(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672625
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ラインシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
H02J13/00 311E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-141919(P2015-141919)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2017-28762(P2017-28762A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084364
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 宜喜
(72)【発明者】
【氏名】栗山 規由
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 武志
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−176873(JP,A)
【文献】
国際公開第03/001307(WO,A1)
【文献】
中国実用新案第202502400(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q37/00−41/08
B65G43/10
G05B 9/00− 9/05
G05F 1/00− 1/10
H02J 1/00− 1/16
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置と、
全体の電源を開閉する電源スイッチと、
前記電源スイッチに接続され、前記各装置の電源を制御する電源管理コントローラと、を具備するラインシステムであって、
前記各装置は、
内部機器の電源を制御する電源管理部と、
前記電源管理部から供給される電源によって動作する制御回路部と、
夫々各装置に設けられドアの開放時にオフとなるドアスイッチと、
前記ラインシステムの少なくとも1つの装置に設けられた非常停止スイッチと、を有し、
前記電源管理コントローラは、前記各装置のドアスイッチ及び非常停止スイッチに接続されており、前記電源スイッチの投入によって前記各装置のドアスイッチ及び非常停止スイッチの出力に応じて前記各装置の電源管理部を介して電源を制御するものであり、夫々の非常停止スイッチは直列接続され、いずれかの装置のドアスイッチがオフとなった場合には、その装置のみの電源を遮断するようにしたラインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の装置と上位制御装置で構成されるラインシステムに関し、特にその電源管理に特徴を有するラインシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来機器の製造等においては、複数の装置を直列に配置して製造ラインを構成し、1つの装置で加工した製品を次の装置に順次搬送することによって複雑な加工を行うシステムが用いられている。特許文献1には複数の基板処理装置が通信ラインを介してホストコンピュータに接続された基板処理システムが示されている。
【0003】
又特許文献2には複数台の電源盤から成り、各電源盤を同時に起動させる電源盤起動回路において、各起動スイッチの投入情報に基づいて論理処理し、論理回路の制御によって電源盤の出力を制御する制御回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4951516号公報
【特許文献2】実用新案登録第2503299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに従来の複数の装置がライン状に接続されて構成されるシステム(以下、ラインシステムという)においては、各装置は夫々電源スイッチを有しており、ラインシステム全体を動作させるためにはラインシステムを構成する各装置の夫々の電源スイッチをオン状態とする必要があった。
【0006】
このため複数の装置でラインシステムを構成する場合には、電源スイッチや電源管理コントローラが装置の数だけ用いられているため、ほとんどが重複するものとなり、システム全体の構造が複雑になるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであって、複数台の装置から成るラインシステムについて、システム全体の電源を制御することができるラインシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明のラインシステムは、複数の装置と、全体の電源を開閉する電源スイッチと、前記電源スイッチに接続され、前記各装置の電源を制御する電源管理コントローラと、を具備するラインシステムであって、前記各装置は、内部機器の電源を制御する電源管理部と、前記電源管理部から供給される電源によって動作する制御回路部と、夫々各装置に設けられドアの開放時にオフとなるドアスイッチと、前記ラインシステムの少なくとも1つの装置に設けられた非常停止スイッチと、を有し、前
記電源管理コントローラは、前記各装置のドアスイッチ及び非常停止スイッチに接続されており、前記電源スイッチの投入によって前記各装置のドアスイッチ及び非常停止スイッチの出力に応じて前記各装置の電源管理部を介して電源を制御するものである。
【0009】
ここで前記各装置は夫々非常停止スイッチを有し、夫々の非常停止スイッチは直列接続されたものとしてもよい。
【0010】
ここで前記ドアスイッチは
、いずれかの装置のドアスイッチ
がオフとなった場合には、その装置のみの電源を遮断するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、ラインシステム全体を1つの電源スイッチで電源投入状態とすることができる。又電源スイッチと電源管理コントローラとはラインシステム全体で1つであり、重複した構成が削除できるため、システム全体の構造を簡略化できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施の形態によるラインシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は本実施の形態によるラインシステムの電源管理コントローラと1つの装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態によるラインシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態のラインシステム1は図示のように複数の装置10,20,30,40から構成されている。ここでローダ(LD)装置10は基板をこの製造システムに搬入するローダ装置であり、スクライブ装置20は基板をスクライブするスクライブ装置、ブレイク装置30はスクライブした基板をブレイクするブレイク装置、アンローダ装置40はブレイクされた基板をアンロードするアンローダ装置とする。これらの装置10,20,30,40について各装置に固有の構成は省略しており、本実施の形態に関連のある電源部分のみを示している。
【0014】
さて
図1に示すようにローダ装置10は電源管理部11と制御回路部12を有している。電源管理部11は後述する電源コントローラからの信号によって電源を供給するものであり、制御回路部12はローダ装置10の各部の制御回路を示している。又ローダ装置10には、ローダ装置10を非常停止させるための非常停止スイッチ(非常SW)13と、ドアスイッチ(ドアSW)14が設けられる。非常停止スイッチ13はユーザが機器に異常があることを感じたときに投入するスイッチである。又ドアスイッチ14はローダ装置10のドアに設けられ、ドアの開閉を検出するスイッチである。ドアスイッチ14は通常はオン状態にあり、点検等のために装置のドアを開放すると自動的にオフとなる。
【0015】
他の装置20,30,40についてもローダ装置10と同様に、夫々電源管理部21,31,41、制御回路部22,32,42を有しており、非常停止スイッチ23,33,43とドアスイッチ24,34,44を有している。これらの非常停止スイッチ13,23,33,43は直列に接続されており、電源管理コントローラに出力される。又同様にしてドアスイッチ14,24,34,44についても直列接続されており、その信号が電源管理コントローラに接続されている。
【0016】
次にこれらの装置10、20,30,40で構成されるラインシステムには、全体の電源を制御するキースイッチ(キーSW)51,電源管理コントローラ52及びシステムコントローラ53が設けられる。キースイッチ51はこのラインシステム全体の電源を投入するための電源スイッチである。又電源管理コントローラ52はキースイッチ51が投入されたときに、各装置の非常停止スイッチ13,23,33,43やドアスイッチ14,24,34,44がオン状態であれば各装置10,20,30,40に電源を供給するように制御信号を出力するものである。このとき各装置の非常スイッチ13,23,33,43、ドアスイッチ14,24,34,44がオフとなれば電源を停止する。システムコントローラ53はこのラインシステム1の上位制御装置であり、通信回線を介して各装置10,20,30,40の各制御回路部12,22,32,42に接続され、夫々の装置のセンサから信号を受信すると共に、必要なタイミング信号等を出力するものである。
【0017】
次に各装置のこの発明に関連する部分について説明する。
図2はキースイッチ51と電源管理コントローラ52、及びローダ装置10の詳細を示すブロック図である。電源管理コントローラ52は非常停止ユニット52aとドアインターロックユニット52bを有している。非常停止ユニット52aは各装置の非常停止ボタン13,23・・・に接続されており、これらのスイッチのうち1つのスイッチでもユーザによって非常時に投入された場合に、各装置の電源管理コントローラへの電源供給を遮断するものである。又ドアインターロックユニット52bは各装置のドアスイッチ14,24・・・に接続されている。ドアインターロックユニット52bはいずれかの装置のドアが開放されたときに異常状態として各装置での電源供給を停止するものである。
【0018】
さて
図2に示すようにローダ装置10の電源管理部11は非常停止ユニット52aによって駆動されるリレーX1,X2及びドアインターロックユニット52bによって駆動されるリレーX3と、各リレーのリレー接点回路から構成されている。リレーX1,X2の接点は入力となる商用交流であるAC200Vの3相のラインに接続されており、リレー接点を介して制御回路部12の回路12aに接続される。又リレーX3も同様にしてリレーX2の出力側接点から分岐してリレーX3の接点を介して回路12bに接続される。回路12aはこのローダ装置10の各部の安全を保持するセンサ等の回路部である。又回路12bはシステムコントローラ53からの信号に基づいてローダ装置10の各部を制御するモータ等に接続されたプログラマブルコントローラの回路部であり、動作に必要なモータやアクチュエータ,モニタ等は省略している。
【0019】
次に本実施の形態の動作について説明する。まず各装置の非常停止スイッチ13,23,33,43は投入されておらず、ドアが閉じられている状態にあるものとすると、非常停止スイッチ13,23,33,43及びドアスイッチ14,24,34,44はオン状態となっている。さて動作を開始する場合に、使用者はキースイッチ51を投入し、電源管理コントローラ52に電源の供給を指示する。このときには電源管理コントローラ52の非常停止ユニット52a,ドアインターロックユニット52bは各部に電源を供給するように指令する。即ちこの場合にはリレーX1〜X3が通電され、リレーX1〜X3の接点を介して制御回路部12の2つの回路12a,12bに電源が供給されることとなる。
【0020】
そしてシステムコントローラ53と各装置10,20,30,40の制御回路部12,22,32,42との相互の通信によりラインシステムが順次必要な動作を行い、ラインシステムが稼働する。
【0021】
さていずれか1つの装置、例えばスクライブ装置20のドアが開放されると、ドアスイッチ24がオフとなる。これによって電源管理コントローラ52のドアインターロックユニット52bに信号が伝えられ、ドアインターロックユニット52bからの各装置の電源管理部11,21,31,41のリレーX3への通電が停止され、接点が開放する。従って各装置10,20,30,40では回路12bへの電源供給が停止されることとなる。この場合には回路12aにはそのまま電源が供給されているため、各装置のセンサ等はそのまま動作状態となっている。
【0022】
又ラインシステム1が稼働状態でいずれか1つの非常停止スイッチ、例えばローダ装置10の非常停止スイッチ13が何らかの異常を発見したユーザにより投入されると、非常停止スイッチ13はオフとなる。このため電源管理コントローラ52は各装置10,20,30,40の電源管理部11,21,31,41のリレーX1,X2の動作を停止する。従って電源AC200Vから各装置の回路12a,12bのいずれにも電源が供給されなくなり、動作を停止する。このような動作停止は全ての装置10,20,30,40の全てで同時に起こることとなる。
【0023】
このように本実施の形態ではキースイッチや電源管理コントローラを各装置から切り離し、共通した装置として用いているため、システム全体の回路構成を簡略化することができる。
【0024】
尚この実施の形態では各ドアスイッチや非常停止スイッチを直列的に接続し、いずれかのドアが開放されドアスイッチがオフとなった場合、又はいずれかの非常停止スイッチが投入された場合に電源管理コントローラ52より電源管理部に信号を供給して電源の供給を停止するようにしているが、これらのスイッチは必ずしも直列的に接続する必要はない。例えばいずれかの装置のドアが開いてドアスイッチがオフとなった場合には、その装置のみの電源を遮断するようにしてもよい。
【0025】
又本実施の形態では各装置に夫々非常停止スイッチを設けるようにしているが、装置自体が小型であり、装置間の間隔が小さい場合には、複数の装置に1つの非常停止スイッチを設け、それらの装置のいすれかに異常状態があっても非常停止スイッチを投入するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はシステム全体の表示を行うことができるため、複数の装置が連結して構成されているラインシステムの電源制御に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ラインシステム
10,20,30,40 装置
11,21,31,41 電源管理部
12,22,32,42 制御回路部
12a,12b 回路
13,23,33,43 非常停止スイッチ
14,24,34,44 ドアスイッチ
51 キースイッチ
52 電源管理コントローラ
53 システムコントローラ