(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原理的に繰返さないものとする。
【0022】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施の形態に従う水位検知装置100が浴槽に取り付けられた状態について説明する。本実施の形態に従う水位検知装置100は、浴槽に取り付けられた状態で浴槽に貯められた水の水位を検知可能なものであり、業務用風呂装置に好適に用いられる。なお、
図1では、見やすくするため、水位検知装置100についてはその側面が示されている。
【0023】
図1を参照して、浴槽200は、浴槽200の内壁で囲まれた内側領域を有している。浴槽200は、内側領域に湯水を貯留可能に構成されている。また、浴槽200の内部に防水層201が形成されている。この防水層201は、浴槽200の内壁に沿って形成されている。つまり、防水層201は、浴槽200の底部から側壁にわたって形成されている。
図1では、浴槽200の内側領域に湯水300が溜められている状態が示されている。
【0024】
浴槽200の側壁に水位検知装置100が取り付けられている。水位検知装置100は、外側ケース10と、配管40と、ウォーターカッター42と、出力信号線70とを備える。外側ケース10の第2の筒状部材12の先端部は、浴槽200の内壁側、すなわち、浴槽200の内側領域に配置されている。浴槽200の外壁側に配管40が配置されている。
【0025】
ウォーターカッター42は、防水層201に取り付けられている。ウォーターカッター42は、外側ケース10側から流入した浴槽水を留めるためのものである。ウォーターカッター42は、円盤部を有している。円盤部は、配管40の外周面から配管40の径方向に突出している。円盤部は、配管40の全周にわたって設けられている。
【0026】
配管40は浴槽200の外側に引き出されており、配管40に挿通された出力信号線70が制御部400に電気的に接続されている。制御部400は図示しない湯水の供給部にも電気的に接続されている。制御部400は、水位検知装置100および供給部を制御可能に構成されている。
【0027】
制御部400は、水位検知装置100によって検知された水位と予め定められた基準水位との間の高低を比較する。検知された水位が基準水位よりも低い場合には、水位検知装置100の出力信号に基づいて、図示しない供給部から浴槽200に湯水300を供給するように供給部を制御する。これにより、浴槽200に湯水300が供給される。そして、水位検知装置100によって浴槽200の水位が基準水位に到達したことが検知されるまで、湯水300が浴槽200に供給される。
【0028】
次に、
図2および
図3を参照して、本実施の形態に従う水位検知装置100の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に従う水位検知装置100の外観を概略的に示す斜視図である。
図3は、本実施の形態に従う水位検知装置100の構成を、
図2のIII−III線に沿って概略的に示す断面斜視図である。
【0029】
本実施の形態に従う水位検知装置100は、外側ケース10と、内側ケース20と、水位センサユニット30と、中継基板35と、配管40と、ウォーターカッター42と、出力信号線70と、封止部材50とを主に有している。
【0030】
外側ケース10内に内側ケース20が収容されている。内側ケース20の内部に水位センサユニット30が収容されている。外側ケース10に配管40が接続されている。配管40の外周面にはウォーターカッター42が接続されている。水位センサユニット30には中継基板35を介して出力信号線70が電気的に接続されている。中継基板35は、水位センサユニット30の出力端子30fと出力信号線70との間を中継するためのものである。
【0031】
本実施の形態において、外側ケース10および内側ケース20は、水位センサユニット30を収容する「収容部材」を構成する。浴槽200の側壁には収容部材を嵌め込むための凹部が形成されている。この側壁の凹部に収容部材を嵌め込むことによって、浴槽200の側壁に水位センサユニット30が取り付けられる。
【0032】
外側ケース10は、第1の筒状部材11と、第2の筒状部材12と、目皿13と、支持部材14と、連通部材15とを有している。第1の筒状部材11、第2の筒状部材12、目皿13はそれぞれ、たとえばステンレス鋼で形成されている。支持部材14および連通部材15は、たとえば樹脂で形成されている。
【0033】
第1の筒状部材11は、第2の筒状部材12側および配管40側にそれぞれ開口を有する筒状形状を有している。第1の筒状部材11は、大径部11aと、中径部11bと、小径部11cと、大径部11aおよび中径部11bを繋ぐ壁部11dと、中径部11bおよび小径部11cを繋ぐ壁部11eとを有している。
【0034】
第1の筒状部材11の大径部11aに、第2の筒状部材12が取り付けられている。第2の筒状部材12は、前記第1の筒状部材11の大径部11aに複数のネジ140によって固定されている。
【0035】
第2の筒状部材12は、浴槽200(
図1)の側壁に取り付けるためのフランジ部12bを有している。フランジ部12bは、第2の筒状部材12の径方向において、第2の筒状部材12から外方に延びている。フランジ部12bの第1の筒状部材11側の面が浴槽200の側壁に取り付けられる。
【0036】
第2の筒状部材12は、第1の筒状部材11と反対側の端面に凹部12cを有している。凹部12cに目皿13が嵌め込まれている。目皿13は複数の貫通孔13aを有している。目皿13は、第2の筒状部材12に複数のネジ110によって固定されている。
【0037】
第2の筒状部材12の内側に支持部材14が配置されている。支持部材14は、水位センサユニット30を支持する。支持部材14は円盤形状を有している。支持部材14の外周は、第1の筒状部材11の内周に沿って配置されている。
【0038】
外側ケース10は、浴槽200に貯められた湯水を受け入れ可能な受水室10aを有している。第2の筒状部材12と、目皿13と、支持部材14とで囲まれた空間が受水室10aを構成している。受水室10aは、目皿13の複数の貫通孔13aから浴槽水を受け入れ可能に構成されている。
【0039】
第1の筒状部材11の内部に内側ケース20が配置されている。支持部材14に対して受水室10aとは反対側に内側ケース20は配置されている。内側ケース20は、受水室10aと区隔された第1の内部空間IS1を有している。
【0040】
内側ケース20は、側面部20aと、底面部20bと、側面部20aの径方向において側面部20aから外方に延びるフランジ部20cとを有している。側面部20aは、たとえば円筒状形状を有している。底面部20bは、たとえば円盤形状を有している。底面部20bは、側面部20aの受水室10aとは反対側の開口を覆うように配置されている。
【0041】
内側ケース20には、側面部20aの開口を覆うように支持部材14が取り付けられている。支持部材14は、内側ケース20に複数のネジ150によって固定されている。支持部材14と内側ケース20との間には内側封止部材(図示せず)が配置されている。内側封止部材は、外側ケース10に内側ケース20を水密に収容するために、外側ケース10と内側ケース20との間に取り付けられている。内側封止部材は、支持部材14と内側ケース20との隙間を封止可能に構成されている。内側封止部材は、内側ケース20の外壁に設けられた凹部内に配置されている。凹部は、支持部材14の内側ケース20側の面に対向するように設けられている。内側封止部材は、たとえばゴム製のOリングである。
【0042】
内側ケース20のフランジ部20cに設けられた貫通孔に挿入されたネジ150によって、内側ケース20は外側ケース10に固定されている。内側ケース20は、たとえば樹脂で形成されている。
【0043】
水位センサユニット30は、内側ケース20の第1の内部空間IS1に収容されている。水位センサユニット30は、受水室10aの水圧を検知可能に構成されている。水位センサユニット30は、支持部材14にネジ(図示せず)によって固定されている。支持部材14の中央に形成された貫通孔14aに水位センサユニット30の先端部が挿入されている。
【0044】
支持部材14の受水室10a側の主面に連通部材15が配置されている。連通部材15は、支持部材14の貫通孔14aを覆うように、支持部材14に取り付けられている。連通部材15は、受水室10aと水位センサユニット30の先端部とを連通可能に構成される。連通部材15は、たとえば樹脂製であり、支持部材14と一体的に形成することができる。あるいは、連通部材15を、支持部材14と別体として、支持部材14に対して着脱可能に接続することも可能である。
【0045】
中継基板35は、第1の内部空間IS1に収容されている。中継基板35は、支持部材14にネジ160によって固定されている。水位センサユニット30の出力端子30fと出力信号線70とは、中継基板35に設けられたコネクタを介して電気的に接続される。
【0046】
出力信号線70は、水位センサユニット30の出力端子30fから出力される電気信号を伝送するための配線部材72と、配線部材72を覆う被覆部としての被覆管71とを有している。配線部材72はたとえば3芯の信号線を用いることができる。被覆管71は、芯を保護するための保護被覆であり、たとえば樹脂で形成されている。
【0047】
外側ケース10の小径部11cに配管40の一方端部が接続されている。外側ケース10の小径部11cと配管40の一方端部とは螺合されている。具体的には、小径部11cの外周面に形成された雄ネジ部と配管40の一方端部の内周面に形成された雌ネジ部とが螺合されている。配管40は、たとえば樹脂で形成されている。配管40は、第2の内部空間IS2を有している。第2の内部空間IS2は、配管40の他方端部において浴槽200の外部と連通している。配管40に出力信号線70が挿通されている。
【0048】
内側ケース20の底面部20bには、出力信号線70を内側ケース20の外部へ引き出すための貫通孔20dが形成されている。出力信号線70は、貫通孔20dを通じて、第1の内部空間IS1から第2の内部空間IS2に延びている。出力信号線70の外周面と貫通孔20dとの間に封止部材50が配置されている。
【0049】
封止部材50は、出力信号線70の外周面と貫通孔20dとの間の隙間を水密に封止可能に構成されている。封止部材50は、たとえば被覆管71の外周面に外嵌される筒状のゴムブッシュである。この場合、上記のようにゴムブッシュで被覆管71の外周面と貫通孔20dとの隙間を封止するとともに、当該ゴムブッシュを樹脂などでポッティングしてもよい。
【0050】
内側ケース20の底面部20bにはさらに、第1の内部空間IS1に大気を導入するための大気導入孔20eが形成されている。大気導入孔20eは、第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2とを連通する。大気導入孔20eの機能については、後ほど詳しく説明する。
【0051】
次に、
図4および
図5を参照して、本実施の形態に従う水位検知装置100の水位センサユニット30の構成について説明する。
【0052】
水位センサユニット30は、圧力センサ30aと、ハウジング30bと、保護部材30eと、出力端子30fとを主に有している。圧力センサ30aは、圧力を検知する検知面Sを有している。
【0053】
圧力センサ30aの検知面Sと反対側の面は保護部材30eで覆われている。保護部材30eは、絶縁性を有する樹脂などで形成されており、圧力センサ30aを水分等から保護する。
【0054】
出力端子30fは導電性を有しており、一方端部が保護部材30eを貫通して圧力センサ30aと電気的に接続されている。出力端子30fの他方端部は、出力信号線70の配線部材72(
図3)に電気的に接続されている。出力端子30fは、たとえばリード線を用いることができる。
【0055】
圧力センサ30aはハウジング30bに収容されている。ハウジング30bは、たとえば樹脂で形成されている。ハウジング30bは、圧力導入孔30cと、オイル通路30dとを有している。
【0056】
オイル通路30dは、一方端が圧力センサ30aの検知面Sに接続されている。オイル通路30dには、非腐食性流体が充填されている。非腐食性流体は、たとえばフッ素系オイルである。圧力導入孔30cは、オイル通路30dの他方端を、ハウジング30bの外部に露出させるように設けられている。
【0057】
圧力導入孔30cは、図中矢印方向から浴槽の湯水の圧力をオイル通路30dに導入する。圧力導入孔30cから導入された圧力は、オイル通路30dによって、圧力センサ30aの検知面Sに伝達される。圧力センサ30aは、浴槽の空気圧(大気圧)を基準圧として、浴槽の湯水の圧力を検知可能に構成されている。
【0058】
図5は、
図4における圧力センサ30aの構成を概略的に示す断面図である。
図5を参照して、本実施の形態の圧力センサ30aは、半導体基板の裏面がエッチングにより凹まされた薄肉のダイヤフラム31と、ダイヤフラム31を搭載する基台32と、シール部材33とを主に有している。ダイヤフラム31の表面は、圧力センサ30aの検知面Sを構成する。基台32には、ダイヤフラム31の裏面を大気開放するための大気開放孔32aが設けられている。シール部材33は、ダイヤフラム31の裏面側の空間を閉じるように配置されている。
【0059】
圧力センサ30aは、ダイヤフラム31および基台32によって仕切られた第1の室S1と、第2の室S2とを有している。ダイヤフラム31は、第1の室S1の圧力P1と第2の室S2の圧力P2との差圧により第2の室S2側に凸状に変形可能に構成されている。第1の室S1の圧力P1は、オイル通路30dによって伝達された、浴槽の湯水の圧力となる。第2の室S2の圧力P2は、内側ケース20の第1の内部空間IS1内の気圧となる。第1の内部空間IS1内の気圧は、浴槽の空気圧(大気圧)となる。
【0060】
圧力センサ30aは、第1の内部空間IS1内の気圧(大気圧)と、浴槽の湯水の圧力との差圧を検知可能に構成されている。ダイヤフラム31には、たとえば半導体基板に対する不純物拡散によりゲージ(図示せず)が形成されている。ゲージは、平面視におけるダイヤフラム31の中心から90°ずつ回転した位置に4か所形成されていてもよい。これら4個のゲージはホイーストンブリッジ回路を構成するように結線されている。ホイーストンブリッジ回路に電圧を印加すると、ダイヤフラム31の変形により4個のゲージの抵抗が変動するため、電圧値が変動する。したがって、圧力センサ30aは、ダイヤフラム31の変形に応じた電圧値の変動に基づいて圧力を検知することができる。
【0061】
続いて、
図6を参照して、
図4に示す水位センサユニット30の収容部材の構成について詳しく説明する。
【0062】
図6では、水位センサユニット30を内側ケース20に収容した状態で、外側ケース10が浴槽200の壁面に取り付けられた状態が概略的に示されている。
【0063】
支持部材14の貫通孔に水位センサユニット30の先端部が挿入されることにより、水位センサユニット30が支持部材14に取り付けられる。水位センサユニット30が支持部材14に取り付けられた状態において、水位センサユニット30の圧力導入孔30c(
図4参照)は、受水室10a側に開口している。これにより、オイル通路30dの他方端は、圧力導入孔30cを通じて受水室10aに向けて露出することになる。
【0064】
連通部材15は、支持部材14の受水室10a側の主面に接続されている。連通部材15は、たとえば、管状部材により構成されている。管状部材は、一方端が圧力導入孔30cに連通するように支持部材14に接続され、かつ、他方端が受水室10aに向けて開放されている。連通部材15には、圧力導入孔30cおよび受水室10aに連通する内部空間15aが形成されている。内部空間15aは空気を内包する。連通部材15は、たとえば、圧力導入孔30c側から支持部材14の主面に沿って浴槽200の底部側に延びる下垂部を有している。
【0065】
図6では、浴槽200の内側領域に湯水300が貯められている状態が示されている。この状態において、受水室10aの内部には、目皿13の複数の貫通孔13a(
図2および
図3参照)を通じて湯水300が入水されている。一方、連通部材15の内部空間15aには空気が充填されている。したがって、内部空間15aの空気圧は浴槽200の空気圧(大気圧)と等しくなっている。
【0066】
浴槽200への湯水の供給が開始されると、浴槽200の水位が徐々に上昇する。浴槽200の水位が連通部材15の開放端部の高さを超えると、連通部材15の内部空間15aの空気には浴槽200の湯水の圧力が加わる。ここで、浴槽200の湯水の圧力は、浴槽200の湯水の水圧と浴槽200の空気圧とを合計した圧力となる。連通部材15の内部空間15aの空気圧は浴槽200の空気圧に等しいため、実質的に、浴槽200の湯水の水圧が内部空間15aの空気に加わることになる。
【0067】
連通部材15の内部空間15aの空気に加わる圧力は、水位センサユニット30の圧力導入孔30c内に導入され、オイル通路30d(
図4参照)の端部に印加される。すなわち、浴槽200の湯水の水圧に応じた空気圧が内部空間15aおよび圧力導入孔30cを伝わって、オイル通路30dの端部に印加されることになる。オイル通路30dは、この圧力をさらに圧力センサ30aの検知面S(ダイヤフラム31)に伝達する。これにより、圧力センサ30aは、浴槽200の湯水の水圧を検知することができる。
【0068】
本実施の形態では、水位検知装置100が浴槽200の壁面に取り付けられた状態において、浴槽200の水位が基準水位であるときに圧力センサ30aによって検知される水圧と、圧力センサ30aによって検知される水圧との差圧を、基準水位からの水位変化量に変換することにより、浴槽200に貯められた湯水300の水位を検知することができる。
【0069】
以下、本実施の形態の水位検知装置100の作用効果について説明する。
本実施の形態に従う水位検知装置100では、内側ケース20の底面部20bにおいて、貫通孔20dが封止部材50によって水密に封止されている。そのため、配管40の内部に浴槽水が流入しても、内側ケース20の第1の内部空間IS1の水密を確保することができる。これにより、内側ケース20の第1の内部空間IS1に収容された水位センサユニット30に浴槽水が接触することによって水位検知装置100が故障することを抑制することができる。
【0070】
詳細には、浴槽200の側壁には、外側ケース10の第1の筒状部材11を嵌め込むための凹部が設けられている。さらに側壁内部には、この凹部と連通するように配管40が埋設されている。この凹部に第1の筒状部材11を嵌め込み、かつ、第1の筒状部材11の小径部11cと配管40の一方端部とを接続することによって、浴槽200の側壁に水位検知装置100を取り付けることができる。
【0071】
水位検知装置100が浴槽200の側壁に取り付けられた状態においては、外側ケース10の第1の筒状部材11の外周面と浴槽200の側壁との隙間に浴槽水が流入する場合がある。当該隙間に浴槽水が流入すると、
図6中に矢印で示されるように、第1の筒状部材11の小径部11cと配管40の一方端部との接続部分を通じて、配管40の内部に浴槽水が流入することがある。その結果、配管40の第2の内部空間IS2は浴槽水が溜まった状態となり得る。
【0072】
このような状態においても、封止部材50によって内側ケース20の第1の内部空間IS1の水密が確保されているため、内側ケース20の第1の内部空間IS1に浴槽水が流入することを防止することができる。
【0073】
その一方で、上述のように、水位センサユニット30における圧力センサ30aは、浴槽200の空気圧(大気圧)を基準として、浴槽200の湯水の圧力を検知する構成となっている。したがって、本実施の形態では、圧力センサ30aの第2の室S2の圧力P2(
図5参照)に相当する、第1の内部空間IS1の気圧を、浴槽200の空気圧(大気圧)に保つ必要がある。
【0074】
しかしながら、内側ケース20の第1の内部空間IS1の水密を確保するために内側ケース20を密閉状態とすると、第1の内部空間IS1の気圧と浴槽200の空気圧との間にずれが生じてしまい、圧力センサ30aにおける基準圧を大気圧に保つことができなくなることがある。その結果、圧力センサ30aによって浴槽200の湯水の圧力を正確に検知することが困難となるため、浴槽200の水位の検知精度が低下する可能性がある。
【0075】
そのため、本実施の形態では、内側ケース20において、第1の内部空間IS1と配管40の第2の内部空間IS2とを連通する貫通孔20eを形成している。この貫通孔20eは、第1の内部空間IS1に大気を導入するための大気導入孔となり得る。これにより、第1の内部空間IS1の気圧を、浴槽200の空気圧に保つことができる。
【0076】
ここで、大気導入孔20eは、第1の内部空間IS1の水密を損なわないように、その開口径が、第1の内部空間IS1への浴槽水の浸入を防止することができる大きさとなっている。たとえば、大気導入孔20eの開口径を1〜2mm程度とすることができる。
【0077】
大気導入孔20eの開口径を大きくすると、内側ケース20の第1の内部空間IS1に大気を導入しやすくなる一方で、配管40の内部に浴槽水が流入した場合において、大気導入孔20eを通じて、配管40の第2の内部空間IS2に溜まった浴槽水と第1の内部空間IS1の空気とが置換する現象が発生しやすくなる。大気導入孔20eの開口径は、このような浴槽水と空気との置換を防止することができる大きさとする。
【0078】
このようにすれば、大気導入孔20eが浴槽水と接触していない状態であれば、大気導入孔20eを通じて内側ケース20の第1の内部空間IS1が大気開放されるため、圧力センサ30aによって浴槽200に貯められた湯水の水位を精度良く検知することができる。
【0079】
また、配管40の内部に浴槽水が溜まって大気導入孔20eが浴槽水と接触した状態となった場合には、第1の内部空間IS1を大気開放することができなくなるものの、第1の内部空間IS1への浴槽水の流入を防止して、第1の内部空間IS1の水密を確保することができる。したがって、水位検知装置100が故障することを抑制することができる。
【0080】
なお、大気導入孔20eを通じて、内側ケース20の第1の内部空間IS1と配管40の第2の内部空間IS2とが連通している限りにおいて、第1の内部空間IS1に大気を導入することができることから、大気導入孔20eの配置位置は特に限定されるものではない。したがって、本実施の形態では、大気導入孔20eを、内側ケース20の側面部20aに形成することも可能である。
【0081】
特に、本実施の形態に従う水位検知装置100では、内側ケース20の外周面と外側ケース10の第1の筒状部材11の内周面との間に形成される隙間22が、配管40の第2の内部空間IS2と繋がっている。したがって、この隙間22と内側ケース20の第1の内部空間IS1とが連通することができる位置に大気導入孔20eを形成することで、実質的に第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2とを連通させることができる。これにより、第2の内部空間IS2から隙間22および大気導入孔20eを通じて第1の内部空間IS1に大気を導入することができる。
【0082】
ただし、本実施の形態のように、浴槽200の側壁に対して垂直となるように水位検知装置100を取り付ける場合には、
図6に示されるように、大気導入孔20eを、貫通孔20dよりも上方の高さ位置に形成することが好ましい。
【0083】
これは、第一に、大気導入孔20eの高さ位置を高くするほど、配管40の内部に流入した浴槽水に大気導入孔20eが接触し難くすることができることによる。配管40の内部に浴槽水が流入した場合であっても、大気導入孔20eに浴槽水が接触し難くすることで、内側ケース20の第1の内部空間IS1を大気開放させることができる。これにより、第1の内部空間IS1の水密を確保する一方で、水位検知装置100の検知精度が低下することを抑制することができる。
【0084】
第二に、大気導入孔20eを貫通孔20dよりも下方の高さ位置に形成した場合、配管40の第2の内部空間IS2に溜まった浴槽水の重みを受けて、大気導入孔20eに浴槽水が流入する可能性が高くなることによる。したがって、大気導入孔20eを貫通孔20dの下方の高さ位置に形成する場合には、大気導入孔20eを貫通孔20dの上方の高さ位置に形成する場合に比べて、大気導入孔20eの開口径をより小さくすることが求められる。
【0085】
言い換えれば、大気導入孔20eを貫通孔20dよりも上方の高さ位置に形成する構成とすることで、大気導入孔20eを貫通孔20dよりも下方の高さ位置に形成する構成に比べて、配管40の内部へ浴槽水が流入したことによる浴槽200の水位の検知精度の低下を抑制する効果を高めることができる。また、大気導入孔20eの開口径を大きくできるため、作り易いという利点を有する。
【0086】
なお、本実施の形態に従う水位検知装置100において、内側ケース20の外周面と外側ケース10の第1の筒状部材11の内周面との隙間22は、大気導入孔20eを通じて第1の内部空間IS1と連通するとともに、その一方端が第2の筒状部材12によって閉じられている。したがって、隙間22は空気を留めておくことができる構造となっている。このような構造により、
図7に示されるように、配管40の第2の内部空間IS2に浴槽水が溜まっている状態においても、浴槽水と大気導入孔20eとの間には空気が介在することとなる。これにより、浴槽水が大気導入孔20eに接触することを抑制することができるため、内側ケース20の第1の内部空間IS1の水密を確保する効果を高めることができる。
【0087】
(変形例)
上記の実施の形態では、水位センサユニット30を収容する収容部材を、外側ケース10と内側ケース20とから成る二重構造としたが、収容部材を一重構造としても、上記実施の形態に従う水位検知装置100と同様の効果を得ることができる。
【0088】
以下、本実施の形態の変形例に従う水位検知装置の構成について説明する。なお、本変形例に従う水位検知装置の基本的構成は、収容部材を除いて、本実施の形態に従う水位検知装置100と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0089】
図8は、本実施の形態の本変形例に従う水位検知装置100の構成を概略的に示す断面図であって、
図6と対比される図である。
図8を参照して、本変形例が実施の形態と異なる点は、第1の筒状部材11および内側ケース20に代えて、ケース60が設けられている点である。
【0090】
ケース60は、側面部60aと、底面部60bと、底面部60bから配管40側に延びる筒状部60cとを有している。側面部60aは、たとえば円筒状形状を有している。底面部60bは、たとえば円盤形状を有している。底面部60bは、側面部60aの受水室10aとは反対側の開口を覆うように配置されている。筒状部60cは、配管40の一方端部に接続されている。ケース60は、たとえばステンレス鋼で形成されている。
【0091】
ケース60には、側面部60aの受水室10a側の開口を覆うように支持部材14が取り付けられている。支持部材14は、ケース60に複数のネジ150によって固定されている。支持部材14とケース60との間には内側封止部材(図示せず)が配置されている。内側封止部材は、支持部材14とケース60との隙間を封止可能に構成されている。
【0092】
ケース60は、浴槽200に貯められた湯水を受け入れ可能な受水室10aを有している。第2の筒状部材12と、目皿13と、支持部材14とで囲まれた空間が受水室10aを構成している。受水室10aは、目皿13の複数の貫通孔13aから浴槽水を受け入れ可能に構成されている。
【0093】
水位センサユニット30は、ケース60の第1の内部空間IS1に収容されている。水位センサユニット30は、受水室10aの水圧を検知可能に構成されている。水位センサユニット30は、支持部材14にネジ(図示せず)によって固定されている。支持部材14の中央に形成された貫通孔14aに水位センサユニット30の先端部が挿入されている。
【0094】
ケース60の底面部60bには、出力信号線70をケース60の外部へ引き出すための貫通孔60dが形成されている。出力信号線70は、貫通孔60dを通じて、ケース60の第1の内部空間IS1から配管40の第2の内部空間IS2に延びている。出力信号線70の外周面と貫通孔60dとの間に封止部材50が配置されている。封止部材50は、出力信号線70の外周面と貫通孔60dとの間の隙間を水密に封止可能に構成されている。
【0095】
ケース60の底面部60bにはさらに、第1の内部空間IS1に大気を導入するための大気導入孔60eが形成されている。大気導入孔60eは、第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2とを連通する。大気導入孔60eは、第1の内部空間IS1の水密を損なわないように、その開口径が、第1の内部空間IS1への浴槽水の浸入を防止することができる大きさとなっている。たとえば、大気導入孔60eの開口径を1〜2mm程度とすることができる。
【0096】
このようにすれば、大気導入孔60eが浴槽水と接触していない状態であれば、大気導入孔60eを通じてケース60の第1の内部空間IS1が大気開放されるため、圧力センサ30aによって浴槽200に貯められた湯水の水位を精度良く検知することができる。
【0097】
また、配管40の内部に浴槽水が流入して大気導入孔60eが浴槽水と接触した状態となった場合には、第1の内部空間IS1を大気開放することができなくなるものの、第1の内部空間IS1への浴槽水の浸入を防止して、第1の内部空間IS1の水密を確保することができる。したがって、水位検知装置100が故障することを抑制することができる。
【0098】
なお、本変形例に従う水位検知装置100においても、実施の形態に従う水位検知装置100と同様に、大気導入孔60eを、貫通孔60dよりも上方の高さ位置に形成することが好ましい。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。