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーである。好ましくは、このコポリマーは、密度が0.85〜0.93g/cmであり、メルトフローインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であるエチレン−オクテンコポリマーである。さらにより好ましくは、前記エチレン−オクテンコポリマーはメタロセン触媒の存在下での重合によって得られるが、その理由は、これによって、移動して接着特性を低下させることがあるエチレン−オクテンコポリマー中の低Mw種の量が減少するからである。
【0021】
好ましくは、第1のポリマー組成物中に存在するエラストマーは、第2のポリマー組成物中に存在するエラストマーと同一である。適切なエラストマーの例は、エチレン−オクテンコポリマー、好ましくは前述の規定のようなエチレン−オクテンコポリマーである。
【0022】
多くの方法で官能基をエラストマー中に導入することができる。好ましい方法は、エラストマーの化学的変性による方法、または前述の規定のような官能基を含む成分とのエラストマーのグラフト重合による方法である。このような成分の非限定的で好ましい例は、不飽和ジカルボン酸無水物、または不飽和ジカルボン酸、またはそのエステル、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、および無水イタコン酸;不飽和エポキシド、たとえばアクリル酸グリシジル、たとえばメタクリル酸グリシジル;ならびに不飽和シラン、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシランなど、あるいはそれらの2種類以上の混合物である。
【0023】
本発明に使用される第1および第2のポリマー組成物は、1種類以上の別のポリマーをさらに含むことができる。このような任意選択のポリマーの混入が、第1および第2のポリマー組成物の溶融同時押出によって得られるバッキング層の所望の性能特性、たとえば接着特性、および裏面封止材層とバックシートとの一体化された機能に悪影響を及ぼさないのであれば、このような任意選択のポリマーは、ポリマー組成物の全重量を基準として最大約25重量パーセントの量で存在することができる。
【0024】
第1および第2のポリマー組成物は、当技術分野において周知の添加剤をさらに含むことができる。第1および第2のポリマー組成物は、好ましくは、UV安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、および/または加水分解安定剤から選択される少なくとも1種類の添加剤を含む。このような添加剤安定剤が使用される場合、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量を基準として0.05重量%パーセントから10重量%、より好ましくは5重量%まで含有する。記載の種類および量からの第1および第2のポリマー組成物のポリアミド、エラストマーおよび官能基の選択、ならびに1種類以上のこれらの添加剤の任意選択の添加によって、第1および第2のポリマー組成物の溶融同時押出により得られる層は、耐候安定性(UVおよび加水分解抵抗性)、耐熱性、機械的保護、電気絶縁性、および良好な接着性などの太陽電池モジュールのバッキング層のすべての必須条件を満たす。
【0025】
太陽光の後方散乱を増加させてPVモジュールの効率を増加させるために、TiO2、ZnO、またはZnSなどの白色顔料を一方また両方の層に加えることができる。美的な理由でカーボンブラックなどの黒色顔料を一方または両方の層に加えることができる。
【0026】
太陽電池モジュールのバッキング層の厚さは、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.1〜0.8mm、さらにより好ましくは0.1〜0.75mmである。
【0027】
本発明による太陽電池モジュールのバッキング層は、溶融同時押出によって得られる。第1および第2のポリマー組成物の溶融同時押出方法は:
a)成分を混合することによって第1のポリマー組成物を調製するステップと、
b)成分を混合することによって第2のポリマー組成物を調製するステップと、
c)第1のポリマー組成物を溶融させて第1の溶融流を得るステップと、
d)第2のポリマー組成物を溶融させて第2の溶融流を得るステップと、
e)同時押出によって溶融流を1つの押出ダイ中にまとめるステップと、
f)同時押出した層を冷却するステップと、
を含む。
【0028】
好ましくはステップa)〜d)は押出機中で行われる。ステップa)〜d)が押出機中で行われる場合、第1の溶融流の厚さは、好ましくは0.05〜0.8mm、より好ましくは0.05〜0.7mm、さらにより好ましくは0.05〜0.5mmであり、第2の溶融流の厚さは、好ましくは0.05〜0.95mm、より好ましくは0.05〜0.75mm、さらにより好ましくは0.05〜0.7mmである。
【0029】
好ましい一実施形態では、太陽電池モジュールのバッキング層の厚さは0.1〜1mmであり、それによって第1の溶融流の厚さは0.05〜0.8mmとなり、第2の溶融流の厚さは0.05〜0.95mmとなる。別の好ましい一実施形態では、太陽電池モジュールのバッキング層の厚さは0.1〜0.8mmであり、それによって第1の溶融流の厚さは0.05〜0.7mmとなり、第2の溶融流の厚さは0.05〜0.75mmとなる。別の好ましい一実施形態では、太陽電池モジュールのバッキング層の厚さは0.1〜0.75mmであり、それによって第1の溶融流の厚さは0.05〜0.5mmとなり、第2の溶融流の厚さは0.05〜0.7mmとなる。
【0030】
本発明はさらに、本明細書で前述したような同時押出シートの、太陽電池モジュール用バッキング層としての使用であって、バッキング層が太陽電池モジュールの背面層となり、バッキング層が太陽電池の下側に接続されることを特徴とする使用に関する。
【0031】
本発明はさらに、太陽に面する前面から太陽に面しない裏面までの位置の順で、透明ペイン、前面封止材層、1つ以上の電気的に相互接続された太陽電池で構成される太陽電池層、およびバッキング層を実質的に含み、バッキング層が太陽電池の下側に接続される太陽電池モジュールであって、バッキング層が本明細書の前述の規定の通りであり、第1のポリマー組成物がモジュールの太陽に面しない裏面に存在するようにバッキング層が配置されることを特徴とする太陽電池モジュールに関する。太陽電池層中の太陽電池は、薄膜太陽電池(たとえば、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池およびテルル化カドミウム太陽電池)およびウエハ系太陽電池などのあらゆる種類の太陽電池であってよい。
【0032】
本発明はさらに、このような太陽電池モジュールの製造方法であって、(a)前述のすべての構成層を含む組立体を形成するステップと、(b)組立体を積層して、太陽電池モジュールを形成するステップとを含む製造方法に関する。この方法の積層ステップは、組立体に対して熱および場合により真空または圧力を使用することで行うことができる。
【0033】
本発明はさらに、(a)ポリアミドと、(b)エラストマーと、(c)上記ポリアミドに対して化学的に結合する、および/または物理的に相互作用する基を含むエラストマーとを含むポリマー組成物であって、第1のポリマー組成物が、(第1のポリマー組成物中に存在するポリアミド(a)ならびにエラストマー(b)および(c)の全重量の)10〜90重量%のポリアミド(a)、ならびに10〜90重量%のエラストマー(b)および(c)を含むポリマー組成物に関する。このようなポリマー組成物の好ましい実施形態は本明細書で前述している。
【0034】
これより一連の実施例および比較実験によって本発明を実証する。
【0035】
【表1】
【0036】
[比較実験A]
この例は基準であり、市販の封止材およびバックシートフィルムのみを使用した。
【0037】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)ICOSOLAR(登録商標)AAA 3554、2)APOLHYA(登録商標)Solar R333A、3)1つの標準の多結晶太陽電池、4)APOLHYA(登録商標)Solar R333A、5)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0038】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。試料を高温多湿試験に曝露した。
【0039】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。3000時間のエージング後の手による評価によると、ICOSOLAR(登録商標)AAA 3554の層が2000〜3000時間の間のエージングで脆くなった。フラッシュ試験では2000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0040】
[比較実験B]
この例は基準であり、市販の封止材およびバックシートフィルムのみを使用した。
【0041】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)ICOSOLAR(登録商標)AAA 3554、2)エバスカイ(商標)、3)1つの標準の多結晶太陽電池、4)エバスカイ(商標) 5)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0042】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。試料を高温多湿試験に曝露した。
【0043】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。3000時間のエージング後の手による評価によると、ICOSOLAR(登録商標)AAA 3554の層が2000〜3000時間の間のエージングで脆くなった。フラッシュ試験では2000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0044】
[比較実験C]
この例は基準であり、市販の封止材およびバックシートフィルムのみを使用した。
【0045】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)ICOSOLAR(登録商標)2442、2)エバスカイ(商標)、3)1つの標準の多結晶太陽電池、4)エバスカイ(商標)、5)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0046】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0047】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。3000時間のエージング後の手による評価によると、ICOSOLAR(登録商標)2442の層が2000〜3000時間の間のエージングで非常に脆くなった。フラッシュ試験では2000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0048】
[比較実験D]
この例は、底部「バックシート」層に対して調整を行わなかった基準の実験である。2種類の異なるコンパウンドZSK25押出機上で作製した。第1のコンパウンドは、96.85重量%のアクロン(登録商標)K122、0.15重量%のCupper Iodide、および3重量%のイルガノックス(登録商標)1098を含有した。第2のコンパウンドは、65重量%のQueo(商標)1007、2重量%のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(BRB)がグラフトされる25重量%のQueo(商標)1007、および10重量%のロタダー(登録商標)AX8840を含有した。第1のコンパウンドから、フィルム押出によって200マイクロメートルのフィルムを作製した。第2のコンパウンドから、フィルム押出によって500マイクロメートルのフィルムを作製した。
【0049】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)コンパウンド1のフィルム 2)コンパウンド2のフィルム 3)1つの標準の多結晶太陽電池 4)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 5)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0050】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0051】
視覚的評価によると、試料はガラス側で明確な層間剥離を示し、これは3000時間のエージング中に顕著となった。結果としてIEC基準には適合しなかった。
【0052】
[実施例1]
2種類の異なるコンパウンドをZSK25押出機上で作製した。第1のコンパウンドは、50重量%のアクロン(登録商標)K122、34.85重量%のQueo(商標)8201、10重量%のフサボンドN525、0.15重量%のCupper Iodide、および3重量%のイルガノックス(登録商標)1098を含有した。第2のコンパウンドは、65重量%のQueo(商標)1007、2重量%のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(BRB)がグラフトされる25重量%のQueo(商標)1007、および10重量%のロタダー(登録商標)AX8840(アルケマ)を含有した。コンパウンド1の200マイクロメートルフィルムとコンパウンド2の500マイクロメートルのフィルムとの同時押出によってフィルムを作製した。押出ダイは250℃の温度に設定した。
【0053】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池、3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A、4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0054】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0055】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0056】
[実施例2]
実施例1で作製したもの同じコンパウンドから、全体の厚さが600マイクロメートルであり、第1のコンパウンドの400マイクロメートルの層と第2のコンパウンドの200マイクロメートルの層とからなるフィルムを同時押出した。押出ダイは270℃の温度に設定した。
【0057】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池、3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A、4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0058】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0059】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0060】
[実施例3]
2種類の異なるコンパウンドをZSK25押出機上で作製した。第1のコンパウンドは、50重量%のアクロン(登録商標)K122、34.85重量%のQueo(商標)8201、10重量%のフサボンド(登録商標)N525、0.15重量%のCupper Iodide、および3重量%のイルガノックス(登録商標)1098を含有した。第2のコンパウンドは、90重量%のQueo(商標)1007および10重量%のロタダー(登録商標)AX8840を含有した。コンパウンド1の200マイクロメートルのフィルムとコンパウンド2の500マイクロメートルのフィルムとの同時押出によってフィルムを作製した。押出ダイは250℃の温度に設定した。
【0061】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0062】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0063】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0064】
[実施例4]
実施例3で作製したものと同じコンパウンドから、全体の厚さが600マイクロメートルであり、第1のコンパウンドの400マイクロメートルの層と第2のコンパウンドの200マイクロメートルの層とからなるフィルムを同時押出した。押出ダイは270℃の温度に設定した。
【0065】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0066】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0067】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0068】
[実施例5]
2種類の異なるコンパウンドをZSK25押出機上で作製した。第1のコンパウンドは、50重量%のアクロン(登録商標)K122、40重量%のQueo(商標)8201、10重量%のフサボンド(登録商標)N 525を含有した。第2のコンパウンドは、65重量%のQueo(商標)1007、2重量%のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(BRB)がグラフトされる25重量%のQueo(商標)1007、および10重量%のロタダー(登録商標)AX8840(アルケマ)を含有した。コンパウンド1の200マイクロメートルのフィルムとコンパウンド2の500マイクロメートルのフィルムとの同時押出によってフィルムを作製した。押出ダイは250℃の温度に設定した。
【0069】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0070】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0071】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0072】
[実施例6]
実施例5で作製したものと同じコンパウンドから、全体の厚さが600マイクロメートルであり、第1のコンパウンドの400マイクロメートルの層と第2のコンパウンドの200マイクロメートルの層とからなるフィルムを押出成形した。押出ダイは270℃の温度に設定した。
【0073】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0074】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0075】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0076】
[実施例7]
2種類の異なるコンパウンドをZSK25押出機上で作製した。第1のコンパウンドは、50重量%のアクロン(登録商標)K122、34.85重量%のQueo(商標)8201、10重量%のフサボンド(登録商標)N 525、0.15重量%のCupper Iodide、および3重量%のイルガノックス(登録商標)1098を含有した。第2のコンパウンドは、67.5重量%のQueo(商標)1007、2重量%のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(BRB)がグラフトされる22.5重量%のQueo(商標)1007、および10重量%のフサボンド(登録商標)N 525を含有した。コンパウンド1の200マイクロメートルのフィルムとコンパウンド2の500マイクロメートルのフィルムとの同時押出によってフィルムを作製した。押出ダイは250℃の温度に設定した。
【0077】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0078】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0079】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は明確な層間剥離を示した。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。
【0080】
[実施例8]
実施例7で製造した同じコンパウンドから、全体の厚さが600マイクロメートルであり、第1のコンパウンドの400マイクロメートルの層と第2のコンパウンドの200マイクロメートルの層とからなるフィルムを同時押出した。押出ダイは270℃の温度に設定した。
【0081】
以下のスタックを作製することによって積層体を作製した:1)上記の同時押出フィルム、2)1つの標準の多結晶太陽電池 3)APOLHYA(登録商標)Solar R333A 4)20×30cmのガラス板。積層は157℃で12分間行った。
【0082】
人工気象室中、85℃および相対湿度85%で試料のエージングを行った。
【0083】
視覚的評価によると、3000時間のエージング中に試料は層間剥離を示さなかった。フラッシュ試験では3000時間のエージング後に電力出力の顕著な低下を示さなかった。