(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照して、車両ドアロックシステムについて説明する。
まず、車両ドアロックシステム10の一例として通信機能を有するものについて説明する。車両ドアロックシステム10は、携帯機23と通信する通信装置20と、アウトサイドドアハンドル(以下、「ドアハンドル3」という。)に対する物の接近または接触を検知するセンサ装置30とを備える。なお、「物の接近または接触」とは、物がセンサ装置30に接近している状態(接近動作が継続している状態)と、接近した状態(接近動作が完了した状態、または、物がセンサ装置30から離れて止まっている若しくは静止せずにセンサ装置30の近くにある状態)とを含む。物の概念には、人の手、衣類、バッグ等の物体、水等の流動体が含まれる。
【0030】
センサ装置30は、ドアハンドル3内または車両ドア2内に配置される。センサ装置30の検出エリアは、通信装置20の検出エリアよりも狭い(例えば、半径数センチメートルまたは十数センチメートルの範囲内)。通信装置20の検出エリアは、車両ドア2の近傍(例えば、半径数メートルの範囲内)である。
【0031】
通信装置20は、電波または光により携帯機23と通信する。携帯機23は、ユーザに携帯される。通信装置20は、所定周期(
図8参照。Xms)で要求信号を送信する。携帯機23は、要求信号を受信すると応答信号を送信する。通信装置20は、応答信号を受信すると、携帯機23が送信する固有情報(以下、「ID情報」という。)と登録情報(通信装置20に登録されている情報)とを照合する。通信装置20は、この照合が取れるとき(固有情報と登録情報とが照合要件を満たすとき)、車両ドア2を施錠または解錠することが可能な状態(ユーザ認識状態)にするための信号を、制御装置40に送信する。すなわち、通信装置20は、携帯機23の検出に基づいて、車両ドア2をユーザ認識状態にする。なお、車両ドア2のユーザ認識状態とユーザ非認識状態とは、物理的に異なる状態を示すものではなく、携帯機23の検出に基づいて設定される情報である。
【0032】
センサ装置30は、センサ装置30に物(具体的には、人の手)が接近または接触することを検知する。センサ装置30が、物を検出するとき、車両ドア2のロック操作装置(車両ドア2の施錠及び解錠をコントロールする装置)を動作させるための信号(以下、「ロック操作信号」という。)を制御装置40に出力する。すなわち、制御装置40は、車両ドア2がユーザ認識状態にあり、かつセンサ装置30が出力するロック操作信号を受信することに基づいて、ロック操作装置を動作させる。
【0033】
図1を参照して、車両ドアロックシステム10の動作を説明する。
図1に示される車両1は、各車両ドア2にセンサ装置30と通信装置20とが搭載されている。制御装置40は、車両1に搭載されている。
図1において、車両ドア2の近くに描かれている弧状の線は、通信装置20の検出エリアを示す。人100は、携帯機23を携帯している。
図1には、人100が車両1に乗車するときの様子(
図1の<1>〜<3>)と、人100が車両1から降車するときの様子(
図1の<3>〜<5>)とが示されている。
【0034】
図1の<1>に示されるように、人100が検出エリア外にいるとき、通信装置20は携帯機23からの応答信号を受信しないため、車両ドア2は、ユーザ非認識状態にある。
図1の<2>に示されるように、人100が検出エリア内に進入すると、通信装置20は携帯機23からの応答信号を受信し、照合のための通信を行う。照合が取れるとき(照合要件が満たされるとき)、車両ドア2は、ユーザ認識状態に移行する。ユーザ認識状態で、人100がセンサ装置30に触れると、センサ装置30の出力信号に基づいて制御装置40は、ロック操作装置をアンロック状態(車両ドア2の開閉を許容するように動作する状態)に移行させて、車両ドア2を開閉可能にする。このようにして、人100は、
図1の<3>に示されるように乗車できる。
【0035】
図1の<4>に示されるように、人100が車両1から降りて、人100がセンサに触れると、制御装置40は、センサ装置30の出力信号に基づいてロック操作装置をロック状態に移行させる。一方、通信装置20は、携帯機23からの応答信号を受信し、照合のための通信を行う。
【0036】
その後、
図1の<5>に示されるように、人100が検出エリア外に移動すると、通信装置20は携帯機23からの応答信号を受信しなくなるため、車両ドア2は、ユーザ非認識状態に移行する。
【0037】
[第1実施例]
図2を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の一例を説明する。
図2に示される例では、車両ドアロックシステム10は、制御装置40、センサ装置30及び通信装置20に加えて、電源回路50と、アンテナ駆動検知回路60とを備える。
【0038】
センサ装置30は、本実施例では、静電容量の変化により、物の接近または接触を検出する装置として構成される。具体的には、センサ装置30は、静電容量センサにより構成される。
【0039】
通信装置20は、電波信号を送信するアンテナ21と、アンテナ21を駆動するアンテナ駆動回路22とを備える。電源回路50は、センサ装置30、通信装置20、アンテナ駆動検知回路60に電力を供給する。センサ装置30は、センサ駆動回路31と、アンロックセンサ32Aと、ロックセンサ32Bとを備える。アンロックセンサ32A及びロックセンサ32Bはそれぞれ電極37(
図5参照)を有する。
【0040】
図3に示されるように、例えば、アンロックセンサ32Aは、ドアハンドル3の内面側(車両ドア2に向く面側)に配置される。アンロックセンサ32Aは、物(例えば手)を接近または接触を検出する。アンロックセンサ32Aは、物を検出するとき、ロック操作装置をロック状態からアンロック状態に移行させるための信号を出力する。ロックセンサ32Bは、ドアハンドル3の前側かつ外側に配置される。ロックセンサ32Bは、物(例えば手)を接近または接触を検出する。ロックセンサ32Bは、物を検出するとき、ロック操作装置をアンロック状態からロック状態に移行させるための信号を出力する。
【0041】
アンテナ21は、アンテナ駆動回路22により制御される。アンテナ駆動回路22は、例えば、次のようにアンテナ21を駆動する。アンテナ駆動回路22は、車両1において、イグニッションスイッチ4(IG)がONからOFFに切り替わった時刻からの時間(以下、「駐車時間」という。)が、設定駐車時間(例えば、24時間)を超えると、アンテナ21の駆動を停止する。アンテナ駆動回路22は、駐車時間が設定駐車時間以内であるとき、所定周期でアンテナ21を駆動し、アンテナ21から要求信号を送信させる。携帯機23を検知したことを示す信号をアンテナ駆動回路22が受信するとき、アンテナ駆動回路22は、携帯機23と通信装置20との照合のため、アンテナ21の駆動時間を長くする。すなわち、アンテナ21は、駆動時間として短時間駆動(要求信号の送信のための駆動)と長時間駆動(照合のための駆動)との2種類の駆動方式により制御される。
【0042】
アンテナ駆動検知回路60は、アンテナ21の駆動(送信状態)を検知し、駆動状態を示す信号をセンサ駆動回路31に出力する。アンテナ21の駆動とは、アンテナ21が所定の周波数で動作しているときを示す。すなわち、アンテナ駆動検知回路60は、アンテナ21が所定周期で駆動するとき駆動と駆動との間の期間を、アンテナ21の停止状態として判定する。
【0043】
制御装置40と、アンテナ駆動回路22と、電源回路50とは、制御ユニット10Aとして構成されて、車両1に搭載される。センサ装置30と、アンテナ21と、アンテナ駆動検知回路60とは、センサユニット10Bとして、ドアハンドル3に搭載される。制御ユニット10Aとセンサユニット10Bとは2本の接続線11aで接続される。
【0044】
図4を参照して、車両ドアロックシステム10の回路構成の一例を説明する。
図4に示されるように、車両ドアロックシステム10には、2本の接続線11aを含む主配線11が配置されている。主配線11は、制御ユニット10Aから出て、センサユニット10Bを通過し、制御ユニット10Aに戻る。主配線11は、コンデンサ21aとコイル21bとにより構成されるアンテナ21を含む。
【0045】
センサ装置30のセンサ駆動回路31とアンテナ駆動検知回路60とは、1つの電子制御装置(以下、「センサECU12」という。)に収容されている。また、センサECU12は、センサ駆動回路31を制御する制御回路13(センサ制御部)を有する。なお、この制御回路13は、アンテナ駆動検知回路60内またはセンサ駆動回路31内に組み込まれ得る。
【0046】
センサECU12には、アンロックセンサ32Aとロックセンサ32Bとが接続される。また、センサECU12は、第1配線14a、第2配線14b及び第3配線14cを介して主配線11に接続され、第4配線14dを介してアンテナ21のコンデンサ21aとコイル21bとの間の部分に接続されている。
【0047】
センサECU12には、第1配線14aを介して電力が供給される。
センサECU12内のアンテナ駆動検知回路60は、第4配線14dを介してアンテナ21のコンデンサ21aとコイル21bとの間の電位を検出し、この部分の電位変化に基づいてアンテナ21が駆動しているか否かを判定する。
【0048】
センサECU12のセンサ駆動回路31は、静電容量の変化量を検出するための制御を、アンロックセンサ32A及びロックセンサ32Bに対して実行する。また、センサ駆動回路31は、ロックセンサ32Bの静電容量の変化量に基づいて、ロックセンサ32Bに物が接近または接触しているかを判定する。また、センサ駆動回路31は、アンロックセンサ32Aの静電容量の変化量に基づいて、アンロックセンサ32Aに物が接近または接触しているかを判定する。そして、センサ駆動回路31は、センサ32A,32Bに物が接近または接触しているか否かの判定結果を示す信号(以下、「判定信号」)を、第2配線14bを介して制御装置40に出力する。なお、センサ駆動回路31は、静電容量の変化量の検出とこの検出に基づく検出判定結果の出力とを一連の動作(この一連の動作を「サンプリング」という。)として実行する。
【0049】
また、センサ駆動回路31は、アンテナ21の駆動に基づいて、サンプリングの実行を制御する。具体的には、センサ駆動回路31は、アンテナ21が駆動していることを示す信号を受信するとき、サンプリングを停止する。センサ駆動回路31は、アンテナ21が駆動することを示す信号を受信しないとき、サンプリングを実行する。すなわち、センサ駆動回路31は、アンテナ21が間欠駆動するときの駆動の間の期間に、サンプリングし、静電容量の変化量を検出する(
図8参照)。
【0050】
上記回路構成の効果を説明する。
上記回路構成では、アンテナ駆動のための信号を伝送する配線と、センサ駆動回路31が出力する判定信号を伝送する配線とが同じ配線(主配線11)である。すなわち、上記回路構成は、これらの信号を専用の配線で出力する構成に比べ、配線数が少ない。このため、車両ドアロックシステム10の構造が簡単である。なお、この構成の場合、アンテナ駆動のための信号とセンサ駆動回路31が出力する判定信号との混信を抑制するため、これらの信号は、信号が重ならないように異なる時間帯に出力される(
図8参照)。
【0051】
図5を参照して、センサ駆動回路31の一例を説明する。
センサ駆動回路31には、ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32Aが接続される。
【0052】
ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32Aは、それぞれ電極37を有し、静電容量を蓄える。センサ駆動回路31は、ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32Aの静電容量の変化量を検出する。ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32Aは、物の接近または接触により静電容量を変化させるものであり、静電容量可変のコンデンサCXを構成する。なお、アンロックセンサ32Aとロックセンサ32Bとを区別せず説明するときは、単にセンサ32という。
【0053】
センサ駆動回路31は、アンロックセンサ32Aに接続される第1回路部34と、ロックセンサ32Bに接続される第2回路部35と、第1回路部34及び第2回路部35を制御する制御部36とを備える。第1回路部34の基本構成と第2回路部35の基本構成とは同じである。第1回路部34は、基準コンデンサCSと、制御部36により動作制御される3つのスイッチ(以下、それぞれを「第1スイッチSW1」〜「第3スイッチSW3」という。)と、電位判定装置CPとを備える。
【0054】
基準コンデンサCSは、センサ32に直列に接続される。具体的には、基準コンデンサCSとセンサ32とは第1電位源と第2電位源との間に直列に配置される。第1電位源は、第2電位源よりも高電位である。第2電位源は接地されうる。基準コンデンサCSの一端は、第1電位源に接続され、他端は、第2電位源に接続される。基準コンデンサCSと第2電位源との間にセンサ32の電極37が接続される。電極37は、空間を介して第2電位源と容量結合される。センサ32の静電容量は、電極37に接近または接触する物の存否により変化する。
【0055】
第1スイッチSW1は、基準コンデンサCSに並列に接続される。第2スイッチSW2は、基準コンデンサCSとセンサ32の電極37との間に接続される。第2スイッチSW2の一端は、基準コンデンサCSに接続され、他端は抵抗Rを介して電極37に接続される。また、第2スイッチSW2の他端は第3スイッチSW3を介して第2電位源に接続される。第3スイッチSW3は、センサ32に並列接続される。第3スイッチSW3の一端は抵抗Rを介して電極37側に接続され、他端は第2電位源に接続される。
【0056】
電位判定装置CPは、基準コンデンサCSとセンサ32との間(すなわち、基準コンデンサCSと電極37との間)の位置(以下、「中間位置PM」という。)の電位(以下、「中間電位VM」という。)と、設定電位Vthとを比較し、中間電位VMが設定電位Vthよりも小さいか否かを判定する。電位判定装置CPは、中間電位VMが設定電位Vth以上であるとき、初期信号を出力し、中間電位VMが設定電位Vthよりも小さいとき、終了信号を出力する。電位判定装置CPは、比較器(コンパレータ)により構成され得る。
【0057】
図6を参照して、センサ32の容量変化量(すなわち、センサ32の静電容量の変化量に対応する量)を検出するためのスイッチング制御について説明する。
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3は、所定周期で動作する。周期の初期において、第1スイッチSW1が閉状態に制御され、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3が開状態に制御される。これにより、基準コンデンサCSが初期化され、中間位置PMの電位は第1電位源の電位V1と等しくなる。以下の説明では、基準コンデンサCSが初期化されたときの中間位置PMの電位を「初期電位」(初期電位は電位V1に等しい。)という。
【0058】
次に、第1スイッチSW1が開状態に制御され、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3とが交互に開閉する。このため、
図6に示されるように、中間電位VMは徐々に低下する。中間電位VMが設定電位Vthよりも小さい値になると、電位判定装置CPは、終了信号を制御部36に出力する。
【0059】
制御部36は、各周期において、周期の最初から終了信号を受信するまでの期間に実行された、第2スイッチSW2または第3スイッチSW3のスイッチング回数をカウントする。すなわち、制御部36は、中間電位VMが初期電位から設定電位Vthに至るまでの期間(時間t0から時間t1の間)にわたってスイッチング回数をカウントする。
【0060】
さらに、制御部36は、2時点間のスイッチング回数Nの差(以下、「スイッチング回数差ΔN」という。)を算出する。スイッチング回数差ΔNは、当該スイッチング回数差ΔNを演算する時よりも前の時点で得られたスイッチング回数N1と、当該演算時点でのスイッチング回数N2との差として定義される。スイッチング回数差ΔNは、センサ32の静電容量の変化量に対応する値である。すなわち、スイッチング回数差ΔNは、センサ32に物が接近または接触したことを示す指標になる。
【0061】
次に、制御部36は、スイッチング回数差ΔNと設定値NUMと比較し、スイッチング回数差ΔNが設定値NUMよりも大きいか否かを判定する。制御部36は、スイッチング回数差ΔNが設定値NUMよりも大きいとき、センサ32に物が接触したまたは接近したと判定する。
【0062】
なお、センサ駆動回路31のスイッチング動作によりセンサ32の静電容量の変化量を検出し、その変化量に基づいてセンサ32に物が接近または接触するか否かの判定をする制御が、上記「サンプリング」に対応する。以下では、サンプリングする周期を「サンプリング周期」という。
【0063】
上述したように、センサECU12は、アンテナ21の駆動に基づいて、静電容量の変化量の検出動作(すなわち、サンプリング)を制御する。具体的には、センサECU12は、アンテナ21が駆動していることを検出するとき、静電容量の変化量を検出するための制御(サンプリング)を停止する。センサECU12は、アンテナ21が駆動してないことを検出するとき、静電容量の変化量を検出するための制御(サンプリング)を実行する。
【0064】
図7を参照して、制御回路13が実行する制御(「アンテナ駆動に基づくセンサ制御(1)」)について説明する。
制御回路13は、サンプリングの制御態様をその直前のアンテナ21の駆動態様に基づいて、変更する。
【0065】
ステップS10では、制御回路13は、アンテナ駆動検知回路60が出力する信号に基づいて、アンテナ21が設定停止時間(例えば、数分)以上にわたって駆動停止しているか否かを判定する。アンテナ21が設定停止時間を超えて駆動停止しているとき(YES判定)、センサ駆動回路31を低消費電流制御する。具体的には、ステップS11において、制御回路13は、サンプリング周期が第3周期(後述の第2周期よりも長い周期)で動作するように、センサ駆動回路31を制御する。
【0066】
ステップS10において、制御回路13は、アンテナ21の駆動停止時間が設定停止時間よりも短いと判定するとき(NO判定)、すなわちアンテナ21が間欠駆動するとき、ステップS12の処理を実行する。ステップS12において、制御回路13は、この判定(ステップS11の判定)の直前における、アンテナ21の駆動時間TWを参照し、当該時間が基準駆動時間よりも長いか否か判定する。基準駆動時間は、上述のアンテナ21の短時間駆動の時間と長時間駆動の時間との間の長さに設定される。すなわち、ステップS11では、アンテナ21が、要求信号の送信のための駆動であるか、携帯機23との照合のための駆動であるかを判定する。アンテナ21の駆動時間TWが基準駆動時間よりも長いとき(すなわちアンテナ21が照合を目的として駆動するとき)、センサ32が高応答性を発揮するようにセンサ駆動回路31を制御する(高応答性制御)。具体的には、ステップS13において、制御回路13は、サンプリング周期が第1周期(後述の第2周期よりも短い周期)で動作するように、センサ駆動回路31を制御する。
【0067】
ステップS12における判定が否定(NO判定)の結果であるとき、すなわちアンテナ21の駆動時間TWが基準駆動時間以下であるとき(すなわちアンテナ21が要求信号の送信を目的として駆動するとき)、センサ32が通常の応答性を発揮するようにセンサ駆動回路31を制御する(通常応答性制御)。具体的には、ステップS14において、制御回路13は、サンプリング周期が第2周期で動作するように、センサ駆動回路31を制御する。
【0068】
図8に示されるタイミングチャートを参照して、人100の乗降に伴う各種装置の動作を説明する。
<1>人100が近づくが、まだアンテナ21の検出エリア外にいるとき、携帯機23と通信装置20との通信が行われていない。通信装置20は、アンテナ21から要求信号を出力する。すなわち、アンテナ21は、短時間駆動で制御される。このとき、
図7に示される制御により、センサ32(ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32A)が通常の応答性を発揮するように、サンプリング周期が第2周期に設定される。
【0069】
<2>人100がアンテナ21の検出エリア内に入ると、携帯機23と通信装置20とが通信する。通信装置20は、携帯機23との照合のため、アンテナ21の駆動時間TWを長くする。すなわち、アンテナ21は、長時間駆動で制御される。このとき、
図7に示される制御により、アンロックセンサ32Aが高応答性を発揮するように、アンロックセンサ32Aのサンプリング周期が第1周期に設定される。
【0070】
携帯機23と通信装置20との間で照合が完了すると、車両ドア2は、ユーザ認識状態に設定される。ユーザ認識状態中に、車両ドア2のドアハンドル3に手が接近または接触により、アンロックセンサ32Aが物を検知すると、車両ドア2のロック状態が解除される。これにより、車両1は乗車可能状態になる。
【0071】
<3>人100が車両1に乗車し、イグニッションスイッチ4(IG)がONに切り替えられると、センサ装置30の駆動が停止される。これにより、センサ装置30における電力消費が抑制される。
【0072】
<4>イグニッションスイッチ4(IG)がONからOFFに切り替えられると、センサ装置30が駆動開始する。このとき、センサ32は、通常の応答性(すなわち第2周期)で動作する。車両ドア2のロック状態が解除され、人100が車両1から降りて、ドアハンドル3のロックセンサ32Bに手が触られると、センサ装置30はこれを検出する。一方、携帯機23と通信装置20との通信が開始されると、通信装置20は、携帯機23との照合のため、アンテナ21の駆動時間を長くする。すなわち、アンテナ21は、長時間駆動で制御される。
【0073】
<5>人100が車両ドア2から離れて、まだアンテナ21の検出エリア外に出ると、携帯機23と通信装置20との通信が行われなくなる。一方、通信装置20は、アンテナ21から要求信号を出力し続ける。すなわち、アンテナ21は、短時間駆動で制御される。このとき、
図7に示される制御により、センサ32(ロックセンサ32B及びアンロックセンサ32A)が通常の応答性を発揮するように、センサ32のサンプリング周期が第2周期に設定される。その後、車両1の駐車時間が設定駐車時間を超えると、アンテナ21は駆動停止する。アンテナ21の駆動停止時間が設定停止時間を超えるようになると、
図7に示される制御により、センサ32のサンプリング周期が第3周期に設定される。これにより、センサ32の消費電力が抑制される。
【0074】
次に、本実施例に係る車両ドアロックシステム10の作用を説明する。
アンテナ21の駆動時間TWは、要求信号を出力するときの時間に比べて、携帯機23と照合するときの時間が長い。通信装置20が携帯機23と照合するときは、人が車両ドア2に近づいているときであり(すなわち乗車しようとするとき)、人の手がドアハンドル3に接近または接触する可能性が高い。これに対して、アンテナ21が要求信号を送信するときは、人が車両ドア2付近にいないときであり、人の手がドアハンドル3に接近または接触する可能性が低い。このように、アンテナ21の駆動時間TWは、センサ32に人の手が接近または接触する可能性とは密接な関連性がある。
【0075】
アンテナ駆動に基づくセンサ制御(
図7参照)は、このことを利用する。すなわち、アンテナ駆動に基づくセンサ制御によれば、アンテナ21の駆動時間TWに応じて、センサ32の感度が変更される。具体的には、アンテナ21の駆動時間TWが短いとき、すなわちセンサ32に手が接近または接触する可能性が低いときは、サンプリング周期が比較的長い。アンテナ21の駆動時間TWが長いとき、すなわちセンサ32に手が接近または接触する可能性が高いときは、サンプリング周期が比較的短い。このような制御によれば、センサ32に手が接近または接触する可能性が低いときに、センサ装置30での消費電力を低減することができる。一方、センサ32に手が接近または接触する可能性が高いとき、センサ32に接近または接触する手の検知についての応答性を高い状態に維持できる。なお、後者の効果は、乗車時に発揮される。降車時において同効果が発揮されないのは、ロック操作(ロックセンサ32Bに手が接近または接触する操作)が行われた後に、通信装置20が携帯機23と照合するためである(
図8参照の<4>参照)。従って、アンテナ駆動に基づくセンサ制御(
図7参照)は、乗車と判定されるとき(例えば、車両ドア2がロック状態でありかつ携帯機23との照合が完了したとき)に限り、実行してもよい。
【0076】
また、アンテナ駆動に基づくセンサ制御では、アンテナ21の駆動停止に基づいてセンサ32のサンプリング周期を更に長くする(すなわち第3周期にする)。これにより、更に、センサ装置30での消費電力を低減することができる。
【0077】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
(1)車両ドアロックシステム10は、センサ装置30と、センサ装置30を制御する制御回路13(センサ制御部)とを備える。制御回路13は、アンテナ駆動検知回路60から出力される情報に基づいてセンサ装置30の制御態様を変更する。センサ装置30は、予め設定された規定制御だけで制御されるのではなく、他の装置から得られる新規情報に基づいて制御態様が変更される。このように、車両ドアロックシステム10は多様な動作が可能である。
【0078】
(2)車両ドアロックシステム10において、携帯機23と、携帯機23と通信する通信装置20とを更に備える。この構成によれば、車両ドアロックシステム10は携帯機23を検出する。
【0079】
(3)車両ドアロックシステム10において、制御回路13は、アンテナ21の駆動時間TWが長くなることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。アンテナ21の駆動時間TWの長さは、車両ドア2の近傍に人が存在することを示す目安になる。アンテナ21の駆動時間TWが長くなることは、通信装置20の検出エリア内に人が存在することを示す。上記構成では、制御回路13は、アンテナ21の駆動時間TWが長くなることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。これを逆に言えば、アンテナ21の駆動時間TWが長くなる以前の期間は、センサ装置30が実行するサンプリング周期が長い。このような制御により、センサ装置30における消費電力を低減しながら、センサ装置30の応答性を実質的に高い状態に維持することができる。
【0080】
[第2実施例]
図9を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
図9に示される例では、車両ドアロックシステム10は、上記制御装置40、センサ装置30及び通信装置20に加えて、電源回路50と、センサ制御回路70と、センサ制御信号受信回路71とを備える。車両ドアロックシステム10の回路構成は、
図4に示される回路構成に準ずる。なお、本実施例では、通信装置20は省略され得る。
【0081】
センサ制御回路70は、車両1に搭載されている各種装置が出力する情報(後述参照)に基づいて、センサ装置30を制御するための信号(以下、「センサ制御信号」という。)を出力する。センサ制御信号は、アンテナ21が駆動していない期間(間欠駆動における駆動の間の期間)に出力される。
【0082】
具体的には、センサ制御回路70は、車両1に搭載されている各種装置からセンサ32の検出におけるノイズに関する情報を受信するとき、センサ装置30を低分解能制御(後述参照)で動作させるためのセンサ制御信号(以下、「低分解能指令」)を出力する。
【0083】
センサ32の検出におけるノイズに関する情報とは、例えば、センサ装置30が出力する水検知(第11実施例参照)、雨滴検知センサから出力される降雨情報、温度センサ及び湿度センサに基づいて推定される降雨情報、情報端末から出力される降雨情報、強い電磁波を検出する電磁波検知装置から出力される電磁波情報等である。
【0084】
センサ制御信号受信回路71は、ドアハンドル3内に搭載されて、センサ制御信号を受信する。また、センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号の受信に基づいて、当該センサ制御信号に応じた態様でセンサ駆動回路31を動作させる。具体的には、センサ制御信号受信回路71は、低分解能指令を受信しないときは、高分解能制御(後述参照)でセンサ装置30を動作させる。センサ制御信号受信回路71は、低分解能指令を受信するときは、低分解能制御でセンサ装置30を動作させる。
【0085】
センサ装置30のセンサ駆動回路31は、静電容量の変化量の検出を、低分解能検出態様及び高分解能検出態様のいずれか態様で実行する。低分解能は、基準分解能より低い分解能であり、高分解能は、基準分解能より高い分解能である。分解能が高いとは、静電容量の変化量の検出において検出可能な変化量の大きさを示す値であり、検出可能な変化量が小さいほど高分解能である。基準分解能とは、人の手の接触により生じる静電容量の変化量を精確に検出することが可能である分解能(低分解能に相当)よりも高い分解能として設定される。
【0086】
センサ駆動回路31の基本回路構成は、第1実施例に係るセンサ駆動回路31の構成に準じ、次の点で異なる。第1実施例に係るセンサ駆動回路31の基準コンデンサCSは、その静電容量が可変ではないが、本実施例では、基準コンデンサCSの静電容量は可変である。
【0087】
図10を参照して、静電容量可変の基準コンデンサCSの例を説明する。
図10に示されるように、基準コンデンサCSは、2つのサブコンデンサCS1,CS2により構成される。2つのサブコンデンサCS1,CS2は並列接続され、第4スイッチSW4により、2つのサブコンデンサCS1,CS2が接続または非接続にされる。センサ32の静電容量の変化量が等しい場合、基準コンデンサCSの静電容量が大きい程、スイッチング回数が多くなる。従って、2つのサブコンデンサCS1,CS2を並列接続して基準コンデンサCSを2つのサブコンデンサCS1,CS2により構成することにより、センサ32の静電容量の変化量を高分解能で検出することができる。2つのサブコンデンサCS1,CS2を接続せず、基準コンデンサCSを一方のサブコンデンサCS1(CS2)だけで構成することにより、センサ32の静電容量の変化量を低分解能で検出することができる。
【0088】
第4スイッチSW4は、センサ制御信号受信回路71により制御される。具体的には、センサ制御信号受信回路71が、車両1のセンサ制御回路70が出力する低分解能指令を受信するとき、センサ制御信号受信回路71は、第4スイッチSW4を非接続に制御し、2つのサブコンデンサCS1,CS2を非接続にする。これにより、センサ駆動回路31は、低分解能検出態様(低分解能制御)で動作する。センサ駆動回路31は、高分解能検出態様(高分解能制御)で動作するとき、静電容量の変化量の検出を数段に分けて検出する。具体的には、センサ駆動回路31は、静電容量の変化量としてのスイッチング回数差ΔNを、第2回数よりも大きい「大」、第2回数以下第1回数以上の「中」、第1回数よりも小さい「小」で区分し、「大」であるときは物の接触として判定し、「中」であるときは物の接近または物が近傍にあると判定し、「小」であるときは非検知と判定する。また、センサ駆動回路31は、低分解能検出態様で動作するとき、静電容量の変化量の検出を2段に分けて検出する。具体的には、センサ駆動回路31は、静電容量の変化量としてのスイッチング回数差ΔNを、第1回数よりも大きい「大」、第1回数よりも小さい「小」で区分する。
【0089】
次に、本実施例に係る車両ドアロックシステム10の作用を説明する。
ドアハンドル3に水が付着すると、次のことが生じる。すなわち、水の量または水が付着する面積の大きさ等の変化によりセンサ32の静電容量が変動する。このため、手の接近または接触を判定するときの判定精度が低下する。従って、ドアハンドル3に水が付着するときに、センサ駆動回路31が高分解能検出態様で動作すると、誤検出になる頻度が高まる虞がある。また、車両1の近くに、強い電磁波を発生する送電鉄塔があると、強い電磁波によりセンサ32にノイズが生じる。従って、このような状況で、センサ駆動回路31が高分解能検出態様で動作すると、誤検出になる頻度が高まる虞がある。
【0090】
これに対して、本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、降雨情報や電磁波を受信するセンサ制御回路70を有する。センサ制御回路70は、降雨情報や電磁波を受信するとき、センサ制御信号(低分解能指令)を出力する。そして、センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号(低分解能指令)を受信することに基づいて、センサ装置30を低分解能制御で動作させる。すなわち、センサ32の検出精度を低下させる状況があることに基づいて、センサ装置30の分解能力を低下させる。このように、本実施例に係る車両ドアロックシステム10によれば、通常の状況(雨または強い電磁波がない状態)では、手を高感度に検出することができ(すなわち非接触検知が可能)、水が付着したり電磁波が存在したりするときは、手の接触等を誤って検出することを抑制できる。
【0091】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
(1)センサ装置30は、高分解能制御と低分解能制御とを有する。センサ制御回路70(センサ制御部)は、静電容量の変化量の検出に対するノイズに関する情報の存否に基づいて、センサ装置30の制御態様を高分解能制御と低分解能制御との間で切り替える。
【0092】
センサ32の静電容量の変化量の検出においてノイズが増大すると、センサ装置30の検出精度が低下する。特に、センサ装置30が高分解能制御で動作して静電容量の小さい変化を検出する場合には、ノイズの影響が大きくなり、検出精度の低下が著しくなる。この点、上記構成では、静電容量の変化量の検出に対するノイズに関する情報に基づいて、センサ装置30の制御態様が高分解能制御と低分解能制御態様との間で切り替えられる。これにより、センサ装置30の検出精度の低下が抑制される。
【0093】
(2)静電容量の変化量の検出に対するノイズに関する情報とは、情報端末から出力される降雨情報、センサ装置30の水検知、または、電磁波情報である。降雨情報は、将来にセンサ装置30に水が付着することまたは現時点で水が付着していることを示す。水検知は、センサ32に接近または接触したことを示す。水の付着はノイズになる。また、電磁波情報は、センサ装置30にノイズを生じさせる。すなわち、これらの新規情報は、センサ装置30の検出精度に影響を与える。この点、上記構成では、これらの新規情報があるとき、センサ装置30が低分解能制御で動作する。この構成によれば、降雨または妨害電磁波が存在するとき、センサ装置30が誤検出することを抑制することができる。
【0094】
なお、本実施例では、センサ制御回路70は、静電容量の変化量の検出に対するノイズに関する情報の存否に基づいて、センサ装置30の制御態様を高分解能制御と低分解能制御との間で切り替える。この構成に代えて次のようにセンサ制御回路70は構成され得る。センサ制御回路70は、ノイズに関する情報の存否に基づいて、高分解能制御と、低分解能制御と、高分解能制御及び低分解能制御の併用制御との間で切り替える。高分解能制御及び低分解能制御の併用制御は、例えば、ノイズが小さいまたはノイズ発生頻度が低いときに実行され得る。高分解能制御及び低分解能制御の併用とは、両制御が1対1の比率で交互に実行されるもの、2対1など非対等の比率で実行されるものを含む。
【0095】
[第3実施例]
図11を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
図11に示される例は、第2実施例に係る車両ドアロックシステム10の構成(
図9参照)に準ずる。第2実施例と異なる点は、車両1に搭載されるセンサ制御回路70と、ドアハンドル3に搭載されるセンサ制御信号受信回路71とが、専用接続線72を介して接続されている点である。この構成によれば、センサ制御回路70が出力する信号と他の信号との混信を抑制することができる。
【0096】
[第4実施例]
図12を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
図12に示される例は、第1実施例に係る車両ドアロックシステム10の構成(
図2参照)に準ずる。第1実施例と異なる点は、更に、センサ制御回路70と、センサ制御信号受信回路71とを備える点である。すなわち、本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第1実施例の構成に加えて、第2実施例の構成を有する。このため、本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、両者の効果を奏する。
【0097】
[第5実施例]
図13を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
図13に示される例は、第4実施例に係る車両ドアロックシステム10の構成(
図12参照)に準ずる。第4実施例と異なる点は、車両1に搭載されるセンサ制御回路70と、ドアハンドル3に搭載されるセンサ制御信号受信回路71とが、専用接続線72を介して接続されている点である。すなわち、本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第1、第2、第3実施例の構成を有する。このため、本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、これら3つの実施例の効果を奏する。
【0098】
[第6実施例]
図14及び
図15を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
【0099】
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第4実施例(
図12参照)または第5実施例(
図13参照)に係る車両ドアロックシステム10を有する。車両ドアロックシステム10は、通信装置20から出力される携帯機23に関する情報と、アンテナ駆動に関する情報とに基づいて、センサ装置30を制御する。
【0100】
車両ドアロックシステム10は、アンテナ21の駆動停止後の経過時間TAが設定停止時間以下であるとき、携帯機23の検出の存否に基づきセンサ32の応答性を制御する。
センサ制御回路70は、携帯機23が検出されていることを示す情報(以下、「検出情報」という。)を、通信装置20または車両ECU5から得る。検出情報は、携帯機23が送信する応答信号を通信装置20が受信することに基づいて通信装置20の通信制御部が形成する。車両ECU5は、通信装置20の通信制御部が出力する検出情報に基づいて、これと同様の内容の情報を他の装置に出力する。
【0101】
センサ制御回路70は、検出情報を得るとき、この情報をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。
センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、この指令に基づいてセンサ32を制御する。
【0102】
図14を参照して、センサ制御回路70が出力するセンサ制御信号の例を説明する。
センサ制御信号は、
図14(a)〜
図14(c)に示される例のいずれかの態様により出力される。
【0103】
図14(a)に示されるセンサ制御信号は、携帯機23が検出されてから携帯機23が検出されなくなるまでの期間を示す信号である。センサ制御信号は、開始信号SAと終了信号SBとにより構成される。開始信号SAは、携帯機23が検出されたときを示す信号であり、終了信号SBは、携帯機23が検出されなくなったことを示す信号である。センサ制御信号受信回路71は、開始信号SAを受信するとき、センサ32を制御する制御態様を所定制御態様に変更するようにセンサ装置30に指令する。また、センサ制御信号受信回路71は、終了信号SBを受信するとき、その受信に基づいて、センサ32を制御する制御態様を元の制御態様に戻すようにセンサ装置30に指令する。
【0104】
図14(b)に示されるセンサ制御信号は、携帯機23が検出されたときを示す信号である。センサ制御信号受信回路71は、当該センサ制御信号を受信するとき、その受信から所定期間TMにわたって、センサ32を制御する制御態様を所定制御態様に変更するようにセンサ装置30に指令する。
【0105】
図14(c)に示されるセンサ制御信号は、携帯機23が検出されてから携帯機23が検出されなくなるまでの期間を示す信号である。センサ制御信号は、携帯機23が検出されている期間にわたって連続して続く信号である。センサ制御信号受信回路71は、当該センサ制御信号を受信するとき、その受信期間にわたって、センサ32を制御する制御態様を所定制御態様に変更するようにセンサ装置30に指令する。
【0106】
図15を参照して、制御回路13が実行する制御(「アンテナ駆動に基づくセンサ制御(2)」)について説明する。
ステップS20では、制御回路13は、アンテナ駆動検知回路60が出力する信号に基づいて、アンテナ21が駆動中であるか否かを判定する。ここで、アンテナ21が駆動中であるとは、アンテナ21が所定周波数で動作していることを示し、アンテナ21が駆動停止中であるときは、その動作がないときを示す。すなわち、アンテナ21が駆動停止するという概念には、アンテナ21の間欠駆動における駆動の間の駆動停止期間と、間欠駆動が停止される完全停止期間とが含まれる。
【0107】
ステップS20においてアンテナ21が駆動中であるとき(YES判定)、制御回路13は、センサ駆動回路31の駆動を停止する(ステップS21)。これは、
図4に示される回路構成においてアンテナ駆動とセンサ駆動とを同時に実行すると、アンテナ駆動用の信号とセンサ駆動回路31から出力される信号(検出判定結果)とが混信する虞があり、これを抑制するためである。
【0108】
ステップS20においてアンテナ21が駆動中でないとき(NO判定)、制御回路13は、ステップS22を実行する。
ステップS22では、アンテナ21の駆動停止後の経過時間TAが設定停止時間よりも長いか否かを判定する。すなわち、この処理では、アンテナ21の間欠駆動が行われているか否かを判定する。設定停止時間は、間欠駆動における駆動の間の期間よりも若干長い時間に設定される。
【0109】
アンテナ21の駆動停止後の経過時間TAが設定停止時間よりも長いとき(YES判定)、制御回路13は、センサ駆動回路31を低消費電流制御する(ステップS23)。
アンテナ21の駆動停止後の経過時間TAが設定停止時間以下であるとき(NO判定)、制御回路13は、ステップS24において、携帯機23の検出があるか否かを判定する。携帯機23の検出があるときは、センサ32が高応答性を発揮するようにセンサ駆動回路31を制御する(ステップS25:高応答性制御)。携帯機23の検出がないときは、センサ32が通常の応答性を発揮するようにセンサ駆動回路31を制御する(ステップS26:通常応答性制御)。なお、低消費電流制御、高応答性制御及び通常応答性制御は、上記「アンテナ駆動に基づくセンサ制御(1)」において説明した各制御と同じである。
【0110】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
(1)上記車両ドアロックシステム10において、制御回路13(センサ制御部)は、アンテナ21の駆動停止時間が設定停止時間よりも長くなることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を長くする。
【0111】
車両1の駐車時間が長いときアンテナ21は駆動停止する。これを逆に言えば、アンテナ21が駆動停止するとき、車両1が長期間にわたって駐車していることを示唆する。このような状況で、センサ装置30を通常の応答性を維持したまま駆動し続けると、センサ装置30での電力消費により、車両1に搭載されている蓄電池の充電量が低下し、車両始動に支障をきたす虞がある。この点、上記構成では、制御回路13は、アンテナ21の駆動停止時間が設定停止時間よりも長くなることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を長くする。このため、上記構成によれば、センサ装置30での消費電力を抑制することができる。また、車両ドアロックシステム10は、車両1の蓄電池の充電量低下の抑制に寄与する。
【0112】
(2)上記車両ドアロックシステム10において、新規情報は、携帯機23の検出情報であり、制御回路13は、携帯機23が検出されることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。
【0113】
携帯機23の検出は、車両ドア2の近傍に人が存在することを示唆する。上記構成では、携帯機23が検出されていることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。これを逆に言えば、携帯機23が検出されていないときは、センサ装置30が実行するサンプリング周期が長い。このような制御によれば、センサ装置30における消費電力を低減しながら、センサ32の応答性を実質的に高い状態に維持することができる。
【0114】
[第7実施例]
図16を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第2実施例〜第5実施例に係る車両ドアロックシステム10のいずれかの構成に準じ、通信装置20は省略され得る。車両ドアロックシステム10は、車両1のイグニッションスイッチ4の動作情報に基づいて、センサ装置30を制御する。
【0115】
センサ制御回路70は、車両1が駐車している状態(車両駐車状態)を示す情報(以下、「駐車情報」という。)を、車両ECU5から得る。駐車情報は、例えば車両ECU5において、イグニッションスイッチ4がONからOFFに切り替えられていることに基づいて形成される。
【0116】
センサ制御回路70は、駐車情報を得るとき、この情報に基づいて駐車開始からの経過時間TBを求め、更にこの経過時間TBに応じた所定の指令をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。
【0117】
センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、この指令に基づいてセンサ32を制御する。
【0118】
図16を参照して、センサ制御回路70が実行する制御(「駐車状態に基づくセンサ制御」)について説明する。
ステップS30では、センサ制御回路70は、車両ECU5から車両1の駐車に関する情報を得る。センサ制御回路70は、駐車情報を得るとき(ステップS30:YES判定)、ステップS31を実行する。ステップS31では、駐車開始からの経過時間TBが第1設定経過時間以下であるか否かを判定する。
【0119】
ステップS31において当該経過時間TBが第1設定経過時間以下であるとき(YES判定)、センサ制御回路70は第1指令信号を出力する。第1指令信号は、センサ駆動回路31に高応答性制御を実行させるための信号である。これにより、センサ32は高応答性を発揮する。ステップS31において当該経過時間TBが第1設定経過時間よりも長いとき(NO判定)、ステップS33において、駐車開始からの経過時間TBが第2設定経過時間以上であるか否かを判定する。なお、第2設定経過時間は、第1設定経過時間よりも長い。
【0120】
ステップS33において、当該経過時間TBが第2設定経過時間よりも短いとき(NO判定)、センサ制御回路70は、第2指令信号を出力する(ステップS34)。第2指令信号は、センサ駆動回路31に通常応答性制御を実行させるための信号である。ステップS33において、当該経過時間TBが第2設定経過時間以上であるとき(YES判定)、センサ制御回路70は、第3指令信号を出力する(ステップS35)。第3指令信号は、センサ駆動回路31に低消費電流制御を実行させるための信号である。
【0121】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
センサ制御回路70(センサ制御部)は、経過時間TBの長さに応じて、センサ装置30が実行するサンプリング周期を長くするための指令を出力する。
【0122】
車両1の駐車開始からの経過時間TBは、降車した人と車両1との間の離間距離の目安になる。そして、この離間距離は、センサ32に人の手が接近または接触する可能性の低さの目安になる。すなわち、車両1の駐車開始からの経過時間TBは、センサ32が使用される可能性の低さの目安になる。上記構成では、センサ制御回路70は、経過時間TBの長さに応じてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を長くする。これにより、センサ32が使用される可能性が高いときに、センサ32を高い応答性で動作させ、センサ32が使用される可能性が低いときに、センサ32を低い応答性で動作させる。このような構成によれば、センサ32の応答性が低いと感じさせる頻度が高まることを抑制しつつ、センサ装置30の消費電力が低減することができる。
【0123】
[第8実施例]
図17を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第2実施例〜第5実施例に係る車両ドアロックシステム10のいずれかの構成に準じ、通信装置20は省略され得る。車両ドアロックシステム10は、車両1のイグニッションスイッチ4の動作情報、及び車両ECU5または車両ドア2から出力されるドア開閉情報に基づいて、センサ装置30を制御する。
【0124】
本実施例の構成について、第4実施例(
図12参照)の構成と異なる点について説明する。
第4実施例に係る車両ドアロックシステム10は、アンロックセンサ32Aとロックセンサ32Bを有するが、この例では、センサ32は1つであり、状況に応じて1つのセンサ32が使い分けられる。すなわち、センサ32は、乗車時にアンロックセンサ32Aとして機能し、降車時にロックセンサ32Bとして機能するように、制御される。
【0125】
センサ制御回路70は、車両1が駐車している状態(車両駐車状態)を示す情報(以下、「駐車情報」という。)を、車両ECU5から得る。また、センサ制御回路70は、車両ドア2のロック状態またはアンロック状態に関する情報(以下、「車両ドア情報」)を、車両ECU5または車両ドア2から得る。
【0126】
センサ制御回路70は、駐車情報及び車両ドア情報を得るとき、これらの情報からセンサ32に対して要求されている機能を推定し、センサ機能に関する指令をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、この指令に基づいてセンサ32を制御する。また、センサ制御回路70は、センサ駆動回路31から出力される信号を、要求されている機能(ロックセンサまたはアンロックセンサとしての機能)に基づく信号として受信する。
【0127】
図17を参照して、センサ制御回路70が実行する制御(「車両ドアの施錠・解錠状態に基づくセンサ制御」)について説明する。
ステップS40では、センサ制御回路70は、車両ECU5から車両1の駐車に関する情報を得る。センサ制御回路70は、駐車情報を得るとき(ステップS40:YES判定)、ステップS41を実行する。ステップS41では、車両ドア2の全てがアンロック状態にあるか否かの情報を得る。
【0128】
ステップS41において車両ドア2の全てがアンロック状態であるとき(YES判定)、センサ制御回路70は、第4指令信号を出力する(ステップS42)。第4指令信号は、センサ32をロックセンサ32Bとして機能させるための信号である。また、センサ制御回路70は、物の検出に基づいてセンサ駆動回路31が出力する信号を、車両ドア2をロック状態にするための信号として取り扱い、当該信号の存否に基づいて人の施錠操作の存否を判定する。
【0129】
ステップS41において車両ドア2の全てがアンロック状態であることが否定されるとき(NO判定)、すなわち少なくとも1つの車両ドア2がロック状態にあるとき、センサ制御回路70はステップS43の処理を実行する。ステップS43において、センサ制御回路70は、第5指令信号を出力する。
【0130】
第5指令信号は、センサ32をアンロックセンサ32Aとして機能させるための信号である。また、センサ制御回路70は、物の検出に基づいてセンサ駆動回路31が出力する信号を、車両ドア2をアンロック状態にするための信号として取り扱い、当該信号の存否に基づいて人の解錠操作の存否を判定する。
【0131】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
センサ制御回路70(センサ制御部)は、車両ドア2の全てがアンロック状態(解錠状態)にあるとき、センサ装置30の出力に基づいて施錠操作の存否を判定する。車両ドア2の全てがアンロック状態にあることが否定されるとき、センサ装置30の出力に基づいて解錠操作の存否を判定する。
【0132】
この構成では、車両ドア2の施錠及び解錠状態に応じてセンサ装置30が出力する信号の意味づけを変更する。すなわち、上述の構成に示されるように、センサ制御回路70は、車両ドア2の全てがアンロック状態にあるとき、センサ装置30をロックセンサ32Bとして取り扱い、センサ装置30の出力に基づいて施錠操作の存否を判定する。センサ制御回路70は、車両ドア2の全てがアンロック状態にあることが否定されるとき、センサ装置30をアンロックセンサ32Aとして取り扱い、センサ装置30の出力に基づいて解錠操作の存否を判定する。このような制御によれば、センサ装置30において、施錠操作を検出するための部分と解錠操作を検出するための部分とを共通にすることができるため、センサ装置30を小型にすることができる。
【0133】
[第9実施例]
図18を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第2実施例〜第5実施例に係る車両ドアロックシステム10のいずれかの構成に準ずる。車両ドアロックシステム10は、車両1のイグニッションスイッチ4の動作情報及び通信装置20から出力される携帯機23に関する情報に基づいて、センサ装置30を制御する。
【0134】
本実施例の構成について、第4実施例(
図12参照)の構成と異なる点について説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10では、通信装置20は、ドアハンドル3に配置されるアンテナ21に加えて、車内に配置されるアンテナ(以下、「車内アンテナ」)を有する。車内アンテナの検出エリアは、車内である。車内アンテナは、車内に携帯機23が存在するか否かを検出するために用いられる。
【0135】
センサ制御回路70は、車両1が駐車している状態(車両駐車状態)を示す情報(以下、「駐車情報」という。)を、車両ECU5から得る。また、センサ制御回路70は、携帯機23の検出及び携帯機23の位置に関する情報を通信装置20から得る。
【0136】
センサ制御回路70は、携帯機23の検出及び携帯機23の位置に関する情報を得るとき、携帯機23の位置に応じた所定の指令をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。
【0137】
センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、この指令に基づいてセンサ32を制御する。
【0138】
図18を参照して、センサ制御回路70が実行する制御(「携帯機の位置に基づくセンサ制御」)について説明する。
ステップS50では、センサ制御回路70は、車両ECU5から車両1の駐車に関する情報を得る。センサ制御回路70は、駐車情報を得るとき(ステップS50:YES判定)、ステップS51を実行する。ステップS51では、通信装置20から携帯機23が車内にあるか否かの情報を得る。
【0139】
ステップS51において車内に携帯機23があるという情報を得るとき(YES判定)、センサ制御回路70は第2指令信号を出力する(ステップS52)。第2指令信号は、センサ駆動回路31に通常応答性制御を実行させるための信号である。
【0140】
ステップS51において車内に携帯機23があるという情報を得ないとき(NO判定)、センサ制御回路70は、ステップS53の処理を実行する。ステップS53では、センサ制御回路70は、車外でかつ検出エリア内に携帯機23があるか否かの情報を得る。
【0141】
ステップS53において携帯機23が車外にありかつ携帯機23が検出されるという情報を得るとき(YES判定)、センサ制御回路70は第1指令信号を出力する(ステップS54)。第1指令信号は、センサ駆動回路31に高応答性制御を実行させるための信号である。
【0142】
ステップS53において携帯機23が車外にありかつ携帯機23が検出されないという情報を得るとき(NO判定)、センサ制御回路70は第3指令信号を出力する(ステップS55)。第3指令信号は、センサ駆動回路31に低消費電流制御を実行させるための信号である。
【0143】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
センサ制御回路70(センサ制御部)は、携帯機23が車内で検出されることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を携帯機23が車外で検出される場合のサンプリング周期に比べて長くする。
【0144】
携帯機23が車内で検出されることは車内に人がいることを示唆する。従って、この場合、センサ装置30が使用される可能性が低い。上記構成では、センサ制御回路70は、携帯機23が車内で検出されることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を携帯機23が車外で検出される場合のサンプリング周期に比べて長くする。これにより、センサ装置30における消費電力が低減される。
【0145】
[第10実施例]
図19を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第2実施例〜第5実施例に係る車両ドアロックシステム10のいずれかの構成に準じ、通信装置20は省略され得る。車両ドアロックシステム10は、車両1のイグニッションスイッチ4の動作情報、及び車両ECU5から出力されるドア開閉情報に基づいて、センサ装置30を制御する。
【0146】
センサ制御回路70は、駐車の開始を示す情報(以下、「駐車開始情報」という。)を、車両ECU5から得る。駐車の開始に関する情報は、例えば、車両ECU5において、イグニッションスイッチ4がONからOFFに切り替えられる動作に基づいて形成される。また、センサ制御回路70は、車両ドア2の開閉状態に関する情報を車両ドア2から得る。
【0147】
センサ制御回路70は、車両ドア2の開閉動作に関する情報を得るとき、車両ドア2の開閉状態に応じた所定の指令をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。
センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、この指令に基づいてセンサ32を制御する。
【0148】
図19を参照して、センサ制御回路70が実行する制御(「車両ドアの開閉状態に基づくセンサ制御」)について説明する。
ステップS60では、センサ制御回路70は、車両ECU5から車両1の駐車に関する情報を得る。センサ制御回路70は、駐車開始情報を得るとき(ステップS60:YES判定)、ステップS61を実行する。ステップS61では、車両ドア2の開閉動作があるか否かの情報を車両ECU5または車両ドア2から得る。
【0149】
ステップS61において車両ドア2の開閉動作があるという情報を得ないとき(NO判定)、センサ制御回路70は第3指令信号を出力する(ステップS62)。第3指令信号は、センサ駆動回路31に低消費電流制御を実行させるための信号である。
【0150】
ステップS61において車両ドア2の開閉動作があるという情報を得るとき(YES判定)、センサ制御回路70は、ステップS63の処理を実行する。ステップS63では、センサ制御回路70は、車両ドア2が開放後に閉鎖されたか否かの情報を得る。
【0151】
ステップS63において車両ドア2が開放後に閉鎖されたという情報を得るとき(YES判定)、センサ制御回路70は第1指令信号を出力する(ステップS64)。第1指令信号は、センサ駆動回路31に高応答性制御を実行させるための信号である。
【0152】
ステップS63において車両ドア2が開放後に閉鎖されたという情報を得ないとき(NO判定)、センサ制御回路70は第2指令信号を出力する(ステップS65)。第2指令信号は、センサ駆動回路31に通常応答性制御を実行させるための信号である。
【0153】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
センサ制御回路70(センサ制御部)は、車両ドア2が閉鎖されることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。
【0154】
車両1の駐車後、開放された車両ドア2が閉鎖されるとき、ドアハンドル3内のロックセンサ32Bが使用される。上記構成では、センサ制御回路70は、車両ドア2が閉鎖されることに基づいてセンサ装置30が実行するサンプリング周期を短くする。このため、車両ドア2の閉鎖時に行われるロック操作を迅速に検出することができる。
【0155】
[第11実施例]
図20を参照して、車両ドアロックシステム10の構成の他の例を説明する。
本実施例に係る車両ドアロックシステム10は、第2実施例〜第5実施例に係る車両ドアロックシステム10のいずれかの構成に準じ、通信装置20は省略され得る。車両ドアロックシステム10は、降雨予報情報に基づいて、センサ装置30を制御する。
【0156】
センサ制御回路70は、降水確率を、インターネットに接続される情報端末から得て、この情報に基づいて、センサ32において雨検出するための指令をセンサ制御信号としてセンサユニット10Bに出力する。
【0157】
センサ制御信号受信回路71は、センサ制御信号を受信するとき、この受信に基づいて所定の指令(以下、「雨検出指令」)をセンサ駆動回路31に出力する。センサ駆動回路31は、雨検出指令に基づいてセンサ32を制御する。
【0158】
センサ駆動回路31は、静電容量の変化量をスイッチング回数差ΔNとして求める機能に加え、センサ32に接近または接触する物の種類を判定する機能(以下、「物判定機能」)を有する。物判定機能では、主として、水と人とを判別する。センサ32に接近または接触する物の種類により、静電容量変化の時定数が異なる。このため、センサ32でこの時定数に関連する物理量を検出することにより、水とそのほかの物(例えば、人)との判別が可能である。具体的には、時定数に関連する物理量は、例えば、スイッチの閉鎖時間が異なる2つのスイッチング制御を行ったとき、そのスイッチング回数差ΔNの比またはスイッチング回数差ΔNの差分として、定義される。ここで、スイッチの閉鎖時間とは、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3のスイッチ動作1回当たりの閉鎖時間を示す。
【0159】
第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の閉鎖時間が第1時間に設定されたときのスイッチング回数差ΔNを、第1スイッチング回数差ΔNxとし、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の閉鎖時間が第2時間に設定されたときのスイッチング回数差ΔNを、第2スイッチング回数差ΔNyとする。この場合、時定数に関連する物理量は、「第1スイッチング回数差ΔNx/第2スイッチング回数差ΔNy」、または「第1スイッチング回数差ΔNx−第2スイッチング回数差ΔNy」として定義される。前者の定義では、時定数に関連する物理量は、人について「1」付近の値、水については「1」から離れた値になり、後者の定義では、時定数に関連する物理量は、人について「0」付近の値、水については「0」から離れた値になる。このため、人と水とは、このように定義された時定数に関連する物理量の検出によって判別され得る。
【0160】
センサ駆動回路31は、雨検出指令がないときは、1周期において1回のサンプリング制御(以下、「通常のサンプリング制御P1」)を実行する。
センサ駆動回路31は、雨検出指令があるとき、1周期において、通常のサンプリング制御P1に加えて、追加のサンプリング制御P2を実行する(
図20参照)。通常のサンプリング制御P1と追加のサンプリング制御P2とは、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の閉鎖時間が異なる。センサ駆動回路31は、通常のサンプリング制御P1と追加のサンプリング制御P2とにおいて得られるスイッチング回数差ΔNに基づいて、上記定義を用いて、時定数に関連する物理量を求め、この物理量からセンサ32に接近または接触するものを判定する。
【0161】
センサ駆動回路31は、時定数に関連する物理量に基づいて「水」を検出するとき(これを、「水検知」という。)、人の乗降時においてドアハンドル3のセンサ32を低分解能態様で制御し、「水」を検出しないときは、人の乗降時においてドアハンドル3のセンサ32を高分解能態様で制御する。
【0162】
以下、車両ドアロックシステム10の効果を説明する。
センサ駆動回路31は、センサ32に接近または接触する物の種類を判定する機能を有する。そして、センサ駆動回路31は、「水」を検出するときは、人の乗降時においてセンサ32を低分解能態様で制御する。水が付着すると、水の付着面積の変動等によりセンサ装置30の検出精度が低下するが、上記構成では、水を検出するときに、センサ32を低分解能態様で制御するため、水の付着に起因する誤判定を抑制することができる。
【0163】
<その他の実施形態>
・上記各実施形態において、センサ装置30の構成は限定されない。センサ装置30は、当該センサ装置30に接近または接触するものを検出可能なものであればよい。第1実施例では、センサ装置30は、静電容量センサにより構成されるが、これに代えて光センサ(例えば反射型センサ)、感圧式センサにより構成され得る。
【0164】
・上記各実施形態において、センサ装置30は、物の検知手段の異なる複数のセンサにより構成され得る。例えば、センサ装置30は、上述の静電容量センサと、感圧式センサとにより構成され得る。この場合、静電容量センサと感圧式センサとは、状況に応じて使い分けられる。例えば、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、積雪等により静電容量センサが精確に動作しないと判定するとき、感圧式センサを動作させて手の接触を検知する。
【0165】
・上記各実施形態において、通信装置20の構成は限定されない。第1実施例では、通信装置20は電波通信装置として構成されるが、これに代えて、通信装置20は赤外線通信装置として構成され得る。通信装置20として赤外線通信装置が用いられる場合は、アンテナ駆動回路22に代わり赤外線駆動回路が用いられ、アンテナ駆動検知回路60に代わり赤外線送信検知回路が用いられる。
【0166】
・上記各実施形態において、センサ装置30は、障害物検知センサとして制御され得る。車両ドア2が開かれてドアハンドル3が壁に接触しつつあるとき、センサ装置30は障害物の接近に伴って信号を出力するため、この信号により車両ドア2が障害物に接触するか否かを判定することができる。例えば、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、車両駐車開始後、車両ドア2が解錠及び開放されるとき、センサ装置30が出力する信号に基づいて車両ドア2が障害物に接触するか否かを判定し、接触のおそれがあるとき報知音を出力する。
【0167】
・上記各実施形態において、ドアハンドル3が車両ドア2に収容可能な構造を有するとき、センサ装置30は、ドアハンドル3の収容時において手の挟み込みを検出する、挟み込み検知センサとして制御され得る。例えば、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、ドアハンドル3が収容動作するとき、センサ装置30が出力する信号に基づいて手の挟み込みがあるか否かを判定し、手の挟み込みのおそれがあると判定するときは、報知音を出力する。または、センサ制御部は、報知音の出力に代えて、ドアハンドル駆動装置にドアハンドル3の収容動作を停止させ、またはドアハンドル3を収容室から突出させる。
【0168】
・上記各実施形態に係る車両ドアロックシステム10は、センサ装置30等に加えて他の付属装置を備え得る。例えば、車両ドアロックシステム10、冷却装置、加熱装置、アロマディフューザ、音響装置、振動装置等が設けられ得る。これらの装置は次のように制御される。センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、車両駐車状態において携帯機23の検出情報を得るとき(以下、「人接近状態」という。)、冷却装置または加熱装置を作動させて、ドアハンドル3を快適な温度に調整する。また、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、人接近状態のとき、アロマディフューザを動作させて、車両ドア2の周囲の香りを調整する。また、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、人接近状態のとき、音響装置を動作させてユーザが指定するメロディーを出力させる。また、センサ制御部(制御回路13またはセンサ制御回路70)は、センサ32が手を検出することに基づいて振動装置を動作させてドアハンドル3を振動させる。