(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る巻取装置は、円筒状の胴部及びその両側の鍔部を有するボビンを軸方向に往復移動させるボビン駆動機構を備え、ボビンに線材を多層整列巻きする巻取装置であって、ボビンを胴部の接線方向から撮影するカメラと、上記カメラが撮影した画像に基づいてボビンの往復移動のタイミングを設定する制御部とを備える。
【0013】
当該巻取装置は、ボビンを胴部の接線方向から撮影するカメラを備えており、このカメラは既存層への線材の乗り上がり画像を撮影することができる。また、当該巻取装置は、このカメラが撮影した画像に基づいてボビンの往復移動のタイミングを設定する制御部を備えるので、線材の乗り上がりに基づいてボビンの往復移動を制御することができる。当該巻取装置は、規定のプログラムによってボビンを往復移動させるものではなく、線材の乗り上がりに基づいて(つまり、実測データに基づいて)ボビンの往復移動を制御するものであるので、ボビンの鍔部の内面に凹凸が形成されていた場合でもこの凹凸に基づく線乗り及び線落ちを抑制し易い。そのため、当該巻取装置は、線材の線乗りや線落ちを容易かつ確実に抑制することができる。
【0014】
当該巻取装置は、上記線材に対するボビンの鍔部の軸方向間隔を測定する変位センサーをさらに備えるとよい。このように、上記線材に対するボビンの鍔部の軸方向間隔を測定する変位センサーをさらに備えることによって、線材及び鍔部の軸方向間隔に基づいてボビンの往復移動をより的確に制御することができる。
【0015】
当該巻取装置は、上記ボビンに巻き取られる際に線材を鍔部側に付勢する線材整列機構をさらに備え、上記変位センサーがこの線材整列機構に取り付けられているとよい。このように、上記ボビンに巻き取られる際に線材を鍔部側に付勢する線材整列機構をさらに備え、上記変位センサーがこの線材整列機構に取り付けられていることによって、線材及び鍔部の軸方向間隔を容易かつ確実に測定することができる。
【0016】
上記制御部が、既存層への上記線材の乗り上がり位置を基準としてボビンが150°以上300°以下回転したときにボビンを反転移動させるとよい。このように、上記制御部が、既存層への上記線材の乗り上がり位置を基準としてボビンが上記範囲の角度で回転したときにボビンを反転移動させることによって、層上がりした位置の外面と層上がりした位置以外の外面との平坦化を促進することができ、巻き取り後に線材をスムーズに繰り出すことができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、円筒状の胴部及びその両側の鍔部を有するボビンを軸方向に往復移動させ、ボビンに線材を多層整列巻きする巻取方法であって、ボビンを胴部の接線方向から撮影する撮影工程と、上記撮影工程で撮影した画像に基づいてボビンの往復移動のタイミングを設定する制御工程とを備える。
【0018】
当該巻取方法は、ボビンを胴部の接線方向から撮影する撮影工程を備えるので、撮影工程によって既存層への線材の乗り上がり画像を撮影することができる。また、当該巻取方法は、撮影工程で撮影した画像に基づいてボビンの往復移動のタイミングを設定する制御工程を備えるので、線材の乗り上がりに基づいてボビンの往復移動を制御することができる。そのため、当該巻取方法は、既述のように線材の線乗りや線落ちを容易かつ確実に抑制することができる。
【0019】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る巻取装置及び巻取方法を図面を参照しつつ詳説する。
【0020】
[第一実施形態]
<巻取装置>
図1の巻取装置1は、円筒状の胴部11a及びその両側に鍔部11bを有するボビン11を軸方向に往復移動させるボビン駆動機構12を備え、ボビン11に線材Xを多層整列巻きする巻取装置である。当該巻取装置1は、ボビン駆動機構12及びボビン11を回転させるボビン回転機構13を有するトラバーサ2と、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影するカメラ3と、カメラ3が撮影した画像に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御部4とを備える。
【0021】
当該巻取装置1は、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影するカメラ3を備えており、このカメラ3は既存層への線材Xの乗り上がり画像を撮影することができる。また、当該巻取装置1は、このカメラ3が撮影した画像に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御部4を備えるので、線材Xの乗り上がりに基づいてボビン11の往復移動を制御することができる。当該巻取装置1は、規定のプログラムによってボビン11を往復移動させるものではなく、線材Xの乗り上がりに基づいて(つまり、実測データに基づいて)ボビン11の往復移動を制御するものであるので、ボビン11の鍔部11bの内面に凹凸が形成されていた場合でもこの凹凸に基づく線乗り及び線落ちを抑制し易い。そのため、当該巻取装置1は、線材Xの線乗りや線落ちを容易かつ確実に抑制することができる。
【0022】
線材Xは、アームガイドYを介してボビン11の胴部11aに巻き付けられる。線材Xは、平角線であっても丸線であってもよいが、平角線を用いることで当該巻取装置1の効果がより発揮される。線材Xの種類としては特に限定されるものではないが、例えば銅等の金属導体からなる単芯線に絶縁塗料を焼き付け塗布したエナメル線等の被覆電線が好適に用いられる。また、線材Xの厚さや幅は特に限定されるものではないが、当該巻取装置1は、例えば平均厚さが0.5mm以上5mm以下、平均幅が1mm以上10mm以下のものを好適に巻き取ることができる。
【0023】
(トラバーサ)
トラバーサ2は、上述のボビン駆動機構12及びボビン回転機構13と、台座となる支持台14とを有する。
【0024】
支持台14は、ボビン駆動機構12及びボビン回転機構13が載置される基台であり、トラバーサ2の最下部に位置する。
【0025】
ボビン駆動機構12は、スクリューシャフト12a、移動台12b及び位置制御モータ12cを有する。
【0026】
スクリューシャフト12aは、螺旋状の溝(ネジ溝)が刻まれたシャフトであり、一端が移動台12bに螺合され、他端が位置制御モータ12cの軸に接合されている。
【0027】
移動台12bは、上記スクリューシャフト12aと螺合するネジ穴を有し、スクリューシャフト12aの回転に応じてスクリューシャフト12aの軸方向に移動するように支持台14上に配設されている。
【0028】
位置制御モータ12cは、スクリューシャフト12aを回転させるモータである。位置制御モータ12cは、正逆回転可能である。この位置制御モータ12cによりスクリューシャフト12aを回転させることで、移動台12bがスクリューシャフト12aの軸方向に移動する。また、位置制御モータ12cの回転方向を変えることで移動台12bを往復移動させることができる。
【0029】
ボビン回転機構13は、ボビン取り付け用のスピンドル13a、このスピンドル13aを回転自在に支持する軸受材13b、及びギア13dを介して上記スピンドル13aを回転させる回転用モータ13cを有する。
【0030】
スピンドル13aは、回転用モータ13cの回転動力をボビン11に伝える円柱状部材である。スピンドル13aは、ボビン11の胴部内部に軸方向が一致するよう装着可能に構成されている。スピンドル13aは、スクリューシャフト12aと軸方向が一致するよう配設されている。
【0031】
軸受材13bは、スピンドル13aを回転自在に支持する軸受である。ボビン回転機構13は、スピンドル13aが軸受材13bに支持された状態で、ボビン11が装着されたスピンドル13aを回転させることでボビン11を回転させる。
【0032】
回転用モータ13cは、移動台12b上に配設され、ギア13dを介してスピンドル13aと接続されている。回転用モータ13cがスピンドル13aを回転させることで、線材Xがボビン11に巻き取られる。回転用モータ13cは回転速度を可変に構成されてもよく、回転速度を不変に構成されてもよい。
【0033】
トラバーサ2は以上のように構成されているので、当該巻取装置1は、位置制御モータ12cを用いて移動台12bを往復移動させることで、ボビン駆動機構12によりボビン11を往復移動させることができる。また、当該巻取装置1は、ボビン11をスピンドル13aに装着し、回転用モータ13cを用いてスピンドル13aを回転させることで、ボビン回転機構13によりボビン11を回転させることができる。そのため、当該巻取装置1は、位置を固定したアームガイドYからボビン11の軸方向に対して垂直方向に供給される線材Xをボビン11の回転及び軸方向の往復移動によりボビン11に多層に巻き取ることができる。このようなトラバーサ2としては、公知のものを利用できる。
【0034】
(カメラ)
カメラ3は、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影できるよう配設されており、本実施形態では、
図2に示すように、ボビン11の軸方向と垂直方向から胴部11aに巻き付けられた線材Xを撮影可能に配設されている。また、カメラ3は、鍔部11bの内面(対向面)近傍位置における線材Xを連続的に撮影できるように構成されており、これにより線材Xの既存層への乗り上がりを撮影可能に構成されている。なお、当該巻取装置1は、後述のように、カメラ3によって線材Xの乗り上がり画像を撮影した後、カメラ3が撮影したこの画像を基にボビン11の往復移動を制御する。そのため、当該巻取装置1にあっては、カメラ3が線材Xの乗り上がりを早期に撮影できる方がボビン11の往復移動を制御し易い。このような点から、カメラ3は、アームガイドYから供給された線材Xがボビン11に重積される点から210°巻かれる前の線材Xを撮影できるよう配設されることが好ましい。カメラ3としては、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等を用いることができる。
【0035】
(制御部)
制御部4は、例えばパーソナルコンピューターやプログラマブルコントローラー等により構成することができる。制御部4は、上述のようにカメラ3が撮影した画像に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する。具体的には、制御部4は、カメラ3が線材Xの既存層への乗り上がり画像を撮影すると、この画像に基づいて線材Xの乗り上がり位置を基準としてボビン11を反転移動させるようボビン駆動機構12を制御する。
【0036】
図2〜
図4を参照して、当該巻取装置1におけるボビン11の往復移動の制御機構について説明する。まず、当該巻取装置1は、ボビン駆動機構12及びボビン回転機構13によりボビン11を周方向であるZ方向に回転及び軸方向に移動させつつアームガイドYから供給される線材Xを胴部11aに巻き取っていく。そして、制御部4は、線材Xが鍔部11bの内面近傍に至るとボビン11の軸方向の移動を停止させる。ボビン11の軸方向の移動を停止させる手順としては、特に限定されるものではなく、例えば線材Xと鍔部11bとの軸方向間隔を測定し、この間隔が一定以下となった場合にボビン11の軸方向の移動を停止させればよい。
【0037】
次に、ボビン11の軸方向の移動が停止されると、線材Xは、ボビン11の胴部11aにおける鍔部11bの内面近傍の部分に巻かれていき、この部分において360°巻かれた際に、
図2に示すように乗り上がり位置X1において既存層に乗り上がる。
【0038】
さらに、線材Xは、乗り上がり位置X1において既存層に乗り上げた後も、ボビン11の胴部11aにおける鍔部11bの内面近傍の部分に巻かれていく。そして、
図3に示すように、既存層に乗り上げ後、所定の角度巻き取られた時点で、この乗り上がり部分はカメラ3の撮影領域に至る。一方、カメラ3は、胴部11aの接線方向からボビン11を連続的に撮影しているため、
図4に示す乗り上がり画像がカメラ3によって撮影される。カメラ3によって乗り上がり画像が撮影されると、制御部4は、画像処理によって線材Xの乗り上がりを認識し、線材Xの既存層への乗り上がり位置X1を基準とする(つまり、乗り上がり位置X1を0°とする)ボビン11の回転角度に基づいてボビン11を反転移動制御する。なお、カメラ3が上記画像処理を行い、制御部4がこの画像処理データを受信してボビン11を反転移動制御してもよい。
【0039】
線材Xの既存層への乗り上がり位置X1を基準とするボビン11が反転移動を開始する角度の下限としては150°、上限としては300°の範囲にあることが好ましい。上記角度が上記下限に満たないと、ボビン11の反転移動が早くなり過ぎて、層上がりした位置における線材Xの層厚が不足して、巻き取り後に線材Xをスムーズに繰り出し難くなるおそれがある。逆に、上記角度が上記上限を超えると、層上がりした位置における線材Xの層厚が大きくなり、巻き取り後に線材Xをスムーズに繰り出し難くなるおそれがある。なお、線材Xがボビン11に重積された点からカメラ3によって撮影されるまでのボビン11の回転角度は予め制御部4に記憶されている。ボビン11の反転移動は、この重積点を基準とするボビン11の回転角度が所定の値となった時にボビン11を反転移動するよう制御部4がボビン駆動機構12を制御することで行われる。
【0040】
<巻取方法>
次に、本発明に係る巻取方法について説明する。当該巻取方法は、円筒状の胴部及びその両側の鍔部を有するボビンを軸方向に往復移動させ、ボビンに線材を多層整列巻きする巻取方法であって、
図1の当該巻取装置1を用いて行うことができる。当該巻取方法は、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影する撮影工程と、上記撮影工程で撮影した画像に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御工程とを備える。
【0041】
(撮影工程)
上記撮影工程は、カメラ3によって行われる。上記撮影工程では、ボビン11を胴部11aの接線方向から連続的に撮影することによって、線材Xの既存層への乗り上がり画像を撮影する。
【0042】
(制御工程)
上記制御工程は、制御部4によって行われる。上記制御工程では、上記撮影工程で撮影された線材Xの既存層への乗り上がり画像に基づいて乗り上がり位置X1を基準としてボビン11を反転移動させるようボビン駆動機構12を制御する。なお、上記制御工程は、ボビン11を反転移動させる前に、線材Xが鍔部11bの内面近傍に至った際にボビン11の軸方向の移動を停止させることが好ましい。
【0043】
当該巻取方法は、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影する撮影工程を備えるので、撮影工程によって既存層への線材Xの乗り上がり画像を撮影することができる。また、当該巻取方法は、撮影工程で撮影した画像に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御工程を備えるので、線材Xの乗り上がりに基づいてボビンの往復移動を制御することができる。そのため、当該巻取方法は、既述のように線材Xの線乗りや線落ちを容易かつ確実に抑制することができる。
【0044】
[第二実施形態]
<巻取装置>
図5の巻取装置21は、トラバーサ2と、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影するカメラ3と、ボビン11に巻き取られる際に線材Xを鍔部11b側に付勢する線材整列機構22と、線材Xに対する鍔部11bの軸方向間隔を測定する一対の変位センサー23と、カメラ3が撮影した画像及び一対の変位センサー23が測定した間隔に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御部24とを備える。当該巻取装置21におけるトラバーサ2及びカメラ3は、
図1の巻取装置1と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
(線材整列機構)
線材整列機構22は、一対のローラーユニット31を有する。各ローラーユニット31は、ボビン11の軸と平行に配設され、この軸方向に往復移動する軸部と、この軸部の先端に配設され、巻き取られる際の線材Xを付勢するローラー部とを有する。
【0046】
一対のローラーユニット31は、フレーム32に往復移動機構及び切離機構を介して配設されており、これによりボビン11に対して切離可能かつボビン11の軸方向に往復移動可能に設けられている。具体的には、線材整列機構22は、支持台であるフレーム32と、フレーム32にボビン11の軸方向に移動可能配設される移動台33と、移動台33から突設した板部に回転軸の軸方向が移動台33の移動方向と一致するよう配設された一対のアクチュエーター34と、一対のアクチュエーター34の回転軸に接続された一対のアーム部35と、一対のアーム部35に付設される一対のローラーユニット31とを有する。
【0047】
フレーム32は、移動台33をボビン11の軸方向(図中左右方向)に往復移動自在に支持する。フレーム32の両端には移動台33の移動を制限するストッパー板が設けられている。
【0048】
移動台33は、一対のローラユニット31をボビン11の軸方向に往復移動させる。この移動台33の移動機構としては、上述のボビン駆動機構12と同様の構成を採用することができる。
【0049】
一対のアクチュエーター34は、移動台33の上面に移動方向に対して対向するよう配置された一対の板部にそれぞれ配設されている。この一対のアクチュエーター34は、回転軸の軸方向が移動台33の移動方向(ボビン11の軸方向)と一致するよう配設されており、一対のアーム部35をそれぞれボビン11の軸方向に垂直な面内で移動可能としている。
【0050】
一対のアーム部35は、それぞれボビン11の軸方向に垂直な面内で移動可能に構成されている。具体的には、一対のアーム部35は、それぞれ一端がアクチュエーター34に接続される本体と、この本体の他端に連結されるローラー支持部とを有し、この本体及びローラー支持部がボビン11の軸方向に垂直な方向に回転可能に連結されている。
【0051】
一対のローラーユニット31は、ボビン11の鍔部11b側に線材Xを押圧可能に構成されている。一対のローラーユニット31は、回転軸がボビン11の軸方向と平行となり、かつ上記ローラー部が一対のアーム部35の対向面と反対側に配設されるように、それぞれ軸部を介してローラー支持部に回転可能に軸支されている。
【0052】
一対のローラーユニット31は、
図6に示すように、上記ローラー部として、軸部の先端に同軸に配設され、その先端が線材Xの側面に当接可能な大径ローラー36と、この大径ローラー36の先端側に同軸に配設され、その周面が線材Xの外周に当接可能な小径ローラー37とを有する。
【0053】
(変位センサー)
各変位センサー23は、レーザー光を発光可能な光源と、光源から発光されたレーザー光の反射光を検出可能な検出部とを有する。一対の変位センサー23は、線材整列機構22に取り付けられている。具体的には、一対の変位センサー23は、上記光源の出光方向が外方向(一対のアーム部35の対向方向と反対方向)かつ上記軸部の軸方向と一致するように一対のアーム部35に取り付けられている。これにより、各変位センサー23は、上記光源が鍔部11bの内面に対してレーザー光を発光可能に構成されており、この鍔部11bによって反射された反射光を上記検出部が検出することで、変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔を測定可能に構成されている。
【0054】
(制御部)
制御部24は、例えばパーソナルコンピューターやプログラマブルコントローラー等により構成することができる。制御部24は、
図1の巻取装置1の制御部4と同様、カメラ3が線材Xの既存層への乗り上がり画像を撮影すると、この画像に基づいて線材Xの乗り上がり位置を基準としてボビン11を反転移動させるようボビン駆動機構12を制御する。また、制御部24は、一対の変位センサー23が測定した間隔に基づいてボビン11の往復移動を停止可能に構成されている。具体的には、制御部24は、一対の変位センサー23によって測定された変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔から、ボビン11に巻き取られる線材Xの外側の側面(鍔部11b側の側面)と鍔部11bの内面との間隔を算出し、この間隔が一定値以下(例えば線材Xの幅よりも小さい値)となる時点でボビン11の移動を停止可能に構成されている。
【0055】
図6,7を参照して、当該巻取装置21における線材X及び鍔部11bの軸方向間隔の測定機構について説明する。まず、当該巻取装置21は、
図6に示すように、線材Xがボビン11の一方の鍔部11b側に巻き取られる際に、線材整列機構22の一対のローラーユニット31のうち小径ローラー37が一方の鍔部11b側に位置する一方のローラーユニット31をこの巻き取られる線材Xの外周に沿うように配置する。そして、この一方のローラーユニット31のアーム部35に取り付けられた変位センサー23が、この変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔Dを連続的に測定することで、線材Xに対する鍔部11bの軸方向間隔を測定する。そして、
図7に示すように、変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔Dが一定の値以下になると、制御部24は線材Xが鍔部11b近傍に至ったものと判断してボビン11の移動を停止する。なお、当該巻取装置21にあっては、上記間隔Dを基に線材Xの外側の側面(鍔部11b側の側面)と鍔部11bの内面との間隔が測定できればよい。当該巻取装置21は、変位センサー23と線材Xの外側の側面との軸方向間隔を一定に保ちつつ、上記間隔Dを測定し、これらの値から線材Xの外側の側面と鍔部11bの内面との正確な間隔を算出してもよい。
【0056】
なお、この一方のローラーユニット31は、ボビン11が反転移動した際には、ボビン11に巻き取られる線材Xの外面に小径ローラー37の周面を当接させ、かつ大径ローラー36の側面(小径ローラー37側の面)を線材Xの側面に当接させてボビン11の鍔部11b側に線材Xを押圧し、線材X間の隙間を制御する。
【0057】
当該巻取装置21は、線材Xに対する鍔部11bの軸方向間隔を測定する変位センサー23を備えることによって、線材X及び鍔部11bの軸方向間隔に基づいてボビン11の移動を停止することができる。当該巻取装置21は、規定のプログラムによってボビンを移動を停止させるものではなく、実測データに基づいてボビン11の移動を停止するものであるので、鍔部11bの内面に凹凸が形成されていた場合でもこの凹凸に基づく線乗り及び線落ちを抑制し易い。そのため、当該巻取装置21は、往復移動をより的確に制御することができる。また、当該巻取装置21は、変位センサー23が線材整列機構22に取り付けられていることによって、線材X及び鍔部11bの軸方向間隔を容易かつ確実に測定することができる。
【0058】
なお、線材Xがボビン11の他方側に巻き取られる際は、線材整列機構22の一対のローラーユニット31のうち小径ローラー37が他方の鍔部11b側に位置する他方のローラーユニット31をこの巻き取られる線材Xの外周に沿うように配置し、この他方のローラーユニット31のアーム部35に取り付けられた変位センサー23によって線材Xに対する鍔部11bの軸方向間隔を測定すればよい。
【0059】
<巻取方法>
次に、
図5の当該巻取装置21を用いた巻取方法について説明する。当該巻取方法は、カメラ3が撮影した画像及び一対の変位センサー23が測定した間隔に基づいてボビン11の往復移動のタイミングを設定する制御工程と、ボビン11を胴部11aの接線方向から撮影する撮影工程とを備える。また、上記制御工程は、ボビン11の移動を停止する移動停止工程と、ボビン11を反転移動させる反転移動工程とを有する。当該巻取方法は、上記移動停止工程、撮影工程、反転移動工程の順で行われる。上記撮影工程は、上述の第一実施形態における撮影工程と同様であり、上記反転移動工程は、上述の第一実施形態の制御工程と同様であるため説明を省略する。
【0060】
(移動停止工程)
上記移動停止工程は、一対の変位センサー23及び制御部24によって行われる。上記移動停止工程では、まず一対の変位センサー23が、この一対の変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔を連続的に測定することで、線材Xに対する鍔部11bの軸方向間隔を測定する。さらに、上記移動停止工程では、制御部24が、一対の変位センサー23と鍔部11bの内面との間隔が一定の値以下になると、線材Xが鍔部11b近傍に至ったものと判断してボビン11の往復移動を停止する。
【0061】
当該巻取方法は、上記移動停止工程を備えるので、線材Xが鍔部11b近傍に至った位置でボビン11の軸方向の移動を容易かつ確実に停止することができる。そのため、当該巻取方法は、線材Xの線乗りや線落ち(特に、鍔部11bの内面の凹凸に起因する線材Xの線乗りや線落ち)をより的確に抑制することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0063】
例えば、当該巻取装置は、上記変位センサーを備える場合でも、この変位センサーは必ずしも線材整列機構に取り付けられる必要はない。当該巻取装置は、例えば上述のアームガイドに取り付けられてもよい。また、当該巻取装置における線材整列機構は、上述の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば上記線材整列機構は、軸部の先端に同軸に配設され、その周面が線材の外周に当接する小径ローラーと、この小径ローラーの先端側に同軸に配設され、その後端面が線材の側面に当接する大径ローラーとを有する一対の牽引ローラーユニット(ボビンの鍔部側へ線材を牽引するローラーユニット)を有していてもよい。またこの場合、上記一対の変位センサーは、この一対の牽引ローラーユニットのアーム部に取り付けられてもよい。
【0064】
当該巻取装置は、線材の既存層への乗り上がり位置を撮影又は予測し、この乗り上がり位置でボビンの移動を停止するよう構成されてもよい。