特許第6672570号(P6672570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6672570基板収納容器及び基板収納容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672570
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】基板収納容器及び基板収納容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-1896(P2017-1896)
(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-113298(P2018-113298A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100204881
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 伸次
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃裕
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 賢
(72)【発明者】
【氏名】杉原 一弘
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/120866(WO,A1)
【文献】 特開2006−245206(JP,A)
【文献】 特開2002−299428(JP,A)
【文献】 特開2010−016140(JP,A)
【文献】 特表2009−526376(JP,A)
【文献】 特表2005−530331(JP,A)
【文献】 特開2015−051789(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196011(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/112107(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0125169(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103586214(CN,A)
【文献】 特開2000−012673(JP,A)
【文献】 特開2008−140948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する容器本体と、
前記開口部を閉鎖する蓋体と、
前記開口部を正面とした際、前記容器本体の外側に形成される装置位置決め部と、を備える基板収納容器において、
前記装置位置決め部は、摺動部材取付部品と、前記摺動部材取付部品とは別部材の摺動部材と、を有するとともに、前記容器本体の前記外側にインサート成形されており、
前記摺動部材は、前記摺動部材取付部品と前記容器本体とで保持又は挟持されている
ことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記摺動部材は、前記容器本体がなければ、一方向のみに移動可能な状態で、前記摺動部材取付部品に取付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記摺動部材は、前記容器本体及び前記摺動部材取付部品の材料よりも摩擦係数が低い材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記摺動部材取付部品は、前記容器本体の材料と同一の材料、又は、前記容器本体と溶着可能な材料から形成されている
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記容器本体及び前記摺動部材取付部品は、非結晶性樹脂から形成され、
前記摺動部材は、結晶性樹脂から形成されている
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項6】
前面に開口部を有する容器本体と、
前記開口部を閉鎖する蓋体と、
前記開口部を正面とした際、前記容器本体の外側に形成される装置位置決め部と、を備え、
前記装置位置決め部は、摺動部材取付部品と、前記摺動部材取付部品とは別部材の摺動部材と、を有する基板収納容器の製造方法において、
前記摺動部材を、一方向のみに移動可能な状態で、前記摺動部材取付部品に取付け、装置位置決め部品を形成する工程と、
前記装置位置決め部品を、金型に配置して、溶融した熱可塑性樹脂を加熱圧縮して前記容器本体の前記外側にインサート成形する工程と、を含む
ことを特徴とする基板収納容器の製造方法。
【請求項7】
前記装置位置決め部品を、前記容器本体の前記外側にインサート成形することにより、前記摺動部材取付部品を、前記容器本体に溶着するとともに、
前記摺動部材を、前記摺動部材取付部品と前記容器本体とで保持又は挟持する
ことを特徴とする請求項6に記載の基板収納容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を収納する基板収納容器及び基板収納容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板を収納した基板収納容器は、基板を加工する製造ラインでは、加工装置などに位置決めされたり、ロボットなどの搬送装置に位置決めされ、搬送されたりしている。そのため、基板収納容器は、加工装置に設けられた位置決めピンに当接する複数の装置位置決め部を備えている。この装置位置決め部は、基板収納容器の底面などの一面に一体的に融着するようにインサート成形によって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4754568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装置位置決め部に限らず、インサート成形で基板収納容器に設けられる各種の部品に、摺動性などの機能を付加させようとすると、基板収納容器本体の材料に対して熱融着しない材料か、熱融着し難い材料を用いるか、摺動性を付与する摺動剤が添加された複合材料を用いる必要があり、インサート成形によって、各種の部品を備える基板収納容器を製造することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、容器本体に対して熱融着し難い材料で形成された部材を備える基板収納容器及び基板収納容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る一つの態様は、前面に開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉鎖する蓋体と、前記開口部を正面とした際、前記容器本体の外側に形成される装置位置決め部と、を備える基板収納容器において、前記装置位置決め部は、摺動部材取付部品と、前記摺動部材取付部品とは別部材の摺動部材と、を有するとともに、前記容器本体の前記外側にインサート成形されており、前記摺動部材は、前記摺動部材取付部品と前記容器本体とで保持又は挟持されているものである。
(2)上記(1)の態様において、前記摺動部材は、前記容器本体がなければ、一方向のみに移動可能な状態で、前記摺動部材取付部品に取付けられていてもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記摺動部材は、前記容器本体及び前記摺動部材取付部品の材料よりも摩擦係数が低い材料で形成されていてもよい。
(4)上記(1)から(3)までのいずれか一つの態様において、前記摺動部材取付部品は、前記容器本体の材料と同一の材料、又は、前記容器本体と溶着可能な材料から形成されていてもよい。
(5)上記(1)から(4)までのいずれか一つの態様において、前記容器本体及び前記摺動部材嵌合部品は、非結晶性樹脂から形成され、前記摺動部材は、結晶性樹脂から形成されていてもよい。
(6)本発明に係る別の一つの態様は、前面に開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉鎖する蓋体と、前記開口部を正面とした際、前記容器本体の外側に形成される装置位置決め部と、を備え、前記装置位置決め部は、摺動部材取付部品と、前記摺動部材取付部品とは別部材の摺動部材と、を有する基板収納容器の製造方法において、前記摺動部材を、一方向のみに移動可能な状態で、前記摺動部材取付部品に取付け、装置位置決め部品を形成する工程と、前記装置位置決め部品を、金型に配置して、溶融した熱可塑性樹脂を加熱圧縮して前記容器本体の前記外側にインサート成形する工程と、を含むものである。
(7)上記(6)の態様において、前記装置位置決め部品を、前記容器本体の前記外側にインサート成形することにより、前記摺動部材取付部品を、前記容器本体に溶着するとともに、前記摺動部材を、前記摺動部材取付部品と前記容器本体とで保持又は挟持してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器本体に対して熱融着し難い材料で形成された部材を備える基板収納容器及び基板収納容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る基板収納容器を示す分解概略斜視図である。
図2】第1実施形態に係る(a)は容器本体を底面側から見た斜視図、(b)は背面、側面及び底面側から見た斜視図である。
図3】(a)は装置位置決め部を示す斜視図、(b)は(a)におけるA−A断面斜視図である。
図4】基板収納容器の製造方法を示すフローチャートである。
図5】(a)は摺動部材取付部品を示す斜視図、(b)は摺動部材を一方向から摺動部材取付部品に取付ける様子を示す斜視図、(c)は摺動部材が移動可能な方向を示す装置位置決め部品の斜視図である。
図6】第2実施形態に係る(a)は容器本体を底面側から見た斜視図、(b)は背面、側面及び底面側から見た斜視図である。
図7】(a)は装置位置決め部を示す斜視図、(b)は(a)におけるB−B断面斜視図である。
図8】(a)は摺動部材を一方向から摺動部材取付部品に取付ける様子を示す斜視図、(b)は摺動部材が移動可能な方向を示す装置位置決め部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0010】
(第1実施形態)
まず、基板収納容器100について説明する。図1は、基板収納容器100を示す分解概略斜視図である。
図1に示される基板収納容器100は、基板Wを収納するもので、前面に開口部11を有する容器本体1と、開口部11を閉鎖する蓋体2と、パッキン3と、を備えている。
【0011】
容器本体1は、箱状体のものであり、枠状の前枠板10、左側板20、右側板30、天板40、底板50及び背板60で構成されている。このうち前枠板10には、開口部11が形成されており、さらに、開口部11の周りには、パッキン3の接触面12が形成されている。
【0012】
なお、本実施形態では、基板収納容器100は、前枠板10に開口部11が形成され、前枠板10に蓋体2を取付けるフロントオープン型のものとするが、天板40に開口部11が形成され、蓋体2を取付けるトップオープン型などであってもよい。ただし、300mm径や450mm径の基板Wを収納する場合は、容器本体1への挿入操作の行い易さから、フロントオープン型のものが好ましい。
【0013】
一方、蓋体2は、容器本体1の開口部11を閉鎖するように装着されるものである。この蓋体2に取付けられるパッキン3は、矩形枠状のもので、容器本体1の前枠板10と蓋体2との間に配置され、蓋体2を容器本体1に装着した際に、前枠板10の接触面12と蓋体2とに密着することで、基板収納容器100の気密性を確保し、基板収納容器100への外部からの埃、湿気などの侵入を低減させる。
【0014】
これら容器本体1及び蓋体2の材料としては、例えば、ポリカーボネート、環状オレフィンポリマーなどの非結晶性樹脂を用いることができる。また、パッキン3の材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマーなどの弾性体を用いることができる。
【0015】
ところで、容器本体1の内部には、支持体71が配置されている。支持体71は、基板Wの載置及び前後の位置決めする機能を有している。支持体71は、左側板20、右側板30にそれぞれ2か所配置されている。なお、図1には、左側板20に配置された支持体71は、図示されていない。
【0016】
支持体71は、複数の溝が高さ方向に形成された、いわゆる溝ティースで構成されている。支持体71は、同じ高さにある右側板30側の2か所の溝、左側板20側の2か所の溝で、収納された基板Wを載置する。なお、支持体71の材料は、容器本体1と同様のものを用いることができる。
【0017】
そして、この基板収納容器100に収納される基板Wは、例えば、シリコンウエハが挙げられるが、これに限られず、石英ウエハ、ガリウムヒ素ウエハなどであってもよい。
【0018】
ここで、半導体加工装置や搬送装置などの位置決めピンなどに支持される、容器本体1の装置位置決め部52について説明する。
図2(a)は容器本体1を底面51側から見た斜視図、(b)は背面61、側面31及び底面51側から見た斜視図である。
【0019】
装置位置決め部52は、容器本体1の開口部11を正面とした際、容器本体1の外側である底面51に位置して形成されている。この装置位置決め部52は、略直方体形状のものであり、その長手方向を底面51の略中心に向けて、円周上に等間隔で底面51に3か所配置されている。なお、装置位置決め部52は、3つに限らず、加工装置などに合わせて自由に設定することができる。
【0020】
装置位置決め部52の長手方向には、案内孔521が2つ並んで形成されている。案内孔521は、外側の開口が奥側の開口より広く、奥に行くにしたがい窄まる形状を有している。案内孔521をこのような形状とすることで、加工装置や搬送装置に設けられた位置決めピンがずれて装置位置決め部52に近づいたとしても、位置決めピンは案内孔521の内壁に当接して滑りながら中心に案内される。
【0021】
図3(a)は装置位置決め部52を示す斜視図、(b)は(a)におけるA−A断面斜視図である。
そして、装置位置決め部52は、摺動部材取付部品510と、摺動部材取付部品510とは別部材の摺動部材520と、を有しており、容器本体1の底面51にインサート成形により一体化されている。
【0022】
具体的には、装置位置決め部52の摺動部材520は、摺動部材取付部品510と容器本体1の一部である底板50とで囲まれて保持されている。つまり、図3において、摺動部材520は、位置Mで、底板50によって実線矢印で示す一方向への移動が規制されている。なお、摺動部材取付部品510及び摺動部材520の形状については、後述する。
【0023】
摺動部材取付部品510の材料としては、容器本体1の材料と同一の材料、又は、容器本体1と溶着可能な材料から形成されているのが好ましく、例えば、ポリカーボネート、環状オレフィンポリマーなどの非結晶性樹脂を用いることができる。
【0024】
一方、摺動部材520の材料としては、位置決めピンが、当接しながら滑る場合があるので、容器本体1及び摺動部材取付部品510の材料よりも摩擦係数が低い材料で形成されているのが好ましい。摩擦係数が低い材料としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレートなどの結晶性樹脂を用いることができる。
【0025】
つぎに、本実施形態の基板収納容器100の製造方法を、添付図面を参照して詳細に説明する。図4は、基板収納容器100の製造方法を示すフローチャートである。
この基板収納容器100の製造方法は、装置位置決め部品形成工程S1と、インサート成形工程S2と、を少なくとも含んでいる。なお、成形型を用いた樹脂成形に必要な、成形品の離型工程や突出し工程や、付加的に行われるバリを除去する整形工程などについては、説明を省略する。
【0026】
図5(a)は摺動部材取付部品510を示す斜視図、(b)は摺動部材520を一方向から摺動部材取付部品510に取付ける様子を示す斜視図、(c)は摺動部材520が移動可能な方向を示す装置位置決め部品500の斜視図である。なお、基板収納容器100の製造方法の説明であるため、基板収納容器100の使用状態とは逆にして示している。
【0027】
装置位置決め部品形成工程S1では、摺動部材520を、一方向のみに移動可能な状態で、摺動部材取付部品510に取付け、装置位置決め部品500を組立てる。なお、これら摺動部材520及び摺動部材取付部品510の成形は、インジェクション成形に限らず、圧縮成形などであってもよい。
【0028】
摺動部材取付部品510は、図5(a)に示すように、幅方向の中心に、長手方向に略Y字型の溝511が形成されており、また、この溝511の両側に、摺動部材520をガイドするガイド溝512が形成されている。なお、ガイド溝512は、摺動部材取付部品510の長手方向の中間を超えるまで形成されている。
【0029】
摺動部材520は、図5(b)に示すように、案内孔521が形成された本体522の片側が下方向に略90°に屈曲し、さらに、案内孔521が形成された側とは反対方向に略90°屈曲している。案内孔521が形成された本体522の幅方向の両側には、長手方向に延びる2つの凸部523が、ガイド溝512に合わせて形成されている。
【0030】
そして、図5(b)において、摺動部材520の凸部523が、摺動部材取付部品510のガイド溝512に沿って、実線矢印で示した一方向から挿入される。摺動部材520の挿入後は、図5(c)に実線矢印で示すように、摺動部材520は、一方向のみに移動可能な状態である。すなわち、摺動部材520は、挿入方向以外は、摺動部材取付部品510のガイド溝512によって位置決めされて、規制されている。
【0031】
インサート成形工程S2では、装置位置決め部品500を、金型の所定位置に配置して、溶融した熱可塑性樹脂を加熱圧縮して金型に流し、容器本体1の底面51にインサート成形により一体化する。このインサート成形により、摺動部材取付部品510は、溶融した熱可塑性樹脂と熱融着し、底板50の一部を構成し、図3に示した装置位置決め部52となる。
【0032】
第1実施形態によれば、結晶性樹脂で滑り性がよいものの、容器本体1に対して熱融着し難い材料を用いた摺動部材520を備える基板収納容器100及びその製造方法を提供することができる。
【0033】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、装置位置決め部52A(装置位置決め部品500A、摺動部材取付部品510A、摺動部材520A)の形状及び構造が異なる以外は、第1実施形態と同様である。
図6(a)は、本実施形態における容器本体1Aを底面51A側から見た斜視図、(b)は背面61、側面31及び底面51A側から見た斜視図である。図7(a)は装置位置決め部52Aを示す斜視図、(b)は(a)におけるB−B断面斜視図である。
【0034】
図6及び図7において、装置位置決め部52Aは、摺動部材取付部品510Aと、摺動部材取付部品510Aとは別部材の摺動部材520Aと、を有しており、容器本体1Aの底面51Aにインサート成形により一体化されている。
【0035】
具体的には、装置位置決め部52Aの摺動部材520は、摺動部材取付部品510Aと容器本体1Aの一部である底板50Aとで囲まれて保持されている。つまり、図7において、摺動部材520は、位置Mで、底板50によって実線矢印で示す一方向への移動が規制されている。
【0036】
図8(a)は摺動部材520Aを一方向から摺動部材取付部品510Aに取付ける様子を示す斜視図、(b)は摺動部材520Aが移動可能な方向を示す斜視図である。
摺動部材取付部品510Aは、図8(a)に示すように、幅方向の中心に、長手方向にY字型の溝511が形成されており、また、この溝511の両側に、摺動部材520Aを挟み込む縦壁513が長手方向の略中央に形成されている。
【0037】
一方、摺動部材520Aは、案内孔521が形成された本体524の4隅に脚525が形成されている。脚525の先端は、長手方向の外側に向かって屈曲して延びている。
【0038】
第2実施形態における装置位置決め部品形成工程S1では、図8(a)において、摺動部材520Aを、実線矢印で示した一方向から摺動部材取付部品510Aの縦壁513の間に嵌め込む。
【0039】
そして、摺動部材520Aの嵌め込み後は、図8(b)に実線矢印で示すように、摺動部材520Aは、一方向のみに移動可能な状態である。すなわち、摺動部材520Aは、挿入方向以外は、摺動部材取付部品510Aの縦壁513によって位置決めされて、規制されている。
【0040】
インサート成形工程S2では、装置位置決め部品500Aを、金型の所定位置に配置して、溶融した熱可塑性樹脂を加熱圧縮して金型に流し、容器本体1Aの底面51Aにインサート成形により一体化する。このインサート成形により、摺動部材取付部品510Aは、溶融した熱可塑性樹脂と熱融着し、底板50Aの一部を構成し、図7に示した装置位置決め部52Aとなる。
【0041】
くわしくは、図7において、位置Mで、底板50Aとなる樹脂が、摺動部材取付部品510Aの側方及び上方と熱融着して一体化するとともに、摺動部材520Aの屈曲した脚525の上方も覆うことになる。そのため、摺動部材520Aは、摺動部材取付部品510Aと容器本体1Aの底板50Aとで位置ずれしないように挟持された状態となる。
【0042】
以上説明したとおり、本発明の実施形態に係る基板収納容器100は、前面に開口部11を有する容器本体1と、開口部11を閉鎖する蓋体2と、開口部11を正面とした際、容器本体1の外側に形成される装置位置決め部52と、を備える基板収納容器100において、装置位置決め部52は、摺動部材取付部品510と、摺動部材取付部品510とは別部材の摺動部材520と、を有するとともに、容器本体1の外側にインサート成形されており、摺動部材520は、摺動部材取付部品510と容器本体1とで保持又は挟持されている。
【0043】
これにより、容器本体1に対して熱融着し難い材料を用いた摺動部材520を備える基板収納容器100が得られる。つまり、摺動部材520の材料を自由に選択することができる。
【0044】
摺動部材520は、容器本体1がなければ、一方向のみに移動可能な状態で、摺動部材取付部品510に取付けられている。これにより、インサート成形前に、装置位置決め部52を分離不能に組み立てる必要がなくなる。
【0045】
摺動部材520は、容器本体1及び摺動部材取付部品510の材料よりも摩擦係数が低い材料で形成されている。これにより、位置決めピンなどに対する、滑り性を向上させることができ、加工装置や搬送装置に対して基板収納容器100を適切に位置決めすることができる。
【0046】
摺動部材取付部品510は、容器本体1の材料と同一の材料、又は、容器本体1と溶着可能な材料から形成されている。これにより、摺動部材取付部品510は、容器本体1の材料と熱溶着され、一体化される。
【0047】
容器本体1及び摺動部材取付部品510は、非結晶性樹脂から形成され、摺動部材520は、結晶性樹脂から形成されている。つまり、容器本体1、摺動部材取付部品510、摺動部材520のそれぞれの材料を自由に選択することができる。
【0048】
(変形例)
上記実施形態では、摺動部材520,520Aは、容器本体1,1Aがなければ(ない状態では)、一方向のみに移動可能な状態で、摺動部材取付部品510,510Aに取付けられているが、多方向に移動可能な状態で、取付けられていてもよい。この場合でも、摺動部材520,520Aが、摺動部材取付部品510,510Aに取付けられた状態でインサート成形により一体化され、摺動部材520,520Aが、摺動部材取付部品510,510Aと容器本体1,1Aとで、位置ずれしないように保持又は挟持されていればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、装置位置決め部52,52Aは、2つの案内孔521が並んで形成されていたが、これに限られず、搬送装置などの位置決めピンを所定の位置に案内し、位置決め可能な形状であれば、1つのV字状溝で形成される案内凹部のようなものであってもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、容器本体1,1Aの外側を底面51,51Aとしたが、これに限られず、例えば、背面61、左右の側面31など他の外面であってもよいし、また、可能であれば、内側の面にも適用してもよい。
【0051】
あるいは、上記実施形態では、インサート成形する部材を、装置位置決め部52,52Aとしたが、これに限られず、容器本体1の外面又は内面に設けられる各種部品であってもよい。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,1A 容器本体
2 蓋体
3 パッキン
10 前枠板、11 開口部、12 接触面
20 左側板
30 右側板、31 側面
40 天板
50,50A 底板、51,51A 底面
500,500A 装置位置決め部品
510,510A 摺動部材取付部品、511 溝、512 ガイド溝、513 縦壁
52,52A 装置位置決め部、520,520A 摺動部材、521 案内孔、522,523 凸部、524 本体、525 脚
60 背板、61 背面
71 支持体
100 基板収納容器
W 基板
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8