特許第6672823号(P6672823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6672823地盤材料の粒度監視方法および三次元画像処理設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672823
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】地盤材料の粒度監視方法および三次元画像処理設備
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20200316BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20200316BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20200316BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G01N15/02 B
   G01B11/24 K
   G01B11/02 H
   G01B11/25 H
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-7815(P2016-7815)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-129408(P2017-129408A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗一
(72)【発明者】
【氏名】宮入 斎
(72)【発明者】
【氏名】中根 亘
(72)【発明者】
【氏名】蔵元 一成
(72)【発明者】
【氏名】清酒 芳夫
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−036533(JP,A)
【文献】 特開昭62−225281(JP,A)
【文献】 特開2003−312829(JP,A)
【文献】 特開2012−047613(JP,A)
【文献】 特開2014−095644(JP,A)
【文献】 特開2014−178300(JP,A)
【文献】 特開2014−092494(JP,A)
【文献】 特開昭54−148558(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0284609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 − 15/14
G01B 11/00 − 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトの搬送面に撮像対象領域が設定された3Dラインレーザーカメラを備えたベルトコンベヤ装置にて地盤材料を搬送し、規定時間内に前記撮像対象領域を通過した地盤材料群すべての三次元表面形状データを前記3Dラインレーザーカメラにて取得する一方で、あらかじめふるい分け試験に用いる目開きの異なる複数のふるい各々に対応する最適閾値を設定しておき、
前記三次元表面形状データから前記3Dラインレーザーカメラに接続した端末装置にて前記地盤材料群の、全体積に対する前記コンベヤベルトの搬送面から前記最適閾値に相当する高さまでの体積の比を、加積通過率(画像体積比)として算定した後、前記ふるいごとに対応させた最適閾値にて算定した前記加積通過率(画像体積比)を、各ふるいの加積通過率(重量比)に見立てて、粒度分布曲線(重量比)を推定することを特徴とする地盤材料の粒度監視方法。
【請求項2】
請求項1に記載の地盤材料の粒度監視方法において、
前記複数のふるい各々に対応する前記最適閾値の設定方法が、
前記地盤材料からサンプリングした最小分取量を満たす試料を、前記コンベヤベルトの搬送面上に撒き出して地盤材料試料群を形成し、該地盤材料試料群の三次元表面形状データを前記3Dラインレーザーカメラにて取得する第1の工程と、
該三次元表面形状データから前記端末装置にて前記地盤材料試料群の、全体積に対する前記コンベヤベルトの搬送面から規定高さまでの体積の比を、加積通過率(画像体積比)として算定する第2の工程と、
前記地盤材料試料群に対してふるい分け試験を実施する第3の工程と、
前記複数のふるいごとに、ふるい分け試験にて得た加積通過率(重量比)と前記加積通過率(画像体積比)とを比較し、両者が同一もしくは近似するときの加積通過率(画像体積比)の規定高さを、最適閾値として設定する第4の工程と、を備えることを特徴とする地盤材料の粒度監視方法。
【請求項3】
請求項2に記載の地盤材料の粒度監視方法において、
前記第1から第4の工程を実施する作業を複数回繰り返すことにより複数の地盤材料試料群を得るとともに、該地盤材料試料群各々において第4の工程で設定した最適閾値から複数のふるいごとのヒストグラムを作成し、
該ヒストグラム各々から最頻値および中央値を算定して、該中央値に近い最頻値を複数のふるいごとの最適閾値に置き換えることを特徴とする地盤材料の粒度監視方法。
【請求項4】
ホッパに貯留された地盤材料を、ベルトフィーダを介してコンベヤベルトに供給し、該コンベヤベルトにて搬送するベルトコンベヤ装置と、
前記コンベヤベルトの搬送面に撒き出される前記地盤材料の三次元表面形状データを取得する3Dラインレーザーカメラと、
該3Dラインレーザーカメラに接続され、前記三次元表面形状データを利用して前記搬送面に撒き出される地盤材料の、前記コンベヤベルトの搬送面から規定高さまでの体積を算定可能な端末装置と、を備える三次元画像処理設備であって、
前記ベルトコンベヤ装置の搬送部における一定の範囲に、前記コンベヤベルトに生じる振動を抑制する振動抑制機構が設置され、
該振動抑制機構が設置された範囲に、前記3Dラインレーザーカメラの撮像対象領域が設定されており、
前記振動抑制機構は、
前記コンベヤベルトの上面であって、両側各々に立設されるサイドフレームと、
前記コンベヤベルトの下面側に配置され、該コンベヤベルトを上方に押し上げるインパクトバーと、を備え、
該インパクトバーと前記サイドフレームにて、前記コンベヤベルトが、上下から挟持されていることを特徴とする三次元画像処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元表面形状データを利用した地盤材料の粒度監視方法、および地盤材料の粒度監視方法に用いる三次元画像処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場近くで容易に入手出来る風化岩や河床砂礫等の岩石質材料をCSG材とし、これにセメント及び水を添加して簡易な混合設備により製造されるセメント系固化材として知られるCSGは、コスト縮減と環境保全を可能にする材料としてダムや堤防等の堤体の築造に採用されている。
【0003】
例えば、台形CSGダム等に適用する場合には、CSG材を最大粒径80mm程度に調整するものの、分級、粒度調整、洗浄を行わないことから、CSGの品質は、CSG材の粒度と単位水量にて管理される。特に、CSGの必要強度を確保するためには、CSG材の粒度が常時規定範囲内にあることを確認する必要があることから、一般には1〜2時間に1回程度の頻度で人力によるふるい分け試験を行い、粒度管理を行っている。
【0004】
しかし、人力によるふるい分け試験は、その作業に多大な労力と時間を費やすだけでなく、試験結果を得るのにも時間を要する。また、ふるい分け試験はCSG材から試料を間欠的にサンプリングし実施するものであるから、その試験結果が必ずしもCSG材全体の粒度分布を表しているとはいえない。そこで、CSG材の粒度を簡略な方法で精度よく監視するべく、例えば以下に示すような方法が検討されている。
【0005】
非特許文献1では、CSG材を水平かつ薄く敷き均してデジタルカメラで撮影し、撮影画像から各粒子の輪郭を識別して二次元画像上の粒度を把握する一方で、あらかじめ監視粒径ごとの加積通過率の実測値を対象に重相関分析を行って重相関係数を算定しておく。そして、重相関係数と二次元画像上の粒度を用いて、粒径加積曲線を推定する。
【0006】
非特許文献2では、撮影スクリーン前を落下する材料粒子をデジタルカメラにより高速撮影し、画像を二値化処理して材料と背景を区分したうえで粒径別に粒子の合計面積を算定する一方で、あらかじめ粒径別の質量換算係数を算定しておく。そして、粒径別に粒子の合計面積と質量換算係数を乗じることにより粒径別の質量を算出し、粒径別の質量から粒径加積曲線を推定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ICOLD第82回年次例会 発表論文 デジタルカメラ画像を用いたCSG材の流度変動監視システム、pp45〜51、大ダム(No.230)、2015年1月
【非特許文献2】デジタル画像処理による連続粒度解析システムの開発、pp84〜93、ダム工学24(2)、2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1および2はともに、分級する粒径ごとの加積通過率を、二次元画像上で算定したCSG材の面積から算定するため、粒径ごとに重量換算係数を算定する必要が生じる。また、非特許文献1および2はいずれも、地盤材料すべての二次元画像を取得したうえで、地盤材料全体の粒径加積曲線を推定しているわけではない。
【0009】
また、非特許文献1の方法では、CSG材の敷均しに手間を要するだけでなく、団粒化しやすい粒径10mm未満の粒子を区分けして識別することができない。このため、粒径5mmの加積通過率は、非特許文献1の方法で推定した粒径10mm以上の加積通過率からさらに推定することとなり信頼性に劣る。一方、非特許文献2の方法では、粒径別の質量換算係数をあらかじめ算出するにあたり、撮影スクリーン前を落下する材料粒子の高速撮影写真を100枚程度用意し、これを解析して質量換算係数を算出することから多大な手間と時間を要する。
【0010】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、コンベヤベルトの搬送面に撒き出された地盤材料すべての三次元表面形状データを取得するとともに、この三次元表面形状データを利用して、簡略な方法で精度よく地盤材料の粒度を連続的かつリアルタイムに把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明の地盤材料の粒度監視方法は、コンベヤベルトの搬送面に撮像対象領域が設定された3Dラインレーザーカメラを備えたベルトコンベヤ装置にて地盤材料を搬送し、規定時間内に前記撮像対象領域を通過した地盤材料群すべての三次元表面形状データを前記3Dラインレーザーカメラにて取得する一方で、あらかじめふるい分け試験に用いる目開きの異なる複数のふるい各々に対応する最適閾値を設定しておき、前記三次元表面形状データから前記3Dラインレーザーカメラに接続した端末装置にて前記地盤材料群の、全体積に対する前記コンベヤベルトの搬送面から前記最適閾値に相当する高さまでの体積の比を、加積通過率(画像体積比)として算定した後、前記ふるいごとに対応させた最適閾値にて算定した前記加積通過率(画像体積比)を、各ふるいの加積通過率(重量比)に見立てて、粒度分布曲線(重量比)を推定することを特徴とする。
【0012】
上述する本発明の地盤材料の粒度監視方法によれば、ふるいに対応する最適閾値をあらかじめ設定しておくことで、地盤材料群の三次元表面形状データから地盤材料群全体の体積とコンベヤベルト面から最適閾値までの体積を算定するのみの簡略な方法で、直接的かつ短時間で地盤材料群の粒度分布曲線(重量比)を推定できる。これにより、規定時間を経過するごとに作成される地盤材料群各々に対して、三次元表面形状データを取得し、粒度分布曲線(画像体積比)から粒度分布曲線(重量比)を推定する作業を繰りかえすことによって、ベルトコンベヤ装置にて搬送される地盤材料全体の粒度分布曲線(重量比)を連続的かつリアルタイムで手間を要することなく推定することが可能となる。
【0013】
本発明の地盤材料の粒度監視方法は、前記複数のふるい各々に対応する前記最適閾値の設定方法が、前記地盤材料からサンプリングした最小分取量を満たす試料を、前記コンベヤベルトの搬送面上に撒き出して地盤材料試料群を形成し、該地盤材料試料群の三次元表面形状データを前記3Dラインレーザーカメラにて取得する第1の工程と、該三次元表面形状データから前記端末装置にて前記地盤材料試料群の、全体積に対する前記コンベヤベルトの搬送面から規定高さまでの体積の比を、加積通過率(画像体積比)として算定する第2の工程と、前記地盤材料試料群に対してふるい分け試験を実施する第3の工程と、前記複数のふるいごとに、ふるい分け試験にて得た加積通過率(重量比)と前記加積通過率(画像体積比)とを比較し、両者が同一もしくは近似するときの加積通過率(画像体積比)の規定高さを、最適閾値として設定する第4の工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の地盤材料の粒度監視方法は、前記第1から第4の工程を実施する作業を複数回繰り返すことにより複数の地盤材料試料群を得るとともに、該地盤材料試料群各々において第4の工程で設定した最適閾値から複数のふるいごとのヒストグラムを作成し、該ヒストグラム各々から最頻値および中央値を算定して、該中央値に近い最頻値を複数のふるいごとの最適閾値に置き換えることを特徴とする。
【0015】
上述する本発明の地盤材料の粒度監視方法によれば、ふるい分け試験にて得た加積通過率(重量比)を最適閾値の設定に反映させているため、最適閾値を使用した三次元表面形状データの画像処理による粒度分布曲線(画像体積比)から推定した地盤材料群の粒度分布曲線(重量比)に、高い信頼性を確保することが可能になるとともに、いずれの粒径の地盤材料にも採用することができる高い汎用性を備えることが可能となる。
【0016】
また、本発明の三次元画像処理設備は、ホッパに貯留された地盤材料を、ベルトフィーダを介してコンベヤベルトに供給し、該コンベヤベルトにて搬送するベルトコンベヤ装置と、前記コンベヤベルトの搬送面に撒き出される前記地盤材料の三次元表面形状データを取得する3Dラインレーザーカメラと、該3Dラインレーザーカメラに接続され、前記三次元表面形状データを利用して前記搬送面に撒き出される地盤材料の、前記コンベヤベルトの搬送面から規定高さまでの体積を算定可能な端末装置と、を備える三次元画像処理設備であって、前記ベルトコンベヤ装置の搬送部における一定の範囲に、前記コンベヤベルトに生じる振動を抑制する振動抑制機構が設置され、該振動抑制機構が設置された範囲に、前記3Dラインレーザーカメラの撮像対象領域が設定されており、前記振動抑制機構は、前記コンベヤベルトの上面であって、両側各々に立設されるサイドフレームと、前記コンベヤベルトの下面側に配置され、該コンベヤベルトを上方に押し上げるインパクトバーと、を備え、該インパクトバーと前記サイドフレームにて、前記コンベヤベルトが、上下から挟持されていることを特徴とする。
【0017】
上述する本発明の三次元画像処理設備によれば、コンベヤベルトの搬送面に撒き出される前記地盤材料の三次元表面形状データを連続的に取得しつつ、搬送面から規定高さまでの体積を算定することができる。したがって、三次元画像処理設備を本発明の地盤材料の粒度監視方法に適用することで、前記3Dラインレーザーカメラにて取得した三次元表面形状データを利用して、連続的かつリアルタイムでベルトコンベヤ装置にて搬送される地盤材料全体の粒度分布曲線(重量比)を推定することが可能となる。
【0019】
また、ベルトコンベヤ装置の搬送部における一定の範囲を通過中の地盤材料は、コンベヤベルトの搬送面上で振動することなく上下動しない状態を維持できる。したがって、この上下動しない状態の地盤材料を3 D ラインレーザーカメラにて撮像することにより、搬送面に撒き出された地盤材料の三次元表面形状データを精度よく取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、三次元画像処理設備にて、コンベヤベルトの搬送面に撒き出された地盤材料の三次元表面形状データを精度よく取得し、この三次元表面形状データを利用して、連続的かつリアルタイムでベルトコンベヤ装置にて搬送される地盤材料全体の粒度分布曲線(重量比)を粒度分布曲線(画像体積比)にて精度よく推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の三次元画像処理設備の概略を示す図である。
図2】本発明の三次元画像処理設備に備えた3Dラインレーザーカメラおよび撮像されるプロファイルデータPを示す図である。
図3】本発明の三次元画像処理設備に備えたベルトコンベヤ装置の、搬送部に設置された振動抑制機構を示す図である。
図4】本発明における地盤材料の粒度監視方法の最適閾値を示す図である。
図5】(a)は本発明におけるキャリブレーションにて使用するCSG材試料群を示す図であり、(b)は本発明におけるキャリブレーションにて使用するCSG材試料群の断面形状を示す図である。
図6】本発明における最適閾値を採用する前の三次元表面形状データから得たCSG材試料群の粒度分布曲線を示すグラフである。
図7】本発明における最適閾値のヒストグラムを示す図である。
図8】本発明における最適閾値を採用して三次元表面形状データから得たCSG材試料群の粒度分布曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、三次元画像処理設備を利用して重なり合うことなく平面上に撒き出された地盤材料の三次元表面形状データを取得し、当該三次元表面形状データから地盤材料の粒度監視方法にて、地盤材料の粒度分布曲線(重量比)を推定するものであり、地盤材料は、ふるい分け試験にて分級可能な粒径を有するものであれば、土、砂、骨材等いずれを対象としてもよい。本実施の形態では粒度分布曲線(重量比)を推定する地盤材料に、最大粒径が80mm程度となるように調整されたCSG材を用いる場合を事例とし、図1図8を用いて以下に詳述する。
【0023】
<三次元画像処理設備>
図1で示すように、三次元画像処理設備1は、CSG材100が貯留されるホッパ2と、ホッパ2からCSG材100が投下されるベルトフィーダ3と、ベルトフィーダ3を介してCSG材100が撒き出されるコンベヤベルト4と、を備えるベルトコ
ンベヤ装置5、およびコンベヤベルト4の搬送面に撒き出されるCSG材100の三次元表面形状データを取得するための3Dラインレーザーカメラ6を備えている。
【0024】
ベルトコンベヤ装置5は、土砂、砂利、砂などのバラ荷を搬送する際に一般に使用される装置であり、本実施の形態では、ベルトフィーダ3のフィーダー速度およびコンベヤベルト4のベルト速度を、それぞれ調整可能な調整機構を備えた装置を採用している。これは、フィーダー速度がコンベヤベルト4のベルト速度より遅くなるよう調整し、ベルトフィーダ3より撒き出されるCSG材100を、コンベヤベルト4の搬送面上で重なり合うことなく平面上に分散させるためである。本実施の形態ではフィーダー速度とベルト速度との間に100倍程度の速度差を設けているが、速度差は適宜調整すればよい。
【0025】
そして、CSG材100が搬送されるベルトコンベヤ装置5の搬送部上方に、3Dラインレーザーカメラ6が設置されている。3Dラインレーザーカメラ6は、いずれの三次元表面形状データの取得方法に対応したカメラを採用してもよいが、本実施の形態では、ベルトコンベヤ装置5の搬送部を移動する対象物の三次元表面形状データの取得に最も適した、光切断法に対応したカメラを採用している。
【0026】
具体的には図2で示すように、CSG材100にレーザー線状光Lを照射するレーザー投光部61と、CSG材100に照射されたレーザー線状光Lの反射光による輪郭を撮影するカメラレンズ62を備える。本実施の形態では、光切断線をなすプロファイルデータPを1秒間に800プロファイル取得可能で、かつプロファイルデータPの取得から三次元表面形状データの出力を一括して行うことのできるスマートカメラを採用しているが、カメラの性能はこれに限定されるものではない。
【0027】
なお、プロファイルデータPは、CSG材100をコンベヤベルト4の幅方向に切断した際の断面形状の外形を示すものであり、画像処理してプロファイルデータPを抽出することで、CSG材100の二次元断面形状が得られる。よって、CSG材100をレーザー線状光Lの直交方向、つまりコンベヤベルト4の移動方向に移動させて、この移動に同期して撮像しプロファイルデータPを複数取得することにより、CSG材100の三次元表面形状データを得ることができる。
【0028】
したがって、ベルトコンベヤ装置5の搬送部におけるコンベヤベルト4の搬送面上であって、3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域に対してレーザー投光部61よりレーザー線状光Lを照射することにより、この撮像対象領域をCSG材100が通過すると、CSG材100の三次元表面形状データが3Dラインレーザーカメラ6にて取得できる。なお、3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域は、図1で示すように、ベルトコンベヤ装置5とは独立して設置した暗室7の内方に位置しており、3Dラインレーザーカメラ6は、暗室7に設置されている。
【0029】
暗室7は、図1で示すように、3Dラインレーザーカメラ6を支持可能であり、ベルトコンベヤ装置5の搬送部が貫通するように設置されるフレーム71と、該フレーム71を覆う暗幕72により構成されている。ここで、フレーム71はベルトコンベヤ装置5と接触しないよう構築されており、これにより、ベルトコンベヤ装置5に生じる振動が3Dラインレーザーカメラ6に伝達することを防止している。
【0030】
また、本実施の形態では、図3(a)で示すように、ベルトコンベヤ装置5の搬送部であって3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域を含む一定の範囲に、振動抑制機構10を設置している。振動抑制機構10は、コンベヤベルト4の上面に当接するサイドフレーム8と、コンベヤベルト4の下面側であってキャリアローラーより上方に突出するように配置されるインパクトバー9を備えている。インパクトバー9は、図3(a)(b)で示すように、複数の長尺板を並列配置した簀子状部材よりなり、長尺板の長手方向をコンベヤベルト4の移動方向に向けて配置され、コンベヤベルト4を上方に押し上げることで、たるみの生じやすいコンベヤベルト4を緊張させて、搬送面を平面とする機能を有している。
【0031】
一方、サイドフレーム8は、図3(a)で示すように、コンベヤベルト4の両側各々に立設される一対の板材より構成されている。そして、サイドフレーム8とインパクトバー9にて、ベルトコンベヤ装置5の搬送部を通過中のコンベヤベルト4を上下から挟持することにより、ベルトコンベヤ装置5の振動が伝達されることにより生じるコンベヤベルト4の振動を、少なくとも振動抑制機構10が設置されている範囲において抑制している。これにより、インパクトバー9にて平面に形成されたコンベヤベルト4の搬送面上で上下動しない状態のCSG材100を3Dラインレーザーカメラ6にて撮像でき、精度の良い三次元表面形状データを取得することが可能となる。
【0032】
このような振動抑制機構10は、少なくとも3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域からベルトフィーダ3を介してCSG材100が撒き出される位置まで設置するとよい。こうすると、サイドフレーム8にて、コンベヤベルト4の搬送面に撒き出されるCSG材10が、3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域からコンベヤベルト4の幅方向にはみ出ることを防御することが可能となる。
【0033】
上述する構成の三次元画像処理設備1にて、コンベヤベルト4に撒き出されたCSG材の三次元表面形状データを取得するが、本実施の形態では、図2で示すように、撮像対象領域を1秒間の間に通過したCSG材100を一つのCSG材群110とし、1秒ごとに作成されるCSG材群110各々の三次元表面形状データを取得する作業を連続して行なっている。なお、例えばコンベヤベルト4のベルト速度が75m/minの場合には、CSG材群110の1秒あたりの長さは1.25mとなる。また、3Dラインレーザーカメラ6はプロファイルデータPを800プロファイル/sで取得する。したがって、CSG材群110は、長さ方向で0.16cmごとに取得されたプロファイルデータPを利用して三次元表面形状データが取得されることとなる。
【0034】
これらプロファイルデータP、およびプロファイルデータPからなる三次元表面形状データは、図1で示すような3Dラインレーザーカメラ6に接続された端末装置11に送信され、端末装置11にて様々な画像処理が可能となっている。なお、端末装置11は、演算処理装置及び記憶装置等のハードウェアと該ハードウェア上で動作するソフトウェアとで構成される情報処理装置と、情報処理装置に種々のデータを入力する通信装置やキーボード等の入力装置と、情報処理装置で行われた演算処理結果をリアルタイムで出力するディスプレイ及び記憶装置等からなる出力装置を備えている。
【0035】
本実施の形態では、上述する三次元画像処理設備1を用いて、三次元表面形状データの画像処理を行い、CSG材100の粒度分布曲線(重量比)を推定する作業を行う。本実施の形態ではCSG材100を、0〜5mm、5〜10mm、10〜20mm、20〜40mm、40〜80mmに分級する場合を事例とし、以下に、三次元画像処理設備1を利用した地盤材料の粒度監視方法を詳述する。
【0036】
<地盤材料の粒度監視方法>
まず、CSG材100が貯蔵されているストックヤードの近傍に三次元画像処理設備1を設置し、図1で示すように、CSG材100をホッパ2に投入する。この後、ベルトコンベヤ装置5を作動させ、ホッパ2からベルトフィーダ3を介してコンベヤベルト4にCSG材100を撒き出す。この時、図2で示すように、3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域を1秒の間に通過したCSG材100をCSG材群110とし、3Dラインレーザーカメラ6によりこのCSG材群110のプロファイルデータPから三次元表面形状データを取得し、これを端末装置11に送信する。
【0037】
そして、三次元表面形状データから端末装置11にて、CSG材群110の全体積を計測する。ここで、CSG材群110の全体積とは、CSG材群110を構成するCSG材100の全体積ではなく、CSG材群110のコンベヤベルトの移動方向の長さ範囲における、コンベアベルト4の搬送面よりなる下端面と、プロファイルデータPよりなる上端面とで囲まれた領域の全体積である。
【0038】
次に、三次元表面形状データから端末装置11にて、図4のCSG材群110における三次元表面形状データの断面図で示すような、コンベヤベルト4の搬送面から4つの最適閾値(L1〜L4)各々に相当する高さまでの体積を計測し、全体積に対する比をそれぞれ加積通過率(画像体積比)として算定する。ここで、4つの最適閾値(L1〜L4)は、後述するキャリブレーションにて、骨材のふるい分け試験に用いる目開きの異なる複数のふるい各々に対応する数値となるよう、あらかじめ設定しておく。
【0039】
具体的には、例えば本実施の形態においてCSG材群110を、0〜5mm、5〜10mm、10〜20mm、20〜40mm、40〜80mmに分級し、粒度分布曲線(重量比)を推定することを目的としている。したがって、4つの最適閾値(L1〜L4)各々で算定した加積通過率(画像体積比)がそれぞれ、ふるい分け試験にてCSG材群110をふるい分けした際に、5mmふるい、10mmふるい、20mmふるいおよび40mmふるいの加積通過率(重量比)と同一もしくは近似する数値となるよう、4つの最適閾値(L1〜L4)を設定している。なお、先にも述べたように、CSG材100は80mm以下となるように調整されており、L5は80mmを示す。
【0040】
こうすると、ふるい分け試験を行う場合に採用する上記のふるい各々のふるい目を横軸に対数目盛りで、また、上記のふるいに対応させた4つの最適閾値(L1〜L4)各々で得た加積通過率(画像体積比)を各ふるいの加積通過率(重量比)に見立てて縦軸に算術目盛りでとったグラフ上に描かれる粒度分布曲線(画像体積比)は、CSG材群110に対してふるい分け試験を行って得られる粒度分布曲線(重量比)を精度よく反映した曲線となる。したがって、地盤材料の粒度監視方法では、ふるいに対応させた最適閾値にて算定した前記加積通過率(画像体積比)を各ふるいの加積通過率(重量比)に見立て作成した粒度分布曲線(画像体積比)を、粒度分布曲線(重量比)と推定することとした。
【0041】
こうして三次元表面形状データを取得する作業と粒度分布曲線(重量比)を推定する作業を、1秒間ごとに形成されるCSG材群110各々に対して連続して実施することで、三次元画像処理設備1に備えたベルトコンベヤ装置5の搬送部を通過するCSG材100全体の粒度分布曲線(重量比)を連続的かつリアルタイムで手間を要することなく推定することが可能となる。
【0042】
なお、地盤材料の粒度監視方法を実施してCSG材100全体の粒度分布曲線(重量比)を推定するにあたっては、前述したように、あらかじめ、骨材のふるい分け試験に用いる目開きの異なる複数のふるい各々に対応する最適閾値を設定するためのキャリブレーションを実施する。以下に、キャリブレーションの手順を説明する。
【0043】
<キャリブレーション:第1の工程>
まず、三次元画像処理設備1のホッパ2からベルトフィーダ3を介してコンベヤベルトにCSG材100を撒き出し、図5(a)で示すように、3Dラインレーザーカメラの撮像対象領域を1分間の間に通過したCSG材をCSG材試料群120とし、このCSG材試料群120の三次元表面形状データを取得する。
【0044】
なお、CSG材試料群120は、土の粒度試験を実施するにあたり、試験1回あたりに必要な試料の目安としてJISA1201に規定されている最小分取量を満たしていればよく、通過時間は必ずしも1分間に限定されるものではない。本実施の形態では、CSG材試料群120をなすCSG材100の最大粒径が80mmであるため、CSG材試料群120の重量は、少なくとも30kgを満たしている。
【0045】
<キャリブレーション:第2の工程>
次に、第1の工程で取得した三次元表面形状データから端末装置11にて、CSG材試料群120の全体積を計測するとともに、コンベヤベルト4の搬送面から規定高さまでのCSG材試料群110の体積を計測する。本実施の形態では図5(b)に破線で示すように、規定高さを0.5mmごとに設定し、搬送面から各規定高さまでの体積を計測して、全体積に対する規定高さごとの体積の比を加積通過率(画像体積比)として算出する。
【0046】
<キャリブレーション:第3の工程>
第1および第2の工程を実施する一方で、CSG材試料群120に対して湿潤法によるふるい分け試験を実施し、粒度分布曲線(重量比)を作成する。
【0047】
図6に、キャリブレーションを行わず、コンベヤベルト4の搬送面からの規定高さ5mm、10mm、20mmおよび40mm各々をふるい目と見立てて横軸に対数目盛りで、また上記の規定高さ各々に対応する加積通過率(画像体積比)を各ふるいの加積通過率(重量比)に見立てて縦軸に算術目盛りでグラフ上に描いた粒度分布曲線(画像体積比)と、ふるい分け試験にて得た加積通過率(重量比)をグラフ上に描いた粒度分布曲線(重量比)を示す。これを見ると、5mm、10mm、20mmおよび40mmの全ての粒径において、加積通過率(画像体積比)は加積通過率(重量比)と比較して細粒側な数値となることがわかる。
【0048】
<キャリブレーション:第4の工程>
そこで、第3の工程で用いた目開きの異なる複数のふるいごとで、加積通過率(重量比)と、第2の工程で算定した0.5mmごとに高さを変えた規定高さ各々の加積通過率(画像体積比)とを比較する。そして、各ふるいの加積通過率(重量比)と加積通過率(画像体積比)が同一、もしくは近似するときの加積通過率(画像体積比)の規定高さを選定し、選定した規定高さ各々を複数のふるいごとに対応した最適閾値として設定する。
【0049】
例えば、5〜10mmふるいの加積通過率(重量比)と、コンベヤベルト4の搬送面からの規定高さを8.5mmとしたときの加積通過率(画像体積比)が同一もしくは近似していた場合に、5〜10mmふるいに対応する最適閾値を8.5mmとして設定する。この作業を全てのふるいに対して実施し、各々のふるいに対応する最適閾値を設定する。
【0050】
なお、ふるい各々に対応する最適閾値は、上記の手順にて設定してもよいが、より最適閾値の精度を向上させるべく、上記の第1の工程から第4の工程を実施する作業を複数回繰り返してCSG材100からサンプリングするCSG材試料群120の数量を増やし、複数のCSG材試料群120から最適閾値を設定してもよい。
【0051】
具体的には、上記の第1の工程から第4の工程を実施する作業を40回繰り返すことで、CSG材100から新たなCSG材試料群120を40試料収集し、CSG材試料群120ごとに算定した最適閾値から、図7で示すようなヒストグラムを作成する。そして、ふるいごとに作成した最適閾値のヒストグラム各々から、最頻値および中央値の両者を算定したうえで、中央値に近い最頻値を採用する。例えば、図7(c)を見ると、40回の試験のうち、10mmふるいに対応する最適閾値が8.5mmと選定された回数が14回で、これが最頻値であることがわかる。また、このヒストグラムより中央値を算定すると8.5mmとなる。この場合には、算定された最頻値が1つのみであるから、10mmふるいに対応する最適閾値を最頻値である8.5mmと置き換えた。
【0052】
一方で、図7(b)を見ると、40回の試験のうち、20mmふるいに対応する最適閾値が13.0mmと判定された回数が8回、14.0mmと判定された回数も8回あり、最頻値が2つ存在する。しかし、このヒストグラムより中央値を算定すると14.0mmと算定されることから、10mmふるいに対応する最適閾値を中央値に近い最頻値である14.0mmと置き換えた。
【0053】
こうして図7(a)〜(d)のヒストグラム各々の中央値に近い最頻値から、コンベヤベルト4の搬送面からの規定高さ5.0mm、8.5mm、14.0mmおよび27.0mmをそれぞれ、5mmふるい、10mmふるい、20mmふるいおよび40mmふるい各々の最適閾値として設定する。図8に、第3の工程で用いたふるい各々のふるい目を横軸に対数目盛りで、また上記の最適閾値各々に対応する加積通過率(画像体積比)を、各ふるいの加積通過率(重量比)に見立てて縦軸に算術目盛りでグラフ上に描いた粒度分布曲線(画像体積比)を示す。
【0054】
これを見ると、最適閾値に対応する加積通過率(画像体積比)を用いた粒度分布曲線(画像体積比)が、ふるい分け試験にて得た加積通過率(重量比)を精度よく反映していることがわかる。上記の結果から、本実施の形態において、図4で示す最適閾値(L1〜L4)に、5.0mm、8.5mm、14.0mm、27.0mmをそれぞれ採用し、CSG材群110の粒度分布曲線(重量比)を推定する。
【0055】
なお、本発明の三次元画像処理設備1および地盤材料の粒度監視方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0056】
例えば、本実施の形態では、3Dラインレーザーカメラ6の撮像対象領域を1秒間の間に通過したCSG材100を一つのCSG材群110とし、1秒ごとに作成されるCSG材群110各々の三次元表面形状データを取得したが、必ずしもこれに限定されるものではない。ベルトコンベヤ装置のベルト速度や作業条件等に応じて、CSG材100が撮像対象領域を通過する通過時間を適宜規定し、この規定時間の間に通過したCSG材100を一つのCSG材群110とすればよい。
【0057】
また、本実施の形態では、CSG材100を0〜5mm、5〜10mm、10〜20mm、20〜40mmおよび40〜80mmに分級したが、地盤材料の種類や分級する粒径および分級の数量等はこれに限定されるものではなく、いずれの地盤材料を用いてもよく、またいずれの粒径に分級するものであってもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、最適閾値を設定するにあたってCSG材100からCSG材試料群120を40回サンプリングしヒストグラムを作成したが、サンプリングの数量は必ずしもこれに限定されるものではなく、CSG材100の状態や粒径および求められる精度等に応じて適宜決定すればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 三次元画像処理設備
2 ホッパ
3 ベルトフィーダ
4 コンベヤベルト
5 ベルトコンベヤ装置
6 3Dラインレーザーカメラ
61 レーザー投光部
62 カメラレンズ
7 暗室
71 フレーム
72 暗幕
8 サイドフレーム
9 インパクトバー
10 振動抑制装置
11 端末装置
100 CSG材
110 CSG材群
120 CSG材試料群
L レーザー線状光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8