(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672569
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】比重選別機及びその選別制御方法
(51)【国際特許分類】
B07B 4/08 20060101AFI20200316BHJP
B07B 11/04 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
B07B4/08 Z
B07B11/04
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-125884(P2018-125884)
(22)【出願日】2018年7月2日
(65)【公開番号】特開2020-1026(P2020-1026A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2018年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】503465616
【氏名又は名称】株式会社 安西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106426
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】安西 賢一
(72)【発明者】
【氏名】矢野 喜章
(72)【発明者】
【氏名】大橋 浩
【審査官】
田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭64−063082(JP,A)
【文献】
特開2014−124604(JP,A)
【文献】
特開2015−199031(JP,A)
【文献】
特開2001−225018(JP,A)
【文献】
特開平07−299417(JP,A)
【文献】
特開平10−151418(JP,A)
【文献】
特開平07−289997(JP,A)
【文献】
特開2000−126688(JP,A)
【文献】
特開2010−214279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00−15/00
A01F 12/30−12/395
A01F 12/42−12/44
A01F 12/48
A01F 12/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重の異なる複数種の粒状物を含む被選別物をその比重差に応じて選別する比重選別機であって、
外部から空気を供給することにより加圧可能な加圧空気室と、
その加圧空気室の上部に傾斜させて、更にその傾斜方向に振動可能な状態で載置され、その加圧空気室からの加圧空気を下方から上方に通気させることができる複数の通風孔と、複数の網目を有し、その複数の通風孔から加圧空気が排出されていると共に、前記振動に係る所定の振動数において、前記被選別物が供給されると、比較的軽い粒状物は浮遊して前記傾斜方向の下方に移動し、比較的重い粒状物は、前記網目で掛止しつつ、前記振動に伴って前記傾斜方向の上方に移動するような振動板と、
前記加圧空気室内の圧力を計測する圧力計測手段と、
前記圧力計測手段が計測した圧力値に基づいて、前記振動板の振動数を制御可能な制御手段と、
を備えたことを特徴とする比重選別機。
【請求項2】
前記圧力計測手段は、計測した圧力値の、所定の圧力閾値に対する大小に応じてオン/オフ信号を出力する圧力センサーであり、
前記制御手段は、前記圧力値が、前記所定の圧力閾値を下回った場合に、前記振動板の振動数が、前記所定の振動数に対して、より低い他の所定の振動数となるように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。
【請求項3】
前記圧力計測手段は、それぞれ異なる圧力閾値を有する複数の圧力センサーを含み、
前記制御手段は、前記圧力センサーの数に応じて、複数段の前記振動数制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の比重選別機。
【請求項4】
前記圧力計測手段は、計測した圧力値に対応した信号を出力する圧力感知センサーであり、
前記制御手段は、前記圧力値に対応した信号の値に基づいて、前記振動板の振動数の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。
【請求項5】
前記制御手段は、初期稼働時においては、前記圧力計測手段が計測した計測値が所定の適正な値になるまで、前記振動板の振動数を、前記所定の振動数よりも低い他の所定の振動数に維持するように制御することを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。
【請求項6】
比重の異なる複数種の粒状物を含む被選別物をその比重差に応じて選別する比重選別機おける選別制御方法であって、
前記比重選別機は、
外部から空気を供給することにより加圧可能な加圧空気室と、
その加圧空気室の上部に傾斜させて、更にその傾斜方向に振動可能な状態で載置され、その加圧空気室からの加圧空気を下方から上方に通気させることができる複数の通風孔と、複数の網目を有し、その複数の通風孔から加圧空気が排出されていると共に、前記振動に係る所定の振動数において、前記被選別物が供給されると、比較的軽い粒状物は浮遊して前記傾斜方向の下方に移動し、比較的重い粒状物は、前記網目で掛止しつつ、前記振動に伴って前記傾斜方向の上方に移動するような振動板と、
前記加圧空気室内の圧力を計測する圧力計測手段と、
を備え、
前記圧力計測手段が計測した圧力値に基づいて、前記振動板の振動数を制御することを特徴とする選別制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比重選別機及びその選別制御方法に関し、特に、比重の異なる複数種の粒状物を含む被選別物をその比重差に応じて選別する比重選別機及びその選別制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状製品等であって複数種類が混在した製品等について、その比重差を利用して種類別に分別する機械として乾式の比重選別機が知られている。例えば、非特許文献1は、その原理と典型的な選別機を開示している。
【0003】
そのような比重選別機においては、当該文献における項目(2)比重選別機の種類と特徴の1.左右2方向比重選別機に示されるように、基本的には、金属等の網から成るデック(振動板)を傾斜させて設け、そのデックの裏面から加圧空気を供給してその空気が網の孔を介して上方に抜けるように構成し、かつ、デックを傾斜方向に振動させる。
【0004】
かかる構成及び動作状態で、複数種混在粒状物(被選別物)をデックの中央部に投入すると、軽い粒状物は、重い粒状物に比べて比重が小さいため、デック下方からの加圧空気により浮上され、デックの網に引っ掛かることなく、デックの傾斜に従って下方に流れる。
一方、重い粒状物は、比重が大きいため、加圧空気によっては浮上されず、デックの網に引っ掛かり、デックの振動に影響を受ける。デックの傾斜方向の振動は、詳細には、デックが傾斜に沿って上方に移動する際には若干の上向きの円弧に沿って、また、デックが傾斜に沿って下方に移動する際には若干の下向きの円弧に沿って移動することにより、動き全体として、デックの側面から見ると、デックが薄い楕円に沿った動きとなる。かかる振動により、デックから浮上しないでデックに載ったままの重い粒状物は、網の目を超えて移動し、最終的にデックの上方に集まることとなる。
このようにして、傾斜の下方位置で軽い粒状物を排出し、傾斜の上方位置で重い粒状物を取り出すことができる。
【0005】
なお、非特許文献1における項目(2)2.及び3.に示すように、混合粒状物を分別する方向の傾きに加えて、それに垂直な、混合粒状物を流す方向の傾きをデックに与えて、デックの上端から混合粒状物を流し、落ち流れる過程において、軽い粒状物と重い粒状物を左右に分別するタイプの比重選別機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−252477号公報
【特許文献2】特開平10−151418号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】農林水産省、2.調製施設−比重選別機−、インターネット<http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/d_kansou/2_03/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のような比重選別機においては、デック(以下、より一般的な“振動板”と称す)上において、的確に選別が行われるためには、軽い被選別物が浮上するのに対して重い被選別物が浮上しないような適正範囲の風圧が被選別物に負荷されている必要がある。風圧が不適正であるために選別が的確に行われないと、ロットの不良や選別のやり直し等の事態となってしまうため、風圧は重要である。
【0009】
しかしながら、上記適正範囲の風圧が被選別物にかからなくなるいくつかの状況に陥ることがある。
まず、第一には、空気自体が適切に下方から供給されない場合である。例えば、空気取り入れ口が汚れて空気の吸入量が低下してしまった場合には、被選別物にかかる風圧は低下し、上記適正範囲を下回ると、軽い被選別物が浮上せず、重い被選別物と共に上方に集まってしまう。
【0010】
第二に、振動板上の被選別物の量が適正でない場合である。例えば、前工程にトラブルが生じた場合、原料(被選別物)の混入率が時間経過で変化する場合、供給される原料(被選別物)のロットが終わりに近づいて供給量自体が徐々に少なくなる場合等である。このような場合に、振動板上の被選別物が減少すると、被選別物に作用する風圧が小さくなり、風量自体の減少の場合と同様に、軽い被選別物が浮上せず、重い被選別物と共に上方に集まってしまう。
【0011】
一方、逆に、何らかの理由で、被選別物の振動板からの排出量よりもそこへの供給量が上回った場合には、被選別物が振動板から溢れてしまう事態となるが、かかる事態を避けるために、適正な風圧と関連して決まってくる、振動板の適正な振動数を予め若干高めに設定する場合もある。かかる場合も振動板上の被選別物が減りがちになり、被選別物に適正な風圧がかからなくなってしまう。
【0012】
上述のような様々な要因で被選別物に適正な風圧がかからなくなって正確な選別が行われなくなった装置に対して、従来においては、装置を監視する作業員が、振動板の振動数を逐次手動で調節していたが、かかる作業は、頻繁になればなるほど煩雑であり、それが課題であった。
【0013】
かかる従来技術の課題に関連して、特許文献1では、湿式の混合物選別装置において、投入量と排出量の差に起因する、被選別物の選別装置内での滞留物の増加による選別効率の低下という課題(段落[0004])を解決すべく、選別排出された被選別物の単位時間当たりの重量を重量計(符号11,12)により計測し、その値に基づいて、被選別物を投入するための駆動装置(15)と排出するための駆動装置(13,14)の速度制御を行う制御装置(10)を設けて、装置内にある被選別物の量を連続的な選別操作が可能な範囲に保つという技術が開示されている。
【0014】
また、特許文献2は、組成比率が異なる屑米を1つの比重選別機で選別しようとする場合に、その比率が変わるごとに、人手により、供給流量、選別風量、及び選別板の傾斜角度を調整しなければならない、という課題(段落[0003])を解決すべく、組成比率(容積重)に応じて、それらを自動的に制御する([請求項1]〜[請求項6]、[0023]〜[0031]、
図4)、という技術を開示している。しかしながら、選別板(振動板)の振幅速度(振動数)の制御については何ら言及がない。
【0015】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、本発明の目的は、被選別物にかかる風圧が様々な要因で変動しても、常に的確に被選別物を分別できる比重選別機及びその選別制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の比重選別機は、比重の異なる複数種の粒状物を含む被選別物をその比重差に応じて選別する比重選別機であって、外部から空気を供給することにより加圧可能な加圧空気室と、その加圧空気室の上部に傾斜させて、更にその傾斜方向に振動可能な状態で載置され、その加圧空気室からの加圧空気を下方から上方に通気させることができる複数の通風孔と、複数の網目を有し、その複数の通風孔から加圧空気が排出されていると共に、前記振動
に係る所定の振動数において、前記被選別物が供給されると、比較的軽い粒状物は浮遊して前記傾斜方向の下方に移動し、比較的重い粒状物は、前記網目で掛止しつつ、前記振動に伴って前記傾斜方向の上方に移動するような振動板と、前記加圧空気室内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段が計測した圧力値に基づいて、前記振動板の振動数を制御可能な制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0017】
具体的には、前記圧力計測手段は、計測した圧力値の、所定の圧力閾値に対する大小に応じてオン/オフ信号を出力する圧力センサーであり、前記制御手段は、前記圧力値が、前記所定の圧力閾値を下回った場合に、前記振動板の振動数が、前記
所定の振動数に対して、
より低い他の所定
の振動数となるように制御を行う。
【0018】
特に、前記圧力計測手段は、それぞれ異なる圧力閾値を有する複数の圧力センサーを含み、前記制御手段は、前記圧力センサーの数に応じて、複数段の前記振動数制御を行ってもよい。
【0019】
また、特に、前記圧力計測手段は、計測した圧力値に対応した信号を出力する圧力感知センサーであり、前記制御手段は、前記圧力値に対応した信号の値に基づいて、前記振動板の振動数の制御を行うことが好適である。
【0020】
一方、前記制御手段は、初期稼働時においては、前記圧力計測手段が計測した計測値が所定の適正な値になるまで、前記振動板の振動数を
、前記所定の振動数よりも低い他の所定
の振動数
に維持するように制御する。
【0021】
また、上記目的を達成するため、本発明の比重選別機における選別制御方法は、比重の異なる複数種の粒状物を含む被選別物をその比重差に応じて選別する比重選別機おける選別制御方法であって、前記比重選別機は、外部から空気を供給することにより加圧可能な加圧空気室と、その加圧空気室の上部に傾斜させて、更にその傾斜方向に振動可能な状態で載置され、その加圧空気室からの加圧空気を下方から上方に通気させることができる複数の通風孔と、複数の網目を有し、その複数の通風孔から加圧空気が排出されていると共に、前記振動
に係る所定の振動数において、前記被選別物が供給されると、比較的軽い粒状物は浮遊して前記傾斜方向の下方に移動し、比較的重い粒状物は、前記網目で掛止しつつ、前記振動に伴って前記傾斜方向の上方に移動するような振動板と、前記加圧空気室内の圧力を計測する圧力計測手段と、を備え、前記圧力計測手段が計測した圧力値に基づいて、前記振動板の振動数を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の比重選別機及びその選別制御方法によれば、制御手段は、圧力計測手段が計測した圧力値に基づいて、振動板の振動数を制御しているので、被選別物にかかる風圧が様々な要因で変動しても、常に的確に被選別物を分別できる。
【0023】
特に、圧力計測手段が、それぞれ異なる圧力閾値を有する複数の圧力センサーであれば、細微な振動数制御を行えるし、あるいは、圧力計測手段が、計測した圧力値に対応した信号を出力する圧力感知センサーであれば、連続的な滑らかな制御が行える。
また、初期稼働時にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の比重選別機の第1実施形態における主な構成を示す構成図である。
【
図2】装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明するための図である。
【
図3】装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明するための図である。
【
図4】装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明するための図である。
【
図5】装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明するための図である。
【
図6】装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明するための図である。
【
図7】本発明の比重選別機の第1実施形態における外観を示す外観図である。
【
図8】本発明の比重選別機の第2実施形態における主な構成を示す構成図である。
【
図9】第2実施形態に係る処理動作を、可変調整器6の詳細な制御動作に基づいて説明するための図である。
【
図10】本発明の比重選別機の第3実施形態における主な構成を示す構成図である。
【
図11】第3実施形態に係る処理動作を、可変調整器6の詳細な制御動作に基づいて説明するための図である。
【
図12】第3実施形態における可変調整器6の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の比重選別機の第1実施形態における主な構成を示す構成図である。また、
図7は、本発明の比重選別機の第1実施形態における外観を示す外観図である。なお、
図7は、被選別物を比重板の上流から流して、下流に渡って流す方向とは直行する方向に選別をするタイプを示しているが、本発明の本質に関わることではない。
【0026】
図1及び
図7を参照して、比重選別機の構成と基本的な選別処理のしかたを説明する。
比重選別機1Aは、粒状製品等を、比重差により重い粒と軽い粒に選別する選別機である。比重選別機1Aは、少なくとも、全面に亙り多数の通風孔を有し、かつ僅かに傾斜を付けて設置される振動板2と、その振動板2を、伝達ロッド8を介して傾斜に沿った方向に振動させるための振動用モーター7と、振動板2上に粒状製品等の被選別物を供給するためのホッパー11と、振動板2の直下に設けられ、同振動板2の通風孔を通して加圧空気を供給する加圧空気室3と、装置外部から加圧空気室3に空気を供給するための外気通風孔9と、外気通風孔9からの空気を加圧空気室3に強制的に供給し、加圧空気室3内に圧力を生じさせるためのブロア10と、を備えている。ここで、振動板2及び加圧空気室3は、基台12上に設置されている。また、振動板2は、典型的には金属の網が好適である。
【0027】
また、該実施形態における比重選別機1Aは、特に、圧力感知用ホース5を介して加圧空気室3内の圧力を計測し、計測された圧力に応じた信号を圧力信号PSとして出力する圧力スイッチ4と、圧力スイッチ4からの圧力信号PSを入力し、振動用モーター7に対してモーター駆動信号線MASを出力する可変調整器6とを有している。詳細には、圧力スイッチ4は、設定された閾値SHを境に、オン/オフ信号を上記圧力信号PSとして出力する。また、可変調整器6は、更に詳細には、上記各信号の入出力端子である端子台61と、作業員が手動で操作して、振動用モーター7の振動数を変更するための可変調整ボリューム62とが設けられている。
【0028】
選別処理動作の概要としては、重い粒状物と軽い粒状物とが混在した被選別物を、ホッパー11を介して一定の速度で振動板2上に供給する。軽い粒状物は、重い粒状物に比べて比重が小さいため、振動板2を通して供給される加圧空気により浮上され当該振動板2に付けられた傾斜に従って下方に流れる。一方、重い粒状物は、比重が大きいため、加圧空気によっては浮上されず振動板2の振動に影響を受ける。振動板2の振動は、前述のように振動板2の傾斜方向に沿う方向であり、振動板2から浮上しないで振動板2に載ったままの重い粒状物は、このような振動を受けて振動板2に沿って徐々に上方に登り傾斜の上方に集まる。このようにして、傾斜の下方位置で軽い粒状物を排出し、傾斜の上方位置で重い粒状物を取り出すことができる。
【0029】
次に、
図2乃至
図6を参照して、装置の初期動作も含めた、第1実施形態に係る処理動作手順を説明する。
図3は、装置の初期稼働時における、被選別物(軽い粒状物LO及び重い粒状物HOを含む)がホッパー11を介して振動板2上に供給され始めたばかりの時点を示す図である。この段階では、振動板2の表面の大部分が被選別物に覆われることなく露呈しているので、振動板2の通風孔を介して抜けた空気を被選別物により遮られることはない。従って、圧力スイッチ4は低い圧力を計測する。また、この段階では、振動板2は、適正圧力が検出される通常運転時の振動数よりも低い振動数で、振動用モーター7により振動されており、それにより、被選別物が振動板2上にゆっくりと拡がるようになっている。この段階で通常運転時の振動数で振動させると、軽い流量物LOと重い粒状物HOとが共に上方に移動してしまう。
【0030】
図4は、装置の初期動作における、被選別物が振動板2上に更に徐々に拡がっていく様子を示す図である。この段階になると、重い粒状物HOは振動板2の上方にゆっくりと押されて拡がり、それに応じて通風孔の風が遮られ、徐々に加圧空気室3の圧力が高まり、軽い粒状物LOは浮力により浮遊を開始し、振動板2の下方へと集まっていく。
【0031】
図5は、初期稼働状態が終了し、通常運転時の状態に達した状況を示す図である。
図4の状態から振動板2上に被選別物が更に拡がり、加圧空気室3内の圧力が適正な所定値に達すると、振動板2の振動数を通常運転時の適正な高い振動数に上げ、重い粒状物HOを振動板2の傾斜の上方端から的確に排出させ、軽い粒状物LOをその下方端から的確に排出できるようにする。
これで初期稼働時の動作が終了する。
【0032】
次に、通常運転中において、何らかの理由で、振動板2上の被選別物が減少した場合を説明する。その理由としては、前工程にトラブルが生じた場合、原料(被選別物)の混入率が時間経過で変化する場合、供給される原料(被選別物)のロットが終わりに近づいて供給量自体が徐々に少なくなる場合等である。
【0033】
このような被選別物の減少状態に陥ると、加圧空気室3からその通風孔を抜ける風は、被選別物に遮られる度合いが比較的減少し、その結果、被選別物に作用する風圧が小さくなり、軽い被選別物が浮上せず、重い被選別物と共に上方に集まってしまう。
【0034】
そこで、本実施形態においては、圧力スイッチ4により検出される圧力が所定の閾値SHを下回った場合には、振動板2の振動数を所定の低い振動数に切り替えて、重い粒状物HOも、浮き上がらない軽い粒状物LOも、上方に移動しないようにして排出を制限し、振動板2上に適正量の被選別物が貯まるのを待つ。
【0035】
詳細を、
図6及び
図2を参照して説明する。
通常(適圧)運転時の状態においては、
図2(a)に示すように、圧力スイッチ4の接点は閉じており、すなわち、圧力信号線PSにはオンの信号が出力され、それを入力した可変調整器6は、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して通常の高速回転となるよう制御信号を出力して回転制御を行う。それにより振動板2は通常の選別が行える適正な高い振動数で振動している。
【0036】
その後、圧力スイッチ4の計測する圧力が減少し、圧力スイッチ4に設定された閾値SHを下回ると、圧力スイッチ4は、
図2(b)に示すように、その接点を開き、それにより圧力信号線PSにオフの信号を出力する。圧力信号線PSを介してオフの信号を入力した可変調整器6は、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して所定の低速回転となるよう制御信号を出力して回転制御を行う。それにより振動板2は、排出を制限するような所定の低速の振動数で振動することとなる。
【0037】
以上のように、上述の第1実施形態によれば、圧力スイッチ4により検出される圧力が所定の閾値SHを下回った場合には、振動板2の振動数を所定の低振動数に切り替えて、重い粒状物HOも、浮き上がらない軽い粒状物LOも、上方に移動しないようにして排出を制限し、振動板2上に適正量の被選別物が貯まるのを待つことができる。
【0038】
<第2実施形態>
図8は、本発明の比重選別機の第2実施形態における主な構成を示す構成図である。
図9は、第2実施形態に係る処理動作を、可変調整器6の詳細な制御動作に基づいて説明するための図である。
【0039】
以下、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明し、共通するそれらについては省略する。
図8を参照し、第2実施形態に係る比重選別機1Bは、第1実施形態に係る比重選別機1Aの圧力スイッチ4の代わりに、2つの圧力スイッチ4a及び圧力スイッチ4bを備えている。圧力スイッチ4aは、低圧域に閾値SHaを有し、圧力スイッチ4bは、中圧域に閾値SHbを有するものである。
【0040】
次に、処理動作を説明する。初期動作は第1実施形態と同様である。
通常運転中は、第2実施形態においては、被選別物の減少状態に対処するため、異なる閾値を有する2つの圧力スイッチにより、2段階で、振動板2の振動数を変更する。
【0041】
詳細を、
図8及び
図9を参照して説明する。
通常(適圧)運転時の状態においては、
図9(a)に示すように、圧力スイッチ4a及び4bの双方の接点は閉じており、すなわち、圧力信号線PSには2つのオンの信号が出力され、それを入力した可変調整器6(x1、x2端子)は、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して通常の高速回転となるよう制御信号を出力して回転制御を行う。それにより振動板2は通常の選別が行える適正な高い振動数で振動している。
【0042】
その後、加圧空気室3内の計測する圧力が減少し、圧力スイッチ4bに設定された閾値SHbを下回ると、圧力スイッチ4aは、その接点が閉じた状態を維持して圧力信号線PSにオンの信号を出力し続けるものの、圧力スイッチ4bは、
図9(b)に示すように、その接点を開き、それにより圧力信号線PSにオフの信号を出力する。圧力信号線PSを介し、圧力スイッチ4aからのオンの信号と、圧力スイッチ4bからのオフの信号を入力した可変調整器6は、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して所定の中速回転となるよう制御信号を出力して回転制御を行う。それにより振動板2は、排出をやや制限するような所定のやや低速の振動数で振動することとなる。
【0043】
その後、加圧空気室3内の計測する圧力が更に減少し、圧力スイッチ4aに設定された閾値SHaを下回ると、
図9(c)に示すように、圧力スイッチ4aも、その接点を開き、それにより圧力信号線PSにオフの信号を出力する。圧力信号線PSを介し、圧力スイッチ4a及び4bの双方からオフの信号を入力した可変調整器6は、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して所定の低速回転となるよう制御信号を出力して回転制御を行う。それにより振動板2は、排出を更に制限するような所定の低速の振動数で振動することとなる。
【0044】
以上のように、上述の第2実施形態によれば、2段階で振動板2の振動数を減少させることにより、第1実施形態の効果を前提として、更に細微な被選別物の制御が行える。
【0045】
<第3実施形態>
図10は、本発明の比重選別機の第3実施形態における主な構成を示す構成図である。
図11は、第3実施形態に係る処理動作を、可変調整器6の詳細な制御動作に基づいて説明するための図である。
図12は、第3実施形態における可変調整器6の制御手順を示すフローチャートである。
【0046】
以下、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明し、共通するそれらについては省略する。
図10を参照し、第3実施形態に係る比重選別機1Cは、第1実施形態に係る比重選別機1Aの圧力スイッチ4の代わりに、加圧空気室3内の圧力の計測値に比例した信号を圧力信号線PSとして出力する圧力感知センサー13を備えている。
【0047】
次に、処理動作を説明する。初期動作は第1及び第2の実施形態と同様である。
通常運転中は、第3実施形態においては、被選別物の減少状態に対処するため、加圧空気室3内の圧力の計測値に比例した信号を出力する圧力感知センサー13により、無段階で連続的に振動板2の振動数を変更する。
【0048】
詳細を、
図11及び
図12を参照して説明する。
図12において、上述のように初期動作は、第1及び第2の実施形態と同様である(ステップS1及びS2)。すなわち、ステップS2において、圧力感知センサー13の計測結果に基づき、加圧空気室3内が適正圧力に到達すると、通常動作状態に入る(ステップS3)。通常動作状態においては、加圧空気室3内の圧力は所定の適正な値であり、振動板2の振動数は、適正な高い値である。
【0049】
そこで、この通常動作状態においては、可変調整器6は、圧力信号線PSとして入力する、圧力感知センサー13からの計測圧力値に比例した値を監視し続け(ステップS4における否定判定)、加圧空気室3内の圧力が低下したと判断すると(ステップS4における肯定判定)(何らかの理由で、振動板2上の被選別物の量が減少した)、それに応じて、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して回転数を低下させる信号を送る。これにより、振動用モーター7の回転数は落ち、従って振動板2の振動数は低下する(ステップS5)。可変調整器6は、圧力スイッチ4からの圧力信号線PSに基づき、加圧空気室3内が適正圧力に戻るまで、振動用モーター7の制御を行う(ステップS6)。
【0050】
引き続き、可変調整器6は、圧力信号線PSとして入力する、圧力感知センサー13からの計測圧力値に比例した値を監視し続け(ステップS7における否定判定)、加圧空気室3内の圧力が上昇したと判断すると(ステップS7における肯定判定)(被選別物の振動板2への供給量が戻った)、それに応じて、モーター駆動信号線MASを介して振動用モーター7に対して回転数を上昇させる信号を送る。これにより、振動用モーター7の回転数は上がり、従って振動板2の振動数は上昇する(ステップS8)。可変調整器6は、圧力スイッチ4からの圧力信号線PSに基づき、加圧空気室3内が適正圧力に戻るまで、振動用モーター7の制御を行う(ステップS9)。
【0051】
以上のように、上述の第3実施形態によれば、加圧空気室3内の圧力の計測値に比例した信号を出力する圧力感知センサー13を採用し、その信号に応じて連続的に振動板2の振動数を制御しているので、第1及び第2の実施形態と比較して、更に滑らかに被選別物の供給量制御・選別制御が行える。
【0052】
なお、上述の第2実施形態においては、閾値を2つとしたが、3つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の比重選別機及びその選別制御方法は、例えば、各種穀物類の選別に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1A、1B、1C 比重選別機
2 振動板
3 加圧空気室
4、4a、4b 圧力スイッチ
SH、SHa、SHb 圧力閾値
5 圧力感知用ホース
PS 圧力信号線
6 可変調整器
61 端子台
62 可変調整ボリューム
7 振動用モーター
MAS モーター駆動信号線
8 伝達ロッド
9 外気通風孔
10 ブロア
11 ホッパー
12 基台
13 圧力感知センサー
HO 重い粒状物
LO 軽い粒状物