(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る膜形成用組成物は、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含むトリアジン環含有重合体と、架橋剤と、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含むものである。
【0016】
上記式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
本発明において、アルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、その構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0017】
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、1−メチル−シクロプロピル、2−メチル−シクロプロピル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、1,2−ジメチル−n−プロピル、2,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−n−プロピル、シクロペンチル、1−メチル−シクロブチル、2−メチル−シクロブチル、3−メチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロプロピル、2,3−ジメチル−シクロプロピル、1−エチル−シクロプロピル、2−エチル−シクロプロピル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1,2−ジメチル−n−ブチル、1,3−ジメチル−n−ブチル、2,2−ジメチル−n−ブチル、2,3−ジメチル−n−ブチル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、1−エチル−1−メチル−n−プロピル、1−エチル−2−メチル−n−プロピル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロペンチル、2−メチル−シクロペンチル、3−メチル−シクロペンチル、1−エチル−シクロブチル、2−エチル−シクロブチル、3−エチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロブチル、1,3−ジメチル−シクロブチル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2,3−ジメチル−シクロブチル、2,4−ジメチル−シクロブチル、3,3−ジメチル−シクロブチル、1−n−プロピル−シクロプロピル、2−n−プロピル−シクロプロピル、1−イソプロピル−シクロプロピル、2−イソプロピル−シクロプロピル、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
【0018】
上記アルコキシ基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、そのアルキル部分の構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0019】
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチル−n−ブトキシ、2−メチル−n−ブトキシ、3−メチル−n−ブトキシ、1,1−ジメチル−n−プロポキシ、1,2−ジメチル−n−プロポキシ、2,2−ジメチル−n−プロポキシ、1−エチル−n−プロポキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチル−n−ペンチルオキシ、2−メチル−n−ペンチルオキシ、3−メチル−n−ペンチルオキシ、4−メチル−n−ペンチルオキシ、1,1−ジメチル−n−ブトキシ、1,2−ジメチル−n−ブトキシ、1,3−ジメチル−n−ブトキシ、2,2−ジメチル−n−ブトキシ、2,3−ジメチル−n−ブトキシ、3,3−ジメチル−n−ブトキシ、1−エチル−n−ブトキシ、2−エチル−n−ブトキシ、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
【0020】
上記アリール基の炭素数としては特に限定されるものではないが、6〜40が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数6〜16がより好ましく、6〜13がより一層好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル、o−クロルフェニル、m−クロルフェニル、p−クロルフェニル、o−フルオロフェニル、p−フルオロフェニル、o−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、p−シアノフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、o−ビフェニリル、m−ビフェニリル、p−ビフェニリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0021】
アラルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、炭素数7〜20が好ましく、そのアルキル部分は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
その具体例としては、ベンジル、p−メチルフェニルメチル、m−メチルフェニルメチル、o−エチルフェニルメチル、m−エチルフェニルメチル、p−エチルフェニルメチル、2−プロピルフェニルメチル、4−イソプロピルフェニルメチル、4−イソブチルフェニルメチル、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0022】
上記Arは、式(2)〜(13)で示される群から選ばれる少なくとも1種を表す。
【0024】
上記R
1〜R
92は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、W
1およびW
2は、互いに独立して、単結合、CR
95R
96(R
95およびR
96は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基(ただし、これらは一緒になって環を形成していてもよい。)を表す。)、C=O、O、S、SO、SO
2、またはNR
97(R
97は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。)を表し、R
93およびR
94は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
なお、アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
また、X
1およびX
2は、互いに独立して、単結合、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基、または式(14)で示される基を表す。
【0026】
上記R
98〜R
101は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、Y
1およびY
2は、互いに独立して、単結合または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基を表す。これらハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン基等が挙げられる。
【0027】
特に、Arとしては、式(2)、(5)〜(13)で示される少なくとも1種が好ましく、式(2)、(5)、(7)、(8)、(11)〜(13)で示される少なくとも1種がより好ましい。上記式(2)〜(13)で表されるアリール基の具体例としては、下記式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
これらの中でも、より高い屈折率のポリマーが得られることから、下記式で示されるアリール基がより好ましい。
【0031】
特に、レジスト溶剤等の安全性の高い溶剤に対する溶解性をより高めることを考慮すると、式(15)で示される繰り返し単位構造を含むことが好ましい。
【0032】
【化9】
(式中、R、R′およびR
1〜R
4は、上記と同じ意味を表す。)
【0033】
このような観点から、特に好適な繰り返し単位構造としては、下記式(16)で示されるものが挙げられ、下記式(17)で示される高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)が最適である。
【0034】
【化10】
(式中、RおよびR′は、上記と同じ意味を表す。)
【0036】
本発明における重合体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜500,000が好ましく、さらに500〜100,000が好ましく、より耐熱性を向上させるとともに、収縮率を低くするという点から、2,000以上が好ましく、より溶解性を高め、得られた溶液の粘度を低下させるという点から、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、さらに10,000以下が好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
【0037】
本発明のトリアジン環含有重合体は、上述した特許文献5に開示された手法によって製造することができる。
例えば、下記スキーム1に示されるように、繰り返し構造(17’)を有する高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)は、ハロゲン化シアヌル(18)およびm−フェニレンジアミン化合物(19)を適当な有機溶媒中で反応させて得ることができる。
【0038】
【化12】
(式中、Xは、互いに独立してハロゲン原子を表す。Rは上記と同じ意味を表す。)
【0039】
下記スキーム2に示されるように、繰り返し構造(17’)を有する高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)は、ハロゲン化シアヌル(18)およびm−フェニレンジアミン化合物(19)を適当な有機溶媒中で等量用いて反応させて得られる化合物(20)より合成することもできる。
【0040】
【化13】
(式中、Xは、互いに独立してハロゲン原子を表す。Rは上記と同じ意味を表す。)
【0041】
スキーム1および2の方法において、各原料の仕込み量としては、目的とする重合体が得られる限りにおいて任意であるが、ハロゲン化シアヌル(18)1当量に対し、ジアミノ化合物(19)0.01〜10当量が好ましい。
特に、スキーム1の方法の場合、ハロゲン化シアヌル(18)2当量に対して、ジアミノ化合物(19)を3当量用いることを避けることが好ましい。官能基の当量をずらすことで、ゲル化物の生成を防ぐことができる。
種々の分子量のトリアジン環末端を多く有する高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)を得るために、ハロゲン化シアヌル(18)2当量に対して、ジアミノ化合物(19)を3当量未満の量で用いることが好ましい。
一方、種々の分子量のアミン末端を多く有する高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)を得るために、ジアミノ化合物(19)3当量に対して、ハロゲン化シアヌル(18)を2当量未満の量で用いることが好ましい。
例えば、薄膜を作製した場合に、優れた透明性や耐光性を有するという点では、トリアジン環末端を多く有する高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)が好ましい。
【0042】
上記有機溶媒としては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピペリドン、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルマロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチルプロピレン尿素等のアミド系溶媒、およびそれらの混合溶媒が挙げられる。
中でもN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合系が好ましく、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好適である。
【0043】
スキーム1およびスキーム2の第2段階の反応において、反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、0〜150℃程度が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
特にスキーム1の反応では、リニア性を抑え、分岐度を高めるという点から、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、80〜120℃がより一層好ましい。
スキーム2の第1段階の反応において、反応温度は、用いる溶媒の融点から溶媒の沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−50〜50℃程度が好ましく、−20〜50℃程度がより好ましく、−10〜50℃程度がより一層好ましく、−10〜10℃がさらに好ましい。
特にスキーム2の方法では、−50〜50℃で反応させる第1工程と、この工程に続いて60〜150℃で反応させる第2工程とからなる2段階工程を採用することが好ましい。
【0044】
上記各反応において、各成分の配合順序は任意であるが、スキーム1の反応においては、ハロゲン化シアヌル(18)またはジアミノ化合物(19)および有機溶媒を含む溶液を60〜150℃、好ましくは80〜150℃に加熱し、この温度で、当該溶液中に、ジアミノ化合物(19)またはハロゲン化シアヌル(18)を加える方法が最適である。
この場合、あらかじめ溶媒に溶かしておく成分および後から加える成分はどちらでもよいが、ジアミノ化合物(19)の加熱溶液中に、ハロゲン化シアヌル(18)を添加する手法が好ましい。
また、スキーム2の反応において、予め溶媒に溶かしておく成分および後から加える成分はどちらでもよいが、ハロゲン化シアヌル(18)の冷却溶液中に、ジアミノ化合物(19)を添加する手法が好ましい。
後から加える成分は、ニートで加えても、上述したような有機溶媒に溶かした溶液で加えてもよいが、操作の容易さや反応のコントロールのし易さなどを考慮すると、後者の手法が好適である。
また、添加は、滴下等によって徐々に加えても、全量一括して加えてもよい。
スキーム1において、加熱した状態で両化合物を混合した後は、(段階的に温度を上げることなく)一段階で反応させた場合でも、ゲル化することなく、目的とするトリアジン環含有高分岐重合体(ハイパーブランチポリマー)を得ることができる。
【0045】
また、上記スキーム1およびスキーム2の第2段階の反応では、重合時または重合後に通常用いられる種々の塩基を添加してもよい。
この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
塩基の添加量は、ハロゲン化シアヌル(18)1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
いずれのスキームの方法においても、反応終了後、生成物は再沈法等によって容易に精製できる。
【0046】
なお、本発明においては、少なくとも1つの末端トリアジン環のハロゲン原子の一部を、アルキル、アラルキル、アリール、アルキルアミノ、アルコキシシリル基含有アルキルアミノ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシ、エステル基等でキャップしてもよい。
これらの中でも、アルキルアミノ、アルコキシシリル基含有アルキルアミノ、アラルキルアミノ、アリールアミノ基が好ましく、アルキルアミノ、アリールアミノ基がより好ましく、アリールアミノ基がさらに好ましい。
上記アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
【0047】
エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル、o−クロルフェニル、m−クロルフェニル、p−クロルフェニル、o−フルオロフェニル、p−フルオロフェニル、o−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、p−シアノフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、o−ビフェニリル、m−ビフェニリル、p−ビフェニリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル、p−メチルフェニルメチル、m−メチルフェニルメチル、o−エチルフェニルメチル、m−エチルフェニルメチル、p−エチルフェニルメチル、2−プロピルフェニルメチル、4−イソプロピルフェニルメチル、4−イソブチルフェニルメチル、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0048】
アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、1−メチル−n−ブチルアミノ、2−メチル−n−ブチルアミノ、3−メチル−n−ブチルアミノ、1,1−ジメチル−n−プロピルアミノ、1,2−ジメチル−n−プロピルアミノ、2,2−ジメチル−n−プロピルアミノ、1−エチル−n−プロピルアミノ、n−ヘキシルアミノ、1−メチル−n−ペンチルアミノ、2−メチル−n−ペンチルアミノ、3−メチル−n−ペンチルアミノ、4−メチル−n−ペンチルアミノ、1,1−ジメチル−n−ブチルアミノ、1,2−ジメチル−n−ブチルアミノ、1,3−ジメチル−n−ブチルアミノ、2,2−ジメチル−n−ブチルアミノ、2,3−ジメチル−n−ブチルアミノ、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ、1−エチル−n−ブチルアミノ、2−エチル−n−ブチルアミノ、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミノ、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミノ基等が挙げられる。
【0049】
アラルキルアミノ基の具体例としては、ベンジルアミノ、メトキシカルボニルフェニルメチルアミノ、エトキシカルボニルフェニルメチルアミノ、p−メチルフェニルメチルアミノ、m−メチルフェニルメチルアミノ、o−エチルフェニルメチルアミノ、m−エチルフェニルメチルアミノ、p−エチルフェニルメチルアミノ、2−プロピルフェニルメチルアミノ、4−イソプロピルフェニルメチルアミノ、4−イソブチルフェニルメチルアミノ、ナフチルメチルアミノ、メトキシカルボニルナフチルメチルアミノ、エトキシカルボニルナフチルメチルアミノ基等が挙げられる。
アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ、メトキシカルボニルフェニルアミノ、エトキシカルボニルフェニルアミノ、ナフチルアミノ、メトキシカルボニルナフチルアミノ、エトキシカルボニルナフチルアミノ、アントラニルアミノ、ピレニルアミノ、ビフェニルアミノ、ターフェニルアミノ、フルオレニルアミノ基等が挙げられる。
【0050】
アルコキシシリル基含有アルキルアミノ基としては、モノアルコキシシリル基含有アルキルアミノ、ジアルコキシシリル基含有アルキルアミノ、トリアルコキシシリル基含有アルキルアミノ基のいずれでもよく、その具体例としては、3−トリメトキシシリルプロピルアミノ、3−トリエトキシシリルプロピルアミノ、3−ジメチルエトキシシリルプロピルアミノ、3−メチルジエトキシシリルプロピルアミノ、N−(2−アミノエチル)−3−ジメチルメトキシシリルプロピルアミノ、N−(2−アミノエチル)−3−メチルジメトキシシリルプロピルアミノ、N−(2−アミノエチル)−3−トリメトキシシリルプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0051】
アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ、ナフトキシ、アントラニルオキシ、ピレニルオキシ、ビフェニルオキシ、ターフェニルオキシ、フルオレニルオキシ基等が挙げられる。
アラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ、p−メチルフェニルメチルオキシ、m−メチルフェニルメチルオキシ、o−エチルフェニルメチルオキシ、m−エチルフェニルメチルオキシ、p−エチルフェニルメチルオキシ、2−プロピルフェニルメチルオキシ、4−イソプロピルフェニルメチルオキシ、4−イソブチルフェニルメチルオキシ、α−ナフチルメチルオキシ基等が挙げられる。
【0052】
これらの基は、トリアジン環上のハロゲン原子を対応する置換基を与える化合物で置換することで容易に導入することができ、例えば、下記式スキーム3に示されるように、アニリン誘導体を加えて反応させることで、少なくとも1つの末端にフェニルアミノ基を有する高分岐重合体(21)が得られる。
【0053】
【化14】
(式中、XおよびRは上記と同じ意味を表す。)
【0054】
この際、有機モノアミンの同時仕込みを行う、すなわち、有機モノアミンの存在下で、ハロゲン化シアヌル化合物と、ジアミノアリール化合物とを反応させることで、ハイパーブランチポリマーの剛直性が緩和された、分岐度の低い柔らかいハイパーブランチポリマーを得ることができる。
この手法によって得られたハイパーブランチポリマーは、溶剤への溶解性(凝集抑制)や、架橋剤との架橋性に優れたものとなる。
ここで、有機モノアミンとしては、アルキルモノアミン、アラルキルモノアミン、アリールモノアミンのいずれを用いることもできる。
【0055】
アルキルモノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、1−メチル−n−ブチルアミン、2−メチル−n−ブチルアミン、3−メチル−n−ブチルアミン、1,1−ジメチル−n−プロピルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、2,2−ジメチル−n−プロピルアミン、1−エチル−n−プロピルアミン、n−ヘキシルアミン、1−メチル−n−ペンチルアミン、2−メチル−n−ペンチルアミン、3−メチル−n−ペンチルアミン、4−メチル−n−ペンチルアミン、1,1−ジメチル−n−ブチルアミン、1,2−ジメチル−n−ブチルアミン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、2,2−ジメチル−n−ブチルアミン、2,3−ジメチル−n−ブチルアミン、3,3−ジメチル−n−ブチルアミン、1−エチル−n−ブチルアミン、2−エチル−n−ブチルアミン、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミン、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミン、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミン、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン等が挙げられる。
【0056】
アラルキルモノアミンの具体例としては、ベンジルアミン、p−メトキシカルボニルベンジルアミン、p−エトキシカルボニルベンジルアミン、p−メチルベンジルアミン、m−メチルベンジルアミン、o−メトキシベンジルアミン等が挙げられる。
アリールモノアミンの具体例としては、アニリン、p−メトキシカルボニルアニリン、p−エトキシカルボニルアニリン、p−メトキシアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アントラニルアミン、1−アミノピレン、4−ビフェニリルアミン、o−フェニルアニリン、4−アミノ−p−ターフェニル、2−アミノフルオレン等が挙げられる。
【0057】
この場合、有機モノアミンの使用量は、ハロゲン化シアヌル化合物に対して、0.05〜500当量とすることが好ましく、0.05〜120当量がより好ましく、0.05〜50当量がより一層好ましい。
この場合の反応温度も、リニア性を抑え、分岐度を高めるという点から、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、80〜120℃がより一層好ましい。
ただし、有機モノアミン、ハロゲン化シアヌル化合物、ジアミノアリール化合物の3成分の混合は、低温下で行ってもよく、その場合の温度としては、−50〜50℃程度が好ましく、−20〜50℃程度がより好ましく、−20〜10℃がさらに好ましい。低温仕込み後は、重合させる温度まで一気に(一段階で)昇温して反応を行うことが好ましい。
また、ハロゲン化シアヌル化合物とジアミノアリール化合物の2成分の混合を低温下で行ってもよく、その場合の温度としては、−50〜50℃程度が好ましく、−20〜50℃程度がより好ましく、−20〜10℃がさらに好ましい。低温仕込み後、有機モノアミンを加え、重合させる温度まで一気に(一段階で)昇温して反応を行うことが好ましい。
また、このような有機モノアミンの存在下で、ハロゲン化シアヌル化合物と、ジアミノアリール化合物とを反応させる反応は、上述と同様の有機溶媒を用いて行ってもよい。
【0058】
本発明の膜形成用組成物に用いられる架橋剤は、上述したトリアジン環含有重合体と反応し得る置換基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。
そのような化合物としては、メチロール基、メトキシメチル基等の架橋形成置換基を有するメラミン系化合物、置換尿素系化合物、エポキシ基またはオキセタン基等の架橋形成置換基を含有する化合物、ブロック化イソシアナートを含有する化合物、酸無水物を有する化合物、(メタ)アクリル基を有する化合物、フェノプラスト化合物などが挙げられるが、耐熱性や保存安定性の観点からエポキシ基、ブロックイソシアネート基、(メタ)アクリル基を含有する化合物が好ましく、特に、ブロックイソシアネート基を有する化合物や、開始剤を用いなくとも光硬化可能な組成物を与える多官能エポキシ化合物および/または多官能(メタ)アクリル化合物が好ましい。
なお、これらの化合物は、重合体の末端処理に用いる場合は少なくとも1個の架橋形成置換基を有していればよく、重合体同士の架橋処理に用いる場合は少なくとも2個の架橋形成置換基を有する必要がある。
【0059】
多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を一分子中2個以上有するものであれば特に限定されるものではない。
その具体例としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0060】
また、市販品として、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である、YH−434、YH434L(東都化成(株)製)、シクロヘキセンオキサイド構造を有するエポキシ樹脂である、エポリードGT−401、同GT−403、同GT−301、同GT−302、セロキサイド2021、同3000(ダイセル化学工業(株)製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、エピコート(現、jER)1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である、エピコート(現、jER)807(ジャパンエポキシレジン(株)製)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である、エピコート(現、jER)152、同154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬(株)製)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である、EOCN−102、同103S、同104S、同1020、同1025、同1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート(現、jER)180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)、脂環式エポキシ樹脂である、デナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)、CY175、CY177、CY179(以上、CIBA−GEIGY A.G製)、アラルダイトCY−182、同CY−192、同CY−184(以上、CIBA−GEIGY A.G製)、エピクロン200、同400(以上、DIC(株)製)、エピコート(現、jER)871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、ED−5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)、脂肪族ポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−611、同EX−612、同EX−614、同EX−622、同EX−411、同EX−512、同EX−522、同EX−421、同EX−313、同EX−314、同EX−321(ナガセケムテックス(株)製)等を用いることもできる。
【0061】
多官能(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリル基を一分子中2個以上有するものであれば特に限定されるものではない。
その具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
【0062】
また、多官能(メタ)アクリル化合物は市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステルA−200、同A−400、同A−600、同A−1000、同A−9300、同A−9300−1CL、同A−TMPT、同A−TMM−3、同A−TMM−3L、同A−TMP、同A−TMMT、同A−DPH、同UA−53H、同1G、同2G、同3G、同4G、同9G、同14G、同23G、同ABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同BPE−80N、同BPE−100N、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N、同A−GLY−3E、同A−GLY−9E、同A−GLY−20E、同A−TMPT−3EO、同A−TMPT−9EO、同ATM−4E、同ATM−35E、同AT−20E(以上、新中村化学工業(株)製)、KAYARAD(登録商標)DPEA−12、同PEG400DA、同THE−330、同RP−1040(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、同M−303、同M−305、同M−306、同M−309、同M−310、同M−313、同M−315、同M−321、同M−350、同M−360、同M−400、同M−402、同M−403、同M−404、同M−405、同M−406、同M−408、同M−450、同M−452、同M−460(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD(登録商標)DPHA、同NPGDA、同PET30(以上、日本化薬(株)製)、NKエステル A−DPH、同A−TMPT、同A−DCP、同A−HD−N、同TMPT、同DCP、同NPG、同HD−N(以上、新中村化学工業(株)製)、NKオリゴ U−15HA(新中村化学工業(株)製)、NKポリマー バナレジンGH−1203(新中村化学工業(株)製)、EBECRYL11、同40、同135、同140、同145、同150、同180、同1142、OTA480、IRR214−K、PEG400DA−D(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
【0063】
酸無水物化合物は、2分子のカルボン酸を脱水縮合させたカルボン酸無水物であれば、特に限定されるものではなく、その具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸等の分子内に1個の酸無水物基を有するもの;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の分子内に2個の酸無水物基を有するもの等が挙げられる。
【0064】
ブロック化イソシアネートを含有する化合物は、イソシアネート基(−NCO)が適当な保護基によりブロックされたブロック化イソシアネート基を一分子中2個以上有し、熱硬化の際の高温に曝されると、保護基(ブロック部分)が熱解離して外れ、生じたイソシアネート基が樹脂との間で架橋反応を起こすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、下記式で示される基を一分子中2個以上(なお、これらの基は同一のものでも、また各々異なっているものでもよい)有する化合物が挙げられる。
【0065】
【化15】
(式中、R
bはブロック部の有機基を表す。)
【0066】
このような化合物は、例えば、一分子中2個以上のイソシアネート基を有する化合物に対して適当なブロック剤を反応させて得ることができる。
一分子中2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネートや、これらの二量体、三量体、および、これらとジオール類、トリオール類、ジアミン類、またはトリアミン類との反応物などが挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−、m−またはp−クレゾール等のフェノール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール等のピラゾール類;ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類などが挙げられる。
【0067】
ブロック化イソシアネートを含有する化合物は、市販品としても入手が可能であり、その具体例としては、B−830、B−815N、B−842N、B−870N、B−874N、B−882N、B−7005、B−7030、B−7075、B−5010(以上、三井化学ポリウレタン(株)製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、同TPA−B80E、同MF−B60X、同MF−K60X、同E402−B80T(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、カレンズMOI−BM(登録商標)(以上、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
【0068】
アミノプラスト化合物は、メトキシメチレン基を一分子中2個以上有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン CYMEL(登録商標)303、テトラブトキシメチルグリコールウリル 同1170、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン 同1123(以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製)等のサイメルシリーズ、メチル化メラミン樹脂であるニカラック(登録商標)MW−30HM、同MW−390、同MW−100LM、同MX−750LM、メチル化尿素樹脂である同MX−270、同MX−280、同MX−290(以上、(株)三和ケミカル製)等のニカラックシリーズ等のメラミン系化合物が挙げられる。
オキセタン化合物は、オキセタニル基を一分子中2個以上有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、オキセタン基を含有するOXT−221、OX−SQ−H、OX−SC(以上、東亜合成(株)製)等が挙げられる。
【0069】
フェノプラスト化合物は、ヒドロキシメチレン基を一分子中2個以上有し、そして熱硬化の際の高温に曝されると、本発明の重合体との間で脱水縮合反応により架橋反応が進行するものであり、その具体例としては、例えば、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)ホルミルメタン、α,α−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ホルミルトルエン等が挙げられる。
フェノプラスト化合物は、市販品としても入手が可能であり、その具体例としては、26DMPC、46DMOC、DM−BIPC−F、DM−BIOC−F、TM−BIP−A、BISA−F、BI25X−DF、BI25X−TPA(以上、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
【0070】
これらの中でも、架橋剤配合による屈折率低下を抑制し得るとともに、硬化反応が速やかに進行するという点から、多官能(メタ)アクリル化合物が好適であり、その中でも、トリアジン環含有重合体との相溶性に優れていることから、下記イソシアヌル酸骨格を有する多官能(メタ)アクリル化合物がより好ましい。
このような骨格を有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、NKエステルA−9300、同A−9300−1CL(いずれも、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
【0071】
【化16】
(式中、R
102〜R
104は、互いに独立して、末端に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する一価の有機基である。)
【0072】
また、硬化速度をより向上させるとともに、得られる硬化膜の耐溶剤性および耐酸性、耐アルカリ性等を高めるという観点から、25℃で液体であり、かつ、その粘度が5000mPa・s以下、好ましくは1〜3000mPa・s、より好ましくは1〜1000mPa・s、より一層好ましくは1〜500mPa・sの多官能(メタ)アクリル化合物(以下、低粘度架橋剤という)を、単独もしくは2種以上組み合わせて、または、上記イソシアヌル酸骨格を有する多官能(メタ)アクリル化合物と組み合わせて用いることが好適である。
このような低粘度架橋剤も市販品として入手可能であり、例えば、上述した多官能(メタ)アクリル化合物のうち、NKエステルA−GLY−3E(85mPa・s,25℃)、同A−GLY−9E(95mPa・s,25℃)、同A−GLY−20E(200mPa・s,25℃)、同A−TMPT−3EO(60mPa・s,25℃)、同A−TMPT−9EO、同ATM−4E(150mPa・s,25℃)、同ATM−35E(350mPa・s,25℃)(以上、新中村化学工業(株)製)等の、(メタ)アクリル基間の鎖長が比較的長い架橋剤が挙げられる。
【0073】
さらに、得られる硬化膜の耐アルカリ性をも向上させることを考慮すると、NKエステルA−GLY−20E(新中村化学工業(株)製)、および同ATM−35E(新中村化学工業(株)製)の少なくとも一方と、上記イソシアヌル酸骨格を有する多官能(メタ)アクリル化合物と組み合わせて用いることが好適である。
【0074】
上述した架橋剤は単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。架橋剤の使用量は、トリアジン環含有重合体100質量部に対して、1〜100質量部が好ましいが、溶剤耐性を考慮すると、その下限は、好ましくは2質量部、より好ましくは5質量部であり、さらには、屈折率をコントロールすることを考慮すると、その上限は好ましくは20質量部、より好ましくは15質量部である。
【0075】
本発明の膜形成用組成物には、それぞれの架橋剤に応じた開始剤を配合することもできる。なお、上述のとおり、架橋剤として多官能エポキシ化合物および/または多官能(メタ)アクリル化合物を用いる場合、開始剤を使用せずとも光硬化が進行して硬化膜を与えるものであるが、その場合に開始剤を使用しても差し支えない。
【0076】
多官能エポキシ化合物を架橋剤として用いる場合には、光酸発生剤や光塩基発生剤を用いることができる。
光酸発生剤は、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩誘導体を用いることができる。
その具体例としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4′−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4′−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0077】
これらのオニウム塩は市販品を用いてもよく、その具体例としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6992(以上、ユニオンカーバイド社製)、CPI−100P、CPI−100A、CPI−200K、CPI−200S(以上、サンアプロ(株)製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、旭電化工業(株)製)、イルガキュア 261(BASF社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0078】
一方、光塩基発生剤も、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、Co−アミン錯体系、オキシムカルボン酸エステル系、カルバミン酸エステル系、四級アンモニウム塩系光塩基発生剤などを用いることができる。
その具体例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O−カルバモイルヒドロキシルアミド、O−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’,4’−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン等が挙げられる。
また、光塩基発生剤は市販品を用いてもよく、その具体例としては、TPS−OH、NBC−101、ANC−101(いずれも製品名、みどり化学(株)製)等が挙げられる。
【0079】
光酸または塩基発生剤を用いる場合、多官能エポキシ化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
なお、必要に応じてエポキシ樹脂硬化剤を、多官能エポキシ化合物100質量部に対して、1〜100質量部の量で配合してもよい。
【0080】
一方、多官能(メタ)アクリル化合物を用いる場合には、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤も、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、アミロキシムエステル、オキシムエステル類、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(159頁、発行人:高薄一弘、発行所:(株)技術情報協会、1991年発行)に記載されている。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、BASF社製 商品名:イルガキュア 127、184、369、379、379EG、651、500、754、819、903、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、OXE01、OXE02、ダロキュア 1116、1173、MBF、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤を用いる場合、多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、0.1〜200質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜150質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0081】
本発明の膜形成用組成物は、上述したトリアジン環含有重合体および架橋剤に加え、紫外線吸収剤および光安定剤を含む。これらを含むことにより、紫外線などの影響によって硬化膜中のトリアジン環含有重合体が劣化して生じる膜減りを抑制することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、マロン酸エステル化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物等の有機化合物や、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化錫微粒子等の紫外線を吸収する無機微粒子などが挙げられる。
これらの中でも、得られる硬化膜の耐候性を向上させるとともに、硬化膜の着色をも防止するという点から、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましく、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物がより好ましい。
【0082】
紫外線吸収剤の具体例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;[2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2,2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン類;2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等のシュウ酸アニリド類;フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等の環状イミノエステル類;1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン等のシアノアクリレート類;テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレンジメチリジン)ビスマロネート等のマロン酸エステル類などが挙げられる。
【0083】
紫外線吸収剤は市販品を用いてもよく、その具体例としては、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同99−DW、同109、同328、同329、同384−2、同400、同400−DW、同405、同460、同477、同477−DW、同479、同900、同928、同1130、同111FDL(以上、BASFジャパン(株)製)、アデカスタブLA−29、同LA−31、同LA−31RG、同LA−31G、同LA−32、同LA−36RG、同LA−46、同1413、同LA−F70(以上、(株)ADEKA製)、ニューコートUVA−101、同UVA−102、同UVA−103、同UVA−104、バナレジンUVA−5080、同UVA−5080(OHV20)、同UVA−55T、同UVA−5MHB、同UVA−7075、同UVAー7075(OHV20)、同UVA−73T(以上、新中村化学工業(株)製)、RUVA−93(大塚化学(株)製)などが挙げられる。
【0084】
本発明において、紫外線吸収剤は単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
紫外線吸収剤の使用量は、トリアジン環含有重合体100質量部に対して、1〜100質量部が好ましいが、得られる硬化膜の耐候性をより高めることを考慮すると、その下限は、好ましくは5質量部、より好ましくは10質量部であり、さらには、硬化膜の屈折率低下防止や着色防止という点から、その上限は好ましくは30質量部、より好ましくは20質量部である。
【0085】
一方、光安定化剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダートアミン類が挙げられる。
【0086】
光安定剤は市販品を用いてもよく、その具体例としては、TINUVIN(登録商標)123、同123−DW、同144、同144PA、同152、同292、同622LD、同744、同765、同770、同5050、同5060、同5100、同5151、CHIMASSORB 944LD(以上、BASFジャパン(株)製)、アデカスタブLA−52、同LA−57、同LA−62、同LA−63、同LA−63P、同LA−67、同LA−68、同LA−72、同LA−77Y、同LA−77G、同LA−F81、同LA−82、同LA−87、LA−402AF、同LA−502XP(以上、(株)ADEKA製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)などが挙げられる。
【0087】
本発明において、光安定剤は単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
光安定剤の使用量は、トリアジン環含有重合体100質量部に対して、1〜100質量部が好ましいが、得られる硬化膜の耐候性をより高めることを考慮すると、その下限は、好ましくは2質量部、より好ましくは5質量部であり、さらには、硬化膜の屈折率低下防止という点から、その上限は好ましくは30質量部、より好ましくは20質量部である。
【0088】
本発明では、紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するが、得られる硬化膜の耐候性をより向上させ、膜減りを効果的に抑制するという点から、両者の使用割合は、質量比で、光安定剤/紫外線吸収剤=95/5〜5/95の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲がよりに好ましい。
特に、膜厚100nm以下の薄膜において、上記膜減り抑制効果をより高めるという点から、両者の使用比率は、質量比で光安定剤/紫外線吸収剤=1/1〜4/1が好ましく、2/1〜4/1がより好ましい。
【0089】
本発明の膜形成用組成物には、各種溶媒を添加し、トリアジン環含有重合体を溶解させて使用することが好ましい。
溶媒としては、例えば、水、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノーマルブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノーマルプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ノーマルブチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、ノーマルプロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、ノーマルブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0090】
この際、膜形成組成物中の固形分濃度は、保存安定性に影響を与えない範囲であれば特に限定されず、目的とする膜の厚みに応じて適宜設定すればよい。具体的には、溶解性および保存安定性の観点から、固形分濃度0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜40質量%である。
【0091】
本発明の膜形成用組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、トリアジン環含有重合体、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤および溶媒以外のその他の成分、例えば、レベリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、防錆剤、離型剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、帯電防止剤、沈降防止剤、顔料、染料、シランカップリング剤などの添加剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製(旧(株)ジェムコ製))、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30、R−40、F−553、F−554、RS−75、RS−72−K(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0092】
これらの界面活性剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の使用量は、トリアジン環含有重合体100質量部に対して0.0001〜5質量部が好ましく、0.001〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がより一層好ましい。
なお、上記その他の成分は、本発明の組成物を調製する際の任意の工程で添加することができる。
【0093】
本発明の膜形成用組成物は、基材に塗布し、その後、必要に応じて加熱して溶剤を蒸発させた後、加熱または光照射して所望の硬化膜を形成することができる。
組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。
【0094】
また、基材としては、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、導電性金属ナノワイヤまたは導電性金属ナノメッシュを成膜したポリエチレンテレフタレート(PET)、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材等が挙げられ、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることもできる。
焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では特に限定されず、例えば40〜400℃で行うことができる。
焼成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレートやオーブンを用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空中等の適切な雰囲気下で蒸発させればよい。
焼成温度および焼成時間は、目的とする電子デバイスのプロセス工程に適合した条件を選択すればよく、得られる膜の物性値が電子デバイスの要求特性に適合するような焼成条件を選択すればよい。
光照射する場合の条件も特に限定されるものではなく、用いるトリアジン環含有重合体および架橋剤に応じて、適宜な照射エネルギーおよび時間を採用すればよい。
【0095】
このようにして得られた本発明の組成物からなる膜は、高耐熱性、高透明性、高屈折率、高溶解性、低体積収縮および高耐候性を達成できるため、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、タッチパネル、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)などの電子デバイスを作製する際の一部材や、高屈折率を有する耐候性フィルム等の機能性フィルムとして好適に利用できる。
【実施例】
【0096】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
[
1H−NMR]
装置:Varian NMR System 400NB(400MHz)JEOL−ECA700(700MHz)
測定溶媒:DMSO−d6
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0ppm)
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(以下、THF)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[エリプソメーター]
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE
[示差熱天秤(TG−DTA)]
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:10℃/分
測定温度:25℃−750℃
[耐光性試験機]
装置:Q−LAB社製 キセノン耐候性試験機 Q−SUN Xe−1−B
【0097】
[1]トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの合成
[合成例1]HB−TmDAの合成
【化17】
【0098】
窒素下、1000mL四口フラスコにDMAc456.02gを加え、アセトン−ドライアイス浴により−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](84.83g、0.460mol、エポニックデグザ社製)を加えて溶解した。その後、DMAc304.01gに溶解したm−フェニレンジアミン[2](62.18g、0.575mol)、およびアニリン(14.57g、0.156mol)を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、2000mL四口フラスコにDMAc621.85gを加え、あらかじめオイルバスで85℃に加熱してある槽へ送液ポンプにより1時間かけて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(113.95g、1.224mol)を加え、1時間撹拌後、反応を終了した。氷浴により室温まで冷却後、トリエチルアミン(116.36g、1.15mol)を滴下し、30分撹拌して塩酸をクエンチした。その後、析出した塩酸塩をろ過除去した。ろ過した反応溶液を28%アンモニア水溶液(279.29g)とイオン交換水(8820g)との混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、8時間乾燥後、THF(833.1g)に再溶解させ、イオン交換水(6665g)に再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、25時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3](以下、HB−TmDA40と略す)118.0gを得た。
HB−TmDA40の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図1に示す。得られたHB−TmDA40は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA40のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,300、多分散度Mw/Mnは3.44であった。
【0099】
(1)耐熱性試験
合成例1で得られたHB−TmDA40について、TG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は419℃であった。その結果を
図2に示す。
(2)屈折率測定
合成例1で得られたHB−TmDA40 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶かし、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.790であった。
【0100】
[製造例1]
合成例1で得られたHB−TmDA40 100gをシクロヘキサノン384.0g、イオン交換水16.0gの混合溶媒に溶かし、20質量%の溶液を調製した(以下、HB−TmDA40V1という)。
【0101】
[2]膜形成用組成物の調製1
[実施例1]膜形成用組成物1
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、紫外線吸収剤(以下、UVAという)として10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.5g、光安定剤(以下、HALSという)として10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)0.5g(HALS/UVA=1/1 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.07g、ならびにシクロヘキサノン1.80gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF1という)を調製した。
【0102】
[実施例2]膜形成用組成物2
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.5g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)1.0g(HALS/UVA=2/1 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.07g、ならびにシクロヘキサノン1.67gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF2という)を調製した。
【0103】
[実施例3]膜形成用組成物3
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.5g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)2.0g(HALS/UVA=4/1 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.41gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF3という)を調製した。
【0104】
[実施例4]膜形成用組成物4
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin329(BASF社製)0.5g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)1.0g(HALS/UVA=2/1 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.07g、ならびにシクロヘキサノン1.67gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF4という)を調製した。
【0105】
[実施例5]膜形成用組成物5
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.5g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)0.1g(HALS/UVA=1/5 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.08g、ならびにシクロヘキサノン1.72gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF5という)を調製した。
【0106】
[実施例6]膜形成用組成物6
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)1.0g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)1.0g(HALS/UVA=1:1 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.54gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF6という)を調製した。
【0107】
[実施例7]膜形成用組成物7
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)2.0g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)1.0g(HALS/UVA=1/2 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.05g、ならびにシクロヘキサノン1.28gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF7という)を調製した。
【0108】
[実施例8]膜形成用組成物8
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 5.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)1.0gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.3g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)4.0g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)1.0g(HALS/UVA=1/4 質量比)、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.6g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.05g、イオン交換水0.03g、ならびにシクロヘキサノン0.77gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF8という)を調製した。
【0109】
[比較例1]膜形成用組成物9
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 4.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.8gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.24g、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.28g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.04g、イオン交換水0.07g、ならびにシクロヘキサノン1.64gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF9という)を調製した。
【0110】
[比較例2]膜形成用組成物10
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 4.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.8gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.24g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.4g、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.28g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.04g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.54gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF10という)を調製した。
【0111】
[比較例3]膜形成用組成物11
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 4.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.8gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.24g、UVAとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin460(BASF社製)0.8g、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.28g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.04g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.44gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF11という)を調製した。
【0112】
[比較例4]膜形成用組成物12
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 4.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.8gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.24g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)0.8g、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.28g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.04g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.44gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF12という)を調製した。
【0113】
[比較例5]膜形成用組成物13
製造例1で調製したHB−TmDA40V1 4.0g、架橋剤として10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20−E、200mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.8gおよび10質量%シクロヘキサノン溶液のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−35E、350mPa・s、新中村化学工業(株)製)0.24g、HALSとして10質量%シクロヘキサノン溶液のTinuvin292(BASF社製)0.4g、光ラジカル重合開始剤として5質量%シクロヘキサノン溶液のイルガキュア184(BASF社製)1.28g、界面活性剤として1質量%シクロヘキサノン溶液のメガファックR−40(DIC(株)製)0.04g、イオン交換水0.06g、ならびにシクロヘキサノン1.44gを加え、目視で溶解したことを確認して総固形分濃度12質量%のワニス(以下、HB−TmDA40VF13という)を調製した。
【0114】
[3]硬化膜の作製1
[実施例9]硬化膜1
実施例1で調製したHB−TmDA40VF1をソーダライムシリカガラス基板上にスピンコーターにて200rpmで5秒間、1000rpmで30秒間スピンコートし、オーブンを用いて130℃で3分間の焼成を行った。その後、高圧水銀ランプにより、積算露光量200mJ/cm
2で硬化させて硬化膜を得た。
【0115】
[実施例10]硬化膜2
実施例2で調製したHB−TmDA40VF2を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0116】
[実施例11]硬化膜3
実施例3で調製したHB−TmDA40VF3を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0117】
[実施例12]硬化膜4
実施例4で調製したHB−TmDA40VF4を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0118】
[比較例6]硬化膜5
比較例1で調製したHB−TmDA40VF9を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0119】
[比較例7]硬化膜6
比較例2で調製したHB−TmDA40VF10を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0120】
[比較例8]硬化膜7
比較例3で調製したHB−TmDA40VF11を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0121】
[比較例9]硬化膜8
比較例4で調製したHB−TmDA40VF12を用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜を得た。
【0122】
上記実施例9〜12および比較例6〜9で作製した被膜について、550nmmにおける屈折率を測定した。また、初期膜厚を測定するとともに、耐光性試験機(0.50W/m
2(λ=365nm)、ブラックパネル温度50℃)中に各被膜を入れ、24時間後、48時間後、96時間後の各膜厚を測定した。それらの結果を表1に併せて示す。
【0123】
【表1】
【0124】
表1に示されるとおり、実施例1〜4で調製したUVAとHALSとを含むワニスから作製された硬化膜は、96時間後の膜厚変化率が、それらの一方または両方を含まない比較例1〜4のワニスから調製された硬化膜のそれに比べて小さく、耐候性(耐光性)に優れていることがわかる。
また、UVAとHALSを加えているにも関わらず、1.7以上の高屈折率膜が得られていることがわかる。
【0125】
[4]硬化膜の作製2
[実施例13]硬化膜9
実施例1で調製したHB−TmDA40VF1をシクロヘキサノンにて固形分2質量%になるように希釈した後、ソーダライムシリカガラス基板上にスピンコーターにて200rpmで5秒間、1000rpmで30秒間スピンコートし、オーブンを用いて130℃で3分間の焼成を行った。その後、高圧水銀ランプにより、積算露光量200mJ/cm
2で硬化させて硬化膜を得た。
【0126】
[実施例14]硬化膜10
実施例2で調製したHB−TmDA40VF2を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0127】
[実施例15]硬化膜11
実施例3で調製したHB−TmDA40VF3を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0128】
[実施例16]硬化膜12
実施例4で調製したHB−TmDA40VF4を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0129】
[実施例17]硬化膜13
実施例5で調製したHB−TmDA40VF5を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0130】
[実施例18]硬化膜14
実施例6で調製したHB−TmDA40VF6を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0131】
[実施例19]硬化膜15
実施例7で調製したHB−TmDA40VF7を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0132】
[実施例20]硬化膜16
実施例8で調製したHB−TmDA40VF8を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0133】
[比較例10]硬化膜17
比較例1で調製したHB−TmDA40VF9を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0134】
[比較例11]硬化膜18
比較例2で調製したHB−TmDA40VF10を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0135】
[比較例12]硬化膜19
比較例3で調製したHB−TmDA40VF11を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0136】
[比較例13]硬化膜20
比較例4で調製したHB−TmDA40VF12を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0137】
[比較例14]硬化膜21
比較例5で調製したHB−TmDA40VF13を用いた以外は、実施例13と同様にして硬化膜を得た。
【0138】
上記実施例13〜20および比較例10〜14で作製した被膜について、550nmmにおける屈折率を測定した。また、初期膜厚を測定するとともに、耐光性試験機(0.50W/m
2(λ=365nm)、ブラックパネル温度50℃)中に各被膜を入れ、23時間後、69時間後の各膜厚を測定した。それらの結果を表2に併せて示す。
【0139】
【表2】
【0140】
表2に示されるとおり、膜厚50nm程度の薄膜では、HALS/UVAが2/1〜4/1とHALS過剰の場合(実施例14〜16)、それらの総添加量を抑えつつ良好な膜減り抑制効果が発揮されることがわかる。