特許第6672653号(P6672653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672653
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】包装袋および包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20200316BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20200316BHJP
【FI】
   B65D75/58
   B65D85/07
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-179987(P2015-179987)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-216127(P2016-216127A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-100422(P2015-100422)
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝井 欣哉
(72)【発明者】
【氏名】示崎 幸生
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−084310(JP,A)
【文献】 特開2002−002731(JP,A)
【文献】 特開2004−352296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/58
B65D 85/00−85/28
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、前記胴部の天面を覆う頂部と、を備えて物品を収容可能な包装袋であって、
前記頂部には前記包装袋の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部が設けられ、
前記胴部には複数の前記物品を並置して互いに接触した状態で密に配列可能であり、
前記開閉部によって前記包装袋の内部を閉塞した閉塞状態において、
前記開閉部が、前記物品の配列方向と略平行な方向に略直線状に延在し、且つ、前記開閉部が、前記包装袋の上面視において、前記胴部の前記天面を横切るように延在し、
前記開閉部は、前記物品の配列方向において、前記開閉部の長さが前記胴部の長さよりも長くなるように構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記閉塞状態において、前記開閉部は、前記包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる物品の復元力の作用方向と略平行な方向に延在することを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記開閉部は、互いに係合することで前記包装袋の開口を閉塞可能な雌係合部材と雄係合部材とを有し、
前記雌係合部材と前記雄係合部材との係合する方向が、前記物品の配列方向と略垂直な方向であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装袋により前記物品が収容されていることを特徴とする包装体。
【請求項5】
前記物品は、衛生用品であることを特徴とする請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記衛生用品は、パンツ型のおむつであることを特徴とする請求項5に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋および包装体に関する。特に、包装対象となる物品の中でも衛生用品を収容するのに好適な包装袋と当該包装袋により衛生用品を収容した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品、例えば、靴下、肌着等の衣類や、使い捨ておむつ、軽失禁パッド、生理用品等の衛生用品を収容可能な包装袋に、可能な限り多くの数の物品を効率良く収容させるため、形状、材質、収容方法に様々な工夫がなされた包装袋が存在している。例えば、特許文献1には、複数の物品を圧縮した状態で整列して収容することで、効率良く物品を梱包可能な包装袋が示されている。
【0003】
一方、開封後の包装袋に収容された物品をできる限り清潔に保つために、包装袋の開口を開放/閉塞することが可能な開閉部を包装袋に設けることが好ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−247181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、開閉部を、特許文献1に記載されたような包装袋の頂部の開口付近に設け、開封後に開閉部により閉塞した場合、当該包装袋に圧縮して収容することで生じる物品の復元力が開閉部の閉塞状態を保つ力を上回って、包装袋の開口を閉塞しにくい、または、開閉部で閉塞していた包装袋の開口が開いてしまう可能性があった。そのため、包装袋に収容された物品を清潔に保てないおそれがあった。これは物品が衛生用品である場合に特に大きな問題となる。
【0006】
本発明の目的は、包装袋の閉塞状態を維持するための包装袋および包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装袋は、胴部と、胴部の天面を覆う頂部と、を備えて物品を収容可能な包装袋であって、頂部には包装袋の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部が設けられ、胴部には複数の物品を並置して互いに接触した状態で密に配列可能であり、包装袋の内部を閉塞した閉塞状態において、開閉部が、物品の配列方向と略平行な方向に延在することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による包装体は、本発明による包装袋によって物品を収容したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装袋および包装体によれば、包装袋の閉塞状態を維持し、包装袋に収容された物品の清潔状態を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る、開封前の包装袋および包装体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る、開封前の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は図1のIIA方向の正面図、(b)は上面図、(c)は底面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る包装袋を閉塞する様子について説明するための図であり、(a)は図2(b)のIIIA−IIIA方向断面図、(b)は開封後かつ閉塞後の包装袋の開閉部付近を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る、閉塞後の包装袋および包装体の斜視図である。
図5】物品の復元力の作用方向について説明するための図であり、(a)は図2(a)のVA−VA方向断面図であり、包装袋に物品が圧縮して整列している様子、(b)は圧縮して収容する前の1枚の物品、(c)は圧縮して収容した後の1枚の物品をそれぞれ示す。
図6】物品の復元力による、包装袋および包装体の胴部の変形について簡略的に示した図である。
図7】本発明の実施形態2−1に係る、開封前の包装袋および包装体の斜視図である。
図8】本発明の実施形態2−1に係る、開封前の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は図7のVIIIA方向の正面図、(b)は上面図、(c)は底面図である。
図9】本発明の実施形態2−1に係る、開封後の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は図9(a)のIXB方向の正面図、(c)は上面図である。
図10図8(a)のX−X方向の断面を表した模式図である。
図11】本発明の実施形態2−1に係る包装袋を閉塞する様子について説明するために模式的に表した断面図であり、(a)は図8(b)のXIA−XIA方向断面図、(b)は図9(c)のXIB−XIB方向断面図、(c)は開封後かつ閉塞後の包装袋の開閉部付近を示す図である。
図12】本発明の実施形態2−1に係る、閉塞後の包装袋および包装体の斜視図である。
図13】本発明の実施形態2−2に係る、開封前の包装袋および包装体の斜視図である。
図14】本発明の実施形態2−2に係る、開封前の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は図13のXIVA方向の正面図、(b)は上面図、(c)は底面図である。
図15】本発明の実施形態2−2に係る、開封後の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は図15(a)のXVB方向の正面図、(c)は上面図である。
図16図14(a)のXVI−XVI方向の断面を表した模式図である。
図17】本発明の実施形態2−2に係る包装袋を閉塞する様子について説明するために模式的に表した断面図であり、(a)は図14(b)のXVIIA−XVIIA方向断面図、(b)は図15(c)のXVIIB−XVIIB方向断面図、(c)は開封後かつ閉塞後の包装袋の開閉部付近を示す図である。
図18】本発明の実施形態2−2に係る、閉塞後の包装袋および包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、包装袋によって画成された物品の収容空間の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。「底面部」とは、「底面」に位置している包装袋の実体的な部分を指すものとして参照される。一方、「頂部」とは、天面を覆っている実体的な部分である天面部と、これに必要に応じて付帯する部分と、を含む部分を言い、当該付帯部分がない場合には天面部自体と等しい。
【0013】
また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「包装体」とは、物品が収容された状態の包装袋、特に包装袋に複数の物品が収容されることで製造された後であって且つ開封前のものをいう。
【0014】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の記載における「閉塞」という用語は、包装体の内部を雰囲気から完全に遮断すること(すなわち封止すること)だけでなく、包装体の内部を異物の侵入から効果的に保護できる程度に実質的に包装袋を閉じることも包含するものである。また、「閉塞状態」とは、包装袋の内部を閉塞した状態をいい、以下、「包装袋の閉塞状態」とも言う。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「接着」とは、接着剤を使用したものの他、溶着によるもの、熱融着(以下、ヒートシールということがある)によるものも含む。
【0016】
本発明の実施形態に係る包装袋は、当該包装袋の閉塞状態において、開閉部が、複数の物品の配列方向と略平行な方向に延在するように、当該開閉部を包装袋の頂部に設けることにより、包装袋の閉塞状態を維持し、その結果、収容された物品の清潔状態を保持することが可能となるものである。
【0017】
<実施形態1>
図1および図2に本発明の実施形態1に係る、開封前の包装袋1および包装体100を示し、図1は斜視図、図2(a)は図1のIIA方向の正面図、図2(b)は上面図、図2(c)は底面図をそれぞれ表す。
【0018】
本実施形態に係る包装袋1は、いわゆる、天面側に片ガセットを配置したタイプのものである。包装袋1は、天面と底面との間の物品(本実施形態では衛生用品2)を収容する空間を実質的に画成する胴部3と、当該胴部3の天面を覆う頂部4とを備えて構成される。なお、これらの部分は別体に製造された後に一体化されたものではなく、1枚のシート状部材の折り曲げ等によって予め一体に形成されているものである。
【0019】
本実施形態の包装袋1は、衛生用品2を複数収容した状態で略直方体形状を呈し、胴部3は、包装袋1の底面部と略垂直な4つの側面部を有する。図2(b)に示すように、その略直方体を包装袋1の天面側からみた場合の包装袋1の上面の形状は略長方形である。なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において「略直方体」というときは、当然に立方体も含まれるし、「略長方形」というときは、当然に正方形も含まれる。包装袋1の上面の形状が正方形である場合、いずれの辺を本明細書および特許請求の範囲の記載における長辺(または短辺)とみなしてもよい。図1に示すように、当該4つの側面部のうち、一方の対向する2つの側面部をA、A’とし、他方の対向する2つの側面部をB、B’とする。包装袋1の胴部3には複数の衛生用品2を並置して互いに接触した状態で密に配列可能である。本実施形態では、衛生用品2は、圧縮された状態で、上記略長方形の長辺と略平行(対向する2つの側面部B、B’と略平行)に配列され、包装袋1の胴部3に収容されている。圧縮して収容された複数の衛生用品2の復元力によって、対向する2つの側面部A、A’には、包装袋1の外側に膨出するような力が略垂直方向に働くことになる。
【0020】
頂部4には、包装袋1の胴部3の底面部(図2(c)を参照)と略平行な天面部5とこれに付帯する立ち上がり部6とが設けられる。天面部5の中央付近には、上記略長方形の長辺と略平行に開封線7が設けられ、これを破断することで、包装袋1が開封され、包装袋1の開口が形成される。開封線7は、例えば、ミシン目として天面部5上に形成される。
【0021】
頂部4には包装袋1の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部8が設けられる。開閉部8は、例えば、互いに係合(例えば、咬合)することで包装袋1の開口を閉塞可能な一対の係合部材を有するチャックで構成され、図1および図2(b)に示すように、互いに係合可能な雌係合部材8aと雄係合部材8bとで構成される。本実施形態では、開閉部8は、包装袋1の胴部3の底面部と略平行であって、頂部4の立ち上がり部6のうち内周部分に設けられ、例えば、包装袋1の表面に接着することによって形成される。本実施形態では、図2(b)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材8aが形成され、図2(b)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材8bが形成される。開閉部8を設けることによって、必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、開閉部8により包装袋1の開口を閉塞することが可能となるため、開封後に塵埃や虫などの異物が侵入し衛生用品2に付着することを防止することが可能となる。
【0022】
図2(a)に示すように、開閉部8は、収容した衛生用品2に対し、胴部3の底面部に垂直な方向において、間隙Lをもって位置するように形成されている。当該間隙Lが設けられることによって、開閉部8のうち雌係合部材8aと雄係合部材8bとが、互いに対峙して容易に係合できる範囲に移動することができるため、包装袋1を閉塞することが可能となる。
【0023】
図3を用い、本発明の実施形態1に係る包装袋1を閉塞する様子について説明する。ここで、図3(a)は、図2(b)のIIIA−IIIA方向断面図であって、開封前の包装袋1の開閉部8付近を示し、図3(b)は、開封後かつ閉塞後の包装袋1の開閉部8付近の模式図を示す。また、図4に閉塞後の包装袋1および包装体100の斜視図を示す。
【0024】
包装袋1の開封前の開閉部8については、図3(a)に示すように、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。開封後の包装袋1を閉塞する際の開閉部8については、図3(b)に示すように、雌係合部材8aと雄係合部材8bとが互いに係合して包装袋1を閉塞している様子がわかる。包装袋1を閉塞すると、包装袋1は図4に示すような状態になる。
【0025】
本実施形態では、図4に示すように、包装袋1の閉塞状態において、開閉部8が、衛生用品2の配列方向と略平行な方向に延在する。すなわち、閉塞状態において、開閉部8は、包装袋1に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品2の復元力の作用方向と略平行な方向に延在する。換言すれば、雌係合部材8aと雄係合部材8bとの係合する方向は、衛生用品2の配列方向と略垂直な方向である。
【0026】
図5は包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品の復元力の作用方向について説明するための図である。図5(a)は図2(a)のVA−VA方向断面図であり、包装袋1に衛生用品が圧縮して整列している様子を示す。また、図5(b)は圧縮して収容する前の1枚の衛生用品、図5(c)は圧縮して収容した後の1枚の衛生用品をそれぞれ示す。
【0027】
図5(a)に示すように、包装袋1には、衛生用品21、22、23、24〜2n-1、2n(nは2以上の整数)がそれぞれ圧縮状態で収容されている。図5(b)および図5(c)に示すように、例えば、圧縮して収容した後の1枚の衛生用品21には、圧縮して収容する前の1枚の衛生用品2’1と比較して、圧縮された力に対して反発するように、復元力F1が生じているのがわかる。残りの衛生用品22、23、24〜2n-1、2nについても、衛生用品21と同様に圧縮されるので、復元力F1と同様の復元力をそれぞれ生じることになる。そして、複数の衛生用品21、22、23、24〜2n-1、2nから生じた復元力F2は、対向する2つの側面部A、A’を外側に膨出するように、側面部A、A’に対して略垂直な方向に働くことになる(図5(a)を参照)。また、対向する2つの側面部A、A’が外側に膨出することによって、側面部A、A’と一体となっている側面部B、B’ にも力がそれぞれ伝わり、図5(a)に示すように、側面部B、B’に対して内側に凹む力F3がそれぞれ作用することになる。
【0028】
図6は圧縮して複数収容したときに生じる衛生用品の復元力による、図2(a)のVA−VA方向断面の包装袋1および包装体100の胴部の変形について模式的に且つ誇張して示した図である。図6において、複数の衛生用品2が収容される前の包装袋1の胴部3の断面形状Cを一点鎖線で表し、複数の衛生用品2が収容された後の包装袋1の胴部3の断面形状Dを実線で表す。断面形状Dは、図6に示すように、断面形状Cと比較して、収容された複数の衛生用品2の復元力F2および力F3によって変形している(図6では横長になっている)ことがわかる。
【0029】
従来、収容された複数の衛生用品2の復元力F2によって、対向する側面部A、A’が外側に膨出することによって、それらと一体となった頂部4の先端縁も同様に外側に広がり、その広がる力に起因して、開閉部によって包装袋の開口を閉塞しにくかったり、閉塞しても後になって包装袋の開口が開いてしまったりしていた。
【0030】
本実施形態では、包装袋1の閉塞状態において、開閉部8がこの復元力F2の作用方向と略平行に延在するように、開閉部8を包装袋1の頂部4に設ける。この構成により、復元力F2の作用方向が、開閉部8を構成する一対の係合部材における係合する力の作用方向と略垂直になり、復元力F2が当該係合する力に干渉することが抑制されるので、包装袋1の閉塞状態が保たれる。また、図5(a)および図6に示すように、力F3により対向する2つの側面部B、B’が内側に凹むことによって、それらと一体となった頂部4の先端縁も同様に内側に凹む。そして、その凹む力の作用方向が、開閉部8を構成する一対の係合部材における係合する力の作用方向と一致することで、開閉部8の係合する力が増加し、包装袋1の開口が開き難くなる。したがって、包装袋1の閉塞状態を維持し、その結果、収容された衛生用品2の清潔状態を保持することが可能となる。
【0031】
本実施形態では、物品として衛生用品を対象としたが、衛生用品は他の物品に比べて、包装袋内部への異物の侵入を防ぐことへの要求が高いことから、本発明の効果をより享受できる。更には、衛生用品の中でもパンツ型のおむつは厚みが充分にあることから、それを複数収容した包装袋の胴部の対向する2つの側面部A、A’には、上記復元力F2が強く働く。よって、本実施形態を、当該パンツ型のおむつを複数収容した包装体に適用した場合、他の種類の衛生用品を収容した包装体よりも、包装袋の閉塞状態を維持できるという効果がより一層発揮されることになる。
【0032】
ここで包装袋1の製造工程の一例を以下に述べる。
【0033】
包装袋1は、一側縁にはガセット部が設けられ、当該一側縁に対向する他側縁が開放状態になった長尺状のフィルム(以下、片ガセットフィルムと言うことがある)から製造される。上記ガセット部は、一側縁を谷折りにしたガセット構造となっており、一側縁を谷折りにして形成される2つの山(以下、ガセット半部と言うことがある)を有する。
(1)先ず、包装袋1の天面部5および立ち上がり部6が形成される領域を設けるため、ガセット半部の先端から基端までの間のうち一定幅で、図2(a)に示す包装袋1の正面から見て横方向に相当する方向(片ガセットフィルムの長手方向)に、ガセット半部の内側の面を接着する。この接着は、2つのガセット半部についてそれぞれ行われ、例えば、ヒートシールによって行われる。
(2)そして、図2(a)に示す包装袋1の正面から見て横方向に相当する方向(片ガセットフィルムの長手方向)において所定間隔で、一側縁から他側縁までを一定幅で片ガセットフィルムを接着し、片ガセットフィルムに複数の接着部を形成させる。
(3)次に、接着部の幅が半分になるように、図2(a)に示す包装袋1の高さ方向に相当する方向(片ガセットフィルムの短手方向)に沿って、複数の接着部をそれぞれ切断していくと、両側端が接着された個々の袋状のフィルムを得ることができる。
(4)個々になった袋状のフィルムのうちガセット部を折り畳んで、天面部5、立ち上がり部6、および4つの側面部を形成することによって、底面部が開放状態の包装袋1を得ることができる。衛生用品は、その開放された他側縁から挿入され、図1の破断部分に示すように収容され、他側縁を折り込むことによって包装袋1に収容されることになる。折り込まれた他側縁は、接着によって封止される。
【0034】
包装袋1の4つの側面部のうち対向する2つの側面部は、接着部を切断したときにできるシール部を中央付近にそれぞれ有し、残りの対向する2つの側面部は、シール部を有さない略フラットな面をそれぞれ有する。
【0035】
<実施形態2>
本発明の実施形態2に係る包装袋は、胴部の天面を覆う屋根型形状の頂部を有したものである。このような実施形態1と異なる形状の包装袋についても、閉塞状態において、開閉部が、圧縮して収容された物品(本実施形態においては衛生用品2)の配列方向と略平行方向に延在するように、当該開閉部を包装袋の頂部に設けることで、包装袋の閉塞状態を維持することが可能となる。
【0036】
開封線および開閉部が設けられる位置がそれぞれ異なる包装袋の2つの形態について、次の実施形態2−1および実施形態2−2においてそれぞれ説明する。図7から図18に示す実施形態2−1および実施形態2−2に係る包装袋を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
<実施形態2−1>
本発明の実施形態2−1に係る包装袋では、屋根型形状を構成する一対の傾斜面部の一方に開封線を設け、一対の傾斜面部の内周に開閉部を設ける。
【0038】
図7および図8に本発明の実施形態2−1に係る、開封前の包装袋10および包装体110を示し、図7は斜視図、図8(a)は図7のVIIIA方向の正面図、図8(b)は上面図、図8(c)は底面図をそれぞれ表す。また、図9に本実施形態に係る、開封後の包装袋10’および包装体110’を示し、図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)のIXB方向の正面図、図9(c)は上面図をそれぞれ表す。
【0039】
包装袋10は、天面と底面との間の衛生用品2を収容する空間を実質的に画成する胴部13と、胴部13の天面を覆う頂部14とを備えて構成される。なお、これらの部分は別体に製造された後に一体化されたものではなく、1枚のシート状部材の折り曲げ等によって予め一体に形成されているものである。
【0040】
本実施形態の包装袋10の胴部13は、包装袋10の底面部(図8(c)を参照)と略垂直な4つの側面部を有する。図8(b)に示すように、包装袋10の天面側からみた場合の包装袋10の上面の形状は略長方形である。図7に示すように、当該4つの側面部のうち、一方の対向する2つの側面部をE、E’とし、他方の対向する2つの側面部をF、F’とする。包装袋10の胴部13には、実施形態1と同様に、複数の衛生用品2を並置して互いに接触した状態で密に配列可能である。本実施形態では、衛生用品2は、圧縮された状態で、上記略長方形の長辺と略平行(対向する2つの側面部F、F’と略平行)に配列され、包装袋10の胴部13に収容されている。圧縮して収容された複数の衛生用品2の復元力によって、対向する2つの側面部E、E’には、包装袋10の外側に膨出するような力が略垂直方向に働くことになる。
【0041】
頂部14には、一対の傾斜面部15とこれらに挟まれるように立ち上がり部16とが設けられる。一対の傾斜面部15の一方には、図8(a)に示すように、図8(b)に示す略長方形の長辺と略平行に開封線17が設けられ、これを破断することで、包装袋10が開封され、包装袋10の開口が形成される。
【0042】
図10図8(a)のX−X方向の断面を表した模式図である。この断面は、包装袋10の頂部14を、開封線17を含めるように破断したときに形成される開口を簡略的に示したものである。図10では開封線17を間欠的にハッチングした部分で表す。本実施形態では、図7および図10に示すように、開封線17は、胴部13の底面部に略平行であって、一対の傾斜面部15の一方の面(側面部F近傍の傾斜面)と、頂部14のうち側面部EおよびE’の上方に延在する折り込み部分とに形成され、一対の傾斜面部15の他方の面(側面部F’近傍の傾斜面)には形成されていないことがわかる。このように形成された開封線17を破断すると、図9(a)および図9(b)に示すように、立ち上がり部16が残った状態で、包装袋10に略長方形の開口が形成され、包装袋10が開封される。
【0043】
包装袋10の内側の面のうち頂部14には包装袋10の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部18が設けられる。開閉部18は、実施形態1と同様に、例えば、互いに係合することで包装袋の開口を閉塞可能な一対の係合部材で構成されたチャックで構成され、図7および図8(b)に示すように、互いに係合可能な雌係合部材18aと雄係合部材18bとで構成される。本実施形態では、開閉部18は、包装袋10の胴部13の底面部と略平行であって、包装袋10の傾斜面部15のうち内側の面に設けられる。本実施形態では、図9(c)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材18aが形成され、図9(c)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材18bが形成される。
【0044】
図9(b)に示すように、開封後の包装袋10’において、開閉部18は、収容した衛生用品2に対し、胴部13の底面部に垂直な方向において、間隙L’をもって位置するように形成されている。当該間隙L’が設けられることによって、開閉部18のうち雌係合部材18aと雄係合部材18bとが、互いに対峙して容易に係合できる範囲に移動することができるため、包装袋10’を閉塞することが可能となる。
【0045】
図11を用い、本発明の実施形態2−1に係る包装袋10’を閉塞する様子について説明する。ここで、図11(a)は、図8(b)のXIA−XIA方向断面を模式的に表した図であって、開封前の包装袋10および包装体110の開閉部18付近を示し、図11(b)は、図9(c)のXIB−XIB方向断面を模式的に表した図であって、開封後の包装袋10’および包装体110’の開閉部18付近を示す。また、図11(c)は、開封後かつ閉塞後の包装袋10’および包装体110’の開閉部18付近の断面を模式的に示す。さらに、図12に閉塞後の包装袋10’および包装体110’の斜視図を示す。
【0046】
開封前の包装袋10の開閉部18については、図8(b)、図11(a)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、並行して配設されている様子がわかる。開封後の包装袋10’の開閉部18については、図11(b)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。閉塞する際の開閉部18については、図11(c)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに係合して包装袋10’を閉塞している様子がわかる。包装袋10’を閉塞すると、包装袋10’は図12に示すような状態になる。
【0047】
本実施形態では、図12に示すように、包装袋10’の閉塞状態において、開閉部18が、衛生用品2の配列方向と略平行な方向に延在する。すなわち、閉塞状態において、開閉部18は、包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品2の復元力の作用方向と略平行な方向に延在する。換言すれば、雌係合部材18aと雄係合部材18bとの係合する方向は、衛生用品2の配列方向と略垂直な方向である。
【0048】
本実施形態において、包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品2の復元力が、開封後の包装袋の胴部13の4つの側面部にどのように作用するかについては、図5(a)〜図5(c)、図6について説明した実施形態1の場合と同様である。
【0049】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、包装袋の閉塞状態を維持し、包装袋に収容された衛生用品の清潔状態を保持することが可能となる。
【0050】
<実施形態2−2>
本発明の実施形態2−2に係る包装袋では、屋根型形状を構成する一対の傾斜面部の双方に開封線を設け、一対の傾斜面部の内周に開閉部を設ける。
【0051】
図13および図14に本発明の実施形態2−2に係る、開封前の包装袋10および包装体120を示し、図13は斜視図、図14(a)は図13のXIVA方向の正面図、図14(b)は上面図、図14(c)は底面図をそれぞれ表す。また、図15に本実施形態に係る、開封後の包装袋10’および包装体120’を示し、図15(a)は斜視図、図15(b)は図15(a)のXVB方向の正面図、図15(c)は上面図をそれぞれ表す。
【0052】
本実施形態の包装袋10の胴部13は、包装袋10の底面部(図14(c)を参照)と略垂直な4つの側面部を有し、図13に示すように、当該4つの側面部のうち、一方の対向する2つの側面部をG、G’とし、他方の対向する2つの側面部をH、H’とする。本実施形態における衛生用品2の配列については実施形態2−1と同様であり、衛生用品2は、圧縮された状態で、図14(b)に示す上記略長方形の長辺と略平行な方向(対向する2つの側面部H、H’と略平行な方向)に配列され、包装袋10の胴部13に収容されている。圧縮して収容された複数の衛生用品2の復元力によって、対向する2つの側面部G、G’には、包装袋10の外側に膨出するような力が略垂直方向に働くことになる。
【0053】
一対の傾斜面部15には、図14(a)に示すように、図14(b)に示す略長方形の長辺と略平行に開封線17が設けられ、これを破断することで、包装袋10が開封され、包装袋10の開口が形成される。
【0054】
図16図14(a)のXVI−XVI方向の断面を表した模式図である。この断面は、包装袋10の頂部14を、開封線17を含めるように破断したときに形成される開口を簡略的に示したものである。図16では開封線17を間欠的にハッチングした部分で表す。本実施形態では、図13および図16に示すように、開封線17は、胴部13の底面部に略平行であって、一対の傾斜面部15の双方の面と、頂部14のうち側面部GおよびG’の上方に延在する折り込み部分とに形成されていることがわかる。このように形成された開封線17を破断すると、図15(a)および図15(b)に示すように、立ち上がり部16が除去され、包装袋10に略長方形の開口が形成され、包装袋10が開封される。
【0055】
包装袋10の内側の面のうち頂部14には、実施形態2−1と同様に、包装袋10の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部18が設けられる。開閉部18は、実施形態2−1と同様に、互いに係合可能な雌係合部材18aと雄係合部材18bとで構成される。本実施形態では、開閉部18は、包装袋10の胴部13の底面部と略平行であって、包装袋10の傾斜面部15のうち内側の面に設けられる。本実施形態では、図15(c)に示す略長方形の上半分の内周部分に雌係合部材18aが形成され、図15(c)に示す略長方形の下半分の内周部分に雄係合部材18bが形成される。
【0056】
図15(b)に示すように、開封後の包装袋10’において、開閉部18は、収容された衛生用品2に対し、胴部13の底面部に垂直な方向において、間隙L’をもって位置するように形成されている。この構成により、実施形態2−1と同様に、包装袋10’を閉塞することが可能となっている。
【0057】
図17を用い、本発明の実施形態2−2に係る包装袋10’を閉塞する様子について説明する。ここで、図17(a)は、図14(b)のXVIIA−XVIIA方向断面を模式的に表した図であって、開封前の包装袋10および包装体120の開閉部18付近を示し、図17(b)は、図15(c)のXVIIB−XVIIB方向断面を模式的に表した図であって、開封後の包装袋10’および包装体120’の開閉部18付近を示す。また、図17(c)は、開封後かつ閉塞後の包装袋10’および包装体120’の開閉部18付近の断面を模式的に示す。さらに、図18に閉塞後の包装袋10’および包装体120’の斜視図を示す。
【0058】
開封前の包装袋10の開閉部18については、図14(b)、図17(a)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、並行して配設され、開封後の包装袋10’の開閉部18については、図17(b)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。閉塞する際の開閉部18については、図17(c)に示すように、雌係合部材18aと雄係合部材18bとが互いに係合して包装袋10’を閉塞している様子がわかる。包装袋10’を閉塞すると、包装袋10’は図18に示すような状態になる。
【0059】
本実施形態では、実施形態2−1と同様に、包装袋10’の閉塞状態において、開閉部18は、衛生用品2の配列方向と略平行な方向に延在する。すなわち、閉塞状態において、開閉部18は、包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品2の復元力の作用方向と略平行な方向に延在する。換言すれば、雌係合部材18aと雄係合部材18bとの係合する方向は、衛生用品2の配列方向と略垂直な方向である。
【0060】
本実施形態において、包装袋に圧縮して複数収容されることで生じる衛生用品2の復元力が、開封後の包装袋の胴部13の4つの側面部にどのように作用するかについては、図5(a)〜図5(c)、図6について説明した実施形態1の場合と同様である。
【0061】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、包装袋の閉塞状態を維持し、包装袋に収容された衛生用品の清潔状態を保持することが可能となる。
【0062】
<その他>
本発明は、上述した実施形態1および実施形態2や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0063】
例えば、上記各実施形態では、開封線が形成されているが、包装袋を開封可能であるなら、開封線を形成せずに、簡単に破断可能な素材で構成された易破断部を包装袋の頂部付近に設けても良い。また、開封線を形成せずに、両縁を掴んで開封するような包装袋についても本発明は適用可能である。
【0064】
上記各実施形態では、開閉部は、包装袋の開口を閉塞可能な一対の係合部材を有するチャックで構成されているが、これに限られず、例えば、雄係合部材と当該雄係合部材が繰り返し剥離可能に接着できる雌係合部材とで構成される面ファスナーを使用して包装袋の開口を閉塞しても良い。この場合、包装袋の閉塞状態において、面ファスナーが、複数の物品の配列方向と略平行な方向に延在するように、包装袋の頂部に雄係合部材および当該雄係合部材に対応する雌係合部材を設ける。
【0065】
上記各実施形態に係る包装袋は、開閉部のうち一方の係合部材と他方の係合部材とが、向かい合うように、包装袋の内側に設けられているが、これに限られず、閉塞状態を維持するという本発明の所期の目的を達成し得るのであれば、開閉部を、互いに背向するように包装袋の外側に形成してもよい。
【0066】
上記各実施形態に係る包装袋は、可搬性を考慮して、実施形態1に係る包装袋の立ち上がり部6の内側(または外側)の面に基端領域が接着された一対の持ち手部を備えたり、実施形態2に係る包装袋の立ち上がり部16に手で持って提げるための穴を形成したりしても良い。
【0067】
さらに、上述の各実施形態では、圧縮して収容された物品の復元力によって物品の配列方向に包装袋が膨出し、さらにその膨出に伴って配列方向と直交する方向に包装袋が凹むものとして説明した。しかし要は、物品の復元力が開閉部の閉塞状態を阻害しない構成であればよく、有意の凹みが生じることを要件とするものではない。
【0068】
上記各実施形態に係る包装袋には、立ち上がり部が形成されているが、立ち上がり部を形成しない形態であっても良い。これにより、包装袋全体をコンパクトな形状にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1、10、10’ 包装袋
2 衛生用品
3、13 胴部
4、14 頂部
5 天面部
6、16 立ち上がり部
7、17 開封線
8、18 開閉部
15 傾斜面部
100、110、110’ 、120、120’ 包装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18